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「老後2000万円必要」への野党の見解・詳報は ?(下)
T〜Vは、前回投稿済みです。以下はその続きです。
W 従来の社会構造・政治構造では限界「大きな
パラダイムシフトを行っていかなければならない」 枝野代表
(cdp-japan.jp:立憲民主党:2019年6月12日より抜粋・転載)
Q:金融庁の報告書を巡る2000万円の不足問題、
これについて今後どのように追求していくか ?
枝野代表: この問題は複数の論点が重なっている。撤回しろとか、担当大臣が受け取らないとか、そういう報道が流れていますが、そういう問題ではなくて、一つは財務大臣でもある金融大臣が、この報告書を読みもしないで事実上「2000万円貯めないと大変だよ」と国民に向かって発表をした。
これは正直申し上げて、経済の観点から、「財務大臣が経済を冷え込ませるような発信をして何やってるんだ」と。先程来申し上げている通り、日本の不況は消費不況です。消費不況の中で「2000万貯めないと大変だぞ」と財務大臣が言えば、それはますます消費を冷え込ませる。著しく景気の足を引っ張る発言だという自覚なく発言をされているのが財務大臣だ。
―以下省略―
X 「これではまとまもな政策はできない」
麻生財務大臣の年金受給発言で、玉木代表
(www.dpfp.or.jp:国民民主党:2019年6月15日より抜粋・転載)
ぶら下がり:
玉木雄一郎代表は、6月15日、東京都内で街頭演説会を終えた後、記者団の取材に応じた。金融庁金融審議会の報告書問題で麻生大臣が金融庁に責任転嫁しているのではないかとSNSで発信した真意を問われて「何かあったときに官僚に責任を押し付けて政治家が逃げる。
こんなことを繰り返していたのでは、この国のガバナンスが成り立たない。役人の皆さんは言えないと思うが、真面目に検討した専門家の皆さんやそれを事務局で支えてきた金融庁の職員の皆さんも『正直やってられない』と言いたいと思う」などと麻生大臣の姿勢を痛烈に批判した。
さらに、自らの年金受給に関して麻生大臣が「記憶がない」などと発言したことにコメントを求められて、「もらっているかどうかも分からない人が金融担当大臣で、今回の(年金不足)報告書を受け取らない。これではまともな政策はできない」と大臣の資質に疑問を呈した。
また、イージス・アショア配備計画のデータ誤りの発覚を受けて、野党の中で防衛大臣の責任を問う声が強まっていることについて「信じられないようなずさんな計算だった。とにかく秋田と山口ありきで、やっているのではないか。
予算委員会を開いてきちんと説明してもらいたいが、(政府与党側は)拒否している。終盤国会で防衛大臣のみならず、麻生大臣を含めて不信任を検討していくことになる」と述べた。
Y 2000万円貯蓄必要の報告書 「もうない」と言っても…
消せぬ「年金不足」 隠ぺいやめ改革を
(www.jcp.or.jp:共産党:2019年6月15日より抜粋・転載)
年金だけでは老後の生活は成り立たない。平均的な世帯で2000万円貯蓄せよ―。金融審議会の「報告書」をめぐって国民的な衝撃が走る中、「100年安心」といって年金の大削減を進めてきた自民党の深刻な自己矛盾が露呈しています。
10日の参院決算委員会で安倍晋三首相は「国民に誤解や不安を与える不適切な表現だった」と火消しに躍起となりました。11日には麻生太郎金融担当相が「報告書」を「受け取らない」と発言。12日には自民党の森山裕国対委員長が「政府は受け取らないと決断したわけですから。
この報告書はもうない」として、野党の衆参予算委員会開催要求を拒否しました。しかし、いくら政府が“抹殺”しようとしても年金不足の現実は変わりません。現実の隠ぺいではなく改革こそ必要です。(中祖寅一)
◆「報告書」は公文書
森山氏が「もうない」と言っても、金融庁のホームページ上には「高齢社会における資産形成・管理」という表題で、今も「報告書」(3日付)は掲示されています。14日の衆院財務金融委員会で金融庁の三井秀範企画市場局長は「審議会の報告書は公文書になる」と認めています。これを“抹殺”することなどできません。
また「報告書」が示した30年で2000万円不足という試算は、もともと厚労省調査からつくった数字です(第21回「市場ワーキンググループ」への厚労省提出資料、4月12日)。「不適切な表現」と繰り返す安倍首相も、数字自体を否定することはできません。
もともと麻生金融担当相は、「報告書」の発表を受けて「100まで生きる前提で、退職金で計算してみたことあるか。普通の人はないよ」(4日)などと述べて「報告書」の内容を当然視し、“老後に備えて貯蓄を”という本音を語っていました。これが政治問題化して、急転直下、「受け取らない」と態度を変化させたのです。
◆自民党の公約も否定 ?
