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アナログ レコードの世界
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投稿者 中川隆 日時 2021 年 3 月 27 日 21:47:09: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: CD プレーヤーは進歩しているのか?  投稿者 中川隆 日時 2018 年 4 月 18 日 14:08:55)

アナログ レコードの世界


実況録音盤がぞくぞくと : GRFのある部屋 2021年 03月 26日
https://tannoy.exblog.jp/32204572/

実況録音盤がぞくぞくと

光カートリッジによってレコードの音質が飛躍的に高まり、今まで知っていたはずのレコードの音が見違えりました。特に驚いたのは、スタジオ録音では無く、リサイタルやショーをそのまま録音した実況録音盤の音です。実況録音盤でもっとも有名なのはハリー・ベラフォンテのカーネギーホールコンサートです。1959年の録音とは到底思えない素晴らしい音質と音場です。60年前のカーネギーホールにワープしたような素晴らしい録音ですね。

その伝統があるのか、RCAビクター社の実況録音盤は皆、素晴らしい音がします。会場での華やかな効果を狙って、鉄琴やチェレスタの音などが効果的に使われています。特に70年代の後半になると、録音機材の進歩もあって飛躍的に音質が高まります。

一方、実況録音盤を出せる歌手と言えば、劇場で自分の進化を表現できる一流の歌手の証です。歌い込んで、自分に自信があふれてこなければ、ライブの録音は出来ません。またショーは第一部、第二部と続きほぼ二時間自分だけで歌いきらなければなりません。その気迫がレコードに入ってくるからです。

越路吹雪やテレサ・テンの曲が歌謡ショーで
https://tannoy.exblog.jp/29776090/

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この一、二週間で到着した実況録音盤です。


その意味で、70年代はLPでの実況録音盤が作られた最後の時期です。80年台に入ると時代は急速にCDへと傾斜していきます。スタジオ機器もデジタル化されて、いま聴くとデジタル特有の音がしています。アナログ録音だった60年代から70年代の前半がその意味では、純粋な音がしています。それらの歌謡曲の歌手は、80年代以降の時代の変遷もあり、新譜の生産に追われていたCDでは、レコード盤のCD化は一部を除いてほとんどなされませんでした。

生産枚数もそれほどは多くありませんから、50年、半世紀!も経った今では、そのほとんどが失われています。またその頃人気のある若い歌手だと、レコードの聴かれすぎていて音が劣化している場合もあります。最近の中古レコードは、洗浄されている例が多く、見た目では盤質が解らなくなりました。運良く新品や新品同様品にあたれば嬉しいのですが、貴重の盤ほど傷が入っています。ジャケットは美しいのに、また買い直さなければならないLPもあります。もっとも、50年も経っている盤に品質を期待するのもおかしいのですが。

また、今は、在庫品一掃として同じ盤を10枚箱に入って送られてくる例もあります。高く売れない傷ついた盤やジャケットが黴びているような盤ばかりです。それでも、良いところをより集めてセットを組み直すと良い盤と、どうしようも無い盤に選別することも出来ます。廃品回収業をしている気持ちになりますが。レコード洗浄機を購入してから、収集は加速して一日数セット送られてきています。レコードは定形外なので、郵便が多いのですが、配達の人も呆れているでしょう!

到着したレコードは、まず超音波洗浄機でしっかりと洗います。通常は3分間だそうですが、一旦機械に掛けるとそのまま自動運転ですから、洗浄時間は最大の5分間に、乾燥時間は4分間に設定します。約10分間ですね。傍にいると騒音がうるさいですから、洗浄中はその場から離れます。戻ってくると終わっています。それをスリーブにしまい次のレコードをセットします。その繰り返しで、二枚組のレコードを一遍に五組程度洗います。

洗剤は使わず、RO水だけなので手間が掛かりません。チリチリパチパチはほとんど無くなりますが、傷が付いてしまっているレコードは勿論直りません。逆に前後の音が静かになるので、傷の部分になるとかえって気になります。逆に傷があって初めて自分はレコードを聴いているのだと解るぐらいです。

何度もお話ししますが、レコードに針を置いた音はしますが、斜めに滑っていく音はほとんどしません。音は無音の中からはじまります。ですから、実況録音盤の場合はまず会場の音が聞こえてきます。聴衆の応援する音や拍手、ステージ上のバンドの音、楽器の音だけでは無くステージ上のいろいろな音も、観客がしゃべっている声も、今までは会場の暗騒音として一緒になっていた様々な音が分離して聞こえるのです。歌手のマイクに吹き込まれる息の音。バンドリーダーが冒頭にイントロが終わったとき、歌手にはじまりを教える声、会場に響く司会者用のPAの音や、PAアンプの騒音。それが会場で録音しているときに聞こえてくるモニター用ヘッドフォンを聴いているように聞こえるのです。

録音している媒体の音が聞こえるのでは無く、その場所で鳴っている音が、音楽が聞こえてくるのです。74年、76年、77年、79年と録音時期が違うレコードもありますが、この間の録音機器類の進歩や、調整技術の差が、はっきりと聞こえてきます。会場のPAの設定と、レコード会社の録音技師の差、同じ指揮者でも二年間違うと、演奏や効果が随分と向上します。そういう、舞台裏の事情も音として聞こえてくるのです。

この音は、どなたが聴いても驚かれるでしょう!
https://tannoy.exblog.jp/32204572/  

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コメント
1. 中川隆[-6286] koaQ7Jey 2021年3月27日 21:52:48 : bzxszX9qUI : SmlwSVF5LncyM3c=[41] 報告
久しぶりのH氏邸で! : GRFのある部屋 2021年 03月 02日
https://tannoy.exblog.jp/32168465/

久しぶりのH氏邸で!
最後の「のびーさん」には、隣の部屋の80/TW3だけの奥行きのある音場を構成している様子を聞いていただき、ロンドンに戻ったときの調整の参考にしていただきました。

二人で家を出たのは、四時半を回っていました。環七を江北橋まで走り、高速に乗って東北道を北上します。ところどころに大きな赤い字で災害通行止めという表示がありました。足利の山火事での通行止めですね。この道を通ってHさんの別邸に向かうのも、11月以来三ヶ月ぶりです。あのときの、是枝さんのアンプが三台並び、後方のウーファーからの実体感がある音を聞いたのが、今回のTW5へ進化した音のきっかけでした。最後にのびーさんが訪れたのは、一昨年の12月ですから、この一年間の出来事はタイムマシーンで瞬間移動している感じで、時が止まったようです。

でも、久しぶりのH氏邸の進化は、とどまることを知りません。早速、三ヶ月ぶりの音を聞かせていただきました。先月の地震の影響もなく、位置はぴったりと合っていました。しっかりとした床構造と一階だからですね。位置の確認を終えて、今日の目玉を早速聴かせていただきました。それは、EMTの927に装着された光カートリッジのDS Grand Masterです。イコラーザーは、マイトナーがこのカートリッジに惚れ込んで、自分用に作ったと言われるemmの専用イコライザーを通しています。

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光カートリッジというと、レーザー光線で、溝の振幅を読み込むタイプかと思われる方も多いでしょうが、DSオーディオのカートリッジは、形状も針も全て従来通りですが、信号の取り出し方が、従来の磁気回路ではなく光で、針に取り付けた薄い膜が光を遮ることで違いをも読み取るという極めてオーソドックスな方式で構成されています。すなわち、デジタル技術はどこにも使われていない、純粋なアナログ機器だと言うことです。

しかし、出てくる音は、まったく今までの常識や経験を超えた音です。事前にこの音を聞いた先日来られたSさんからも音の不思議さ、特に何も余分な音がしないSNの良さ、静粛さに驚かされます。磁気回路特有の微かなハムやノイズが全くないし、第一レコードをこすっている、レコードの材質に起因する摩擦音みたいなレコード特有の音がしないのです。38/2トラテープからヒスを除いた、DATの様な音が近いでしょうか?そして、H氏邸では当然それが三次元の音として鳴るわけです。

驚きました!

何だ!これは?と言うのが偽らざる第一声ですね。針がレコードを摩擦して出している音ではありません。ヒスがないテープのような音です。物理的な作用で音が出ているのではなく、reel to reel tapeや、現代のデジタル録音を聞いている感覚です。そして38/2トラ特有の余裕のある低域が聞こえてくるのです。低音の出方がレコードではなくテープの音なのです。レコードからどうしてこの様な音が?と言うのが最初の感覚、そして、沢山のなぜが浮かんできました。Hさん見たくテープファンでないと、この音には行かないかもしれませんが、私も同感でした。

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https://tannoy.exblog.jp/iv/detail/?s=32168465&i=202103%2F01%2F99%2Ff0108399_10383133.jpg

大山さんも加わり、他のレコードを聴きました。事前に聞くレコードを超音波装置でしっかり洗っておくことが大事ですが、スクラッチノイズは音楽とは別の次元で鳴りますから、さほど気になりませんが、きれいに洗ったレコードの驚異的な静けさが一番印象的でした。

帰り道、のびーさんと感想を話しながら戻ってきましたが、まずこのカートリッジの構造や使い方を学ばなければと思いました。

すると、いろいろなことが解ってきたのです・・・。

Commented by ニッキー at 2021-03-02 21:28 x
GRFさんこんばんは。私が使っているソウルノートのE-2も光カートリッジと普通のカートリッジの両対応のフォノイコです。
今年の年末までには私も光カートリッジを購入しようと思っております。
さすがに最上位の光カートリッジでなく20万円ほどのモデルですが、
機会があれば是非こちらにもご足労ください。

Commented by TANNOY-GRF at 2021-03-03 04:52
ニッキーさん コメントありがとうございます。光カートリッジ用のイコライザーを内蔵しているソウルノートをお使いなんですね。

私も光カートリッジに出会ったばかりで、その音に驚いている最中です。最初に出会ったのが最高級品だったので最初から敷居は高いのですが、音の出方が従来のレコードとはまったく違うので、急遽勉強中です。

Germanのユニットを使った三次元再生は、とても良い結果が出ています。外出できる環境になりましたら、ぜひまた遊びに来て下さい。

Commented by のびー at 2021-03-04 14:28 x
GRFさん、こんにちは。

まず、あれはMaster1ではなく新製品でフラッグシップのGrand Masterです。

DSオーディオのカートリッジはあちこちで何度か聴いたことがあります。ミュンヘンのHigh-Endでも幾つのブースで聴きました。
それでもこのGrand Masterの音は間違いなく別格でした。
これは927の威力か、EMMの魅力か、多分それらとの相乗効果も大きいと思いますが、カートリッジも別格なのでしょう。

やはり低域の表情が慣れ親しんだレコード再生と違いました。特有の強調感がなくてフラットでストレスフリーです。
あのスクラッチ・ノイズの無さ(あるのでしょうが耳につかない)も含めて、従来のアナログとは相当違います。
確かにテープの音ですね。モニター的な音と感じる人もいるのはないでしょうか?

