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大塚耕平・民進党代表の記者会見 ! (下)
(www.minshin.or.jp:2018年3月1日より抜粋・転載)
大塚耕平代表記者会見
2018年3月1日(木)15時00分〜15時31分
■冒頭発言
○参院予算委:「働き方改革」の問題点について質疑
■質疑
○「働き方改革」:高度プロフェッショナル制度・裁量労働制について
○「働き方改革」 閣法への対応・対案について(1)
以上は前回投稿済みです。以下はその続きです。
○経済政策「All for All」について
【「フランス10・及川記者」】
「連合フォーラム」で井手英策先生が講演され、連合会長が「週刊金曜日」のインタビューで井手先生の「All for All」を野党結集の軸にしたいということをおっしゃっていた。
井手先生の「All for All」という経済政策について、どのようにお考えになるか伺いたい。
批判として、立命館大学の松尾匡教授が3点、「All for All」の問題点を言っている。
1点目が、本来負担するのは富裕層であり大企業だと。
そして、「みんなで支える」というのは疑問だと。その理由として、現実の社会は富裕層とそうでない人に二極分化していると。
3点目が、日本を一つの共同体とみなす安倍さんと、「みんなで支える」という「All for All」は似ているとおっしゃっていた。
【代表】
まず、「All for All」というのは、ある意味、民主党時代、そして民主党政権時代に我々が主張していたことの延長線上にある政策の枠組みだと思います。
それは、いろいろご批判もありましたが、消費税をああやって引き上げるお願いをし、下野してまでああいう決断をし、そして社会保障を充実させていくというのは、まさしく財源は広く薄く集めさせていただいて、そして必要な社会保障は的確に行っていくと。
これを、全く一緒ではないですが、少し表現を変えて組み立て直すと「All for All」になります。
「All for All」は、皆さんもご承知のとおり、中低所得者層の皆さんにも負担できる範囲で負担していただくということが前提で、しかしそのかわりに、困ったときには今以上にしっかりサポートが受けられるという枠組みです。
そういう意味でいうと、松尾さんのご主張はちょっと僕は熟知していないのですが、負担は富裕層がするものだという、そういう単純な割り切りではない主張が「All for All」ですし、実際富裕層だけで本当に負担し切れるのかというと、それはなかなか難しいからこそ「社会保障と税の一体改革」という話になったわけです。
2番目の、富裕層とそうでない層と2分化されているというのは、それは今、相対的貧困率の中央値のデータなどを見ているとまさしくそういう傾向が出ているので、「All for All」の結果としてかつての日本のように分厚い中間層が復元すれば一番いいわけですが、今いきなり分厚い中間層を復元できないのでこういう政策が出てきているわけですから、2点目はそう考えるべきでしょう。
安倍さんの言っている日本は一つの共同体というのとは、かなり主張的には異なると思います。
今回の労働法制の、きょうの議論やきのうの決断に至る過程でもおわかりのとおり、安倍さん的に言うと、まさしく取りやすいところから取る。
ないしは、文句を言わないところには余計なプロフィットは提供しないで、企業収益を高めて、そこから法人税収を得ればいいという発想かもしれないけれども、得た法人税収が社会保障に回っていくわけでもない。
皆さん気がついたかどうか。時間がないので十分説明し切れなかったのですが、実質GDPというのは資本と労働と全要素生産性のコブ=ダグラス生産関数で示されるというのがあのパネルの下に書いてあった式(「国内総生産(GDP)=(1−α)資本投入*α労働投入*全要素生産性」 αは労働分配率 労働分配率が下がる時は資本投入が多ければGDPが増える)なのですが、資本に係る係数は「1−労働分配率」、労働に係る係数は「労働分配率」だから、安倍政権で労働分配率が下がっているにもかかわらず実質GDPが上がらないというのは、要するに資本投下が少な過ぎるからなのです。
なぜならば、内部留保は全部キャッシュで貯めているか、海外に投資しているから。
安倍さんの主張が、ここのところを改善しないで、共同体で取りやすいところから取って、文句を言わない人にはプロフィットを提供して、この枠組みも「All for All」と一緒だとは、とても理解できない。松尾さんのおっしゃる3点目がどういう内容かわかりませんが、かなり違うと思います。
○憲法論議 憲法調査会の議論について
【フジテレビ・古屋記者】
