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(写真はテヘラン市内で暴徒と化す反政府デモの様子)
イランはCIAの政権転覆実験所!(T.メイサン):ボルテール・ネット【全訳】
これは今日イランで繰り広げられていることの真相を明らかにするための決定的な分析でしょう。ボルテール・ネット主筆ティエリ・メイサンの文章です。
以下に全訳を掲げますが、これは次のヴルテール・ネット英語版からのものです。私からの若干の説明は、フォローで貼り付けることにします。
From Mossadegh to Ahmadinejad:The CIA and the Iranian experiment
http://www.voltairenet.org/article160670.html
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CIAとイラクでの実験
モサデクからアフマディネジャッドまで
ティエリ・メイサン 著
イランの選挙でのいわゆる不正のニュースはイランの首都テヘラン中に燎原の火のように広まった。それはラフサンジャニ師支持派たちを焚きつけハメネイ師支持派に対する街頭での対決へと向かわせた。この混乱状態は、イラン人の間に反対を叫ぶSMSメッセージの洪水を作ることで混乱を広げているCIAによって秘密裏に掻き立てられているのだ。ティエリ・メイサンがこの心理戦争の実験を再検討する。
2009年6月19日 レバノン、ベイルートにて
(写真:テヘラン市内の暴動)
http://www.voltairenet.org/IMG/jpg/iran_400.jpg
2000年5月、マデリーン・アルブライト国務長官は、アイゼンハワー政権が1953年のイラン政権転覆を計画的に行ったこと、そしてこの歴史的な出来事が現在のイラン人の米国に対する悪感情を説明すると認めた。先週、カイロでのイスラム教徒たちに対する講演の中で、オバマ大統領は《冷戦の最中に米国が民主的に選ばれたイランの政権を転覆させるのに一役かった》ことを公式に認めた(1)。
その当時、イランはシャー・モハンマド・レザ・パーレヴィを頂点とする傀儡の王政に支配されていた。彼は英国によって王位を与えられたのだが、その英国は親ナチのコサック士官【原文ではthe pro-Nazi Cossack officer:訳注】である彼の父親レザ・パーレヴィを無理やりに退位させたのだった。ところがシャーはナショナリストの首相モハンマド・モサデクを処分しなければならなかった。モサデクはアヤトラであるアブ・アル-カッサム・カチャニの支援を受けていたのだが、石油資源を国有化したのだ(2)。激怒した英国は、この国が共産化する前にその動きを止めるためのイラン政権転覆が必要であると米国に説得した。そこでCIAはシャーの協力を得てモサデクを追放し、それまで英国によって拘留されていたナチの将軍ファズロラー・ザーヘディとすげ替えるために、アジャックス作戦を練り上げた。ザーヘディは当時の残虐な恐怖政治を確立させた責任者である。その一方でシャーは西側「人民」の雑誌をにぎわせながらその不当さを覆い隠すこととなる。
アジャックス作戦は考古学者ドナルド・ウィルバー、歴史家カーミット・ロウズヴェルト(セオドール・ロウズヴェルト大統領の孫)、そしてノーマン・シュワルツコフSr.(その息子は同じ名前を持ち砂漠の嵐作戦【1991年湾岸戦争:訳注】を率いることとなる)によって導入された。この作戦は政権転覆の教科書的実例として残るものである。CIAは、実際には隠密作戦であるのにそれがいかにも人民の反乱であるかのような印象を与えるシナリオを考案した。そのショーの最大の見せ場は、CIAに支払われた8000人の俳優たちによるテヘランでのデモンストレーションだったが、それは西側メディアに確かな写真を提供するためのものであった(3)。