この音を聴いて、GRFさんが、光カートリッジにどう向き合われるのか、非常に楽しみです。

Commented by TANNOY-GRF at 2021-03-04 16:25
のびーさん ありがとうございます。はじめて聴いたので、製品名も何もかも疎くてすみません。早速直しておきますね。

しかし、テープのようなレコードの音には驚きました。今まで「レコード」の音に慣れ親しんで来た方には、少し抵抗は有るとは思いますが、テープの音を知っている人には、驚き以外の何者でもありませんね。

アンプが作れる方は、イコライザーは自作されれば、コスト的にも手に入りやすいですね。
https://tannoy.exblog.jp/32168465/

2. 2021年3月27日 21:54:39 : bzxszX9qUI : SmlwSVF5LncyM3c=[42] 報告
2021年 03月 03日
光カートリッジの開発の背景
https://tannoy.exblog.jp/32170988/


家に戻ってくると、早速この光カートリッジの仕組みを調べてみました。まずこのカートリッジを開発したDSオーディオという会社の背景に驚きました。親会社のデジタル・ストリームという会社は、マイクロソフトと一緒に、ゲーム用のジョイスティックを開発したのです。その後、私も使っている光学マウスを開発しています。

これはNHKの国際番組用に製作されたデジタル・ストリーム社の紹介ビデオです。30分にわたり、詳細に説明されています。光を使った様々なデバイスが開発されそれぞれの分野で活躍しています。その背景があって、光技術を応用したカートリッジを開発したのでした。

J TECH (Digital Stream Corporation)




光カートリッジと言えば、40年ほど前にいろいろな会社から発売されていました。それらは、評判は取ったモノ、CDの出現や寿命の問題で姿を消していったのです。今回、そこをどう解決したのか、このインタビュー記事が詳しく説明しています。そのインタビューの中で、展示会でデモする度に訊かれるのは、この光カートリッジはどのようにデジタルを使っているのかと言うことです。

このカートリッジは、どこにもデジタル技術は使っていない純粋なアナログ機器だと言うことを理解してもらうのが最初だそうです。先進的なデジタル技術を開発してきたデジタル・ストリーム社の子会社、文字通りデジタル・ストリーム社の代表の息子さんが作った会社でもありますから、デジタル技術を使っているに違いないと思われるのでしょうね。

そして、このインタビューの中でも語られていますが、初めてこの音を聞いた人たちの印象は私と同じで、これは従来からのレコードの音ではなく、38/2トラかDATのテープの音だと思いました。また、デジタルになる前のアナログ時代のハイビジョンだと思いました。ブラウン管でみた長野オリンピックの映像を思い出しました。低音の安定感、サウンドステージの出方、圧倒的なS/N比の良さに驚くのです。

このインタビュー記事の中で、DSオーディオの青柳社長が、どのようにして光カートリッジを開発するにあたったか、東芝製の光カートリッジを使い続けている人の音に出会ったからと書かれています。世の中には、この様な偶然、そして、必然が沢山あるし、カートリッジを作り続けたベテランの技術者が、この若者の意思をくんで、技術を教えてくれたのが、この製品に結実していますね。

開発がはじまったのが7年以上前で、最初の製品が現れてからもう五年も経っていますが、最近の事情に疎い私は、CDやSACD、そしてオープンリールからDSDに変換したソースを使って、三次元のサウンドの再現を目指していたので、S/N比が悪く、低域の再現も薄いレコードは、初版のオリジナルLPを聴くときや、CD化されていない昔の歌謡曲の実況録音盤を聴く以外では、ほとんど情報を更新していませんでした。

一番最近でも、2017年頃に導入したMolaMolaの20Hzまで延びるRIAAのイコライザーで、テープ的なサウンドが聴けたので、その段階から、レコードはほとんど進んでいませんでした。この四年間、レコード関係の情報には疎かったのです。どこかで光カートリッジの話は見たでしょうが、記憶に残らないのは、関心が無かったからです。しかし、今回、H氏邸で最高級グレードのGrand Masterの音を聞いて驚きました。

さて、問題はここからです・・・。

https://tannoy.exblog.jp/32170988/
3. 2021年3月27日 21:57:48 : bzxszX9qUI : SmlwSVF5LncyM3c=[43] 報告
2021年 03月 04日
光カートリッジの楽しみ
https://tannoy.exblog.jp/32171919/

私のプレーヤーは、もう二十年の回しっぱなしのAcoustic Signatureと言う糸ドライブに改造したターンテーブルに、SMEのシリーズ5を2本使っています。両方ともBenz MicroのLPシリーズです。Benzマイクロのカートリッジは、Rubyが初めて日本に紹介されたときから30年近く使っています。それまで使っていたOrtofon SPUシリーズからの大変換でした。理由は静けさと立体感、広帯域、低歪みです。そして、SMEシリーズ5との組み合わせでは、針圧とインサイドフォースキャンセラーが0.01gの単位で調整出来るのです。その差を出すのと出きないでは決定的な違いが生まれます。調整をしないのは、SPの位置の1ミリの差の大きさを理解していないのと同じだからです。

アームの取り付け
https://tannoy.exblog.jp/12104393/

0.01gの調整
https://tannoy.exblog.jp/14688792/


そのチューニングへのこだわりこそが、オーディオの醍醐味ですね。勿論人によってこだわる点が違うでしょうが、こだわりのポイントは間違えると、無限の隙間に落ちていきます。オーディオでは何をしても音が変わります。良い方向に行きたいからいろいろ改善を図るのです。何かを変えると良い音になると信じているので、積極的に音が良くなる方法を探します。そして、決断をして「改善」を行います。何を変えても音は変わりますが、良くなると信じて行うわけですから、変われば良くなったと思いたいし、思うのです。音は必ず変わりますが、それが良い方向になったかどうかは、五分五分なのですが。

情報を集め、他の人の意見を聞いて、でも実際には音は聴けず情報だけで決断するのです。何か変わったモノが出ると、すぐに飛びつき競って導入をはかります。そして、それにより変わった音は良い音だと思い込むのです。費用を払って行った自分の決断を、自分で疑うのはつらいことですから、どんどん、もとの道から離れていくのです。

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何か変化を試みたら、必ず元との冷静な比較が必要です。道を間違えたら引き返すのが大切です。間違った方向から、また違う方向に舵を取ると、もとの道には戻れなくなります。AをBにしたら、一旦、BをAに戻して違いを再確認してみなければなりません。費用を払ったのに、また元に戻すのはつらい決断です。そして、元に戻したときすぐには結論出さず、2、3日は様子を見るのが大切です。ブラインドテストをすると、ほとんどの場合五分五分になると言われています。

何かをすれば必ず音は「変わり」ます。よく変わったのか、ただ違っただけなのか?やはり失敗を重ねないとなかなか判断をつきませんが、基本は、元に戻して再確認をすることが大事です。そして、変化のための変化ではなく、何年か費用を貯めてどこかで決断をして、一段も二段も上の機器を導入することです。何時もお伝えしてるトントンコツコツを繰り返し、現状の組み合わせで、お金を掛けずに一番よく鳴る音を探すことです。

機器類は、やはり掛ける費用に見合って音は変わります。何年経っても、何十年経っても良い物は良いのです。それらは長く使える物によく見られます。熱が発生して経年変化があるアンプ類や、部品が消耗する可動部分が多い機器は定期的なメンテナンスは必要ですが、スピーカーだとかプレーヤーなどは、数十年経っても使えている例が多いのです。家の機器でも10年物は当たり前で、CDプレーヤーも、レコードプレーヤーも皆、20年以上経っています。スピーカーは二十年、三十年は当たり前です。中には40年50年と使い込んできた機器が沢山あります。

現在も毎日使っているケーブルは、香港返還前に行って購入してきた物だし、毎日回し放しのターンテーブルも二十年選手です。ついこの間買ったばかりと思っていても、四、五年経っているのはざらです。そうすると10年に一度ぐらい、革命と思えるような製品に巡り会えます。私の場合は、Germanのユニットだったり、SD05だったり、30年前には工藤さんのCD34改だったりします。それらに共通しているのは、中途半端で妥協するのではなく、とことん詰めている製品です。

大量生産をして徹底したコストダウンがはかれるような商品の対極にいる高価だけど本当に価値のある物を選んでいくことが大事です。私の経験では、どの場合もそのメーカーの最上級品は、妥協無く作られているのです。売れ筋は、その技術を使った2番目、3番目の商品でしょうが、それはそのメーカーでもオリジナルではなく自社の製品のコピーなのです。勿論、常に一番高い物がコストパフォーマンスが良いとは限りません。適材適所という言葉もありますが、手に入れるならやはりそのメーカーの命運をかけたフラッグシップに挑戦した物です。

今回のDSカートリッジも、出来ればグランドマスターに挑戦してみたいのですが、そこに至る前に開発の段階も踏んでいろいろ聴いてみたと思いました。試聴機の貸し出しは人気なので、時間がかかるようですが、実際に自分の家で試してみたと思います。先週聴いたH氏邸はフラグシップ機でした。技術を積み重ねて、どんどんと性能を上げているそうです。その差も聴いてみたいですね。その音を聴きに、今週末もお伺いして聴いてこようと思っています。

https://tannoy.exblog.jp/32171919/

4. 2021年3月27日 21:59:23 : bzxszX9qUI : SmlwSVF5LncyM3c=[44] 報告
2021年 03月 06日
光カートリッジの勉強
https://tannoy.exblog.jp/32175383/


先日のHさんのお宅でのサプライズから突然、私が騒ぎはじめたので、皆さんから何年もずれていると笑われています。でも、知ったときが初めての出会いです。いくら側をすれ違っていても縁が無ければ出会えません。今回は、Hさんが私のためにびっくり箱を準備してくれていたそうです。たまには、私を驚かせたいと、回りの人には、箝口令が敷かれていたそうです(爆)。