問題の「報告書」は、麻生氏が4日の会見で語ったように、「人生100年時代」を見据えた自助努力による「資産形成」のために「NISA」(少額投資非課税制度)による投資を促しています。
自民党が発表した参院選公約「政策BANK」でも、「人生100年時代の到来を踏まえ、国民が生涯にわたり安定的な資産形成を行うため、『つみたてNISA』をさらに普及する」と明記。
「人生100年時代に対応した年金制度の構築に向けて…私的年金の活用促進等を進めます」とも述べています。“公的年金では足りない。私的年金や資産運用こそ必要だ”というのは、自民党の方針そのものなのです。
もし金融審議会の「報告書」を否定するなら、自民党は自分自身の公約をも否定するのかが問われます。
◆選挙目当ての対応
こうした安倍政権・自民党の狼狽(ろうばい)・混乱の背景には、深刻な政治的政策的行き詰まりと焦りがあります。第1次安倍政権(2006〜07年)崩壊の引き金が「消えた年金」問題での国民の怒りの爆発でした。
これは今も大きなトラウマとなっています。参院選挙を目前にして、消費税の10%増税強行姿勢への批判が強まるもと、年金問題でも批判が噴出するのを恐れる「1強」の脆弱(ぜいじゃく)さが露呈しています。
二階俊博幹事長は11日、党本部に緊急に記者を集め、金融庁に「抗議」したと説明する中で「選挙を控えておるわけですから、そうした方々に迷惑を許すようなことのないように注意したい」と、選挙のためのなりふり構わぬ対応であることをあけすけに語りました。
しかし、自民党内からはこうした対応に「逆効果だ」との声も漏れます。議員の一人は「臭いものにはフタと見透かされる。森友・加計を国民に思い出させた」と述べます。
森友・加計疑惑で繰り返された虚偽答弁や公文書の改ざんに加え、今度は目の前にあるものをなかったことにするという強権です。
◆消費税増税に頼らず、年金底上げできる
◆共産党の対案
今の年金制度では老後の安心は成り立たないという深刻な現実が改めて突き付けられました。「(報告書の)受け取りを拒否しても、年金が足りないという現実は変わらない」(日本共産党の志位和夫委員長、13日の日本記者クラブでの会見)のです。
「この現実を受け止めて、貧しい年金を安心の年金にすることこそ政治の役目」(志位氏)であり、年金制度の立て直しが参院選の大争点に急浮上しています。
日本共産党の小池晃書記局長は10日の参院決算委員会で、「『100年安心』と言っていたのに、人生100年になったら『年金はあてにするな』『自己責任で貯金せよ』というのは国家的詐欺に等しいやり方だ」と安倍首相を批判。
「では、どうすればいいのか」と激高して反問する首相に小池氏は、全ての低年金者にまずは月5000円、年間6万円の年金底上げを実施し、年金額の上昇を物価上昇より低く抑えて実質削減する「マクロ経済スライド」は廃止するべきだと主張。
大企業や富裕層への行き過ぎた減税をやめれば、消費税増税に頼らなくても財源は確保できると対案を示しました。
自民党議員の一人は「空気が一気に変わる可能性がある。妻がテレビを見ていて『小池さんが一番わかりやすかった』と言っていた。批判ばかりでなく対案を示せるところが強い」と話します。
Z 老後2000万円 根拠、厚労省資料だった !
野党合同ヒアリング
(www.jcp.or.jp:共産党:2019年6月14日より抜粋・転載)
公的年金削減で老後2000万円の蓄えが必要とした金融庁の審議会報告書をめぐる野党合同ヒアリングが、6月13日、国会内で開かれました。野党は、麻生太郎金融相が報告書の受け取りを拒否した明確な理由を示すよう求めました。
麻生金融相が受け取り拒否の理由として「政府の政策スタンスと異なる」点をあげていることに対し、野党は、金融庁が2000万円の蓄えが必要と算出した根拠が厚労省資料だった点を指摘。「政府の政策そのものだ」として説明を求めました。
厚労省の担当者は、金融庁の報告書に算出根拠として添付されている資料について「厚労省がよく使っている資料だ」と回答。金融庁の担当者は「公的年金のみでは生活が成り立たないとの誤解や不安を与えたことが(政府の政策との)大きな(相違)点」と弁明しました。
野党議員は「政府はこれまでも、公的年金だけでは生活費が足りないから私的年金を活用せよといって、投資に導くキャンペーンをしてきた」と反発。麻生金融相自身も4日の記者会見では報告書について「人生設計を考えるときに、100(歳)まで生きる前提で計算してみたことあるか。
年金プラスいろいろなことを考えにゃいかんという話だ」と投資を促していたことなどを指摘すると、金融庁の担当者が答弁に窮する場面もみられました。野党は、報告書受け取り拒否の理由を政府統一見解として示すよう求めました。
ヒアリングでは、審議会が出した報告書を所管大臣が受け取りを拒否した事例が過去に一度もないことも判明。報告書の受け取り拒否は、審議会の事務規定を定めた金融庁設置法7条違反との指摘もだされました。
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