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<シリーズ 原発の深層>第1部 原発マネーG/田中邸に消えた5億
「しんぶん赤旗」 2011.09.11 日刊紙 1面
新潟県の佐渡島を望む日本海沿いの砂丘地が、世界最大の東京電力柏崎刈羽原発(出力821万`h)へと変貌した背景について、地元では自民党政治家の“黒いうわさ”が語り継がれてきました。
元県議の証言
柏崎市(旧西山町)出身の田中角栄元首相の土地転がし疑惑です。本紙2001年1月15日付は、田中氏の後援会「越山会」幹部だった木村博保氏(元自民党県議)の証言で裏付けました。原発用地の売却資金5億円が、東京・目白の田中邸に運ばれ、1972年7月の自民党総裁選に投入された事実を明らかにしました。
柏崎に原発誘致を働きかけた人物として、田中氏が「深い交際」(『私の履歴書』66年)をした東電顧問の桧根宗一氏がいます。地元紙は、松根氏が63年当時の柏崎市長・小林治助氏に誘致を勧めたと報じています。
田中氏は、後に原発用地となる砂丘地約52万平方bを66年9月、「室町産業」名義で購入。同年10月、日本共産党が国会で、信濃川河川敷買い占めを追及、「室町産業」を幽霊企業だと暴露すると、田中氏は翌67年1月、登記「錯誤」として「室町産業」の名前を抹消し、木村氏名義に。71年10月、東電に用地を売却した際、土地の値段を決めたのも田中氏自身だったと木村氏は証言します。
ハコモノ次々
田中氏は地元の講演で「(柏崎刈羽と巻の)二つの原発ができると新潟県は一大電力供給地となり、税収は豊かになるッ」と叫びました。人口9万人の柏崎市に電源3法交付金だけでも32年間で1133億円も注ぎこまれ、図書館、博物館、体育館やスポーツ施設が次々と造られました。
日本共産党の持田繁義市議は「電源3法交付金で、ゴミ捨て場だった池をわざわざ野球場にしたため、照明施設も作れず、外野が沈み、当初は毎年500万、800万円レベルで地盤沈下対策に追われました。(07年の)中越沖地震による大規模改修費用もかさんでいます」と指摘します。
現在、原子炉7基中2基が稼働する柏崎刈羽原発の構内は、福島第1原発事故後の対応として、「練馬」「八王子」ナンバーなど、東京都内の東電営業所からかき集めた電源車12台が待機。東電は、次の地震に戦々恐々としています。
持田市議は言います。「原発を誘致した結果、ハコモノをつくれば仕事をしていると錯覚する人たちをつくりだしました。原発は、住民の団結、自治をお金で阻害している」 (つづく)
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