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小出裕章氏:原子力安全基盤機構などの検査体制、ストレステストの実態@たね蒔きジャーナル
http://bochibochi-ikoka.doorblog.jp/archives/3237869.html
2012年01月12日01:07 ぼちぼちいこか。。。
ストレステストをやるとなった時に、専門家の皆さんも「なんじゃそれ?」となっていたのを覚えています。
後藤政志さんの解説によって、なんとなくこのままでは『単なるシミュレーション』になるということを理解していました。
是非、ゲオルギ氏の講演とともに、井野先生の講演部分で日本の現状をご覧になってみてください。
では、どうぞ。
20120111 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章
http://www.youtube.com/watch?v=4FmMhjx3mY0&feature=player_embedded
【以下、お時間のない方のために内容を起こしています。ご参考まで】
(水野氏)まず、ある組織のことで伺いたいんですけどもね、原子力安全基盤機構という組織があります。小出先生もご存知ですよね?
(小出氏)はい。もちろんです。
(水野氏)これはですね、どういうところかというと、
『原発関連施設の検査機関として、法で定められているただ一つの機関』なんだそうです。
近藤さん、こんなふうに『法律でただ一つ決められてる機関』っていったら、どんなにか厳しい検査をしているはずだと、私なんかは思うんです。印象で。
(近藤氏)そうですね。
(水野氏)ところが実態はですね、『検査対象となる事業者』、つまりこれは多くの場合電力会社ということになるんだと思うんですが、
『電力会社が作った原案を丸写しして、それを元に検査している』
っていうことが判ってきました。
あの・・・びっくりしてるんですけど、小出先生、これ、びっくりしてる私はどうなんでしょう。変なんでしょうか?
(小出氏)<苦笑>私は、京都大学原子炉実験所の職員ですし、原子炉を動かしていますので、定期検査をむしろ受ける側に居ます。
(水野氏)そうですね。
(小出氏)ただ、私の場合は、文部科学省の検査を受けることになっていまして、原子力安全基盤機構とは、私は関係が無いのです。
でも、私が例えば定期検査を受けるための検査の要領書というものがあるのですけれども、それは基本的には私の方が作っています。
(水野氏)あ、検査される人が作るんですか?
(小出氏)本当はそれ、正しくないのですけれども・・・、例えば京都大学原子炉実験所の原子炉、或いは私は廃液処理装置のお守りをしているのですけれども、そういう装置が、どういうものであって、どういう検査が必要で、どういうふうにしたらいいかという細かいことというのは、要するに検査官の方は判らないのですね。
(水野氏)言うたら、逆に言うと、わからないような人が検査するんですか?
(小出氏)えー・・・、例えば、水野さんの家の台所がどんなになってるかっていうのは、多分水野さんが一番よく知ってるはずだと思いますし、どういうところに問題がありそうだということも、外の人は多分知らない・・・と思います。
ですから、まぁ、原則的にこういうところはどうなってるかというようなことは、もちろんチェックのしようはあると思うんですけれども、細かい点のチェックの仕方というのは、私なら私、検査を受ける方の、機械を本当に知り尽くしている人間しか書けないのですね。
ですから、私たちのほうで、『こういう検査でどうだ』という要領書の案を作って、私の場合には文科省へ持っていくわけですが、それを文科省の担当者と一緒に、この検査の要領書でいいかという相談をしながら、要領書を作るのですね。
でも、基本的に言えば、要するに私・・・、原子炉実験所であれば、原子炉実験所の職員が基本的なことは作っているということなのです。
それはやはりこういう複雑な機械を取り扱う時には、そうならざるを得ないと私は思います。
ただし、問題は、原子力安全基盤機構のように、メーカーの人が基盤機構の職員になったり、いわゆる原子力村の人たちがその基盤機構で働いているわけですから、なぁなぁになってしまって、検査そのものが意味をなさないということになる可能性が強いということだと私は思います。
(水野氏)はぁ・・・、この原子力安全基盤機構の中にもですね、原発のメーカーや電力会社などのOBの方が大勢入ったはるようですね。
(小出氏)そうです。
(水野氏)それが今、小出先生がおっしゃった、原子力村のお仲間ってことになってくるわけですね?
(小出氏)そうです。仲間同士で検査をし合ってしまうわけですね。ですから、そういう体制はやはり問題だろうと私は思います。
(水野氏)近藤さん、こんな体制、もうまずぶち壊すところから始めなあかんように今、私は感じましたが・・・
(近藤氏)検査っていうのは、要するに、『安全を確保するために』やるわけですよね。
(小出氏)そうですね。
(近藤氏)だから、『安全を確保する』、その中身の検査を、いわば原発関連施設を守ろうとする連中がやってたら、そら、安全を担うっていうようなことにはならないわけで、この問題っていうのは、まぁ・・・、今日の福知山もそうだけど、人間の命っていますかね、そういうものをこの国っていうのは実にいい加減に考えてきているっていうことの見本みたいな話ですよね。
(小出氏)そうですね。そう言える点もやはりあると思いますね。
(水野氏)これ、原発の検査というのはね、そもそも伺いますけど、どんなことをなさるのか。例えば実際に配管が腐食してるかどうかなんていうのを、目で見たり触ったり、トントンと叩いて音聞いてみたりっていうようなことはできるんですか?
