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市民メディアにコメント欄は不必要(PJオピニオン) - livedoor ニュース
http://news.livedoor.com/article/detail/4768418/
市民メディアにコメント欄は不必要
2010年05月14日06時57分 / 提供:PJオピニオン
【PJニュース 2010年5月14日】市民メディアにとってコメント欄は躓きの石になる。コメント欄の荒れはJANJANでもオーマイニュースでもツカサネット新聞でも問題となった。かつてオーマイニュースに寄せられた以下のコメントが象徴する。
「オーマイニュースは、右翼的な人や嫌韓的な人々が声高に叫んで感情を煽り、他人の記事・コメントにヒステリックにケチをつける」
コメント欄の管理が編集部の負担になり、コメント欄があるために記事投稿しないと明言する市民記者も出るなどコメント欄が市民メディアの妨げとなる事態も発生した。一方で双方向性が市民メディアのメリットであるとして、自由なコメント欄を擁護する藩論もある。休刊したJANJANの代替サイトとして登場したJanJanBlogでもコメント欄の設置の是非が話題になった。
本記事では3つの観点から市民メディアにとってコメント欄が必須ではないことを明らかにする。
第1に市民メディアの本質論との関係である。コメント欄による双方向性は市民メディアの本質的な特徴ではない。市民メディアの意義は情報の受け手に徹していた市民が発信者の立場になったことである。多くの市民メディアではコメント欄を設けていたが、付随的なものに過ぎない。
市民メディアが社会的に可能になった背景にはインターネットの発達・普及による情報発信・伝播コストの低下がある。一方、情報の受け手が送り手にダイレクトにレスポンスを返せるようになったことも、やはりインターネットの発達・普及が背景にある。
故に市民メディアと双方向性は混同されがちであるが、これらは別個のものである。コメント欄の存在しない市民メディアも十分に成り立つ。反対にマスメディアが自社サイトで自社記事にコメント欄を付すことも可能である。
コメント欄の設置有無はウェブサイトのポリシーであって、市民メディアであるか否かとは関係ない。コメント欄をどうするかは「市民メディアは、かくあるべし」というような形で演繹されるものではなく、その種の主張は議論を混乱させるだけである。
第2に反論権との関係である。反論権を保障するためにコメント欄が必要とする見解があるが、管見は反論記事掲載で反論権を担保すればよいと考える。市民メディアは市民が記者として記事を発信できる媒体であり、記事掲載の敷居が低い。ある記事が掲載されたとして、当該記事に不満を持つ人が反論記事を掲載することも可能である。反論権の保障という観点では理想的な媒体である。
これに対し、編集部の記事採否の恣意性を主張して自由なコメント欄の必要性を説く見解が問題になる。しかし、仮に編集部が偏向していて信用できないならば自由なコメント欄設置を期待することは筋違いである。そこまで決定的に対立しているならば、媒体内で反論権を担保すべきというような議論自体が成り立たない。
市民メディアは多様な意見を掲載するプラットフォームであるべきであり、記事採否に思想的な偏向があることは好ましくない。記事掲載の敷居を低くし、特定記事への反論記事も広く掲載すべきである。これはコメント欄がなくても実現できることであり、コメント欄の必要性は導き出せない。
具体的な記事に対する批判コメントは書けるが、独立した記事までは書けないという人がいるかもしれない。しかし、そのような意見を記事掲載サイトで拾わなければならない必然性は存在しない。記事あってのコメントであり、記事が主でコメントが従である。
第3にページビューとの関係である。通常、記事は一回読めば十分である。一方、コメント欄で活発に議論が展開されればコメントを読むために何度も記事をリロードする。このため、コメント欄はページビュー増加に大いに貢献する。
しかし、ページビューは一つの指標であって、サイト運営の目標ではない。記事掲載サイトならばコメント欄の白熱した議論ではなく、記事で勝負したいという思いがある筈である。そもそも議論ならば掲示板サイトには及ばない。
また、反論がある場合はコメントではなく、反論記事を投稿してもらった方がサイトにとってはメイン・コンテンツを増加させることになる。結論として、自由なコメント欄が記事掲載サイトに有益とは一概に判断できない。
以上のとおり、コメント欄設置は市民メディアにとって必須ではない。あくまで記事が主で、コメントは従である。コメントで自由な議論がなされることの意義を否定するつもりはないが、コメント欄の強制は筋違いである。コメント欄が必須なものではないことを明らかにするだけでも、コメント欄が負担になっている人の気持ちを楽にできるのではないかと考える。【了】
パブリック・ジャーナリスト 林田 力
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