http://www.asyura2.com/14/it12/msg/213.html
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光の性質利用し瞬時に答え 画期的計算法として注目
10月21日 6時57分
最先端のコンピューターでも計算が難しいとされる、100億通りを超える膨大な組み合わせの中から、最も適した答えを求める問題を、光の性質を利用することで、瞬時に解くことに日本の研究グループが成功し、次世代コンピューターにつながる画期的な計算手法として注目されています。
成功したのは、内閣府が設置した国立情報学研究所や、NTTなどで作る研究グループです。
この手法は現在のコンピューターのように、一つ一つすべてのケースについて数値計算を行うものではなく、光が持つ物理的な性質を利用して答えを求めようという全く発想が異なるものです。
グループでは全長1キロの光ファイバーの中に、組み合わせを調べたい数だけ、光の粒子を使って一種の磁石を作り出す新たな装置を開発し、「2000個の点を最もエネルギーを使わずに2つに分ける方法」を解くことに挑戦しました。
この問題では、組み合わせが100億通りを超え、最先端のコンピューターでも計算が難しいとされています。
実験の結果、新たな装置では2000個の点に見立てた磁石が互いに影響し合って向きを変え、最もエネルギーを使わない分け方を示したということで、1万分の1秒以下という極めて短い時間で解くことに成功したということです。
グループでは今後、この手法を用いた次世代コンピューターを開発し、膨大な数の化学物質の組み合わせの中から副作用がない医薬品の開発などに応用したいとしています。
研究グループの代表を務めるスタンフォード大学の山本喜久名誉教授は「現代のコンピューターが不得意な問題を解くうえで非常に有望な計算手法で、今後、世界の標準になれるのではないかと期待している」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161021/k10010737461000.html
水没コンピューター その可能性は
10月2日 19時00分
「熱を発するコンピューターをそのまま水に沈め、冷ます」。
コンピューターと言えば水に弱いというのが、これまでの常識ですが、それを覆すような研究が今、進められています。ポイントになるのが防水性です。どのようにすれば水の侵入を防ぐことができるのか。研究の最前線を取材しました。
(ネット報道部 副島晋記者)
コンピューターの敵は熱
東京北区にある国内でも最大規模のデータセンター。企業から業務用のコンピューターを預かり、24時間動かしています。預かっているコンピューターは、数万台にも上ります。3年前から運用が始まったこの施設では、最新鋭の空調機器を使って、企業のコンピューターを冷やし続けています。冷却には一般家庭の3000世帯ほどの電力が必要で、電気代は年間で1億円を超えるといいます。
このデータセンターを運営するNTTコミュケーションズの瀬尾浩史主査は、「コンピューターは冷却できないと熱で止まったり、場合によっては壊れてしまうので、冷却には非常に気を遣っている」と話しています。
水槽で3か月稼働
コンピューターを水に沈めることができれば、空調施設を使わなくても冷やすことができるのではないか。こうした発想で新たな研究に取り組んでいるのが、国立情報学研究所の鯉渕道紘准教授と藤原一毅特任准教授です。目指すのは、水に沈めたままでも長時間動き続ける、名付けて「水没コンピューター」です。
鯉渕准教授は「携帯電話の防水サービスを見て、これはコンピューターも同じように防水をすれば、水の中に沈めることができるのではないかと考えた。空気よりも冷却の効率がいい水を使えば、効果的に冷やすことができ、冷却コストを抑えられると思った」と話します。
研究を始めて3年。水道水を入れた水槽の中で、コンピューターを3か月連続で動かし続けることに成功しました。カギになったのは、コンピューターの基板に施した「パリレン樹脂」という特殊なコーティングです。通常、複雑な計算などコンピューターに大きな負荷をかけるとあっという間に温度が上がりますが、水につけた状態ならすぐに温度が下がることが確認できました。
たび重なる失敗の末
コンピューターの防水性を高めるため、2人は、それまでも、さまざまな防水方法を試してきました。
最初に目をつけたのは、液体のエポキシ樹脂です。電気を通さない「絶縁性」が高いうえ、水をはじく特性があり、まさに防水加工にはうってつけの素材だと考えました。しかし、実際に塗ってみると、どうしても塗りムラが出てしまいました。水がしみこんで基板がショートし、水の中でうまく動かすことができませんでした。
続いて試したのは、アルミ製の箱。コンピューターの基板に合う形のアルミの箱を製作して、箱のつなぎ目を防水剤でコーティングしましたが、つなぎ目からの水の侵入を防ぐことはできませんでした。
