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国民新党を追い出された亀井静香よ どこに行く
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2012/04/07 依存症の独り言
私が、政治を真剣に見つめるようになってから40年以上が過ぎました。
最初は極左、次が仕方なく社会党、自社さ政権に呆れた後は小沢一郎さんの熱烈な支持者。
自民党に一票を投じるようになったのは小泉内閣からです。
思いかえせば、今、国政にかかわっている政治家の大半より私の方が長いんですよね、政治ウォッチャーとしての経験は。
で、その長い政治ウォッチャーとしての経歴を持つ私が今、最も関心を払っているのが亀井静香さんです。
この人を最初に注目したのは国家基本問題同志会ですね。
当時の私は、まだ左翼を克服できておらず、この会に極右の臭いを感じ取りました。
憲法とか靖国とか安全保障とかにおいて、この集団は危険な存在だと直感したのです。
が、この会の座長を務める亀井さんの実際を見るとイメージが極右にはほど遠い。
ほんとうに国家の行く末と国民の生活を憂えており、「まさに国士だ」と私は共感しました。
調べてみると、高校時代に左翼的活動で退校処分を受けた経歴があり、東大時代は左翼の友人の退学処分に抗議し、ハンガーストライキを決行して処分を撤回させています。
尊敬する人物は今でもチェ・ゲバラと大塩平八郎と言うのですから、この方、現在進行形で反権力と言うか、弱者の味方と言うか、単なる反米保守ではないんですね。
にもかかわらず、警察庁のキャリア時代は公安畑を歩み、過激派を取り締まる立場にいました。
このあたりのギャップは理解不能です。
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この政治家の信条は、
「国民の95%の人が幸せで、5%の人が困っているときに、政治とはその5%の人を助けなくてはならない、政治家にはその5%の少数への洞察力が必要である」
「支持率を気にして、ふらふらしているようでは政治はできない。政治家の評価は歴史が証明する」
「日本の伝統でつちかわれてきたよいところを残すのが保守の役目である。日本人は昔から、助け合いの精神で生活をしてきた」
です。
その主張は、
・デフレ脱却と防衛対策
・外国人参政権反対
・夫婦別姓反対
・改正国籍法反対
・人権擁護法案反対
・天皇の靖国参拝賛成
・天皇の戦争責任を否定
・死刑制度廃止
というものです。
まさに保守の鑑です、死刑制度廃止を除けば。
私は、本質的にこの政治家が好きです。
ただ、このブログでは厳しく批判してきました。
その理由の一つが、許永中とのつながりです。
許永中は朝鮮総連の元活動家で、その後は山口組の企業舎弟になりました。
亀井さんは、この許永中を自らの「盟友」と公言していました。
朝鮮総連の元活動家で、暴力団の企業舎弟であっても意気投合すれば「盟友」と呼ぶ、清濁併せ呑む亀井さんらしいと言えます。
ただ、このころ、おそらく許から相当な額のカネが亀井さんに流れていたはずです。
派閥を作り、子分を増やすためには巨額のカネが必要ですからね。
総理大臣を目指していた亀井さんは、カネはカネであってカネ自体に善悪はないという考えだったのでしょう。
が、私は、そういう古いタイプの政治家を生理的に受け付けません。
理より情を優先する。
そして、そこには必ずカネが絡んでいる。
保守とか左翼とかの問題ではなく、利益誘導型の政治そのものを私は許せないのです。
そこで利益を得るのは既得権益勢力だけであり、そうではない多くの国民は、彼らに税金を食われているのと同じです。
亀井さんは、借金を増やしてでも公共事業を推し進めるというタイプの政治家の典型でした。
赤字新幹線?何が悪い。
赤字高速道路?それがどうした。
取り残された地方が潤うし、新幹線や高速道路は国の資産として残るじゃないか!
