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原発のメリットについて、今一度考えてみよう「原子力にかけた夢は全てが幻ということでした」〜第73回小出裕章ジャーナル
http://www.rafjp.org/koidejournal/no73/
5月31日 ラジオフォーラム
今西憲之:
安倍政権のもと原発再稼働の気運が高まってまいりました。 早ければ、今年の夏だとか秋に再稼働するのではないかというような事が 言われておるわけなんですが、ここで一度、改めて原発のメリット と言われることについて、整理してしっかりちょっと検証しておきたいというところで、 小出さんのお考えをお聞かせ頂きたく思っておりまして、 テーマとしては「原発のメリットについて、今一度考えてみよう」ということで お伺いしたいと思います。
小出さん:
私自身は、高校から大学に行くときに原子力というものは化石燃料が いずれ枯渇してしまうので、未来のエネルギー源だと聞かされまして、それを信じました。 そして、原子力発電というのは安全だし、もし発電ができるようになると 電気料金がタダのようになるほど安く発電できると。
今西:
タダのようになると当時言われてたんですか?
小出さん:
はい、電気料金が決められないほど安くなると言われていました。
今西:
小出さん、それってもう50年ぐらい前じゃないんですか?
小出さん:
そうですね。 日本で原子力というのに足を踏み込んだのは1954年なのですけれども、 その当時はもう電気代が付けられないくらい安くなる。 あるいは、そのある新聞では電気料金が2000分の1になるというような、 まあそんな期待だったのです。
今西:
そうなんですかあ。 けども、日本の電気料金は世界一高いって言われてますよね。
小出さん:
そうです。 ですから、全くの幻だったわけですし、安全だと言われた原子力発電所が 実は大変危険なもので、福島第一原子力発電所の事故のようなものも 起きてしまうということが既に事実として分かっています。
更に、私が期待した未来のエネルギー源になるかということも 地球上のウラン資源が大変少なくて、実は石油よりも石炭よりも 早くウランが無くなってしまうという、そんなものだったのです。 原子力にかけた夢は全てが幻ということでした。
今西:
そうすると、今も繰り返し言われる「原発はコストパフォーマンスに優れている」 というような話というのは、もう真っ赤なウソ、まやかしだと。
小出さん:
もちろんです。 今、進行している福島第一原子力発電所の被害、それを本当に賠償しよう と思うのであれば、東京電力が何十回倒産しても足りません。 日本の国だって倒産するというほどの被害が、もう既に出ているわけです。
それを知らぬ存ぜぬで逃げおおせようと、国も東京電力もしているわけですけれども、 本当に被害を受けてる方々の苦痛をちゃんと賠償しようと思うなら、 大変なお金がかかってしまうわけですし、原子力なんていうものは、 もう話にならないほど高いものということが既にもう分かってしまっています。
もし、本当にその原子力を進めてる人達が「原子力が安い」というのであれば、 ちゃんとその経済原則に則って、原子力に関しても普通の民間の 保険を適用すればいいのですけれども、民間の保険会社、 誰もその原子力なんかの保険を引き受けようとしませんし、 だからまあ今のように国が出てこざるを得ないということに なっているわけです。
今西:
小出さん、それでですね今までの原発のコスト計算なんかを見ておりますと、 使用済み燃料棒ですとか、いわゆる核廃棄物と言われるものの処理費用というのが キチンと計上されてたのかということで、非常に大きな疑念を 原発事故以降感じるようになったのですが、その辺は如何でしょうか?
小出さん:
今西さんが今おっしゃった通りでして、原子力発電所というのは 仮に事故を起こさなかったとしても運転をしてしまえば膨大な放射性物質、 核のゴミを生み出してしまうわけです。 そのゴミをいつか科学が進歩すればなんとかなるんだろうと思いながら、 ここまでやってきてしまったわけですけれども、 一向に手段が見えないままでして。
今西:
それはあれですか、小出さんも色々考えられたと思うんですが、 小出さんが考えてもどうにもならないんですか?
