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新春スペシャル鼎談「再発見 !日本共産党」
日本共産党書記局長、小池晃さん(中)
(www.jcp.or.jp:共産党:2020年1月3日より抜粋・転載)
次回の続きです。
ワタナベ: 楽泉園では、詩人の谺(こだま)雄二さんらが55年に共産党栗生細胞(現支部)をつくります。2004年の日本共産党大会で谺さんが発言されたんですよね?
☆ 小池: ええ。谺さんが、戦後日本共産党に加わった半生をふりかえりながら、「日本共産党はわが家」「同志は新しい家族」と確信をこめて語られ、心揺さぶられました。ハンセン病のたたかいでは、共産党が療養所の中でも大きな役割を果たしましたし、国会でも政府に対策を迫りました。
いま言われたように、「共産党だけがたたかう」のではなく、「ともにたたかう」。当事者が自ら立ち上がることを大事にして、共産党も「わがこと」として、ともにたたかうというのが、どんな運動でも大事なことですね。
ワタナベ そうしたたたかいが、昨年のハンセン病家族訴訟での勝利和解につながるんですね。
歴史―「日本の進歩と変革の伝統」を受け継いで
◆秩父事件で「発見」した源流とは ?
ツルシ: ぼくが一歩踏み込んで共産党のことを知ることになったのは、秩父事件の取材が大きかったですね。2017年の春にワタナベ・コウとふたりで取材に行った時、事件に参加した人のお孫さん―共産党の町議を長くやってらした新井健二郎さんにガイドをしてもらいました。この取材を通じて、秩父事件は日本国憲法や民主主義にものすごくかかわっている問題なんだなと知るわけです。
同時に、共産党の方々がなぜ秩父事件を重要視するのかを知りたかったんです。そうしたら、新井さんの次男で共産党の葛飾地区委員会で活動しておられる新井杉生さんが、日本共産党の綱領を紹介してくれました。
その冒頭には、「日本共産党は、わが国の進歩と変革の伝統を受けつぎ、日本と世界の人民の解放闘争の高まりのなかで…創立された」と書いてある。自分たちの活動の源流になっているのが、そうした「進歩と変革の伝統」であり、その一つが秩父事件だったのではないかというわけです。綱領で最初に心に突き刺さったのはそこでした。
☆ 小池: 綱領の「重み」を感じるお話です。
ツルシ: 新井杉生さんは自分たちはいま、戦前に反戦平和を掲げて命をかけてたたかった人たちにすごく励まされるけれども、その党をつくった人たちはたとえば、秩父事件で立ち上がった農民たちの伝統を糧に行動したのではないかと。なるほどと思いました。
☆ 小池: ツルシさんが「赤旗」の別の企画で取材された「五日市憲法草案」(1881年起草、現東京都あきる野市で発見)も、たたかいの源流の一つですよね。
自由民権運動が積み上げてきた成果が、戦後の民主主義の土台をつくったのですね。
改憲勢力は「日本国憲法はアメリカが押し付けた」などというけれど、戦前から脈々と受け継がれた人々の思いが結実したのが、日本国憲法なんですね。
そうした「進歩と変革の伝統」を受け継いだ党の一員であることに、誇りを持ちます。
◆「天皇の制度」にすっきり
―憲法の縛りのもとにある制度
ツルシ: 綱領に関して、すっきりしたのは天皇問題です。いまの制度を「天皇の制度」という言葉を使っているじゃないですか。
昭和天皇は大日本帝国憲法のもとで戦争を遂行した最高責任者。戦後の天皇は違うんだ、日本国憲法の縛りがあって、そのもとでの制度の一つにすぎないんだ。
だから「天皇の制度」としてみるんだというのは、非常にわかりやすくていいなと思いますね。
☆ 小池: 日本国憲法の大原則は国民主権です。そのもとに「天皇の制度」がある。
だから、戦前の「絶対主義的天皇制」という国家体制の頂点にある「天皇制」とは違う。国民主権であり、国政に関する権能を持たないのだから「君主制」の国でもない。
こうした憲法の規定を厳格に守って運用するというのが、共産党の立場です。
