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福島県甲状腺検査「手術の適応症例について」についての疑問点
2015年8月30日開催の第20回福島県「県民健康調査」検討委員会で公開された「手術の適応症例について」( https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/129308.pdf )という福島医大の鈴木眞一外科部長の書かれた文書について、疑問があります。大きく分けて二点あります。
一つ目は、文書の後半に書かれている次のことです。
「小児甲状腺がんの場合、術前診断で大きなリンパ節転移や著明な甲状腺外浸潤 EX2、遠隔転移などを認めている場合はハイリスク群とされ予後不良なことが多く、がんが甲状腺の片側に限局していても全摘が勧められる。しかし、リンパ節転移や軽度甲状腺外浸潤などが、術前には明らかではなく、術後(切除後)の病理診断で初めて認められた場合は、これらの所見は、生命予後とは関連しないと言われている。従ってこれらの所見があるからといって全てが予後不良であるわけではないが、切除しなかった場合でも予後が良いかは不明であり、切除しなくてもよいという根拠にはならない。」
自分は医学については全くの素人ですから、とんでもない勘違いをしている可能性がないとは言いません。しかし、それにしても、論理展開が不明確です。その理由は、「これらの所見があるからといって全てが予後不良であるわけではないが、切除しなかった場合でも予後が良いかは不明であり、切除しなくてもよいという根拠にはならない。」が何重もの否定になっていて、結局、意味が不明だからです。「予後不良であるわけではない」が「切除しなかった場合でも予後が良いかは不明」であり、「切除しなくてもよいという根拠にはならない」となっているわけで、少なくとも3重の否定がされています。結局、意味不明です。
二つ目の疑問は文書の前段で述べられている実際の手術症例についてです。
「手術の適応症例について」は、症例について三段階に分けて述べています。1.術前診断、2.術式(つまり、実際の手術で行われたこと)、3.術後病理診断の三段階です。これ自体は、多分、ごく常識的なことであるのでしょう。ただ、この分類を見た時、普通なら、術前診断でこうだったから、実際の手術でこういったことをやり、術後病理診断で実際の手術でやったことが妥当だったかを検証し、その結果はどうだったという関係にあるはずだと思いますが、「手術の適応症例について」では、全くそう言ったことは述べられていないように思えるのです。以下、そう思う理由です。
1.術前診断について書かれているのは「術前診断では、腫瘍径 10 o超は 63 例(66%)、10 o以下は 33 例(34%)であった。また、10 o以下 33 例のうちリンパ節転移、軽度甲状腺外浸潤、遠隔転移が疑われるものは 8 例(8%)、疑われないもの(cT1acN0cM0)は 25 例(25%)であった。この 25 例のうち 22 例は気管や反回神経に近接もしくは軽度の甲状腺被膜外への進展が疑われ、残りの 3 例は非手術経過観察も勧めたが本人の希望で手術となった。なお、リンパ節転移は全症例中 23 例(24%)が陽性であり、遠隔転移は 2 例(2%)に多発性肺転移を疑った。」です。ここから、症状が「重い」、「中ぐらい」、「軽い」の三分類が出来るはずです。つまり、「腫瘍径 10 o超は 63 例」というのですから、この63例が「重い」、「10 o以下 33 例のうちリンパ節転移、軽度甲状腺外浸潤、遠隔転移が疑われるものは 8 例(8%)」の8例、及び「22 例は気管や反回神経に近接もしくは軽度の甲状腺被膜外への進展が疑われ」たということでこの8例と22例の合計30例が「中ぐらい」、そして、「3 例は非手術経過観察も勧めた」とされる3例が「軽い」です。これで、96例になるので、全ての症例がこの三グループに入ることになります。
2.このグループ分けに従って手術が行われたのかとつい思ってしまうのですが、術式の部分に書かれているのは、「術式は、甲状腺全摘 6 例(6%)、片葉切除 90 例(94%)、リンパ節郭清は全例に実施し、中央領域のみ実施が 80%、外側領域まで実施が 20%であった。」です。「甲状腺全摘 6 例」は、手術後一生甲状腺ホルモン剤を毎日飲むことになりますから、それなりに、判断基準があったことになりますが、術前診断の「重い」のグループは63例であり、6例がどんな理由で判断されたかは不明です。そもそも、この63例に甲状腺全摘 6 例が全例含まれているのかさえはっきりしません。リンパ節郭清についての20%とか80%というのは、それぞれ、1%が0.96人なので、10%が9.6人、ということになり、リンパ節郭清を外側領域まで実施の20%は約18人、中央領域のみ実施の80%は約77人と言うことになります。では、このリンパ節郭清を外側領域まで実施の20%は約18人はどういった基準で判断されたかというと、やはり不明なのです。
3.術後病理診断の部分に書かれているのは、「軽度甲状腺外浸潤のあった 14 例を除いた腫瘍径 10 o以下は 28 例(29%)であった。リンパ節転移、甲状腺外浸潤、遠隔転移のないもの(pT1a pN0 M0)は 8 例(8%)であった。全症例 96 例のうち軽度甲状腺外浸潤 pEX1 は 38 例(39%)に認め、リンパ節転移は 72 例(74%)が陽性であった。術後合併症(術後出血、永続的反回神経麻痺、副甲状腺機能低下症、片葉切除後の甲状腺機能低下)は認めていない。」です。この文章も分かりにくいので、まず、この文章の意味を解釈してみます。「全症例 96 例のうち軽度甲状腺外浸潤 pEX1 は 38 例(39%)に認め、リンパ節転移は 72 例(74%)が陽性」と言うことなので、軽度甲状腺外浸潤とリンパ節転移の両方があったのは、少なくとも、(72+38)−96=14例になります。「軽度甲状腺外浸潤のあった 14 例を除いた腫瘍径 10 o以下は 28 例(29%)であった。」ということは、腫瘍径 10 oよりも大きい症例が、少なくとも、96−14−28=54例あったという意味でしょう。ここでも、甲状腺全摘 6 例の根拠は示されていません。普通であれば、腫瘍径何ミリ以上で著明な甲状腺外浸潤と大きなリンパ節転移があったために甲状腺全摘が妥当であったことが術後病理診断で裏付けられたというような文章がないとおかしいと思います。また、本来なら、軽症であると解釈できるはずの「リンパ節転移、甲状腺外浸潤、遠隔転移のないもの(pT1a pN0 M0)は 8 例」について、術前診断ではどうだったかの検討も述べられていません。
4.結局、著明な甲状腺外浸潤が何名あったのかとか、大きなリンパ節転移や遠隔転移があったかどうかについては、不明なままになっています。腫瘍径10mm以上の分布も示されていません。甲状腺全摘が6例あり、かなり深刻な症状があったことが疑われますが、あいまいなままです。これでは、この文書自体の意味がないのではないかと思えます。
2016年02月22日15時00分 武田信弘
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