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穏やかな死”を迎えたい ! 〜医療と宗教 新たな試み〜
臨床宗教師とは ?
(上)
(www.nhk.or.jp:2016年8月25日より抜粋・転載)
NHK・クローズアップ現代: “穏やかな死”を迎えたい
去年(2015年)1年間で亡くなった人は、130万人。
日本は多死社会に突入したと言われています。
WHO・世界保健機関は、命を脅かされる状態にある患者の痛みとして、4種類あると定義しています。
身体的苦痛や精神的な苦痛は、医療者が主にケアに当たります。
社会的な苦痛については、ソーシャルワーカーなどが相談に乗ることができます。
しかし、スピリチュアルな苦痛、つまり死の恐怖や死生観の悩みについては、対応できる専門家は日本にはほとんどいませんでした。
仏教やキリスト教など、30を超す宗教や宗派が連携し、大学の養成講座で、臨床宗教師というスキルを身につけます。
こうした臨床宗教師を養成する取り組みが、新たに始まりました。
その臨床宗教師の役割ですが、特定の宗教を勧めることではなく、患者の話を聞くことが中心です。
全国に先駆けて臨床宗教師を導入した、医療現場を取材しました。
*補足説明:臨床宗教師:
(ウイキペディアより抜粋・転載)
臨床宗教師(りんしょうしゅうきょうし)は、終末期にある人に宗教の立場から心理面での寄り添いを行う宗教者、およびその養成講座修了者に対する仮称[1]。
*概要[編集]
2011年3月の東日本大震災発生後の5月、人々の心のケアのため、宮城県宗教法人連絡協議会により「心の相談室」が開設。
また、緩和ケアを実践していた医師の岡部健により、日本においてもチャプレンのように、寺院以外の場所で終末期患者に寄り添う宗教者の存在が必要との考えにより、心の相談室の事務局を務めた鈴木岩弓の在籍する2012年に東北大学において養成講座が創設された[2]。
養成講座の対象とする宗教者は、僧侶や牧師、新宗教の教師など特定の宗教に限らない。
養成講座の開設は他大学にも広がり、龍谷大学実践真宗学研究科や鶴見大学(及び總持寺)でも実施されるようになった。
2016年2月には、これらの講座を実施する諸機関により、日本臨床宗教師会が発足した[3]。
*講座内容[編集]
3か月に亘り、座学とワークショップ、大学外、他宗教、病院・老健施設等での実習が行われる。
◆余命わずか “穏やかな死”を迎えたい !
岐阜県大垣市のホスピスです。
臨床宗教師の野々目月泉(ののめ・げっせん)さん。
医師や看護師などと共にチーム医療の一員として常時、10人以上の患者のケアに当たっています。
浄土真宗の僧侶でもある野々目さん。
東日本大震災の被災地で遺族のケアを行う宗教者の姿を見て、臨床宗教師を志しました。
この日、野々目さんは、患者の1人が緊急入院したと聞き、病室を訪ねました。
松岡君子さん、67歳です。
末期の大腸がんを患い、余命わずかと診断されています。
臨床宗教師: 野々目月泉さん
「まだ、これからだよ。」
家族が24時間付きっきりで支えていますが、松岡さんの死への不安を取り除くことはなかなかできません。
夫: 松岡清さん
「女房がこういうこと言った。
『もう私、死ぬの嫌や。ひとりで逝くの嫌や。お父さんも一緒に逝って』と。」
松岡さんは、何が不安で、何をよりどころにしているのか。
野々目さんは丁寧に耳を傾けます。
すると松岡さんは、これまで自分には支えとなる、信仰はなかったと語りだしました。
松岡君子さん:「仏壇はありません。普通の一般の人と変わらない。
自分がこういう病気になったときに、勝手なもので、神さま仏さまってなる。」
誰もが持っている自分なりの死生観。
☆臨床宗教師の役割は、患者の言葉を手がかりに
理想の死のイメージを探ることです。
臨床宗教師: 野々目月泉(ののめ・げっせん)さん
「その人の人生だったり、その人が今すがりたいものであったり、口に出して宗教、信心はないとおっしゃっているけれども、どこかすがりたい何かがあったり、そういうものがあるのではないかと。
大きなものとつなぐ役割ができたらいいなと。
それは私の信じるものに必ずしもつなぐ必要はなくて、その方がすがりたい何かにつなぐ役目だと思っています。」
入院から9日後。
体調が悪化する中、松岡さんは、自分が見た夢のことを話し始めました。
松岡君子(67歳)さん:「たぶん阿弥陀(あみだ)さま。私が見たの阿弥陀さま。」
娘: 歩さん:「前に夢に出てきたお釈迦(しゃか)さま?」
松岡君子さん:「お釈迦さま。みんなが後ろに立っているから、きっとみんな私を。」
臨床宗教師 野々目月泉さん:「いっぱい立っていました?」
松岡君子さん:「一体となってね。パワーが光っていたと思う。」
“お釈迦さま”や“光”という言葉を、野々目さんは、死を迎える準備が始まったサインと受け止めました。
患者が、死後のイメージを持つことは、穏やかな死につながる重要なプロセスであることが、学術的な調査でも明らかになっています。
死に直面して、恐怖や不安を抱く人の場合、死の先は暗闇、死ですべてが終わると考えていることが多いといいます。
一方、天国、極楽に行ける、光が見える、故人と再会できるなど、なんらかのイメージがある場合は、死によって、命は終わらないのだと考えることで、穏やかに最期を迎えられるというのです。
医師:「痛い?ここは大丈夫?」
症状が進み、松岡さんは耐え難い痛みを訴えるようになりました。
医師:「このボタンを押すと痛みがとれる薬(医療用麻薬)が入るんで。」
