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(回答先: 村の全世帯が富裕層、黄金ボーナス支給も 貧しい日本人は中国を目指せ!? 投稿者 tea 日時 2011 年 1 月 13 日 14:48:51)
まあ、こういうのも一方の中国の現実だ
日本の生活保護受給者と、非受給者の格差みたいなもの
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110111/217880/?ST=print
日経ビジネス オンライントップ>投資・金融>世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」
北京市内の2DK、家賃970円に「そんなばかな!」
胡錦濤総書記の市内視察で露呈した低所得者向け住宅の不思議
2011年1月14日 金曜日 北村 豊
中国 視察 北京 低価格住宅 胡錦濤
2010年も押し詰まった12月29日、胡錦濤総書記は2011年元旦の到来を前にして、社会保障と国民生活の改善状況を実地に確認するべく、北京市党委員会書記の劉淇を筆頭とする北京市幹部を従えて北京市内を視察した。当日の視察日程には中国政府が積極的に取り組んでいる“保障性住宅”<注1>の訪問が含まれており、胡錦濤の一行は北京の中心部である天安門から東に16キロほど離れた朝陽区常営にある“保障性住宅”の建設計画が進められている住宅団地“麗景園小区”を訪れた。
<注1>政府が提供する低所得世帯向けの低賃料公共住宅や低中所得世帯向けの低価格住宅などを指す。
共産党と政府の素晴らしい政策に感謝の声
ニュースサイト“新華網(新華ネット)”は、12月30日付で胡錦濤総書記の“麗景園小区”視察を次のように報じた:
“麗景園小区”に到着した胡錦濤はまず同団地の立体模型を見て建設計画の全体像を把握した。その後、胡錦濤は低家賃の借家の住民である郭春平女史の住宅を訪問した。郭春平は娘ともに一行を出迎えた。娘と2人暮らしである郭春平の住宅は、45平方メートルで大きくはないが、2DKでキッチン・トイレ付の整然とした間取りである。部屋の構造を子細に観察した胡錦濤は郭春平と親しく懇談し、何人家族か、いつ頃引っ越してきたのか、以前の住宅状況はどうだったのかなどを質問した。
郭春平は、今までずっと決まった家が無かったが、現在では家があるという感覚をやっと持てるようになり、落ち着いた気分になっていると答えた。そこで、胡錦濤が「1カ月の家賃はいくらですか、家賃の支払いは問題ありませんか」と質問したのに対して、郭春平は「家賃は77元(約970円)ですから、支払いは問題ありません」と微笑みながら答えた。
胡錦濤は郭春平の娘が大学3年生であると聞いて、娘に対してしっかり勉強して将来は母親の面倒を見るようにと激励した。そして彼らに対して「あなた達の家の居住条件が改善されたのを見て非常にうれしい。共産党と政府は人々の暮らしを特に重視して一連の措置を採っており、今後さらに一歩進んだ措置を採って貧しい人々の生活を改善していく」とその決意を表明した。この言葉を聞いた郭春平母娘は非常に感激し、続けざまに共産党と政府の素晴らしい政策に感謝の声を上げた。
水道光熱費だけでも1カ月200〜300元かかる
郭春平の家を辞去した胡錦濤は続いて麗景園小区の“経済適用房(低中所得世帯向けの低価格住宅)”に住む李波一家を訪問した。胡錦濤は家の主人である李波と応接間で対座して、住宅の面積から価格まで打ち解けて話をした。麗景園小区のサービス施設の配備状況について質問し、関係部門にしっかり対応するよう指示して住民たちがより便利に生活できるようにすると約束した。李波家から出発する際に、胡錦濤は李波一家の生活がますます良くなるようにと祝福した。
北京市内視察のニュースは12月29日当日のテレビニュースを通じて全国に報じられたが、ニュースを見ていた視聴者の多くはニュース映像の中で低家賃の借家に住む郭春平が胡錦濤の質問に対して「家賃は77元で支払いは問題ない」と答えたことに違和感を覚えた。中国メディアの報道によれば、胡錦濤が郭春平の家を訪問することはその10分程前に郭春平一家に通知されたとのことだが、人々の多くはそうは思わなかった。
さて、ドイツのベルリンに本部を持つ国際的公共メディア「ドイツの声」の中国語サイトは1月1日付でこの「家賃77元」問題に関する記事を掲載した。その要約は次の通り:
北京市内の借家に家賃が1カ月77元などという所があるはずはない。北京市民だけではなく、国民の誰もがそう思ったはずである。ニュースが報じられるとすぐにインターネットの掲示板にはネットユーザーの様々な意見が書き込まれた。ある不動産関連サイトには、「どうして嘘ばっかり言うのか。1カ月77元の住宅なんて、誰が信じるものか。胡錦濤が視察した麗景園小区は俺の住んでいる所にすごく近いが、俺は水道光熱費だけでも1カ月200〜300元(約2500〜3800円)かかる」との書き込みがなされた。