本当に驚きました。

でも、知らないことに出会うよろこびは何物にも代えられませんね。その驚きが大きければ大きいほど、子供のように「何故」が膨らみ、いっぱいになります。

早速いろいろと情報収集です。私の周りにも、何故私がやらないのだろうと訝っていた人と、GRFさんは三次元音の再生を目指し、無指向性のSPシステムの開発に忙しく、レコードは少し違うかな?と遠慮されていたそうです。

早速、光カートリッジを使っている知人から連絡があり、Master1の光カートリッジとW1イコライザー(製造完了品)を貸していただきました。SMEへの取り付けには慎重を要します。細かな調整次第で音は変わると思われます。楽しみですね。


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また、夜香さんからは、光カートリッジのことは何回もMIXIで公開していると、お叱りのお言葉をいただきました(爆)。人は興味ある物しか観ない物だと今更のように実感したのです。夜香さんは、いろいろお聴きになって実に的確な批評をされていました。

目のさめるような音が飛び出してきた!SNが非常に良いためにLP再生ではなくハイレゾファイル再生のような質感がある。情報量も非常に多く、音場感も広大。ワイドレンジでナチュラルな音は光悦に匹敵、あるいは凌駕するほど。

素晴らしい音であることを前提に、この音には不思議な違和感が伴う。これ以外のどんなカートリッジであっても、明らかに今自分はLPを聴いているという感覚になるのだが、このカートリッジはそういうLPを聴いている感が非常に希薄なのである。みっちりした密度感があるので、デジタル再生とも少し違う。いままで聴いたことのない音というのが正しい。

これはもしかしたら、従来のカートリッジに必ず存在するであろう磁気歪が根源的にゼロであることによる違和感なのではないかと感じている。歪がないことが違和感になるというのもおかしなものであるが、針が溝を引っ掻いているというゾリゾリ感のようなものがLP再生にはつきまとうと思うのだが、このカートリッジにはそれがない。空芯型のMC型カートリッジは確かに鉄心型に比べて、このゾリゾリ感が薄く感じられる。DSにはもっと徹底していてゾリゾリ感がない。これを魅力と感じるか違和感と感じるかで、このカートリッジの評価は大きく変わるのではないかと感じた。

この記事をいつか書かれたのか、膨大な記事を順番に見直しながら探してみました。カートリッジの比較の記事や新型プレーヤーの試聴記事の中にあったようです。最近は、テープのDSD化に忙しく、加えてこの数年は、眼前のDDDユニットに依る三次元サウンドの実験に明け暮れていたからでしょう。私の知らないところで、重大な事が進行していたのです。

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再度、音の確認にH氏邸に聴きに行く事になりました。こんどは冷静に聞けるのではないかと思います。Hさんが懇意にされている販売店KのAさんが、的確にEMT997にセッティングされているので、プレーヤー環境は言うことありません。997アームと927プレーヤーの重量感も音に加わります。

家のオーディオルームの構造を完璧に再現した専用ルームに、三次元の音場を出す大山さん渾身のTW2改とTW3のウーファーと特注したTroubadour 80の組み合わせ。この装置に合わせて製作された是枝さんの超弩級アンプ類・・・最新型カートリッジの性能を聞くにはこれ以上の環境は滅多にありませんね(笑)。

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Commented by 夜香 at 2021-03-08 00:24 x
文中の光カートリッジの感想はDS-002のペアを聴いたときの感想です。イマイチのように受け取られるかもしれませんが、そうではありません。あきらかにこれまでの磁気回路をもつカートリッジとは音の成り立ちが違うということを読み取っていただければ(笑)ちなみに、上位機種のDS-W2、Mater1も試したことがありますが、これらはDS002とは比較にならないくらい素晴らしい音質でした。で、Grand Masterになると・・・


Commented by TANNOY-GRF at 2021-03-08 04:02
夜香さん 補足説明をありがとうございます(笑)。

>ちなみに、上位機種のDS-W2、Mater1も試したことがありますが、これらはDS002とは比較にならないくらい素晴らしい音質でした。で、Grand Masterになると・・・

現在、自宅ではお借りした第二世代の最高級器Master1を調整しています。常用のBenz Micro LP-Sには、低域で圧勝ですが、高域の堅さが幾分感じるところもあります。

しかし、第三世代のGrand Masterになると・・・

https://tannoy.exblog.jp/32175383/

5. 2021年3月27日 22:01:17 : bzxszX9qUI : SmlwSVF5LncyM3c=[45] 報告
2021年 03月 07日
DS Master 1 の調整
https://tannoy.exblog.jp/32177230/

先週H氏の別邸訪れて、サプライズの光カートリッジを聴かせていただき、その音に驚いて一週間バタバタと過ごしてきましたが、金曜日には知人からMaster1と旧型の専用イコライザーをお借りして、家でも聴けるようになりました。その後も、前からの予定が入っており夜中まで動いていましたが、土曜日の午前中、SMEのアームの微調整を行い細部を追い込んでみました。SMEのシリーズ5は中型重量のアームなのと針圧の付加はダイナミック型なので、レコードの高さにより、またアームの高さにより微妙に針圧は変化します。

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金曜日は時間も無かったのでそのあたりはアバウトだったので、専用の針圧計を持出し針圧を測ってみます。Master1の適正針圧は1.3〜1.7gで、推奨は中間の1.5gだそうです。昨日は1.7gぐらいに設定していたのですが、今日は推奨針圧の1.5gに調整してみました。アームの根元も1mm下げて、合わせてオーバーハングも最調整しました。SMEのシリーズ5はその追い込みが細かく出来て安心できます。もっとも、カートリッジを貸してくれた知人によると、たまにはアームのオーバーホールを行い、各部の動きをスムーズにしなければならないそうです。しばらく使っていなかった方のアームなので、確かに各部の動きがまだ渋いようです。そのあたりは使ってくれば少しづつ良くなるでしょう。

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1.5gに設定して、何時もの越路吹雪を聴くと大分重心が下がり、音のまとまりが落ち着いてきました。相変わらず、低音の再生は特筆すべき物がありますが、同時に聞き比べできるBenzMicroに対しては、高域が少しきつい気がします。先日聴いたGrand Masteは全くそういう点は感じられなかったので、やはりそこが相違点なのでしょう。第二世代のMaster1と第三世代のGrand Masterでは、カンチレバー自体や発電する受光体も光の遮蔽板も左右専用になり、チャンネルセパレーションや振動帯の重さ、受光方法も変わったので音に違いが随分とあるようです。一番大きな差は、出力の差ですね。40mvが70mvになったそうです。その分S/Nが良くなったのですね。

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DS オーディオのFacebookから
https://tannoy.exblog.jp/iv/detail/?s=32177230&i=202103%2F08%2F99%2Ff0108399_13261860.jpg


その違いを確かめるためにも、前世代の音もじっくりと聞き込まなければなりません。この音をしっかり聞いて、またHさんのGrand Masterを聞いてみようと思います。
https://tannoy.exblog.jp/32177230/

6. 2021年3月27日 22:02:23 : bzxszX9qUI : SmlwSVF5LncyM3c=[46] 報告
2021年 03月 08日
忙しかったこの週末
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緊急事態での自粛期間が延長されて、街からは本当に人が消えています。夜八時を過ぎれば、お店の看板も消えて、中にはまだ食事中の少ないお客さんが残っているだけです。金曜日の夜、トロバドール40をお使いのSさんのお宅に大山さんとお伺いした帰りは八時を丁度回った頃でした。おなかが減っている所為か、飲食店の灯りが消えているお店が多いのに驚きました。隅田川の側のSさんの音楽室からは、靖国通りをまっすぐに戻ってくればいいのです。距離は15キロもないので、田舎だったら15分ぐらいで着く距離ですが、以前は都心の真ん中を通ってくる道路なので時間がかかりました。小一時間はかかっていたでしょう。ところが、今はガラガラの道路なので、30分も掛からず戻って来れました。金曜日の夜なのに、都心はガラガラです。

翌日は、午後お客さんが来られるので、午前中にカートリッジの調整を行っていたのは、昨日書いたとおりです。この時期ですから、来客は極力避けているのですが、マスク着用、定員は一名、定期的な換気、熱いお茶はでますが、お茶菓子も無し、時間は二時間以内を厳守してお受けしています。来られる方も、体調は気遣いされていますから、換気と距離を確保できればリスクは随分減ると思うのです。

今回は、12月に来られたK&Kさんのご紹介の方で、同じ区内なので人混みを避けて自転車でこられました。音場再生を追求されているのですが、私とは違うマルチチャンネルを展開されています。きわめて研究熱心な方で、部屋に入るなり、断りを入れてパンパンと手を叩きます。床も叩き、壁も叩き、矢継ぎ早に質問が来ます。好奇心がいっぱいの少年みたい方です。私も昔はそうでしたから嬉しくなりました。オーディオをはじめてそんなに間がないので、全てがフレッシュなのでしょうね。一通り、部屋の構造をご説明してから、丁度実験中だった光カートリッジの音を接続を戻す前に聴いていただきました。初めての家の初めての音出しですから、何が違うのか解らないでしょうが、ノイズが少ないのは感じられ様です。

結線も戻す途中で、先にウーファーだけの音を聴いていただきました。50Hz以下ですから、音はほとんど聞こえません。それに、前のスピーカーを鳴らして、聴いていただき、逆にウーファーを切った音の差も確認していただきました。それから、アンビエンスを出す、後方の40を足して今日の目的の音を聴いていただいたわけです。家の音は、コンサートホールでオーケストラを聴く様に調整していますので、反対のアプローチだと思います。

一通り駆け足で聴いていただいたきました。いつもよりは、オーディオ的な会でしたが、ある程度は音楽も鳴らせたと思います。オーディオにはいろいろアプローチがあると言うことを知っていただき、面白かったと思います。ぴったり、二時間で会は終了して、私は次の準備に掛かりました。

今日は、5時半集合で、横浜のMさんや夜香さんと昨日も一緒だった大山さんもHさんの隠れ家に集合して、光カートリッジを聴きまくる会です。忘れ物をしないように一休みしてから準備に掛かりました。何時も準備をしても何か忘れていくのが、老人力の楽しさです。今回も、忘れないように玄関に置いてあった肝心な箱を忘れそうになりました。

夕方ですから、道は人出が多くなってきました。自転車に気をつけながら、環七から何時もの首都高、東北道と走りました。土曜日の所為か、環七の工事の所為か少しだけ時間が押してきました。岩槻を過ぎる頃、路肩に止まって、非常電話で救援を頼んでいる人を見て、故障があると大変だなあ〜と、結構混んでいる東北道を北上していました。すると、インターをでるところで、メールが入りました。すると、なんと横浜のMさんの車がパンクして、救援を待っているところだと!えっ!さっきみた故障車はMさんだったのだと驚きました。逆光だったのでお顔までは見えなかったのです。もっとも、判っても高速に止めるわけにはいかないので仕方ないのですが。

