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9月1日から「しんぶん赤旗」で「シリーズ 原発の深層/第1部 原発マネー」の連載が始まった。第1回目では、関電が若狭湾一帯にお金をばらまいて集落ごとに買収していった手口を暴いていく。
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<シリーズ 原発の深層>第1部 原発マネー@/町にナゾの巨額寄付
「しんぶん赤旗」 2011.09.01 日刊紙 1面
日本海有数の海水浴場として知られる福井県の若狭わかさ湾。わずか半径25`に15基もの原子力発電所が集中し、「原発銀座」と呼ばれています。原発推進のために巨額マネーが動き、自治体行政がゆがめられてきました。
人口約9000人のおおい町。小浜湾を抱くように延びた大島半島の先端に関西電力大飯おおい発電所があります。この町の財政には、長年巨額の寄付金が流れ込んできました。町当局は、寄付金の出どころは公表していません。しかし、原発への住民の不安を抑えるための「関電マネー」であることを否定する人はいません。
町内63地区の集落すべてに「関電マネー」が注ぎ込まれる仕組みまでありました。
集落ごと買収
ことの起こりは、1986年に町に寄せられた関電からと見られる5億円の寄付金でした。町当局は5億円の基金を設け銀行に預金し、その利子を集落に配布する仕組みを編み出しました。町は、そのために「大飯町集落ぐるみ町民指標活動支援基金条例」を制定したのです。
各地区に最大で年間180万円ほどの、自由に使える金額が転がり込みます。集落の祭りや旅行、清掃などに使われます。これらは、集落単位の行事で、たとえ原発に反対している人でも参加しなけれなりません。
「大飯原発の3、4号機増設(87年着工)にともなう住民の不安を抑え込むのが狙いでした。これまで長年にわたっておこなわれてきましたが、まさに“集落ぐるみの買収”です」。おおい町の猿橋巧日本共産党町議は、厳しく批判します。
また、同町(旧名田庄村)では、66年に関電による揚水発電所建設の話が持ち上がったこともありました。地域住民の移住も行われました。しかし結局、05年に計画は頓挫しました。
関電さまさま
ある議会関係者は、こう証言します。
「計画頓挫に伴い関電は迷惑料として、町に1億5000万円の現金を支払うといってきました。でも、関電は、これが表沙汰になれば、揚水発電建設で迷惑をかけたほかの自治体も要求してくるので、寄付金として表にでないようにしてほしい、といってきたのです」。関電のやり方には、隠密潜行という言葉がよく似合います。
美浜原発のある美浜町には、06年度の一般会計に、12億3000万円、07年度は10億2000万円の寄付金が入りました。寄付者の名前がない匿名寄付金です。
同町では、04年8月」美浜原発3号機で11人の死傷者を出す蒸気漏れ事故が発生しました。しかし、06年5月、福井県知事は同3号機の運転再開を了承する意向を示し、翌07年2月には営業運転が再開されたのです。
同町の女性(54)は語ります。
「関電が地域にお金を寄付し、地域の有力者を取り込んでいる。企業も関電関係ばかりで、お金をあてにできるのは関電しかない。美浜町では“関電さまさま”なのです」 (つづく)
◇
東京電力福島原子力発電所の事故から6カ月、収束のめどは依然としてたっていません。シリーズ「原発の深層」で「安全神話」をふりまき原発を推進してきた勢力に迫ります。第1部では「原発マネー」に光をあてます。
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