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http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52330
終わりなきデスゲームを乗り切るために
海猫沢 めろん 作家
「保育園落ちた、日本死ね」が流行語になったのも記憶に新しい今年、ぼくは一本の育児小説を刊行した。
『キッズファイヤー・ドットコム』
ホストが捨て子を拾って、世間に非難されながらもクラウドファンディングで子育てする——そんな内容の小説である。
編集者から「育児小説を」と依頼されてから実に6年が経っていた。
6年のあいだなにをしていたのか?
子育てである。
これまでそのことをあまり表立っては口にしていなかったのだが、実際大変すぎてネタにしているヒマもなかったのである。
日本の子育てはデスゲームです
今の日本で子育てすることの大変さは、連日いろいろなメディアが伝えているが、こればかりは体験しないとわからない部分が多い。
それに加え、男女・経済・地域によってそれぞれ、あまりに状況がちがいすぎるため、誰かが何か意見を言うたびに炎上しているのを見かける。
以前は他人事だったが、今ならわかる……はっきり言って、日本の子育ては罰ゲームを超えたデスゲームのレベルである。
ぼくの場合、ひとりで面倒を見ている時期がデスゲームのピークだった。保活に戸惑い、なにもかもわからないまま自宅で面倒を見た1年目。2年目にパートナーが体調を崩し、ぼくのワンオペとなる。ぎりぎりなんとか保育園に入ることができたものの、そこは区外の認証園(私立みたいなもの)だった。
毎朝起きて子供を抱っこひもでかかえ、通勤ラッシュの地下鉄に乗り込み、圧死の危機を感じつつ自宅から30分かけて園に子供を連れて行く毎日……眠れない、働けない、お金がない、時間がない。
地獄だった。
〔PHOTO〕iStock
子供を育ててわかったのは、東京で育児することの異常なほどの困難さだ。
とにかく日本の子育てで大変なのは、とくに都内に限って言えば保育園問題がやはり大きい。専業主婦が家で子供の面倒を見るケースであればなんとかなるが、共働きが多い今の時代それはムリだ。となると必然的にやはり保育園が必要になってくるのだが……それ以外の選択肢がないのが問題だ。
あとは経済的な問題もある。
出産育児一時金42万円、児童手当が毎月15000円、これが子供を生んだあともらえる助成金だ。保険料や予防接種の料金は無料だが、あとはとくに補助はない。普通に考えると別に悪くない手当だが……しかし、東京は家賃も物価も高い。
そのうえ今は非正規雇用の人も多く、彼らの年収は250万くらい、毎月20万前後の稼ぎだ。東京で、家族3人で暮らせるまともな家に住もうとすれば家賃は15万くらいはかかってしまうとして……毎月20万の稼ぎではギリギリ、共働きでなんとかなるくらいのレベルだ。
さらに問題は非正規はいつ切られるかわからない。そんな状況で子育てできるだろうか。
年収200万のシングルが子供を育てられる仕組みを作ってくれれば、なんとか少子化に歯止めがかかるだろうが……現状を見るにそれは難しい。
逆に、年収の高いキャリアの夫婦が楽かというと、そうでもない。彼らは年収の段階でまず認可園の審査からはじかれるため、結局は女性が仕事を断念するか、経済的に負担の大きい認証園に入るしかない。どちらにせよキツい。
普段は社会問題に興味がないぼくだが、さすがにこの状況を目の当たりにしてびっくりした。
もはや呆れて言葉が出なかったが、ものを書くのが仕事なのでそうも言っていられない。というわけで、このような実体験を経て生まれたのが本書である。
クラウドファンディングで子育て??