ワタナベ: とにかく共産党は天皇がだれになっても、天皇制を否定しているんだと思っていました。
☆ 小池: 誤解なんですね。綱領で、「現行憲法の前文をふくむ全条項をまもり、とくに平和的民主的諸条項の完全実施をめざす」としているのですから。同時に天皇の政治利用をはじめ、憲法の条項と精神からの逸脱は是正しなければなりません。
その点で、昨年の代替わりの儀式については、国民主権や政教分離の原則に照らして、大きな問題がありました。
「即位礼正殿の儀」では、神によって天皇の地位が与えられたことを示す「高御座」(たかみくら)から天皇が言葉を述べ、その下に立つ首相がお祝いの言葉をのべて万歳三唱。国民主権や政教分離の原則とは両立しない、深刻な問題をはらむものでした。
ツルシ: あのときの安倍首相の得意そうな顔ね。
ワタナベ: 万歳のシーン、テレビで映す必要はないと思いました。
☆ 小池: それから大嘗祭(だいじょうさい)。これは完全な宗教上の儀式ですからね。
ワタナベ: 天皇家が私的にやる分にはいい。
☆ 小池: ところが事実上の国家的行事として多額の公費(宮廷費)がつぎ込まれてしまった。今の憲法にもとづく、新しいやり方をつくりだすべきでした。
野党なのに外交をしていた!―侵略戦争と植民地支配に反対した党ならでは
ワタナベ: 共産党についての「発見」では、野党外交をやっているのにはものすごく驚きました。外交は政府だけがやるものだと思っていたので。
☆ 小池: 野党が外交に取り組むことの意味は大きいと思っています。特にわが党は、侵略戦争と植民地支配に反対したという、他の党にはない歴史をもっていますから。
ワタナベ: そうですね。とりわけアジアで大きいですよね。志位さんも、韓国の大学に呼ばれていったんですよね。
☆ 小池: ええ。韓国の高麗大学や建国大学などに招待され、講演も行ったんです。
いま日本と韓国との外交関係が悪化していますが、その原因は、「徴用工」問題です。この問題は植民地支配のもとでの重大な人権侵害ですから、被害者の名誉と尊厳の回復が必要です。
日本政府は「解決済み」というけれど、日韓請求権協定や日韓条約を結んだときに、日本政府は植民地支配の不当性を認めていなかったのですから、「解決済み」であるはずがない。植民地支配への真摯(しんし)な反省を土台にしてこそ、解決の道が開かれます。
そんな話をすると、韓国の人たちも心を開いて、率直な対話ができるんです。共産党だからこそできる「外交」ですよね。
◆未来―世界史のなかでも前人未到の道へご一緒に
ジェンダー平等で、ビビッドに動いていた !
ツルシ: ぼくは『週刊SPA!』の編集長をやっていたんですが、その『SPA!』が“性関係を持ちやすい”女子大学生を順位付けするという記事を掲載し、女子大生が抗議し、ネット署名が5万も集まるという“事件”が昨年起きたんですね。
そのときに、ぼくも事件を追っていたんですが、やはり「赤旗」の記者さんが素早く動いていて、一緒に取材に行ったりしました。
それから「JCP With You」というチームを立ち上げて、集会・イベントを持たれましたね。最初のイベントには小池さんもいらした。(小池「ええ」)。
衆院東京12区の予定候補者である池内さおりさんの事務所(12ハウス)での集会には、志位さんもいらっしゃった。
あの取り組みをみて、ジェンダー平等で立ち上がった人たちと一緒にやっていくんだという姿勢がビビッドに(=生き生きと)感じられて、この党は信頼できるんだなって思うわけです。
☆ 小池: たたかいの現場にどんどん出て行って、勉強させてもらっています。
ツルシ: ジェンダー平等は綱領改定案でも打ち出したじゃないですか。非常に大事なことだと思っていて、ジェンダー問題は、世代とか性を超えたテーマなので、共産党の取り組みはいいなと思うんですよね。
☆ 小池: 共産党は、戦前から男女同権を掲げ、たたかってきた政党です。いまの新しい動きに大いに学び、共産党ならではの役割を果たしたいと思っています。
◆共産党自身もさらに努力を !