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先に着いていた大山さんと夜香さんに連絡を入れた頃には、私も到着するところでした。HさんもMさんが来れなくなったのを聴いて残念がっていました。早速、持参したレコードの洗浄から入ります。そんなこともあろうと、新品のレコードも持ってきたのですが、新品でも洗うとやはり音が変わるそうです。最近は中古を買うと洗浄サービスをするお店も増えてきましたね。この光カートリッジは、このレコード洗浄をすると、本当にノイズは何も聞こえなくなります。カートリッジからの出力が大きいのと、イコライザーで従来とは反対に低音を下げているからです。結果として、ターンテーブルに起因しているゴロやレコードの擦過音などが消えて静かになるのです。超低域の再現や位相が合っていますから、テープファンの琴線をくすぐる音です。


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私は歌謡曲はライブではなく実況録音盤と言う表現が好きです。いかにも会場で収録した感じが出てきます。今回も79年録音の越路吹雪、八代亜紀の実況録音盤から入りました。そして76年のテレサ・テン、77年のハイティンク・コンセルヘボウのブラームスのセレナード、とっておきは、76年のシュトライヒアーのコントラバス協奏曲です。CD出現前のアナログ盤の最高峰です。これには、皆さん驚かれました。みなさんからこうしたレコードをどうやって発見するのだと言われました。勿論、長年の経験の蓄積ですが、探していると何故かアンテナに引っかかる盤もあるのです(笑)。


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夜香さんも何枚かお持ちになりました。その中で驚かされたのは、デーブ・グルーシンの「Discovered Again!」と言うアルバムです。ダイレクトカッティングで、テープも介せず直接レコードにカッティングした盤です。H氏邸の音の真価が現れた演奏でその立体感とスムーズ感には私自身心底驚きました。

Mさんに電話して様子をうかがうとちょうどレッカー車で横浜の工場までひっぱてきたところだそうです。本当に大変でした。Mさんにこちらは大変盛り上がっているけど、どのようなレコードを持ってこられたかお聞きすると、カウント・べーシーのビッグバンドだったそうです。

大変盛り上がった会は、レコード洗浄工程もあったので思ったより時間を取り、九時半過ぎに終わりました。私が家に着いたのは11時少し前になっていました。長い1日でさすがに疲れました。明日は、終日寝ていようと思いました(笑)。
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7. 2021年3月27日 22:05:14 : bzxszX9qUI : SmlwSVF5LncyM3c=[47] 報告
2021年 03月 10日
遂にGRFを鳴らしました
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光カートリッジは、アームの調整、針圧の設定、オーバーハングの微調整などを繰り返し、またしばらく使っていなかった針のエージングも進んだせいか、音がなじんできました。すると、好奇心が持ち上がり、久しぶりに後方で寝ているGRFに結線をして音を鳴らしてみました。GRFの音が出るのは久しぶりです。一瞬、エンジンが掛かったのに驚いたのか、眠い音を出しましたが、すぐに目覚めてきました。位置はぴったり合っています。

すると、ならしていた八代亜紀の実況録音盤が、音がSP間に集中して今までのBenzMicroで聞き慣れた音とは、まったく違う音になりました。思わず、MolaMolaのプリの設定を確認したほどです。今までの音は、45度で内向きになっているGRFの特徴なのでしょうが、その内向きが交差するポイントの内側では、右、左、中央の3つのポイントに分かれて聞こえていました。そして音が交差するポイントの外側では、交差法のセオリー通り、音が前に飛びだしてくるのです。

ところが、光カートリッジだと、その交差ポイントの内側でも見事にステージが横に展開しています。でもその音は、聞き慣れた交差法の前に飛びだしてくる音ではなく、バランス良く奥行き感ありながら、きれいに並んでいるのです。位相の問題かと思い、ステレオのまま位相を反転したり、片側ずつ位相を変えたりいろいろやってみました。低音は豊かで、定位もきれいに並んでいます。でも、今までに聴いたことのない音です。

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そのまま、80/TW3+40+TW5の三点セットに戻してみました。するとそれは見事な奥行きを伴ったステージが展開しています。きれいに洗ってある盤なので、雑音がまったくせず、到底レコードの音とは、思えないハイレゾの世界です。で、もう一回、GRFに戻しました。すると、前回よりは音の切れ味が戻ってきましたが、低音のバランスが強いのだと気がつきました。現状では上下の音のバランスはSD05に繋がっているTW5のウーファーしか出来ません。この現象には既視感があります。

でも、もう深夜になります。金曜日、土曜日のダブルヘッダーの疲れが出てきたようです。老人力がつくと、疲れは翌々日ぐらいに表れることです。このつづきは、明日の課題にしました。

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午前中の用事を早めに済まし、お昼の時間を使って再調整を行いました。今日の実験は簡単です。既視感があったというのは、SD05が来たときに最初にGRFをならしたときの音を思い出したからです。早速、現状ではSD05はTW5のウーファーに繋がっています。そのSPケーブルをGRFに直接繋ぎました。これで、カートリッジからイコライザーへ、そしてMolaMolaプリからアナログでSD05へと繋がりました。まだこの段階ではSD05はアナログ入力のパワーアンプとしてなっています。

6336Bの真空管アンプは、トラバドールのシステム用にインピーダンスを合わせてあるので、タンノイには低音過多になります。それを整合させるためにこのブログの出発点となったSD05+GRFの組み合わせに戻ったのです。

すると、低音過多の傾向がなくなり、2006年にこのブログを始めたあの時の音が戻ってきたのです。あのときは、CDでMS-1改→SD05→GRFでした。今日は、レコードを光カートリッジ・イコライザー→MolaMola→SD05(パワーアンプ)→GRFです。あのときは、石田さんがMS-1のCDプレーヤーをトランスポートにの改造したデジタル出力をSD05に入れていました。

今は、BenzMicroとの比較のために、MolaMolaのイコライザーとプリアンプを使って聴いています。スイッチ1つできりかわり音の特徴を聞き比べることが出来ました。パワー部分がSD05に変わると、GRFの音ががらりと変わります。

これがGRFの音?
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その音を聞いてから、それならばと、光カートリッジのイコライザーからMolaMolaを通さないで、直接SD05に入れて見ました。

・・・・・・・!

このブログを書き始めたきっかけのあの音が遙かに成長して戻ってきたのです。光カートリッジに変えて、二回目のびっくりです。聞き慣れたレコードですが、細部までしかり出てきます。実況録音盤だと観客の話し声もしっかりと伝わってきます。ステージ上の楽器の配置もはっきりと解ります。このあたりは、マイク数が少なかった昔の録音だからですね。だからといって、MenzMicro LP-Sが悪いのではありません。2本アームにしておいて良かったと思いました。反対にLP-Sの素晴らしさを再認識しています。

異次元の体験!?
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夕方、待ちきれずに再度、違うレコードを聴き直しました。何十年も聴いているレコードなのに、初めて聞ける音がいろいろしてSPのあいだに立ち尽くしました。
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8. 2021年3月27日 22:07:06 : bzxszX9qUI : SmlwSVF5LncyM3c=[48] 報告
2021年 03月 12日
レコードでGRFが鳴る部屋
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このブログを始めるきっかけは、CD時代になって徐々に出番を失っていたGRFがSD05とシンプルなトランスポートのMS-1改だけのシンプルな装置で、旧いシステムのGRFから予想も付かなかった音が出たことがきっかけでした。2006年のことですからもう15年も前のことになります。GRFで聴くCDの音に驚きました。

これがGRFの音?
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その時以来のGRFによる驚きの音楽が流れています。GRFでならすのは、最近はレコードだけで、クラシック音楽の他には、昔の歌謡曲の実況録音盤です。それらの実況録音盤の多くは、CDになっていません。皆、70年代の録音です。40〜50年も前のレコードですね。その頃、二時間近くの演奏会を唄いきるには、やはり相当な実力を必要とします。一流の歌手だけがリサイタルを開けたのでした。それらの本物の歌手達の演奏が聴けるのが実況録音盤なのです。越路吹雪や八代亜紀、都はるみ、森進一やクールファイブなど良い演奏が目白押しです。

私が気に入っているのは、バックの演奏陣の名人芸です。各リサイタルを陰から支える伴奏のオーケストラ、編曲者自らが指揮を取ることも多いですが、皆本物の音楽のライブ演奏です。昔は、マイク数も少なく、演奏が本物のステレオで取れています。歌手自身は1本のマイクですからモノラル録音ですが、それに会場の残響やエコーの付加が加わります。その仕組みは時代によって変わりますが、シンプルな方が聴いていて楽しいです。

今回の光カートリッジで聴くと、バックグラウンドノイズがほとんど無く、会場のいろいろな音が聞こえてきます。観客の話声さえよく聞こえてきます。SPに近づいていると自分がステージの上にいるように感じます。楽器の位置さえ場所を限定できます。歌手以外はステレオ録音ですから会場の雰囲気が伝わり聴いていて楽しいですね。レコード(記録)という名のタイムマシンですね。

一方、クラシックレコードは、録音会場の響きが伝わってきます。何時ものコンセルトヘボウの聞き慣れた響きも違って聞こえます。歌謡曲の実況録音盤とは違いホール自体の響きを収録されているのが解ります。ホールに広がる響きは、GRFを置いて回りの壁がなくなりコンサートホールに繋がっています。PHILIPSのレコード特有のやさしい響きに、ハイティンクのクレッシェンドが加わり、広大なダイナミックレンジを伴ったオーケストラが出現します。光カートリッジの不思議は、この様な時も音は混濁せず、テープをプレイバックしているように安心して聴けることです、

久しぶりにクーベリック・バイエルン響でスメタナの「我が祖国」の名演を聴いてみました。CD出現後にデジタル録音された演奏をDMMのカッティングで音を刻んであるOrfeoの名盤です。第一曲「高い塔」冒頭のハープの音がきれいですね。音が天井から降ってきます。このS/N比の高いディスクもまったく雑音無く聞こえるのは初めての経験です。レコードが鳴っているときは、微かにレコード盤自体と擦っている擦過音が聞こえる物ですが、通常の音量では、そのレコード特有の音が聞こえないのです。低音の迫力やオーケストラのスケールは38/2トラのような音ですが、テープヒスは聞こえません。不思議な感覚です。

