★阿修羅♪ > 経世済民77 > 772.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
ビジネスパーソンの貯蓄事情2012 時間と体力を消耗する43歳フリーライターの悪循環 結婚マネジメント4点
http://www.asyura2.com/12/hasan77/msg/772.html
投稿者 MR 日時 2012 年 10 月 02 日 00:47:05: cT5Wxjlo3Xe3.
 

DODA
『ビジネスパーソンの貯蓄事情2012』
■調査概要                    
【対象者】22歳〜34歳のホワイトカラー系職種の男女              
【雇用形態】正社員、契約社員                
【調査手法】ネットリサーチ会社を利用したインターネット調査            
【実施期間】2011年3月5日 〜 2011年3月6日              
【有効回答数】5,000件                  
                     
年齢 平均貯蓄額
(万円) 貯蓄最大額
(万円) 貯蓄額分布
50万円未満 50〜100万円未満 100〜200万円未満 200〜300万円未満 300〜400万円未満 400〜500万円未満 500〜1000万円未満 1000万円以上
全体 338 5500 23% 14% 18% 12% 8% 6% 12% 7%
22歳 101 800 39% 20% 25% 9% 4% 2% 1% 0%
23歳 113 860 38% 25% 19% 10% 3% 2% 3% 0%
24歳 146 1500 34% 22% 21% 8% 9% 2% 3% 1%
25歳 182 1000 27% 16% 22% 15% 9% 4% 6% 1%
26歳 217 2300 27% 15% 19% 14% 7% 6% 10% 2%
27歳 268 5000 25% 14% 16% 14% 9% 6% 12% 4%
28歳 319 3000 23% 10% 19% 12% 8% 7% 14% 7%
29歳 349 3000 20% 15% 17% 13% 8% 6% 13% 8%
30歳 328 3000 19% 10% 19% 14% 9% 9% 15% 5%
31歳 379 3000 18% 12% 15% 13% 9% 8% 16% 9%
32歳 419 3000 17% 10% 17% 10% 8% 9% 16% 13%
33歳 433 5500 17% 15% 14% 12% 9% 7% 12% 14%
34歳 464 5000 18% 10% 17% 11% 10% 6% 15% 13%
                     


http://doda.jp/guide/chotiku/2012/

【第94回】 2012年10月2日 小川 たまか [編集・ライター/プレスラボ取締役]
若手ビジネスパーソンの平均貯蓄額は338万円!

意外に貯めている職種、貯めていない職種は?

 親しい友人同士でもあまり明かすことがない、貯蓄事情。年収が同じぐらいだと思っていた友人に対して、ふとした拍子に「もしかして自分よりはるかに貯めている……?」と感じる瞬間は、何とも言えないものがある。「転職サービスDODA」が10月1日に発表した「ビジネスパーソンの貯蓄事情2012」によると、22〜34歳(平均28.8歳)の平均貯蓄額は338万円だとわかった。貯まる人と貯まらない人には、一体どんな違いがあるのだろうか。
 アンケートは2012年3月5日〜3月6日。アンケート対象は、22〜34歳までのホワイトカラー系職種の男女(正社員、契約社員含む)。有効回答数は5000件。
貯まるか、貯まらないか
分岐点は26〜28歳にあり!?
http://diamond.jp/mwimgs/6/a/-/img_6a4937e9b4c971bd8c03914d97d52d5b54469.jpg
 平均貯蓄額を年齢別に見ていくと、大学新卒者に多い年齢となる22歳では101万円に。ただし、最も多いのは「50万円未満」で39%だった。次ぐ「50〜100万円」は20%で、ほぼ半数以上は100万円以下の貯蓄額だったが、この年齢ですでに「100〜200万円」(25%)、「200〜300万円」(4%)という人も存在し、平均を押し上げるかたちとなっている。
 一方、アンケート対象の中で最年長である34歳の平均貯蓄額は464万円。こちらは、半数以上が100万円以下という22歳の貯蓄額分布図とは大きく異なっており、「50万円未満」(18%)から「1000万円以上」(13%)までの割合が、ほぼすべて10%台で並んでいる。年齢が上がるにつれ、「500万円〜1000万円」、「1000万円以上」など貯蓄額が多い層は比例して増えるが、逆に「50万円未満」の層は30歳から34歳まで、18%前後で変わっていない。
 年齢が若いうちは貯蓄額分布図も低い金額に偏りがちだが、34歳の貯蓄額分布図のように全体的に偏りがなくなる傾向は、26〜28歳頃を境に顕著となる。この時期が、「貯蓄額の多い人」と「少ない人」の分岐点と言えるのかもしれない。
 ちなみに、年齢と貯蓄額はほぼ比例するが、一箇所だけそうでない年齢がある。それは、29歳(平均貯蓄額349万円)と30歳(平均貯蓄額328万円)だ。これについてDODAは、「30歳の人に、1年前より貯蓄が減った理由を聞いてみると、『車やマイホームを買った』といった声が目立ち、30歳という節目の年に大きな買い物をすることで一時的に貯蓄が減る人が多いことがわかりました」としている。
収入が多くても貯まらない人は貯まらない!?
年収200万円で1500万円貯める人も
 一般的に収入が多い方が貯蓄額も多いと思われがちだが、一方で大切なのは貯金に対する意識。そう感じさせられるのが次のデータだ。
 年収別の貯金額を見てみよう。年収200万円未満の人では、52%が「50万円未満」の貯金額だが、中には「500〜1000万円未満」(4%)、「1000万円以上」(1%)という人もいる。最高額は1500万円で、34歳、一般事務職の女性だった。同じように、年収200〜300万円未満でも、500万円以上貯蓄している人は8%おり、最高額は「2500万円」(32歳/女性/SE)。ひとり暮らしか実家暮らしか、既婚か未婚か、子どもの有無などによって貯金できる額は違うだろうが、貯蓄額は年収や個人の事情を言い訳にし始めるといつまでも増えないだろう。
 また、職種別の平均貯蓄額は、1位が専門職系の「投資銀行業務」で554万円。2位から5位は順に企画事務系の「経営企画/事業企画」、「法務/知財」、「人事」、「総務・庶務」と、心なしか「堅実」というイメージの強い職種が並ぶ。一見華やかなイメージのある、「商社−営業」は48職種中30位(272万円)、「ITコンサルタント」は23位(345万円)。収入が高くても、これらの業種では交際費がかさんでいるのかもしれない。「出版/編集」(35位/247万円)、「Webクリエイター」(40位/200万円)など、クリエイティブ系は軒並み貯蓄額が低い結果となった。
 ちなみに、都道府県別貯蓄額では1位が岐阜県(451万円)、2位は和歌山県(448万円)、46位は島根県(95万円)、47位は大分県(94万円)だった。
 データを眺めているうちに、いつの間にか「頑張ってもう少し貯蓄しよう」という気持ちが高まってくるから不思議だ。今よりさらに貯蓄したいと考えている人は、下記で詳細を確認してみると良いのではないだろうか。

