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海外進出のキモは現地習慣の体得と手ごろな価格設定――仏ダノン・ファベールCOO(東洋経済オンライン)
http://www.asyura2.com/10/hasan70/msg/913.html
投稿者 五月晴郎 日時 2011 年 8 月 13 日 04:06:23: ulZUCBWYQe7Lk
 

(回答先: キリンやアサヒに売却打診、「エビアン」事業などを仏ダノン (ブルームバーグ) 投稿者 五月晴郎 日時 2010 年 11 月 10 日 13:35:28)

http://www.toyokeizai.net/business/interview/detail/AC/cbe089394cc1a2102e135a294f4f2290/

フランスに本社を置く大手飲料・食品メーカーのダノン。世界の主要国・地域で商品を販売し、日本ではミネラルウォ―ターの「ボルヴィック」や「エビアン」、ヨーグルトの「ビオ」などの商品ブランドを定着させてきた。ヨーグルトメーカーとしては世界最大の存在だ。

 2010年12月期はアジア市場での成長が牽引し、総収入は前期比14%増の170億1000万ユーロ(約2兆円)と二ケタ成長を果たした。海外市場進出に苦戦する日本の大手食品・飲料メーカーに対し、多国籍企業として勢力を広げるダノンの戦略とは−−。来日したエマニュエル・ファベールCOO(最高執行責任者)に話を聞いた。

 ——震災後、日本市場に変化はありましたか。

 フランスに限らず世界が、日本の復旧の早さには驚かされた。日本の一般市民の対応の迅速さ、忍耐強さも素晴らしかった。ダノンも震災直後から2週間ほどは、電力供給や物流網の混乱などにより操業に支障が出たが、それ以降は震災前と同じ成長率に回復している。現在も、乳製品「ビオ」を中心に2ケタ増を続けている。新商品も発売となり、われわれにとって日本市場は完全に正常化したと言っていい。

 ——世界中でミネラルウォーターの伸びが頭打ちとなる中、日本では東日本大震災後の原発事故を受けて、安全な水を求める消費者の動きから特需が発生しました。

 需要は確かに増えた。日本政府が海外から輸入するミネラルウォーターについて、容器が外国語表記のままでも販売を認めるように規制を緩和したこともあり、ミネラルウォーター市場が拡大した。日本で「ボルヴィック」を販売しているキリンビバレッジからダノンには通常以上の注文が入った。細かい数字は公表できないが、ダノンが他国向けの商品を日本に振り分けたのは事実だ。

 一方、輸入規制の緩和はわれわれの競合が増えることをも意味している。特に今回、韓国のメーカーから低価格帯のミネラルウォ―ターが日本市場に入った事実は大きい。ミネラルウォーター需要のピークは震災直後だったが原発事故をめぐる情勢次第で、今後も水の需要は伸びていく可能性はある。

 ——ダノンが現在、注目している国や地域は。

 現時点ではロシアだ。昨年、現地最大の乳製品メーカーのユニミルクを買収した。今は統合の真っ最中だ。1万7千人を雇用する大きな事業体となる。ロシア全域では、約30カ所の工場を運営している。ロシアでも「ビオ」の展開に注力する。

 ——急成長している中国市場では、どう展開していきますか。

 ダノンは中国市場に進出して30年の歴史を持つ。中国では現地企業の買収とダノン自体の成長を重視してきた。これからもその戦略に変わりはない。常に、全てのカテゴリーを見直し、どう伸ばしていくか考えている。もちろん適切な買収やアライアンスの対象も常に探している。競争の厳しい市場だが、ダノンは急速に成長しており、前期も20%以上の成長率を誇った。今期上半期も同様の伸びを維持した。特に、ベビーフードや流動食が伸びている。

 ——新興国の事業展開でポイントになるのは。

 人材の確保だ。十分な能力と学歴をもった人材が不足している。特に新興国はその成長のペースに合った人材の絶対数が足りない。

 ——日系企業の海外進出は苦戦気味。海外進出に必要なものを教えてください。

 3つある。

 まずは、地元のメーカーと似た考え方をもつ必要がある。特に大規模な新規市場に参入する場合は、現地の食習慣、消費パターンを知る事だ。現地サプライチェーンはどうなっているのか、食品がいつ、どこで、どうやって食べられているのか。その製品のフォーマットはどんなフォームにされているのか。全部調査し、地域に見合う必要がある。つまり、状況を知る事が重要。現在ダノンは、新規市場での売り上げが全体の半分に達している。それは、このグローカルができているからこそだ。
 
 2つ目は、手に入りやすい価格を設定する事だ。先進国のコストや文化感覚では、現地に合う価格帯の商品をつくる事はできない。大量に売って商品を浸透させていくためには、考え方をかえる必要がある。

 われわれは、いわゆるBOP(ベースオブピラミット)の最下層である過半数を超える貧困層に向けた商品開発にも注力している。貧困層を考えずに、1〜2%の最も裕福な層しか相手にしないのでは、様々なチャンスを逃す事になる。もし、先進国のメーカーが新興国に入る場合、例えばインドネシアで1億人に売りたければ、先進国のモデルとは全く違う形を考えなくてはならない。

 これまでに述べた2点をクリアしたうえでの話だが、3点目としては現地採用の経営者を育成する必要がある。そこで初めて現地に根づく企業になる。

 ――中国やロシア以外にも、世界にはまだまだ経済成長の可能性を持った国や地域があります。

 5〜10年先になるが、まだ参入していない若年層人口を多くかかえる有望な国がいくつもある。バングラディッシュ、パキスタン、ナイジェリア、フィリピンなどだ。また、アフリカには、10億人規模のわれわれがまだ参入していない市場も残っている。今後はこのような国で積極的にビジネス展開をしていくことになるだろう。

 ——かつて「エビアン」ブランドを日本の大手飲料メーカーに売却するといった報道もありました。

 それは何の事実にも基づいていない。われわれは今後も「エビアン」ブランドを育てていく。世界的なブランド、「エビアン」に誇りももっている。売却はしない。

 ——ヤクルトの最大株主としてのスタンスは。たとえば今後、事業を買収する可能性はありますか。

 ダノンは10年前からヤクルトに投資しており、今後も戦略投資を続ける。ヤクルトとは、乳酸菌など人体に有益な作用をもたらす生きた微生物であるプロバイオティックスを共同で開発するなどの提携関係がある。今後も協力のチャンスがあれば、どんどん広げていきたい。だが、ヤクルトの独自性を尊重しており、ヤクルトの事業を買収する事は今後も考えていない。

(張 子渓 =東洋経済オンライン、撮影=梅谷 秀司)
 

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