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福島原発事故処理費用、最大70兆円 ! 民間シンクタンク試算 !
政府公表の3倍超 !
福島原発・1号機、格納容器、汚染水1.5シーベルト !
ロボットが撮影した、鮮明画像 !
脱原子力を選択したドイツの現状と課題
(www.tokyo-np.co.jp:2017年4月2日より抜粋・転載)
東京新聞・朝刊:東京電力福島第一原発事故の対応費用について、民間シンクタンク
「日本経済研究センター」(東京)が、総額五十兆〜七十兆円に上るとの試算結果をまとめたことが分かった。
費用が、最大の場合、経済産業省が、昨年十二月に公表した、試算約二十二兆円の三倍以上(約3.2倍)である。センターは「国民負担が大幅増の恐れがあり、国の原子力政策の見直しが必要だ」と提言している。
センターは、大手企業や大学、自治体などが、法人会員のメンバー。試算は特任研究員の鈴木達治郎長崎大教授らがまとめた。
経産省は、対応費用を、大きく三つに分類し「除染」六兆円、「廃炉(汚染水を含む)」八兆円、「賠償」八兆円と試算した。
これに対し、日本経済研究センターは、それぞれ三十兆円、十一兆〜三十二兆円、
八兆円とした。
除染に関しては、政府は、福島県内で出る汚染土などの廃棄物が、最大約二千二百万立方メートルと見込むが、県外の処分先のめどは、立っておらず、対応費用は、経産省試算に盛り込まれていない。
日本経済研究センターは、最終処分費用を青森県六ケ所村の埋設施設で低レベル放射性廃棄物を処分する単価並み(一万トン当たり八十億〜百九十億円)として試算、総額三十兆円と見積もった。
廃炉の費用については、原発の解体で出る、全ての廃棄物のうち、炉内構造物や廃液などの放射性廃棄物は数%程度で、その他は、線量が基準を超えない、一般の廃棄物に当たるとしているが、第一原発については、炉心溶融した1〜3号機は、全て放射性廃棄物として、処分すると仮定したため、対応費用が膨らんだ。汚染水は、第一原発敷地内のタンクなどに、約百万トンがたまっており、政府は、処分方法を絞り込めていない。
日本経済研究センターは、日本原子力研究開発機構などのデータを基に、一トン当たりの処理費用を、二千万円とし、全量分を二十兆円とした。
基準以下に薄めて、海洋放出した場合、二十兆円は、不要だが、地元漁業者への計三千億円の補償が、経産省試算に上乗せされるため、賠償費用が、八・三兆円になると試算した。
(参考資料)
T 福島原発・1号機、格納容器、汚染水1.5シーベルト !
ロボットが撮影した、鮮明画像 !
(www.tokyo-np.co.jp:東京新聞・ 朝刊:2017年3月20日より抜粋・転載)
◆汚染水の中で、毎時一・五シーベルトという高い放射線量を測定した !
◆約五時間浴びると、瞬間的に浴びた人が、一カ月以内に全員死亡する !
◆内部で、最大毎時六五〇シーベルトという極めて高い空間線量が
推定された !
格納容器内部の調査は、2号機でも一〜二月に実施。圧力容器直下の足場の損傷やデブリの可能性のある堆積物の様子をロボットなどで撮影したほか、内部で最大毎時六五〇シーベルトという極めて高い空間線量が推定されたが、デブリの直接確認には至らなかった。
U 脱原子力を選択したドイツの現状と課題
(www.asahi.com:2015年6月26日より抜粋・転載)
「誰が福島の責任をとることができるのか」と書いたプラカードを持ってデモ行進する
参加者
=2011年3月26日、ベルリン
■熊谷徹(在独ジャーナリスト)
ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、今年3月に日本を訪れる直前にネット上に発表したインタビューの中で、「ドイツは、再生可能エネルギー拡大の道を歩んでいる。日本にもそうなってほしい」と述べた。
ドイツは、2011年に発生した、東京電力・福島第一原子力発電所の炉心溶融事故をきっかけに、エネルギー政策を根本的に変えた。世界中で、ドイツほど福島事故の教訓を、真剣に自国にあてはめ、政策を大幅に転換させた国は一つもない。
私は、1990年からドイツを拠点にして、エネルギー問題を取材・執筆活動のテーマの一つとしてきたが、福島事故直後にこの国が見せた劇的な展開には驚かされた。
もともと原子力擁護派だったメルケル首相が、福島事故の映像を見て原子力批判派に
「転向」し、東日本大震災からわずか4カ月後には、原子力発電所を2022年末までに全廃することを法制化したのである。
「日本と同じように天然資源が少ない物づくり大国ドイツは、本当に原子力発電をやめても大丈夫なのか」「ドイツが方針を変更して、原発を再稼働することはあり得ないのか」。私は、多くの日本人からこうした質問を受ける。
私は、2014年11月末に、ミュンヘン工科大学でドイツ技術アカデミー(ACATECH)などが開いたエネルギー転換に関する国際シンポジウムに参加した。
この際にドイツ鉱業・化学・エネルギー産業労働組合(IG BCE)のラルフ・バーテルス氏に「今後どのような事態が起きれば、ドイツは原発全廃政策を取り下げるだろうか」という挑発的な質問をしてみた。
IG BCEは、電力の大口消費者の利益を代表してエネルギー・コストの抑制を求めるとともに、エネルギー業界の雇用を守ることを任務としている。
この産業別組合でエネルギー転換についての政策提言を担当するバーテルス氏は、「原発回帰はあり得ない」と断言した。「議会制民主主義に基づくこの国で、過半数を占める市民が原発全廃を支持しているのだから、そうした世論に逆行する政党は敗北するだけだ」と指摘した。