(プレスラボ 小川たまか)
http://diamond.jp/articles/print/25654

【第5回】 2012年10月2日 吉田典史 [ジャーナリスト]
低収入でもめげずに、たこ焼きバイトで食いつなぐ?

時間と体力を消耗する43歳フリーライターの悪循環

――フリーライター・浅見敦さん(仮名)のケース
 連載第5回は、志を追求するために仕事を絞り、減った収入をアルバイトで補いながら生活を送るフリーライターを紹介しよう。この職業では、慢性的な不況で生き場を失い、派遣社員や契約社員、さらには専業主婦に戻る人たちが目立ち始めた。40代でありながら肉体労働で奮闘する彼の姿は、シュリンクする個人事業主の1つの象徴的な姿と言える。

 あなたは、生き残ることができるか?

今回のシュリンク業界――フリーライター

 新聞社や出版社に社員として属するのではなく、個人事業主として様々な会社で記事や本を書く職業に就く人は、1960〜70年代、週刊誌や月刊誌の売れ行きが多かった時期に増えた。作家やジャーナリストとして活躍する前に、「ライター」として経験を積む人も少なくない。

 だが、彼らが書く場は年を追うごとに減りつつある。出版販売額が1997年にピークを迎え、現在に至るまで13年連続のマイナスとなるなか、収入源となる月刊誌・週刊誌の休刊点数は、創刊点数を上回る状態が続いている。

原稿料だけではやって行けない
たこ焼き屋がなければ月収15万円


「月に30万円(額面)ほどかな……。政治・社会系の雑誌の原稿料収入が15万円くらいで、たこ焼き屋でのアルバイトが約15万円……」

 フリーライターの浅見敦さん(仮名・43歳)に収入を聞くと、つぶやくような口調で答えた。10代の頃はバーテンをしたり、教育系NPOやIT企業で働いたりしていた。30代半ばでライターとなった。その頃、大学にも通い、政治を学んだ。

 ここ1年ほどは、売上構成が大幅に変わった。関心のある政治や社会分野の記事を書くことに専念するために、転職サイトなどの記事を書くことを止めたからだ。

 それにより、収入が大幅に減った。収入が減った分を補うために、今年5月からたこ焼き屋のチェーン店でアルバイトを始めた。自宅近くに屋台のたこ焼きがあり、興味を持ったのがきっかけだった。そして経営などのノウハウを学び、副業として開業できないかと考えたからだった。

 現在は時給1000円。月に多いときは200時間、少ないときで100時間働く。1日に15時間勤務することもある。早いときは、朝の6時45分に家を出て職場に向かう。

 たこ焼きを焼いたり、お客さんの注文を聞いたり、レジを打つ。店の前で呼び込みもする。

たこ焼き屋の仕事はキツイ……。
疲れて記事が書けなくなりそう

 十数人いるアルバイトは18歳から52歳までと幅広い。浅見さんは、20歳下の店長候補から仕事についてよく注意をされるという。それでも続ける。いずれは、たこ焼き屋での開業も考えている。

 私が「体が疲れて、記事を書くことができないのではないか」と聞くと、浅見さんは苦笑いをしつつ、うなずく。

「くたくたに疲れる。帰りの電車の中、熟睡して最寄駅を通り越してしまうこともある。店は売上が多い日で30万円近く、休日は50万円を越える。めちゃくちゃ忙しい」

 アルバイトを始める前は、転職サイトの記事を1本3〜4万円で、月に5〜6本ほど書いていた。原稿料は月に15万円ほど。それと並行し、政治・社会系の雑誌で執筆した。1ページ2万円で、計8ページほど。原稿料は約15万円という。

 その頃の収入を聞くと、浅見さんは振り返る。

「転職サイトと政治・社会雑誌で書いたものを合わせると、月に30万円くらいかな。時折、ゴーストライターとして本を書き、数十万円を得ることがあったけど、なかなか稼げない」

 年収にして350万〜400万円ならば、世間一般のライターと比べて低い数字ではない。むしろ、平均を大きく上回るはずだ。

 私がこの二十数年間で知り合ったライターは、120人ほど。そのうち年収について話し合ったのは、30人ぐらい。25人近くが30万円〜420万円の範囲だった。ちなみに、30万円は専業主婦だった。

