http://www.asyura2.com/10/nametoroku6/msg/7398.html
Tweet |
2017年の経済展望 世界経済を見る上での4つのポイント !
(第2回)
(blogos.com:2016年12月26日 より抜粋・転載)
◆OECD経済見通し:2016年の世界実質GDP成長率は、伸びが鈍化して2.9% !
◆「長期停滞」の可能性を示唆する2016年の先進国経済
*補足説明:大企業・高額所得者優先、官僚主導、政官業癒着・長期自民党・自公政権の悪政・失政の証明である。自公政治家・NHK等は、誤魔化す事であるが。
◆長期停滞が持続したのが、1990年代以降の日本経済の姿 !
*補足説明:自公政治家・NHK等が隠す「日本経済・20余年低迷」の実態 !
「株価」と名目GDPの実態は、日本だけの20余年超長期低迷 !
☆2016年は、1990年代以降の日本経済の動きを、米国や欧州といった先進国が、トレースしつつあるのではないかとの懸念が深まった年であり、こうした懸念が、転換するか否かが、2017年の先進国経済先行きの第一のポイントだ。
◆欧州経済は、低成長と低インフレが続いた !
◆日米欧の経済状況は、長期停滞論に沿った姿である !
*補足説明:新自由主義・グローバリズムの美名の下で、実態は、弱肉強食・格差拡大の政治・経済政策が実施されたのであり、1%の巨大財閥・高額所得者が、巨利を獲得し、99%の大衆の大部分は、所得が減少・低迷して、格差拡大が増大してきた。
◆財政支出の拡大は、総需要の力強い拡大の呼び水にはならなかった !
◆2016年の先進国経済は、総需要不足に基づく低成長が続いている !
◆2017年の先進国経済の先行きは、総需要不足を解消して
成長につなげる試みが広がるかどうかが鍵となる !
◆トランプ新大統領は先進国経済停滞の起爆剤となるか?
☆トランプ新大統領の経済政策が期待を裏切らない形で本格稼働するか否かが、
2017年の先進国経済先行きの第二のポイントである。
◆トランプ新大統領が、行う予定の、所得税減税の恩恵は、
高所得層に偏っている事が特徴である !
◆米FRBの金融政策は、トランプ氏の経済政策が、最大限効果
を発揮する形で進められる公算が、高い !
以上は前回投稿済みです。以下はその続きです。
図表6 トランプ氏の経済政策、共和党の経済政策、トランプ氏の経済政策の実行可能性
(省略)
図表6は、トランプ氏が主張している経済政策、共和党の経済政策、そしてトランプ氏の経済政策の実行可能性をまとめている。
共和党の財政スタンスは、赤字財政の拡大による、債務拡大を許容しない可能性が高いと考えられるため、トランプ氏の減税策・インフラ投資は、社会保障等の歳出削減を財源の一部とした形で行われる公算が大と思われる。これは、図表5で示した、経済効果を低めることにつながるが、少なくとも経済成長率を押し上げる形に、留められると予想される。
◆トランプ次期大統領は、TPP交渉からの撤退を明言 !
通商政策については、トランプ氏が、すでに公言している、TPP交渉からの撤退は、間違いなく実施されるだろう。
ただし、TPPからの撤退は、交渉参加国の国益にはつながらない。米国際貿易委員会(ITC)による試算に基づけば、TPP締結は、米国実質GDPを427億ドル、雇用者数を12万8千人増加させるとの結果が得られている。
産業別にみると、農業・食品分野の生産は、TPPを締結しない場合と比較して0.5%増、サービス業は0.1%増となる。一方で、製造業・資源・エネルギー産業は0.1%減となっている。
雇用への影響は、米国全体ではプラスであり、トランプ氏の懸念は、当てはまらない。以上からは、TPPによる米国へのインパクトは、小さいため、これらの試算結果を元にすれば、トランプ氏の懸念は、妥当ではない。
*補足説明:自公政治家・NHK等が誤魔化す、TPPの正体は ?
植草一秀氏の主張:「日本収奪の最終最強兵器」・TPPは、
多国籍企業の巨利獲得の手段である !
覇権国家・米国は、対日経済戦略を、TPPに基本戦略を転換した !
