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(回答先: 冷戦勝利後、1995年にアメリカは「金融帝国」として浮上した (uedam.com) 投稿者 五月晴郎 日時 2010 年 10 月 17 日 16:42:17)
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サブプライムローン、リーマン・ショック以後は、アメリカは第3期に入ったのか?
投稿者:ウエダ 投稿日:2010年10月16日(土)17時16分5秒
こんにちは、皆さん、植田です。
対米従属の経済ヴァージョンの話題の続きです。
アメリカ経済自身はどうなっているか、と検討しています。
今のところ、戦後のアメリカ経済の国際戦略を2つの時期に分類しました。
冷戦中と、冷戦後です。
で、冷戦中は、アメリカの経済政策は、とにかくソビエトとの総力戦の一つでした。
この時代は、冷戦構造を反映して、アメリカ政府内の省庁の権力関係がはっきりしていました。国務省、国防総省が優位にあり、財務省はその下でした。経済は、戦争戦略が専門の外交と軍事の下にありました。これは当然でしょう。
ところが、冷戦後、財務省が先頭に躍り出ました。
「金融帝国主義」のスタートです。
1995年のルーピン財務長官の登場です。
「強いドル」を標榜した人物です。
水野和夫の『グローバル経済の本質』は、この時期のアメリカ帝国と、それ以外の地域の関係を論じたものです。
水野氏の『本質』が出版されたのは2007年9月です。(日本経済新聞社・刊)
出版された年に注目してみましょう。
ここでも「神の手」が介入したのかと思えるほどの、絶妙のタイミングです。ヘーゲルの言葉通り、「世界史に偶然というものはない」と。
というのも、水野氏の著作の刊行は、まさにサブ・プライムローンがはじけるのと同時でした。それはルーピン長官が宣言した「強いドル」たるアメリカ金融帝国が絶好調だった時期が、まさに終わった瞬間でした。
いや、今から私たちが論じようとするのが、まさにその問題です。
サブ・プライムローン問題の発生は、すなわち、〈強いドル〉のアメリカが終わったのか。
それとも、〈強いドル〉政策は以後も続いており、2010年10月現在の、通貨戦争は、リーマン・ショック後の、一幕の幕間劇なのか。
つまり、2007年8月にアメリカでサブ・プライムローン・バブルがはじけたとき、あるいは翌年9月にリーマン・ショックが起きた時が、WW2以後のアメリカの経済史の第3期の開始となるのか。
そこで私たちが見極めねばならない問題は2つあります。
1 現在の日米の金融緩和競争とは何なのか。
2 金融緩和競争と、〈金融帝国主義〉は、いかなる関係にあるのか?
2の方からみてみます。
1は、歴史の順番的に、ここから出てきました。
で、アメリカの金融帝国ぶりは、いかほどのものだったか。
水野氏が2005年のパーナンキ氏の言葉を紹介しています。氏がFRB議長になったのは2006年2月1日からです。
「バーナンキ米FRB議長の『貿易赤字は犬の尻尾』(05年4月1日)という発言を敷衍して言えば、金融経済が頭で、実物経済が尻尾になったのである。
世界の外為市場で取引きされる額は1日で1兆8800億ドル、店頭ディリバティブ市場の取引は1兆2200億ドル、合わせて3兆1000億ドルに達する。年間で775兆ドル。円換算すると、8京3390兆円になる。(04年4月の調査。このときの為替レートは1ドル=107.6円)。一方、04年の年間貿易取引額は9.3兆円である。金融取引は実物取引(貿易取引)の実に83倍の規模に膨れ上がっているのである。」P.58
この引用文中に出てくる為替レートの数字を見ると、今のとなれば、何か夢を見ているようです。1ドルが107円。
そしてその時代、この金融主導の世界経済を、アメリカが管理していました。
「世界のマネーはいったん米国に集中してから再び世界中に再分配される。マネーの動きいかんで実物経済の成長率が決まってくる。そうであれば、世界の株価の動きを予想するには、米国の〈マネー集中一括システム〉がうまく機能しているかどうかを読まなければならない。」P.59
というわけで、日経平均がニューヨーク・ダウに連動することは、何も日本経済が対米従属しているからではなく、世界の経済がアメリカの「マネー集中一括システム〉で管理されているからでした。
しかし、こういうのを対米従属というのではないのか。
あるいは、軍事面での従属問題と同じとも考えられます。
米軍基地は、ドイツにもあるではないか、と。
しかし、ドイツにはNATOであり、日米安保のような米独関係ではない、と。
以上のように、1995年から2007年8月まで、アメリカは世界経済を金融を通して管理していた、としてみましょう。
ここで、目を直近に転じます。
10月15日、昨日の日経新聞の経済教室に興味深い記事があります。
「金融機能の健全化を急げ」
中前忠氏と、斎藤朋子さん。
今月5日に日銀が行った金融政策は間違いだ、とする記事です。
この記事の最後にこうあります、
「米国も日本の後を追って、金融の量的緩和政策を推し進めているが、これによって短期的には株価や国際商品価格が上昇することはあっても、実体経済のほうは、銀行の貸し出し能力の低下とともにデフレ不況的様相を強めて行くだろう。」日経新聞2010.10.15
これは何か?
アメリカのFRBが日銀の後を追っている、と?
バーナンキ議長は、白川総裁に弟子入りした、と?
2007年8月以降、アメリカの経済に何が起きたのか?
ルーピン長官がアメリカの「金融帝国」を宣言した〈強いドル〉は、今や、アメリカも通貨切り下げ競争を展開するしかない以上、放棄されたのか?
13日(水)の日経の記事にこうあります。
「〈強いドル〉棚上げ
米景気回復、輸出頼み
ドル安の根底には、米景気の回復が鈍いとの見方がある。ドル安は米国の輸出を持ち上げる効果が見込め、米政府が堅持してきた〈強いドル政策〉も鳴りを潜める。・・
11月の中間選挙を前に、オバマ政権は景気回復に注力する姿勢に傾く。米政府は対外的に〈強いドル政策〉を保つが、現段階では米国債などが安定し、本音ではドル安で米経済を下支えしたい意向が働く。中国の人民元相場に大幅な切り上げを求めている点からも、強いドル政策を一時的に棚上げしている可能性がある。
米政府はドル不信が行き過ぎると判断すれば、為替市場をけん制する姿勢に転じる見通し。それまでは輸出をテコに景気回復に期待する構えだ。」日経新聞2010.10.13
アメリカは何をやっているのか。
といえば、マネー集中一括管理システムを維持したいし、かといって、現状は背に腹は代えられないと、ドル安誘導政策をするしかない、と。今週の日経平均の円高の中での上昇は、11月2〜3日のFOMC(連邦公開市場委員会)による金融緩和決定を市場が予想してのことでした。それによって世界の市場にマネーがジャブジャブとあふれ出す、と。
この予想が、9月15日の日本政府と日銀による為替介入と、10月5日の日銀の金融緩和策による円高抑制効果を打ち消しました。
しかし、円高は進行していますが、日経平均はいくらか上昇しています。
日米の金融緩和競争の結果です。
アメリカは、金融帝国を維持するには、「強いドル」政策を続ける必要があるし、現在のアメリカ経済の停滞を立て直すには、ドル安を誘導して輸出主導で回復させるしかない、と。
アメリカの財務省とFRBが迷いに迷っています。
そんな様子が私たちの目に映ってきます。
アメリカはなおも帝国なのか、帝国の地位を滑り落ちたのか。金融管理に関して。
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