アラウのドビュッシーのプレリュードを掛けてみました。この盤を聴くのは二十年ぶりぐらいです。クリーニングしていない盤だったので、めずらしくレコードからパチパチノイズが聞こえます。ところがそのスクラッチノイズの音が軽いのです。バチバチではなくフチフチという風に聞こえます。一旦針を上げて軽く掃除をします。大分埃がなくなりました。このカートリッジを楽しむためには、事前のレコードクリーニングが欠かせないですね。針音がしないレコードは、レコードとは思えない音に変わるからです。

カラヤンの第九のリハーサル盤も出してきました。第四楽章の冒頭を繰り返し演奏しています。カラヤン独特のダミ声がイエスキリスト教会の空間に響いていきます。コントラバスは深い音ですが、オーケストラ全体は普段より軽快にこの盤が鳴ります。磁気回路がないとこの様な響きになるのでしょうか。教会の天井の高い空間に音が登っていきます。この高さ方向への音の上昇もとても不思議ですね。

長い間、寝ていたレコード棚の中のレコードが自分たちの出番が来たと喜んでいます。ほとんどのレコードがCD出現前の物ですから、もう、40年近くも寝ていたレコードもあります。私は、レコード会社ごとに整理をしています。黄色のDGGや赤いEMI、白い英Columbia、青いTELDEC,、緑のERATOなど、老人力が付いてもそのロケーションはほとんど把握しています。探せば、必ず一回でつかめる20枚ぐらいの中に目指すレコードはあるのです。レコードマニアの人たちは、皆そうでしょう。作曲家別、演奏家別、オーケストラ別といろいろな仕分け方があっても、本人はすぐに居所がわかるのです。不思議だけれど嬉しい習慣ですですね。

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相変わらずケーブル類は右往左往しています。
今は左隅のSD05でGRFを鳴らしています。
GRFを鳴らすときは、後ろのカーテンを少しだけ開けます。
80がGRFを邪魔しているように見えますが、まったく影響はありません。

GRFだけではなく80/TW3・TW5・40でも素晴らしいです。
ほとんど同じ音がするのが不思議です。


Commented by TANNOY-GRF at 2021-03-12 04:36
深夜のゴーンという鐘の音で目が開きました。ベルリンフィルのライブの時間です。今日のベルリンフィルライブはビシュコフノ指揮で、バティアシヴィリのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲とドヴォルザークの第七番です。両方とも久しくない名演でした。オーケストラのメンバーは少しずつ替わり違う響きになっていました。


Commented by 椀方 at 2021-03-12 09:16 x
光カートリッジを得てレコード盤というアーカイブが蘇った嬉しさが伝わってきます。

ところで、デジタルコンサートホールの日本向けライブ配信ではなくて、リアルタイム配信の方を聞かれたのですか?


Commented by TANNOY-GRF at 2021-03-12 09:51
椀方さん 例によってソファーでうとうとしていたら、ゴーンの鐘の音で目が覚めました。木曜日の夜なので第一夜のリアルタイム配信ですね。

だいぶベルリンフィルもメンバーが替わっていて、音が変わってきたように感じます。指揮者はおなじみのビショコフでしたが、チャイコフスキーとドボルザーク、スラブ系でぴったりでしたね。7番を見直しました。でも、なんと言ってもバティアシヴィリが凄かったです。

今週末是非楽しんでください。
Commented by TANNOY-GRF at 2021-03-12 10:06
>ほとんど同じ音がするのが不思議です

誤解の無いように補記しますが、音場の出方が同じなのが同じ音が出ている理由でしょう。同じ部屋でベストポジションを追うとその部屋の音が出てくるのだと思われます。

厳密には音の質は勿論違います。バベルの塔をぐるぐる回っていて、階違いだけど見える風景はほとんど同じという感じでしょうか?レコードの音の方が慣れ親しんでいるので、わかりやすいのでしょうね。
Commented by TANNOY-GRF at 2021-03-14 17:02
皆さんから光カートリッジは、何年も前から騒がれていたのに、どうして今頃なのか?と聴かれます。それは、いままで興味が無かったので、積極的に調べに行かなかったからです。それが、Hさんのびっくりサプライズで、コーナーを曲がったらとてつもなく大きなモノにぶつかった感じです(爆)。
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9. 2021年3月27日 22:08:43 : bzxszX9qUI : SmlwSVF5LncyM3c=[49] 報告
2021年 03月 13日
凄い歌手達の凄さが分かった、凄い音楽体験をもたらすもの
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時々、凄い歌い手だなと思う演奏家に出会うことがあります。歌い出しの一声で、物語の情景が目の前に広がり、登場人物の想いが立ち現れてくる。歌い進めるにつれて、その人の心の揺らぎ、喜怒哀楽の狭間で揺れる心情の変化が、歌われる詞の真実の意味、表面的な言葉の裏に潜む想いを伝わってくる。そして、クライマックスでの真情をさらけ出す表現は、爆発的な熱量で聴く者を圧倒することもあれば、密やかに押し殺されてはいるが強烈な心の渦となって聴き手を水底に巻き込んでしまうこともあります。

そういう歌い手に共通して感じられるのは、表現の引き出しの多さです。声の明るさ暗さ、軽さ重さ、硬さ柔らかさ、色彩という感覚でとらえられる、声質・肌触りのグラデーションの幅広さと変化の細かさが飛んでもない上に、その全てが見事に制御されている。その結果、一節一節で、もっと言えば一つの言葉の途中でも、歌の表情が変わっていく。そのような細かい変化だけでなく、楽譜の上では繰り返しで同じ場所に戻っていても、二回目の道行きに込められた思いは、先ほどとは全く別という様な、心のあり様な大きな変容が顕にされていることも。そこに、声の震え、息継ぎの吐息、音の繋がり・・・・という技が巧みに組み込まれて、聴かせ所の一つ一つポイントを作り聴く者をはっとさせる・・・・。

これらの技術が、意識して選び取られ組み合わされているとは思うのですが、それを全く聴き手に意識させない自然体で、歌い手の心の赴くままになされて居るように思わせる所が、また一流の人たちの凄さかもしれません、そうではなくて本当の天才は楽興に乗っているだけなのかもしれません。もう素人の理解を超えた世界。

などと言うことを、長々と書いたのは、GRFさんのお宅で、またまた始まった新しい試みである光カートリッジ(って何なのでしょう?)で、GRFスピーカーで聴くアナログの新世界が拓けたという、その音楽を聴いてきたからなのです。つい先日まで、TW-5の可聴域外の低音で、文字通りの「空気の再現」に邁進していたGRFさんですが、気が付くと、全く異なるお話で大盛り上がり、その転戦の速度と幅の広さには、目を丸くして見守るばかりです。CD一本の当方には関りのないことでもあり、「ちょっと寄ってみないか」の何時ものお誘いを頂いても、それこそ別世界のお話と呑気にお寄りしてまいりました。

聴かせて頂いたのは、昭和の演歌・歌謡曲の名手たちのライブ録音の数かず。その印象が冒頭の長々とした駄文になったわけですが、どうしてそういう思いを書きたくなったかと言いますと、一人一人の歌い手の、表現の引き出しの多さ、その使い分けによる、恐ろしいまでの情景や心情の表現力が、ここまで綺麗に聴き取れたことが、自分のこれまでの体験ではなかったからなのです。その上、こういうことを生演奏でやってのけているとは、いや、観客の反応がまた、こういう演奏を生み出しているのかもというくらい、客席の温度感まで再現されていたのです。

オーディオ的には色々ということが出来るかもしれません。アナログには独特の厚み、温くもりがあってそれが魅力でもあるのですが、そこに感じられる重みがない。一つ一つの音が、軽々と飛翔していく。と言って音が軽いわけではなく、しっかりとした低音と倍音の響きと実在感があります。そして、この立体的な見通しの良さ、アナログ特有の細部のきめ細やかさ(無限のレゾリューション?)、時代を経たGRFの芳醇な音色、、、両立しなさそうなものが、目の前に展開されています。これは、圧倒的な静けさ(GRFさんが書かれていた言葉だけでは理解できなかった「針の摩擦音が聴こえない」という意味が体で分かりました)のもたらす、最低音や空間情報の再現性、持続音が消失するまでの可聴性などによるものなのでしょうか。でも、それはそれで凄いこととしても、それよりも、凄い歌手の凄さがわかったこの音楽体験こそが本当に凄いことだと、呆れ果てた小一時間でありました。

パグ太郎

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パグ太郎さんが呆れるぐらい、自分でもこの二週間の動きには驚いています。

二月中は、ユニコーンの縦置きや、TW4の実験などもあり忙しくしていました。のびーさんやチューバホーンさんも来られて、ほぼ完成した80/TW3+40+TW5のマルチスピーカーの音を聞いていただきました。同じ部屋でマルチにスピーカーを鳴らす場合、お互いが打ち消さないようにセッティングするのがコツでもあるし、大変なところです。その調整を12月から二ヶ月間ぐらい掛けてようやく詰めてきたのです。

Hさんからビッグサプライズがあると言われて、東北道をのびーさんと走ったのは、つい二週間前の二月末のことでした。

そこで出会った衝撃は、私の長いオーディオ史でも、最大級のサプライズでした。

70年代後半のGRFとの出会い、93年のCD34、95年の超円高でコンシーケンスの直輸入、同じ頃の香港でのMITのケーブル旅行。97年「GRFのある部屋」の建築。2005年のSD05との邂逅とGRFの復活。それから以降の経緯は、このブログに書いてきましたが、それらの衝撃に負けていません。

日頃、レコードは聴かれないパグ太郎さんにも事前の説明無く、SD05とGRFだけのシンプルな組み合わせで聴いていただきました。一緒に聴きながら、パグ太郎さんの驚きを楽しんでいたと言えましょう。パグ太郎さんでなくとも、この音を突然聴かされたら驚くでしょう。私が二週間前に驚いた衝撃波が伝わっていきます。

でも、パグ太郎さんはさすがにその衝撃から、歌手の力量の違いへと展開されていきます。40年前の旧いレコードを聴いている感覚は無く、いま目の前で展開しているショーに立ち会っているという感覚でしょうか?いろいろなレコードを聴いてみて、私自身どこまでこの新鮮な驚きが持続するか楽しみでもあります。