「TPP推進」を掲げる者は、ハゲタカ強欲資本の
家来・売国奴である事を理解すべきだ !
そして、状況の推移をみながら、WTOへの貿易救済提訴、中国を為替操作国に認定、不正行為をする国に対して、関税を引き上げ、貿易違反に対して、あらゆる法的手段を商務省に指示、中国に対して知的財産侵害や違法な輸出補助金を無くさせる、といった政策が、実行されるだろう。
こうした政策はWTO加盟以降の中国との貿易取引が米国の雇用者数を大幅に減少させたといった指摘(注)や、元に対してみたドル高といった現象が米国製造業の輸出競争力を下げ、雇用を減らしたという懸念に基づいている。リスクを懸念する事業者は米国への企業立地を進める可能性もあるだろう。
(注)MITのAutor教授らの論文(The China Shock:Learning from Labor Market Adjustment to Large Changes in Trade)では、WTO加盟以降の中国からの輸入増加で、米国内の雇用が最大で200〜240万人失われた可能性があるとしている。
金融規制については、ドッド・フランク法(ボルカー・ルール)の廃止についてはトランプ氏・共和党ともに主張している。ドッド・フランク法については、上院の議事妨害(フィリバスター)の可能性が高く、廃止は難しいと思われるが、監督当局への人事権行使により、事実上の骨抜きとなると思われる。
医療については、オバマケアは、廃止ではなく一部を維持しながら改変されるだろう。
エネルギー・環境については、パリ協定の撤退や石油・石炭・天然ガスの国内生産拡大といった政策がすすめられるだろう。
環境保護よりもやや経済効率性の重視へとスタンスが変わると思われるし、石油・石炭・天然ガスの米国内の生産拡大は、減産が合意された原油価格への先行きにも少なからず影響を与えるはずだ。
つまり、減産に伴う油価上昇は、逆にシェールオイルやシェールガスの生産を拡大させることを意味するため、エネルギー供給は、減産によって見込まれる程には減らず、結果として原油価格の上昇は思ったほど進まず、産油国間の価格競争が、激化するということだ。
移民については、不法入国者や不法移民への取り締まりが強化されるだろう。
メキシコ経済は、大きなダメージを受ける可能性が高い。
◆トランプ新大統領の経済政策は、米国景気の拡大といった
好影響が前面に出る公算が高い !
以上のように、トランプ新大統領の経済政策はこれまでふれた様々な問題点・留意点を内包するものの、経済政策が実行される最初の年である来年は、問題点よりも米国景気の拡大といった好影響が前面に出る公算が高い。そしてトランプ新大統領の経済政策は、減税を柱とした大規模な財政政策、規制緩和・保護貿易の実行といった点においてレーガン政権の経済政策と類似している。
多国籍企業の自由な海外展開を圧力で妨害したり、ドル高の是正のために他国に通貨高を強要したり、財政支出により高まった米国の貿易赤字是正のために、輸入相手国の数量規制を要望するやり方は、決して成功しないことは過去の歴史が証明している。
財政支出とそれを支える金融政策の両輪を駆使することで低成長を終わらせ、他国からの輸出を取り込み、世界経済を先導していくことが、トランプ新大統領の意図とは異なる道かもしれないが「強いアメリカ」への最短経路だ。
◆米国景気が拡大すれば、日本経済にとっては、
円安・株高といった形で好影響をもたらす !
大統領就任、一般教書演説、予算教書といった形で、トランプ氏の経済政策の輪郭が明瞭になるにつれて、米国の長期金利の上昇、ドル高、予想インフレ率の上昇、株高が進む形となれば、日本経済にとっては、円安・株高といった形で好影響をもたらすだろう。
こうした好影響は、欧州経済にも作用する。昨年6月の英EU離脱決定当初は経済悪化が懸念されたものの、英国はポンド安に伴う観光需要拡大によりむしろ好影響が持続している。そして緩やかながらも失業率の改善が続いているのは、ECB(欧州中央銀行)の金融緩和策が継続しているためだ。
ドル高は欧州にとってはユーロ安につながり、ユーロ安は輸出の追い風になる。順調に景気拡大を続けるドイツや、不良債権処理が進み経済成長率が高まっているスペインに対して、4月に大統領選挙を控えるフランス、成長率の低迷が続き不良債権処理が進まず昨年12月の憲法改正をめぐる国民投票でレンツィ首相が辞任したイタリアは、欧州経済の不安要素である。
オランダ、フランス、イタリア、ドイツにおいては今年選挙が予定されており、展開次第ではEU離脱の懸念が再燃することになるだろう。
◆中国経済の何をどう懸念すべきか ?