 その年収を5年以上維持できる人は数人しかおらず、120人のうち8〜9割程は40歳前までに辞めていった。生活や人生設計のメドが立たないからだろう。残るのは、40〜50代で独身、扶養家族が少ない、持ち家であるなど「一定の条件」を満たす人が半数を占める。さらに最近は、夫が安定した収入を得ている専業主婦ライターが目立つ。

個人事業主が陥りがちな
「時間の切り売り構造」

 浅見さんに収入源だった転職サイトの仕事を辞めた理由を聞くと、「迷いが出てきた」と答える。

「自分がやりたいことは、政治・社会分野で書くこと。転職サイトは、求人を出す会社を取材し、その数日以内に記事を書き上げる。短いスパンの繰り返しになり、時間を取られる。雑誌の仕事に専念したかった」

 ここに、個人事業主や零細事務所の経営者らが陥りやすい「時間の切り売り構造」がある。通常のビジネスでは、自らが仕事を消化し、その代価として収入を得る。だが、個人事業主などにとっては、この路線は数年以内に行き詰まる可能性が高い。

 個人事業主が収入を上げるためには、自らが仕事を消化するのではなく、部分的に他人に任せ、その時間で新規開拓の営業や今後の事業展開を考えなくてはいけない。現在の仕事を消化するだけでは、いずれ仕事が消え、行き詰まっていく。

 しかし、小資本であるがゆえに人を雇うことがなかなかできない。ましてや育てることは、その時間もノウハウも乏しいだけに一層難しい。「時間の切り売り構造」から抜け出すことは、実に困難だ。

 取材を終えた後、しばらくして浅見さんからメールが届いた。「たこ焼き屋での開業は止めることにした」という。本人の了解の上、メールの文面を部分的に抜粋し、掲載する(原文ママ。カッコ内は筆者注)。

「それ(開業)は逃げだってことに気付いたからです。ライターをしていてビジネス系の仕事を捨てたなら、政治・社会系だけで十分稼げるよう勝負しなきゃいけないってことです。たしかにこの仕事は大変で食えないからやめてくライターは少なくないし、(中略)かといって、すぐバイトを辞めるわけではありませんが。当面の活動費を稼ぐ必要がありますし。(略)」

転職サイトの仕事を止めても
今のままではキャリアアップは困難

 私が「政治・社会系だけで十分稼げる」ようにアドバイスを送るならば、メールにはこう書いて返信をするだろう。

「手元に最低限度のお金がないと、新たな方向にシフトすることすらできない。たこ焼き屋のアルバイトは、今は続ける必要があるかもしれないが、週に2〜3日ほどにすべき。月に150時間も働くことは“身売り”という消耗戦に陥る。これでは、1〜2年以内に廃業の憂き目に遭う。

 とりあえずは、求人サイトの記事を書くことに復帰し、かつての収入に戻すことが急務。アルバイトで疲労困憊しての月収30万円と、書いた報酬のみで得る30万円は、その質が違う。求人広告の記事を書くことも立派な実績だ」

 求人サイトに募集広告を出す会社を取材すると、人事部がいかにお金と時間をかけて優秀な人を雇おうとしているかを思い知る。賃金、労働時間、人材育成、離職の実態も知る。

 企業の求人は景気や国の制度に大きく影響されるため、実は政治や社会の問題と表裏一体。企業の人事を深く捉えると、政治に行き当たる。求人サイトで書くなかでこうした分野の知見を深め、政治・社会系の雑誌の編集者に、「企業人事から見る政治の矛盾」などの企画を出したらどうだろうか。上手く行けば、求人サイトで仕事を続けながらでも、本来やりたい媒体で仕事の幅を広げることもできる。

 また、浅見さんは現在の雑誌では無署名で記事を書いているが、署名記事を書かないと、通常は連載などに進んではいけない。名もなき“消耗品ライター”で終わってしまう。たとえば、前述のような政治や経済、社会を俯瞰で捉える専門的な記事を、無名のライターに依頼する編集者はいない。評論家や学者などに頼むはずだ。

 残念ながら、今の実績では、メジャーな媒体で署名の連載を書く機会は与えられないだろう。さらに連載は、10ぐらいの媒体で書かないと、ある程度満足できる生活を送れる水準には達しない。

40歳を超えたライターは仕事が減る
生き残るためには「仕掛け」が必要

 それでも年収は、500万円〜600万円程度が相場。家族を養うならば、少なくとも12〜15くらいの媒体で書くことが必要になる。これでなんとか600万円〜700万円くらいの年収になるかもしれない。

 とはいえ、そこまで辿り着くのは至難の業だ。そのレベルに到達したとしても、その状態を数年以上続けることは不可能に近い。何かの「仕掛け」をつくらないと、息絶える。

 43歳という年齢も考えないといけない。そろそろ、30代半ばまでくらいの編集者が仕事を依頼しにくい年だ。いくら依頼主と言っても、自分よりも一回り上の人に指示は出しにくいからだ。それに加えて、編集者の若返りを図る会社も増えている。40代以上のライターが書ける場は、確実に減っていく。

 さらには、雑誌は廃刊が相次いでいる。浅見さんは「急がば回れ」の精神で、求人サイトに戻るべきだろう。もう、時間がない。

「住居と食費さえあれば」は……!?
“消耗品ライター”になるべからず

 浅見さんは、メールで「大物作家のゴーストライターをし始めた」とも書いていた。30年以上前から、この業界で活躍する書き手である。

 私は、この作家の様々な噂を20年ほど前から耳にしてきた。信憑性が高い情報で言えば、本人はそこそこ書くことはできるが、主には仕事がなく生活に苦しむ書き手を束ねて、書かせているという。