Commented by パグ太郎 at 2021-03-15 21:14 x
GRFさん

私の感想を読まれた方から、普段の聞き方と何が違うのだと聞かれました。ということですちょっと補足を。

違いは、それが目の前に繰り広げられているという、圧倒的な表現力の差なのです。それはすごい歌い手の凄さが、更によく分かるようになったという程度の差ではない、凄さが分からなかった方の凄さが初めて感じられたという価値転換をもたらす様な驚きであったのです。で、それは誰?答えは、1976年の森進一さんです。

Commented by TANNOY-GRF at 2021-03-15 22:32
パグ太郎さん 

補足説明をありがとうございました。皆さん、クラシックの歌手のことを言われているのだろうと思われてたそうです。まさk、森進一だとは、皆さん聞いてびっくりだそうです。しかし、一連の森進一のリサイタルは、全霊で歌っていますね。その歌手の実力、凄さが分かる装置になれたのだと、私は感涙しています。ありがとうございました。


Commented by S.Y at 2021-03-16 12:40 x
GRF さま
やはり、ずんずん先に行っていらっしゃいますね。( 爆)
一局指したら駒を崩して感想戦して、駒を並べ直して次の一局へという将棋の感覚でしょうか?
SPレコードをこの光ピックアップで聴いたら、どうなるのでしょうか?ちょっと興味があります。
S.Y


Commented by TANNOY-GRF at 2021-03-16 13:59
S.Yさん

今回は、Hさんに見事サプライズされました。驚きましたね。何年も前から評判だったそうですが、興味が無い、知らないおと言うことは怖い物です。トルネードがきて地上のモノを全て奪い取った大地のようです。地下室からの扉を開けたら、世界がまるで違っていた映画のようです。

今回は、まったく自分の意図したモノではなかったので、びっくり反面、知らなかったことを知る過程の面白さを今味わっています。
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10. 2021年3月27日 22:10:04 : bzxszX9qUI : SmlwSVF5LncyM3c=[50] 報告
2021年 03月 14日
Hさん邸の夜会
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先週の土曜日はGRFさんにお声がけいただき、新兵器を導入したHさんのオーディオルームを訪問させていただいた。

これでもか!というくらいの贅をこらした素晴らしいオーディオルームと、そこに収まる珠玉のオーディオ装置にクラクラしたのは、比較的最近のことと思っていた。しかし、調べてみると2019年の12月のことであった。コロナの一年は時間軸すら歪めてしまう?

あのときにはオーナーが不在という特殊な状況での訪問で、オーナーの演奏を聴かせてもらうことにこそオーディオマニア訪問の真髄があると考える私にとっては、非常に複雑な思いであった。今回はオーナーであるHさんも同席されるということで、ワクワク度はいやがおうにも高まる。

通常、ランチを絡めて始めることの多いオーマニ訪問だが、今回は夕方の17:30にHさんのオーディオルーム集合という、なかなか珍しいタイミングので会となった。とはいえ、思い返せば会社帰りにアレキサンドライト邸には何度もお邪魔したこともあるし、同じくライブハウス横浜ベイにも何度か会社帰りにお邪魔した。とすると特殊会ということでもないか?

この日はGRFさんと、Oさん、そして横浜のMさんも同席されるということで、非常に楽しみであったが、まさかまさかの事態が発生し、横浜のMさんは残念ながらドタキャンとなってしまった。

横浜のMさん、聴かない方が幸せだったかもしれませんよ?(笑)

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白黒写真は夜香さんご愛用のライカで撮られています


一年ぶりに訪れるHさんのオーディオルームだが、機器類はさらに増えその様子はハイエンドオーディオショップさながら。今回は新しく導入したDSオーディオの最高級光カートリッジ、グランドマスターを搭載したEMT927Dstによるレコード演奏を拝聴することがメインメニュー。光カートリッジには専用のフォノイコが必要で、HさんはEMM製のDS-EQ1を導入されていた。

とんでもなく美味しいHさんの差し入れのサンドイッチをいただきながら、まずはサラリとファイルオーディオを鳴らしていただく。音量が控えめであるにも関わらず、リアリティのある響きが印象的。雑味を意識させることのない透明で澄んだ音だ。ディディールが鮮明なのは、この頃聴き馴染んでいる平面駆動形のヘッドホンのようであり、とても心地よい。

HさんのオーディオルームのコンセプトはGRFさんのオーディオルームの再現。ゆえにメインの装置はアンプからスピーカまでGRFさんのシステムと近似、あるいはそれすら凌駕する物量を投入した弩級のものである。全体的な質感はGRFさんの音に非常に近い。

しばらくデジタルファイル再生を楽しんだあと、いよいよEMT927Dstの出番である。Hさんの927Dstはもちろんオリジナルでアームは997、フォノイコは155stである。997にはSME型のシェルを装着することはできない。HさんはTSD型のヘッドシェルにDSグランドマスターを組み込み、それを997に装着している。当然、フォノイコは155stを使わずにアームから直接DS-EQ1に接続している。

DSオーディオの光カートリッジは、デビューしてすぐの頃にオーディオフェアの会場で初めて体験し、その素晴らしい音にたいそう驚いた。以来、光カートリッジの存在には注目しており、社長の青柳さんとも何度か宴席をともにして詳しい話を聞かせてもらっている。第一号機からその評価は非常に高く、あっというまに世のハイエンドカートリッジの仲間入りを果たした。さらに青柳さんは凄腕の戦略家でもあり、世界中のハイエンド層にアピールする製品を次々に開発、市場に投入していった。

実際、私も自宅でDS002の試聴をさせてもらったり、DS-W2、マスター1などの音を親しい友人宅で体験している。電磁式のカートリッジと明らかに異なる質の音であり、LPからかつて聴いたことのないような新鮮な音を引き出すことができる。が、ここが曲者で、経験の長いLP愛好家であればあるほど、その音には違和感も感じることがあるようにも思う。早々にLPをすてデジタルに移行した愛好家、さらにはテープサウンドに慣れ親しんだ愛好家のほうが光カートリッジの真価を感じ取ることが多いようだ。

同時にDSオーディオのカートリッジはヒエラルキーが明確で、上位機種になればなるほど音質は確実に向上する。特にDS002とDS-W2の違いは非常に大きく、DSオーディオの光カートリッジを使うならDS-W2以上に限ると私は思っている。

で、今回は最新にして最上級のグランドマスターである。

そのサウンドやいかに?

GRFさんが持参した珠玉のクラシック、もちろん素晴らしい音である。とはいえ、クラシック音痴がああだ、こうだ言っても愛が伝わらないので、私が持参したレコードのインプレを(笑)

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歌謡曲も含めて何枚か持参したがその場の雰囲気で、三枚に絞った。
デジタル録音のダイアナ・クラールとアナログ録音のスーパーギタートリオライブ、そしてダイレクトカッティングのデイブ・グルーシンである。

ダイアナクラールはス・ワンダフルを再生してもらった。もちろん存分に良い音である。良い音であるが、これはレコードの音ではなく明らかにCDなりSACDの音だ。この音をLPで聴く意味はどこにあるのか?デジタル録音のLPというのは、かなりの数存在しており、CD登場前夜の時代からPCM録音と称して、デジタル録音LPが多くリリースされた。当時はアナログマスター以上の音質!という触れ込みでリリースされたのだけど、今の時代ではそういうレコードであっても、CDなりSACDなりで聴くのとは一味違う音がLP再生で得ることができるとして存在する意義があるように思う。

しかしである。HさんのLP再生システムからは、曰く言い難しのLPっぽさが皆無であり、もう明らかにデジタル音源の音が聴こえる。これなら絶対的な電気性能の優れたCDやSACDを再生すればいいじゃないかと思えた。さらに、こういうLPからCDやSACDと違う響きを聴きたいなら従来の電磁式カートリッジで脚色すればよい。

変わってアナログマスターのスーパー・ギター・トリオライブである。レコードはペラペラのオリジナル盤。年に一回くらい再生する、ここ一番のお気に入り。
このLPは素晴らしい音であった。 当日、持参したLPはその日の午前中にEMT930Dstをプレーヤとして真波動砲艦隊で、音を聴いた上で選出した。もちろん、我が家でも良い音であったが、残念ながらHさんのシステムで再生されるような透明感のある映像を想起するようなものではなかった。

Hさんの再生は3人の奏者にスポットライトが当たっている様がまざまざと見えるような空間的解像度と透明感が恐ろしく高い。音を聴きながら映像が想起されることは良くあるが、私の場合、その映像がハイビジョンや4Kなどのリアリティのある光の艶というか、60fの時間的情報量というか、そういうものを感じさせてくれると「素晴らしい!」ということになる。良い音というのは星の数ほどあるが、そういう想起される映像がハイビジョン超級からリアルな実像にいたる音はそうそう聴けるものではない。

Hさんが情熱を注いで作り上げたシステムからは、そういう映像的満足度の非常に高い音が再現されている。同席したGRFさんやOさんとも話したが、これは明らかにレコードの音ではなく、テープのサウンドであると感じる。つまり、再生しているのはLPなのだが、グランドマスター+EMT927Dst+DS-EQ1によるソース機器が描き出すのはLPに記録されたテープの音そのものである。

多くのLPはオープンリールテープの音を記録し、それを私達は電磁式カートリッジで聴いているというのがこれまでのLP再生である。もちろん、それはそれで素晴らしい音楽体験をさせてくれるが、その音はテープの音と電磁式カートリッジによる総合的な音である。そこから電磁式カートリッジの固有の音を排除したら残るのは記録されているであろうマスターテープの音という図式がなりたつ。ま、光カートリッジ固有の音もあるのだろうが、案外、それは些末な要素であり、LPに記録された媒体の音を引き出すには光カートリッジしかない、そんな確信めいた思いがした。

さらに驚くのはEMT927Dstでありながら、一切のゴロとかランブルノイズが聴こえないこと。EMTのプレーヤは927と930に極まると思っており、両者には下剋上の起きない鉄壁のヒエラルキーがある。どんなに整備され調整された930stであっても、その音質において927を越えることは絶対にない。SNが違うのである。しかし、それでもわずかな振動はあるわけで、927Dstといえどもランブルやゴロの多少は聴こえてくる。それがこれまでの私の常識であった。が、Hさんの927Dst+グランド・マスターからはそういうノイズが全く聴こえてこない。普段私が聴いているよりは小さな音量であることも要因かもしれないが、全く聴こえないとはどういうことか?

