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http://www.news-postseven.com/archives/20120905_141025.html
アメリカを代表する外交誌『フォーリン・ポリシー』電子版9月号に、「2012年の日中海戦」と題した研究論文が掲載された。
尖閣諸島をめぐる争いが日中の軍事衝突に発展した場合、どちらが勝つかをシミュレーションしたものである。著者でアメリカ海軍大学准教授のジェームズ・R・ホルムズ氏によるその結果は、「日本の圧勝」だった――。
実際に日中が武力衝突する事態となれば、当然、日米同盟にもとづいてアメリカが日本を支援することになる。しかし、同レポートは〈政治的な側面を無視して、日中両国の海軍力を比較し、軍事的な視点から戦闘の展開を予測してみる〉として、あくまでも日中2国間での戦闘を想定する。
日本人の多くは日本の防衛は「アメリカ頼み」と思い込んでいるかもしれない。だが、専門家の精密な分析によれば、日本だけで中国と戦ってもなお、「勝てる」というのである。
同レポートはまず、日中双方の軍備を比較する。海上自衛隊が保有するのは艦船48隻とディーゼル潜水艦16隻。対する中国海軍は主要艦艇73隻、ミサイル艇84隻、潜水艦63隻。数では中国が日本を上回っている。
にもかかわらず、日本が有利とする理由として、次の2つを挙げている。
第一は、<戦力の質>だ。閉鎖的な共産主義の下では〈失敗を隠蔽する傾向がある〉ため、旧ソ連軍がそうであったように、中国海軍も〈重大な欠点を隠している〉可能性が高いという。
ホルムズ氏がいう。
「中国海軍は海上演習に対して非常に用心深い。というのも、中国は政府の威信を高めるために新しい艦船や航空機、兵器を見事に操作して見せなければなりません。もし演習で事故が起きれば指導者の責任が糾弾されることになるからです」
そしてレポートでは、〈海上自衛隊の艦艇の質と人員の能力は中国海軍の数的優位を部分的に相殺するか、全面的に覆すだろう〉と指摘する。
軍事ジャーナリストの井上和彦氏がいう。
「海上自衛隊には、イージス艦に代表されるように、高度な電子機器を搭載した世界最高水準のハイテク・システム艦が揃っている。中国海軍もこうしたハイテク艦の建造を急ピッチで進めているが、現時点では、海上自衛隊は個艦の性能で中国を圧倒しています」
潜水艦も、原子力潜水艦を持つ中国に対して海上自衛隊の16隻はすべてディーゼルエンジンの通常型潜水艦にすぎないが、その静粛性や魚雷による攻撃能力は世界最高水準で、中国よりも上だという。
「さらに海自は、対潜能力に優れた水上艦艇に加えて、P3C哨戒機やSH60J/K哨戒ヘリといった最強の対潜機を約160機も保有しています。中国の原子力潜水艦もこの海自の高い対潜能力から逃れることはできません。また、中国の空母ワリャーグをはじめ、現在建造中の2隻の空母も、本格的に運用できるまでには、まだ相当の年数を要するでしょう」(同前)
数では圧倒的に中国に劣るものの、それを補ってあまりある質の高さが海上自衛隊にはあるというわけだ。
ホルムズ氏が挙げる第二の理由は<人的要素>、すなわち自衛隊の隊員の能力の高さである。
〈海上自衛隊はアジアの海域で恒常的に単独、または合同で訓練を積んでいる。中国海軍は経験が浅く、海賊対策として2009年に(ソマリア沖の)アデン湾に派遣されただけである。中国艦船は航行距離も短く、兵士は技術的に習熟するだけの訓練を受けておらず、専門家としての教育や健全な習慣の育成にも欠ける〉
井上氏が補足する。
「海自隊員はすこぶる優秀で、艦艇乗組員はもとより戒機の搭乗員の熟練度も中国海軍とは比べものにならない。なぜなら日本は、米ソ冷戦時代からアメリカの世界戦略の一翼を担い、強大なソ連海軍と対峙を続け、世界最強の米海軍と訓練を通じて錬度向上に努めてきました。一方の中国海軍は、ハイテク装備を駆使した運用経験が浅く、現時点での実力は未知数です」
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