 作家本人は、それらの原稿を集めて、1冊の本に仕立て上げることが得意ということだ。だが、彼の元を巣立ち、活躍する書き手は少ないと聞く。

 私には、浅見さんがこうした仕事を増やしていくことも“消耗品ライター”で終わっていくリスクを高めると思う。

 当面はそこで、本の書き方を学ぶこともいいのかもしれない。雑誌と本の書き方は違う。それを体で覚えるために、作家から技を吸収することは、自分のスキルを高めることにつながる部分もある。

 ただし、これらの仕事は年齢的には、30代前半で吸収しておくべきことのように思える。にもかかわらず、ライターの中には意外と高齢でデビューする人がいる。廃業率が高い一因がここにある。

 折からの構造変化により、出版社も新聞社の出版部門も、「確実に売れると思われる本」しか発売しない傾向が強まっている。当面、「売れる書き手、売れない書き手」の選別が厳しくなる。浅見さんの上にいる大物作家が、その壁を次々と乗り越えることができるかどうかは、わからない。近い将来、この作家の仕事が減れば、浅見さんの収入も不安定な構造から抜け出せない。

 メールには、こうも書かれてあった。浅見さんが数年前、憧れの書き手と会って話したときに、その人がこう言ったのだという。

「住む場所と食費さえあればなんとかなる」

 この書き手が、どのような文脈で話したのかは、私にはわからない。だが、この言葉を額面通りに受け止めるべきではないと思う。住む場所と食費だけでは、書き手として長く活動はできない。

 ここ20年ほどの間にライターと名乗る人と接すると、生活感がないことに気がつく。たとえば、結婚や離婚歴があって、子どもの養育費などの捻出に追われ、「何が何でも稼ぐ」という意欲を持ったような人と、巡り合ったことがほとんどない。

 私が知る限り、独身者が多いからなのかもしれない。30代以上であっても、高校生のような初々しい考えを持っている人が多いことにも気がつく。それが、この職業に就く人たちのよさであり、強さであり、弱点でもある。

 そうしたタイプに当てはまる人は、業界がシュリンクする以前に、自らの意思とか考え方でシュリンクしていく人たちと言えるのかもしれない。

「シュリンク脱出」を
アナライズする

 浅見さんは雑誌で記事を書いて最低限の収入を得つつ、たこ焼き屋のアルバイトで生活費を補う。私はこの生活は長くは続かず、悪循環に陥るのではないかという不安を持った。同じ仕事に携わる者として、リベンジ策を考えてみた。

1.結婚をするなどして
自ら責任を背負う

 浅見さんは独身だが、家族を養う身になると、考えは変わると思う。毎月の家賃、光熱費に始まり、家や車のローン、貯蓄、子どもの養育費などを払う身になると、生き残りを現実的に考えるようになる。

 私は2005年に38歳で会社を離れ、フリーになった。翌月から、少なくとも30〜40万円は家に入れる必要に迫られた。そこで出版社に手当たり次第電話をして、編集長に会ってもらった。断りを受けても、会いに行った。

 この方法で様々な会社に出向き、数ヵ月で仕事の契約受注額は数百万円ほどになった。9割以上が、他のライターがボイコットした仕事だった。興味深いのは、後で編集者に聞くと、仕事を放棄する人の多くは独身であり、生活費を稼ぐ切羽詰まった気持ちがあまりないように感じられたという。

 逆に、仕事の内容にもよるのだろうが、扶養家族がいて生活費を得ることを主眼とする人は、ボイコットする可能性が低いとも話す編集者が多かった。ちなみに私の場合は、「悲壮感を強烈に感じた」とも話していた。

 以来、私は独身のライターには「早く結婚すれば……」と言うようにしている。家族を抱えると、仕事への考え方はきっと変わる。結婚をしないならば、親でも兄弟でもいい。扶養家族を抱え込むことを勧めたい。

2.アルバイトをするなら
キャリアに直結するものを

 たこ焼き屋でアルバイトをすることが、今後の執筆活動に生きるとは、私には思いにくい。むしろ、政治分野のメディアで活躍することを目指しているならば、可能であれば、政治家の選挙事務所や政党、政治団体などでアルバイトするほうがいい。あるいは、社会分野を意識するなら、介護を必要とする高齢者などのホームで働くこともいい。こういう場ならば、執筆活動に即生きてくる。

 さらには、社員数30人前後の出版社や編集プロダクションでの「専属ライター」もできないだろうか。週に2〜3日職場に詰めるライターである。私の知人が経営する会社では時折、募集をしている。

 週2〜3日で、月に10〜12万円程の収入だが、40歳を超えて体を酷使する仕事よりはいいのではないだろうか。そして、ライターとして活躍することができない場合は、いずれはこういう会社に契約社員として雇ってもらえるようにしたい。

3.名前を売り込むために
署名で生きていく覚悟を

 浅見さんは、署名入り(自分の氏名を記事に書き手として盛り込む)の記事をさほど書いていない。署名なしでたくさんの本や記事を書いたとしても、自らの名前を売り込むことはほとんどできない。あくまで、影の人でしかない。

 現在、活躍する作家やジャーナリストの中にも、過去にこうした時期を過ごしてきた人も多い。この期間で様々な媒体の連載を10〜15本くらいは獲得し、生活基盤を固め、署名入りで勝負するようになった可能性が高い。

 それらのことを念頭に自分を本当に支持し、理解してくれる編集者を20〜30人は確保しておきたい。

4.老後も視野に入れて
人生設計を考え直す

 ライターには退職金がない。年収300〜400万円で老後を迎えると、早いうちに生活保護を申請せざるを得なくなる可能性がある。それ以下の収入では、前途は明るくはないだろう。それを避けるためには、早めに手を打ちたい。43歳の浅見さんは60歳までにすでに20年を切っている。