新興国経済に視点を移そう。昨年1月半ばに国家統計局から公表された中国の2015年実質GDP成長率は6.9%となり、暦年換算では2000年以降初めての7%割れとなった。
1980年から2008年までの平均実質GDP成長率は10%であったが、今後もGDP成長率
の鈍化が続くだろう。
中国経済の鈍化は中国向け輸出比率が高まっているロシア、南アフリカ、ブラジル、マレーシア、タイといった国々にとって、そして、中国へ原材料を輸出する一方で、中国で生産された電気機械や自動車・鉄鋼を輸入するといった形で2000年以降大きく成長したアフリカ経済の先行きにとっても懸念材料である。
さて、わが国が1960年代から70年代にかけて経験したのと同様に、10%程度の高度成長期から5%から6%の安定成長期に差し掛かっているのが中国経済である。
経済成長を支えるのは、労働、資本、生産性の伸びである。これらが中国経済にどのように影響しているのかを検討すると、労働投入については少子高齢化を反映してさらなる低下が見込まれ、資本投入についても設備投資の調整を反映して同じく低下が見込まれる状況である。
さらに生産性についても、リーマン・ショック以降、過去と比較して伸びが鈍化している。
◆2017年の先進国経済先行きの第三のポイントは、
中国経済の何を懸念すべきかと言うことだ !
つまり、足元の経済動向と潜在成長率の動きからは、7%弱の経済成長率は今年も引き続き修正を迫られる公算が高い。
☆問題は成長率の低下がどの程度で、かつどのような時間軸で生じるのか、こうした成長率の低下が世界経済にどの程度のインパクトをもたらすのか、中国経済の何を懸念すべきかということだろう。これが2017年の先進国経済先行きの第三のポイントだ。
中国経済の今後を正確に予測することは困難だが、2016年以降に2010年代の平均GDP成長率が5.6%まで落ち込むとし、段階的に成長率が低下していくと仮定した場合の中国の実質GDP成長率は図7のとおりとなる。仮に2010年代の中国の平均実質GDP成長率が5.6%まで落ち込む場合には、2020年の中国の実質GDP成長率は1.0%まで低下する必要があるということだ。
図表7 中国経済の実質GDP成長率の推移と想定
(注)2016年以降の成長率は、2011年〜2020年の平均実質GDP成長率が5.6%を満たすように段階的に成長率が低下すると想定して計算した結果。
(出所)中国国家統計局データより筆者作成。
こうした中国の実質GDP成長率の急落は、筆者を含むエコノミストの大多数が予想していないと思うが、中国の実質GDP成長率が2020年にかけて6.9%を維持した場合と、図7にあるような成長率の低下を見込んだ場合とを比較して、失われた最終需要が、世界経済に与える影響を試算してみよう。
なお、試算にあたっては、OECD諸国を中心とする40カ国、35産業を網羅する国際産業連関表(世界各国間の投入・産出関係を整理したデータ)であるWorld Input−Output Database(WIOD)の最新版(2011年版)(http://www.wiod.org/new_site/home.htm)を用いた。
中国経済が、2016年以降6.9%の成長率を維持した場合と、2016年以降に図表7に示した成長率で推移した場合とを比較して、WIODの最新版と同じ2011年の中国実質GDPに対する比率として換算すると、2016年から2020年までの5年間の累積で、2011年の中国実質GDPの実に28.9%に相当する中国の最終需要が失われることになる。
この中国の最終需要の減少が、各国間の輸出入を通じて、各国の国内生産に与える影響は、どの程度だろうか。WIODにおける中国経済の最終需要が、2011年の中国実質GDPの28.9%分減少した場合に、各国間の輸出入を通じて、各国の国内生産額に、どの程度のインパクトが及ぶのかを試算してみたのが、図表8である。
−この続きは次回投稿します−
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > ペンネーム登録待ち板6掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。