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テレビと橋下「維新の会」(上) 批判なく 市長には忠実
「しんぶん赤旗」 2012.04.11 日刊紙 3面
「『維新』へ『維新』へと流れをつくっている。私は、『橋下維新』そのもの以上に、こうした体質のマスコミを怖く感じている」(大阪府 赤坂さち子さん=1日付本紙「読者の広場」)
読者からマスコミへの厳しい意見が寄せられました。
橋下徹・大阪市長と「維新の会」が、打ち出した「教育基本条例案」「職員基本条例案」、そして橋下市長のもとで実施された市職員への思想調査アンケート。それらがNHKや民放キー局で、批判的視点から取り上げられることはほとんどありません。
対立はあおるが
「教育基本条例案」は教育への首長の権限が盛り込まれ、「職員基本条例案」は職員の人事評価とそれに沿った処分が決められています。それらをどう考えるか、視聴者に考える材料を提供しようとする姿勢は見られません。報じても、条例に反対する労働組合と市長の対立をあおるものとなっています。民主主義の根幹にかかわる問題に対する鈍感さがはなはだしいといえます。
テレビが伝えるのは、橋下市長の一方的な言動ばかりです。メディアを意識して毎日、行っている立ちインタビューをそのまま流し、さらに誇張してクローズアップする番組も出ています。
NHKが飛びついたのは維新政治塾です。「ニュース7」と「ニュースウォッチ9」でそれぞれ24日、26日に特集を組みました。維新塾の始動の様子や集まった志願者のインタビューが中心で、維新塾の中身や橋下氏の国政への進出の思惑には踏み込みません。維新塾と一体となってアドバルーン打ち上げに一役買ったNHKの不偏不党の立場が疑われます。
ねつ造≠ノ沈黙
その中で、NHKも民放テレビも触れずに沈黙したままのニュースがあります。リストねつ造問題です。市職員への思想調査の口実とされた市長選挙のリストが、実はねつ造だったことが、3月26日に明らかになりました。この問題を深く掘り下げたニュース番組はありません。橋下氏の生出演を売りにしてきた「報道ステーション」(テレビ朝日)も口をつぐんだままです。
橋下市長の言うことは忠実になぞるが、まずいことには蓋をする。ここに、いまのNHKや民放キー局が発するテレビ報道の姿勢が露骨に表れています。 (つづく)
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