 たとえば、アルバイトをする介護ホームやNPO、政党、政治団体、編集プロダクションなどで60歳以上の嘱託社員や契約社員になることを狙うのである。たこ焼き屋のアルバイトよりは、可能性は高いはずだ。

 ここまで視野に入れつつ、日々のアルバイトをするならば、仕事への姿勢も変わるだろう。さらには知識も豊富になり、いつかはこの世界の書き手の権威になれるかもしれない。

http://diamond.jp/articles/print/25660

【第3回】 2012年10月2日 大塚 寿 [エマメイコーポレーション代表取締役]
「結婚マネジメント」で必ず押さえておきたい4つのポイント 1万人の失敗談から導く「結婚の技術」

婚活ブームのなか、結婚するための方法ばかりが取り沙汰されるが、最も大切なのは結婚「後」のやり繰りである。相性・愛情だけでは乗り越えられない結婚には、マネジメントの発想が欠かせない。成功者から学んだ「結婚マネジメント」のコツとは何か?

ビジネスパーソンこそ、
結婚「後」を真剣に考える必要がある

「結婚と恋愛は違う」とはよく言われることですが、同時に恋愛のまっ最中にあっては、これほど「耳に届かない」フレーズもありません。私が過去に話を聞いた1万人に及ぶ諸先輩たちの話の中にも、必ずお約束のようにこのフレーズは登場していました。

 付き合っているときは、いかに相手の良いところしか見ていなかったか、どれだけわかったつもりでいても、いざ結婚してみると実はぜんぜんわかっていなかったかとか、こうした後悔は、実際に既婚者の多くが経験していることかもしれません。

 結婚前はやさしくて頼もしく思えた男性が、いざ旦那さんになると、一切家事をやらないとか、やさしさは優柔不断の裏返しだったとか、頼もしさは強引さに変わってストレスになるといった妻側の後悔もよく聞きます。

 また、付き合っているときは、誕生日、クリスマス、ホワイトデーなどのたびに、小まめにプレゼントやサプライズのイベントをしてくれたけど、結婚を機に「釣った魚にエサはやらない」旦那さんに変身してしまったことを嘆く女性がいかに多いことか……。

 男性側も、結婚前は甲斐甲斐しく尽くしてくれた女性が、結婚後、料理はおろか家事も一切やらないとか、すっかりわがままになって、自分の思うようにいかないと怒り出すといった妻の豹変ぶりに、笑うに笑えない状況の人がいます。

 しかし、そうした変化は相手への愛情を減退させる大きな原因ではありますが、先人たちが、結婚こそ人生の分かれ道だと後悔するのは、それとはまた少し違っています。結婚において愛情は必要条件ではありますが、十分条件ではないのです。「愛情だけで何とでもなる」というのは非常に美しい言葉ですが、現実はそう簡単ではありません。

 どれだけ相手に対して愛情を持ち続けていても、日常生活ではそれだけでは乗り越えられない困難はたくさん存在します。家事の分担問題から旅行の行き先、子供の習い事をどうするかなど、愛情だけでは解決できない問題ばかりです。

 結婚は惚れた腫れただけの問題ではありませんし、もちろん恋愛の「ゴール」でもありません。その後の人生プランそのものであり、ビジネスパーソンにとっては、何より結婚「後」を考えないといけないというのが、先人たちの後悔です。

 婚活時代と言われるなか、結婚「前」ばかりが語られますが、焦って結婚することはその後の人生をダメにすることにもつながります。近年、いかに結婚するかが多く取り上げられますが、結婚「後」の生活をいかにつくりあげていくかをもっと考えるべきなのです。

 結婚は愛する相手を見つけることではなく、愛し合い続ける相手を見つけ、自分たちだけの家庭をつくり出し、改善し続けることに他なりません。そこには、相性や愛情を超えた「努力」と「技術」が必要なのです。

 では、結婚「後」に必ず押さえておくべきポイントとは何でしょうか。次ページからは、1万に及ぶ先人たちの後悔をベースに導き出した、「結婚マネジメント」に必要な4つのポイントを解説していきましょう。

結婚マネジメント(1)
「結婚は創作行為である」

 結婚が人生の分かれ道になるのは、結婚後にどういう精神状態でどういう生活を送るか、いわばチーム戦で人生のマネジメントをしていくことと関係しているからです。どういう生活を送りたいのか、そのために相手と協力してどう過ごしていくのかという、夫婦の力で「新しい日常生活」をつくり出していくことが求められるのです。

 これは一つの「創作行為」だともいえます。互いに助け合い、補完し合えるパートナーでなければ「家庭の創造」はできませんし、家庭がつくれなければ、理想とする人生もまた送れないのです。

 逆に、一人では乗り越えられなかった困難も、二人なら乗り越えられることがあります。結婚で人生にレバレッジをかけられた人とは、この人生最大の分岐点で、新しい「創作行為」に真剣に取り組んだ人たちなのです。

 創作行為には家事、育児の分担のルールから、お互いのビジョンのすり合わせ、お金や時間の使い方まで多くの場面がありますが、例えば、わかりやすい例として以下のようなものがあります。

 Dさん夫婦は、朝食に何を食べるかで揉めていました。旦那さんはごはん派、奥さんはパン派です。これは育った環境にも影響を受けており、議論は平行線をたどりました。どちらが健康に良いとか、一日のスタートはこっちのほうが活力が出るなど、いろいろな意見が出ましたが、結局は好みの問題です。ただ、二人とも「朝食はしっかり食べる」という共通点を持っていました。