歴史は繰り返すのだろうか? ワシントンはイランに対する軍事攻撃をあきらめて、イスラエルにその主導権をとることを思いとどまらせている。《政権を取り替える》ために、オバマ政権は隠密作戦ゲームを選んでいるのだが、それは危険性が少ない代わりに結果がより不確定なものである。イラン大統領選挙の後、一方でマフモウド・アフマディネジャッド大統領と最高指導者アリ・ハメネイの支持者達、他方で敗北したミル・ホッセイン・ムサヴィと元大統領アクバール・ハシェミ・ラフサンジャニの支持者達が、テヘラン市街で巨大なデモンストレーションを展開する。これらのデモは、国民主義のプロレタリアート【原文はnationalist proletariat:訳注】と、経済グローバリゼーションから引き戻されることに怒り狂うブルジョアジーの間でイラン社会が深刻に引き裂かれている印である(4)。この隠密作戦によって、ワシントンはワシントンは再選された大統領を引きずりおろすためのイヴェントに重点を置きつつあるのだ。
繰り返すが、イランは新しい政権転覆方法の実験場なのだ。CIAは2009年になってある新兵器を連結させつつある。それが携帯電話のコントロールなのだ。携帯電話の普及以来、アングロサクソンの隠密機関はその傍受能力を増加させてきた。有線電話の盗聴では支線回路に、つまり各地域の電話局に、そのための装置を取り付けなければならないのだが、携帯電話傍受の場合にはエシュロンのネットワークを使って遠くから行うことができる。ところが、このシステムはスカイプの帯電話通信を傍受できない。この点が、紛争地域でスカイプ電話が上手に使われる理由となっているのだ(5)。だから国家安全保障局(NSA)は世界中のインターネット・サービス・プロバイダーに協力するように働きかけたのである。それを受け入れたところは巨額の報酬を受けている(6)。
イラクやアフガニスタンやパキスタンといった占領下にある国々では、アングロサクソンたちは、携帯だろうが有線だろうが、あらゆる電話通信を傍受している。その目的は全ての会話の完全な記録を得ることではなく、《社会的なネットワーク》を突き止めることである。言い換えると、電話は、誰々が接触しているのかを知ることを可能にするための調査の装置なのだ。第一に抵抗運動のネットワークを突き止めたいということである。
次に、電話は突き止められたターゲットの場所を明らかにしそれらを《無害化》させることを可能にする。それが、2008年2月にアフガニスタン反乱勢力が多くの電話中継所に毎日午後5時から午前3時まで活動を止めるように命令した理由なのだ。それはアンゴルサクソンたちに彼らの居場所の追跡を許さないためである。従うことを拒否した中継所のアンテナは破壊された(7)。
それとは逆に、偶然に爆撃された電話網を除くが、イスラエル軍は、2008年12月から2009年1月まで行われたカスト・レッド作戦の最中に、ガザ地区の電話通信網を爆撃しないことを明らかにした。これは戦術の全面転換である。湾岸戦争以来、最も有力な戦術はジョン・A.ワーデンの《5つの輪理論【原文five circles theory:訳注】》である。電話施設を爆撃することは人々を混乱させることと同時に指令中枢と戦闘員との間の連絡を遮断するという二つの戦術的な目的を持つと考えられた。現在では逆のことが行われている。電話通信施設は保護されなければならない。ガザ爆撃の間、通信会社Jawwal (8)は利用者に追加の使用時間を提供した。公式にはこれは彼らを援助するためだとされるが、実際にはイスラエルを利するものであった。そこからもう一歩進めて、アングロサクソンとイスラエルの隠密機関は携帯電話の広範な利用をベースにした心理戦争の方法を発展させた。2008年7月に、イスラエルとヘズブラーの間で捕虜の交換が行われた後で、ロボットがレバノンの携帯電話に何十万という電話をかけた。アラビア語で話す声はあらゆる抵抗運動への参加に対する警告しながらヘズブラーをけなした。レバノンの電話通信相であるジブラン・バッシル(9)はこのあからさまな主権侵害を国連に訴えた(10)。同様の手段が続き、2008年10月に何十万人ものレバノン人とシリア人が、イスラエルの捕虜の居場所と解放につながるどのような情報にも1千万ドルを払うという自動電話の声を受け取った。協力することに興味を抱いた人々が紹介された電話は、英国ナンバーのものだったのだ(11)。