ワタナベ: 共産党自身はどうなんですか。本部勤務員に女性が少ないですよね。
☆ 小池: およそ4人に1人です。それでも、「しんぶん赤旗」の編集局では、20代、30代、40代では4割が女性記者で、大活躍しています。
国会秘書も100人のうち42人が女性で、政策活動や質問づくりに奮闘しています。
国会議員は衆院では12人中3人で、参院では13人中5人が女性です。
ワタナベ: 地方議員は断然多いんですよね。
☆ 小池: そうですね。地方議会では、共産党が女性議員第1党です。しかし、甘んじることなく、もっともっと努力しなければ。
ジェンダー平等の問題では、日本は世界の流れから大きく立ち遅れています。
その原因には、戦前からの男尊女卑の政治思想に加えて、財界が企業のもうけをジェンダー平等よりも優先していることがあります。
共産党はこうした事態を打開するために、党内でも党外でも頑張ります。
ワタナベ: 小池さんは自宅ではどうですか。
☆ 小池: どきっ。家事は分担して、「つくる関係」はパートナーで、「片付け関係」は私ですが、日々反省しながら努力しています。
◆中国問題の綱領改定案にすっきり
ツルシ: 綱領に関しては、今回中国に関する評価もきちんと出したじゃないですか、それもすっきりするわけですよ。
☆ 小池: 中国についての指摘は、今回がはじめてではなく、6年前の党大会で「覇権主義や大国主義が再現される危険」を警告し、3年前の大会では「新しい大国主義・覇権主義の誤り」を批判しています。
前大会後の3年間の中国の行動を見ると、核兵器禁止条約に反対し、核兵器を増強する。尖閣諸島では領海侵入を繰り返し、南シナ海では軍事拠点をつくる。
国際会議ではみんなで一致して決めたことを一方的に覆し、日本共産党に「覇権主義」という悪罵を投げつける。そして、香港やウイグルでの弾圧と人権侵害ですね。
ツルシ: 人権問題は国連憲章からみても国際問題ですよね。
☆ 小池: その通りです。ですから、私たちは弾圧の中止を求めています。
ワタナベ: 志位さんがきちんと抗議したことに対して、香港の市民集会で感謝されていましたね。
ツルシ: 共産党というと中国共産党と同じかと誤解されると思うんですが、その誤解を解くためにもいい表明ですよね。
☆ 小池: それも大事なことですが、世界の平和と進歩のためでもあると思っているんです。中国を正面から、事実と道理をつくして批判する動きは世界でも弱い。
日本政府は、抗議も批判もしない。だから、日本共産党のきっぱりとした弾圧批判に、香港市民も注目したのだと思います。
先日、自民党の議員が志位委員長のツイッターをコピーして国会で配って、「日本共産党が中国に抗議している、政府はもっとモノをいうべきだ」と発言しました。
自民党席から「共産党、立派だ」という声援が飛んだんですよ。(笑い)
◆選挙で政治変えられる―日本でも
選挙にいって野党連合政権を
ツルシ: 香港の事態でいえば、区議会議員選挙で民主派が圧勝したじゃないですか。勇気づけられましたね。
☆ 小池: あれをみて、「政治は選挙で変えられる」という思いを強めた方は少なくないのでは。投票率が7割を超えたでしょう。普段は投票に行かない人が投票所に行けば政治は変わるんですよね。
昨年の参院選は過去最低に近い投票率でした。そこに私たちが乗り越えなければならない課題があります。
多くの人が投票所に足を運ぶようになるには、期待と展望をもっていただくことが大事だし、そのためには共産党が頑張るとともに、野党共闘がつくる政治の姿を、もっと具体的に、もっとわかりやすく示していかなければなりません。
自分の一票で政治が変わるという希望が広がれば、投票率も上がり、政権を変えることができると思うんです。
ツルシ: 昨年末、立憲民主党や国民民主党との党首会談があったじゃないですか。あれは一歩前進と考えていいんですか。
☆ 小池: 一歩一歩前進しています。この4年間で3回の野党共闘の選挙に取り組んだのですが、最初の頃とは様変わりですよ。
たとえば昨年の参院選で、立民の枝野幸男代表が、福井で野党統一候補になった共産党の山田かずお候補の応援に駆け付け、私が一緒に並んだ。
参院選後の高知県知事選で枝野さんは、志位さんと一緒に並んで訴えました。
一歩ずつ前へ、です。
ワタナベ: テレビ討論で、枝野さんが「(もし福井県民だったら)福井で共産党候補に投票するんですか」と安倍首相に聞かれて、「投票します」と言ったのはすごかったですね。
☆ 小池: 少し前には考えられなかったことですね。共産党との壁は徐々に低くなり、「石の壁」が「木の壁」になり、今では「カーテン」ぐらいになってきた。
―この続きは次回投稿しますー
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