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(回答先: 米国デフォルトでリーマンショック再来は本当か 元クリーブランド連邦準備銀行総裁 W・リー・ホスキンス氏に聞く 投稿者 sci 日時 2011 年 7 月 28 日 08:11:04)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/16667
欧米コンビが演じる「自ら招いた危機」
2011.07.28(Thu)(2011年7月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
金融危機のない時期が2年以上続いては観客が飽きてしまうと思ったのか、欧州と米国というベテラン漫才コンビはバラエティーショーを1本演じることにした。
欧州では、ギリシャがデフォルト(債務不履行)に向かいつつあることを遅まきながら理解したユーロ圏が2度目の救済措置を発表した。米国では、支払い能力のある政府をギリシャのように見せようとして連邦議会が奮闘している。
ちゃんと機能している政治はどれも同じようなものなのかもしれないが、機能していない政府は、それぞれ違った形の機能不全に陥っている。今回の双子の危機からは、欧米の2つの政治システムがどのような過程を経て役に立たなくなってきたかがうかがえる。
欧州の「ポルダー(干拓地)政治」
EUのCO2排出権取引サイトにフィッシング攻撃
欧州は執拗なまでに議論を繰り返す政策決定の形を発展させてきた〔AFPBB News〕
欧州の問題は、いくぶん成功した政策決定モデルが、このモデルがますます適さなくなっている環境で利用されているところにある。
欧州連合(EU)は1951年に、6カ国が参加する石炭と鉄鋼のカルテルとして発足して以来、執拗なまでに議論を繰り返す政策決定の形を発展させてきた。
いくつもある権力の極――参加国、欧州委員会、欧州議会――の間でコンセンサスの形成を目指す仕組みで、極と極との相互作用はますます複雑になっている。例えば、新たな憲法条約が批准されたり、加盟国が増えたり、欧州議会の発言力が増したりしている。少しずつ異なる利害を調和させ、まとめ上げていく必要も生じている。
オランダ人はこのアプローチに、「ポルダー(干拓地)政治」という愉快な名前をつけた。昔から、同じ干拓地にある村は堤防の建設については意見を一致させなければならなかった。そうしなければ全員おぼれ死んでしまうからだ。コンセンサスの形成に時間をかけることは可能であり、引き延ばすこともできたが、いつまでも先送りすることはできなかった。
しかし、漁獲割り当ての交渉や電球の環境基準の設定なら何カ月かかっても構わないが、通貨の発行や債務危機への対処といった課題では、議論を繰り返すEUのやり方はあまりうまくいかない。
ギリシャ危機の場合、EUの動きは当初から恐ろしく遅かった。救済のための融資スキームがまとまったのは昨年5月のことだったが、これは昨年2月には合意に達しているべきものだった。
ここ数カ月においても、ギリシャのクレジットスプレッド(信用力に起因する利回り格差)が拡大する中で、欧州当局はなかなか決断を下さず、国内レベル、政府間レベル、汎ユーロ圏レベルのそれぞれで議論を繰り返した。
7月21日に第2次支援策が発表されるまでに、ドイツのアンゲラ・メルケル首相が自身の連立政権のメンバーと公然と対立したり、ドイツが他のユーロ圏諸国にケンカを売ったり、ユーロ圏諸国の政府が欧州中央銀行(ECB)と論争を展開したりした。
米国政府の高官は、メディアでしか最新の情勢をつかむことができなかったと話している。新聞を読むこと(あるいは「iPad(アイパッド)」のアプリで読むこと)はもちろん推奨されるべきことだが、普通に考えれば、ユーロ圏は独自のコミュニケーションの手段を作っておくだろう。
メルケル首相は19日、「政府、特に私自身は、大変な数の素晴らしい助言を得ている。時にはかなり矛盾する助言もある」と述べた。冗談じゃない。変化のスピードが遅い問題に対しては、前述のポルダー政治でも結構だ。しかし、堤防が既に決壊していて海水が流入しつつある時は、そうではないのだ。
ワシントンを揺るがす自発的なソブリン債務危機
08年米連邦議会選、共和党大敗の観測強まる 引退選ぶ議員も
8月2日の期日まで1週間を切ったが、米議会は債務上限引き上げ交渉をまとめられずにいる・・・〔AFPBB News〕
大西洋の対岸では、自発的なソブリン債務危機という驚くべきショーに首都ワシントンが揺さぶられている。
米国の問題は、関係者に妥協を強いる目的で作られた政治システムが、妥協しないことを美徳とする政治家たちによって運営される傾向が強まっていることにある。
ワシントンの政界の党派性について文句を言うことは、この街の夏の蒸し暑さについて愚痴をこぼすことと同じくらい革新的だが、議会専門誌「コングレッショナル・クォータリー(CQ)」が半世紀前から計測している各党の結束度の記録は、連邦議会の共和党と民主党で二極化が一段と進んでいることを裏づけている。
筆者はこれまでに、「議会的な」という形容詞が軽蔑的な意味で下院に浴びせられるのを何度か耳にしている。議員に党議拘束をかけることは、英国式の選挙専制政治(行政府が立法府の大多数を支配している)では昔から行われている。だが、このやり方では、権力が分散しており妥協が求められるシステムを損なってしまう恐れがある。
それに加えて、共和党のティーパーティー派(そのメンバーの多くは、州レベルはおろか地方自治体レベルの政治でも取引をした経験がほとんど、ないしは全くない)と、債務上限引き上げに抵抗する「ふり」をするというこれまでなら害のなかった連邦議会のゲームのために、大変な災難を招く恐れが生じている。
公正を期すために言えば、ワシントンはかつて深刻な金融危機に見舞われた際に、党派対立を短期間で克服するという非欧州的な能力を発揮してきた。連邦議会下院は2008年10月、金融機関の救済に7000億ドルを投じるという内容の、不当なほど不人気な不良債権救済プログラム(TARP)法案を可決した。
確かに一度は否決したし、可決するまでに市場はさらに下落していたが、それでもリーマン・ブラザーズ破綻の数週間後という早業だった。
米、デフォルト回避に向け民主・共和両党の調整続く
7月23日にホワイトハウスで会談するバラク・オバマ大統領と共和党のジョン・ベイナー下院議長〔AFPBB News〕
しかし、今回の問題は自ら招いたものであり、外部の力を利用しようとする試みもこれまでのところは失敗に終わっている。
先週の終わりにはホワイトハウスと共和党のジョン・ベイナー下院議長の双方が、アジアの金融市場が月曜日に開く前に債務上限の引き上げ交渉をまとめる必要があると警告して危機感をあおるという、かなりみえみえな試みに出た。
だがアジアのトレーダーたちは無情にも、この合図に応じてパニックを起こそうとはしなかった。
政治システムの欠陥が残る限り、お粗末な対応が続く
ギリシャの危機も債務上限を巡る危機も、少なくとも一時的には後退する可能性が高い。実際、恐らくは後退するだろう。
ユーロ圏は、ギリシャの当面の資金需要を満たすのに十分な規模の公的資金投入を約束しているし、米国債を自発的にデフォルトするなどという恐ろしく馬鹿げた行為を連邦議会が実行するなど、やはり信じられないことだからだ。
とはいえ、これらの問題は、似たような他の問題とともに、いずれ再来する。そして、試練を危機に変えてしまう深刻な欠陥が政府の構造に存在する限り、欧州と米国はお粗末な対応を取ることになるのだろう。
By Alan Beattie
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