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(回答先: 欧州の白人は、将来、ヨーロッパ全体がイスラーム化するのではないかと、かなり本気で心配している/島田裕巳 投稿者 仁王像 日時 2015 年 12 月 09 日 20:06:35)
第3章 まぜカリフ制が必要なのか
≪カリフ制不在の90年≫
島田 まず、なぜ長きにわたってイスラーム世界にカリフが不在だったのか。
中田 やはりヨーロッパの帝国主義によって多くのイスラーム世界が植民地化されていった20世紀初頭に遡る必要がある。オスマン帝国は18世紀以降、徐々に領土を削られ、1922年に滅亡。そして世俗化政策をとり、西洋型の国民国家へと変質していく。北アフリカを見ても、いずれも植民地化された。ヨーロッパによるイスラーム世界の植民地化は、ムスリムに対する経済的収奪、政治的抑圧にとどまらず、イスラーム自体の抹殺政策に及ぶこともあった。
たとえばアルジェリアを支配したフランスは、首都最大のモスクを教会に転用すると発表した。当然ムスリムは抵抗して、モスクに立てこもった。フランスは4000人のムスリムを全員焼き殺し、虐殺されたムスリムの遺児たちは、キリスト教会に奪われた。
こうしてイスラーム世界は、宗教、教育、文化、政治、経済といった総合的なシステムを破壊し尽くされた。これらの国々は第二次大戦後、独立して独立していくつもの国家ができてしまった。カリフ制というのは、本来、一つのイスラームでなければいけない。カリフ制が成立する基盤が、植民地化によって壊されてしまった。
≪「アラブの春」の功罪≫
島田 現在のイスラーム圏の政治支配層から見たら、カリフ制で一つのイスラーム世界ができあがると、自分たちの利権を失うことになる。
中田 そうです。だから、イスラーム世界を弾圧していく。実際、数年前まではアラブの世界でカリフ制を唱えることはタブーだった。
しかし、「アラブの春」は、誰一人として予想もしなかったタイミングで民衆のなかから突発的に起きたのです。
島田 アラブの春は、意図せざる結果、イスラーム国(IS)の台頭をする下地を準備することになった。
中田 そうなんです。
島田 クライッシュ族はムハンマドの部族だが、バグダディーがその出であることは確かですか。
中田 アラブ、とくにイラクは部族社会なので、嘘のつきようがない。」部族の全員が彼のことを知っているわけです。(だが)バグダディーが、全ムスリムからカリフとして認められる可能性は非常に低いと思う。
(一方)カリフ制という考え方がここまで浸透してきただけでも物凄い進歩です。その意味では、イスラーム世界はカリフ制への移行に向かって動いているということだと思う。
イスラームのカリフ制に限らず、国民国家を超えていく動きというのは、世界的な流れとしてあるんじゃないか。EUという試みもある。それまでヨーロッパ人同士で散々殺し合いをしてきた。その反省でEUができた。
【出典】同前
- 何と偉大な世界史大変動の時代…「イスラーム資本主義」でなく、「イスラーム風(式)市場経済の政治・経済」ではないか〜 仁王像 2015/12/21 20:03:36
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- カリフ制の再興は、世界史的事件であることを理解するのは容易なことではない/中田 孝 仁王像 2015/12/18 20:02:19
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