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玄海町長・町議が破格の外遊 「原発視察」一部は観光地巡り(西日本新聞)
2012年2月9日 07:01
九州電力玄海原発のある佐賀県玄海町の岸本英雄町長や町議が、2006年5月−10年10月の4年半の間に少なくとも16回、総額約2300万円の海外視察を行っていたことが分かった。7回は中国やフランスの原発など電力関連施設の視察で、観光地巡りを日程に組み込んだケースもあった。終了後に作成する報告書は過去の報告を使い回しした例もあり、識者は「町の規模から言えば破格の視察状況。原発マネーで財政が潤う町だからこそ、できることで、本当に必要な視察なのか成果を検証すべきだ」と指摘する。
文書は町長や町議が実施した06−10年度の海外視察について、町が情報公開条例に基づき行程表や精算書、報告書などを開示した。開示文書や町によると、視察16回の参加は町長8回、議長7回、町議(元職含む)延べ49人12回。町議会常任委員会や電源地域振興センター(東京)などが主催する研修や視察、交流のある海外都市への視察などとして実施された。
議長と町議3人が10年5月にフィリピンに行った「国外のエネルギー事情と地域振興策の視察」(4泊5日)では、2日目に閉鎖されたバターン原発を視察。その後、観光スポットとして知られる商業施設や戦跡を巡った。費用は計約129万円。
町長らが07年4−5月に実施した「欧州原子力施設の見学会・グラブリーヌ町との交流」(8泊9日)ではグラブリーヌ原発などを訪問し、地元町長と面会。目的は不明だが、ジュネーブやリヨンにも滞在している。費用は約736万円。
視察後、参加者は町議会規則や「慣例」(総務課)に基づき報告書を作成するが、首をかしげるような内容もある。
06年5月の中国・青島視察に参加した町議はA4用紙2枚を提出。青島について「1984年に特別経済技術開発区に指定されて以来、海外からの投資が集中し、近代建設が急ピッチで進展した」と記す。この部分はインターネット上の百科事典「ウィキペディア」とほぼ同じ表現だった。
また、別の町議は、08年5月の中国・海南省視察の報告書で現地の農場や漁業施設について「自分の目で見ての第一印象は『思った以上に広大だったこと。やはり日本のような一民間事業者でできるような事業ではない』…」などと記載。この町議は07年5月の中国・重慶視察でもほぼ同じ言い回しを使っていた。
こうした海外視察は、町の一般会計予算の総務費や議会費が財源。宿泊料や航空運賃などとともに、参加者の日当(1日当たり最大7200円)や支度料(最大約3万9千円)も含まれる。
海外視察について、岸本町長は「見るのと聞くのは大違い。海外で文化の違いを体験すれば、職員や議員も気持ちの面で変わる。成果を地域にどう反映するか考えないといけないが、臆病になって視察に行かないのが問題だ」と語った。
=2012/02/09付 西日本新聞朝刊=
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