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無生物さんへ:高圧注水系問題などへの回答
http://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/885.html
投稿者 あっしら 日時 2012 年 7 月 26 日 17:53:07: Mo7ApAlflbQ6s
 


 無生物さん、こんにちは。

 質問付きでコメントをいただきながら、回答が遅くなり申し訳ございません。お詫びいたします。

 初めのころはコメントを見たりもしていたのですが、その後は他の書き込みに気をとられ、フォローを忘れていました。
 だいぶ時間も経過していますので、新しいスレッドのかたちで回答させていただきます。

「「SR弁」・「配管漏れ」・「物資調達」を持ち出したNHK「メルトダウン連鎖の真相」のマヤカシ度やデタラメ度を検証(前編)」のコメント欄25.
http://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/781.html
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25. 無生物 2012年7月23日 01:44:44 : ce0Ar6eaeTZ7w : 8cmLjyQH4H

あっしら様
NHKはSR弁にばかり焦点をあてていますが、それ以前に高圧注水系(HPCI)も120Vの直流電源で動くので、こちらこそ冷却のために使うべきだったはずです。(圧力が高くても注水できるのでベントも不要)
東電は脆性破壊(他の原発にも問題波及)を恐れ、高圧注水系の使用をためらったようです。
(「福島第一原発1号機と3号機は、ECCSが致命的な配管破損をもたらした。」より)
http://hatajinan.blog61.fc2.com/blog-entry-443.html

私のコメントは槌田敦氏の受け売りですが、槌田氏は高圧注水系を使わなかったことが、つぎはぎの事故対応や事故拡大を招いたと指摘しています。
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 槌田敦氏については、理化学研究所時代の80年代から存じ上げています。実に合理的な思考をされるかたで、いろいろ教わるところが多かったと記憶しています。


● HPCI(高圧注水系)

 HPCIとRCIC(原子炉隔離時冷却系)は、いくつかあるECCS(非常用炉心冷却系)のなかでも、運転停止後も崩壊熱で発生する原子炉の蒸気でタービンを回すことで原子炉に高圧で注水するという点で共通的構造を持っています。

 水源は、ともに、「復水貯蔵タンク」と「S/Cプール」です。構造的な理由で、まず「復水貯蔵タンク」、次に「S/Cプール」の順で利用します。

 高圧で送り出された水は、運転中に利用されている給水ラインで原子炉に送り込まれ、その水が崩壊熱で蒸気となり、再びタービンの駆動に使われることになります。
 そして、タービンを回した蒸気は、S/Cプールに流れ込むことで復水する仕組みになっています。
 この仕組みなので、先に「復水貯蔵タンク」を利用します。S/Cの水を先に使うと、S/C(圧力抑制室)としての機能が徐々に劣化し、最終的には2号機の破局のような事態に陥る可能性があります。

 二つの冷却装置で大きな違いは、HPCIのポンプ流量がRCICの10倍ほどあるということです。
 注水される流量が多いと原子炉の水位が瞬く間に高くなり、HPCIが一時停止します。これは、RCICでも共通の動作ですが、HPCIは「停止→作動→停止」のサイクルが短くなるためバッテリー消耗が早くなります。

 RCICも直流電源は必要ですが、電源がなくなっても開状態が保持される仕組みになっています。また、流量が少ないことから、バッテリー消耗は抑えられるようです。

 福島第一原発では、原子炉内に核燃料があった1号機から3号機までのすべてにHPCIが装備されていました。
 福島第一原発の事故で、実際にHPCIが使われたのは3号機のみです。3号機も、RCICが停止してしまった(原因不明)ために、原子炉水位の低下を受けて自動起動したとされています。

 3号機のHPCIは、バッテリーの枯渇を不安視した運転員が手動で停止したとされています。
 彼は、ディーゼル発電機を利用した消火系の注水に切り替えようとしたとも言われていますが、まったく別系統の注水ですし、ディーゼル発電機自体が燃料切れでまともに動いていない状況にあったわけですら整合性がない説明と言えます。
 すでに1号機の破局を知っているのですから、バッテリーの補充は免震重要棟に頼り、ぎりぎりまでHPCIを動かし続ける判断をしたはずだと思っています。
 私は、3号機HPCIの“自動停止”は、HPCIにかかわる配管損傷を疑っています。
 バッテリー問題が強調される背景には、地震による配管損傷を否定したい意識が働いているのではと思っています。

 1号機は、非常用冷却装置としてIC(非常用復水器)が作動したようですが、HPCIは直流電源喪失で作動できなかったといわれています。
 2号機は、RCICが14日の昼過ぎまで作動していました。その時点のバッテリー残容量はわかりませんが、おそらく、HPCIが作動できる状況ではなかったと思われます。

 いずれにしても、原子炉の冷却が、非常用の冷却装置で2日も3日も続くという想定はありません。原発プラントで全電源喪失が数時間を超えて続くという想定がないからです。
 2号機のRCICは60時間以上も作動を続けたのですから、おかしな言い方ですが、すごいと思っています。

 このようなことから、現在の時点で、HPCI(高圧注水系)が、あの時点の事故対応力としてRCIC(隔離時冷却系)より優れており、優先的に使うべきだったという判断はできません。


「(圧力が高くても注水できるのでベントも不要)」とのことですが、これまでの説明でわかるように、それはRCICでも同じ条件です。
 両冷却系とも、つまるところ、水源と電源が問題であり、電源はバッテリーの補充でなんとかできるとしても、水源が厳しかったと思っています。
 メルトダウン後の海水を使った冷却でさえ、海水が汲み上げられないために一時的に中断したくらいです。