モルヒネなど医療用麻薬を使うと痛みは和らぎますが、意識レベルが、下がっていくこともあります。
(※通常の使用では、起こりません)
松岡さんの意識があり、言葉が交わせる時間は限られています。
野々目さんは、最後のメッセージを伝えました。
臨床宗教師: 野々目月泉さん:「私ね、君子さんにお手紙書いてきたの。
君子さんにね、ありがとうって言いたかったの。」
“光に包まれて旅立つ その日まで、この世の生をつむぐ あなたの戦いを、私は美しいと思います”
松岡君子さん:「ありがとう。」“心からエールを、そして 感謝を”
臨床宗教師・野々目月泉さん:「大好きですよ。」
松岡君子さん:「私も大好き。」
松岡さんが夢で見た、光の世界を具体的なイメージとして表現することで、死への恐怖を乗り越えてほしいと考えていました。そして、その2日後。
☆松岡君子さん:「紫の海の上で月の光に照らされながら、少しずつ、少しずつ上がって
いきます。うれしくて、うれしくて、私、なにもお返しできないけど、気持ちだけは、本当ですからね。ありがとうございます。そういう気持ちにさせていただいて。感謝の気持ちでいっぱいです。」
松岡さん(67歳)は、家族に見守られて息を引き取りました。
夫 松岡清さん
「すーっと砂浜に潮が引くように、なんのサインもなしに静かに逝ったよ。
うめき声あげるわけでもない。
本当に眠るように、すーっと潮が砂浜に吸い込まれるように亡くなった。
お母さんは、絶対幸せだったよ、間違いない。」
◆“穏やかな死”を迎えたい !
ゲスト・ 大津秀一さん(東邦大学医療センター 緩和ケア医)
ゲスト・ 壇蜜さん(タレント)
壇蜜さんは、以前、葬儀業界にいたこともあるということだが、臨床宗教師と患者の関わりをどう見た?
壇蜜さん:女性どうし、手を握り合って、お手紙書いてきたのとか、神様の話をこそこそお話、ひそひそ話したり、こっそりお話したりしている姿が、まるでこう、少女たちが2人で思い出を分け合っているように感じまして、宗教家の方とはいえど、先導ではなく、思いを共有して、その患者さん独自の思いへと、納得できるものへとつなぐっていうお仕事をされているんだなというのが印象的でしたね。
大津さんの病院では、宗教家にボランティアとして来てもらっているということだが、宗教家が病院にいると違うのか?
大津さん:どうしても、医療者に対しては、忙しさに対する患者さんの遠慮もありますし、あるいはどうしても医師というのは、よくしてくれる存在に。
(病気を治してくれる?)
そうですね。
あるいは、その症状を取ってくれる存在として考えてらっしゃることが多いですから、なかなか生きる意味はなんなのかとか、あるいは死んだらどうなるのかとか、必ず重い病気になると、そういうことを考える機会があると思うんですけれども、なかなかそういうことに関して話しづらいというようなところがあるんじゃないかなと思うんですね。
実際にそういう宗教家の方、私は、ホスピスで病院つき牧師、チャプレンがいる病院で働いたことがあるんですが、非常にわれわれには話さないような、そういった生きるっていうのは、なんなのかとか、死んだらどうなるのかみたいな話をやっぱりちゃんと相手を選んで話しているようなところがあって、もしかすると医療者が、そうやって聞ききれないところ、支えられてないところというのを、支える存在として、あるんじゃないかなということは思っていますね。
◆臨床宗教師の必要性を
最初に訴え始めたのは、岡部健医師 !
そもそも臨床宗教師の必要性を最初に訴え始めたのは、宮城県で緩和ケアに携わっていた岡部健医師です。
東日本大震災のあと、遺族の悲しみのケアにも宗教者が大きな役割を果たすことが分かって、2012年から東北大学で臨床宗教師の養成が始まりました。
今では、8つの大学に広がっていて、現在、全国40の都道府県で、およそ200人の臨床宗教師が誕生しています。
壇蜜さん:臨床宗教師ということなんですけれども、世界からも日本は珍しいぐらいに無宗教だと言われている中で、その宗教の人々を日本内で、どうやってアプローチしていくんでしょうか?
大津さん:実は先ほど挙がっていた、スピリチュアルな苦痛というのは、結構多くの方が感じてらっしゃると思うんですね。
そういうことにもう少し脚光が当たって、そういった苦しみを、あるいは和らげる、支えになる存在として、臨床宗教師があるんだということが、より知られることが、臨床宗教師が、もっともっと活躍する場を広げていくことになるんじゃないかなというふうには思います。
壇蜜さん:理解してくれる人としているということですね。
(抵抗感はないのか?)
大津さん:私自身はとりわけ終末期医療にも関わっていますから、非常に助けになることが多いと感じています。
どうしても医師に対してある遠慮ですね、死ぬとどうなるんですかとか、本当に先生、死んじゃうんですか、という苦しみに、どうしても医師に対しては言いづらいこと、それも臨床宗教師には言えて、そういう方がそばにいることによって、その方が答えを見つけていくお手伝いを臨床宗教師がしているという姿を見ますと、本当にもっともっと現場に出て、私自身なんかは感じていますけどね。
壇蜜さん:理解が深まれば、抵抗は、なくなっていくということですね。
大津さん:そうだと思いますね。
まだ始まったばかりの臨床宗教師の取り組み。今、みずからもがんで余命わずかとなった1人の医師が、臨床宗教師の大切さを改めて訴えようとしています。
−この続きは次回投稿します−
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