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働き方改革関連法の成立で仕事はどう変わるか? 野党の反対論は ?
http://www.asyura2.com/10/nametoroku6/msg/10411.html
投稿者 青木吉太郎 日時 2018 年 7 月 07 日 22:19:08: jobfXtD4sqUBk kMKW2Itnkb6YWQ
 


働き方改革関連法の成立で仕事はどう変わるか?

    野党の反対論は ?


(www.itmedia.co.jp:2018年07月05日 06時30分 より抜粋・転載)

[加谷珪一,ITmedia]

 働き方改革関連法が6月29日、可決・成立した。国会審議では、高度な専門職を労働時間規制の対象から除外する「高度プロフェッショナル制度(高プロ制度)」の是非が主な争点となったが(関連記事)、同法案がカバーする範囲はもっと広い。法案の概要と施行後にどのような影響が及ぶのかについて考察する。

○残業時間の上限規制は罰則付き

 働き方改革関連法は1つの法律ではなく、労働基準法や労働契約法など合計8つの法律で構成されている。この中で労働者にとって特に重要なのは、(1)残業時間の上限規制、(2)高度プロフェッショナル制度、(3)同一労働同一賃金の3つだろう。

 現行の労働基準法が定めている労働時間は「1日8時間、週40時間」となっている。この時間を超えて労働者を働かせることは違法だったが、これには例外規定が存在していた。企業と労働者が協定を結んだ場合に限り、法定労働時間を超えて仕事をさせることが可能となっており(いわゆる36協定)、この協定の存在が長時間残業の元凶と言われている。

 厚生労働省では、36協定を結んだ場合でも、残業時間について「月45時間、年360時間」を限度にする目安を定めていたが、強制力がないため、現実にはあまり顧みられることはなかった。

 今回、盛り込まれた残業時間の上限規制では「月45時間、年360時間」という基準が明確化された。繁忙期など、どうしても残業を行う必要がある場合においても、45時間を超えて残業できるのは6カ月までに制限され、年間の上限は720時間となる。これに加えて単月では100時間未満、複数月の平均では80時間未満(いずれも休日労働含む)という制限もある。

 上限規制を超えて労働させた企業には罰則が適用されるので、この数字には法的な拘束力がある。これまでは、事実上、残業時間が青天井だったことを考えると、労働者にとっては大きな変化といってよいだろう。また、10日以上の年次有給休暇が付与されている労働者については、5日分の取得が義務付けられたので、有休が消化できないといったこともなくなるはずだ。

 ただ、休日労働を含め月100時間の残業が可能という内容であり、100時間とは過労死の認定ラインとされている。すべての労働者にとって十分な水準とは言えないかもしれない。

 ちなみに一部の職種については、上限規制の適用が除外されたり、適用時期の猶予が与えられたりする。新技術・新商品の研究開発業務には上限規制が適用されず、自動車運転、建設、医師に対する上限規制の適用は5年後となっている。

○どこまでが高度プロフェッショナル?

高度プロフェッショナル制度は、年収1075万円以上の高度なスキルを持つ社員を、労働時間の規制対象から外すもので、一般的には、研究職やコンサルタント、アナリストなど、年収が高く、かつ専門性の高い職種が該当するとされている。

 この制度に対しては、柔軟な働き方が可能になると評価する声がある一方、一部の専門家は、多くの人材がなし崩し的に高度プロフェッショナル社員に認定される可能性があり、実質的な給与削減策になるとして批判している。

高度プロフェッショナル制度については、さまざまな議論が沸き起こっている(出典:厚労省サイト)

高度プロフェッショナル制度については、さまざまな議論が沸き起こっている(出典:厚労省サイト)

 この制度を導入するためには、労働側と企業が合意し、対象者本人も適用に同意することが条件となっている。また、実際に制度を運用する場合には、年間104日の休日取得が義務付けられるので、すぐに無制限の残業拡大につながることはないだろう。

 だが適用対象となる職種について明確に定まっているわけではなく、中長期的にはさまざまな職種が適用対象となる可能性は残されている。経団連の榊原定征前会長は記者会見で高度プロフェッショナルの適用職種の例として、研究開発に加えてマーケティングを挙げている。

 日本企業の場合、欧米とは異なりマーケティングという職種が確立しておらず、営業部門の一部がマーケティング業務を行っているケースもある(営業とマーケティングは本来、全く異なる職種だが)。対象職種が営業部門にも広がってくると、事実上の賃金抑制策に近づいてくる。

 また1075万円という金額についても注意が必要である。大企業の場合、通勤手当の上限が高く、遠距離からの新幹線通勤が可能な場合がある。厚労省では高度プロフェッショナル制度の対象となる年収の中に、通勤手当も含まれるとの見解を示している。実質的な年収は低くても、新幹線通勤をしている人は対象となってしまうかもしれない。

○同一労働、同一賃金は中長期的な影響が大きい !

