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プーチン包囲網のブーメラン効果:クリミア編入の露からウへの代償は10億ドルとガス供給条件らしい
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/807.html
投稿者 あっしら 日時 2014 年 8 月 21 日 04:02:49: Mo7ApAlflbQ6s
 


 転載する『ニューズウィーク日本版』記事のテーマは対露金融制裁だが、かつてのような、圧倒的な資金力と経済力を誇る西側諸国とロシア(ソ連)の関係ならそれなりに妥当性がある解説だが、中国の台頭があるなか、対ロシア金融制裁を行って損をするのは、ただでさえ資金の運用難に苦しんでいる西側(先進諸国)銀行筋である。

 記事も、「VTBやロシア最大の銀行スペルバンクなどの欧州子会社も制裁の対象外で、利益移転や親銀行への融資も可能だ。さらに制裁期間はわずか90日間。期間を限定し、ロシアの金融システム内部でパニックが発生する可能性を減らすことでプーチンがウクライナと和解する気になれば−−−というのが当局の思惑らしい」とオチを書いている。

 記事のテーマに関する解説はあまり面白くないが、「ロシアの主張どおり、住民投票で承認されたクリミアのロシア編入を認めれば、その見返りとしてロシアはウクライナ東部の親ロシア派への支援を中止し、ウクライナ政府に10億ドル以上を支払う。天然ガスの長期供給をめぐる交渉再開も目指す―というのが主な内容だった。これらの条件にウクライナ政府は消極的だったが、消息筋によればロシア側は関心を示していたといい、そのことが協議の(うまくいけば合意の)進展に向けた足掛かりになるかもしれないという。」という幕引きに関する部分はなかなか興味を惹く。

 ロシアは関心を示しウクライナは消極的という立場だから、その条件の発案者ではないことがわかる。記事によると調停案の発案者はドイツらしいが、ドイツにはちと荷が重い話である。本当は、どこがその条件を提示し将来にわたる保障をするのか気になる。


※ 関連参照投稿

「ロシアの“実効性”が高い「EU&米国向け経済制裁」の実施により欧米―露間の制裁合戦は終息へ」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/662.html

「対ロ制裁、欧州企業に影:そのうえに対EU制裁:資源国家に制裁をかけても効果薄:仕掛けた富裕国の方が辛い」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/671.html

「デフォルトを嫌う金融家のため、危機を頼りにする軍需産業のため、「東西」の合作で分断と対立を煽られたウクライナ」
http://www.asyura2.com/14/senkyo162/msg/467.html

「ウクライナ情勢の今後:軍事的対応はハナからなしだが、実質的経済制裁も避けたい欧米先進国:焦点はウクライナ東南部地域の“地」
http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/169.html

「ウクライナ危機で問われるNATOの意味:存在意義が自覚される契機になることでNATOを救ったロシアのクリミア併合」
http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/445.html

「対露「口先制裁」の実例:ロシアは高級公務員の外国銀行口座保有を禁止:なのに金融資産凍結が制裁のコアという喜劇」
http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/302.html

「欧米の対ロシア制裁に抜け穴−最大手行は対象外:見せかけのインチキ制裁で米欧とも様々の工夫」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/581.html

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『ニューズウィーク日本版』2014−8・26号
P.36〜37


「プーチン包囲網のブーメラン効果

ロシア:欧米が経済制裁を強化してロシア経済が打撃を受ければ欧州市場が冷え込む可能性も


 97年夏、クリントン米政権で財務次官を務めたローレンス・サマーズは、大手金融機関の国際部門を統括する重役と話をしていた。重役は、タイの金融市場と不動産市場で続く混乱を注視していると語った。

 サマーズの反応は素っ気なかった。当時のタイがアメリカの貿易総額に占める割合は1%足らず。アメリカから見れば、アジアの片隅の取るに足りない規模の経済で、サマーズにしてみれば、「何をそんなに悩むことがあるのか」と言わんばかりだった。その後、タイの混乱はいわゆるアジア通貨危機にまで発展し、韓国やロシアなど多くの国がデフォルト(債務不履行)や通貨の切り下げに追い込まれた。あの苦い教訓が今、欧米の政策決定者の頭から離れない。

 ウクライナ情勢をめぐって強硬な姿勢を取り続けるロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対し、欧米政府は経済制裁の駆け引きに苦悩してきた。ヨーロッパはロシアからの天然ガスの供給に依存し、ドイツの製造業はロシアで広範囲に事業を展開している。
 しかし、先月にウクライナ上空でマレーシア航空17便が撃墜されて以降はより厳しい措置を取ることで欧米は一致している。実際、米政府とEUは先月末に追加の経済制裁を発表している。

 ロシアに対するより厳しい措置が「世界市場に深刻な反動」を招く可能性も欧米は認識していると、アメリカのある情報筋は語る。「小さなきっかけから悪い事態に発展しかねないことを、私たちは学んできた」

 そのリスクは不可避でないとしても、重大なものになると欧米当局も考えざるを得なくなった。ロシアの金融システムは今や、それなりの影響力を持つ規模に成長した。06年に金融取引が自由化されて以来、ロシアの銀行はヨーロッパの銀行と関係を深めてきた。アメリカの金融システムとも、ヨーロッパほどではないが関係は深い。
 国際決済銀行(BIS)によると、ロシア向け与信額は今年3月の時点で総額1737億ドル。11年末の1554億ドルより増えている。1兆ドルを超える中国は別にしても「かなりの金額だ」と、ロシアに駐在するヨーロッパの銀行家は言う。


