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[東京 10日 ロイター] - 日本株やドル/円は自律反発したが、上昇基調に回帰したと言えない不安定さを依然として抱えている。注目の5月米雇用統計は強いとも弱いともいえない結果となったことで、各市場で都合よく解釈され、米金融緩和の早期縮小観測はくすぶったままだ。
安倍晋三首相の成長戦略が迫力不足となったことから、アベノミクスへの評価も一服しており、長期投資家は様子見姿勢を崩していない。
<荒れる市場は続く>
5月米雇用統計は、各市場にとって「都合のいい」内容となった。失業率が上昇した半面、非農業部門雇用者数は市場予想を上回り、米雇用環境が「改善している」とも、「していない」とも解釈できる内容だ。7日の米株市場では、しばらく緩和縮小はないと受け止め、米ダウ.DJIは200ドル超上昇したが、米債市場では反対に早期緩和縮小の可能性が強まったと解釈し、米金利が上昇した。ドル/円は失業率上昇を材料に一時94円まで下落した後、一転して非農業部門雇用者数の上振れを評価して、週明け10日の東京市場では98円台まで戻してきている。
テクニカル的に短期的な売られ過ぎサインも出ていた日本株は、米株高と円安を好感し、買い戻しが先行。日経平均.N225は600円を超える今年最大の上昇となった。ただ、買いの主体はヘッジファンドなど短期筋のショートカバーが中心とみられている。
東証1部売買代金は2兆5760億円と約1カ月ぶりに3兆円大台を割り込むなど、東証1部全体の97%の銘柄が上昇した割に盛り上がりは乏しかった。市場では「国内勢、海外勢ともフローは細い。買い戻しが一巡すれば、自律反発も終わってしまうかもしれない」(外資系証券トレーダー)との慎重な声もあった。
マーケットが全体的に慎重なのは、米「出口」観測が依然くすぶっているためだ。5月米雇用統計では、労働市場の先行指標である人材派遣業の雇用が8カ月連続で増加するなど、「出口」観測を強めなかったものの、米経済が上向きのモメンタムを維持していることを示した。金融相場を支える米量的緩和第3弾(QE3)の縮小時期が鮮明には見えないまでも、着実に近づいているのは確か。市場の流動性縮小への警戒感が残るなか、ボラティリティの高い相場が続く可能性が大きい。
シティグループ証券・チーフエコノミストの村嶋帰一氏は5月米雇用統計について「弱かったのは生産や建設部門だったが、景気がソフトパッチを脱していけば、雇用の伸びは高まり、QE3減額に向けた環境が徐々に整うと予想される。ただ、出口観測が強まれば、また市場は荒れるだろう。円安が進む可能性もあるが、日本株が流動性縮小と円安のどちらに強く影響されるか、まだ読みにくい」と話す。
日経平均ボラティリティ指数は、一時43ポイント台まで上昇。荒れた展開を嫌気して多くの長期投資家は様子見のままだ。「14日のメジャーSQ(特別清算指数)算出を控え、取引時間中の荒い値動きはまだ、覚悟しておくべきだろう。今の先物の建玉はボラティリティが上昇する前に積み上がったものだ。高いボラティリティに応じた建玉がそろうまでには、もう少し時間がかかるとみている」と大和証券・チーフテクニカルアナリストの木野内栄治氏は指摘する。
<アベノミクスへの期待後退させる海外勢>
日本株については、流動性縮小懸念だけでなく、アベノミクスへの期待後退も海外勢を慎重にさせている理由だ。安倍首相の「成長戦略」は14日の正式決定まで時間はあるものの、法人税減税などが見送られる見通しで、失望している海外投資家も少なくない。
前週、アジアの投資家を訪問してきた外資系証券エコノミストによると、現地ではアベノミクスへの期待が低下していたという。「日銀は長期金利をコントロールできておらず、政府の成長戦略もいまいちだった。日本株急落のなかでの訪問だったこともあるだろうが、海外勢の間ではアベノミクスはうまくいっていないのではないかとの疑問が出ているようだ」と話す。
安倍首相は9日午前、NHKの番組で、秋に第2弾の成長戦略に取り組み、思い切った投資減税を行う考えを示した。市場では「成長戦略第1弾の評判がよくなかったので、すぐさま追加したのではないか。対応が素早いことは評価できるが、自信のなさもみえる」(国内証券)との指摘も出ている。
設備投資が活発化すれば、機械メーカーなどがメリットを受けるとみられるが、10日の市場でファナック(6954.T: 株価, ニュース, レポート)など機械株の動きはそれほど目立っていない。
大和証券の木野内氏は、投資減税について「生産設備に限らないとすべきだ。現在の日本経済は立ち上がり初期であり、生産設備を拡大できるほどの余力はない。生産設備に限らなければ、例えば、ウィンドウズXPからの乗り換えを促進させることができる。これまでの長い景気低迷で遅れていた日本のIT環境の改善につながり、生産性をアップできる」と指摘している。
(伊賀 大記 編集:田巻 一彦)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE95906D20130610?sp=true
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