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(回答先: 北京市内の2DK、家賃970円に「そんなばかな!」 投稿者 tea 日時 2011 年 1 月 14 日 14:04:07)
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2011.1.14(第165号)
1. 低成長じゃダメなんでしょうか(論長論短 No.132)
2. 100万人のタオバオチルドレン
(北京ログラス山本達郎総経理の新連載コラム第2回)
3. 宋文洲TV出演のお知らせ(NHK総合)
4. ソフトブレーングループからのお知らせ
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1.論長論短 No.132
低成長じゃダメなんでしょうか
宋 文洲
「2位じゃダメなんでしょうか」。蓮舫さんのこの問いかけが多くの方々の逆
鱗に触れました。「1位を目指さないのは情けない」、「1位を目指さないとど
んどん落ちる」とあくまでも順位に拘る批判でしたが、誰も1位を目指す理由
を正面から答えようとしませんでした。
私も5年間の研究生活を送った経験があります。探究心が原動力でした。悩ん
だ結論が実験やシミュレーションによって綺麗に裏付けられた時の幸福は人に
伝えられません。ノーベル賞をとった研究者にはたぶんノーベル賞に拘る人は
いないと思います。
私ならきっと「現在の産業にとって本当に重要か。昔からのスパコンよりもも
っと重要な開発があるのではないか」と聞いたと思います。結論はYESでもNO
でもよいのですが、順位の数字に終始した議論を避けたいと思います。
不思議なことにだいたい1位になった組織は結構問題を抱えてしまいます。そ
れが不思議に1位になった直後に露呈することが多いのです。「ジャパン・ア
ズ・ナンバーワン」もバブル崩壊の直前にベストセラーになったのです。今思
えば、現在日本の殆どの構造問題はあの時までに滞積してきた問題です。
そもそも高度成長もナンバー2の経済規模も戦争から生き残った日本人の目標
ではなかったはずです。少しでも平和に豊かに暮らしたいという先人達の真摯
な気持ちと地味な努力に国際環境も味方してくれたから高度成長が続き、気が
ついたら世界ナンバー2の経済規模になりました。
しかし、その後、現場でひた向きに働かない人間に限って成長の数字に拘り、
ナンバー2に経済大国を自慢するようになりました。あたかもそれが日本人の
トレンドマークのように、日本民族のアイデンティティのように経済神話化す
るのです。
気付かない方もいるかもしれませんが、昨年7〜9月期実質経済成長率は4.5%
(年率)に達しました。一年を通してみてもたぶん日本の経済成長率はアメリ
カ、EUより高くなると思います。しかし、どこの街角からも聞こえてきるのは
不況への不満の声ばかりです。
数字が変わっても人間の意識が変わらないと何の意味もないのです。
我々ビジネスマンはとても成長の数字を大切にします。成長数字の出ない経営
は責任のある経営ではないですし、数字指標で表現できない経営はどんぶり勘
定と言います。経営論においては私も結果の数字を目標にし、それに至るまで
のプロセスも数字化して管理を徹底します。
しかし、マーケットが縮小する時、ビジネスモデルが変わる時、これまでの成
長を続けるのは無理ですし危険です。数字の成長が無いからといって経営がダ
メだと考えるならば、企業戦略が存在しなくなります。
数字の成長がなくてもその組織や国家の進歩が止まった訳ではありません。冬
のリンゴの木は枯れた訳でもなく、衰退した訳でもありません。実った後の一
休みであり、季節への対応であり、春への準備です。
もうすぐ春ですね♪
(終わり)
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2. 北京ログラス山本達郎総経理の新連載コラム第2回
ビジネスでもそうですが、自分達が儲かって、それで「ハイ、良かったね、お
めでとう」で終わってしまっては意味がないと思いますし、面白くもないと思
います。前回は主にタオバオがいかに発展してきたか、どの位の規模になって
いるかについて書きましたが、今回は、前回ご紹介したタオバオについて、そ
の社会に与える影響についてのお話しです。
第2回 100万人のタオバオチルドレン
山本 達郎
中国の江蘇省徐州市に、沙集鎮という小さな町がある。もともと、大きな産業
もない田舎町で、若者達も上海やその他の大都市に出稼ぎに行ってしまい、過
疎化も進むような町だったという。
ある時、そうして出稼ぎに行った3人の若者が、仕事が上手くいかなかったこ
ともあり、この町に帰ってきた。特にやることもなかった彼らは、タオバオで
何か販売してみようと思い、1年ほど色々な商品の販売を試行錯誤した後に、
木製家具が売れるのではないかという考えに至る。
IKEAや韓国の家具のデザインを勉強し、オリジナルの家具を作って販売したと
ころ、非常に売れ行きが良かった。そこで彼らは資金を募り、工場を作り、本