 残業時間の規制については、大企業は2019年4月から、中小企業は20年4月から適用開始となる。高度プロフェッショナル制度は、企業規模を問わず19年4月からの導入となっており、施行と同時に職場の環境は大きく変化することになる。

 一方、同一労働、同一賃金については、大企業は20年4月から、中小企業は21年4月から導入される。この制度は、中長期的に労働者の待遇に大きな影響を及ぼしそうである。

 これは、正社員や非正規社員といった雇用形態に関係なく、業務内容に応じて賃金を決める制度である。この制度では、勤続年数や成果、能力が同じなら給料を同額にする必要が出てくるほか、各種手当や休暇、研修も同じ待遇にしなければならない。

 同一賃金とは、あくまでも不合理な格差が禁止されることであって、無条件ですべての待遇が同一になるわけではない。ただ、非正規社員が人件費や雇用の調整弁として使われてきた経緯を考えると、格差が縮小の方向に向かっていることだけは間違いないだろう。 もし企業の経営に余裕がなく、総人件費を拡大できないという場合には、正社員の待遇を抑制することで、非正規社員との格差を埋めるケースも出てくるはずだ。

加谷珪一(かや けいいち/経済評論家)

  加谷珪一(かや けいいち/経済評論家)

 仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。

 野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。

 著書に「AI時代に生き残る企業、淘汰される企業」(宝島社)、「お金持ちはなぜ「教養」を必死に学ぶのか」(朝日新聞出版)、「お金持ちの教科書」(CCCメディアハウス)、「億万長者の情報整理術」(朝日新聞出版)などがある。

(参考資料)

「働き方改革」関連法案の成立に 断固抗議する(談話)

(www5.sdp.or.jp:社民党:2018年6月29日より抜粋・転載)

社会民主党幹事長・吉川はじめ:

◆本日、与党は、参議院本会議で、長時間労働を助長し過労死を促進する高度プロフェッショナル制度(高プロ)の創設を含む「働き方改革」関連法案の採決を、働く者や過労死遺族の反対を押し切って強行した。「働き方改革」関連法案は、性質の違う8法案が一括法案とされたこともあり、論点は多岐に亘り、細部の論議は全く深まっていなかった。

議決された法案に関して附され、施行についての意見や希望などを表明する附帯決議は、衆議院段階で12項目だったものが、参議院では47項目となった。それだけ懸念や留意点があるということは、審議を続け問題点を浮き彫りにし、廃案に追い込むべき問題法案であったことを示している。本日の法案成立は、良識の府たる参議院の役割放棄であり、立法府の自殺行為であるといわざるを得ない。すべての働く者とその家族に関わる重要な法案を強引に押し通す、安倍政権の強権的な姿勢に断固抗議する。

◆それでも参議院の審議を通じて、社民党はじめ野党の質疑・追及により、高プロの問題点や政府の説明のごまかしが数々と明らかになった。高プロの必要性について、安倍首相は「時間ではなく成果で評価される働き方を望む労働者のニーズに応えるもの」と強調し、加藤厚労相も「いろいろお話を聞くなかで要望をいただいた」と答弁していた。

ところが、高プロについて厚生労働省がヒアリングしたのは、たった5社12人の手抜き調査であり、うち9人は今年1月の加藤厚労相の答弁後に慌てて行われたというアリバイ作りの後付け調査であることが明らかとなった。高プロ導入を希望したのも、わずか1例であり、高プロは労働者の希望でも何でもなく、提案理由説明の「労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を推進するため」という立法事実がないことが明白である。

ついに安倍首相自身、「経団連会長等の経営団体の代表からは高度プロフェッショナル制度の導入をすべきとのご意見を頂いて」(6月25日参議院予算委員会)と答弁するなど、労働者ではなく経営側の要望に基づくものであり、経済成長のために労働者を犠牲にする労働市場改革の第一歩であることを自己暴露するに至った。

◆また「年収1075万円」以上を強調するものの、法案には「基準年間平均給与額の3倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上であること」とあるだけで、多くの労働者に「自分には関係ない」と思わせる詐欺的な数字であることも明らかになった。

しかもそこには通勤手当などの諸手当も含まれ、さらに平均給与には正社員だけではなくパートも含まれるなど、年収基準が「年収1075万円」を割り込むことは確実である。さらに省令事項であるので、国会で法改正をすることなく、厚生労働省が対象となる額を変更できる建て付けになっている。また、政府は対象業務としてコンサルやアナリストなどを例示しているが、これも実際は省令で定めるものであり、厚労省がいくら省令改正には労働政策審議会を経る必要があり、恣意的に拡大できないと言い張っても、そもそも高プロ自体、労政審で労働側の強い反対にもかかわらず法案に盛り込まれたものであるから、今後、拡大される恐れは必至である。

