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ソフトバンク、英移転を一時検討 節税・投資にメリット
大鹿靖明2015年12月26日07時07分
ソフトバンクグループ(SBG)が、今年に入って一時、英国への本社移転を検討していたことがわかった。法人実効税率の低さや国際的な投資環境の良さが理由だ。ただ、移転したとしても投資先から収益を得るのがかなり先になりそうで、ひとまず時期尚早として断念した。
英国が候補に浮上したのは、節税メリットが大きいためだ。国と地方を合わせた法人実効税率は、日本の32・11%(2016年度から29・97%)に対し、英国は20%と低い。
さらにSBGは近年、インドの新興ネット企業に相次いで投資したほか、インドでの大規模な太陽光発電事業への参入も決定。旧宗主国の英国の方が、インドへの投資がしやすいことも利点と考えた。
SBGは7月、グループ全体を統括する持ち株会社として誕生した。旧ソフトバンクが前身で、日本国内の通信事業を担う旧ソフトバンクモバイルがソフトバンクになった。この組織再編の過程で「さまざまな選択肢を検討した」(広報担当者)中で、本社移転も浮上していた。
ログイン前の続き孫正義社長は、米グーグル出身のニケシュ・アローラ氏を後継候補に指名し、世界展開を進めると宣言している。ある幹部は「グローバル企業になるなら、組織のあり方、社員の居住のあり方も変わる」と、本社移転の可能性についても示唆していた。
ただ、インド投資から利益が上がるまでには時間がかかると予想され、「現時点で英国移転を急ぐメリットはない」(関係者)と判断し、本社移転案は退けられたという。
同社は過去にも本社の海外移転を検討している。旧ソフトバンク時代の数年前にもシンガポールへの移転を考えたが、社内に「日本で公共性の高い通信事業で収益を上げているのに、海外に拠点を移すのは好ましくない」との反対論が根強く、断念した。
日本企業による本社の海外移転は、歯磨き用品大手のサンスターがグループ本社をスイスに移転した例があるが、まだ極めて異例だ。SBG級の大企業が移転すれば、他企業に与える衝撃度は大きい。(大鹿靖明)
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