● 「福島第一原発1号機と3号機は、ECCSが致命的な配管破損をもたらした。」について

オリジナルがどなたの文章なのかわかりませんが、気になった記述は、「311クライシスの本震直後、福島第一原発1号機の非常用復水器(IC)が作動し、再循環ポンプ配管にICタンク内の常温水が流入した。運転中270℃にもなる原子炉圧力容器に、ICタンク内の20℃ぐらいの常温水が流入したとなれば、圧力容器はもちろんのこと、ICが接続する再循環ポンプ配管は猛烈な温度差により深刻なダメージを受けたはずである。再循環ポンプ配管は14時46分の本震によりスクラム後、ICを起動した際に、一瞬で最大で150℃の温度差が記録されている」の部分です。

 ICは、原子炉から来た蒸気をタンク内の水で復水させて循環させる構造になっていますから、再循環ポンプに「ICタンク内の常温水が流入」することはありません。

 添付されている記録も、120℃程度なので、ICタンクを通ることで復水(冷や)された)水が、再循環ポンプに流れ込んだと考えることができます。

 原子炉や配管が中性子線で脆弱化され、温度変化に弱くなっていることに異論はありません。


 

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コメント
 
01. 2012年7月26日 20:44:41 : 00wQOZmo9U
いつもながらだが、この上から目線はすごいな。
その一方、こいつは東電が4号機を何度も何度も爆破したと実際に主張していたんだぜ。
お笑いだわな。

02. あっしら 2012年7月26日 21:18:19 : Mo7ApAlflbQ6s : DvLZNEv2EI

01.の00wQOZmo9Uさん、こんばんは。


>その一方、こいつは東電が4号機を何度も何度も爆破したと実際に主張していたんだぜ。
>お笑いだわな。


 笑って楽しんでもらうのも、一人で思い込むのも勝手だが、ウソを拡散するのはやめていただきたい。

 4号機建屋を東電が爆破したなぞと言ったことは一度もない。
 4号機建屋の爆破は、日本政府と米国当局の協議で合意し、米軍と自衛隊の共同作戦として実施されたと言い続けている。

(東電は、4号機建屋を目的に叶うかたちで爆破するような能力もなければ、勝手に爆破ができるようなポジションでもない)

 4号機建屋を爆破した理由は、交流電源復旧のめどがつかないなか、沸騰が間近に迫った4号機の使用済み核燃料プールへの注水手段を確保するための緊急避難的措置である。
 そして、爆破は、15日夜明けから16日朝にかけて2、3回実施されたと考えている。

 4号機の爆発が、3号機から流れ込んだ水素によるものという説のほうが、よほど笑いのネタになると思うがね。


03. 短足鰐 2012年7月26日 21:27:43 : 1dEIvwQCPSw5M : zqw7Lv8Ckk
今や末期症状を呈している彼の人、泥沼に身を投じてのたうちまわっている。
http://www.asyura2.com/09/dispute30/msg/653.html
投稿者 短足鰐 日時 2012 年 7 月 26 日 21:25:32: 1dEIvwQCPSw5M

04. あっしら 2012年7月27日 00:16:53 : Mo7ApAlflbQ6s : DvLZNEv2EI

短足鰐さんへ:議論板の投稿を拝読しました。コメント欄に以下の内容を書き込んでいます。

-------------------------------------------------------------------------------------------
2号機問題は、まとめたものを後日投稿する予定ですので、そのときにまたレスポンスを付けてください。


>対策チームがたとえ水がないことを把握して注水の必要性を認識していたとし
>ても、ベントが不可能な状態では注水も物理的に不可能である。給水口が開け
>られるくらいなら、それ自体がベントになる。
> だから彼の人は、そのとき物理的にもまた給水ポンプなど装備的にも給水で
>きる物理的・人的条件が整っていたことも証明しなければならない(つまり断
>罪までしているからここまでの義務を負う)。


 格納容器の圧力は、設計圧範囲で推移し、高くても8から9気圧でしたから、消防ポンプの水圧でも注水が可能でした。
 
 給水口を開ける必要はありません。消火系という注水配管が設備されています。
これは原子炉も同じです。

 3月12日の1号機を皮切りに原子炉に消防ポンプを使って注水をしました。
 給水口を開けることがベントになるのなら、原子炉に給水口を開けることなぞできませんよ。


※ 2号機に関する政府事故調の考えを提示しています。参考までに。

「X5yJj96VL6さんへ:キモい詩でおちょくって喜ぶより、私と類似の論を提示した政府事故調に噛みつく方が楽しいぞ。」
http://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/870.html

 


05. 無生物 2012年7月27日 04:38:08 : ce0Ar6eaeTZ7w : 8cmLjyQH4H
私のコメントを取り上げていただきありがとうございます。

なかなかパソコンに向かえない間に、粘着変動アドレス(00wQOZmo9U)氏の筋違いで無意味なコメントがついてしまったことを申し訳なく思いますが、新規記事立てにしていただくと気づきやすくて助かります。

ちなみに、粘着変動アドレス(00wQOZmo9U=QLRbh0RkdUその他)氏が人を揶揄する資格のないことは、海水による金属の酸化(腐食)を塩化とツッこんだ発言から明らかです。↓
http://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/717.html#c10
http://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/717.html#c15

ご回答への返信はフォローアップ投稿にしましたが、これだけを書くために私は、本(「福島原発多重人災 東電の責任を問う」)をめくり参照リンクを貼ったり、思いもかけない長考になってしまいました。
即応力がないので、すばやい返信は苦手です。

あっしら様とはHPCIへの見解はすれ違いに終わりそうですが、「NHKの検証はデタラメ」という指摘は大いに賛同しております。特に(米国賛美で終わる番組のオチの付け方は)自衛隊を貶めている、という鋭い指摘に敬服しております。

NHKデタラメ番組の徹底批判をこれからも期待しています


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