代表的な書き込みには、「中国の庶民の誰もが家賃1カ月77元の家に住みたいと思っている。総書記にどうしてこうした誤った情報を伝えるのか」とか、「胡錦濤がいる時は1カ月77元だが、いない時は1平方メートルあたり77元なのではないのか」といったものがあった。
麗景園小区の住宅を仲介している不動産業者によれば、麗景園小区およびその近辺では郭春平が借りているような住宅は特に少なく、空きがあることはほとんどない。たとえ空きがあったとしても、一通りの家電製品が完備している部屋の家賃は少なくとも1600元(約2万円)前後はするという<注2>。当該不動産業者は事務所が麗景園小区に近いので、周辺にある借家の家賃水準は熟知しているが、77元などという安い家賃は聞いたことがないと述べている。
<注2>上述の「新華ネット」には記載がなかったが、郭春平の借家は一通りの家電製品が完備しているタイプのものと思われる。
そこで考えられるのは、胡錦濤総書記が訪問したので冷静さを失った郭春平が家賃を1ケタ少なく答えたもので、実際は770元(約9700円)であったのではないかということだが、それもあり得ないと不動産業者は述べている。というのは、同不動産業者は2カ月前に麗景園小区で郭春平の住宅と同様の借家を仲介したが、その家賃は改装および家電製品を含まずに1500元(約1万9000円)であったという。そうであれば、なおさら77元と1500元との大きな価格差が問題となるが、これはいったいどういう意味なのか。
デタラメ? 1ケタ間違えた?
ここで思いついたのは、北京市建設委員会が他の機構と一緒に2008年に公布した「北京市低価格借家の補助金調整に関する問題の通知」である。同通知には次のような規定がある。すなわち、北京市の8つの市街地区で住宅および部屋を賃借した場合の家賃補助金を統一的に1平方メートル当たり月40元(約500円)とし、家庭の場合には家賃補助金の最低限度額を月550元(約6900円)、家賃補助金の上限額を1500元(約1万9000円)とするとある。
この規定によれば、郭春平一家の45平方メートルの住宅は、北京市政府から毎月1500元の家賃補助金を受け取る対象に該当し、全国民が羨む77元の家賃は実際の家賃と補助金との差額を意味している可能性がある。そうなると、この解釈が正しいかどうかは分からないが、郭春平が胡錦濤に述べた「家賃は77元」という回答がデタラメなものでもなく、1ケタ少なく間違えたものでもなく、現実味を帯びてくるのである。ただし、たとえそのような補助金制度が存在したとしても、北京市民を含めて全国でどれだけの人々がそうした特権を享受できるかが問題である。
ところで、この家賃77元問題はネット掲示板への書き込みだけでは止まらず、中国では何か事があると毎度のことと言ってよいが、ネットユーザーたちによる郭春平に対する“人肉検索”<注3>が実施されたのである。その結果、次の3件が指摘された:
<注3>社会の動きの中で問題ありと判断された特定の個人について究明しようというネット上の呼びかけに応えて、ネットユーザーたちが協力して調査を行い、その結果として判明した個人情報などをネット上に暴露すること。
【1】麗景園小区の郭春平と同等の住宅の家賃は月額2000元(約2万5000円)である。
【2】郭春平は交通警察大隊所属の公務員であり、低賃料公共住宅に住める低所得者という要件に合致していない。
【3】あるネットユーザーは郭春平母娘が中国各地の観光地を巡り歩いている大量の写真をネット上にさらした。それほどに余裕のある生活をしている一家が、どうして北京市政府の優遇を受けて“保障性住宅”に住むことができるのか。
北京市政府は釈明も言論規制もなし
ネットユーザーの1人はさらなる問題を提起した。郭春平が交通警察大隊所属の公務員であり、その年齢から考えても旧制度で国家から配分された自宅を持っていることが十分考えられる。そうだとすると、郭春平は何らかのコネを活かして“保障性住宅”の入居資格を捏造して住宅を借り受け、それを他人に転貸することで金儲けをしているのではないかというのである。
北京市政府から支給される1500元の補助金に77元を加えた金額を家賃として大家である麗景園小区の運営企業に支払い、転貸した人から2000元を受け取れば、差し引きで毎月1923元(約2万4000円)を稼ぐことができる。これを1年間で考えれば、約2万3000元(約29万円)となる。国家統計局の統計によれば、2009年の都市部住民1人当たりの平均可処分所得は1万7175元(当時のレートで約25万7500円)であり、2010年にはさらに増大していようが、2万3000元には及ばない。こうした実入りがあるからこそ、郭春平母娘は全国の観光地を巡り歩くことができるのだというのである。果たして真相はどうなのか。