確かに現在のドイツでは、原子力発電の復活を要求する政党や報道機関は、一つもない。「再生可能エネルギーの拡大のために電力料金が高騰しているから、2022年以降も原子力発電所を使い続けるべきだ」という意見も聞いたことはない。
日本とは異なり、ドイツはエネルギー政策のぶれを見せていない。原子力の発電比率ゼロ、再生可能エネルギーの発電比率80%の社会へ向けて、まっすぐに突き進んでいる。
現時点では、政界、経済界、報道機関を含めて、脱原子力についての国民的な合意ができあがっているのだ。
■7基の原子炉を即時停止
2011年3月11日以降、ドイツの新聞とテレビは日本で起きた地震と津波、そして原発事故のニュースで埋め尽くされた。福島事故に関するドイツのメディアの報道は、当初から日本よりもはるかに悲観的だった。
翌日の3月12日には、公共放送局が「最悪の場合、炉心溶融が起き、チェルノブイリ並みの事故になる」という原子力発電の専門家のコメントを流していた。
1986年のチェルノブイリ事故で放出された放射性物質は、ドイツ南部を中心に土壌や農産物、野生動物を汚染した。この時の恐怖感は、市民の心に深く刻み込まれている。このため、ドイツは福島から1万キロメートルも離れているにもかかわらず、メディアの報道によって市民の間に不安感が高まった。
ヨウ素剤や線量計を買い求める市民が続出した。
メルケル政権は、迅速に行動した。事故発生から4日後、連邦政府は3カ月にわたる「原子力モラトリアム」を発令。当時ドイツには17基の原子炉があったが、政府は全ての原子炉の安全点検を命じた。
地方分権が進んでいるドイツでは、個々の原子炉の運転の許認可権を、州政府の原子力規制官庁が持っている。原子力発電所がある州の政府は、連邦政府の意を受けて、1980年以前に運転を開始した7基の原子炉を即時停止させた。
これらの原子炉と、2007年以来変圧器火災のため止まっていた1基の原子炉は、モラトリアム終了後も再稼働することなく廃炉処分となった。メルケル政権は前年に電力業界の要請を受け入れて、原子炉の稼働年数を平均12年間延長することを決めていたが、この措置も凍結した。
■メルケル首相の告白
メルケル氏は、「原子力発電所を安全に運転させることができるかどうかについて、首相として責任が持てない」と語り、脱原子力へ向けて大きく舵(かじ)を切った。彼女は、日本から送られてきた福島事故の映像を見て、「自分の原子力についての考え方が楽観的すぎたことを悟った」と告白した。
メルケル氏の考え方は、2011年6月9日に、連邦議会で行った演説にはっきり表れている。
「(前略)福島事故は、全世界にとって強烈な一撃でした。この事故は私個人にとっても、強い衝撃を与えました。大災害に襲われた福島第一原発で、人々が事態がさらに悪化するのを防ぐために、海水を注入して原子炉を冷却しようとしていると聞いて、私は“日本ほど技術水準が高い国も、原子力のリスクを安全に制御することはできない”ということを理解しました。
新しい知見を得たら、必要な対応を行うために新しい評価を行わなくてはなりません。私は、次のようなリスク評価を新たに行いました。
原子力の残余のリスク(筆者注・一定の被害想定に基づいて、様々な安全措置、防護措置を講じても、完全になくすことができないリスク)は、人間に推定できる限り絶対に起こらないと確信を持てる場合のみ、受け入れることができます。
しかし、その残余リスクが実際に原子炉事故につながった場合、被害は空間的・時間的に甚大かつ広範囲に及び、他の全てのエネルギー源のリスクを大幅に上回ります。
私は福島事故の前には、原子力の残余のリスクを受け入れていました。高い安全水準を持ったハイテク国家では、残余のリスクが現実の事故につながることはないと確信していたからです。
しかし、今やその事故が現実に起こってしまいました。
確かに、日本で起きたような大地震や巨大津波は、ドイツでは絶対に起こらないでしょう。しかしそのことは、問題の核心ではありません。福島事故が我々に突きつけている最も重要な問題は、リスクの想定と、事故の確率分析をどの程度信頼できるのかという点です。
なぜならば、これらの分析は、我々政治家がドイツにとってどのエネルギー源が安全で、価格が高すぎず、環境に対する悪影響が少ないかを判断するための基礎となるからです。
私があえて強調したいことがあります。
私は去年秋に発表した長期エネルギー戦略の中で、原子炉の稼働年数を延長させました。しかし私は今日、この連邦議会の議場ではっきりと申し上げます。福島事故は原子力についての私の態度を変えたのです。(後略)」
この演説は、物理学者・政治家メルケル氏にとって一種の「敗北宣言」だった。
彼女は「以前の自分の考えは誤っていた」と、居並ぶ国会議員、そして国民の前ではっきり認めたのだ。ドイツ社会では、意見を大きく変えることは、好ましい評価を受けない。
それまでの考えが浅かったことを、暴露することになるからだ。
したがって、一国の首相がこれほど率直に「自分の考えが誤っていた」と公言するのは、珍しい。通常は、様々な理由を挙げて、なぜ自分が別の考えを持っていたのかを正当化しようとするものだ。だが彼女は一時科学者として働いた人間らしく、弁解することはせず、己の知覚能力、想定能力に限界があったことを正直に告白したのである。
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