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山本太郎議員の質疑:「子ども・子育て支援法に関する参考人質疑」
(www.taro-yamamoto.jp:2016.09.01 より抜粋・転載)
2016年04月22日:Web04221-900A:2016.4.21内閣委員会:
○山本太郎君: ありがとうございます。生活の党と山本太郎となかまたち共同代表、山本太郎と申します。
参考人の先生方、本当に御貴重なお話をありがとうございました。全ての法案に参考人質疑があればいいのになと思ってしまうほどすごく勉強になるお話の数々でした。ありがとうございました。
私からは3人の先生方に同じ質問をさせていただきたいと思います。
最初の質問なんですけれども、先日成立いたしました子ども・子育て支援法改正案に対してなんですけれども、私が提出した修正案というものがございまして、恐らくお手元に配られていますかね、修正案の方は、それについて御意見を伺えればと思うんですけれども。
この修正案の内容というのが、政府の責任で保育士さんの処遇改善と保育所の施設の整備を行うという二項目なんですけれども、保育士さんの処遇については、20歳から60歳まで、全ての年齢において国家公務員福祉職一級の俸給法を基準とすると、その水準に達しない保育士さんに対して政府が格差の是正の措置をとるとしたんです。
☆現在も、国家公務員福祉職一級29号俸というもの、年収363万円
というのが基準になっているというようなんですけれども、実態は
その基準には程遠いと。
しかも、十年で頭打ちになってしまうという現実がある
というふうに聞いています。
20歳から60歳まで、年収では323万円に始まって546万円までを保障すべきなんじゃないかなというふうに思うんですよね。これ、福祉職ですから、もちろん介護士さんにも当てはまると。
出生率1.8ということを政府として掲げているわけですし、少子高齢化ということを見てみても、本当に持続可能な国づくり、社会づくりをしていくとするならば、ここを国家戦略一丁目一番地と捉えて、それぐらいの大胆なことをしていく必要があるのかなと思うんですけれども、そのことに関してお聞かせ願えますか、御感想を。ありがとうございます。
○参考人(大日向雅美君): ありがとうございます。
保育士等の処遇改善というのは、待機児対策、保育の受皿確保のために本当に重要だと思っております。いろいろな解決策あると思いますが、是非新制度の0.3兆円のメニューの中の処遇改善をまず具体化していただきたいと思います。
また、先ほども申しましたけど、給与の改善大事です。同時に、就業促進とかあるいは離職防止のための職場環境の整備、研修制度の整備など、地域挙げて取り組んでいくことが必要だと考えております。
○参考人(相馬直子君): 保育士の処遇改善については、今の御意見、非常に賛同するところが多くございました。
発表にも挙げさせていただきましたが、保育、介護、子育て支援とケアの包摂的なフレームの社会的な議論、ケアワーク全般として処遇改善を求め、その中で保育士の処遇改善といったように、国全体としてケアワークの中での問題なんだという、その社会的な評価を上げていくこと、経済的な評価を上げていくこと、そういう議論が重要だと考えます。
○参考人(藤井伸生君): 給与の改善問題ですけれども、国家公務員における給与表、それを全面実施ということですけれども、私も賛成です。
これもちょっと京都市のことを言って恐縮ですけれども、京都市の園長先生たちの組織、保育園連盟というのがございますけれども、この予算要求の中でも常にそれは出ております。国が示している福祉俸給を完全実施する、そこに見合っていない運営費、そこが最大の問題だということが言われていまして、具体的な一つの提案であるというふうに思っております。
さらに、私は、給与問題について言えば、同一賃金同一労働が議論されている中で年功序列の賃金をずっと維持するかどうかということについては課題を少し感じています。子供のお金、医療のお金、住宅のお金、そういう社会保障を充実していくという方法がヨーロッパ型でありますけれども、そういうことが日本では全然頭の中に抜け落ちている。
そういうところで生活費を保障していくということも大事ではないか。同一賃金という議論もあると思いますので、そんなこともあるだろうと思っています。
それと、施設整備に関して言うと、この児童福祉施設、保育所の整備なんかについて、基本的に保育所をつくるときには、土地は自分で用意しなさい、建設費用は四分の一は自分で出しなさいという、これは最大の欠陥だと思います。
要するに、国や自治体が保育をきちんと整備するという法体系になっていないという大本の問題をずっと引きずっているわけでして、公の土地を貸与しなさいとかということが言われていますけれども、根本のところがなっていないということを私は感じております。
○山本太郎君: ありがとうございます。
