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正恩体制、薄氷の安定
金正日総書記死去から1年 インフレ・中国頼み進む
【ソウル=内山清行】北朝鮮の金正日総書記が昨年12月17日に死亡し、三男の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が権力を継承してから1年。体制は表向き安定しているが、軍部との権力闘争をうかがわせる人事が相次ぐなど内情は複雑だ。供給不足でインフレが進行しており経済状況も依然、厳しい。当面、権力基盤固めを最優先する姿勢が続くとみられ「改革」や「変化」への期待はしぼみつつある。
「世界で一番立派な人民が、二度とベルトを締めつけない(飢えない)ようにする」。4月15日。金第1書記は、金日成主席生誕100年を祝う軍事パレードで演説し、軍事優先路線を強調しながら、人民の生活を向上させる決意も表明した。
その具体策が、6月末に打ち出した「6.28方針」といわれる経済改革だ。主な内容は(1)農作物を「国家」が7、農民3の割合で分配し超過生産分は農民の取り分とする(2)工場が生産品目や価格、販売方法などを決める裁量を拡大する――などとされる。労働者の自主性を認めてやる気を引き出す狙いだ。
ところが、改革は10月から本格導入するといわれたものの、12月になっても兆候はみられない。韓国統一研究院の林崗沢(イム・カンテク)シニア研究委員は「自由な経済活動が広がり、統制が利かなくなる事態を懸念しているようだ」と指摘する。当面は一部で導入し、効果や影響を見極めながら段階的に広げる方針とみられる。
増産に向けた政策を打てないためモノの不足は深刻で、物価の高騰が続く。北朝鮮専門ネットメディアのデイリーNKによると、12月のコメ価格(平壌など3地域の平均)は3年前に比べ150倍近く上昇した。
現代経済研究院の李鎔和(イ・ヨンファ)研究員は「実際のコメ価格の上昇は300倍以上とみている。給与も100倍になったというが、住民は市場での取引で何とか生計を立てているのが実情」と話す。
それでも経済が破綻しないのは、中国との貿易のおかげだ。大韓貿易投資振興公社(KOTRA)などによると北朝鮮の貿易額は10年間で3倍に拡大したが、中国との取引の急増が特徴だ。特に2011年は、それまで戦略物資として抑制してきた無煙炭の対中輸出を急増させて外貨を稼いだ。
11年の対中輸出額は全体の67%、輸入も73%を占める。今年は鉱物資源の価格下落や中国の需要減で、やや伸びが鈍っているものの、高まった依存度は簡単に下がらない。北朝鮮内では中国の人民元が取引通貨として流通している。
<MEMO>頻繁にテレビで動静、肉声も
外部に閉ざされた北朝鮮の動向を探る重要な手段が、公式メディアを通じた報道の分析だ。ラヂオプレスは、朝鮮中央テレビや平壌放送(ラジオ)などを常時視聴して、指導部の方針や権力構造の変化をチェックしている。
ラヂオプレスによると北朝鮮メディアが今年伝えた、金正恩第1書記の動静は149件(26日午後現在)。部隊視察など軍関係が約44%を占めた。「衛星打ち上げ」や軍人を動員した建設事業を含めると軍関係は約60%に上る。対外関係は中国共産党代表団との会談の2件だけだった。
側近幹部の随行件数をみると、叔父の張成沢・国防委副委員長が106回で最も多い。崔竜海・軍総政治局長が次いでおり、両氏への権力集中を裏付けている。李雪主(リ・ソルジュ)夫人は29回の同行が確認された。
金正恩氏の動静報道は金正日総書記と比べて、テレビを通じた映像を多用する特徴がある。金正日氏は肉声をほとんど公開しなかったが、正恩氏は生中継や録画ですでに5回、演説を公開した。
[日経新聞12月31日朝刊P.6]
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