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独歩さんの「消費税は、税の累積の排除という観点から、売上税でもなく法人税でもありません」
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へのレスポンスです。
スレッドがだいぶ埋没したので、新しくスレッドを立てさせていただきます。
あっしらはしつこいなと思われている人も多いと思いますが、そのような方は、スルーしていただければと思っています。
後日、消費税の内実についてはまとめのかたちで投稿する予定です。
● 付加価値と消費は別概念
“付加価値”と“消費”は概念としてまったく別のものです。
そうでありながら、『諸外国の付加価値税2008年度版』の著者鎌倉氏が、付加価値税の特質として、「消費に課される間接税であり、最終的には消費者が負担すること」と書いているのは、政治的な理由(ゴマカシ)であっても、研究者や学者として失格だと思います。
※『諸外国の付加価値税2008年度版』(http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/document/2008/200804.pdf#search='
前々から何度も書いていますが、消費税の負担は、「人々の消費行動を通じて、最終的に消費者に転嫁できればいい」という“願望”はあるとしても、それが、消費税が内包する課税論理を規定しているわけではありません。
“願望”なのか“説得材料(ダマシ)なのかはともかく、税の内実と違う定義や説明をすることは、政治家や詐欺師はともかく、研究者や学者なら許されないことだと考えています。
付加価値は、減耗はあっても消費されない、機械設備や道路・橋の建設など固定資本形成でも生じるものです。
付加価値とは、人々の供給活動力を金額で表したものなのです。
そのような「付加価値に課される税」は、いかなる詭弁を弄そうとも、「消費に課される税」とすり替えることなぞできません。
独歩さんは、機械設備など固定資本形成について、「消費税の課税標準はあくまでも売上にかかわるものですから、消費というものも、売上者観点から定義するべきものでしょう。
例にあげられた機械設備においては、その販売者から見れば、機械設備が在庫からの消失に他なりません。その機械設備がその後、大切に使われようが、すぐに分解されようが、鉄くずとして処分されようが、販売者からは基本関係のないことです」、「購入した企業も、その販売者の在庫からの消失に対して支払った費用にかかる税金ですから、一括仕入控除に無理があるともおもわれません」と書かれています。
まず、私自身は、消費税は付加価値税ということで、設備投資の一括仕入控除を認めています。
しかし、消費税は、国家が課税論理を構築している税であり、販売者の思いや購入者の特別な処理が意味を持つわけでありません。
税は、消費税の転嫁ができない事業者にも消費税が発生するように、個々の思いや事情を超越したものです。
転嫁の観点から見れば、設備投資の「仕入にかかわる消費税額」は、すぐに転嫁されず、長い年月をかけて転嫁されています。(設備投資がばったり止まったときに、この意味がわかってきます)
機械設備の本体部分が長い年月をかけて償却されるのと同じ理屈で、一気に価格に上乗せすれば競争力を失うことになるからです。
別にそうすべきというのではありませんが、売上税ではなく、消費税であるなら、機械設備の使用ないし減耗に応じて、売上から“仕入控除”すべきとも言えるのです。
● 消費税(付加価値税)はなぜ仕入控除(前段階控除)があるのか
独歩さんがこだわられている“税の累積を排除するため”という言葉も、付加価値への課税であるがゆえにふさわしい言葉と言えます。
付加価値に対する課税であれば、第三者が生産した付加価値を取り除く過程は当然のように必要となります。
独歩さんは、「本当に“税の累積を排除するため”ということを想定したものであるのなら、それは、“最終的には消費者が負担する”ということを意識した結果生ずるものであると類推できると思うに至りました」と説明し、「最終消費者負担を意識していなければ、そもそも税の累積のことなどあまり重要ではない」とも書かれています。
