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<中国国家観光局><一変した北京駅と周辺><陝西省の庶民料理><キップのいい範さん>
http://www.asyura2.com/12/china3/msg/173.html
投稿者 五月晴郎 日時 2012 年 6 月 02 日 14:49:38: ulZUCBWYQe7Lk
 

(回答先: <エネルギー充満の北京地下鉄><胡ホウ副所長が主催><「論理的でない日本人」と苑所長が指摘><前門での夕食会> 投稿者 五月晴郎 日時 2012 年 6 月 01 日 12:48:39)

http://blog.livedoor.jp/jlj001/archives/51983717.html


本澤二郎の「日中40年友好の旅」(7)

<中国国家観光局>

 5月21、22日の両日、それなりに頑張ったものだから、23日は自由な時間が出来た。むろん、ホテルで寝転がっているわけにはいかない。犬も歩けば棒に当たる、である。前回は多忙で会えなかった中国国家観光局の範巨霊君に、念のため電話をかけてみた。突然の電話にもかかわらず、彼は「11時30分に事務所の方に来てくれませんか」と即決した。

 こういう判断をする中国人は珍しい。日本人だって、そう多くはいないだろう。会えば、新たな見聞を広げることが出来る。
 日本にも観光専門の役所が出来ているはずである。昔は運輸省が担当していた。中国には4000、5000年の歴史遺産が沢山埋もれている。観光資源は世界随一である。国家観光局はそうした背景のもとで発足したのであろう。
 国交正常化後、いち早く東京に事務所を設置、ついで大阪にも。中国観光に力こぶを入れてきている。筆者は現役の新聞記者時代に中国大使館員に紹介されて、彼らとの交流をしてきた。東京事務所では、時々中国の観光地を案内する行事をマスコミ各社に呼びかけていた。筆者は喜んで、この計画に参加した。お陰で、各地の観光めぐりを経験することが出来た。
 「中国に100回来ませんか」と声をかけてくれたのも、東京事務所の張さんという人物である。範さんとも、ここで知り合った。彼は実に友情の厚い人物で、時間さえあれば、筆者との雑談に花を咲かせてくれる。日本語を深く解する中国人なのだ。

<一変した北京駅と周辺>

 多少の時間を利用して、前にも紹介した台湾問題の専門家である元外交官・陸国忠さんの自宅に電話をかけた。たまに台湾に住む娘に会いに行く以外は、外出を控えているという。現役を離れて悠々自適の生活をしているようにも見受けられるが、高齢化の生き甲斐を見つけるのは人類共通の課題だ。
 元気そうな声に安堵した。彼は戦後50年の95年、筆者が計画した南京・盧溝橋の平和行脚に際して陰ながら支援してくれた。人民日報国際部長との交流会では、自ら通訳の労を取ってくれた。優しい人柄で知られる。

 せっかくの機会なので、少し早めにホテルを出た。昔であれば、建国門から長安街に出て観光局まで歩いて行ける距離だが、今回は体力とも相談した。また路上の排気ガスを嫌ったものだから、またしても地下鉄・建国門駅にもぐってしまった。久しくご無沙汰してきた北京駅・中国の陸の玄関を眺めようと思いついたのだ。
 北京駅というと、全国からの出稼ぎ農民が集中するため、駅前の広大な広場も彼らの溜まり場となって、いわば騒然としていた。日本の高度成長期の上野にも似ていたろうが、その規模は10倍にも膨らんでいたろう。
 そうした雰囲気が脳裏を圧迫していたものだから、見事に整然と一変した駅前に歓喜の声を上げてしまいそうになってしまった。古風な雰囲気を醸し出している駅舎は、立派に改修されていた。天井の時計台は正確に時を刻んでいた。変われば変わるものである。変化は長安街を走る車窓からチラと眺めたのとは違う。やはり現場・現地に立たないと、何事もそうだろうが、本物を理解することはできない。北京五輪からであろうが、二本足でじっくりと現場に立つと感慨も新ただ。
 駅周辺の建造物はみなどっしりとした重厚なものだった。広い道路を真中に挟んで、片方の大きな建物に入ると、地下はとてつもなく広い店舗が客待ちしていた。