憲法調査会が立ち上がり、きょう初会合が開かれた。きょうは憲法改正の手続の話と、最近の他党の議論の状況についてヒアリングを行い、次回は時期が未定で、これまでの党としての議論のおさらいをすると聞いている。
民主党時代から議論を積み重ねているのはわかるが、自民党やほかの野党が条文案などを示している中で、民進党が憲法議論の中で埋没しないように、スピード感なり、あるいは重点分野といったものを指示されるような考えはないか。
【代表】
調査会長とは、きょうの会合の前にも打ち合わせをした上でスタートしていただいています。
きょうは実は時間がなくて予算委員会で憲法ができなかったのは残念なのですが、我々の基本的な考え方として、憲法改正の発議に至るプロセスというのは二つあると思っています。
一つは、確かにどこかの政党がこれを主張して、そして多数決で発議に至るという仮定ですが、これは通常の法案に似ているわけです。
しかし総理は「憲法は国の理想の姿だ」と言っているわけですから、「国の理想の姿」というのは人によってさまざまなので、もしこれを理想の姿だとおっしゃるならば、全会一致でなければならない。全会一致に持っていくためには、これは審査会の会長提案であったり、できたら皇室典範のように議長が間に入って、まさしく議会全体として発議するというのであるならば非常に望ましいと思います。
まだ十分そこが議論になっていませんが、その発議に至るプロセスについて、今、安倍さんが主張しているような3分の2云々ではなくて、審査会長提案ないしは議長裁定というような姿を目指さないと、安倍さんの言う「憲法は国の理想の姿だ」という発言と整合的ではないので、そこはそのような主張をしていくべきではないかと思っていますが、それは憲法審査会でこれから議論されるべき問題だと思っています。
○参院予算委 黒田日銀総裁について
【朝日新聞・斉藤記者】
予算委員会で、黒田日銀総裁との質疑の評価、何か評価すべき点があったか伺いたい。
【代表】
評価すべき点というよりも、皆さんもあのパネルを見ていただいておわかりのとおり、CPI(消費者物価指数)も下がっている、BEI(予想物価上昇率)も下がっている。5年もやった。つまり、成果はほとんど出ていないに等しいのです。
株価や為替は直接は日銀の所管事項ではないわけですから、あれは日銀の成果ではないので。きょうの質疑で評価すべき点はないです。
【朝日新聞・斉藤記者】
国会(同意人事)対応はどうなるか。
【代表】
それは政調で賛否は決めると思います。はい。
○「働き方改革」対案・「原発ゼロ」法案について
【読売新聞・鈴木記者】
「働き方改革」の対案の提出時期については、政府案を待って出すのか、それとも民進・希望が出すものが本当の働き方改革だと先んじて出す可能性があるのかが一点。
もう一点は、立憲民主党が検討している「原発ゼロ」の法案について、民進党は共同提案に乗るのか。その辺のスタンスを伺いたい。
【代表】
どちらも、もちろん今現場で議論していることなので、スタンスは最終的には現場の意思を尊重しますが、現時点で申し上げられることがあるとすれば、「働き方改革」の対案はかなり速いピッチで、しかも完成度の高いものがつくられているので、先んじて出そうと思えば多分出せると思います。
ただし、どのタイミングで出すかというのは、これは国会対応上の戦術の問題もあるので、未定です。
原発については、昨日、関係部会で話を聞かせていただいたと思いますが、我々は民主党時代から継続して、きちっとした体系でまとまった過去のエネルギー環境調査会での考え方があります。
現時点ではその内容を踏襲しているということですから、立憲の皆さんの法案に対する対応は、そういう意味では全くニュートラルです。
○町田市長選・市議選の結果について
【フリーランス・堀田記者】
町田の市長選と市議選が行われたが、民進党の都議や、民進党をまだ離党していない元都議などが、市議選で立憲民主の応援に行っている。
【代表】
事実関係は僕はわかりませんが。どうぞ、質問を最後まで続けてください。
【フリーランス・堀田記者】
せっかく36人定員で1人公認して、2人を推薦したが、応援の仕方などが統一がとれていないようで、取材していて非常に情けないと思った。
山口拓都議や今村るか前都議がずっと立民の公認候補者についている。
「この時間があれば、民進党からきちんと公認・推薦されている候補がいるのだから、そっちに行ったらどうか」と言ったら、何かむにゃむにゃと言って逃げてしまったが。
その点、幹事長と一緒に、ちゃんと民進党という党があって、民進党から公認・推薦を受けて戦っている人がいるのだから、それをやるようにということを上から言っていただきたい。
【代表】
何か民進党の党員かサポーターのご発言のようで、ありがたいご発言なのですが。(笑い)
選挙に関して、やはり党が一定のルールに従って対応するというのはそのとおりですから、実情をよく踏まえた上で、指導すべきものは指導しなければならないと思っています。