Hさんは超音波式の全自動LPクリーナーを導入されており、これを使うことでノイズレスなLP再生が可能になったと嬉しそうに話してくれた。だから、今回のスーパー・ギター・トリオライブもクリーニングしてから再生していただいた。でも、それだけじゃないと思うのだ、この静寂感は。。。

デジタル録音からはデジタルマスターの音が、そしてアナログ録音からはアナログマスターの音が聴こえる。では、マスターの存在しないダイレクトカット盤ならどんな音が聴こえるのだろうか?

それを検証するためシェフィールドのデイブ・グルーシン「ディスカバード・アゲイン」を選んだ。

この音をなんと表現すれば良いのだろうか?

カッティングレースの前に存在するのはマイクとマイクアンプとコンソールのみ。そして、マイクの前には演奏者しかいないというシチュエーションである。Hさんの装置から紡ぎ出されるこのディスクの再生にテープのような音だ!というのは明らかに間違いであり、事実、一層ベースを剥がした鮮明な映像が想起される。スーパーギタートリオライブの音が4Kだとすれば、このダイレクトカット盤から得られる音はまさに実像である。目の前に奏者がいるようだとは良く言われる言葉であるが、この音の前ではこれまで聴いていた「目の前に奏者がいるような音」は、よくできた電子映像どまりで、今ここで再生されているのは録音の場でライブを観ているような、そういう生々しいリアリティがある。

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その後、Hさんが秘蔵のNAGRAで4トラックのテープサウンドを聴かせてくれた。

どんなに素晴らしいLP再生であっても、こういう比較をするとLPはやはりテープに及ばず!と感じることが常なのだが、今回は違った。むしろ、光カートリッジを得たHさんのLP再生システムは、NAGRAで再生するテープと寸分たがわぬ音をLPから引き出していることを立証したに過ぎなかった。

Hさんはこのカートリッジを得て、GRFさんをギャフンと言わせることができると確信し、手ぐすね引いてGRFさんの来訪を待っていたとのこと。DSオーディオの光カートリッジの素晴らしさを知っており、その音に免疫のある私でさえ、よもやEMT927Dstから、このような音が得られるとは心底驚いた。それが光カートリッジ免疫のないGRFさんが聴いたわけだけだから、その驚きは想像に難くない。

「何の変哲もない国内盤のクラシックだけど」と言ってHさんは最後にLPを演奏してくれた。

何の変哲も無い国内盤のクラシックから、素晴らしい音がする。これほどの音が得られるなら、数々のオリジナル盤であふれるHさんのオーディオルームは宝の山だとおもった。

DSグランド・マスターを導入後、LPばかり聴いているとHさんはおっしゃる。LP再生はCDやSACDに比べればちょっと面倒なところもあるけど、オープンテープに比べればはるかに演奏は簡単。Hさんは大のテープファンで、オーディオルームにはオープン、カセット、DATなどなど多くのテープ機器がある。そんなHさんであるから、LP再生からもテープの音が再現されるなら、コンテンツの豊富なLPの価値は俄然あがったことであろう。

EMTと光カートリッジかあ、、、すげーなあー、930でもきっといい音するよな〜でも、つい先日、新しいTSDオーダーしちまったしなあ〜それに光フォノイコないしなあ〜

Hさんの演奏に触れて以降、こんな妄想がぐるぐるしている。

夜香


Commented by プー博士 at 2021-03-16 17:17 x
光カートリッジの話よりモノクロ写真に興味が行きました。最近は遠のいてしまいましたが大判・中判カメラで撮影/現像/引き伸ばしをしていました。デジタルでこのモノクロ階調を滑らかに出せるカメラがあるといいなと思っていたところです。ライカから(今もあるかどうか知りませんが)モノクロ専用機が出たという話題がありましたが調べていません。また、、、ってこれ以上趣味に足を突っ込まないようにしよう(大汗)


Commented by GRF at 2021-03-17 10:37 x
プー博士

やはり私たちの世代の人たちは、写真と言えば白黒でした。現像室の酢酸の匂いとともに、懐かしい青春時代の想い出も蘇ってきます。

モノラル再生が、ステレオとは厳密な意味で共用出来ないのと同じように、白黒写真もカラー用とは、レンズから違うようです。

ライカのカメラでも、通常のカメラからカラーフィルターを外した分だけ解像力と階調がましています。新しいM10モノクロームでは、4000万画素をモノクロ専用で使うわけですから、豊かな階調が表れるでしょうね。

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11. 2021年3月27日 22:11:18 : bzxszX9qUI : SmlwSVF5LncyM3c=[51] 報告
2021年 03月 16日
一週間後の土曜日にもまた
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あれから一週間後の今週の土曜日も、大雨の中、大山さんと待ち合わせてHさん邸に集合しました。先週見つかった不具合を直すためです。元に戻った装置で、再度歌謡ショーの再演です。今日は、絶賛公演中の森進一、低音の魅力のフランク永井、最後は欣ちゃんも登場する日劇でのクールファイブショーを片面全てを聴いて45年前にタイムスリップしてきました。出かける前意図せず音の良さで選んだレコードは、全てVictorのレコードだったのも面白いです。

レコードクリーナーで洗われたレコード表面はピカピカです。この森進一のレコードは、20年以上も事あるごとにかり出され、アーム調整の最終工程に使われてきました。音の中央を決めるインサイドフォースキャンセラーのテストでもこの盤がテスト盤なのです。加えて熱狂的な女の子達の嬌声がどのように立体的に聞こえるか、曲にちりばめられた鉄琴の澄んだ音が、どこまで立体的に聞こえるか、それを調べる検聴盤でもあるからです。何百回と掛けられたセンターホールのあたりは、無数の擦過跡が見えます。クリーニングするとその盤が、針音1つ聞こえないほどきれいになるのですから、こちらも奇跡ですね。

Hさんも、はじめて聴く森進一のライブにびっくり、そして歌のうまさに感心していました。熱狂のステージで、一曲一曲心を込めて歌っていく若き日の森進一の歌声は、今更のように見直します。そしてその声が、38/2トラのテープのように安定して聞こえるのです。テープヒスがありませんから、それ以上、昨日録音されたかのようです。それは、最内周に入っても変わりません。このトレーズの良さは、光カートリッジの特徴ですから、磁気の反発を受けるMC型共通の問題点なのかもしれません。

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来る前に、レコード棚から出してきた大阪のホテルでのフランク永井のディナーショー、声の良さと歌のうまさ、大阪弁の乗りが良いお客さん達の声がまるでその場に居合わせたように聞こえてきます。落語家のように流ちょうに話題を盛り上げていくフランク永井のトークの高い声・・・バンドが小さいからストリングス替わりのキーボードが昔のエレクトーンの音なのも懐かしいですね。

最後は、これも愛聴盤のクールファイブが欽ちゃんと共演したクールファイブ最盛期の実況録音盤です。表情を1つも換えず、直立不動で歌う若き日の前川清が見えるようです。何百回と聴いたこの盤も洗っていただいた効果もあるのでしょうが、まったくレコード特有の雑音がしません。昨日録音されたように隅々まで聞こえます。三十代の欽ちゃんの声の若いこと!面白くて針が上げられません。この927で聴く音は本当に魔法が掛かっているかのように安定して掛かります。従来の927のイメージでは全くないのですが。

私は、家でなっているMaster1と今聴いているGrand Masterの音の差をダメ押しされている感じになりました。この様に、Grand Masterは使い込んだレコードが生まれ変わって、ほとんどノイズがしないのは本当に驚きます。第三世代と言われる発電の構造の違い、今までのような斜め45度動く受光体ではなく、独立した受光体自体を45度傾けたので、40mVが70mVになった出力の余裕が、低音の押し出しとクロストークの向上に効果を発揮してるのでしょう。

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今日は夕方六時過ぎに集合したので、今日のライブが終わったのは夜九時半頃。嵐は過ぎ大雨も上がり、空には星がきらめいていました。飲まず食わずで三時間過ごしてきました。急におなかが空いて、近くのコンビニに寄り、中華まんをかじりながら高速を帰ってきました。気合いが入っているときは、おなかも空かないようです(笑)。

11時前に家に着くと、丁度、夜香さんからメールが入り、Master1のアームをSMEのシリーズ5から、リニアトラキングタイプに変える実験をされていたそうです。今回の光カートリッジは、何周もの周回遅れのスタートでしたが、その波紋がだんだん広がっていきますね。
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12. 2021年3月27日 22:12:14 : bzxszX9qUI : SmlwSVF5LncyM3c=[52] 報告
2021年 03月 17日
明くる日曜日は
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前日Master1を貸してくれている知人から連絡があり、Master1が良さそうで嬉しい、どうせなら家のGrandMasterも持って行くから、2本のアームでMaster1とGrand Masterを聞き比べ無いかという願ってもない提案がきました。それでは、お宅のレコード再生はどうするのだときいたら、他のカートリッジもあるので、家で光がなくてもすぐには困らない、それより、同じ条件で比較できるチャンスはそうあるモノではないから、良ければ日曜午後にでも持って行くから、聞き比べをしようというとんでもない提案。二週間前に光カートリッジに出会ったばかりなのに、考えられない展開になりました。

昨日は遅かったので、そのまま寝てしまいましたので、日曜の朝はいつものように目が覚めましたが、連日の疲れをとろうと朝食の後また寝直しました。10時半頃には起きたら、すぐにいまMaster1がどのような音でなっているか、昨日のままのGRFで聴いてみました。やはり、昨日のH氏邸で聴いたGrand Masterとは音の傾向が違います。Master1の音は、まだカートリッジを聴いているという実感もあります。隣のBenz MicroのLP-Sとは、得意のエリアが違うけどそれなりに対抗していると思いました。LP-Sに対向していること自身とんでもないことなのですが。

しっかりとLP-Sの音との比較も聞いてから、LP-Sをアームから外して到着を待ちます。1時過ぎにやって来るので、1時前には全て準備を済ませ、待ちきれずに玄関先まで出て、知人の到着を待っていました。サンタさんを待っている子供みたいですね。楽しいことがやってくるのは同じですから(笑)。待ちきれず外で待っていた私を見て彼は笑っていました。

早速、カートリッジを交換しました。準備はしてあってもSMEのアームへの取り付けは慎重を要しますので、一つ一つステップを確認しながら進めなくてはなりません。リード線の確実な取り付け、本体への取り付け、DSのカートリッジのネジ穴は、普通のカートリッジより後方にあり最初は戸惑います。それでも、慎重に締め付けをして行き、オーバーハングを付属のスケールを使って調整していきます。調整は針先を規定の穴に入れて、アームの位置を真上から確かめます。オーバーハングがずれていると、アームの位置も左右にずれます。それを中央に合わせると、規定のオーバーハングが得られる、極めて巧妙な仕組みになっています。