小説のなかでキーワードになる「クラウドファンディング」というのは、あるプロジェクトを立ち上げ、それに共感する出資者を集めて寄付を募るシステムだが、この仕組を使って子育てができないだろうか——
当時はそんなことを考えていた。もし、日本中の老人が貧しい家庭に産まれた赤ちゃんに寄付をしたなら、現在の経済・世代間格差が解消されるかも知れない。
読者の一部から、「クラウドファンディングで子育てするという発想が荒唐無稽では……」と指摘されたこともあるが、実はこのアイデアは2013年に実現している。
〔PHOTO〕iStock
借金のある妊婦がツイッターで窮状を訴えたところ、起業家の家入一真がそれをサポート。口座を晒して募金を募ることを提案。賛否の意見があふれて炎上騒ぎになったものの、彼女の口座には、実際にいろいろな人がお金を振り込んだ(現在もアカウントはあるが更新されていない)。
この事件を知ったのは、ぼくが小説を書いた後だった。事件のことを知っても「まあ、あるだろうな」とあまり驚かなかった。現在の育児環境を知れば知るほど、そのくらいのことはありえるだろうと思った。
様々な人が声を上げているにもかかわらず、一向に根本的解決を見ないこの状況……。
社会問題は、たくさんの人間がその大変さに心から共感できてこそ改善されていく。
ぼくの小説がその一助となれば幸いである。
……と、きれいに終わってもいいのだが、ぼくの小説はそんな深刻ぶってはおらず、基本的にはコメディである。少しは気分が明るくなる話をしよう。
そんなわけで、ここからは子育てをする人への使えるアドバイスなどを書き記しておきたい。
男が出産前に買うべき三種の神器SSD
子育ての先人たるぼくからなにか有益なアドバイスができるとしたら、出産前に三種の神器SSDを買っておけ! ということだ。
SSDとはなにか?
洗濯乾燥機(SENTAKU KANSO KI)
・食器洗い機(SHOKKI ARAI KI)
・電動自転車(DENDO JITENSHA)
この3つである。
所帯じみていて申し訳ないが、マジでこれだけで戦力が違ってくる。
保育園に入れようが入れまいが、離婚しようがしまいが、日々の家事は必ずやるはめになる。これが軽減されるだけでもメンタルは非常に楽になる。
絶対買え。今すぐ買え。中古でいいから買え。死ぬぞ。
まあ死ぬは大げさにしても、これがあるとないでは家事の負担がまったくちがう。
まず洗濯乾燥機だが、子供が産まれると、これまでのように洗濯してから干すなどとまどろっこしいことはやっていられない。タオル消費が半端ない。片っ端から洗って乾燥機にかけよう。
つぎに食洗機。うちでは食事はぼくが担当なので実感するが……。子供がいると食器を洗っているヒマはない。洗えるのはほ乳瓶だけだと思っていい。食洗機なら高温洗浄でバイキンも殺せるので安心だ。
(注※ちなみに食洗機はヤフオクで安く買えるが、とりつけができない機種も多い。そんなときのために給水コンセントというものがあり、これはAmazonで1万円くらいで購入可能。ぼくは工務店に頼んで1万円で工事してもらったので、だいたい全部あわせて3万円くらいで食洗機を導入した。シンクに穴をあけるので大家さんに相談すべし)
最後に、大本命である電動自転車だが、これだけは死んでも買うべきだ。10万くらいするが、分割払いにしてでも買うべき。とくに子供が3歳くらいになると必須。ウチは近所が坂だらけだったので無茶苦茶重宝した。これがあれば2駅くらい先の保育園なら余裕でいける。
ちなみにぼくは、本郷あたりから子供をのせて銀座や新宿までよく移動していた。マジで電動自転車は神の乗り物。電動自転車のCMのオファーが来たら一生無料でやるくらい感謝している。
このSSDだが、ガチで買えば30万円……中古でそろえても10万円くらいしてしまう。クソ貧乏なぼくには正直めっちゃきつかったので、4年くらいかけて順次導入していった。
しかし、買うたびに「なぜもっと早く買わなかったのか……」と思ったので、これを読んでいる方々は最初から導入を検討してほしい。
あと日本はまずこのSSDを家庭に無料配布するところからはじめていただきたい。保育園がつくれないんだったら、せめて日常が楽になるインフラを整えてほしい。
ついでにもう一つ、男子であるぼくから世の中の父親に言っておきたいことがある。
(→海猫沢めろんさんが提案する「日本の子育てを救う最終手段」とは? つづきはこちら gendai.ismedia.jp/articles/-/52363)
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