その一方で、今全国的に、皆さんご承知のような去年の総選挙以降の展開の中で、立憲であれ、希望の地方議員の方は今いないわけですが、みんな元仲間なので、そこには複雑な人間関係があるのかもしれません。だから、ちょっと筋論だけで今簡単に町田の件についてコメントできるだけの材料がありません。
ただ、組織論としては、おっしゃる意味はよくわかります。せっかくいただいた情報なので真摯に受けとめたいと思います。
○相次ぐ米軍機の事故・トラブルについて
【フリーランス・上出記者】
米軍機がこの前、青森の小川原湖に(燃料タンクが)落ちて、今度は沖縄の、前に窓枠が落ちた小学校の上空飛行を再開した。青森などでは平気でそのまま飛んでいる。
見ていて、何かもう完全に数の力で押し切って、アメリカに本気で申し入れている感じがない。
いろいろいきさつはあると思うが、最終的には地位協定の改善、ドイツなどはアメリカとの関係があってもきちんとやっている。
今の段階で、こういう状態を踏まえて、大塚代表としては何をすべきで何ができるとお考えか。
聞くところによると、(米国側のみに責任がある場合)4分の3まではアメリカが出すが、4分の1は日本が補償するということだ。
青森の場合は本来全額要求すべきだと思うが、それも含めて伺いたい。
【代表】
まさしくそういう問題意識があるからこそ、きょう予算委員会冒頭でこの問題に触れたわけです。
本来はやはり、例えば沖縄であれば、学校上空は飛ばないようにする。
もうこれを徹底してほしいわけでありますが、防衛大臣も正直にしゃべっていましたが、普天間第二小学校の上空も先週また飛んでしまったわけです。
青森に至っては、燃料タンクをシジミ漁をやっている漁師さんたちのわずか数百メートルのところに投棄するというのは考えられないことで、だからこそ総理に「知っていますか」と聞いたところ、さすがにこの二つは知っていましたが、「じゃあ」というので、普天間近くの保育園に(部品が)落ちた事案については総理はやはりご存じないわけです。
だからまずは、今我々は野党ですから、できることは、ああいう(国会審議の)機会などを捉えて、状況をしっかり認識をしてもらうと。総理自身にですね。そこから第一歩です。
我々自身ができることとしては、もちろんアメリカ大使館に話しに行くとか、前の野党時代に私も、古い話ですが鳩山さんが代表だったころ、2002年ごろに沖縄の米軍基地を全部回りました。
グレッグソン四軍調整官とも会いましたが、そういう時にはいろいろなことを申し入れていますので、またそういうことをやることも一案だと思います。
現状においては、昨年来、繰り返し起きているこういう事案の情報収集をしっかりして、きょうのような機会を捉えて、総理に十分認識させるということだと思っています。
○憲法論議 9条3項自衛隊明記論について
【「フランス10」・及川記者】
日経新聞の2月7日の朝刊に、憲法学者の井上武史先生が寄稿され、憲法9条3項に自衛隊を明記することの問題点を二つ挙げていた。
1点目が、国民投票で承認された自衛隊は、憲法制定時に国民投票を経ていない既存の国家機関、例えば衆参両院、最高裁判所などよりも高い正統性を有することになる。これが一点。
もう一点が、自衛隊が憲法上の組織となれば、法律で設置されるにすぎない防衛省は自衛隊の下位機関となる。これはもっともな指摘だなと思った。
大塚代表に改めて、いわゆる3項に自衛隊を明記する自民党案の問題点について伺いたい。
【代表】
今おっしゃった二つの点については、参考情報としてお伺いしておきます。
1項・2項維持、3項に明記という点については、これも11月の代表質問で聞いて、実はきょうもそのことも場合によっては聞こうかなと思っていたのですが、何しろその立法事実があるかないかということです。
総理は、自衛隊を書き入れても「何も変わらない」とおっしゃったわけですから。
何も変わらなければ、我々も自衛隊は合憲の立場だし、与党も合憲の立場ならば、これを書き込む立法事実がないわけでありますので、やはりその主張の正当性に欠けると思っています。
○「働き方改革」 閣法への対応・対案について(2)
【テレビ朝日・村上】
「働き方改革」法案で確認だが、仮に政府が裁量労働拡大と高プロを削除した場合、今国会での法案提出にはどのような立場をとるつもりか伺いたい。
【代表】
それはもちろん現場の判断・議論をまちますが、歩み寄れる可能性が大いに高まると思います。
しかし、きょうこの段階で私が「賛成」だとか「反対」だとか言える状況にはないです。ただし、その二つがなくなれば、1個はもうなくなっちゃったわけですが、もう1個がなくなれば、歩み寄れる可能性はかなり高まると思います。―民進党役員室―
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