◆政府は、高プロは「時間ではなく成果で評価される働き方」であるとして、成果主義や時間に縛られない働き方ができるようになることを喧伝している。しかし、法案のどこにも成果主義になるという記述はないし、成果主義による賃金支払いを義務づける制度の導入もない。安倍首相が「働く時間帯の選択や時間配分は労働者自らが決定するもの」と述べたにもかかわらず、高プロの対象労働者の労働時間に関する裁量権は、法文上明記されていない。

時間に縛られなくなるメリットを享受するのは、労働基準法の1日8時間、週40時間の労働時間規制が撤廃され、労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定が適用されなくなる経営側である。

また、パソナ会長で高プロ導入の旗振り役の一人である竹中平蔵氏は、「時間に縛られない働き方を認めるのは自然なことだ。時間内に仕事を終えられない、生産性の低い人に残業代という補助金を出すのも一般論としておかしい」といい、残業代がゼロになれば家へ帰るようになり、過労死は抑制されるという。

しかし、残業代や休日出勤手当、深夜割増賃金を支払う必要がなくなれば、経営に対し、長時間労働を抑制するインセンティブがなくなる。しかも高プロは裁量労働制とは異なり、経営側がノルマや働き方への指示を与えることも可能となっており、残業や休日労働に対して割増賃金を一切払わず、労働者を上限なく働かせることができるようになれば、長時間労働への歯止めが効かなくなり、過重労働や過労死を余儀なくさせることは必然である。

◆「健康管理時間の把握」も極めてずさんな空文句にすぎない。また、高プロは労働時間管理をしないので、労働時間が分からず、長時間労働の調査も、十分な指導もできないと、現場の労働基準監督官から懸念の声が上がっている。しかも高プロの規定に違反する罰則の規定は設けられていないし、法違反の立証や労災申請・認定も極めて困難になる。

「過労死」しても自己責任となりかねないし、そもそも「過労死」の認定自体が難しくなる。高プロ導入には、「本人の同意が必要」、同意後に「撤回できる」などといっても、労働者と企業の力関係を考えれば労働者の拒否権に実効性はない。同意しなかった場合に解雇や不利益な扱いを受けても、労働基準監督署は指導も罰則を科すこともできない。

◆さらに、1日13時間の連続勤務を360日続けて、年に5日だけ休ませるという働かせ方や、残業100時間相当で産業医の面接を受けても、そのまま働かせ200時間になる働かせ方、月のはじめに4日間休ませれば、あとは月末までずっと連続で働かせること、さらに次の4週間の最後の4日間に休みを取らせれば、連続して48日間、1日24時間労働をさせることが可能であり、年収1075万円の「見込み」としたうえで、所定労働時間を1日24時間労働に設定した契約を交わし、勤務時間実績が契約時間(6264時間)に不足していれば、「欠勤控除」として減額するというやり方など、到底考えられないような働き方も違法ではないことが明らかになった。

◆残業時間の罰則付き上限規制も、極めて不十分な水準であり、過労死ラインの残業を容認したのと同じといわざるを得ないし、適用除外業種も多い。「同一労働同一賃金」も中途半端で不十分であり、雇用対策法を改正して、「労働生産性の向上の促進」を加え、労働者保護立法を企業のための法制に変えようとすることも大きな問題である。

◆こうした問題山積の「働き方改革」関連法案に対する安倍首相や加藤厚生労働大臣らの答弁は、論点のすり替えやはぐらかし、質問とまったく関係ない内容が相次ぎ、「ご飯論法」、「信号無視話法」と厳しく批判を集めた。非正規社員切りをすすめ、ワーキングプアを生み出し、格差社会をつくり上げ、今度は高プロによって労働者を搾取し尽くし、過労死しても「自己責任」だという社会にしようという財界や企業のために、なんとしてでも押し通そうという姿勢が見え見えであった。

安倍首相は、「戦後の労働基準法制定以来70年ぶりの大改革」というが、高プロは、憲法第27条第2項の「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」の没却であり、空文化である。戦後、曲がりなりにも、日本の労働者の権利を守り健康を保護してきた日本の労働法体系が崩壊してしまいかねないことを危惧する。

◆労働時間は働く者にとって最も基本的な労働条件である。痛ましい過労死や過労自殺が相次ぎ、重大な社会問題となっている今日、労働者の健康と安全を確保するための最低限のルールである労働条件規制を揺るがすことは断じて許されない。

社民党は、働く仲間のや過労死の遺族の皆さんとともに、決してあきらめることなく、高プロの削除、残業時間の上限規制の強化と実効性確保、勤務間インターバルの義務化、裁量労働制の適用の厳格化、健康確保措置の充実、パワーハラスメント規制の導入、同一価値労働同一賃金の実現をはじめ、すべての労働者が、健康とワークライフバランスを確保しながら、尊厳をもって働き続けられるための実効性ある法整備に向け全力を挙げる。

以上

 

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