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官僚たちの岡田詣では始まっている。いまや完全に"岡田政権"となった野田内閣
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31611
2012年01月20日(金) 長谷川 幸洋「ニューの深層」 :現代ビジネス
先週のコラムhttp://gendai.ismedia.jp/articles/-/31548で「岡田克也前幹事長の副総理起用案」が内閣改造前に外に漏れてしまったために、野田佳彦首相との関係で「岡田優位になる」と書いた。「政権における岡田の発言力は従来にも増して高まるだろう」と予想したのだ。
それは的中した。官邸関係者が語る。
「いまや官邸内は完全に"岡田政権"ですよ。岡田は官邸入りすると、さっそく5階の副総理室に陣取って『野田総理に上げる案件はすべて事前にオレを通せ』と指示しました。それで官僚たちはさっそく岡田詣でを始めています。岡田は元通産官僚だけに野田と違って官僚の動き方、動かし方を知っている。その点でも強みがあります」
野田にとって岡田は年齢も政治歴も上の先輩である。そのうえ、岡田は自分の意向と関係なく人事案が事前に外に漏れたのを承知で、副総理を受けた。野田とすれば三顧の礼でお迎えした形であり「言うことはすべて聞く」態度にならざるをえない。
岡田もそれを分かっているから、野田の意向を確かめるまでもなく「すべて事前にオレを通せ」という話になる。
■権力の重心移動に敏感な官僚
岡田は副総理なので官邸5階の副総理室に入る権利がある。同時に内閣府特命担当大臣でもあるので内閣府にも部屋がある。官邸常駐を選んだのは「最高権力者(首相)に近い場所にいるほど権力がある」という鉄則に従ったためだ。首相の執務室も官邸5階である。
官邸で働く官僚は権力の重心移動に極めて敏感だ。「だれの了解を得れば話が進むか」に目を凝らして観察するために官邸に詰めているといっても過言ではない。本来なら官房長官が総理案件の前さばき役を務めるが、いまの藤村修長官は霞が関経験も大臣経験もなく、いかにも非力だ。
こうしてみると、岡田は藤村に代わる大官房長官どころではなく、先の関係者がいうように事実上の岡田政権といっていい。
それはそれで別の問題を引き起こす。
岡田は副総理に就任すると、会見で議員歳費と政党助成金を削減したい意向を表明した。すると輿石東幹事長が「すぐに議論する必要はない。いまやるべきなのは議員定数や国家公務員給与の削減など行政改革だ」と反発した。勢いづいた岡田が大風呂敷を広げたところに、冷や水を浴びせた格好だ。あきらかに岡田の入閣で政権内にさざ波が立っている。
岡田の議員歳費削減提案には、みんなの党の江田憲司幹事長がブログで痛烈に批判している。江田が昨年9月の衆院予算委員会で同じ提案をしたとき、岡田は「『元々半年間の約束だ! 何が問題なのか!』『やるんならあんただけやればいい』『かっこつけるんじゃない!』等々とヤジ、罵声を浴びせかけた」というのだ(http://www.eda-k.net/column/everyday/2012/01/2012-01-17.html)。
■重要な局面では迷走する「原理主義者」
国会でそんな一幕があったとは、私は知らなかった。議事録にヤジまで残っていない。だが、この話にはうなずける。なぜなら岡田は原理主義者と評される一方、実は重要局面で迷走するケースが案外、多いからだ。
たとえば鳩山由紀夫政権当時、外相だった岡田は沖縄の米軍普天間飛行場移設問題で嘉手納基地との統合案を唐突にぶちあげた。しかし結局、実らなかった。
菅直人前首相が2011年6月に「一定のめどがついたら若い世代に責任を引き継ぐ」と退陣を示唆した際も「辞めるという言葉は出ていない」といったん擁護しながら、後で菅に退陣を迫る急先鋒になった。ここぞという局面で首を傾げたくなる判断、言動が目立つのだ。
半面、親しい同僚議員との会合でも徹底的に割り勘を貫くなど頑固な人柄でも知られている。
そんな岡田が実質的な総理としてふるまい始めて、消費税引き上げや議員定数削減をめぐる野党との協議が円滑に進むだろうか。調整役としては不向きに思えるし、といって、政権責任者としても野田との二重権力構造が進むだけではないか。
先々週のコラムhttp://gendai.ismedia.jp/articles/-/31492で書いたように、消費税引き上げ法案が可決できるとすれば、野田が自民党はじめ野党の増税派と連携して増税大連立を仕掛けたときだ。野党は増税法案に賛成する見返りに法案成立後の解散・総選挙を求めるだろう。いわゆる「話し合い解散」である。
これに乗るかどうかは首相の解散権に直結する。野田はそこでも事実上、岡田の判断を仰がねばならなくなった。野田にとって岡田は味方でもあり、重荷でもある存在になったといえる。
野田が消費税引き上げ法案の採決と引き換えに、野党が求める話し合い解散に乗れば、野田は首相の座に座ったまま総選挙を迎える形になる。そこで負けたとしても、野田は増税に政治生命を賭けた政治家として名を残すだろう。勝てば、もちろん増税の大功労者だ。
それでは総選挙に勝ったところで、岡田は単に増税に協力した副総理にすぎなくなってしまう。岡田はそれでいいのだろうか。総選挙に負ければ、野党に転落する。敗北責任の一端を引き受ける形になる。踏んだり蹴ったりではないか。失うリスクは大きく、得るメリットは少ないのだ。
これから岡田の動向が焦点である。
(文中敬称略)
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