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≪「小沢問題と、IMF(米国)による消費税増税指令」@ 〜犬薩と売国“談合”マスゴミがでっちあげた“嘘”に基づく判決≫
http://www.asyura2.com/10/senkyo90/msg/658.html
投稿者 Roentgenium 日時 2010 年 7 月 16 日 05:44:25: qfdbU4Y/ODJJ.
 

≪【小沢問題と、IMF(米国)による消費税増税指令】その1 〜犬薩と売国“談合”マスゴミがでっちあげた“嘘”に基づく判決≫


〜利をもって合する者は窮禍患害に迫られて相棄つ 天をもって属する者は窮禍患害に迫られて相収む(荘子)〜


Roentgenium:先ず、下記に紹介する二つの記事を読み比べて下さい。
こういったことが平気でまかり通るような世の中に、日本はなりつつあるということに、庶民自らが危機感を共有しなければなりません。

一つ目の記事=NHKニュースの中で取り上げている、でっちあげの誤報が、あたかも重要証拠であるかのように嘘が事実として、判断材料に使われていることは大変由々しきことです。
二つ目の記事=牧村しのぶ氏のブログ記事の内容は、今回問題にしている、売国“談合”マスゴミの虚偽報道を的確に糾弾していると思います。
恐縮ながら、転載にあたり、そのブログ記事をベースに、消去された元記事URLを差し替えるなど一部手を加えてありますが、あくまで補足の範囲内に留めています。


◆   ◆   ◆


【【平成19年分は“不起訴不当” - NHKニュース 2010年7月15日 16時51分】】

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100715/t10015760461000.html

以下転載、問題部分≪≫

民主党の小沢前幹事長の政治資金をめぐる事件のうち、平成19年分の収支報告書の記載について、
東京第1検察審査会は、検察が小沢氏を不起訴にしたのは不当だとして、更に捜査すべきだという議決をしました。
この事件では、別の検察審査会が平成16年と17年分の収支報告書について、小沢氏を強制的に起訴すべきかどうか、2回目の審査を行うことになっています。

この事件では、小沢前幹事長の資金管理団体が土地の購入資金に充てた4億円をめぐり、平成16年と平成17年、それに平成19年分の収支報告書に嘘の記載をしたとして、
東京地検特捜部は、政治資金規正法違反の罪で、元秘書ら3人を起訴する一方、小沢氏本人については嫌疑不十分で不起訴にしました。

このうち、平成16年と17年分については、東京第5検察審査会が今年4月、小沢氏を起訴すべきだとして「起訴相当」の議決をしましたが、
検察が再び不起訴にした為、小沢氏を強制的に起訴すべきかどうか、2回目の審査を行うことになっています。

≪一方、平成19年分については、別の市民で構成される東京第1検察審査会が審査を進めていました。
その結果、「担当した元秘書は『4億円については収支報告書には載せませんので』と報告したところ、小沢氏が『そうか、わかった』と答えて了解したと供述している。
小沢氏との上下関係から見て、元秘書が独断で成し得るとは考えられない。このまま不問に付してしまえば不満が残り、司法手続きに対する信頼を損なうことになりかねない」としています。≫

≪そのうえで「小沢氏に対する聴取は僅か3回で、検察の追及不足という印象は免れない」などと指摘し、
検察が小沢氏を不起訴にしたのは不当で、小沢氏を改めて事情聴取するなど更に捜査すべきだとして、「不起訴不当」の議決をしました。≫

これを受けて、東京地検特捜部は、平成19年分について、小沢氏を起訴するかどうか改めて判断することになります。
検察審査会法では、審査員11人のうち8人以上が不起訴は納得出来ないと判断した場合、「起訴相当」の議決を、
また、半数を超す6人か7人の場合は「不起訴不当」の議決をすることになっています。

「起訴相当」の議決では、検察が再び不起訴にした場合、検察審査会は強制的に起訴すべきかどうか2回目の審査を行いますが、
「不起訴不当」の議決では、検察が再び不起訴にした場合は2回目の審査は行われません。

「不起訴不当」の議決について、東京地方検察庁の大鶴基成次席検事は記者会見で、
「事情聴取の回数が少ないからといって、小沢氏に対する捜査が不十分だとは考えていない。検察審査会の議決の内容を十分検討し、
必要な捜査があれば行うなどして、適切に対処していきたい」と述べました。


◆   ◆   ◆


【【讀賣・TBS卑劣な大誤報 - 牧村しのぶのブログ 2010年5月19日】】

http://d.hatena.ne.jp/pinsuke/20100519/1274237921

注目箇所「」

●小沢幹事長不起訴へ・・・・石川議員「了承得た」 - 読売新聞 2010年5月19日

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100519-OYT1T00146.htm

石川知裕衆院議員(36)(起訴)が東京地検特捜部の再聴取に対し、
同会が2004年に購入した土地代金を政治資金収支報告書に不記載とする方針について、「小沢氏に報告し、了承を得た」と、
改めて小沢氏の関与を認める供述をしていたことが分かった。

↑これは、報道が嘘であり、石川議員は不記載について了承を得ていたとは供述していません。


●石川議員「形式犯」主張 毎日新聞単独取材に - 毎日新聞 2010年5月11日

http://blogs.yahoo.co.jp/jyajya368/14634908.html

検察審査会は、04年分の収支報告書提出前に、小沢氏に報告や相談をしていたとの石川議員の供述を、共謀の「直接的証拠」と指摘していた。
石川議員は「短い時間で端的に報告したが、それをもって(小沢氏が虚偽記載を)分かっていたという判断は先に進み過ぎている」と批判。
「収支報告書に載せるかどうかはいちいち相談していない」と、自身の判断だったと強調した。

【動画】「石川知裕議員単独インタビュー」 投稿者:mainichiさん [5分56秒]
http://video.mainichi.co.jp/viewvideo.jspx?Movie=48227968/48227968peevee308795.flv?inb=yt


●弁護士業の現場から(安田 好弘) 第二回 - 魚の目 2010年1月27日

http://uonome.jp/article/yasuda/814/3


報道機関各位

読売新聞は、本日、

「小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る政治資金規正法違反事件で、
逮捕された石川知裕衆院議員(36)(民主)が東京地検特捜部の調べに、
土地購入前の2004年10月下旬頃、土地代金に充てる現金4億円を同会の同年分の政治資金収支報告書に記載しない方針を小沢氏に報告し、
了承を得ていたと供述していることが、関係者の話で分かった」

と報道していますが、石川氏が上記のような供述をしたことは全くなく、上記の報道は完全な誤報です。

2010/01/20

石川知裕氏弁護人

弁護士 安 田 好 弘

同   岩 井 信


●石川知裕衆院議員独占インタビュー「新聞・テレビはデタラメだらけ」 聞き手・上杉 隆

「週刊朝日」2010・3・5

結論からいうと、讀賣報道は「誤報」です。私が小沢先生に不記載を報告し、了承されたという事実はありません。そういう供述もしていません。


●石川知裕代議士 メッセージお届け&インタビュー @〜D - 小沢一郎に日本を託す会ブログ 2010年5月13〜19日

http://ichirokai.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-4fb8.html

http://ichirokai.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-29c5.html

http://ichirokai.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-eaeb.html

http://ichirokai.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-cbbf.html

http://ichirokai.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-ce9f.html


またTBSも「収支報告書の嘘の記載について自らの関与を改めて否定」と誤報しています。
嘘の記載、とは検察の当初見立てた、土地取得を隠す為の虚偽記入を指しますが、
これは、土地代金を支払った時に記載すべきところを誤って登記してから記載したという修正で済むミスであり、
これについては公判で詳細が明らかにされ、判断されることであって、それまでは嘘とは言えず(ミスとして無罪になるかもしれない)、推定無罪です。

新聞やTVを信用している人に嘘を流してまで検察審査会で小沢氏強制起訴に持ち込み、政権を潰したい意図が見えます。
記者クラブの解放や、クロスオーナーシップの見直しなど、民主(小沢氏は昔から会見解放)の政策は、大メディアには不都合です。

