08. 2013年10月07日 15:45:46
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焦点:0.6%台の長期金利に低下余地、銀行勢が比重再引き上げ 2013年 10月 7日 15:09 JST [東京 7日 ロイター] - 日本の長期金利は、今年度下期に国債投資の比重を再び上げ始めた銀行勢などの動きを背景に0.6%台で低下余地を模索する動きになりそうだ。米財政協議の難航でグローバルなリスクオフ心理の台頭を想定した質への逃避も、一段と金利低下圧力を強める可能性がある。ただ、米国債の債務不履行(デフォルト)懸念が本格的に意識され出すと、一転して利回り低下が鈍るとの予想も出ている。 <銀行勢の国債買い復活、超長期にも> 10年最長期国債利回り(長期金利)は今月4日、0.625%と5月10日以来の低水準まで低下。超長期債利回りも一時、5月7日以来の水準に低下した。 長いゾーンを中心に利回りに強い低下圧力がかかった要因について、今年4月4日の日銀異次元緩和直後から債券残高を落としてきた投資家が、下期になって残高を回復させようとしているとの見方が浮上している。 特にイールドカーブが急速にブルフラット化したことで、長いゾーンの買いの主体は、都銀を中心とした銀行勢との声が複数聞かれる。 <米量的緩和縮小の先送り、銀行勢の判断に影響> この動きには、ある見方が市場で語れている。概略はこうだ。大方の予想に反して9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和縮小が見送られ、米長期金利が低下した。そこで「米債に連動性を強めることを想定した銀行勢は、10年日本国債の積極的な購入に向いた。9月は国債大量償還などで資金余剰であったことも影響し、まとまった規模での積み増しが始まった」(外資系証券)とみられている。 その後は年金勢のインデックス・デュレーション長期化ニーズで利回りが低下基調にあった超長期ゾーンに「依然としてイールドカーブ上で出遅れ感があり、割安と判断した銀行勢が、超長期ゾーンを一気に買い進んだ可能性が高い。利回りの絶対水準の低さから見て、主力投資家の生保が動いたとは思えない」(同じ外資系証券)とみられている。 <10年債入札でも積極応札した銀行勢> この銀行勢の動きは、1日に実施された10年利付国債入札(第330回リオープン)の結果にも表れていた。 入札は事前予想を上回る強い結果となり、相場全体を押し上げた。このとき、市場筋の算出で落札不明額が1兆1000億円余りと全体落札額の約45%を占めた。落札不明額が膨らんだことで、市場では都銀がまとまった額を直接落札したとの観測が浮上。「上期に国債残高を落とし過ぎた都銀勢が、期初の10年債入札でキャリー確保、あるいは他年限との入れ替えを目的に直接入札に動いたのではないか」(別の外資系証券)との見方が出ていた。 <日銀の大量公購入も安心感に> また、日銀の国債大量購入も安心感を生み、都銀の積み増し意欲を刺激したとみられている。9月30日現在の日銀保有国債銘柄別残高によると、新発10年(第330回)債の保有残高は、7895億円と発行総額の28.7%を占めた。 新発10年債の発行日は9月20日で、わずか10日間で発行総額の3割近くが市場で売却され、日銀が購入したた計算になる。市場では「短期的に利ザヤを確保しやすい環境にある」(国内証券)との指摘が出ている。 日銀が2日に発表した8月分の「民間金融機関の資産・負債」によると、都銀の国債保有残高は8月末現在で、85兆4389億円と前月末比586億円増と今年3月以来の増加に転じた。日銀が異次元緩和を導入した4月以降に顕著だった都銀の国債保有残高の減少にひとまず歯止めがかかっていたが、国債保有比率の復元傾向が明確になりつつある。 <米財政協議の難航、リスクオフ心理の台頭へ> 期初の円債買いに拍車をかけたもう1つの要因として、米財政協議の難航でグローバルなリスクオフモードとなり、質への逃避が進んだことが挙げられる。 米議会で与野党の歩み寄りが見られない状況で、シャットダウンが続くことをメーンシナリオとする銀行勢を中心とする国内投資家は、比較的安全資産とされる円債の積み増しを積極化した可能性が高いとみられている。 三井住友銀行・チーフストラテジストの宇野大介氏は「円債市場の外部環境の良さが続きそうなことに加え、日銀の異次元緩和による内部需給も良好で、当面の長期金利は0.600%─0.675%のレンジで推移しそうだ」と指摘。0.6%台で低下余地を模索する動きになるとみている。 <米デフォルトなら、日本の長期金利低下も一服の声> ただ、円債利回りの急速な低下によって、イールドカーブも短期間につぶされ、ここから一段の利回り低下余地は限られるとの声も少なくない。 RBS証券・チーフ債券ストラテジストの福永顕人氏は「下期に残高を回復する動きは今後、減退していくと思われるので、グローバルなリスクオフで金利が上がりにくいが、長期金利の一方的な低下もないだろう」とみている。 また、4日の米金融・債券市場で、米議会での債務上限引き上げに向けた進展が見られない中、米国債のデフォルトリスクへの懸念が高まった。 短期債の利払いに遅れが生じるとの懸念が、より広範な米短期証券(Tビル)に広がり、11月前半に償還を迎えるTビルの利回りは0.1%と、前日終盤から4ベーシスポイント(bp)上昇した。 まだ、米長期金利への影響は限られているが、与野党協議に今後も進展がみられず、債務水準が法定上限に達するとみられている17日を迎えることを織り込み始めることも想定できる。このため今後は一転して、「米長期金利の大幅な上昇を意識し、円債も似た相場展開になる可能性があり、これまでのように安全資産を前提とした積極的な積み増しは、控えられるのではないか」(別の国内証券)と懸念する声も出始めている。 (伊藤 武文 編集;田巻 一彦
日銀の10月経済月報、景気判断「回復」を維持 2013年 10月 7日 15:12 JST [東京 7日 ロイター] - 日銀は7日、10月の金融経済月報を公表し、景気の現状について「緩やかに回復している」とし、判断を据え置いた。 設備投資の判断を「企業収益が改善するなかで、持ち直している」に上方修正。海外経済については、新興国・資源国の一部に弱めの動きがみられるとともに、米財政問題の帰すうに注意が必要などとしたが、海外経済全体として先行きは米国中心に次第に持ち直していくとの見方を示した。 足元の海外経済は「一部に緩慢な動きもみられているが、全体としては徐々に持ち直しに向かっている」との判断を維持。中国を除く新興国・資源国経済の一部に「弱めの動き」がみられており、「金融為替市場の動向とともに、今後の動きを注視していく必要がある」とした。財政協議の難航で先行き不透明感が強まっている米経済については「住宅ローン金利上昇の影響や財政問題の帰すうに注意は必要」と指摘。ただ、基調としては「財政面からの下押し圧力が次第に和らいでいく」とし、海外経済は全体として「米国を中心に、次第に持ち直していく」と見込んでいる。 このため、輸出の先行きは「海外経済の持ち直しなどを背景に、緩やかに増加していく」と展望している。内需については「公共投資や住宅投資は増加傾向を続ける」とし、設備投資も「企業収益が改善を続けるなかで、緩やかな増加基調をたどる」と想定。個人消費は「雇用・所得環境の改善に支えられて、引き続き底堅く推移する」とし、雇用者所得も「経済活動や企業業績の回復がはっきりするにつれて、持ち直しが次第に明確になっていく」とみている。*内容を追加して再送します。 (伊藤純夫 |