この方法は現在イランで人々を脅しつけ、ショッキングなニュースを広め、煽られた怒りを導くために使用されている。
まず、SMSは開票の夜の間中送られ続けた。(憲法裁判所に相当する)憲法守護委員会によれば、それはミル・ホッセイン・ムサヴィに勝利を告げていた。その後に、64%の支持を得たマフモウド・アフマディネジャッド再選の公式な結果が発表されたのだが、それはいかにも巨大な不正であるかのように映った。しかしながら、その3日前には、M.ムサヴィとその友人達はM.アフマディネジャッドの明らかな大勝利を認めており、それをアンバランスなキャンペーンのせいだという説明に務めていたのである。実際に、元大統領のアクバル・ハシェミ・ラフサンジャニは公開の手紙で嘆きを細々と書いていたのだ。米国の世論調査研究機関はM.アフマディネジャッドが20ポイントの差をつけてM.ムサヴィをリードすると予測していた(12)。仮に両候補の中間に層に対して何らかの程度の不正行為があった可能性があるにしても、M.ムサヴィの勝利はとうてい可能であるとは見えなかったのだ。
次に、イラン国民は選ばれてか自発的にか、インターネット上でフェイスブックでのチャットをするか、あるいはツイッターに書き込みを行った。彼らは、本当か嘘かはともかく、(SMSを通して)政治的な危機の増大に関する情報を受け取った。これらの無記名のニュース配信は銃撃戦と膨大な数の死者のニュースを広げていったのだが、こんな出来事は今日に至るまで確認されていない。運悪く日程が重なったために、ツイッターはシステムのメインテナンスを行うために一晩サービスを停止することになっていた。米国国務省が割って入りその日程を延期するように求めたのだ(13)。ニューヨーク・タイムズ紙によると、この作戦は人々の間に反抗を広める効果を発揮した(14)。
(画像:ツイッターの書き込み)
http://www.voltairenet.org/IMG/jpg/tweet.jpg
【訳注:画像の下に書かれた説明:メッセージは殺すという脅迫、警察が家に押し入った、等々、書かれているが、その作者はどこの誰かも分からない。】
同時にまた新しいタイプの努力として、CIAが米国内と英国内の反イラン武装集団を動かし混乱状態を増大させようとしている。イランでの革命に至る具体的な実行ガイドが彼らに配られたが、それには多くの指示が含まれている。その中には、
▶ツイッター・アカウント・フィーズをテヘラン時間にセットせよ
▶次のツイッター・アカウントにメッセージを集中させよ。@stopAhmadi, #iranelection and #gr88
▶イラン国家の公式ウエッブサイトを攻撃してはならない。《それは米国軍が手掛けるものである》(ママ)
実行に移された場合、これらの命令はいかなるツイッターのメッセージも確認を不可能にさせる。それらがテヘランのデモの目撃者によって送られたものなのか、それともラングレイのCIAエージェントによるものなのかを知ることは不可能なのだ。そして本物と偽物を区別することも不可能である。目的は、混乱をどんどんと増大させ、イラン人を内戦状態に追い込むことなのだ。
世界中のどこでも将軍達はテヘランでの出来事をまじまじと追っている。彼らはこのイラン実験場での新たな政権転覆方法の効果を見極めようとしているのだ。不安定化のプロセスがはたらいたことは明らかである。しかしCIAが、ペンタゴンが実行を取りやめたこと、そしてまたイラン人自身が望んではいないことを、デモ参加者が行うように導くことができるのかどうかは明らかではない。それは、政権を交代させイスラム革命に終止符を打たせることである。
ティエリ・メイサン
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