http://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/885.html
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無生物さん、こんにちは。
質問付きでコメントをいただきながら、回答が遅くなり申し訳ございません。お詫びいたします。
初めのころはコメントを見たりもしていたのですが、その後は他の書き込みに気をとられ、フォローを忘れていました。
だいぶ時間も経過していますので、新しいスレッドのかたちで回答させていただきます。
「「SR弁」・「配管漏れ」・「物資調達」を持ち出したNHK「メルトダウン連鎖の真相」のマヤカシ度やデタラメ度を検証(前編)」のコメント欄25.
http://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/781.html
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25. 無生物 2012年7月23日 01:44:44 : ce0Ar6eaeTZ7w : 8cmLjyQH4H
あっしら様
NHKはSR弁にばかり焦点をあてていますが、それ以前に高圧注水系(HPCI)も120Vの直流電源で動くので、こちらこそ冷却のために使うべきだったはずです。(圧力が高くても注水できるのでベントも不要)
東電は脆性破壊(他の原発にも問題波及)を恐れ、高圧注水系の使用をためらったようです。
(「福島第一原発1号機と3号機は、ECCSが致命的な配管破損をもたらした。」より)
http://hatajinan.blog61.fc2.com/blog-entry-443.html
私のコメントは槌田敦氏の受け売りですが、槌田氏は高圧注水系を使わなかったことが、つぎはぎの事故対応や事故拡大を招いたと指摘しています。
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槌田敦氏については、理化学研究所時代の80年代から存じ上げています。実に合理的な思考をされるかたで、いろいろ教わるところが多かったと記憶しています。
● HPCI(高圧注水系)
HPCIとRCIC(原子炉隔離時冷却系)は、いくつかあるECCS(非常用炉心冷却系)のなかでも、運転停止後も崩壊熱で発生する原子炉の蒸気でタービンを回すことで原子炉に高圧で注水するという点で共通的構造を持っています。
水源は、ともに、「復水貯蔵タンク」と「S/Cプール」です。構造的な理由で、まず「復水貯蔵タンク」、次に「S/Cプール」の順で利用します。
高圧で送り出された水は、運転中に利用されている給水ラインで原子炉に送り込まれ、その水が崩壊熱で蒸気となり、再びタービンの駆動に使われることになります。
そして、タービンを回した蒸気は、S/Cプールに流れ込むことで復水する仕組みになっています。
この仕組みなので、先に「復水貯蔵タンク」を利用します。S/Cの水を先に使うと、S/C(圧力抑制室)としての機能が徐々に劣化し、最終的には2号機の破局のような事態に陥る可能性があります。
二つの冷却装置で大きな違いは、HPCIのポンプ流量がRCICの10倍ほどあるということです。
注水される流量が多いと原子炉の水位が瞬く間に高くなり、HPCIが一時停止します。これは、RCICでも共通の動作ですが、HPCIは「停止→作動→停止」のサイクルが短くなるためバッテリー消耗が早くなります。
RCICも直流電源は必要ですが、電源がなくなっても開状態が保持される仕組みになっています。また、流量が少ないことから、バッテリー消耗は抑えられるようです。
福島第一原発では、原子炉内に核燃料があった1号機から3号機までのすべてにHPCIが装備されていました。
福島第一原発の事故で、実際にHPCIが使われたのは3号機のみです。3号機も、RCICが停止してしまった(原因不明)ために、原子炉水位の低下を受けて自動起動したとされています。
3号機のHPCIは、バッテリーの枯渇を不安視した運転員が手動で停止したとされています。
彼は、ディーゼル発電機を利用した消火系の注水に切り替えようとしたとも言われていますが、まったく別系統の注水ですし、ディーゼル発電機自体が燃料切れでまともに動いていない状況にあったわけですら整合性がない説明と言えます。
すでに1号機の破局を知っているのですから、バッテリーの補充は免震重要棟に頼り、ぎりぎりまでHPCIを動かし続ける判断をしたはずだと思っています。
私は、3号機HPCIの“自動停止”は、HPCIにかかわる配管損傷を疑っています。
バッテリー問題が強調される背景には、地震による配管損傷を否定したい意識が働いているのではと思っています。
1号機は、非常用冷却装置としてIC(非常用復水器)が作動したようですが、HPCIは直流電源喪失で作動できなかったといわれています。
2号機は、RCICが14日の昼過ぎまで作動していました。その時点のバッテリー残容量はわかりませんが、おそらく、HPCIが作動できる状況ではなかったと思われます。
いずれにしても、原子炉の冷却が、非常用の冷却装置で2日も3日も続くという想定はありません。原発プラントで全電源喪失が数時間を超えて続くという想定がないからです。
2号機のRCICは60時間以上も作動を続けたのですから、おかしな言い方ですが、すごいと思っています。
このようなことから、現在の時点で、HPCI(高圧注水系)が、あの時点の事故対応力としてRCIC(隔離時冷却系)より優れており、優先的に使うべきだったという判断はできません。
「(圧力が高くても注水できるのでベントも不要)」とのことですが、これまでの説明でわかるように、それはRCICでも同じ条件です。
両冷却系とも、つまるところ、水源と電源が問題であり、電源はバッテリーの補充でなんとかできるとしても、水源が厳しかったと思っています。
メルトダウン後の海水を使った冷却でさえ、海水が汲み上げられないために一時的に中断したくらいです。
● 「福島第一原発1号機と3号機は、ECCSが致命的な配管破損をもたらした。」について
オリジナルがどなたの文章なのかわかりませんが、気になった記述は、「311クライシスの本震直後、福島第一原発1号機の非常用復水器(IC)が作動し、再循環ポンプ配管にICタンク内の常温水が流入した。運転中270℃にもなる原子炉圧力容器に、ICタンク内の20℃ぐらいの常温水が流入したとなれば、圧力容器はもちろんのこと、ICが接続する再循環ポンプ配管は猛烈な温度差により深刻なダメージを受けたはずである。再循環ポンプ配管は14時46分の本震によりスクラム後、ICを起動した際に、一瞬で最大で150℃の温度差が記録されている」の部分です。
ICは、原子炉から来た蒸気をタンク内の水で復水させて循環させる構造になっていますから、再循環ポンプに「ICタンク内の常温水が流入」することはありません。
添付されている記録も、120℃程度なので、ICタンクを通ることで復水(冷や)された)水が、再循環ポンプに流れ込んだと考えることができます。
原子炉や配管が中性子線で脆弱化され、温度変化に弱くなっていることに異論はありません。
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