まず、勘違いなのかもしれませんが、売上税ではなく消費税(付加価値税)で最終消費者が消費税を負担するとお考えなら、最終消費者は、輸入+製造+流通と各段階で累積された消費税をすべて負担していると考えるべきです。
ここ数回のやり取りで何度か疑義を呈していますが、“税の累積排除”や仕入(税額)控除は、最終消費者ではなく、消費税を負担し納付する各段階の事業者にとってこそ意味があるものです。
最終消費者は、各段階の消費税が累積された税額を転嫁されようとする存在なのです。
独歩さんが実例的に説明されている<「税の累積」についての説明と比較>も、何を説明したいのかよくわかりません。
【引用】
「例えば仕入100万円のものを200万円で売った場合、単純に100万円が儲けとなります。
200万円−100万円=100万円(儲け)
そこに消費税分(5%)を転嫁させて計算すると、
210万円−105万円=105万円−5万円(消費税)=100万円(儲け)
そして、この商品(税込210万円)を仕入れて税込315万円で販売したとすると、
315万円−210万円=105万円−5万円(消費税)=100万円(儲け)
となり、企業の儲けは同じで、常に課税された消費税分について転嫁した場合、最終消費者の負担は、消費税が課税される前の本来の値段300万円に対して5%の消費税負担となります。」
【コメント】
“税の累積を排除するため”に関連した説明だと思われます。少し整理させていただくと、
事業者A:売上315万円(消費税額5万円:「売上にかかわる消費税額15万円−仕入にかかわる消費税額10万円」)
事業者B:売上210万円(消費税額5万円:「売上にかかわる消費税額10万円−仕入にかかわる消費税額5万円」)
事業者C:売上105万円(消費税額5万円:「売上にかかわる消費税額5万円−仕入にかかわる消費税0」)
という取引構造になります。
これを見れば、消費者が、“税の累積を排除”された消費税ではなく、3つの事業者が負担する消費税が累積された15万円を転嫁されているとわかるはずです。
“税の累積”という用語であるなら、このような話になるはずです。
多段階売上税ではなく、消費税=付加価値税ですから、この仕組みこそが“税の累積”です。
※ なお、消費税における仕入は仕入原価だけではないので、あくまでも、それがないという仮構での話です。
【引用】
「これはどれだけ中間に業者がいたとしても、同じことで税の累積はありません。」
【コメント】
売上税はそう言えますが、消費税(付加価値税)については、中間業者がいればいるほど、供給活動に関わる人が増える=付加価値が増えるという構造から、消費税の累積も増大すると考えるのが素直な見方です。
むろん、最終小売り段階までのマージン総額を生産流通関与者がどう分け合うかという話になるため、中間業者が増えれば増えるほど1事業者当たりのマージンは減少することになります。
そして、付加価値税である消費税は、マージン総額を減らすものですから、中間業者を“不要な存在”と思わせるようになります。
付加価値を吸い上げる消費税制度が、不況と相俟って、多くの卸売り事業者を廃業に追いやったと言えます。
さらに、卸売り(問屋)機能が弱体化してきたことで、家族経営的商店の経営(品揃えや仕入価格など)も厳しくなっていきました。
● 消費税と法人税
【引用】
「さて法人税ですが、法人税も消費税と同じように、仕入れ部分(損金)の売上からの相殺はありますが、その仕入れ(損金)が売上より多い場合に対しての損金還付はありません。もちろん損金を次年度以降に繰越して売上と相殺することはできますが、その期限が設けられていることと、また会社を解散した場合などは、その繰越分を現金還付などはしてもらえません。“儲け”に課税することを重視した法人税としては、あくまでも損金繰越については“おまけ”的意味あいの強いものだと思われます。」
【コメント】
消費税還付の99%は、“詐欺”による還付ですから、消費税還付の存在を持ち出して、法人税と比較することはできません。
また、法人税の損失繰り越し制度も、あくまでも青色申告制度に伴う特例優遇措置であり、法人税の本質的性格を表すものではありません。
付加価値税である消費税は、本来、事業活動が継続できている事業者に還付をすることなぞありえないのです。
