http://www.asyura2.com/11/senkyo116/msg/409.html
Tweet |
唐突に出てきたストレステスト(耐性試験)とは何か。これは、EU・ヨーロッパ連合が、福島原発事故を受けて導入した「原発の安全性をシミュレーションによって確認する再評価の仕組み」を指している。地震や津波などの災害規模を段階的に大きくしていった時、どの程度のレベルになれば電源喪失などの重大な事故が起こるかを調べ、これにより原発設備の弱点を洗い出し、対策を立てることを目指すものである。
EUでは、電力会社が行ったシミュレーションを、各国の原子力の規制機関がチェックし、さらに、別の国の専門家などによって相互評価する。EUでは各国で安全基準が異なる上に、事故が起こると他国に影響を与えるから、こうするのは当然である。日本でも、原子力安全・保安院と原子力安全委員会が、EUの事例を参考にしながらこのテスト実施に向けて打合せすると、6日海江田経産相が発表していた。
処が、首相は7日の参院予算委員会で原発再稼動の条件として、「全原発を対象にストレステストを実施する」と述べた。自民党佐藤ゆかり議員が「耐性試験は電力会社の負担増になる」と指摘した質問への回答である。このため同委員会で「私は、玄海はOKだと安全宣言した」と、玄海原発の早期再稼動に前向きな発言をしていた海江田氏と首相の言うことが異なってしまった。
首相は海江田氏の安全宣言に同意していたのである。このテストを原発再開の条件とするなら、なぜ、事前に海江田氏と調整しなかったのだ。同委員会で首相から梯子を外された形になった海江田氏は、国会終了後記者団に対して、「政治家はどこかで責任を取らないといけない」と辞意を洩らした。また、政府の安全宣言を信じ、玄海原発の再稼動を受け入れていた佐賀県知事と玄海町長が態度を硬化させた。当然だ。
ストレステスト実施のことは、海江田経産相、山花外務政務官などが出席した6月20〜24日に開催された「原子力安全に関するIAEA閣僚会議」で、世界に通知されており、首相も2週間前から知っていたことである。それを突如として原発再開の条件だと言い出したのはなぜか。例によってパフォーマンス以外の何ものでもない。
首相は7日の参院予算委員会で、自民党から進退問題を追及されていた。そこに佐藤氏の質問であった。それを逆に取り、「原子力の安全性について『国民が安心できる形を取らねばならない』という観点が若干抜け落ちている」と反論し、ストレステストを打ち出した。参院予算委員会での自らの劣勢を取り繕うための、思いつき発言としか言えない。まさにパフォーマンス以外の何ものでもないのである。
それが証拠に、8日の閣僚懇談会で複数の閣僚から「閣内不統一かの如き印象を与える」と苦言を呈された首相は、「私の指示の遅れ、あるいは不十分さがあったことに責任を感じている」と陳謝したと玄葉国家戦略相が述べている。菅直人という人間は【責任を感じる】けれども【責任を取らない】。だから海江田氏が「責任を取って辞める」と困る。それを防ぐための陳謝にすぎないのだ。なぜ、またそう言うのか。
6日、7日の衆参両予算委員会で、松本前復興相の発言に関し、首相は「任命責任を感じる」と陳謝した。処が、7日の参院予算委員会で、たちあがれ日本の片山虎之助議員から、「責任は感じるものではない。責任は取るものだ」と突っ込まれた。片山氏のような10歳も歳上で議員歴が長い人物から「理」にかなった追及を受けると、誤魔化しは利かない。菅は完全に回答に詰まった。こういう伏線があったのだ。
詳細が未定なので断定的なことは言えないが、ストレステストは何か特別な試験を行うのではない。安全性の限界を確認するシミュレーションである。数年前の耐震偽装設計事件で、設計基準を満たしていないマンションが見つかったが、このテストはそのような安全設計基準に満たない原発を見つけることではない。定期点検終了後、即ち国による安全確認後に、その原発の再開条件にする話とは次元が違うものなのだ。
脱原発を言う人の一部に、菅首相のこの発言を歓迎する者がいる。だが、それは詐欺師に誑かされているのだ。浜岡原発の運転停止要請により内閣支持率が一時的に上昇した。その夢を再び見たいのだろう。脱原発が支持率上昇にならないと分れば、彼のことである、次の何かに抱きつくだろう。
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?n=110736
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK116掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。