<陝西省の庶民料理>

 駅のほぼ北側正面に観光局が所有する国際ホテルがある。そこのロビーで時間待ちした。ロビーの多くは外国ビジネスマンが目立った。パソコンを駆使しているもの、携帯をいじるものと、ここも以前の情景とは違う。時代の変化を物語っていた。そこから範さんを電話に呼び出した。
 彼の快活な声に促されて、国際ホテルの裏手の観光局の建物に回ると、既に彼が出口に現れていた。多忙勤務で運動不足なのであろう、少し太っていた。中年男性の共通する悩みだ。
 彼は歩き出した。同時に路上を睨みつけた。タクシーを拾おうとしているのだ。しかし、午前11時30分の北京繁華街で車など拾えるはずもない。「バスでいいか」と聞くものだから、筆者は「願ってもない」と応じた。

 バスはひっきりなしに目の前を通過している。便利な乗り物である。1元であるが、定期や学割もあるらしい。車内混雑はない。すぐさま目的地の食堂に着いた。
 「陝西省の庶民料理店を案内します」という彼の言い分通り、木製の小さな低い卓と椅子が並んでいる。既に客がいたるところ、占拠して食事とおしゃべりで、店内は賑わっていた。
 日本で言う「どぶろく」のような低アルコールの酒を注文してくれた。それを飲みながら、陝西特有の麦粉で焼いたパンを薦めてくれた。間に野菜や肉が入っている、実にさっぱり味の健康食品だ。人気の食べ物のようだ。
 観光で西安に行っても、この味を手にすることなど不可能である。彼は承知で案内してくれたのだ。麺類も出た。これは米の麺と麦の麺の2種類が、卓に並んだ。要するに、陝西省はシルクロードの交流地点で知られる。唐の都・長安なら日本人の多くが知っている。東西のあらゆる文化が交差している。そこから誕生した庶民が作り上げた陝西料理なのだ。
 店の名前は「秦唐府」である。朝陽門内南小街69号にある。外国人も満足するレストランだ。しかも、安いのである。昼過ぎには店内に待つ客で膨れ上がっていた。
 しかも、この店の注文システムがすばらしい。メニューが1枚のセルロイドのような物に書いてある。客はそれに丸をつけて店員に差し出すのだ。終わると、表示は消す。つまり何度でも使用可能なのだ。それに注文間違いも起きないのである。何度でも使える資源に優しい店なのだ。智恵である。大いに感心した。

<キップのいい範さん>

 彼は一度、声を荒げた。日本政府の対応についてである。「福島に行くのであれば、3年のビザを発給すると言ってきている」というのだ。筆者も腰を抜かしそうに驚いた。
 中国人を放射能汚染のモルモットにしようという魂胆であることは、誰でも理解できるだろう。こんなことが国際社会でまかり通るわけがない。詳しくは聞かなかったが、外務官僚にも困ったものである。日本人として恥ずかしい。
 いつも驚嘆するのだが、彼の切れすぎる頭脳にはほとほと感心するばかりである。特に、彼の東京勤務時代のことである。日本事情について、よく知っているのだ。その理由が判明した。
 彼は、日本の全国紙の社説をほとんど読んでいたからである。社説から新聞の傾向が読めるのだ。 学者・外交官を上回る日本語力なのである。しかも、正義感のある人物だ。彼を使いこなせる上司が出現すれば、大変な成果を出すことが出来るだろう。
 中国は広い。人材も豊富なのだ。日本人に例えると失礼になるが、キップの良さは、江戸っ子気質に似ている。
 レイシをご存知だろうか。この季節に、中国で食べることのできるさっぱり味の果物である。過去に何度か食べた。といっても、わずかな量である。範さんは、どっさりと買い込んで筆者に持たせてくれた。
 「ホテルに冷蔵庫が無い。少しでいい」といっても、彼は馬耳東風である。かくして、沢山のレイシをホテルの部屋で数日かけて食べ切った。大満足である。
 この日夜。天津の蘇君が来てくれた。上司の陳さんを紹介してくれた。むろん、大の日中友好派である。

2012年6月2日8時50分記  

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