付加価値税であることをきちんと認識しないからこそ、「輸出戻し税」が正当なものであるかのように“錯覚”してしまうと思っています。
独歩さんは、「販売会社が認定の仕入金額の多寡によりその売上部分の消費税を納付していないというのは、その仕入金額を相殺したときに既に支払った仕入金額が多かったので支払い分がなかった(返納してもらった)というだけの話です」とも書かれていますが、それも“錯覚”だと思います。
付加価値が課税ベースであれば、給与が付加価値を原資として支払われている限り、「既に支払った仕入金額が多かったので支払い分がなかった(返納してもらった)」ということはありえないのです。
それでも還付があるというのは、“詐欺”なのです。
● 税の区分
【引用】
「「消費税は直接税」とまで定義されているとは、どのような学説を根拠に出されているのでしょう。もし宜しければ参考になるので、教えて下さい。
また私が調べたところ、最新の財政学上の分類においては、直接税と間接税の定義は、租税の転嫁の有無はあまり重要視していないように定義されているみたいです。
(http://www.meijigakuin.ac.jp/econ/academics/publications/annual/PDF2/27-1.pdf#search)より以下抜粋
(ここから)―――――――――――――――――――――――――――――
慣例的に直接税と間接税の定義は,租税転嫁の有無によって納税者と担税者が一致する税が直接税であり,一致しない税が間接税であるとされてきた。しかし,最近の租税理論では,租税の転嫁よりも帰着に焦点を当てた際,従来の定義にしたがうと法人税は直接税に分類されてきたが,転嫁される可能性があるため,上述した定義では充分に成立しなくなっている。したがって,最近の財政学のテキストや租税システムの国際比較では,「租税転嫁の有無」による分類方法は用いられていない。この定義に代わって,アトキンソン(Atkinson, A.B.:1977)の定義が一般的である。この定義によれば,直接税は納税者の個別的事情をイクスプリシットに考慮する税であり,間接税は納税者の個別事情を考慮しない税となる。具体的には,所得税は納税者の所得水準,家族構成,医療費等の要素を課税標準に反映させ,法人税は法人の利益や法人の形態などを反映させて課税している一方,消費税は消費する個別事情(所得水準等)を考慮しないで課税されている点から判別できる。
(ここまで)―――――――――――――――――――――――――――――
つまり抜粋内容によると、最新の財政学上の分類においては、法人税は直接税であり、消費税は間接税としており、さらにそれらを分類する上においては、租税の転嫁の有無よりも、納税者の個別事情の考慮の有無を重視しているということになります。そうなると、ここで互いに展開している租税転嫁に関する議論も、あまり意味のないことのようにも感じます。 」
【コメント】
「「消費税は直接税」とまで定義されているとは、どのような学説を根拠に出されているのでしょう」と問われていますが、何度か書いたように、私自身は、直接税か間接税かにそれほどの意味があるとは思っていません。
「消費税は直接税」という主張は、財政学などで示されている直接税の定義に従うのなら、消費税は、広く言われている間接税ではなく、直接税であるというものです。
それは、独歩さんが引用された「租税転嫁の有無によって納税者と担税者が一致する税が直接税であり,一致しない税が間接税であるとされてきた」という考えに従うものとお考えいただいてけっこうです。
消費税の担税者も納税者も、付加価値を稼いだ消費税納税義務事業者だからです。
そして、私が、消費税を間接税というのなら法人税も間接税といえると説明した話も、「従来の定義にしたがうと法人税は直接税に分類されてきたが,転嫁される可能性があるため,上述した定義では充分に成立しなくなっている」と引用された文章に書かれています。
「ここで互いに展開している租税転嫁に関する議論も、あまり意味のないことのようにも感じます 」は同意です。
私が問題にしているのは、消費税が、消費税という名称とはまったく異なり、付加価値税であるということです。
付加価値税であっても、負担を課された事業者は、なんとかその負担を第三者(取引相手)に転嫁しようとするものです。ですから、転嫁云々ではなく、税の内実こそが重要な問題になります。