また、普天間問題では、現行案通り辺野古を埋め立て、米国の機嫌を取ろうとする守旧派に相変わらず牛耳られているように見えます。
しかし辺野古も、米国で係争中のジュゴン訴訟に負ければ、工事が出来なくなります。それこそ無責任な話ですが、それは報道しません。

[参考資料]
辺野古の基地建設は不可能・不必要!? - 星川 淳 グリーンピースジャパン事務局長余談Q&A 2009年12月6日
http://www.greenpeace.or.jp/info/staff/jun.hoshikawa/40

続・辺野古の基地建設は不可能・不必要!? - 星川 淳 グリーンピースジャパン事務局長余談Q&A 2009年12月15日
http://www.greenpeace.or.jp/info/staff/jun.hoshikawa/41

そして自民中心の政権に戻し、日米同盟(極東条項なし)にプラスして、改憲で集団的自衛権を成立させ、自衛隊を米軍指揮下で世界中に展開する為。
それに反対する国連主義の民主小沢を潰そうとしているように見えます。

「政治とカネ」(ガセでも)に釣られる一般人など、嘘で騙して自民や新党に投票するよう操ればいいと考えているようです。
正確な批判ならともかくも、見え透いた嘘で人を操るなど報道機関のすることではありません。下劣にも程があります。

私は総理に渡邊恒雄を選んだ覚えはありません。
讀賣もTBSも、報道機関はどこも、国民に選挙で選ばれてもいないのに、情報操作をほしいままにして支配者を気取るのはいい加減にしなさい」


◆   ◆   ◆


Roentgenium:今回の、犬薩と癒着して偽リーク情報を暗黙の了解で垂れ流し続けてきた、魔女狩りの為の売国“談合”マスゴミの報道の脚色について、

NHKにはNHKニュースの内容について問題点を指摘して意見をし、TBSには、そもそも自らの誤報が議決内容のベースになっていることに対して、重大な責任があるのではないか?
と、そのように意見をしておきましたが、BPOに対しては、応対時間が過ぎていましたので、報告出来ませんでした。
また、民主党の良識ある議員の事務所にも、IMFの提言内容と“官”総理の消費税増税発言の問題と併せて、連絡をしておいた。

確かに、今の民主党内部の状況は、主流派と反主流派が入れ替わってしまっているような状況下で、
左派(官、仙石、枝野、小宮山ら)と新自由主義者(前原グループなど)が屈託して、クーデター政権を樹立、
IMF(デヴィッド・ロックフェラー関連の組織)と通じて消費税増税を成そうとしているが、それでも民主党内にも、今の政権や執行部に不満を持っている議員は数多くいる。

そもそも農耕民族である日本の社会に、超格差社会のようなものは合わず、
富める者とそうでない者がうまく共存出来る社会、中小企業と中間層が経済を支えていく国家像がふさわしいとちゃんと解っている議員も少なからずいるのだ。
民主党を支持してきたのが圧倒的にそうした層からの支持であるからこそ、今の政権に危機感を持っている。

おそらくIMFが高めの数字を示してきたのは、「10%なら仕方ないか」と思わせる為であり、余計に10%という数字が透けて見えるというものだ。
IMFに関する文章は改めて後半に纏めるとして、先ずここで問題として取り上げたいのは、小沢問題のほうです。
尤も、IMFからの圧力については、故・中川昭一氏や、麻生政権の時の動きからずっと続いてきていることだ思うので、それを考えれば、小沢問題と非常に密接に結びついた問題だとは思いますが・・・・

つまり、IMF含め米国からの圧力というのは、米国の一般市民と同じように、日本の庶民層も同レベルの借金奴隷にしようとする目論見です。
今回、消費税増税をしろ!と圧力をかけて来ているIMFがどういう組織か思い起こす時に、真っ先に思い出してほしいのが、例の中川昭一氏の酩酊会見です。
そして、その時、売国“談合”マスゴミがどのように報じていたのか、思い出していただきたい。融資額のことを疑問視したり、指摘する声がほとんど皆無に等しかったという事実。

確かに、民主党はその報道姿勢が自分たちに有利に働くと判断して便乗してしまったかもしれないが、その同じIMFが今度は消費税増税をしろ!と言って来て、
それに対して、売国“談合”マスゴミはIMF=世界の目として、規定路線に導こうとしているではないか。

むしろ、今回のIMFの動きによって、米国の狙いが明らかになった気がするし、今回もまた郵政問題が絡んでいることにも注目しなければならない。
IMFは世界的な機関というよりも、米国の為の機関であり、売国“談合”マスゴミの意識操作に惑わされてはならない。
(IMFとデヴィッド・ロックフェラーの関係など、或いは消費税増税と米国債の関係などについては、後日、改めて触れるので、ここでは詳しく述べることは控えたい)

これで日本を蝕んでいる元凶の一つである売国“談合”マスゴミがどこの国籍の報道機関なのかが、より明確になったのではないか。
何度も繰り返すようだが、彼らはいわゆる庶民ではない。彼らは富裕層であり、支配層の手先であり、そして彼らが騙る「我々国民は・・・・」という国民とは、富裕層のことであり、
大企業や大手銀行などを意味しているのであり、中小企業や中間層の声を、対立軸を誤魔化す為に利用することはあっても、代弁するものでは決してない。

民主党内の左派と新自由主義者たちが、消費税増税という点で手を結んだのが、今のクーデター政権であり、勿論、自民党も創価学会も同じ穴の狢です。
何故なら、この流れは自公政権の時からずっと続いていることだから。
(吉田 茂邸の全焼などもあったことから、麻生などにしても、CIAなどからの脅しがあったと考えることも出来るだろう。
岸 信介→安倍晋三、吉田 茂→麻生太郎、影佐禎昭→谷垣禎一といった系譜は未だに続いていて、
岸 信介などは米国公文書でCIAのエージェントだったことも明らかになっているし、東京地検特捜部は吉田 茂がGHQとともに創設し、その後CIAと通じている組織であり、
影佐禎昭は「影佐機関」という特務機関を使って工作活動をしていた軍人であり、その意味では、谷垣禎一というのは小沢潰しに打って付けの人材なのかも知れない。
(単純に閨閥が駄目だから、奇兵隊内閣が良いといっているわけでは決してない。手先なら同じことだ)

[参考資料]
昭和天皇が嫌っていた松岡洋右と安倍晋三は親戚だった!そして岸 信介がA級戦犯不起訴になった本当の理由。 - カナダde日本語 2006年7月29日
http://minnie111.blog40.fc2.com/blog-entry-217.html

米澤敏雄弁護士の陰謀、検察審査会で『起訴相当』とされた小沢幹事長 - 糾弾
http://www.kyudan.com/opinion/ozawa07.htm

“官”総理を筆頭に民主党内の左派が口にする福祉国家論は一見聞こえはいいが、それは建て前に過ぎません。
「コンクリートから人へ」と謳いながら、人をコンクリートの代わりの「モノ=ビジネス」として、新たな利権の温床にしようとしているのかも知れず、
その先にあるのはいわゆる福祉国家とは程遠い、人の生き死にを金儲けの材料にした、人間の尊厳や選択の自由すら奪う社会になりかねないのではないでしょうか?
一歩間違えればというか、福祉を経済復興に利用し、金儲けの道具にするのなら当然そうなるのではないか?

