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プーチンのNATO政策〜欧米的な価値観からの「お説教」(内政干渉)を手控えさせたいと/小泉悠
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投稿者 仁王像 日時 2019 年 2 月 16 日 12:17:37: jdZgmZ21Prm8E kG2JpJGc
 

(回答先: 小泉悠著「プーチンの国家戦略〜岐路に立つ”強国”ロシア」から 投稿者 仁王像 日時 2019 年 2 月 15 日 20:02:06)

プーチンのNATO政策〜欧米的な価値観からの「お説教」(内政干渉)を手控えさせたいと/小泉悠

第1章 プーチンのNATO政策
≪抑止力強化のための戦略≫
 そもそもプーチン大統領は、過大な軍事支出には総じて批判的であった。これはブレジネフ政権期のソ連が米国との軍拡競争で経済を疲弊させた歴史を念頭に置いたものとみられる。このため、プーチン大統領はこれまでにも「新たな軍拡競争を始めることはない」そのような体力ではない)と繰り返し述べてきたほか、グルジア戦争前までは国防費の対GDP比を2%台に抑え込んできた経緯がある。
 …軍拡によって国家経済を潰しては本末転倒である、というプーチンの本来の思想に立ち返れば、国防費は再び抑制傾向へと回帰していくのかもしれない。もちろん、軍事力の近代化は一定のペースで続いていくであろうし、…。

 (中略)

≪結び≫
 ロシアを理解するのは難しい。…
 2014年以降、ロシアは軍事力の行使を含めた強硬な対外姿勢を示すようになったきた。冷戦を知る時代の人々には、これがかつてのソ連の復活のようにも映るであろう。ロシアの軍事力は米国を凌いだのだとか、新しい冷戦が始まったのだという言説も目にする。
 だが、実際は決してそのようなものではない。現在のロシアは総合的な国力でも、軍事力でも、米国と正面から対峙しうるような能力はもはやない。
 2000年代以降の経済成長によって劇的な回復を見せたとはいえ、現在のロシアはソ連に比べてはるかに「弱い」国であり、ロシアの指導部はそのことに自覚的である。そのような制約の中でロシアが何をしようとしているのかを見極めなければ、安易な過大評価やロシア脅威論に陥ることは避けられないだろう。
 …

 ロシアは「ヤルタ2」を求めているのだという見方がある。
 1945年の会談で、ソ連は東欧が自らの勢力圏であることを米英に認めさせた。このアナロジーに従えば、ロシアは旧ソ連諸国へのNATOの不拡大、東欧におけるNATOの軍事プレゼンスの抑制、中東などの権威主義的体制の温存などを米国に認めさせようとしているということになる。あるいは、さまざまな人種・宗教を包含する巨大な国家を統治していく上での自らの権威主義的体制に対して、欧米的な価値観からの「お説教」(内政干渉)を手控えさせたいということにもなろう。
 ロシアの目論見がそのようであったとして、おそらく欧州においてある程度そのようなものが成立する可能性はたしかにある。米国の圧倒的優位が後退し、欧州でも内部分裂状況が深刻になりつつある中で、ロシアという巨大国家の自己主張を押しとどめることはもはや難しい。現在の欧州における軍事的緊張はいずれ一定のレベルにまで低下し、米露は対立し続けるだろうが、欧露間には何らかの協調が復活するだろう、という見方はロシアの内外でも見られる。

【出展】同前
 

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