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苦境続くシャープとパナが陥った、選択と集中の“罠”〜一極集中を突き進んだ誤算 (Business Journal) 
http://www.asyura2.com/13/hasan81/msg/867.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 8 月 22 日 07:36:00: igsppGRN/E9PQ
 

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130822-00010002-bjournal-bus_all
Business Journal 8月22日(木)7時12分配信


 パナソニック、ソニー、シャープ--。巨大エレクトロニクス企業の苦境が叫ばれて久しいが、その原因のひとつとして「選択と集中の罠」を指摘する声も多い。そこで今回は、その「罠」についてシャープとパナソニックで検証してみよう。

 経営再建中のシャープは2013年6月25日、大阪市北区の大阪府立国際会議場で定時株主総会を開いた。液晶パネル、テレビ事業の不振が響き、13年3月期連結決算の最終損益は5453億円と2期連続の赤字(12年同期は3760億円の赤字)を計上した。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業との資本提携が事実上、白紙となったこともあって、株主から厳しい質問が相次いだ。

 株主総会に先立って決めた人事では、副社長の高橋興三が社長に昇格した。12年に社長に就任したばかりの奥田隆司は、代表権のない会長に就くものの、取締役ではなくなる。前社長で代表権のない会長の片山幹雄はフェロー(技術顧問)として残った。相談役の町田勝彦は無報酬の特別顧問だが、シャープを離れたわけではない。

 株主総会では、主力銀行のみずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)と三菱東京UFJ銀行から一人ずつ取締役を受け入れる議案を可決した。シャープは事実上、銀行管理会社になったわけだ。

 総会では、相談役の町田が特別顧問にとどまることに対して、株主から「大阪商工会議所の副会頭を続けるために肩書がいるという理由で特別顧問として残ったという説明だが、町田氏は倒産の危機に追い込んだ(最高)責任者だ」との強い批判の声が上がった。別の株主は「液晶で失敗するのは素人でもわかります」と突き放した。

 批判の矢面に立たされた元社長の町田が陥ったのが「選択と集中」という名の罠だった。

●オンリーワン経営

 町田勝彦は『オンリーワンは創意である』(文春新書)を著している。部門ごとの壁を取り払い、技術を融合させて液晶テレビ、カメラ付き携帯電話など、それまでにない「オンリーワン」の商品を生み出すまでの体験を綴った本書は、「選択と集中」の実践論として読まれた。

 1998年6月、町田はシャープの4代目社長に就任した。99年1月の年頭の挨拶で、液晶に代表される独自技術でキラリと光る「オンリーワン企業」になろうと呼びかけた。そして、「国内で販売するテレビを、05年までにブラウン管から液晶に置き換える」と宣言した。

 他社と違う特徴のある商品で安定した収益を目指すという、小が大と戦う戦略だ。町田は事業の「選択と集中」を徹底した。当時、液晶事業は規模が小さく赤字だったが、液晶は世界の最先端の技術であり、シェアではトップクラスだった。

「液晶テレビ宣言」は当初、「できるわけがない」「夢物語だ」と社内の大半は否定的だった。ところが、町田の戦略は的中した。00年、液晶テレビ「アクオス」はテレビCMに女優の吉永小百合を起用して人気を博した。「アクオス」は瞬く間に国内のシェアで首位を獲得した。ブラウン管テレビから液晶テレビへの置き換えは目標の05年より早く実現した。かつて「関西の三流メーカー」といわれていたシャープはソニー、パナソニックと共に“テレビ御三家”と並び称されるまでになった。

 液晶テレビの大成功で、町田は積極的に設備投資を行った。その象徴が、04年1月に稼動した亀山第一工場(三重県亀山市)である。産地名をブランド化した「世界の亀山ブランド」は、日本のモノづくりのモデルケースとなった。経済メディアは町田を時代の寵児ともてはやした。

 他社にないものをつくれというかけ声だけで、素晴らしい商品ができるわけではない。それを可能にしたのは「選択と集中」だった。液晶テレビに特化すると決定してからは、経営資源を徹底的に液晶に注ぎ込んだ。多くの企業はリスクを分散するために複数の分野に投資する。しかし、それでは絶対的に優位な地位を築くことはできない。結果的に、どの事業でも三番手か四番手になる。液晶に集中投資した結果、シャープは「選択と集中」のモデル企業となった。

●一極集中のリスク

 一極集中によるリスクの軽視は、メダルの表と裏のようなものだ。今になって「液晶に全面的に依存する一本足打法が仇になった」と声高にいわれているが、シャープが飛ぶ鳥を落とす勢いだった全盛期にも、一極集中のリスクを指摘するアナリストはかなりいた。テレビのような家電は、頻繁に買い替えるものではない。需要増の後に反動がくるのは、これまでも繰り返されてきたことだ。

 液晶パネルからテレビまで一貫生産する戦略が当たり、業績は急上昇。08年3月期には過去最高となる売上高3兆4177億円、当期純利益1019億円を計上した。だが、08年秋のリーマン・ショックで翌09年同期は1258億円の巨額赤字に転落した。

 ところが町田は急ブレーキを踏むどころか、身の丈を超えた拡大路線に突き進む。町田の後任として社長に就いた片山幹雄も、町田が敷いた「オンリーワン」路線を踏襲した。

 シャープは09年10月、世界最大の液晶パネル工場である堺工場(大阪府堺市)を稼働させた。関連会社を含めた総投資額は1兆円に上った。11年秋以降、堺工場は稼働率5割の低空飛行が続き、これが命取りとなった。

