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90過ぎて「幸せになる人」「不幸になる人」 〜分岐点はココにある人生100年時代、あなたはどちらになるのか
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47301
2016年01月15日(金) 週刊現代
「100歳まで生きる」ことが当然の世の中がいよいよ現実味を帯びてきた。長生きすれば幸せ—そんな甘い考えは通用しない。90歳を過ぎて幸せになれるかどうかを左右するものは何か。
■健康、カネ、そして—
「ばあちゃんたちの幸せの秘訣は、『いくつになっても女であることを忘れない』ということではないでしょうか。皆が集まれば、昔の恋愛やちょっとエッチな話なんかで盛り上がるなんてこともしばしば。
以前、仕事のためにばあちゃんたちと一緒のホテルに宿泊して、就寝前に急遽ミーティングを行った時も、ばあちゃんたちは寝間着姿ではありましたが、きちんと化粧をして部屋から出てくるんです。90歳を過ぎても、やっぱり男性を意識している。そういう姿は輝いて見えますね」
沖縄本島より南西に400km、八重山諸島のなかの小浜島で暮らす80歳から97歳までの女性たちによるアイドルユニット「小浜島ばあちゃん合唱団」、通称「KBG84」のプロデューサー、つちだきくお氏はこう語る。
また91歳ながら、現役の風鈴職人であり、江戸川区伝統工芸会の終身名誉会長も務める篠原儀治さんもこう話す。
「この歳になったら隠居するのが普通だけど、それじゃあ人生つまらない。今の私の仕事は弟子たちが修業に励んでいるのを見守ってやること。彼らの成長ぶりを間近で見れるのが幸せなんですよ」
篠原さんは毎朝5時に起きては、丸一日風鈴づくりの現場で弟子たちの指導にあたっている。睡眠時間はたったの4~5時間。身体への負担は計り知れないが、それでも幸せをかみしめる。
日本の平均寿命は年々上がっており、今や男性が80.50歳、女性が86.83歳。計算上は、夫婦揃って60歳を迎えた場合、約40%の確率でどちらかが90歳まで生きることになる。さらに、約20%の確率で95歳まで生きるのだ。まさに「人生100年時代」の到来、90歳超えはごく当たり前となってきた。
「90歳を超えるような人の幸福度を考えた場合、何が一番大事かと言えば、当たり前ですが健康面でしょう。健康に生活できればおカネはかからないし、介護施設や老人ホームも必要ない。たとえ貯金が尽きてきて、限られた年金だけの懐具合でも、自宅で生活を続けることができ、子供や親族に迷惑をかけない、自立した生活を送れます」
こう話すのは、高齢者の住まい選びで豊富な実績をもつ「シニアの暮らし研究所」代表の岡本弘子氏。幸福への近道は、やはり健康を維持することにある。だが現実的にはもっと大切なものがあると同氏は指摘する。
「そうは言っても90歳という年齢になれば、どうしたって病気にもかかるし、介護が必要になる時もくる。そんな局面で頼りになってくるのは結局おカネ、そして面倒を見てくれる人です。だから、おカネと頼りになる人が充足している人は90歳を迎えても幸せでいられます。一方で、どちらも無いという方は不幸にならざるをえません。
もちろん、人が幸せか否かをはっきりと線引きすることは難しい。しかし、体調面や貯蓄額を鑑みて、このまま歳を重ねていけば幸せになるはずだった人が、思いがけず不条理な境遇となって終末を迎えることは十分あり得ることなのです」
では具体的にはどうすれば、「超高齢」となった時に幸せを維持することができるのか。あるいは60~70代にも届こうとして、もはや悲惨な終末しか待ち受けていないとあきらめるような身の上であっても、90代で大逆転の幸せをつかむことができるものなのか。
■月収20万円が分かれ目
そこで本誌は複数人の90歳前後の方に取材。彼らが今幸せなのかどうかを専門家に、あくまで客観的に判定してもらった。
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すでに息子も一人立ちした状態にある70代夫婦。Aさんはサラリーマンとして会社を定年まで勤め上げ、年収は約600万円だった。妻は結婚するまで働いていた。お互いの基礎年金が約6万円、厚生年金は夫が10万円、妻が6万円。月額の年金収入は28万円となっていた。住まいは持ち家であり、すでにローンも払い込み済みだ。
しかし、90代に差し掛かったタイミングで妻が亡くなり、年金収入は16万円に大幅減してしまう。ただ、生保と契約していた終身型の年金保険の受給を、あえて遅らせて80歳より開始。そうすると月3万円が加算されるので、合計収入は以前よりも9万円少ない、19万円となる。
このケースを前出の岡本氏が解説する。
「90歳以上の世帯では、配偶者の方も亡くなり、子供たちが同居してくれるとは限らない。結果、一人暮らしになる場合がほとんどだと思います。そうした場合、経済的な幸せの分岐点は、ずばり月20万円の収入です。Aさんのように老齢年金や厚生年金による年金収入などで月20万円近く貰えていれば、一人暮らしでも余裕が生まれます。慎ましく自炊を心がければ、生活費も抑えることができます」
これなら、週1の割合で通院しても医療費は月10万円もかからないため、積立貯蓄も可能になる。
また仮に介護を受ける必要が出た場合にも、やはり月20万円のラインが一つの目安になると同氏は続ける。
「贅沢ではなくても、平均以上のサービスを受けられる老人ホームに入ろうとすれば、最低でも月15万円はかかります。その点で言えば、Aさんは比較的余裕があります。加えて多額な老人ホームの入居金も、この方のように持ち家があれば、それを売却して頭金にできるのも大きいですね。また自宅での介護を選択するにしても、いくつかの介護サービスを使った生活ができます」
