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米中貿易戦争等は、中国に対する、米国の焦燥感、危機感の裏返しである !
米国経済の展望とは ?
(「植草一秀の『知られざる真実』」:2019/06/02より抜粋・転載)
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1)〜6)は前回投稿済みです。以下はその続きです。
7)NYダウは、この高値水準を抜くことが出来ず
に、三尊天井を形成する様相を強めつつある !
当時のNYダウの水準は、昨年10月に記録した史上最高値26,951ドルまであと256ドルの水準に迫っていた局面である。
結局、NYダウは、この高値水準を抜くことが出来ずに、三尊天井を形成する様相を強めつつある。
状況が変化したきっかけは、5月5日のトランプ大統領の意思表示であった。
5月7−8日にワシントンでの開催が予定されていた米中の閣僚級協議の直前に、トランプ大統領が突然、米国からの輸入2000億ドルに対して、25%の制裁関税を発動する方針を宣言したのである。
中国からは、劉鶴副首相が訪米する予定になっていた。
この協議に向けて、トランプ大統領が、脅し=ブラフをかけたと考えられる。
中国は、米中閣僚級協議開催日程を1日ずらして対応した。
8)中国は、米国の脅しには、屈しない姿勢を示した !
そして、中国は、米国の脅しには、屈しない姿勢を示したのである。
その延長線上に、金融市場の不安定化が広がっている。
投資環境分析の視点からは、こうあるべきだとの見解とは別に、現実はこのように推移するとの洞察を示すことが極めて重要な任務になる。現況は警戒を緩められないものであるとの判断を有している。
9)米国は、中国の経済力の台頭を、脅威に感じている !
「歴史に学ばぬものは、歴史を繰り返す」の言葉があるが、無理を押し通すことは危険である。
米国は、中国の経済力の台頭を脅威に感じている。
いまのペースで中国経済が拡大すれば、2020年代の後半には中国経済の規模が米国経済を上回る。
同時に、技術面での中国経済の飛躍も著しく、中国は先端技術分野での覇権を獲得することを国策として明示している。いわゆる「中国製造2025」が米国の危機意識を著しく煽ったのである。
10 )米中貿易戦争等は、中国に対する、
米国の焦燥感、危機感の裏返しである !
米国の焦燥感、危機感の裏返しが、自由貿易の大原則を覆す、トランプ流の政策運営である。
中国は政府による技術移転強要を禁止する法律を整備した。
米国からの輸入を激増させる方針も明示した。
ところが、米国は、民間企業同士による、技術移転をも禁止することを、求めている。
また、政府による産業補助金を、廃止することを求めている。
11 )技術移転禁止・産業補助金廃止の
米国の要求は、論理的整合性を持たない !
これらの要求は、論理的整合性を持たない。
民間企業の自発的な商行為、契約締結に政府が介入することを米国は拒絶するのではないか。
また、特定の産業に対して、国家の政策として補助金を投入することは、米国も実行している施策である。さらに、輸入に25%の関税率を設定することは、自由貿易の基本原則を否定する行動であると判断されるものである。
12 )米国のトランプ流の強引な姿勢に対して、中国は譲歩しなかった !