独歩さんの引用文中(明治学院大学江川氏)に「直接税は納税者の個別的事情をイクスプリシットに考慮する税であり,間接税は納税者の個別事情を考慮しない税となる。具体的には,所得税は納税者の所得水準,家族構成,医療費等の要素を課税標準に反映させ,法人税は法人の利益や法人の形態などを反映させて課税している一方,消費税は消費する個別事情(所得水準等)を考慮しないで課税されている点から判別できる」と書かれています。
そのような説明に、“直接税”や“間接税”という概念が必要だとはとうてい思えません。江川氏が、まったく意味のない“直接税”や“間接税”という概念を残しているのか不可解です。
“個別的適用税”とか“一般的適用税”といった別の概念を提起すべきであり、直接や間接といった無関係の概念を使っていることは怠慢だと思います。
江川氏は「消費税は消費する個別事情(所得水準等)を考慮しないで課税されている」と異様なことを書いていますが、消費税は、納税者の取引の形態(輸出取引や・課税取引・輸入取引)や設備投資の実績を反映(考慮)して課税している税です。
今はなくなりましたが、酒税には従価税がありました。同じアルコール度数で同じ量の酒類であっても、飲用者の所得水準を考慮し、酒税を安くしたり高くしたりするというものです。
従価税的物品税があれば、消費する個別事情(所得水準等)を考慮するので、“直接税”ということになります。
ですから、引用していただいた文章も、そう言える部分もあるというレベルのものでしかありません。
● 購入時点における消費税の不定性
【引用】
「たばこ価格は国が価格を取り決めることに、妥当性があるということで決められているものだと思われます。それを間接税の根拠とするのなら、地方公共団体が取り決めている市バスや鉄道などの公共料金に対しても消費税は課せられ転嫁されておりますが、それらにかかる消費税も間接税であるとなりますし、それ以外にも実質価格決定に国が関与している高速道路料金や電気料金など、その転嫁分の消費税も間接税となると思われます。
そもそもたばこにおいても消費税はかかります。価格が一律ですから、消費税分も当然に加算された金額であり、その分の消費税についても間接税となるはずです。」
【コメント】
ここでの重要な点は、「地方公共団体が取り決めている市バスや鉄道などの公共料金に対しても消費税は課せられ転嫁されておりますが、それらにかかる消費税も間接税であるとなりますし、それ以外にも実質価格決定に国が関与している高速道路料金や電気料金など、その転嫁分の消費税も間接税となる」ということです。
間接税というより物品税という観点で見たほうがいいと思いますが、たばこ税や酒税は本数や容量を課税単位として税額が決まっています。
このことから、たばこを1箱買うと税金をいくら負担したと言えます。
たばこ税は、20本買えばいくらの税と決まっているから、最終消費者が負担する物品税で間接税と言えるのです。
しかし、消費税は、購入価格に5/105を乗じたものが「売上にかかわる消費税額」であっても、それが税額になるわけでも、税金として納めるわけでもありません。
消費税は、「仕入にかかわる消費税額」を算定するまでは納付すべき金額は不明なのです。
幾らの税を負担することになるかさえ負担時は定かでない税を間接税とするのはムリがあります。
公共料金は認可制や許可制が多いので、しっかり計算されている可能性もありますが、購入価格に5/105を乗じた金額は、転嫁が独歩さん流に行われているとしたら、最終消費者は“過剰な負担”をしていることになります。
消費税は、付加価値税として考えることでしか、すっきりした課税論理が提示できません。
なお、「たばこ価格は国が価格を取り決めることに、妥当性があるということで決められているものだと思われます。それを間接税の根拠とするのなら」と書かれていますが、それを根拠に間接税と言っているわけではありません。
たばこの価格は届け出制で、小売での再販指定があることで、最終購入者が税を負担すると言えると言っているだけです。間接税は、負担がことさら最終消費者である必要はなく、中間事業者が負担するかたちでも区分が変わることはありません。
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