 そこで、Dさん夫婦は話し合って、平日はパンで、休日はごはんというルールを決めました。そして、平日でも旦那さんがつくれるなら、ごはんでも構わないという例外のルールもつくりました。

 つまり、Dさん夫婦にはパンかごはんかという二択ではなく、どちらかの習慣や好みを押し付けるという解決策でもなく、お互いが納得できる新しいルールを「創造」したのです。

 朝食をパンにするかごはんにするかのケンカで離婚する夫婦は少ないでしょうが、夫婦間の違いはこのように、新しいルールを「創造」することで乗り越える必要があります。

 自分の習慣や考え方を相手に押し付けるのはよくないとわかっていても、すべて相手の習慣に合わせるわけにもいきませんので、夫婦間ではこうした「創作場面」がよくあります。

 これこそ結婚生活のマネジメントです。まったく異なる環境に育った二人が、偶然出会い、愛し合って、お互いを選び、家庭をつくっていくのが結婚です。家庭はつくっていくものであって、自分のやり方を押し付けるのでもなく、相手に合わせることでもありません。

 結婚前は異なる習慣だったとしても、結婚後は別な色が混じり合うように、自分たちの家族の色を彩っていこうとする意識が何より大切なのです。

 夫婦間では日常生活の中で、さまざまな習慣による違いが目につきます。朝型か夜型か、風呂は長いかシャワー派か、目玉焼きにかけるのはソースかしょうゆか、母の日にプレゼントするのかしないのか、時間厳守かルーズか、休日は家でのんびり過ごすか外でアクティブに過ごすか、リゾートに行ったら遊ぶのかまったりするのかなど、何百もの習慣や好みによる違いがあるでしょう。

 それをどちらかに押し付けたり、どちらが正しいかという基準で考えると、夫婦間はどんどんギスギスしていくので、その都度、新しい夫婦の習慣につくり変えていくというのが、成功者の弁です。

結婚マネジメント(2)
「結婚は技術である」

 そもそも、結婚はお互いの身勝手な妄想からスタートしている事実を認めることから始まります。なぜなら、男性も女性も、ほとんどの人が結婚直後から、自身が思い込んでいた結婚生活と現実が異なることに気づき始めるからです。

 家庭内で自分がやることから、相手にやってもらうこと、お互いの距離感も含めて、その齟齬はたくさんあるはずです。どれだけお互いを知っているつもりでも、他人同士である限り、この食い違いは必ず起こります。

 こうした思い込みや妄想を是正できないままだったら、遅かれ早かれ結婚生活は破たんしてしまいますが、これは相手選びを間違えたということではないのです。

 結婚について回る後悔というのは、「相手選びの間違い」と思われますが、これは必ずしも正しくありません。もちろん、早々に離婚して新しい相手を探すほうがいい場合もありますが、ほとんどの後悔は相手への関わり方と関係しているからです。

 最初からうまくいく結婚などは存在しません。自分と異なる考えや習慣を受け入れる余地があるか、相手との齟齬を自分の変化の原動力とできるかどうかが分かれ道です。最初から出自の違う男女が、お互いのベクトルを繰り返し合わせ続ける努力と工夫が必要なのです。元和田中学校校長の藤原和博氏の言葉を借りれば、それは「無限のベクトル合わせ」だといえます。

 考えてもみてください。職場でも部下やチームをマネジメントするとき、自分のやり方を押し付けてうまくいくでしょうか。さまざまな個性を持ったメンバーの主張を頭ごなしに否定したり、過ちを正論によって指摘したところでうまくいくでしょうか。

 時には言い方を工夫したり、相手のモチベーションを高めたり、自分が心を開いてはじめて相手を深く理解できるわけで、お互いが常に歩み寄らなければいけないのです。

 自分にとっての正解が相手にとっての正解とは限りません。我を主張するだけではダメで、時に妥協も必要になります。自分にとっての正解をぶつけ合う「正解主義」ではなく、自分の考えについても修正の余地を探りながら、お互いがすり合わせていく「修正主義」からスタートしなければいけないのです。

 結婚もマネジメントです。仕事ではマネジメントの大変さを理解している人も、家庭のこととなると、とたんに相性や愛情の問題で片づけてしまいがちです。しかし、修正を無限に繰り返しながら、自らの手で幸せはつくっていかなければいけないのです。

 ドイツの哲学者エーリッヒ・フロムは「愛は技術である」と言いました。愛は、相手と通じ合うための知識と努力によって叶えられるものなのです。

 夫婦関係もまったく同じです。結婚とは技術であり、マネジメントの知識と努力によってしか、うまくいかないものなのです。「結婚は技術である」というのは、一万人に及ぶ先人たちの後悔から導き出された最大の教訓かもしれません。

 「面倒」と言ってしまえばそれまでです。けれど、そこから学ぶことは無限にあります。自分に最大の負荷をかけることのできる千載一遇のチャンスでもあるのです。この機会に向き合うか、逃げるかが人生の分かれ道です。

 後で結婚を後悔している諸先輩たちは、驚くくらい「あのとき、もっと真剣に向き合えばよかった」という後悔をしています。後から考えると、自分の未熟さがわかるものなのです。

 他者と向き合うというのは、時に自分を否定することになるのでとても大変なことです。ですが、お互いが「修正主義」の立場を取らない限り、うまくいく結婚などはあり得ないのです。

結婚マネジメント(3)
「結婚は共同経営である」

 結婚とは、他人同士が戸籍上一緒になるという契約にすぎません。だからこそ、子育てや幸せな家庭をつくるという「事業」の発想が必要です。これは、後悔している人もうまくいっている人も含めた1万人インタビューから、私が強く学んだことです。