外製薬会社、医療ビジネス、医療や介護保険ビジネス、生命保険ビジネス、そのほとんどを外資が占め、儲ける為、甘い汁を吸う為に何だってやるでしょう。
骨の髄までしゃぶり尽くして、追い剥ぎのように財産を毟り取る。場合によっては、米国に倣って自ら研究所で発生したウィルスを撒くことまでやるかも知れない・・・・

福祉国家と謳っているけれども、よく考えてほしいのだが、
そもそも、米国から自立も出来ないような隷属国家に、そんな独自路線を貫く自由などあるわけがないだろう?では、何故そのようなことを掲げるのか?
また、それを米国が許しているのかと言えば、

一つは消費税を増税し、更なる負担を、決して豊かではない人々に押し付ける為であり、もう一つは、庶民の自由を奪い、隷属させ、奴隷化を進める為です。
超富裕層や銀行家だけが得をし、それを更に支配下に置くのがFRBであり、IMF・世界銀行なのです。

そのような世界では、例えどのように身の周りの社会に娯楽やまやかしの贅沢品、電化製品が溢れていて、巷で笑いや狂想曲が響いていても、
結局、そこに群がって暮らす群衆は、すべて借金奴隷として扱われるのです。既にそうなtってはいますが、もっともっとエスカレートしてゆき、締め付けが苦しくなるということです。
無論、そこでの対立構図を、支配層 対 借金奴隷というものにしないように、借金奴隷同士、支配される層同士で憎み合いをさせ、僻み合いをさせ、
思想や宗教で分断し、本当の問題に気付かせぬように、統治をするでしょう。そして、その分断もまた、ビジネスの対象になり得るのです。

そして、これは日本だけに起こっていることでは決してありません。だからこそ、“世界市民”が世界全体で今何が起こっていて、
これまでの歴史がどのようにして作り上げられてきたのか、その真実に気づき、情報を共有し、ネットワークを張り巡らせて、市民自らの防衛網を作らなければならない。

そのことは、注目するジャーナリストである堤 未果さんも提言し、警鐘を鳴らしている。今回は、そのインタヴューの中から注目箇所を抜粋し、一区切りを付けたいと思います。
2008年のインタヴューですが、とても参考になる内容で、日本の庶民層がどう行動を起すべきか、についても提言されています。
いつもならURLリンクだけ貼り付けて終えるのですが、それだけでは読まない人も多いのではないかと思いますので・・・・今回は、長めですが転載させていただきます。
本当は、現在、米国で庶民がどのように自由や権限を剥奪されていっているか、日本の五年後を考える上でも見ておく必要があるのですが、それについては次回以降とさせていただきます。

自分の考えに自惚れたり陶酔するのではなく、平穏な日常の中に生きる自分以外の誰かのささやかな幸せを守ろうとするなら、その為に自らは何を発するべきかを考えてもらいたい。
その為に必要ならば、孤独も苦しみも、場合によっては“痛み”も覚悟しなければならないのかも知れない。

常に危機感を持ち、死角を見抜く眼力を常日頃から養っておく必要があるだろう・・・・


◆   ◆   ◆


(二頁へ続く)

(一頁からの続き)


【【この人に聞きたい 『堤 未果さんに聞いた』 その1 〜アメリカは、日本の5年後の姿 - マガジン9 2008年1月30日】】

/www.magazine9.jp/interv/mika/mika.php

全文転載「」、注釈≪≫

●戦争は「国家レベルのビジネス

編集部

≪先日出版されたばかりの堤さんの著書『貧困大国アメリカ』(岩波新書)では、教育や医療など、様々な面で進められた民営化の陰で、経済格差が拡大し、
多くの人々が食べるのにも事欠くほどの貧困に苦しんでいる、というアメリカの現状が、生々しく描かれていました。
日本では、少なくとも少し前までは、アメリカといえばある意味で「豊かさ」の象徴だったわけで、かなりショッキングに感じる人も多いのではないかと思うのですが・・・・≫


私が初めてアメリカに行ったのは1990年代の初めですが、やっぱりまだ「よきアメリカ」のイメージがすごく強かったですね。
中間層がたくさんいて、政府は社会保障を通じて税金を国民に還元するというすごくいいサイクルが回っていた。
そのころの認識というのは、もちろん経済格差はあるけれども、その格差の下のほうの人は、やっぱり黒人とかヒスパニックといったマイノリティというイメージでした。
今も、日本で講演をしていても必ず、そういうイメージに基づいたという質問を受けるんですけど。

編集部

実は今は、必ずしもそうではないということですか。

一部のすごく儲かっている富裕層の下は貧困層という、完全な二極構造になっていて、その貧困層の中には白人もたくさんいます。
もはや、格差の下のほうの人たちというのは、必ずしも「差別されている人たち」ではないんですね。

編集部

そういった構造を最初に意識されたのは、いつ頃ですか?

最初はイラク戦争の時に、貧困層の高校生がたくさん軍隊にリクルートされているということで、その話を聞きに行っていたんです。
≪つまり、あくまで「戦争」を取材しているつもりだった。ところが、そこから取材対象を広げて、
元兵士や高校の教師、ワーキングプアと言われる人たちに話を聞いているうちに、「あれ、アメリカってこんなに経済格差のある国だったっけ?」と感じたんですね。

同時に、戦争というのは今、それまで自分が考えていたような、単なる「国と国との争い」ではなくて、
非常に効率のいい国家レベルのビジネス、それも経済的弱者を食い物にした「貧困ビジネス」になっているんじゃないかとも思うようになって。
そういう大筋、1枚の「ビッグピクチャー」が、取材しているうちにだんだん見えてきた。

そして、ある国が他の国を侵略するというのなら今までの歴史の中にもあったけれど、今のアメリカは自国内で、自分の国民から搾取している。
自国民を犠牲にして利益を得ている。そう思った時に、もしかしてこれは、日本にも関係のない話ではないんじゃないかと思い始めたんです。≫

編集部

というと?

≪もし、自分が戦争ビジネスで儲けている側の人だったら、どうするのが一番効率がいいだろう、と考えたんです。今もう、ビジネスには国境というものはないでしょう。
それなら、自国内の貧困層に戦争に行かせて儲けるよりも、国同士に体力格差をつけて、体力のない国からどんどん奪う。
その為に、グローバル企業を送り込んで、それによって中間層を下へ落としていくということをすれば、さらに効率よく儲かるんじゃないか。
そして、それを一番やりやすいのは日本なんじゃないかと思ったんですね。≫

編集部

そうだとすると、日本でも、アメリカと同じ状況がいつ起こってもおかしくない・・・・。

≪事実、日本で講演をする中で、今貧困に苦しんでいる人たちに出会って話を聞くと、アメリカの貧困層の人たちとすごく似ていますね。
悲鳴も似ているし、貧困に突き落とされたやり方も似ている。
社会保障がカットされて、何でも民営化されて、競争原理が入れられて、国が責任をとらなくなって・・・・。まったく同じルートで落ちていっている、という感じです。≫


●アメリカは、日本の5年先を行っている

編集部

堤さんが、アメリカで起こっていることを日本へ伝え続けていらっしゃるのは、そうした状況に警鐘を鳴らしたい、という思いもあるからでしょうか?

私がアメリカを例に使う、アメリカのことを報道し続けているのは、一つは日本にとってやっぱり一番身近な国だからです。
イラクだとかアフリカの国々だとか、もっとわかりやすく「大変なこと」が起こっている国で取材したことを日本に持ち込むのは物凄く衝撃的でインパクトがある一方で、
どこか「海の向こうの他人事」になってしまうかもしれない。

≪ところがアメリカは、日本人にとってすごく身近で、生活に密着していて、しかもいまだにどこかで「かっこいい」という、憧れのイメージがある。
そういう国が崩壊していく、そして自分たちも——私はアメリカは日本の5年先を行っていると思っているんですけど——同じ道のりを辿っているというのは、
ものすごくわかりやすいし、ピンと来るんじゃないかと思うんです。
それからもう一つ、アメリカで貧困層に落とされて悲鳴を上げている人たちが、日本に「顔を向け始めている」ということもあります。≫

編集部

「顔を向ける」とは?

9.11テロが起きてアフガン攻撃やイラク戦争が始まった時、アメリカ政府は先ずメディアを押さえました。
ベトナム戦争の時、メディアを通じて戦場の悲惨な映像が流れたことで反戦運動が起きた、その教訓があったからです。

≪だから、イラク戦争の最初の犠牲者はメディアなんです。メディアコントロールがかけられたせいで、今彼らがいくら現状を訴えて声をあげても、国民には届かないんですよ。
じゃあどうしようか?彼らは新しい戦略をいろいろ模索する中で、普通に運動をやるだけじゃ広い国だから全土には届かない。
ならば国境を越えて、他の国と手を繋ぐという新しいやり方を考え始めたんですね。その時に、一番「近い国」としてまず彼らが考えたのが日本なんです。
同じ先進国、人種の違いはあっても、物質的にある程度満たされているという意味では生活レベルも近いし、同じ目線で一緒に声をあげられるんじゃないか、と。≫

編集部

ということは、日本で格差が拡大しているとか、ネット難民と呼ばれる人たちが出てきているとか、そういった現状はある程度アメリカにも伝わっているということですか?