さて、いつどのような健康状態になるのか予測もつかなくなるのが自明な90代。その時その時の身体の具合に応じて、介護やケアサービスについては選択の幅を広く持つことが健康面での幸せの条件にもつながってくる。
■「繰下げ受給」というワザも
では、さほどおカネの余裕もなくて超高齢生活に突入してしまうとどうなってしまうのか。
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個人商店を営んでいた80代のBさん夫婦。働き続けたいとは思いつつ、Bさんの健康悪化に伴って近々引退することを決めた。今後の収入はお互いの老齢基礎年金だけで、世帯としての合計収入は月11万円。預貯金もほとんどなく、暮らしているのも借家という状況だ。
「Bさん夫婦の場合は、生活保護を利用するしかありません。生活保護は市町村によって金額差がありますが、総じて月13万円が限度額。Bさんの世帯収入と合算すると24万円で、一人当たり12万円。それでも幸福の目安となる月20万円のラインを大きく下回っています。元気なうちは質素な暮らしを心がければなんとかなります。
しかし、民間の老人ホームに入居するにはまったく足りません。比較的安い、ケアハウスという社会福祉法人が運営する施設への入居も選択肢の一つですが、現状どこも常に満杯なようです。
90歳以上の方の場合、要介護率が7~8割にも上ることを考慮すれば、このご夫婦には非常に厳しい生活が待っていることでしょう」(岡本氏)
おカネの面で見れば、90歳時の年金などの月収が、20万円のラインを超えるか否かが幸せのカギになるようだ。
もしどうしても収入がこのラインを下回ってしまうようなら国民年金の「繰下げ受給」を選択するのも一つの手だ。ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏はこう話す。
「現在、国民年金は原則的に65歳から受け取ることができます。それを先延ばしにするのが『繰下げ受給』です。1ヵ月受給を先延ばしにすると、受給額が0・7%増えます。したがって66歳から受給開始なら108・4%、70歳からなら142%にまで増えます」
つまり70歳まで働き、その後年金を受け取るようにすれば、当初の受給額を約1・4倍にまで増やすことができるのだ。90歳まで生きることを覚悟しておくなら、少しの間の節約でこれだけ見返りが得られるのはお得だ。
■幸せが逃げる人のパターン
「なんだ、結局のところ、おカネがたくさんあれば90歳になっても幸せになれるのか」
そう安直に結論づけてはいけない。多くの高齢者のカウンセリングを行う心理カウンセラーのきくちみよこ氏は、自らの経験を踏まえて忠告する。
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都内で暮らしていた70代のCさん夫婦。息子や孫とも近い場所で暮らしており、月30万円以上の年金収入と十分な貯蓄がある。夫婦で頻繁にディナーへ出かけ、年に2~3度の国内旅行は欠かさない。幸せな90歳を迎えるには十分過ぎる環境にあったはずだが、この後、妻に先立たれてしまったCさんは、予期もしない不幸な晩年を迎えることになってしまうのだ。
この夫婦、仲があまりに良かったことがかえって災いしてしまった。90歳を過ぎようという時に、Cさんは突然、最愛の妻を亡くしてしまう。その結果、妻の死による喪失感と、あまりに長くなった老後生活に対する漠とした不安からか、周囲に強くあたるように変貌してしまったのだ。
「息子さんたちが会いに来ても、悪口や愚痴ばかり言い始めるようになったのです。そのせいで家族は次第に疎遠になり、一層募る寂しさを今度は友人たちにしつこく訴え続けたために、余計に周囲から人が離れていったのです。いよいよ介護が必要になったと気付いた時には、家族から同居を拒否されてしまうという不幸な境遇に陥ったわけです」(きくち氏)
会社勤めをコツコツと長く続けてきた人や、家事や子育てに一人で専念してきた人たち、とりわけ実直な人ほど、
「私は一生懸命頑張ってきたんだ」
と自らを誇示する場合が多い。そうした人が、いざ年を取って急に孤独な立場になった時、周囲への不満を感じやすくなるようだ。その不満をつい口に出してしまおうものなら、どんなにおカネがあっても不幸になってしまう可能性がある。
「私の知る限り、90歳以上で幸せに生きている方は『私がここにいるのは、周りの方々のおかげです』という他人を思いやる気持ちを持っています。ある方は人の役に立ちたいと積極的にボランティアに参加したり、周囲の人と勉強会を開いたりしていますよ」(きくち氏)
冒頭で幸せな90代として紹介したKBG84。彼女たちの幸せの源にも人とのつながりがある。
「都会では長年連れ添ったパートナーを失った途端に、家に引きこもりがちになって孤立してしまうご高齢の方も多いと聞きます。その点、この小浜島は良い意味で昭和の日本のように、隣人との距離感が近い。KBG84のばあちゃんたちもその多くが一人暮らしですが、それでも幸せそうなのはこうした島民たちの結び付きがあるからだと思います」(前出のつちだ氏)
健康を維持することは容易ではなくても、おカネをうまくやり繰りし、人間関係を再構築することは60、70歳になってもまだ間に合う。人生100年時代、90歳を超えた時、不幸になってしまわないためにも、今から準備しておくにこしたことはない。
「週刊現代」2015年1月16日・23日合併号より
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