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中国勢、東南ア生産拡大 上海汽車、タイ合弁
建機大手も新工場 FTA追い風
【上海=菅原透】中国企業の東南アジアへの進出が急ピッチで進んでいる。国有自動車大手の上海汽車集団(上海市)がタイでの合弁工場の設立を決めるなど、従来の縫製や家電といった業種から、自動車、機械、素材などに広がっているのが特徴。日本企業が早くから進出して高いシェアを誇る市場だけに、価格競争力が強みの中国勢の本格参入によって競合が強まる見通しだ。
上海汽車はこのほど、タイ財閥大手のチャロン・ポカパン(CP)とバンコクで乗用車合弁を設立することで合意した。投資額は当初18億元(約250億円)。上海汽車が51%出資し、2014年から上海汽車の独自ブランド車「MG」の生産を始める計画だ。
中国の自動車メーカーでは民営大手の浙江吉利控股集団(吉利汽車、浙江省)や独自ブランド車大手の奇瑞汽車(安徽省)などが、東南アジアに工場を持つ。しかし、実際に組み立て生産するのは現地の協力企業で、上海汽車の合弁事業は自ら巨額投資に踏み出す初めての例となる。
部品など自動車関連の進出意欲も高い。タイヤ大手の杭州中策橡膠(浙江省)はタイで4660万ドル(約40億円)を投じて工場を建設、14年の生産開始を目指す。
旺盛なインフラ需要を見越して建機業界も積極的だ。インドネシアでは民営建機大手の三一集団(湖南省)が工場建設を進めている。中聯重科(湖南省)や徐州工程機械集団(江蘇省)など国有建機大手も東南アジア諸国連合(ASEAN)向け輸出を増やし、「現地生産体制づくりを進める」(徐州工程機械集団の王民董事長)という。
中国企業の東南アジア進出では00年代から縫製業や家電業が先行。海爾集団(ハイアール)はタイとマレーシアに工場を持ち、冷蔵庫や洗濯機などの白物家電を生産。同社によるとタイの冷蔵庫市場シェアは12%。「現地に合った製品開発を加速する」方針で、一段のシェア向上を狙う。
新たな進出機運の追い風となるのは、10年に本格発効した中国とASEANの自由貿易協定(FTA)だ。中国から基幹部品を持ち込む際の関税コストを抑えられる。中国からASEANへの今年1〜11月の輸出額は前年同期比19.3%増の1831億ドル。中国の輸出総額に占めるASEAN比率も10%に迫る。
ただ、経済面でのつながりが深まる一方で、中国企業に対する警戒感も根強い。カンボジアで縫製工場を運営する紅豆集団(江蘇省)の周海江総裁は「社会貢献活動を通じて現地社会に溶け込む努力が必要だ」と話している。
[日経新聞12月29日朝刊P.7]
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