2011年の新年早々から中国のネット上では、家賃77元問題を巡るネットユーザーたちの議論が続けられたが、これに対して中国政府ならびに北京市政府は釈明も言論規制もしておらず、あくまで静観を決め込んでいる。こうした政府の対応ぶりを見て、ネットユーザーたちは、12月29日の胡錦濤視察という“親民秀(民に親しむショー)”で、胡錦濤は郭春平に騙されたのか、あるいは事情を知っていて国民を騙したのかという議論に発展している。
ところで、中国の国家指導者が地方を視察する際には、地方政府が予め準備万端整え、国家指導者と話をする人間を決め、さらには話す内容も予行演習をしておくのが通常と言われている。最も有名な話は、国務院総理に就任して間もない朱鎔基が1998年5月に自身の本籍地である安徽省南陵県を訪れて、食糧センターを視察した時のことである。
当時、朱鎔基は全国に穀物の買い上げを指示したので食糧センターには十分な穀物在庫があるものと考えていた。しかし、中央政府の指示した価格で穀物を買い上げると赤字になるので南陵県では穀物の買い上げを行っておらず、食糧センターは穀物在庫なしの空っぽ状態であった。このため、南陵県では近隣の食糧センターから穀物を一時的に借り受けて、自身の食糧センターに不眠不休で搬入し、朱鎔基の視察に間に合わせてまんまと朱鎔基を騙し通し、視察終了後に穀物を元の食糧センターに返却したという。(2009年4月24日付本リポート『「食糧倉庫問題」に中国人の“役得感覚”を見た』参照)
国家指導者も馬鹿ではないから、地方視察の際に全てが演出されて準備万端整えられたものであることは十分に分かっているだろう。2010年4月15日付の「人民日報」に温家宝総理は1989年4月15日に失意のうちに死去した胡耀邦を追悼する社説を掲載した。その中で温家宝は、1986年に当時総書記であった胡耀邦が貴州省の農民の貧しい生活状況を知るために黔西南布依族苗族自治区の“興義市”を視察した際に、地元の役人たちが悲惨な農民たちの現実を隠蔽して胡耀邦を騙しおおせようとしていたのを察知していたとしてほめたたえている。知っていながら知らない素振りをして、地方の役人の顔を立てなければならないところが「面子の国」中国の難しいところなのであろう。
胡錦濤はあえて騙された?
中国政府は貧富の格差の要因となっている不動産価格の高騰を抑制するべく、低取得者向け公営住宅の建設を促進しており、2010年から2011年までの2年間で960万戸を建設することとしている。胡錦濤総書記が家賃77元の“保障性住宅”の「からくり」を知っていたかどうかは分からないが、2011年を間近いに控えて“保障性住宅”建設にかける中国政府の熱意をアッピールしようとしたと考えれば、あえて騙されたということになるのかもしれない。
それはともかく、ネット上には「新年の願い、俺も住みたい77元の2DK」という声が溢れているが、住宅ローンの重圧にあえぐ“房奴”<注4>たちにとって、これは冗談では済まない、極めて深刻な話なのである。
<注4>銀行から高額の住宅ローンを借り入れてマイホームを購入したが、そのローンの返済のために生活苦に陥っている人。
(北村豊=住友商事総合研究所 中国専任シニアアナリスト)
(注)本コラムの内容は筆者個人の見解に基づいており、住友商事株式会社 及び 株式会社 住友商事総合研究所の見解を示すものではありません。
■変更履歴
サブタイトル、「低取得者」は「低所得者」の誤りでした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです [2011/01/14 11:15]
世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」
このコラムはニューヨーク、ロンドン、サンノゼ、香港、北京にある日経BP社の支局と協力しながら、米国や欧州はもちろんのこと、世界経済の成長点とも言えるブラジルやロシア、インド、中国のいわゆるBRICs、エネルギーや国際政治の鍵を握る中近東の情報を追っていきます。記者だけではなく、海外の主要都市で活躍しているエコノミスト、アナリストの方々にも「見て、聞いて、考えた」原稿を提供してもらいます。
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北村 豊(きたむら ゆたか)
住友商事総合研究所 中国専任シニアアナリスト
1949年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。住友商事入社後、アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、2004年より現職。中央大学政策文化総合研究所客員研究員。中国環境保護産業協会員、中国消防協会員
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