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エマニュエル・トッド「戦闘的無神論の拡大がイスラム恐怖症の拡大につながり」というのが目新しい
http://www.asyura2.com/13/dispute31/msg/386.html
投稿者 仁王像 日時 2016 年 7 月 28 日 20:07:37: jdZgmZ21Prm8E kG2JpJGc
 

(回答先: 「シャルリとは誰か?」の仏人著者が棲息できている一断面に、まだ仏に栄光の残り香があると褒めてやりたい 投稿者 仁王像 日時 2016 年 7 月 28 日 20:02:14)

 「戦闘的無神論」という聞き慣れない用語がサラッと出てくるが、仏では既にかなりの勢力を保持しているらしい。筆者は、これが悪いという認識で引用したのではない。
 このような勢力が既にあるらしいことに非常な興味を覚えたからだ(阿修羅にもおぼしき人物が見受けられる)。何故、仏に誕生したのか(あるいはEU各国にもあるのか)、今後どう進展していくのかというところに関心がある。世界史の中の新しい現象ではないのか。

 また、仏にはイスラム・アラブ恐怖症が蔓延していることが、随処で言及されている。(モンゴメリー・ワットが指摘したことが、何世紀も経てなお現代にも尾を引いているということなのか)

第2章 シャリル
≪カトリシズム、イスラム恐怖症、反ユダヤ主義≫
 フランス社会を特徴づける宗教的混乱の中には、次の四つの基本的要素が見られる。
@無信仰の一般化
A被支配的状況にあるマイノリティの宗教であるイスラム教への敵意
B被支配的状況にあるそのグループの内部での反ユダヤ主義の台頭
Cその反ユダヤ主義台頭に対する、支配的世俗社会の総体的無関心
 このような文脈においては、次のことが社会学的に、政治的に、人間的に明白だ。すなわち、イスラム教をフランス社会の中心的問題として指定すれば、フランス人のマジョリティにとってではなく、ユダヤ系の者にとって、身の危険が増大するのが必至であるということ。
 戦闘的無神論の拡大がイスラム恐怖症の拡大につながり、イスラム恐怖症の拡大が反ユダヤ主義の拡大につながるというこの連鎖は、偶発的なものと看做されるべきだろうか。

第5章 イスラム教のフランス人たち
≪若者たちの圧殺とジハード戦士の製造≫
 フランスがーイギリス、ベルギー、デンマークなどど同様にー「イスラム国」のためのジハード戦士を製造しているやり方を分析する前に、…何か月もの間、外務大臣や『ル・モンド』その他は、シリアの現体制に対する軍事介入をフランス政府に促した。当時わが国の政府が鳴り物入りで支持した勢力が結局、「イスラム国」を生み出してしまったのだ。
 すべての先進国社会に共通する特徴の一つは、若者たちが経済的および社会的に圧し潰されていることだ。グローバリゼーションが、そして何よりも自由貿易が役割を果たしているわけである。まったくオーソドックスな理論でもって、そのことの説明はつく。この問題の発生がジハード主義の登場にどれほど先だっていたかを示すために、自著『経済幻想』の序文を…(以下、略)

【出典】前掲書  

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コメント
 
1. 晴れ間[1162] kLCC6orU 2016年7月28日 22:56:52 : xni5yVaf3k : Fxfse0RTtHo[284]

> B被支配的状況にあるそのグループの内部での反ユダヤ主義の台頭
⇒ これはね、パレスティナ問題と関連しています。パレスティナ人への共感や支援が、イスラエルへの敵意と「反ユダヤ主義」を産み出しています。
特に、インティファダを契機にしてるかな。
教育程度の低い「大衆」は愚かですからね。真の原因を見ない。阿修羅の陰謀論者たちも同じ。

> C [...] ユダヤ系の者にとって、身の危険が増大するのが必至であるということ [...]
⇒ これは現実問題です。ユダヤ人を狙ったテロが頻発しています。「ユダヤ人」というだけで殺されるのは「恐怖」ですよ。
シャルリエブド事件の際に「イペール・カシェール(ユダヤ食料品スーパー)」が狙われたのもその一例。(他にも多発。ベルギーでも頻発。)
フランスには東欧のユダヤ人差別を逃れてきたユダヤ人が多く住んでいますが、近年は「反ユダヤ主義」の高まりに身の危険を感じて、毎年1万人近くのユダヤ人がイスラエルに移住しています。
阿修羅の陰謀論者も声高に「反ユダヤ主義」を広めていますから、この動きを後押ししていると言えます。

トッド自身、東欧出身のユダヤ系。私はこの人には、あまり(ポジティヴな意味で)「フランス人らしさ」を感じないな。
コミュノタリズムではなく、ユニウァーサリズムだからこそ、フランスは東欧のユダヤ人も多く受け入れたのですよ。


2. 晴れ間[1163] kLCC6orU 2016年7月28日 23:44:53 : xni5yVaf3k : Fxfse0RTtHo[285]
> 「戦闘的無神論」 [...]
> このような勢力が [...] 何故、仏に誕生したのか [...]
> 世界史の中の新しい現象ではないのか。

ルネサンスから啓蒙思想、フランス革命と辿っていけば、必然的にそうなります。
「蒙昧」を排して「理性」を重視するということは、「神の否定」に至りますからね。
デカルト的な論理的思考が重視される国です。大真面目に思想を突き詰めるんですよ。
カトリック教会が王権という「中世的権力」と結びついていたことも大きいです。これを倒さねば、民主主義の大きな第一歩」フランス革命は成し遂げられなかったのです。「
「世界史の中の新しい現象」かどうかは知らないけれど、「こんなの、当然でしょう?」というのが、私の感想。
ウクライナ出身の急進的フェミニズムの団体 FEMEN (フェメン) が、パリを根拠地にして活動しています。その中心人物たちは、ウクライナでキリスト教の十字架を打ち倒したりしたので、フランスに亡命を強いられたのです。フランスは「涜神無罪」の国。
https://sanscompromisfeministeprogressiste.files.wordpress.com/2015/01/10834948_442431212574785_5493369711656655657_o.png
https://carolinefourest.files.wordpress.com/2013/12/inna-ok.png
https://filoulaterre.files.wordpress.com/2015/02/2278104.jpg
この人はフランスの切手のモデルになったと言われている人ですが、画家の方はその急進性に怖れをなして否定しています。なにしろ「これからは...は皆、手紙を送るのに私の尻を舐めなきゃいけないのよ」なんて、平気で公言する人ですから。

「自由」になるには、まず「思考」を自由にすること。自分を解き放つこと。


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