(小出氏)もちろん目視検査というのもありますし、例えばポンプなんかだったら、分解点検検査というのもありますし、それぞれ検査項目がたくさん決まっているのです。
(水野氏)ということは、じゃあもうしっかりと普通の機械みたいに、あらゆる部分をちゃんと検査できるんですね?
(小出氏)基本的にはできるという『建前』になっているのですね。
(水野氏)『建前』というのは、どういうことでしょう?
(小出氏)「ここを見なければいけない」と思って要領書を作るわけですけれども、実際には見てなかったところで事故が起こったりするわけです。
例えば、もう10年ちょっと前だったと思いますが、美浜3号機という原子力発電所で、2次系の配管が長い年月使っている間に、配管自身が薄くなってしまって、破裂をして作業員が5人亡くなったという事故があったのですけれども、それなどはもうずーっと始まって以降、一度も検査すら受けていなかったという、そういうところで事故が起きているのですね。
ですから、『建前上』はしっかりと検査をしているということになっているわけですけれども、どうしても見落としているところなどがあるために、そういうところで事故が起きてしまうわけです。
(水野氏)見落としが無いくらいに、わかりやすいものではないってことですね?どうしたって見落としてしまうくらい複雑だと思えばいいんですか?
(小出氏)そうですね、要するに、大変複雑な機械なわけですし、私なども検査をするときには、もちろん安全を守りたいと、私は自分の職場を守りたいと思っていますので、インチキをしよなどということは、更々私は思っていませんけれども、私などが考えつかないようなところで、時にトラブルが起きたりすることもあるわけですから、機械というものの宿命だろうと思います。
(水野氏)ほう。では検査の話でもう一つ伺いたいんですが、『原発のストレステストというものを行っていく』というふうに政府は言っていますよね。
もう既に、EU、ヨーロッパで、日本に先駆けてストレステストが行われたんですよね。今回、EUのストレステストの評価をした方が来日なさったんです。
ブルガリアのゲオルギ・カスチウフ博士という方なんですが、その方の言葉を聞いて、私はちょっと驚いたんですが、ストレステストなさったほうの方がおっしゃってるんですよね。
「ストレステストには評価基準は無く、ストレステストで原発が安全になるわけじゃない」
(小出氏)そうです。
(水野氏)・・・はぁ・・・。え?
(小出氏)ストレステストというのは、この番組でも聞いていただいたと思いますが、単にコンピュータのシミュレーションをするというだけのことなんであって、原子力発電所、機械としての原子力発電所が1ミリでも安全に近づくわけではないのです。
既にある、形のある原子力発電所が『どこまで異常事態に耐えられるのであろうか』という、計算機のシミュレーションをしてみるということだけなのであって、シミュレーションはあくまでもシミュレーションで、いい加減なシミュレーションをしてる限りは、何の有効性も無いということになってしまいます。
(水野氏)日本のストレステストは、このEUのストレステストを下敷きにしてなされるんですよね?
(小出氏)そういうことになっています。
(水野氏)なってますよね。
この博士がおっしゃるには、
「ストレステストには人的ミス、人間がするミスや複合要因や老朽化の問題は対象外である」
と。
(小出氏)はい。今はそうです。
(水野氏)はぁ・・・。この方、こんなこともおっしゃってる。
「3月11日の前に、福島第一原発のストレステストをもししていたなら、『問題ない』としていただろう」
(小出氏)当然ですね。
(水野氏)コンピュータ、シミュレーションだけなんですね。
(小出氏)そうです。
(水野氏)<ため息>はぁ・・・。もう『実体を見て、触って』なんてことはできないってことですね?
(小出氏)はい。少なくとも、ストレステストは実体を見るなんていうことは、何一つしません。
(水野氏)はぁ・・・。そうですか。でも、そのストレステストの結果で再稼働へというのが、政府の考えなんでしょうね。
(小出氏)要するに、これまで日本の原子力発電所というのは、例えば原子炉立地審査指針であったりとか、様々な指針、国が決めた指針に則って、安全審査を受けて、
「これではOKだ」
といって、お墨付きをもらってきたわけですね。
ところが、そうであったはずの福島第一原子力発電所で実際に事故が起きてしまったわけですから、これまでの指針が意味をなさなかったというのは、少なくとも事実として判ってしまったわけです。
そうなれば、今までの指針をこれから適用するということはできないわけですから、だからストレステストをやらなければいけないという話になったのですね。
でも、そのストレステスト自身が、単なるコンピュータのシミュレーションでしかありませんし、シミュレーションというのは、想定したことに関して計算をするわけなのであって、想定できないようなこと、人為ミスであるとかそういうことに関しては何もしないということになってしまうんですね。
要するに、今までやってきた安全審査、各種の指針に基づいた安全審査と言ってみれば同じことをまたやって、それで『安全性を確認した』というような言い訳を作るためにやろうとしているわけです。
(水野氏)はい。ありがとうございました。
(小出氏)ありがとうございました。
【以上】
◇
原発検査:「丸写し」03年設立以来 第三者委、あす改善要請 報告書「理解と意識、希薄」 (毎日新聞)
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