 そもそも「嫌なら別れる」という発想では経営などできませんし、プロジェクトのマネジメントも不可能です。結婚生活においても、事業同様にお互いが歩み寄り、家庭をつぶすことなく、収支も考えながら、お互いが抱えたゴールに向かって着実に舵取りをしていく必要があるのです。

 どちらかに過度に負担があると、すぐに経営破たんしてしまうのは想像に難くありません。経営などというと味気なく聞こえるかもしれませんが、「愛情だけではうまくいかない」という先人たちの後悔は、単に好き嫌いでは家庭を経営できないことを如実に表しています。

 事業においても、大小さまざまな問題が日々起こりますが、そのたびにステークホルダー(利害関係者)間で調整して、問題を解決していきながら事業を前に進めています。その無限のベクトル合わせを止めたとき、取引先が他社製品を選ぶ、債権者が支援を取りやめる、従業員が去ってしまう、などによって事業が破たんします。

 これは結婚でもまったく一緒です。成り行きではできないのがわかっているのに、多くの夫婦はビジョンも計画も持たず「経営」されています。

 また、ワンマン経営ならまだしも、「共同経営」というのも難しいところでしょう。家事や育児の分担を巡ってぶつかり始めたときに、どちらかが一方的に言い分を通そうとすると、相手には「言いくるめられた感」が増幅し、憎悪に変質してしまうものです。

 ここはお互い歩み寄って、どちらかが喜んで自発的に動いたり、相手のモチベーションを高められる仕組みもつくっていかないと、なかなか効果も出ないものです。時には息抜きやボーナスも必要でしょうし、がむしゃらに困難に立ち向かうときも出てきます。

 男には男の、女には女の役割があるとはいえ、共働きが前提の時代、どちらかに無理やり「庶務」を押し付けることもできません。あくまで共同経営なのです。だからこそ、夫婦で家庭という事業を「経営」していく発想が必要になるのです。

 結婚生活は「目標」「計画」「マネジメント」だと考えるとわかりやすいでしょう。感情だけに頼らず、お互いの夢を自分たちの言葉で伝え合い、すり合せをしながら計画を立て、それをきちんとマネジメントしていけば、地雷を踏むリスクを最小限にすることも可能です。

 根っこにある、限られた時間を管理する力、イベントを考える企画力、感情や意思を言葉で伝えるコミュニケーション力、お互いのベクトルを調整するマネジメント力を用いて、結婚というプロジェクトを成功させようという発想こそが必要なのです。

 どうやら、家庭は放っておいて育つものではないようです。自らコミットして最高のものにつくり上げなければならないのです。そういう困難を乗り越えた人が、結婚を機に人生にレバレッジをかけられるのです。結婚とは、家庭を経営するための「人生最大のプロジェクト」だと言えるでしょう。

結婚マネジメント(4)
「結婚は自分を社会化する一大プロジェクト」

 では、結婚を一つのプロジェクトと考えたとき、どのような変化が起こるのでしょうか。例えば、私の知人のFさんは、結婚するまで相手に専業主婦像を描いていて、何でもやってほしいタイプの男性でした。ところが、結婚後の二人は共働きで、家事を奥さんにまかせては家が回りません。

 奥さんが職場の共働きの先輩から、「食洗機は必需品で、夫婦の会話の時間が増える」と聞いてきて、当時10万円した食洗機を買おうとFさんに提案したのですが、Fさんは自分が洗えば済むと主張、奥さんが料理、後片づけがFさんという役割分担になったそうです。

 すると、次第にFさんは後片づけだけでなく、土日の朝ごはんは自分でつくるというように発展していったそうです。

 もともと凝り性の性格もあったと思いますが、今度は平日でもFさんのほうが早く帰ったときは、料理をつくるのが習慣になりました。そのことによって、Fさんには新しい趣味も生まれ、毎日の楽しみ方が変わったと言います。もちろん、奥さんの負担も減ったので、夫婦にとっては会話の時間が取れるようになり、さらには料理という共通の話題もできたそうです。

 最初は料理を相手に求めていたFさんが、結婚後、食事の片づけだけでなく料理までつくるようになったのは、必要に迫られたからというのが本当のところです。しかし、そこには夫婦は「二人でひとつ」なんだから、手が空いているほうがやればいいという、Fさんの家事に対する向き合い方の変化があったのです。

 「男の自分には料理はつくれない」「自分は男だから料理はつくらなくていい」という姿勢であれば、Fさんの中で生まれたような変化は起こらなかったはずです。

 独身時代は自分だけで完結していた世界ですが、もう一人の登場人物が加わり、まったく別の新世界に踏み出すのが結婚だとすれば、Fさんはそこに適応するために普遍的な価値観へ自分を変えていったという意味で、結婚によって自らの「社会化」を押し進めたということになります。

 自己完結している世界だと、なかなか外の世界とつながるのは難しいものです。しかし、自分を他者や世の中という社会的な文脈の中でとらえることで、夫としての責任や妻としての使命感を感じたり、父としての喜びや母としての生きがいを感じることにもなります。

 自分の価値観にこだわり続ける限り、知識は蓄積されていっても、人間的な成長ができているとはいえません。もちろん、このことは、結婚に関わらず他者との付き合いすべてに言えることですが、結婚は個としての自分を「社会化」する最大のプロジェクトなのです。

 なぜなら、結婚はそもそも一人ではできないものなので、必然的に他者と向き合わざるを得ないからです。そもそも結婚とは、社会的な制度です。社会が承認したことではじめて成立するのが結婚です。本人同士がどれだけ望んでも、周囲が認めないのは結婚ではありません。