公務員の俸給法に従って右肩上がりにというのは、なかなか実現というものにはかなりの覚悟がいることだと思うんですね。藤井参考人がおっしゃったとおり、本当に同一価値労働、同一労働同一賃金という部分を実現させていくためとしても、例えば国が基準を提示する、何ですかね、その職に対して、その産業やそれぞれの職に対して大体これぐらいの給与は絶対に払わなきゃいけないというような職務給をはっきりと示していくということが必要なんだということを受け取りました。ありがとうございました。
そして、もう一つ私が出した修正案の中の施設整備について書かれたことを藤井先生少しおっしゃっていらっしゃいましたけれども、保護者の皆さんから最も強く求められている認可保育所についてなんですよね。
政府が、公的機関が保有する土地、建物等の活用を図るなど、所要の措置を講ずるとしたんですけれども、この質疑のときには、特にUR都市機構からも参考人に来ていただきまして、URは要請があれば検討するというお話なんですね。というのは、UR、首都圏に2万500戸の空きがあるというような状況なんですね。
だから、先ほど藤井先生がおっしゃっていた、要は、十九人以下でも要は認可ということを認めていくというような、小規模でそういうような形がしていけるということならば、今の状況は少し緩和されるのかな、そして子供たちの命の安全というものも守られるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、URも要請があれば検討するとおっしゃってくださっています。
この修正案、その部分に関してはいかがお考えでしょうか。
じゃ、次は藤井先生からでもよろしいでしょうか。
○参考人(藤井伸生君): そこまでの議論が進んでいるということを認識しておらないんですけれども、確かにそういう公有地等でUR等が提供できるということを言ってくださっていることは非常に大きな励みになると思いますし、その方向性の検討をしていただくことはとてもいいことだと思っております。
そして、指摘していただきましたように、多くの親は、どこでもいいから預かってもらえればいいというわけじゃなくて、やはり認可保育所に、きちんと保育士によって保育をしてもらいたいという要求を持っているわけです。
そうなってきますと、この19人以下のところを小規模等で対応しているということになってしまっていること自体も大きな問題をはらんでいまして、10人規模、15人規模でも認可保育所の基準を援用する、持ってくるという形が基本的ではないかなと思っております。
認可保育所の基準だって決して高いものじゃなくて、皆さんも御存じだと思いますけれども、園庭というのはそもそも設置しなければいけないとなっていないんですね。
近所に公園や神社仏閣等で安全に遊べるところがあればよいという、そんな低レベルの基準になっている。それをやはり問題視しなければいけませんし、認可保育所の基準だって十分ではないんですけれども、やはりせめてその基準を持っていって、そういう公有地等でできるような仕組みをつくっていただきたい、そのように思っております。
○山本太郎君: 済みません、ありがとうございます。時間もないので、藤井先生のお話だけになってしまいましたけれども、今は。
子育て支援の今までの質疑ですよね、時間がなくてちょっと質問できなかったんですけれども、厚生労働省は保育と介護の一体型、そういう施設を検討しているというお話を聞いたんですけれども、この介護と保育の一体型施設について御意見をいただければと。
そして、もしそうなっていった場合、今の保育士であったりとか、何ですかね、研修受ければ、オーケーだというような緩和がどんどん行われている中で、この一体型という部分が進んでいった場合、ひょっとしたら保育士と介護士のこのダブルの資格がもっと規制緩和された形で認められていく危険性みたいなものというのはございますかね。
続きまして、じゃ、大日向先生からお話を伺ってもよろしいでしょうか。順に、皆さんにお願いいたします。
○参考人(大日向雅美君): 保育と介護の一体化を厚労省が進めているという、その詳細は私は承知しておりませんが、一般的に、今ある一つの動きは、幼老一体化ということで、子供、小さい子供とお年寄りが一緒に過ごせる施設のメリットも注目されているわけですね。
小さい子供あるいはその親にとって高齢者と触れ合う、高齢者も小さい子供と触れ合って元気になるというような、そういう幼老一体化によって地域が活性化していることがあるというふうなことは聞いております。
その場合に、そこでケアをする方々の資格あるいは研修をどうするかということは、これから大きな課題だと考えておりますが、同じく、ケアという点で共通する部分、それから一方では、乳幼児の保育、高齢者のケアで違う部分、その辺りは上手に加味していくことが必要ではないかと個人的には思っております。
○参考人(相馬直子君): ありがとうございます。
フィンランドにおける資格の統合などもいろいろと研究が進んでいて、笹谷先生が中心に御紹介をされていますけれども、やはりそのダブルの資格が規制緩和につながらないような在り方というのが重要になってくると思います。