いえ、一般的には、ほとんど伝わっていないですね。
≪実は、きっかけは1人のイラクからの帰還兵でした。戦場から帰ってきた後、二度と戦争で人を殺したくないと考えた彼は、世界中の国についていろいろと調べた。
そうしたら、絶対に戦争をしない、武力で物事を解決しないということを憲法に掲げている国が二つあった。コスタリカと日本。

コスタリカは小さい国だしよく知らないけれど、日本ならわかる。日本の人たちと、国境を越えて、政治的立場や国籍も越えて、戦争や平和について率直に話をしてみたい、
と考え始めたんですね。それから、広島や長崎の被爆者とも話をしてみたい、と。≫

編集部

≪イラクに行った米兵の中にも、劣化ウラン弾などによる被爆者が相当いると言われていますね。≫

≪でも、アメリカ政府はそれを絶対に認めませんから、社会保障もカットされたまま、彼らは死んでいくしかない。
そういう気持ちがわかるのは日本の被爆者だけだ、というのが一つの理由です。≫

編集部

≪以前、ご自身も広島で被爆し、戦後、被ばく者治療にずっと関わってこられた医師の肥田舜太郎先生にお話を伺った時にも、
イラクに行っていた米兵が、「アメリカ国内では納得のいく診察がしてもらえないから」と、日本まで診察を受けにきた、というお話をお聞きしました。
そうしたことをきっかけにして、アメリカの人たちが日本へ「顔を向け」始めたきた、ということなんですね。≫

私が取材した人たちはみんな、日本に来たい来たいと言っています。旅費もかかるので、そんな簡単に言わないで、と言っているんですが(笑)。


●国境を越えて手を繋ごう

編集部

「アメリカは日本の5年先を行ってる」と仰いましたが、そんなふうに、今の日本とアメリカにはたくさんの共通点があるわけですね。

例えば、教育の状況もすごく似ています。
日本では一昨年に教育基本法が改訂されたけれど、アメリカでは2002年に「落ちこぼれゼロ法案」が可決されました。
教育の現場に競争原理が入れられて、教師の評価制度や全国一斉学力テストが始まって、という同じ状況が起こっている。
アメリカの教師たちも、日本の教師と話がしたい、と言っています。
そういう話を一つ一つ聞いていると、基地も環境問題も、原発も、教育問題も、労働者の問題も、全部根っこは同じだなと思います。

≪一つの現象だけを切り取って見てしまうと絶対分からなくなる。
戦争はもちろんいけないけれど、戦争だけを解決すればいいのかといえばそうではなくて、戦争も実はもっと大きな流れの中の一つのパーツに過ぎなかったりするんですよね。≫

[参考資料]
米国の落ちこぼれゼロ法案と、日本の教育基本法改定案
http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/kyouikukihonnhoukaiaku%20tairyounoteigakuryokutukurinikudannni.htm

編集部

≪先ほどおっしゃっていた「ビッグピクチャー」ですね。≫

≪≪だから、やっぱり多くの人が、何がどういう仕組みで起こっているのかを知る必要がある。
私がものを書いたり講演したりしているのは、そうした「ビッグピクチャー」の視点を持つ人が少しでも増えたら世の中は変わる、と思っているからでもあるんです。
一番私たちにとって有害なのは、実は大企業や政府でさえなくて、自分たちが真実を知らない、知ろうとしないということなんじゃないでしょうか。

そして、そうやって「知った」人たちが、国境を越えて手を繋ぐ。
戦争や貧困をつくり出して儲けようとしている側は、既に国境を越えて儲けているわけですから、
それに対抗する私たちも、国境を越えて、一緒に知恵を出し合って励まし合ってやっていく必要があるんだと思います。≫≫

アメリカは日本のほうを向き始めている、だから私はアメリカのことを取材して日本に手渡すことで、日本の人にもアメリカのほうを向いてもらいたいと思っています。
出来ることはまだいっぱいありますから。取材をすればするほど、こういうことがまだ出来るんだ、こういうことがまだ日本には知られていないんだ、と思わされるんです。


(三頁へ続く)

(二頁からの続き)


【【この人に聞きたい 『堤 未果さんに聞いた』 その2 〜まだそこには「希望」がある - マガジン9 2008年1月30日】】

http://www.magazine9.jp/interv/mika/mika2.php

全文転載「」、注釈≪≫

●憲法を、自分たちの「武器」にする

編集部

さて以前、堤さんは「憲法カフェ」での講演で、「アメリカの学生などの間で今、憲法を勉強しようという動きが盛んだ」というお話をされていました。
若い世代を含め、人々の間で憲法への関心が高まっているという話で、面白いなと思ったのですが、これはどういった理由によるものなんですか?

特に平和運動家はみんな、必死に憲法の勉強をやっていますね。

何故かというと、例えば政府や大企業が憲法違反をした時に、「おかしいじゃないか」という権利が私たちにはあります。
でも、その時に、昔のようにただ「こんなに状況が酷いんだ」とわあわあ言うだけでは、相手の力が強過ぎて駄目かもしれない。
だけれども、感情的、情緒的に声をあげるだけではなくて、例えば「あなたたちがやっていることは憲法何条に違反しています」となれば、相手は何も言えないですよね。
そこで裁判所が出てくれば、司法というのは基本的には中立で、出た判決には力があるからまたそれを使えるし。

その為に、「絶対に憲法を勉強しなくちゃいけない」という方向に向かっているんです。

編集部

≪いわば憲法を「武器」として使う、と。それは、日本の私たちも是非、見習いたいことですね。≫

私も、日本でも、もちろん条文をすべて知る必要はないけれど、せめて9条と、生存権を定めた25条、それから19条の表現の自由くらいは知るべきだ、という話をしているんです。
アメリカはその三つ——平和と、生存権と、表現の自由——が本当に駄目になって、今のような状況になってしまったので。

[参考資料]
日本国憲法第9条 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E6%86%B2%E6%B3%95%E7%AC%AC9%E6%9D%A1

日本国憲法第25条 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E6%86%B2%E6%B3%95%E7%AC%AC25%E6%9D%A1

日本国憲法第19条 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E6%86%B2%E6%B3%95%E7%AC%AC19%E6%9D%A1

編集部

≪25条への関心は、最近とても高まっていますよね。

社会保障のカットや大企業による搾取で貧困層が生み出されている、その国内状況自体が一つの「戦場」だし、
それによって人々が追いつめられることが、結局は「戦争の出来る国」に繋がる。
だから、9条と25条は決して無関係ではないし、自分たちにより身近な問題として捉える為にも、セットで訴えていくべきだという主張は非常に力を持ってきています。≫
堤さんご自身も「憲法カフェ」での雨宮処凛さんとの対談などで、そういうお話をされていました。

≪一方で、「国家からの自由」を目的としたものである憲法の中で、25条はやや異質というか、
「国家の介入による自由や権利」を定めた条文であり、それを強調し過ぎることは、国家の過剰な介入を招く危険性がある——という指摘をされている方もいます。≫
「保護してやるから国家に逆らうな」という方向に向かう恐れがあるということですね。それについてはどう思われますか。

≪一緒にしちゃいけないというのは、もちろん理論的には正しいと思います。
でも、25条は国家による介入を求めるものなのに、その「介入」が、民営化民営化でまったく消えてしまっている。それを取り戻すことは必要なんじゃないでしょうか。
つまり、介入が行き過ぎる、なんてことを心配する余裕がないくらい、今は切羽詰まっている状況だと思うんです。国家が介入しなさ過ぎて人が死んでいるわけですから。≫

編集部

「行き過ぎる」ことよりも、「あまりになさ過ぎる」ことのほうが今は緊急の課題だということですね。
もちろん「行き過ぎる」危険性については常に認識しておくべきなのかも知れませんが、仰ることもよくわかります。


●プラスの感情で手を繋ぐことが、大きな力になる

編集部

さて、憲法を武器にする、それも「国境を越えて手をつなごう」というのと同じく、アメリカで起こりつつある新しい動きの一つだと思うのですが、
その他にはどんな動きを感じておられますか。人々が考え出している「新しい戦略」には、どんなものがあるのか・・・・