 その意味で、結婚とは最初から社会との関係を前提としたものであり、他者との付き合いをはじめ、相手の親や親戚、地域の住人とのつながりも求められるものです。

 古くから世界中で行われてきたこの制度は、閉じた自分の世界を、開かれた社会へとつなげ、自分を社会化するための仕組みなのかもしれません。子育てに真剣にコミットすることで、親の気持ちがはじめてわかったり、地域と深く関わったり、子供のために社会にとって良いことがしたいといった意識がわいてくるのも、自分だけの閉じた世界が開かれた社会とつながることを意味します。

 そうした変化は、他者との関係の中からしか生まれません。結婚していなくても自分を社会化することはできますが、そうした行為がどんなに苦手な人でも、他者と向き合わざるを得ない結婚は、社会的な人間になる最大のきっかけだといえます。(最終回へ続く)


『ビジネスパーソンのための 結婚を後悔しない50のリスト〜1万人の失敗談からわかった夫婦の法則〜』
大塚寿・著
1470円(税込)
ダイヤモンド社刊
2012年9月28日発売

この連載の執筆者・大塚寿さんが、1万人インタビューを通してわかった「夫婦の法則」を本にまとめました。連載では取り上げられなかった50個のリアルな後悔――家事・育児の分担から、義父母との付き合い、使っちゃいけないNGワード、価値観・習慣の違い、貯蓄・財布の管理法、セックスレスまで――と、それを乗り越えた夫婦の対処法を解説します。結婚生活をマネジメントしていく上で、先人たちの英知を集めた地雷の上手な回避法は、必ず役に立つはずです。

シリーズ累計20万部突破!

『40代を後悔しない50のリスト』
大塚寿・著 1500円(税込)

「空白の10年」が分かれ道! 40代で年収が10倍、人生の大逆転を果たした著者が明かす、充実した「生き方・働き方」50の具体策。
『30代を後悔しない50のリスト』
大塚寿・著 1500円(税込)

格差はこの10年でつくられる! 人生の土台となる30代。先人たちの後悔から導き出された等身大でリアルな50の具体策。

http://diamond.jp/articles/print/25305

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2012年10月07日 10:36:29 : aT9tG7aYrY
話題が多岐にわたっているので、次の話題にコメントしたい。

あなたは、生き残ることができるか?

今回のシュリンク業界――フリーライター

●新聞や雑誌に記事を寄稿して収入を得るフリーライターなど、情報発信手段が新聞や雑誌に限られていた時代に存在していた職業であり、今では彼らより遥かに優れた書き手が阿修羅掲示板などに無料で投稿しているから成り立たないのである。

例えば国際欄のシリア情勢にしても、マスゴミがアサド政権を悪く書いているが、現実には欧米帝国主義者達がテロリストを支援してシリア乗っ取りを狙っているに過ぎない。当方の投稿から紹介する。
http://www.asyura2.com/12/kokusai7/msg/102.html
http://www.asyura2.com/12/kokusai7/msg/102.html#c1

●中東やアジアにおける欧米プロパガンダについて述べているが、短波国際ラジオ放送を受信することを趣味にしているBCLなら、この程度の内容は書ける。だが阿修羅掲示板でBCLをやっている人は当方以外に公言している者はいないため、今のところは通用しているが、当方より上手の人物が出現する可能性は高いね。

●これとは別にフリーライターの記事についてだが、雑誌の編集部員だけで雑誌掲載記事が賄えない場合、起用される。長らく続いている雑誌だと雑誌記者だけで何とか賄えるが、新規参入した雑誌は書き手が少ないため、外注になる。(フリーライターは外注と呼ばれている。)

彼らの記事は雑誌の方針とずれている事が多いため、書いた内容がトラブルになることもある。自動車業界に関わった経験から言うと、かつて自動車雑誌が爆発的に売れていた1970年代、1980年代において自社の製品がけなされると、メーカー首脳陣は技術部門を呼び出す。
「こんなことを書かれているが、このような弱点がうちの自動車にあるのか。」

これに対し、技術部門は次のように回答した。
「一般の人々が箱根のように危険で、くねった山道をこのような非常識な速度で走ることはありえません。警察が許さないでしょう。」

しかし首脳陣は一般の人々が購入する自動車雑誌の影響力の大きさに、ひやひやしていた。このため、当社の製品が不利な扱いを受けないように広告を出していたのである。これを節約したばかりにやられたメーカーもあるが。

●首脳陣が技術部門を呼び出した案件で、次のような内容があった。
「雑誌が、前輪駆動方式について操縦がつまらないと徹底的にこきおろしているぞ。わが社は殆どの車種を前輪駆動方式に転換すると決めたが、後輪駆動方式を残すメーカーもある。今のままで国内販売は大丈夫か。」

これに対し、技術部門は次のように回答した。
「1934年のフランスのシトロエン社を皮切りに、前輪駆動化は世界的に進んでいます。遅れているのは日本とアメリカとオーストラリアくらいなものです。前輪駆動方式は直進安定性に優れ、雪道や凍結路では後輪駆動方式に対し決定的に有利です。弊社の製品を使うのは一般庶民であり、レーサー上がりの執筆者など僅かです。一般庶民が運転して安全な製品でなければなりません。」

●フリーライターは、自己の好みや思いつきを平気で記事にするから、読み物としては面白いが、製品を正しく評価しているとは言えない。ネット時代になり、この欺瞞がばれた。その結果、自動車雑誌は売れなくなり廃刊や休刊が相次いでいる。自動車業界に関わった者に言わせると、「ざまあみろ ! 」だ。


  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民77掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民77掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