このほか、新開発の防水スプレーも使ってみましたが、思うような結果は得られませんでした。
「どうしたら、うまくいくのだろうか」。防水技術に関する情報を集める中で、見つけたのが「パリレン樹脂」でした。
パリレン樹脂=パラキシリレン樹脂は、今から約70年前にイギリスで発見されました。これも、エポキシ樹脂と同じく絶縁性と耐水性に優れた素材ですが、エポキシ樹脂にない特徴があります。樹脂を液体ではなく、気体の状態にしてから素材に貼り付けるため、より薄くムラがなく、基板の上に塗ることができるのです。
加工には特殊な技術が
パリレン樹脂の加工には、特殊な技術が必要です。そこで、2人は専門の加工技術を持つ東京・中央区の会社に依頼し、コンピューターの基板をまるごとコーティングしてもらうことにしました。
コーティングには、「真空蒸着」という、特殊な技法を使います。まず、粉の状態の樹脂を専用の機械に入れ真空の状態にし、650度から700度の温度にまで加熱します。次に、装置にコンピューターの基板を入れます。そこに、気体の状態にした樹脂をゆっくり時間をかけて塗りつけていきます。
パラキシリレン樹脂は、加熱するとポリマーと呼ばれる分子がつながった状態から、モノマーと呼ばれる短い状態になります。それを、コンピューターの基板に当てると、基板の表面で再び長くつながります。気体の分子を基板の表面で長くつなげることから、基板の表面に薄い膜をつくることが可能になります。
樹脂は、0.1ミリ以下の厚さにコーティングされることが多いですが、2人は、耐久性を高めようと、この工場でコンピューターの基板を0.12ミリの厚さでコーティングしてもらうことにしました。この厚さなら、基板をまるごと水につけたとしても水は十分防ぐことができ、また、基板が発する熱をうまく水に逃すことができると考えたからです。
この技術は、これまで医療用のカテーテルや、航空機に乗せる精密部品、それに、宇宙ステーションの空調のダクトといった、水や化学物質などから腐食を防ぐ必要があるものの保護に使われてきました。会社の担当者は「これまで電子部品の基板の一部を保護することはあっても、コンピューターの基板1枚をまるごと保護するといった加工はしたことがなく、こうした使い方は想定していなかった」と話しています。
海で耐久性をテスト
「水没コンピューター」を水槽で3か月動かし続けることに成功した鯉渕准教授たち。より耐久性を高めるためには、どんな工夫が必要かを調べるため、より条件が過酷な海に沈めてテストすることにしました。
7月下旬、パリレン樹脂でコーティングしたコンピューターの基板を、神奈川県横須賀市の岸壁に沈めました。沈めた基板は2台。基板につなぐ電源などのケーブルも防水加工しました。
それから1月ほどたった8月下旬、2人はコンピューターの状態を確かめにいきました。陸上からコンピューターに信号を送ったところ、2台のうち1台から応答がありました。この1台は、海水の中で動き続けていたのです。一方、もう1台は止まっていました。
鯉渕准教授は「台風などもあり予想以上に過酷な環境で、当初1週間もつかどうかと考えていたが、1台は1か月間動き続けた。非常に大きな成果だと思う」と話していました。
基板を海から引き上げて見ると、表面にはびっしりと貝や海草などが付着し、基板を収めていたケースには、大きなカニも住み着いていました。途中で止まった1台については、貝がコーティングを食い破ってしまった可能性などが考えられるということです。
動作を確認したあと、2人は新たにパリレン樹脂で防水加工したコンピューターを1台、海に沈めました。今度は、コンピューターの基板のうち、あまり熱を持たない場所は、ほかの樹脂でさらに厚く防水加工するなど、工夫をこらしたと言います。
2人が描く将来像は
今回、海でも1か月動作させることに成功した「水没コンピューター」。
鯉渕准教授たちは、将来的には、川や海で2年ほど動き続けるコンピューターの開発を目指しています。業務用コンピューターには、年単位の耐久性が求められるからです。
また、養殖棚のように、コンピューターの基板をまとめて海に設置できないかと考えています。その上に波力発電や潮力発電の施設があれば、電力も供給でき、海にデータセンターを作ることも可能だと構想しています。
実際に、川や湖でデータセンターを運用するためには、耐久性の向上はもちろん、企業から預かったデータを損失させないための対策や、コンピューターの発する熱が環境に与える影響がないかなどを検証する必要もでてきます。一方、無限とも言える海や川の水を使えば、冷却に必要な電気を限りなくゼロに近づけることもできるようになります。
乗り越えなければならない課題はまだまだありますが、可能性の大きな技術だと感じました。
ネット報道部
副島 晋 記者
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