格的な家具販売に乗り出して行く。
この話はたちまち周りに広がり、その町に住む友人や知人が次々にタオバオに
お店を出し、皆でこの家具を売るようになった。自分の店で注文が取れたら、
彼らの工場から発送をしてもらい、マージンを受け取るというモデルである。
こうして沙集鎮の町で急速にタオバオが広まって行き、1000世帯のうち、約500
世帯が出店するまでになった。町の商店の約8割が副業としてタオバオに出店
して、年間で1億円以上の売上を上げるようにもなり、出稼ぎに行った若者が
町に帰って来るようにもなった。つまり、タオバオを使って町起こしをしたの
である。ちなみに現在では、同じ家具を売っているお店が多すぎて、価格競争
に陥りかけているというオチまでついている。
また河北省のケイ台市にある東高庄村という村は、もともと羊毛から作った毛
糸、マフラー、ストールなどの、ウール製品の産地であったが、ここでも同じ
ようにタオバオ出店が広まり、400世帯のうちの300世帯、なんと4分の3以上が
出店をするまでになっている。
ほぼ「1家に1件、タオバオショップ」のようなイメージである。井戸端会議
での主婦同士の会話にも日常的にネット販売の話しが出ているのであろう。た
った400世帯しかなく特にITの知識があったわけでもない小さな村が、年間で3
億円以上の売上を上げるようになった。
ここに挙げた以外にも、ネットショップによって、町起こし・村起こしに成功
している例は枚挙に暇がない。こうして、タオバオによって創出された雇用は、
現在までに100万人を超えている。
店長以外にも、店舗のデザインをする者、画像の加工をする者、マーケティン
グをする者、物流を担う者など、職種も様々ある。中国の場合、平均月収が日
本に比べれば高くないため、月収2、3万円レベルでも生活していけるというの
も、100万人という数字に繋がっている一つの要因ではあるのだろうが。
また、政府もこうした動きを支援し、一定以上のレベルを超えたタオバオショ
ップを、「起業」と認め、社員を保険に加入できるようにしたり、融資を受け
やすくしたりする等のサポートをしている。中国では都市部だけでも失業者が
900万人いるとされているが、その中の100万人の雇用を吸収しているのは決し
て少なくない数字であろう。そして、2020年までに、アリババグループ(タオ
バオの親会社)では、全世界で1億人の雇用を生み出し、10億人の消費者に便利
なサービスを提供することを目標としている。
日本でも、現在失業者の数が約300万人に達していると聞く。中国の地方にあ
る農村でも、もともとITの知識などなかった人たちが頑張って、0からお店を
作り、地域を活性化させ、雇用を創出している。このことも何かのヒントに繋
がればとも思う。
本の執筆時にインタビューをさせてもらった、タオバオで成功している日系企
業・外資系企業、また、日本人・中国人の個人の話を伺って思ったことは、彼
らが共通して持っているものに、次の3つがあるということである。
1つ目は『意志』、「絶対にこうするのだ、こうなりたい」という方向性を持
った強い意志である。2つ目は『勇気』、「リスクはあるが、問題が起きたら、
このように解決すれば良い」とボトムラインを引いておき、リスクを取ってチ
ャレンジする勇気。そして、3つ目は『努力』、方向性を定め、挑戦すると決
めたら、あとは、「何が何でも成功するまでやりぬく」という覚悟と熱意をも
って、やり抜くことである。
タオバオというプラットフォーム、そして拡大する中国EC市場に、チャンスを
見い出して生まれた100万人のタオバオチルドレン達に、これからも大いに学
びたいと思う。
P.S. 皆様明けましておめでとうございます。
2011年が、宋メールの読者の皆様にとりましても素晴らしいものになりますよ
うに。新年もどうぞよろしくお願いいたします。
アエラの「中国に勝った日本人100人」に選ばれました。
https://krs.bz/softbrain/c?c=748&m=43118&v=cbf2b7ec
1月18日に百度社、オプト社と3社合同セミナーを開催します。
https://krs.bz/softbrain/c?c=749&m=43118&v=6e7927e2
中国最大のECサイト・タオバオの正体
https://krs.bz/softbrain/c?c=750&m=43118&v=00e482cc
(終わり)
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3.宋文洲TV出演のお知らせ
・NHK総合「クローズアップ現代 “チャイナドリーム追いかける日本人”」
2011年1月17日(月)19:30〜19:56
http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/
・NHK総合「Bizスポ」
2011年1月21日(金)22:55〜11:50
http://cgi4.nhk.or.jp/bizspo/
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