「液晶のシャープ」。短期間でトップブランドに駆け上がった成功体験が、あまりにも大きすぎた。本来、「選択と集中」というのは、利益がピークに差しかかる頃には、次の商品の準備ができていなければならない。ずっと集中を続けていたらライバルメーカーに並ばれ、儲からなくなるのは自明のことだ。どんなヒット商品でも必ず寿命が尽きる。いつまでも「オンリーワン」商品であり続けることはできない。

●パナソニックの創造と破壊

「選択と集中」の罠にはまったのは、シャープだけではない。

 00年6月、松下電器産業(現パナソニック)の6代目社長に就任した中村邦夫のキャッチフレーズは「破壊と創造」だった。“経営の神様”松下幸之助が築き上げたビジネスモデルの破壊を目指した。

 幸之助モデルは大量生産・大量消費を前提とするビジネスモデルである。しかし、バブルが崩壊した90年代に入り、戦後日本の成功モデルと称賛された幸之助の経営手法は機能不全に陥った。画期的な商品をいち早く投入した者が圧倒的なシェアを握り、市場を支配する独創性の時代になった。“マネシタ電器”では生き残れなくなった。

 中村が下した号令はわかりやすい。「創業理念以外は、すべて破壊してよし」。中村の最初の破壊は、事業部制の解体である。事業部制は大量生産を最も効率的に実現できる最適な組織形態だったが、本社が各事業部から工場を取り上げた。

 独立王国だったグループ会社を次々と子会社にした。幸之助がつくり上げた組織形態は、ことごとく破壊され、今や見る影もない。

 さらに「松下は首を切らない」という神話も破壊した。昭和恐慌に見舞われた時、幸之助が「従業員は家族や。首を切れん」と言って従業員の雇用を守った逸話が日本の終身雇用制の原点である。これを否定し、1万3000人の人員を削減した。

 中村が掲げた「創造」の成果は、プラズマ大画面テレビである。03年、プラズマテレビへの巨額投資を決断した。02年3月期の最終損益が4310億円の巨額赤字に転落した業績は、06年同期に1544億円の黒字へとV字回復を果たした。同年、大坪文雄を後継社長に据え、会長に退いたが発言力は絶大で、中村院政であった。中村改革の総仕上げとして、08年10月1日、松下電器産業はパナソニックに社名を変更した。社名から創業家の「松下」の名前が消えた。

 だが、尼崎第一工場が稼動した05年には、技術者たちはプラズマが液晶に敗れることを確信していた。日立製作所などプラズマ陣営が続々と撤退するなか、パナソニックだけが「プラズマはわれわれの顔だ」と、こだわり続けた。社長の大坪が、最高実力者である中村の鶴の一声で決まったプラズマへの一点集中に異議を申し立てることはなかった。

 リーマン・ショック後の10年に稼動した尼崎第三工場(プラズマパネル)に2100億円を投じた。だが、稼動からわずか1年半後に尼崎第三工場を停止した。プラズマテレビ路線の失敗である。パナソニックもまた、「選択と集中」の罠にはまった。
(文中敬称略)

編集部


 

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コメント
 
01. 2013年8月22日 09:57:41 : nJF6kGWndY

「選択と集中」の罠というより、単純に、新製品開発でも、普及品の製造コストにおいても、海外との競争に敗けただけ

分散してたら、もっと早く潰れていただろう

もっとM&Aで統合を進め、大胆に生産を海外に移すか委託していたら、もう少しマシだったかもしれないが

いずれにせよ、高コスト(高い税や人件費)の国内での生産にこだわっていたら潰れるのは避けられない結果


02. 2013年8月22日 19:58:50 : BDDFeQHT6I
散々持ち上げておいてちょっと赤字になると失敗と責め立てる、本来なら利益が出ている間に新規事業や新製品に資金を集中出来たものを昨今の株主マンセーの風潮で充分な資金が新規開発に回せなかったので既存事業に固執することになったのだ。
株主に配当したって会社にとっては何のメリットもないが、現執行部の地位が安泰ならそれで良いんだろう、今さえ良ければ明日のことは知ったことではない世界。
株主配当は純利益の10%以内とか執行役員の報酬は利益の5%以内とかの規制をしないと産業が食い潰されてしまう。

03. 2013年8月22日 21:09:54 : pyoh87LO1s
市場のニーズを把握できなかった企業のなれのはて。自己陶酔ともいいますね。

04. 2013年8月22日 22:59:18 : OImNJqRbPQ
>高コスト(高い税や人件費)の国内での生産にこだわっていたら潰れるのは避けられない結果

イメージだけではなく具体的に数字で示すべきだね。


05. 2013年8月23日 02:27:27 : 4GxHq9ub7o
アメリカはあくまで多角化を前提にして、
選択と集中を行った。

日本のサラリーマン社長は経営能力がないので、
経営資源にない中小企業が選択せざるを得ないオンリーワン戦略が、
単純に格好いいと思ったのだろう。

ソニーはアメリカの真似して多角化して、
今や生保などの金融商品で生きている金融会社。

経営者の失敗を素直に認識し、認識しなければ認識させて、
失敗を繰り返さないようにしないとダメだな。


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