小出さん:
はい、もちろん自分達が生み出したゴミですから、 無毒化したいとみんな思ってきたわけです。 いずれなんとかなるとして研究を既に70年続けているのですけれども、 無毒化ということができないというのが現在の状況なのです。
もう仕方がなくて地面に埋め捨てにしてしまおうというのが、 日本の法律で既に決められてしまっているのですけれども、 埋め捨てにして一体何年間キチっとその場所にいてくれればいいかというと、 10万年とか100万年という時間の長さなのです。
そんなもの科学が保障できる道理がないわけですし、 2012年だったと思いますが、日本の学者の国会とも言われてる日本学術会議も ようやくにして今まで原子力を進めてきた人達がやろうとしてるその方策、 地面に埋めてしまうというようなことは一から見直せというような答申を出したのです。 これからほんとにどうやって出来るのか。 それすらも分かりませんし、本当にキチっとやろうとすれば、 それも一体いくらお金がかかってしまうか分からないというものなのです。
今西:
はい。 それで、原発を推進する方のお題目のような言葉があります。 「電力の安定供給には原発は欠かせない」 けど、原発事故以降、ほとんど原発が動いてない中で電力は現在足りてるわけですよね。
小出さん:
そうですね。 みなさんは、何か「原子力発電を止めてしまうと停電する」と聞かされてきて、 それをどうも信用してこられたようなのですけれども、 実はそんなことは全然ないのです。
日本には、火力発電所と水力発電所が膨大にありまして、 それをキチっと動かすように準備さえしておくのであれば、 真夏の一番電気を使う日でも足りてしまうという状態が ずーっと続いてきたのです。
福島第一原子力発電所の事故の後、例えば今だって日本では 原子力発電所一基も動いていないわけですけれども、 電力不足になったことなどありませんし、今年の夏だって十分いけると言って、 むしろ電力会社や国の方が言っているわけです。
原子力なんて即刻足を洗っても困らないということを 皆さんにちゃんと知っておいてほしいと思いますし、 原子力が安定電源なんていうのは、むしろそれこそが間違えているわけで、 一カ所の原子力発電所で事故が起きれば、全部を停止しなければ いけなくなってしまうという、それほど不安定な電源だということが、 今回はっきりと分かってきたわけです。
今西:
それで、もともと日本の原発というのは、アメリカから持ってきたわけなんですけども、 実は先日ちょっと英語の論文を読んでましたら、 アメリカの金融機関が、要するに原発関連の会社とか施設にお金を ほとんど融資することがなくなったというような事が書いてありました。
それは、それだけ原発には危険性が大きいというような判断を しているからだと思うのですよね?
やはり、日本の同盟国アメリカがそこまで決断し、 原発は少なくてももうこれ以上増やさない というような判断をしていると思うのですが、それはですね。 何で日本はそういう決断ができないんでしょうか?
小出さん:
愚かだからでしょうね。 もっとも米国の腰巾着、属国になってる国ですので、 米国の利益のためにむしろその日本という、 この国が働かなければならないわけです。
米国では、世界の原子力を牽引してきたわけで、 ゼネラル・エレクトリックとかウェスティングハウスとかいう 巨大な会社があって、ほとんど世界中の原子力のパテントを押さえているわけです。 そういう国が金儲けをしようと思えば、日本なんかにやらせておいて パテント料をせしめるというのが、もちろん資本主義という社会では 原則的なやり方なのであって、日本にはやらせておくという事にしているのだと思います。
今西:
なるほどねえ。 まあ、改めて原子力発電の矛盾さというのを小出さんのお話を聞いていて 痛感するばかりですが、にも関わらず、再稼働にまっしぐらという現状というのは、 ほんとに考えさせられるところがあるなあと思います。
小出さん:
はい、ほんとですね。 日本の経営者という人達が、ほんとに目先のことしか考えないという、 それが一番困ったことだと思います。
今西:
分かりました。 ありがとうございました。
小出さん:
ありがとうございました。
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