≪搾取する大企業に対しては、「消費者」としての立場から動かそう、という動きがあります。
例えば、その企業がどんな酷いことをしているのかということをいろんな人に知らせることで、ボイコットを起こす。その企業に対してNOを突きつける。
つまりは、消費者として企業を選んでいくということです。有権者あっての政治家なのと同じように、消費者あっての大企業ですから。≫

今、日本で労働組合なんかに講演に行くと、みんなとても意気消沈していて、「状況は酷いけどどうしたらいいかわからない」と言っているので、こうした動きを是非、伝えたいですね。

編集部

なるほど。それも一つの有効な「戦い方」ですね。

≪だから、きっと私たち市民は、手の中にある武器にまだ気付いていない。取材をしていても、未使用の武器がまだまだあるな、と思うんですね。
みんながその武器に気づいて、手を繋いで立ち上がれば、きっといろんなことが変わりますよ。≫

編集部

まだ使っていない「武器」がいっぱいある。そう考えると、元気が出てきますね。

≪報道って、ネガティブなことを言うほうがインパクトがあるし、ニュースにもなりやすいでしょう?
でも、私は性格的にそういうのが嫌で。やっぱり人って、明るいものに向かって顔を向けるし、感動した時に立ち上がるんだと思うんですよ。
ネガティブなことばかり言って、「これをしないとこうなるよ」と恐怖で人をコントロールするのはまさに独裁政府のやり方だし、効率はいいけど、そうではなくて。

感動とか希望、「こういう未来がいいな」というプラスの感情で立ち上がって手を繋いでいけたら、すごく強い力になると、私は信じてるんですね。
だから、報道する時には、正確な事実を伝えるとともに、「まだやれることがある、大丈夫」ということを一緒に伝えるように、それを聞いた人が「まだやれるかもしれない」と思えるように。
そのことに、すごく気をつけているし、これからもそうしていきたいと思っています。≫


●憲法には「人間の良心」が書かれている

(※Roentgenium:そういえば、昨日7月15日の日刊ゲンダイの連載で、松尾貴史氏が、ルールを<規制>と捉えるか、<アイデア>と捉えるか、といった内容の記事を書いていた)

編集部

希望という言葉が出ましたが、前著の『報道が教えてくれないアメリカ弱者革命』でも、サブタイトルに「なぜあの国にまだ希望があるのか」という言葉を選ばれていましたね。
堤さんが取材をしておられて感じられる、アメリカの「希望」とは、例えばどんなところですか?

先ず、「9.11のテロで家族が死んでしまって」とか、「イラク戦争で息子が死んだ」とか、「戦争からは帰ってきたけど被曝して健康を失って、生活保護を受けている」とか、
そんな絶望的な状況でも、諦めない底力がアメリカにはある。たくさんの人を取材しながら、いつも不思議でした。

≪それで、イラク戦争に反対して、それまでのキャリアを全部捨てて軍をやめた元エリート軍曹に、「どうしてそんなリスクを負ってまで戦争に反対するんですか」と聞いたことがあるんです。
そうしたら一言「(イラク戦争は)憲法の精神に反しているからだ」。自分たちが忠誠を誓ったのは、米軍じゃない、大統領個人でもない、憲法の精神なんだ、と。≫

編集部

イラクを攻撃するというのは、その精神に反しているから従えない、と・・・・。

≪それと同じ答えが、兵士からも、教師からも、労働組合の人からも出てくるんですね。

「何故、憲法なのか」と更にしつこく聞いたら、
「憲法というのはどこの国でも同じ。人間が人間らしく、健やかに夢を持って、子供たちの未来を慈しんで、お年寄りが安心して老後を送れて誰もが平等に幸せになれる、
そういう人間の理想、人間の良心が紙に書かれたものだ」と言う。

憲法というものを核にして社会や政府を見て、おかしかったらNOと言う、それは国民の責任だ、と。≫

編集部

いい言葉ですね。

≪≪それを聞いた時に、恐怖には国境がないけど、希望や人間の中の善きものにも国境がないんだ、と思いました。
そして、それには力がある。「アメリカというのは、やっぱり捨てたもんじゃないな」と。

9.11のあと、(アフガン攻撃やイラク戦争があって)私は一時、本当にアメリカを大嫌いになったんです。私の憧れが裏切られた気がしていて。
でもやっぱり、間違いはしたけれど、そのことに気づいてやり直そうとした人にもたくさん会った。
憲法イコール人間の良心だと思っている人が、こんなにもたくさんいる。だから、そこにはまだ希望があると思います。≫≫


●「黒人か女性か」に踊らされるな

[参考資料]

(※Roentgenium:冷泉彰彦(小泉進次郎などもOBとして名を連ねるエージェント御用達のコロンビア大学のOB)が堤 未果さんへの反論本を出版。
視点というか立ち位置が違うのでしょうね、きっと。両者では、オバマに対する期待感というのか、見解もかなり異なっているようです)

[参考資料]
冷泉彰彦著『アメリカは本当に「貧困大国」なのか?』
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%81%AF%E6%9C%AC%E5%BD%93%E3%81%AB%E3%80%8C%E8%B2%A7%E5%9B%B0%E5%A4%A7%E5%9B%BD%E3%80%8D%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%8B%EF%BC%9F-%E5%86%B7%E6%B3%89%E5%BD%B0%E5%BD%A6/dp/4484102145

冷泉彰彦 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%B7%E6%B3%89%E5%BD%B0%E5%BD%A6


編集部

さて最後に、今年(2008年時)の11月に本選挙が予定されているアメリカの大統領選についても少し伺いたいと思います。
日本でも既にかなり報道がされていますが、その中身は、「オバマ対ヒラリー」という、「初の黒人大統領か初の女性大統領か」という図式一色ですね。
まだ各党の予備選の段階であるにもかかわらず、まるで勝ったほうがそのまま大統領になるかのような・・・・。

≪≪仰るとおり、日米関係にとっても重要なのは、オバマかヒラリーかではなくて、民主党か共和党かなのに、あの報道はフォーカスがずれている。
何より、今アメリカを二分しているのは人種でなく経済格差だということを見落としてはいけません。オバマは勝ち組側です。≫≫

編集部

「勝ち組」ですか。

≪この選挙を見る時に、注意して見なくてはいけないのは、どんな企業がどの候補をバックアップしているかです。
オバマってものすごく高潔な感じがするじゃないですか。マイノリティだし、若いし。あと個人献金しか受けないと言っているし。
ところがよく見てみると、シティグループだとかモルガンだとか、ブッシュの陣営に入っている企業が個人献金という隠れ蓑でバックアップしていることがわかる。≫

≪こういったことは、もちろん全部オープンにされているのに、まったく報道されないんですよね。メディアの怠慢ですよ。
それから、彼は過去の経歴を見てみると、実は原発推進派なんですね。そして、ウェスティングハウスとも関わりがある。
このウェスティングハウスは、2006年に東芝に買収されていますから、日本の私たちにも無関係どころの話じゃないんです。≫

ヒラリーもFOXニュースから献金を受けたりしてますから、必ずしもリベラルとも言えないんですけど。


[参考資料]
ウェスティングハウス・エレクトリック - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF

「アメリカの原子力発電プラント大手メーカー。2006年2月、東芝の子会社となった」

FOXニュース - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/FOX%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9

「アメリカのニュース専門放送局。「中立報道」を方針として掲げるが、ブッシュ政権の政策を支持し、愛国心を煽るような番組が目立つなど、その報道姿勢に疑問を呈する声も多い」


編集部

なるほど。大統領選の結果はもちろん日本にも大きな影響を及ぼすことになるでしょうし、そういったところもしっかりと見ておく必要がありますね。
ちなみに、共和党対民主党では、今は民主党が優勢だと言われていますが、それについてはどう見ておられますか?