繰り返しな面が多くて恐縮ですけれども、保育、介護、子育て支援と、やはり全体ケアワークとして包摂的に社会経済的な評価を上げていくような議論の中で、ダブルの資格でより保育の質、介護の質、子育て支援の質が上がっていくようなそういう議論の中で、保育、介護一体型施設、これはダブルケア時代の一つのやはり重要な施策になってくるんではないかと認識しています。
○参考人(藤井伸生君): 私も相馬参考人とほぼ同様の意見です。
規制緩和として、足らないから介護の職員、保育の職員で間に合わせをするというようなことは避けるべきであって、ただ、共通部門としてのケアに関する資格をつくり、さらに子供向け、お年寄り向けのステップアップでつくっていくような仕組みをつくっていって、どちらでも対応できるようなことは今後検討に値するというふうに思っております。
○山本太郎君: ありがとうございます。
保育の問題とは少し離れるんですが、子育てのお話でもあります。この委員会の中でも質疑の中で度々取り上げさせていただいているんですけれども、生活保護受給者に関してなんですね。
☆大学進学はすべきでないというのが政府の方針のようなんです。
正確に言うと、高校を卒業した後はその高校への就学を通じて得られた技能や知識を生かして就労すべきものでございまして、大学進学後の保護を受けながらの就学というのは認めていないのが現状でございますと、これ、厚生労働省の政務官の答弁なんですね。
☆もう本当にびっくりしちゃうといいますか、この貧困の
スパイラルから抜けることさえも許されない、
高校まで出たらもう働けというような話だと思うんです。
もうこのまんまの話なんですけれども、これちょっとひどいよなと、これではもちろん貧困の連鎖も断ち切れないわけだから、ここを変えていかなきゃやっぱり、何というんですかね、社会としてもっといい雰囲気といいますか、貧困家庭に生まれようともやっぱり平等の、何ですかね、チャンスを与えられ、そして社会にどんどん進出していけるというようなことをバックアップするというのも、これ、何ですかね、子育ての部分として非常に重要なんじゃないかなと思うんですけれども、先生方の御意見をお伺いしてもよろしいでしょうか。
○委員長(神本美恵子君): どなたですか。
○山本太郎君: 皆さんに。
○委員長(神本美恵子君): 全員。
では、大日向参考人からお願いします。
○参考人(大日向雅美君): ありがとうございます。
とかく子育て支援といいますと、乳幼児期にどうしても焦点が当たりがちなんですが、実は高等教育の方が親、家庭の負担が大きいという現実がございます。したがいまして、高等教育に社会的支援が必要だということは私も同感でございます。
ただ、それを国の公費だけでやるのかどうか、いろんな考え方もあろうかと思いますね。
例えば、フィンランドなど、あるいは北欧、ヨーロッパは、本人が一旦就職をして、そこで学費などをある程度補充してからまた大学に入るというようなこともなされている。
フィンランドなどは三十歳ぐらいまでは大学生なんですね。それが、やり直しが利くとか、サイクルが利く社会だからそういうことができるんだと思います。ですから、日本も、幾つになっても学び続けられる、学び直せるという仕組みも同時につくっていくことが大切かというふうに考えております。
○参考人(相馬直子君): 東洋大学森田明美教授と一緒に生保受給者の一人親世帯の千葉県八千代市の全世帯の調査に関わったことがございますけれども、やはり就学前あるいは就学期からの親だけではなく子供も合わせた支援計画、あるいは寄り添い型の支援というものがとても大事になってくるんではないかと思います。
以上です。
○参考人(藤井伸生君): 大学等の進学については、やはり奨学金とか、授業料をもっと安くするとか、そういうことも含めて総合的な対策が要ると思います。そして、生活保護世帯であっても大学に行きたいということは、希望がかなえられる方が本来いいと思います。
現に、私どもの大学でも、世帯分離をしてもう非常に無理無理そういう形にしてやっているという理不尽なやり方もあって、理不尽というか不自然なやり方があるということにも少し疑問を持っているところです。
○山本太郎君: ありがとうございました。終わります。
(参考資料)
日本の子供、6人に1人が貧困状態に !
この数年で過去最悪を更新 !
(真実を探すブログ:20140926185048xzcl;より抜粋・転載)
*2006年から2009年の間に激増:バブル経済が崩壊する前は貧困率が1割程度に抑えられていましたが、1990年頃から徐々に貧困率が増加し、遂には日本の子どもの内、6人に1人が貧困状態になってしまいました。
貧困状態というのは世帯の収入が218万円に満たない世帯の事で、中には1日一食だけというような生活をしている方も居るとのことです。6人に1人という貧困率は先進国中でもアメリカ並みの最低水準で、民主党政権の頃から政府は本格的な対策に取り組みだしています(OECD諸国で4番目に高い)。
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