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(回答先: 「ギリシャ」と「橋下ブーム」をつなぐリスクシナリオ 「次はポルトガル」を意識する投資家、追加支援は必至との見方 投稿者 ts 日時 2012 年 1 月 31 日 00:01:49)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34422
欧州危機、債務激増を招きかねない財政条約
2012.01.31(火) Financial Times:プロフィール 1月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ユーロ圏の危機はいつになったら収まるのか〔AFPBB News〕
筆者が最近何人かで話をしていた時、会話に参加していた人は皆、欧州の新しい財政協定は全く馬鹿げた代物だという見方に賛成しているようだった。
すると、かつて政策立案者だったある人物がその会話を聞きつけて筆者たちの方を向き、原則的にはその通りだと思うと語った。しかし、もし新条約が欧州中央銀行(ECB)により柔軟な姿勢を取るよう促すのであれば、やってみる価値はあるかもしれないと付け加えた。
筆者はその後、ある中央銀行幹部と話をした。この人物も財政条約には意味がないとの見方に賛成してくれたが、それでも条約を支持するという。金融市場へのシグナルの役目を果たすというのがその理由だった。
さらに、よく接触する数人の金融市場関係者と話をしたら、あの条約は全く馬鹿げているという答えが返ってきた。
新条約については、どれほど好意的に表現しても「必要ではない」としか言えないだろう。条約の最終版に盛り込まれそうな内容は、既存の条約や法 令、特に「シックスパック」と呼ばれる先に承認された政策監視手段で導入されているものばかりだ。それ以外の内容も、新しい派生法を通じて容易に導入でき るだろう。
財政条約がもたらすダメージ
筆者はまだ、新しい財政条約にどんな効果があるかを説明できる人(堂々巡りの議論の一環として挙げられる効果を除く)に会ったことがないが、この 条約がもたらすダメージの方は明らかだ。英国のデビッド・キャメロン首相との全く無用な対立を考えれば、それだけで十分だろう。
しかし、財政条約が持つ真の破壊力に比べれば、英国の問題など取るに足らない。この条約は、景気循環を極端に増幅する政策の採用をユーロ参加国に促してしまうのだ。
スペインでは、既にそれが起きている。スペイン政府は先週まで、合意された財政赤字削減目標を達成するために緊縮措置をどんどん積み重ねるような ことはしないと述べていた。それは賢明な政策に思えた。スペイン経済は同国の手が及ばない理由から、予想より早いペースで縮小している。こうした状況下で は、自動安定化装置を働かせるのが賢明だ。
実際、ユーロ圏諸国は2009年には自動安定化装置を働かせた。そのおかげで、景気後退は非常に深刻だったとはいえ、少なくとも後退局面が過度に長引くことは避けられた。
国際通貨基金(IMF)も先週初め時点では、スペイン政府の立場に同意していた。スペインの新聞エル・パイス紙は、さらなる財政調整は市場の緊張を和らげるどころか、逆に悪化させるため望ましくないというIMF高官の発言を引用していた。
景気後退の真っ只中に財政赤字削減を急ぐスペイン
IMFはスペインについて、景気後退が2年間続き、財政赤字は昨年の国内総生産(GDP)比8%から、今年は同6.8%、来年は同6.3%に低下 すると予想している。つまり、財政赤字は目標を大幅に超えてしまうにもかかわらず、スペインはなお、2009年の景気後退とほぼ同じくらい深刻な景気後退 に陥るわけだ。
昨年12月に就任したばかりのマリアノ・ラホイ首相〔AFPBB News〕
ところがスペインのマリアノ・ラホイ新首相は先週ベルリンを訪問した際に、財政赤字を2012年にGDP比4.4%、2013年に同3%まで削減するという先に合意した目標に対する政府のコミットメントを改めて表明した。
ラホイ首相は今年、IMFのベースライン予想に対して赤字を追加で2.2%削減し、来年はさらに3.3%カットしたいと考えている。これだけの赤字削減を経済が縮小している間にやろうとしているのだ。
スペインはギリシャがたどったのと同じ道を進んでいる。もちろん、スペインの方が経済はかなり健全だ。だが一方で、スペインはギリシャにはなかっ た問題を抱えている。すなわち、多額の債務を抱えた民間部門だ。これが、赤字を過剰に削減する政策が大きな害を及ぼしかねない理由だ。
デレバレッジングの著しい影響
野村総合研究所の主席研究員、リチャード・クー氏は最近、米国、英国、ユーロ圏におけるデレバレッジング(負債圧縮)の影響について検証した*1。スペインは同氏が「バランスシート不況」と呼ぶものの極端なバージョンを経験しており、その規模は米国や英国よりはるかに大きいという。
2007年第3四半期以降、スペインの民間部門はGDP比で債務を17.2%削減した。一方、公的部門はGDP比で債務を11.8%膨らませ、民 間部門のデレバレッジングを部分的に穴埋めした。その差は、対外部門のプラスの貢献という形でもたらされた。言い換えると、経常赤字の減少によってもたら されたわけだ。
*1=‘The world in balance sheet recession: causes, cure, and politics’(PDF)
http://www.paecon.net/PAEReview/issue58/Koo58.pdf
1990年代の日本と同様、欧州諸国の政府は深刻な恐慌を招く事態を回避するために、民間部門がデレバレッジングを進める間、経済を支えることが不可欠だとクー氏は主張する。
つまり、もしスペインがギリシャの例に倣い、日本で起きたことを無視したら、最も可能性が高い結果は、長期にわたる深刻な景気後退だということだ。筆者の考えでは、これはユーロ圏にとって、我々を一瞬興奮させる様々な危機の副産物よりもずっと大きな脅威だ。
スペインがブラックホールに落ちたら・・・
大局的な見地に立つと、ギリシャ国債の保有者が自発的な関与で合意するかどうかなど、全く重要ではない。スペインがブラックホールに落ちたら、どれほど大規模な救済基金でも同国を穴から引っ張り上げることはできないのだ。
皮肉なのは、ユーロ圏の債務削減を目的とした財政条約が、南欧の大部分で半永久的な不況が生じるリスクを大幅に高めてしまうために、債務が爆発的に増加する原因になりかねないということだ。仮にそれが起きたとすれば、何をもってしてもユーロ圏を救うことはできない。
By Wolfgang Münchau
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