一方でアメリカって、実は今でも黒人や女性に対する差別が凄く強い国なんですね。
だから、予備選でオバマが勝ってもヒラリーが勝っても、最終的には共和党になる可能性もあるんじゃないかとも思っています。

編集部

共和党の候補は誰が勝っても白人の男性エリートですからね。支持政党よりも、「黒人は嫌」「女性は嫌」という差別感情のほうが勝ってしまう可能性もなくはない、と。

あと、これだけメディアが「オバマかヒラリーか」といって騒いでいると——もちろん、共和党に魅力的な候補がいないというのもあるのでしょうが——、
以前のラルフ・ネーダーのような、第三の党の素晴らしい候補がいても、出てくることはほぼ不可能ですよね。
≪その意味でも、アメリカの選挙は本当にメディア選挙なんです。日本でも今年選挙がありそうですが、日本はメディア選挙には絶対しちゃいけない。そう思います。≫

[参考資料]
ラルフ・ネーダー - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%BC


編集部

そこからも、私たちが学び取ることはいろいろありそうですね。今日はありがとうございました。


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(四頁へ続く)

(三頁からの続き)


[参考資料 その1]

「ほんのわずかなカネでも小沢氏の許可なしでは動かせなかった」【TBSニュースキャスター(ビートたけし)】テレビにだまされないぞぉ 2010年1月24日
http://dametv.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-dab7.html

【陸山会事件】畑だったとは・・・・ 〜世田谷の土地 - Goodbye! よらしむべし、知らしむべからず 2010年5月11日
http://c3plamo.slyip.com/blog/archives/2010/05/post_1721.html

虚偽記入・期ずれは犯罪か? - 牧村しのぶのブログ 2010年5月15日
http://d.hatena.ne.jp/pinsuke/20100515/1273893903

小沢事件の核心は、単純な期ずれだったという記事。- 信州飯田より情報発信します 2010年5月30日
http://wakatajp.ti-da.net/e2749073.html

小沢さんをコケにする松田光世氏(写真あり)と、枝野と玄葉の裏の役割 - 日々坦々 2010年6月7日
http://etc8.blog83.fc2.com/blog-date-20100607.html

菅 直人のなりすましTwitterの犯人は自民党の代理店である電通だった 元・菅 直人秘書が暴く! - ガジェット通信 2010年6月6日
http://getnews.jp/archives/62210

→Roentgenium:但し、松田光世氏は“官”総理の元・政策秘書で、総理交代で態度が一変したようだけど・・・・、以下URL参照。
尚、詳しい検証は、素直にまっすぐに物事が見れる者というHNの方が阿修羅に投稿した説明文の内容のほうが、参考になると思います。

阿修羅さんへ 虚偽記載による起訴は不当であることが全て解明出来ました。 - 素直にまっすぐに物事が見れる者 2010年5月11日
http://www.asyura2.com/10/senkyo86/msg/184.html

虚偽記載報道の議論に、決着をつけます。!!! - 素直にまっすぐに物事が見れる者 2010年5月27日
http://www.asyura2.com/10/senkyo87/msg/170.html

諸君、今直ぐ洗脳から覚めて、小沢さんを救うのだ! - 素直にまっすぐに物事が見れる者 2010年6月2日
http://www.asyura2.com/10/senkyo87/msg/515.html

『小沢首相』奪回のカギを握るのは、諸君だ! - 素直にまっすぐに物事が見れる者 2010年6月5日
http://www.asyura2.com/10/senkyo87/msg/773.html

新・旧の首相が冤罪に加担する国は、滅亡か!?子供達は、集団いじめが正義だと洗脳されるのか?- 素直にまっすぐに物事が見れる者 2010年6月7日
http://www.asyura2.com/10/senkyo87/msg/915.html


◆   ◆   ◆


[参考資料 その2]


糾弾の趣旨と提言(全67項目) - 糾弾←Roentgenium:“小沢事件”のこれまでの経緯がある程度わかります。
http://www.kyudan.com/opinion/index.htm

YouTube - 小沢氏の秘書逮捕は森 英介法相の指揮権発動だった!平野貞夫氏爆弾告発 2010年5月18日
http://www.youtube.com/watch?v=qWveSoGbLCk

http://www.iwakamiyasumi.com/column/item_373.html

小沢一郎「西松事件」〜自民党 森 英介法相が指揮権発動? - ゲンダイ的考察日記 2010年5月22日
http://octhan.blog62.fc2.com/blog-entry-1441.html

森 英介・前法務大臣(麻生政権)―三木武夫---千葉景子法務大臣 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%AE%E8%8B%B1%E4%BB%8B

(自民・谷垣総裁らと、)米澤敏雄弁護士の陰謀、検察審査会で『起訴相当』とされた小沢幹事長 - 糾弾
http://www.kyudan.com/opinion/ozawa07.htm

米澤敏雄弁護士とは何者か - 文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ 『毒蛇山荘日記』 2010年4月29日
http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20100429/1272491444


◆   ◆   ◆


[参考資料 その3]

民主党のイメージ戦略を請け負った謎のPR会社フライシュマン・ヒラード・ジャパンはどこに消えたのか? - 静かなる革命2009 2006年4月30日
http://exodus.exblog.jp/3331536

偽メール事件の真相が読めてきた。仕掛けたのはアメリカの広告代理店であり、日本のゲッベルスが中心人物と思われる - 小沢内閣待望論 2007年11月27日
http://www.asyura.com/07/revival2/msg/158.html

I&S BBDO - Wikipedia←Roentgenium:自民党のほうは今回の参院選もオムニコム(デヴィッド・ロックフェラー)傘下のBBDOがPR戦略を担当したと考えられる。
ここは読売グループとも繋がっている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/I%26S_BBDO


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(全四頁完)

後日、【小沢問題と、IMF(米国)による消費税増税指令】その2 へ続く。

 

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コメント
 
01. 2010年7月16日 06:57:23: odRkyI2qRw
反小沢の様々な動きについて考えると、実に数多くの何故?という疑問があることに気付く。 何故の理由を辿って行けば、全ての疑問がデイビッド・RF氏に到着する。 既に96歳の高齢で、普通の人ならとっくに引退しているお年であるが、どうもまだ元気でいるようである。 この高齢者の狂気ともいえる妄想と執着心に振り回されることは、その餌食にされると言うことではないだろうか。 今は昔となったロッキード・グラマン事件の時不思議に思った疑問が、最近の事件を通じて段々解ってきたような気がする。 アメリカに彼の支配する組織があることは解りやすいが、日本の中央省庁のエリート官僚とマスコミ、それにマスコミに棲み付いている学者やタレント達、司法官僚達も含めて彼の手先となっている日本人達が実に数多いことに気付いて慄然とする想いがある。 現在の日本人の大多数は戦後生まれの人たちだから、生まれついて以来アメリカの正義という概念が頭に刷り込まれていて、それが潜在意識のレベルで働いているのじゃないか。 マインド・コントロールがこれだけ徹底して行われていれば、別に不思議なことではないのだろう。 ただし最近になってそのマインド・コントロールから抜け出している人もでてきているし、それがネットを通じた情報によって増加している。 それが彼等の焦りとなっていて、今回のIMF提案のような乱暴で粗雑な形になっているのだろう。 アメリカの財政・経済は破産の寸前にあり、かつデビッド氏の寿命も残り少ないから、彼等にとって時間の経過は最大の敵になる。 IMFの提案などはそれに従う必要は全くない。 どの道今年の後半になれば、アメリカの破産とチャイナ・バブルの破綻が重なって現実のものとなる。 しばらくは静観するのが良さそうだが、粗暴な連中のやることだから、小沢氏は身辺に注意している方が良い。 N.T

02. Roentgenium 2010年7月16日 09:08:26: qfdbU4Y/ODJJ.: WwhV74yF1s
≪補足≫


Roentgenium:先の文章のタイトルに“IMF(米国)”と表記しましたが、正確にはIMF(デヴィッド・ロックフェラー)と書くべきだったのかも知れません。
この点については異論が寄せられるかも知れない。
しかしながら先ずは一石投じることが出来て、議論そのものに着火が出来れば、それで良しとも考えている。
(世界レベルでの)本質的な問題に目を向ける活発な議論が繰り広げられていくことを望んでいるし、その為に先ず、まずは自分から投げかけてみようと考えた。