銀行の「無言の制裁」

 先月末にEUと米政府が発表した追加利裁は、ロシアが3月にクリミア半島を編入した後から顕著になっていた2つの流れを、加速させるとみられている。1つは、ロシアから資本が洗出していること。もう1つは、欧米の銀行がロシア向けの与信枠を削減する「無言の制裁」だ。

 今年1〜6月にロシアから洗出した資本は約750億ドル。追加制裁が発表される前の先月25日にロシア中央銀行は主要金利を引き上げたが、ルーブルは下げ止まらなかった(ただし、8月1日現在、大幅には下落していない)。
 社債発行高も大きく落ち込んでいる。野村証券によると、ロシア国内のルーブル建て以外の企業借り入れは、昨年の522億ドルに対し、今年は現時点でわずか98億ドルだ。

 さらに、欧米の大手銀行は、ロシア経済全体への貸付額を縮小している。先月29日にバンク・オブ・アメリカは、対ロシアの与信額を昨年末の総額67億2000万ドルから39億4000万ドルに縮小すると発表。ロイヤル・スコットランド銀行も今月初めに、一連の経済制裁を受けてロシアへの融資を引き締めていくと認めた。同行の対ロシアの与信額は現在総額24億ドルだ。

 EUの追加利裁は総じて、多くの懐疑的な予測を上回る厳しいものだったが、金融当局者によればEU全体への「飛び火」を抑える内容になっている。ロシア第2の銀行VTBなど主要銀行が欧米で中・長期的な資金調達を行うことは禁止されるが、90日以内の短期債務(総額335億ドル)の借り換えは可能だ。

 VTBやロシア最大の銀行スペルバンクなどの欧州子会社も制裁の対象外で、利益移転や親銀行への融資も可能だ。さらに制裁期間はわずか90日間。期間を限定し、ロシアの金融システム内部でパニックが発生する可能性を減らすことでプーチンがウクライナと和解する気になれば−−−というのが当局の思惑らしい。

 要するにロシアを懲らしめると同時に、EUの金融システムの「不安定リスクの軽減」に努めるという難題をやってのけようとしているわけだと、ドイツ政府高官の側近は言う。ユーロ圏は経済的に非常に微妙な時期で、いまだにデフレスパイラルの懸念が拭い切れない。現に先月末には、欧州経済が再び低迷するとの懸念から株価は世界的に急落した。

 確かに、アジア通貨危機のときのようにロシア発の金融危機が起きるというのは考え過ぎだという専門家もいる。何といっても、ロシア中銀には4686億ドルもの外貨準備がある(アジア通貨危機が飛び火したインドネシアの98年の外貨準備高は200億ドル、「震源」タイはそれをはるかに下回っていた)。
 ロシア中銀のエリビラ・ナビウリナ総裁はロシアの金融機関と企業に対する支援を表明。今年に入って既に3回も利上げを実施し、ルーブル安の加速を阻止する姿勢を鮮明にしている。


長期化すれば「飛び火」も

 とはいえ制裁が長引けば、ロシアの外貨準備がいつまで持つか。来年も制裁が続いて金融機関や企業への支援がかさめば、外貨準備高は2000億ドル程度まで目減りしかねないと、モスクワのエコノミスト、セルゲイ・プーホフは指摘する。
 金額だけ見れば潤沢そうでも実際にはロシアの輸入額の6カ月分。外貨準備高がそのレベルに近づくだけで「市場の不安は膨れ上がるはずだ。ロシアの金融システムが崩壊する可能性は否めず、崩壊すれば広範囲に飛び火するだろう」と、ヨーロッパの大口投資家は言う。
 そうならないよう、ドイツ当局はひそかにプーチンが再びウクライナ問題の協議に応じることを熱望している。報道によれば撃墜事件が起きる前はロシアとの調停役としてウクライナ危機を解決する道を模索していた。
 ロシアの主張どおり、住民投票で承認されたクリミアのロシア編入を認めれば、その見返りとしてロシアはウクライナ東部の親ロシア派への支援を中止し、ウクライナ政府に10億ドル以上を支払う。天然ガスの長期供給をめぐる交渉再開も目指す―というのが主な内容だった。
 これらの条件にウクライナ政府は消極的だったが、消息筋によればロシア側は関心を示していたといい、そのことが協議の(うまくいけば合意の)進展に向けた足掛かりになるかもしれないという。
「90日以内に進展があればいいが」と当時の事情を知るヨーロッパの当局者は語った。進展がなければ、欧州はもちろん世界の市場に東から冷たい風が吹き付ける羽目になりかねない。

ビル・パウエル」

 

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コメント
 
01. 2014年8月21日 15:04:45 : yy7D5jhcis
当事者のマレーシアがロシア系でなくウクライナが犯人だと指摘しているのに、それを耳が聞こえないふりをしてロシアに経済制裁をやったのだから、確信犯だ。第3次世界大戦か、第2次世界大恐慌のいずれか、もしくは両方を意図的に引き起こそうとしているという以外解釈の方法はない。インターネットのおかげで真相、すくなくとも真相を判断する材料が即座に手に入るようになったおかげで、酷い騙され方をしないで済むようになったが、昔は第1次大戦、第2次大戦いずれの場合も全世界がいいように情報操作されて手玉に取られていたのだろう。

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