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以下の文章は3日前に書いたものであるが、次々と公式発表が変更されるので、修正しながらのアップである。内容がチグハグになっているかもしれないが、予めご了承願いたい。
いままでの原発を巡る状況をまとめると、次のようになる。
公式発表によれば、1ないし3号炉については燃料が完全に融解して「圧力容器の底か格納容器の底に」ある(あくまでも公式発表)。
水位によるが、2・3号炉の圧力容器は損傷していない(あくまでも公式発表)→25日現在、暗に損傷していると認めている。
注水を続ければ、「今後事態が悪化することはない」(あくまでも公式発表)。(ただし、4ないし6号炉については別途考察が必要)
さて、ここで問題は、今後事態が悪化することはないかという点であるが、1ないし3号炉については、これ以上悪化しようが無いという意味で正しいだろう。早急に手を打つべきという時期も、もう手遅れ。決死隊など、組む必要もない。もう原発のことは放っておいてもいい。
すでにあっしらさんが指摘されている通り、特に1号炉については、(再循環パイプとまでは特定できないが)地震の揺れによって、原子炉そのものというより、配管路になんらかの損傷が生じていたと推察される。それが、ベントの遅れでさらに悪化したか、水素爆発でフェータルになったか、余震でもっと破壊されたかは別として、地震直後に原子炉内の水はこれら配管路の損傷箇所を通して圧力容器の外にすでに漏れていたことに違いはないのである*。
問題は、この破損箇所が、格納容器の内側か、外部に直接通じるところかである。
政府・東電は、溶けた燃料が圧力容器ないしは格納容器の底に貯まっていると主張しつづけている(本日、公式に格納容器の損傷をゲロった)。しかし、仮に格納容器が健全であったとしても、圧力容器からの配管路には、部位によっては、格納容器の外や、場合によっては建屋の外に通じるところもあり、そこが破断したとなると大量の汚染水が早い段階で建屋の外へ出ていたということになるのだ。その可能性が高いから、「もう手遅れ。決死隊など、組む必要もない。」と書いているのである。
思いかえして頂きたい。地震後、一両日中に炉心が融解し、その後、一ヶ月以上、水を入れ続けたということになる。融解が始まったとき、圧力容器の底には水があった。そして溶けた燃料は水の上に滴下した。それで、落ちた燃料は水に落ちた時に粉々に砕け、大きな破片は底に沈み、小さな破片はコロイド状になって水中を漂った。その後の注水作業は、いわば、その漂っていた燃料の粒を原子炉の中から洗い出して、破断箇所から噴き出させるための水を供給していたことになる。少なくとも4月中旬までは、原子炉内部の圧力は非常に高かったから、破断箇所からは水が噴き出ていたことだろう。
このシナリオが詳細まで正しいかどうかは別として、格納容器に水が満たされていないことからも、注水された水がなんらかのパスを通って、外界に流れでていることは間違いない。そして、その染み出した水が、窪みなどに染みでて「たまり水」になっている。
たしかに、燃料の多くは底に貯まっているだろうし、特にプルサーマルの3号炉は依然としていつ爆発的な反応を起こすか分からない。だから注水の継続は(賢くはないが、)仕方ないという判断は理解できる。また、もう溶け落ちて水に滴下するような燃料は既に無くなっているし、既に長期に渡って洗い流してしまっている今となっては、もうこれ以上に粉末状になった燃料が流出するということもないように思う。だから、「これ以上悪化しようが無い」だろう。さらに言ってしまえば、原発がこれから倒壊しようが爆発しようが、もう大差ないほどに汚染してしまっている。
だから、メルトダウン、水蒸気爆発、という事象だけに捕われていたら、本質を見失ってしまう。水蒸気爆発をしていないからといって、チェルノブイリと比較して汚染が少ないというわけではない。すでに、これまで人類が経験した最悪の事態は越えてしまったという認識をせねばならない。(ただし、リチャードかコシギンチャクかしらんが主張しているように、燃料が事前に抜き取られている場合はどうなるかしらん。)
いま、政府もメディアもしきりに責任論を展開しているし、原発といえばそのものの安定化しか議論されていないようにも思えるが、そうこうしている間も汚染は拡散しつつある。今、大切なのは、被害の詳細を科学的に適正な方法で集め、公開し、健康被害を避けるための措置を実行することである。(ヒロシマの経験からして、これも手遅れかもしれないが、まだ「閾」を越えていない人々のためにしかるべき措置をとるべきだろう。)
現時点で懸念すべきなのに無視されているのは、海洋汚染である。昆布やわかめなどの藻類は重金属などを吸着する性質があり、放射性物質もまた吸着される。海底の藻類を採取しそれぞれの種ごとに汚染マップを作成するべきだろう。福島近海にあっては、海底のヘドロを調査する必要がある。イクラなど、食用にされる魚の卵についても当然、調査が必要になる。ウナギもまた、生態が特定されていないので調査が必要だろう。
同時に、地下汚染の実態について確認しなければならない。先ほど書いたように、微粒子になった放射性物質が格納容器の外に染み出して、恐らく土壌を汚染している。原発周辺を掘ってゆけば、猛烈なレベルの泥水が出てくるはずだ。これが、どこまで汚染されているか確認しなければならない。可能であれば、もちろん上手くいくとは思っていないのだが、泥水が出なくなったところで深い堀を作り、そこに防水布でくるんだ土嚢をおいてさらにコンクリートを流し混み、地下の堤防をつくることになるかもしれない。
事故がなぜ起きたのか、だれの責任なのかというのは後回しにして証拠保全をするよう数人から成る調査団に任せ、汚染実態の把握と適切な規制(規制値を上回るものを生業にしているものについては、国が買い取って処分するなどの措置)が必要だ。のんびりと責任論を論じている暇は、ないのだ。
*この点については、1号建屋が水素爆発したときにわかっていたことであるが、地震後72時間は救命を妨げる避難命令を出せないだろうと、政府の危機管理体制に配慮して、ここ阿修羅でも暗にしか触れなかった。いまとなっては、政府の対応は救命を優先したからではなく、単に鈍重なだけであったということが明らかであり、私の配慮が間違っていたと反省している。)
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