ご存知のとおり、米国は超格差社会であり、日本よりも一般庶民の奴隷化、家畜化が進んでいるとみるべき。
即ち借金奴隷という意味であり、例えワシントンDCに本部を置くIMFが米国に増税を要請したとしても、それは支配層に向けてのものでは決してなく、
むしろ、“支配層から奴隷に向けての(増税の)宣告”のようなものだろう。そしてそれは日本に向けられた場合にも同様の意味合いを持つだろう。

金を奪われるのは、負担を強いられるのは、支配層でも超富裕層でもない。尤も、一般富裕層は、一般庶民の次にターゲットにされるだろうけれども・・・・

続きは明日以降としますが、一つわかりやすく説明している文章があるので、それを転載させていただきます。


◆   ◆   ◆


大田英明著『IMF 使命と誤算』(中公新書 2009) - ISIS本座 - 松岡正剛の千夜千冊 2010年3月29日
http://www.honza.jp/senya/1354

以下転載「」、注釈≪≫

「教科書的にいえば、IMFは第二次世界大戦後の世界経済の安定的発展をはかる為、国際収支の困難に直面している国々に対して資金支援をおこなう為に設立された国際機関である。
これによってIMFと世界銀行の二枚看板による、いわゆるブレトンウッズ体制が発動した。

その当初の目的は国際的な通貨の安定を目指す為のものだった。
それゆえIMF(International Monetary Fund)は名目上はあくまでも「国際通貨基金」なのである。

≪しかし、IMFは世界の資金難を救助する公平な国際機関というより、アメリカのドル基軸体制を支える強力な装置であり、
とりわけワシントン・コンセンサス(後述)を掲げて世界に市場原理主義とグローバリズムを広げる“主役”になってきた協力機関であった。≫

実際にも時が経つにつれ、IMFは次第に途上国・新興国に対する金融面での支援出動が頻繁になり、IMFプログラムが実施される国々の政治経済社会を根底から脅かすようになった。
IMFが融資を受ける当該国に対して、融資と引き換えのコンディショナリティ(融資条件)として、極めて多くの困難を伴う政策的な構造改革を要求し続けた。エチオピアはそのほんの一例に過ぎない。

だいたい支援を受けなければいけないような国々が酷い財政ピンチになっているのは、その政治体制がピンチになり、農業も工業も企業も怪しくなっていたからである。そうに決まっている。
そんな時にIMFプログラムが財政支出削減の為の緊縮政策を融資国に要求すれば、公的支出が大幅に削減され、急激な民営化やリストラをせざるを得なくなる。
たちまち政権交代を余儀なくされること、火を見るよりも必至なのである。

スティグリッツの本を読んで、僕はIMFの実態に呆れた。しかし、この本が書かれた2002年からこっち、その後の世界は金融同時危機さえ迎えるようになったのだ。
グローバリゼーションの影の主役はIMFばかりではないことも知れわたったのである。


では、その後のIMFはどうなったのか。そこであれこれ関連本を読んでみたのだが、ジョージ・ソロス(1332夜)のものを除いては、どうもぴったりとした本がない。
IMFや世界銀行のことなんて、どんな現代経済史の本にも現代経済学の教科書にも載っていて、その概要がわかるようになっていると思うかも知れないが、どっこい、実はそうではなかった。

日本の書物でいえば、90年代に本間雅美の『世界銀行の成立とブレトンウッズ体制』(同文館出版)、大野健一・大野泉の『IMFと世界銀行』(日本評論社)があったくらいで、
ほとんどが21世紀になってからやっと“解説”されたという現状なのだ。僕が見たかぎりは、毛利良一の『グローバリゼーションとIMF・世界銀行』(大月書店)が早かったと思う。

そうした中、本書はIMFの歴史と将来について、慎重ではあるものの、最もうまく書かれた一冊だったのである。
様々な問題をコンパクトに割り振りながら、余さず正確に扱っている。スティグリッツのような激しい告発力はまったくないけれど、そのぶん淡々とIMFの狂った体質が伝わるようになっている。

≪本書刊行ののちのIMFについていえば、ごく最近の2008年秋のリーマン・ショック以降の例だけをあげても、
アイスランド、ハンガリー、ラトビア、ルーマニアが、IMFプログラムを受けてあっという間に政権が崩壊するか、交代してしまったのだ(アイスランドにいたっては、その後に国そのものが経営破綻した)。
ジョージ・ソロス(1332夜)の“悪名”を高めたアジア通貨危機の時、インドネシアでスハルト政権が脆くも崩壊したのも、まさにIMFプログラムの導入が引金になっていた。≫

この20年ほどのIMFプログラムの大要は、緊縮政策によって財政支出を削減し、金利を引き上げ、輸入を減少させて、経常収支を改善させるというお決まりのメニューになっている。

短期で経常収支の均衡を達成させる為に、国内景気を冷えさせて輸入受容を抑え、中央銀行(日本なら日銀)によるマネーサプライ(ハイパワードマネー)のコントロールと金利引き上げをさせるというメニューである。
これによって貿易・経常収支を均衡化するという方針だ。

≪しかしIMFが出動すると、たいていの国では景気悪化にともなって税収が激減するから、財政支出は逆に悪化する。
国が危機的な状況に陥っている時に、短期間の政策転換を求めること自体が、どだい無理なのだ。これはスティグリッツも告発している。しかしながら性懲りもなく、これを2002年以降も繰り返してきたのがIMFだったのだ。≫

≪これって何に似ているかといえば、小泉構造改革が財政緊縮政策をとって、社会保障・医療・教育への支出を削減し、地方自治体向け支出を絞っていったことに似ている。いや、そっくりだ。
但し日本は経常収支が黒字の国で、対外借入をしていない。だからIMFプログラム受け入れ国のような最悪の事態は起こらなかった。それどころか、当時の小泉改革をIMFは称賛さえしていた。
しかし、そのことこそが問題だったのだ。≫

尤も、ごく最近になって、国際的な金融取引に対する監督規制の必要が叫ばれるとともに、こうしたIMFの金科玉条プログラムが問い直されるようになったらしい。
しかし問い直されるようにはなっても、改善には着手していない。IMFは新古典派が大好きなマクロ経済しか相手にしていない機関なのである。
そこには実は本来のグローバリゼーションに対する見解も、むろん各国のミクロ経済に対する哲学も、からっきしなかったのだ。


1332夜にも粗方のことを書いておいたけれど、1944年7月、IMFは世界銀行とともに生まれた。
ニューハンプシャー州ブレトンウッズで連合国45カ国が通貨金融会議を開き、二つの大戦の間にブロック経済が膠着状態に達した為、世界の貿易と経済が縮小したことを転換する為に設立された機関だった。
理念的な方針は「保護・差別・双務主義」から「自由・無差別・多角主義」への転換である。

しかし設立当初から、方針と具体案をめぐっての大きな対立があった。イギリスが提出したジョン・ケインズ案とアメリカが提出したハリー・ホワイト案の対立だ。

ケインズ案は「国際清算同盟案」に基づいて、貨幣創出機能と信用創造機能によって国際的な財政収支の不均衡を是正しようとするもので、国際決済通貨「バンコール」を発行するという独創的なプランになっていた。
黒字国に黒字を溜め込ませず、赤字国にも制限を設けて、黒字国から1%ずつを徴収して、その基金でバンコールを発行すれば、それがいずれ世界の基軸通貨になるだろうというシナリオである。

≪これに対してホワイト案はその後のIMFそのものに近く、「短期的な外貨流動資金の提供」に目的を限定した基金主義を提案していた。
今日から見ればケインズ案が断然優れていたが、しかしアメリカはケインズ案では赤字国に一方的な支出を迫られること、ドルを基軸通貨としたいこと、戦後社会でヘゲモニーを握りたいことなどなどの理由で、
ケインズ案を退け、ホワイト案を採択するように工作した。≫


≪こうしてIMFは「金1オンス=35米ドル」という固定相場制をもってスタートし、世界に金ドル本位制を定着させた。≫
60年代までは融資国もほとんど先進国ばかり、コンディショナリティ(融資条件)もスタンドバイ取極(SBA)がある程度で、融資期間中の引き出しにも審査がなかった。