これが亀井さんの論理でした。
が、そこには政・官・業が癒着し、官製談合の下(もと)で巨額のカネが動くという構図がありました。
政も官も業もおいしい思いをする、その一方で一般の納税者には見返りが少ない。
私が亀井さんを批判し、小泉純一郎さんを支持したのは、そういう田中角栄的な古い政治に反対だったからです。
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亀井さんは今でも基本的スタンスは変わりません。
が、国が予算と許認可権を握り、行政指導という名の談合政治の下(もと)で民間を支配する時代はとっくに終わっているのです。
自由で公正な競争、これが今の時代です。
で、国や行政は、不公平や不公正がないかをチェックする、違法行為がないかを監視する、今の政治のスタンスはこのようにあるべきです。
「支持率を気にして、ふらふらしているようでは政治はできない。政治家の評価は歴史が証明する」
これには異議はありません。
「日本の伝統でつちかわれてきたよいところを残すのが保守の役目である。日本人は昔から、助け合いの精神で生活をしてきた」
これも、まったく同意です。
が、よいところは残すべきですが、時代の変化にそぐわない不合理なものは改革するべきです。
「国民の95%の人が幸せで、5%の人が困っているときに、政治とはその5%の人を助けなくてはならない、政治家にはその5%の少数への洞察力が必要である」
この主張も、政治家としてなくしてはならない大事な視点だと思います。
が、5%の中身を慎重に吟味する必要があります。
被差別部落民というだけで優遇されてきた同和行政の二の舞はあってはなりません。
亀井さんの「強きをくじき弱きを助ける」という姿勢、そしてそれを貫く信念には敬意を表しています。
が、情に流され、理を見失うというところは評価できません。
政治家は情も大事ですが、それ以上に理が求められるのです。
現状を冷静に分析し、今何が求められているのか、今何をなさなければならないのか、今どう行動するべきなのかを冷徹に見通すことが求められるのです。
「冷静」も「冷徹」も「冷」という文字が含まれています。
つまり、政治家には「冷たさ」も欠かせないのです。
あなたが小泉さんに負けたのは、それが欠けているからです。
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亀井さんは自らが作った党を追い出されてしまいました。
部下がクーデターを起こし、オーナー社長を追い出したという構図です。
これも、あなたに冷徹さがなかったからです。
俺の言うことに逆らうわけがない、という思い込み、亀井さん、あなたは郵政民営化の時と同じ轍を踏もうとしています。
あの時もあなたは、解散なんかできっこない、みんな民営化に反対なのだから俺が勝つ!と思い込んでいましたよね、間違いなく。
が、現実は、ホリエモンという刺客が現れて当選するのがやっと。
民営化反対組は軒並み落選しました。
郵政民営化は今、その一部が見直されようとしていますが、国営に戻そうなどという意見は共産党くらいしかありません。
あなたは、旧中川派以来、石原慎太郎東京都知事と盟友関係にあります。
「盟友」と言うより「親友」と言ったほうがよいのかもしれません。
で、国民新党を追放されたあなたは石原さんらと新党を作ろうとしている。
が、石原さんはあなたと違い冷徹です。
石原さんも高校時代は左翼でしたからあなたと似たところがあるし、だから馬が合うのでしょう。
が、石原さんは古い不合理より新しい合理を選ぶ政治家です。
だから米国の年次改革要望書に強く反発しながらも、郵政民営化そのものには賛成と明言し、あなたや平沼赳夫さんの「新党の誘い」に乗りませんでした。
そして、小泉政権の民営化路線を支えた猪瀬直樹さんを副知事として迎え入れました。
石原さんは、今度は新党に前向きですね。
民主党政権と今の日本の現状に強い危機感を覚えたからでしょう。
が、彼は消費増税積極派ですからね。
平沼さんも積極派とまでは言えないけれど、やむを得ないという立場です。
亀井さんはどう対応するのでしょう。
「小異を捨てて大同につく」という言葉がありますが、あなたはそれは誤訳だとして「小異を残して大同につく」と言うのでしょうか?
が、消費増税を肯定するか否かは「小異」ではありません。
今後の日本のあり方を変えるくらいの大きな問題です。
あなたは、小沢一郎さんとの連携も模索しているようですが、石原さんと小沢さんは天敵の間柄ですよ。
しかも、国民が望んでいるのは新しい政治勢力であって、永田町の垢が染み付いた政治家たちの合従連衡ではありません。
まずありえないでしょうが、石原新党が小沢さんと組んだら、その時点で新党は臨終です。
まあ、石原さんは政局を読むのに長けていますから、そういうバカな選択はしないと思いますけどね。
亀井さん。
その御年で変身は無理でしょうが、古い自分にいつまでもしがみついていたら、政界はぐれ烏になっちまいますよ、間違いなく。
私は、あなたとは政治的立場が異なりますので余計なことは言いたくないのですが、亀井静香という極めて個性的な、稀有な政治家が消滅しないことを念願しています。
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