トランプ大統領は、米国が強引な姿勢を示せば、中国が譲歩すると読んだのだと思われるが、中国は譲歩しなかった。
中国の対米輸出の規模は、5400 億ドル、米国の対中輸出の規模は、1200億ドルであるから、米国と中国がそれぞれ25%の制裁関税を設定すれば、より深刻な打撃を受けるのは中国である。
これがトランプ大統領の読みであると見られるが、一概にそうとは言い切れない。
トランプ大統領は、2020 年の大統領再選に向けて、とりわけ米国株価動向に強い関心を払っている。
―この続きは次回投稿します―
(参考資料)
米国経済の展望
(www.jri.co.jp日本総研::2019年5月より抜粋・転載)
前回の続きです。
○米国金利見通し
◆堅調な成長持続
拡張的な財政政策の効果が減衰するなか、景気の回復ペースは鈍化するとみられるものの、良好な雇用・所得環境を背
景に民間部門主導の自律的な景気回復が続き、成長ペースは2%前後とみられる潜在成長率の水準は維持する見通し。
なお、トランプ政権が、対中輸入に加えて、自動車輸入やEUやカナダ、メキシコからの輸入等にも追加関税をした場合、家計・企業マインドの悪化や企業収益の落ち込みは不可避で、景気は失速す
るリスク。
◆金利は横ばいで推移
FRBは、インフレ圧力が限定的とみられるなか、金融市場や世界経済の動向を注視しつつ、当面、金利を据え置く見
通し。
長期金利は、景気が底堅く推移する一方で、FRBは政策金利を据え置く姿勢を維持するとみられることから、当面横
ばい圏での動きが続く見通し。
Fed Watch:政策金利は当面据え置き 米国
◆年内は利上げ見送り
FRBは、4月30日と5月1日に開催されたFOMCで、景気判断を「堅調な速度から鈍化」から「堅調なペースで拡大」に
上方修正し、前回に下方修正した分を元に戻した格好。年末からの景気の落ち込みが一時的にとどまったことを確認。
一方、物価の見方は下方修正。3月にエネルギー要因による下押し寄与が剥落したものの、その他の幅広い品目で伸びが鈍化したため、PCEデフレータの伸びが1.5%、コアPCEデフレータが1.6%と目標を下回る水準に。これを受け、インフレ率は「2%付近にとどまっている」から「2%を下回っている」との判断に変更。
このように、景気は底堅さを維持しているものの、インフレ圧力が低下しているため、FRBは年内利上げを見送る見通し。
◆利下げ観測も台頭
さらに、市場の一部では、早期の景気後退観測やインフレ率の鈍化を受け、年内利下げの見方も台頭。内需の底堅さを背景に
2%前後の潜在成長率並みの成長を維持するとみられるため、メインシナリオとしては利下げに至らないとみられるものの、FOMC参加者のなかで、ディスインフレの長期化を回避するために金融緩和が必要だとの主張が優勢になった場合には、年内利下げに踏み切る可能性も。
FOMC声明(要旨)
今回(2019年4月30日、5月1日) 前回(2019年3月19、20日)
労働市場は力強く推移し、経済活動は堅調なペースで拡大した 。雇用の伸びは均してみればここ数ヵ月堅調で、失業率は低水準にとどまっている。
第1四半期に家計支出と企業の設備投資の伸びは減速した。前年比でみると、総合的なインフレ率及び食品やエネルギーを除いたインフレ率は低下し、2%を下回っている。
総じて、市場ベースのインフレ見通しの指標はここ数カ月で低くとどまっており、調査に基づいた長期的なインフレ期待の指標は、あまり変わっていない。
委員会は、経済活動の持続的な拡大、力強い労働市場の状況、委員会の対称的な目標である2%に近いインフレ率という結果がもたらされる可能性が高いと引き続きみている。世界経済と金融の動向、
落ち着いたインフレ圧力を考慮し、どのようなFF金利の目標誘導レンジの将来的な調整がこれらの結果になるために適切かを決める際に、委員会は忍耐強くなるだろう。
労働市場は力強く推移したが、経済活動の拡大は昨年の第4四半期の堅調な速度から鈍化した。2月の就業者数はあまり変わらなかったが、雇用の伸びは均してみればここ数ヵ月堅調で、失業率は低水準にとどまっている。
最近の指標は、第1四半期に家計支出と企業の設備投資の伸びが減速したことを示している。前年比でみると、主にエネルギー価格の下落が原因で総合的なインフレ率は低下した。食品やエネルギーを除いたインフレ率は、2%付近にとどまっている。
総じて、市場ベースのインフレ見通しの指標はここ数カ月で低くとどまっており、調査に基づいた長期的なインフレ期待の指標は、あまり変わっていない。
委員会は、経済活動の持続的な拡大、力強い労働市場の状況、委員会の対称的な目標である2%に近いインフレ率という結果がもたらされる可能性が高いと引き続きみている。
世界経済と金融の動向、落ち着いたインフレ圧力を考慮し、どのようなFF金利の目標誘導レンジの将来的な調整がこれらの結果になるために適切かを決める際に、委員会は忍耐強くなるだろう。
FF金利の誘導目標レンジを2.25〜2.50%で維持することを決定。
政策決定の投票ですべての委員が賛成。
FF金利の誘導目標レンジを2.25〜2.50%で維持することを決定。
政策決定の投票ですべての委員が賛成。
(資料)FRBを基に日本総研作成
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