≪それが60年代後半に長引いたベトナム戦争泥沼化の影響で、アメリカの軍事費拡大による財政収支が悪化し、ドルの信認低下が著しくなってきて、
たまりかねたニクソンが1971年に「ドルと金の交換を停止」を発表(ニクソン・ショック)、翌年から各国が変動相場制に移行するようになると、IMFは急激にアメリカに好都合なコンディショナリティの強化に向かうようになった。
そこに、石油価格の変動に対処するという名の緊急融資の導入という手も加わった(オイル・ショック)。≫

IMFは80年代に入ると、中長期の構造改革を迫る融資期間に変貌していった。これこそはスティグリッツが告発するIMFプログラム「構造調整政策」の押し付けになっていく。
ラテンアメリカ諸国がその実験的な対象になったことは、既によく知られている。

≪IMFプログラムが本格的にその金融資本主義の片棒を担ぐような正体をあからさまに見せ始めたのは、ワシントン・コンセンサスの前後からのことである。
(この名称は、IMF、世界銀行、アメリカ財務省がいずれもワシントンに所在するところから付いたニックネーム)

もともとは1985年10月にアメリカのジェイムズ・ベーカー財務長官が発表した「ベーカー・イニシアティブ」が発端で、
ここにはラテンアメリカの経済救済を名目に、こうした諸国を支援するには公的資金や国際機関からの援助だけでは不足があるので、民間に応分の負担を求めるという“要請”が含まれていた。
これはいまでは、日本やヨーロッパの銀行に資金を分担させる狙いだったことがわかっている。≫

≪ここに1989年、シンクタンク国際経済研究所(IIE)のジョン・ウィリアムソンによる「自由主義経済拡大の方針」が加わった。纏めれば、次の10項目で、これをIMFが踏襲することになった。

@財政赤字の是正、A財政支出の変更、B税制改革、C金利の自由化、D競争力のある為替レート、E貿易の自由化、F直接投資の受け入れ促進、G国営企業の民営化、H規制緩和、I所有権法の確立。

これでバレバレなように、ワシントン・コンセンサスには「小さな政府」「規制緩和」「市場原理」「民営化」がズラリと並んでいる。まさに小泉・竹中の構造改革のお題目だった。
あの時の日本は今更IMFメニューの真似などしてはいけなかったのである。≫


ワシントン・コンセンサス以降のIMFが、メキシコのテキーラ危機で最初におこした資本収支危機、ブラジル危機の際に導入したレアルプラン、アルゼンチン危機のときのカレンシーボード制の導入などが、
悉く(ことごとく)うまくいかなかった例については、ここでは省く。

また、1997年から翌年にかけて襲ったアジア通貨金融危機において、タイ、インドネシア、韓国に対してIMFが打った手が悉く(ことごとく)各国事情をかえって悪化させたことについても、ここでは省く。
このあたりのこと、ソロスがIMFと闘っていた時期にもあたるので、1332夜を参照されたい。

≪でも韓国の例だけをスケッチしておけば、韓国はアメリカにとっても“重要国”であったにもかかわらず、それゆえ外貨流動性の供給をこそ行えばよかったのだが、
金利の大幅引き上げ、財政緊縮措置、金融機関の整理統合、企業のリストラ、金融規制の撤廃、財閥の信用保証の解消などの“構造改革”を急激に求めた為、かえって韓国の経済危機に拍車をかけたのだった。≫

このようになってしまうのは、IMFの分析シートが経常収支を抑制するというフレームワークばかりを重視しているからである。
この分析シートはIMFのフィナンシャル・プログラミング(FP)と呼ばれる。これが各国の実体経済を無視した、新自由主義的な、つまりはワシントン・コンセンサス型の押し付けをばら撒くことにもなったのだった。


≪いま、さすがにIMFプログラムは見直しを迫られている。
2008年秋のリーマン・ショック以降の世界金融危機後の世界を前に、現状のIMFプログラムのままではこの危機を対処しきれないからである。とくに途上国や新興国を潰してしまう。≫

第1に、資本取引や金融自由化を早期に実施するのは、経済変動リスクを高めるばかりで、その国に相応しい安定的な経済成長にはならない。
第2に、株式や債権などの証券投資を促して、かえって短期流出を誘ってしまう。
第3に、途上国や新興国では国内貯蓄率がしっかりすべきなのに、その風潮をぶち壊してしまう。

≪しかしながらIMFは、いまだに自身の改革に向かっていない。
IMFのスタッフに相変わらず新古典派的な「自由化」を信奉するエコノミストが集中しているらしいこと、今尚アメリカ金融界の利害が組みこまれていることなど、根深い体質に問題があるようなのだ。≫
スティグリッツが散々文句をつけた体質だ。まあ、治らないのかもれない。

この為、最近ではIMFにはもう頼らずに、「通貨スワップ」で経済危機を国際的に乗り越える方式が検討され、一部では各国間に導入されるようになってきた。

2007年12月にはFRB(アメリカ連邦準備制度)とECB(ヨーロッパ中央銀行)とスイス中央銀行が通貨スワップを決め、
2008年10月にはブラジル・メキシコ・韓国・シンガポールとFRBがスワップ協定し、その2カ月後には日本も中国・韓国との3カ国スワップ協定の拡充を決めた。
中国は韓国・香港・インドネシア・マレーシア・ベラルーシと通貨スワップを締結した。

IMFがいまだにコンディショナリティに「貿易自由化、民営化、公共部門の賃金抑制」などを謳っているのは、かなり実情とそぐわなくなっているはずなのに・・・・」


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Roentgenium:IMFに関する資料として、「日本を守るのに右も左もない」というサイトで纏められている年表が大変詳しく参考になると思います。
[参考資料]として、他にもいくつか紹介。

[参考資料]

『国際金融機関どうなる?』 4.国際金融機関設立の目的 〜IMF・世界銀行と金貸しとの関係 その1〜 - 日本を守るのに右も左もない 2008年12月21日
http://blog.trend-review.net/blog/2008/12/000973.html

『国際金融機関どうなる?』 5.国際金融機関設立の目的 〜IMF・世界銀行と金貸しとの関係 その2〜 - 日本を守るのに右も左もない 2008年12月21日
http://blog.trend-review.net/blog/2008/12/000977.html

ドルに代わる通貨システムは?〜4.国際通貨基金(IMF)の実権は誰にある?(1) - 金貸しは、国家を相手に金を貸す 2009年11月1日
http://www.financial-j.net/blog/2009/11/001073.html

ドルに代わる通貨システムは?〜5.国際通貨基金(IMF)の実権は誰にある?(2) - 金貸しは、国家を相手に金を貸す 2009年11月3日
http://www.financial-j.net/blog/2009/11/001076.html

ロックフェラー vs ロスチャイルド〜番外編〜 - maimaikaburi 2008年8月20日
http://maimaikaburi.blogspot.com/2008/08/vs.html

「IMF:第二次世界大戦後、疲弊した世界経済を救う(要は戦勝国の金儲け)為に、ロックフェラーの鳴り物入りで始ったIMF。
ところがどっこい、IMFを作り出したブレトンウッズ体制を主導したのはヘンリー・モーゲンソー・Jr(ロスチャイルドの一族)。ロックフェラーだけを儲けさせる筈などなかったのだ」

【動画】IMFの実態(ジャマイカ 楽園の真実の付録映像)、他 - <Anti-Rothschild Alliance>
http://www.anti-rothschild.net/link/animation.html

「ほぼ40年にわたってワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ、タイムマガジン、そしてその他偉大なる出版社の取締役が我々のミーティングに参加してくれ、
公表しないで静かにしてくれていたことに感謝している。それらの年月の間、もし我々が世間の注目の明るい光の中に出ていたなら、我々の計画を発展させることは不可能だったろう。
しかし世界は今さらに洗練されて世界政府に向けて行進する準備は整っている。その超国家的な知的エリートと国際銀行家の支配力は確かに過去の世紀の国家が自分で決めていたやり方より望ましいものだ。
(デヴィッド・ロックフェラー 1991年三極委員会の演説にて)」←Roentgenium:日本で言えば、朝日(船橋洋一)や読売などがその筆頭だろうか。

http://jyotish007.blog71.fc2.com/blog-entry-213.html


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(全一頁完)


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