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この写真はRubyの取り付け時の俯瞰写真です。


この方法は、正確にオーバーハングを調整出来て、オーバーハングの微妙な差も音に表しますし、簡単に元にも戻せます。この戻せることが大事です。オーバーハング調整と同じように大事なのは、アームの高さです。高さ設定も針のヴァーチカルアングルに直接関係しますから、厳密にアームを水平にしなければなりません。SMEのアームの高さ調整は巧妙に出来ていて、まず、アームに垂直に切られたネジ穴に、調整用の治具のネジをさして、底に着くまで回します。アームを上げる場合は、そのまま、ネジを押し込んでいけばアームがリフトします。下げる場合は、ネジを下げる分、逆に戻し、その空いたスペースが再度底に着くまで、アームを押し下げます。

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そして、アームに印刷された2本の線がレコード表面と水平になっているか、定規等をあてて確認するのです。ネジのピッチは細かいですから、高さ調整はいくらでも細かく出来ます。二、三回計り直すとしっかり追い込めます。その微調整は、音を聞きながら集中して行わなければならないので、今は、ある程度のところで見切りをつけてMaster 1と比べてみます。

イコライザーの入力を切り替えて比較をします。

最初はMaster1から。こちらは、その微調整をして音を追い込んであります。家の場合は、規定の1.7gより幾分軽めの1.6gぐらいの音が、バランスが取れました。個体差もあるし、聴いている部屋の温度、湿度も影響します。でも、1.6〜1.7の間0.02g刻みで音は随分と変わりますので、最初聴いたときの音と比べるとMaster 1も随分と洗練された音で、それなりに満足していました。昨日のH氏邸の音との最大の違いは、静けさと安定性ですね。

さて、GrandMasterは針圧2.1gです。この差は操作上も大きく、アームを持つ手が安定します。

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切り変えて、針を落とし途端、まったく違った音が鳴りました。簡単に言えば、H氏邸の音と同じ音がしたと言うことです。テープで言うと19/4トラと38/2トラぐらいの音の差です。音量が違います。40mVが、70mVになったのですから当然ですね。ボリュームの位置の差による音の迫力も違います。大きくなった分、やはりS/N比も良くなり、静かになりました。音のエネルギー感が違い、また音が柔らかいです。

やはり、一番近いたとえは、レコードが38/2トラになったという驚きですね。テープの音を聞き慣れていない人は、それほど驚かないかもしれませんが、レコードの音を何十年も聞いてきた我々の世代はびっくり仰天です。常日頃、4トラックテープを楽しんでいる我々も、低域の安定性、低音の迫力のテープの特徴を活かして、まったくヒスがしないのは、やはり脅威です。

困りました!知人も、思った通りの展開で、笑いながらいろいろ聞いて、りょうほうともご自分のカートリッジですから、大満足して帰って行きました。残された私は・・・・

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それから、外が明るい家に、Grand Master側のアーム調整を追い込みました。こちらも高さ調整は本当に効きます。どんどん、ピントが合っていきますね。彼はお土産に先日のデーブ・グールーシンのダイレクトカッティング盤のオリジナルを持ってきてくれました。お返しに、予備のカンターテ・ドミノのオリジナル盤と交換です。どちらも音の良さではレコードを代表する盤ですね。


さて、今晩もディナーショーのはしごかしらん?
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13. 2021年3月27日 22:13:27 : bzxszX9qUI : SmlwSVF5LncyM3c=[53] 報告
2021年 03月 19日
i さんとM.Aさんが
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水曜日の午後、さんざん吹聴している光カートリッジがどのようなモノだかを見に、レコード派の i さんが、M.Aさんの車で来られました。お二方とも、お越しなるのは大変久しぶりです。i さんは四年ぶり、M.Aさんに至っては10年振りですね。今回の光カートリッジが如何に大きな話題だか、このことからも解りますね。

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お二人が来られる前の昼休みは、この機械の到着で、てんてこ舞いでした。先日来、Hさんお宅で旧いレコードを洗浄していただき、スクラッチノイズがほとんど消える実力に、光カートリッジが来る前に環境を整えなくてはと、販売終了になった機械を探していましたが、何時もお世話になっている名古屋のサウンドピットさんに最後の一台があったので送ってもらいました。その連絡をしたとき、電話の向こうから聞こえてくるお店が随分と騒がしいのです。お訊きすると、コロナの自粛で、オーディオが見直されて、旧い機械に電気を入れたら、動かなくなったと言う依頼が沢山きて、週末のお店は活況を見せて、凄く忙しいと嬉しい悲鳴を上げていました。家に閉じこもる趣味としては、オーディオは最適なのでしょう。いずれにしても忙しいことは良いことです。

厳重な梱包をあけて全ての部品を専用の置台を作って拡げました。部品が多く何やら大変そうです。取扱説明書をめずらしく全部目を通してから、おもむろに組み立てはじめました。ホースを所定の長さに切って、タンクにセッティングして行きます。最後に本体へホースを取り付けると組み立てが終わりました。家では,原発事故以来RO水の製造機を使っており、この様な目的にはぴったりです。付属の20Lタンクの半分ぐらいRO水を入れました。10キロありますから相当重いです。スイッチを入れて、レコードを入れると、すぐに動き出します。設定も洗浄時間と乾燥時間で、後は水面の高さを確かめます。レーベルギリギリまで来ているのを確かめて、あとは見ているだけです。標準は3分だそうですが、少しだけ長い4分づつの工程にしました。

作動音は相当うるさいですが、ここは、通路兼物置なので、扉を閉めると許容範囲に入っています。それでも、超音波はギリギリとした音だし、乾燥はヘアードライヤーが動いているわけですから、仕方ありません。8分経つと突然タイマーが終わり静寂が蘇ります。レコードの表面はきれいに洗われて、乾燥されています。レコードの片面の時間以内なので、聞く前にセットして片面聞き終わると、次のレコードをセットすれば、その日に聞く数の倍は処理できます。値段は高いですが、今までの超音波洗浄機だけよりは数段使い勝手は良いですね。

その1枚目の洗浄が終わる前に、お二人が到着しました。滑り込みセーフという感じです(笑)。

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お二人とは何時も電話で話していますから、お元気なのは解っていたのですが、実際にお会いするとお互いに髪が白くなっていたりして、相応の年月が流れているのだと知らされます。早速、前日に繋いだCDによるマルチスピーカーの方から聴いていただきました。今日は、こちらの音はパスしようかと思いましたが、カートリッジが来る二週間ままで、全身で調整していた音ですから、少しだけ聴いていただきました。

でも、普段聴かれているコンベンショナルな装置とは、まったく違う音なので、お二人とも少し戸惑ったお顔をしておられます。そうかもしれません。わかりやすい鮫島有美子さんや白井光子さん、エリー・アメリンクさんを聴いていただきました。その時、TW5のウーファーあるなしを確かめていただきました。オーケストラではハーディングのマーラーの第10番です。でも、CDは早めに切り上げて、今日の目的の光カートリッジの比較です。

結線を切り変えて、SD05からシンプルにGRFに繋ぎました。最初は、アームの調整をぴったりと合わせているMaster1からお聴きいただきました。聞き慣れた音ですが、低域が違います。コンセルトヘボウのスケールの大きなでも、柔らかい音がGRF全体から聞こえてきます。壁の向こうにコンサートホールが広がっていきます。こちらは、針圧1.6gです。目盛りは1.7gぐらいを指していますが、中量級のアームのシリーズ5の2g以下は、精密に測り直す必要があります。

サファイアのカンチレバーは、力強い低域ばかりだけではなく、幾分カチッとした高音を出していて、明確な音です。テスト用の定番の森進一や越路吹雪を聴いていただきました。一通り聴いてから、今度はGrand Masterに。40年近く使ったアームなので、ケーブルのアースが短くなり、アースが浮いて、ちりちりとしたノイズが出ました。しっかりと繋ぎを確認して音出しです。

Master1とは出力の差が1.75倍もありヴォリュームの位置では、1時間半ほど違います。音量を再調整してかけ直すと、出力の大きさが、雑音の少なさに直結しています。低域の出方がまるで違います。しかし聞き込んでいくと、お借りしているDS-W1のイコライザーだと、音のバランスはMaster1に合っている気がします。Grand Masterだと低音のバランスが少し出過ぎのように感じました。それと、左右のGRFの焦点・内振りの角度がほんの少しずれている感じもしました。

お聴かせする内にその差が気になり始め、音の大きさが、幾分甘さに繋がっているのではと思い始めました。お借りしているイコラーザーは、もう販売を終了した第一世代のカートリッジ用なので、第三世代のGrand Masterには、そのあたりの差が出ているのかもしれません。Hさんのお宅は、EMMのイコライザーですので、すっきりとした美音で、その差は仕方ないのかもしれません。

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その後は、iさんがご持参してくれた、フィッシャー ディスカウのシューマンの歌曲集、ショルティのモーツァルトのレクイエム、トレースが難しいとされる「La folia」そしてヒリヤード・アンサンブルのジョスカン・デ・プレ、さすがに渋い選曲です。私の方から、カラヤンのシベリウス第4番、セル・フルニエのドボルザークのチェロ協奏曲DG/LPM初期盤、定番のシュトライヤーのコントラバス協奏曲などです。

できる限り、洗浄しながら聴いてみました。お聴かせしながら、やはりGrand Masterは、今晩再調整しようと思っていました。お帰りの準備をしている間、和室のユニコーンも聴いていただきました。シューベルトのOP.595の二楽章をブレンデルで、アバド・ウィーンフィルのブルックナー第五番第二楽章などを少しだけですが、私自身久しぶりのユニコーンで、渋めの良い音が出ていました。

マスクしながらの鑑賞でどこまで伝わったのか不安もありますが、通常のカートリッジとは異なった世界を堪能していただければ幸いです。日が長くなりました。四時のおもてはまだまだ明るいです。桜のつぼみも膨らんできました。この花が咲く頃には、今一度、調整した音を聞いていただきたくお見送りをしました。

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翌日、早速昨日のお礼とご感想の連絡がございました。CDのマルチとレコードの音を両方短い時間に掛けたので、どちらも中途になった感がありましたが、各々の特徴はお聞きになれたと思います。驚きは、レコードの雑音がなくなるとあれほどまで静かになるのかというのと、今まで針音やターンテーブルの騒音に埋もれていたレコードの音が、まるで見違えるほどきれいに再現できることです。今更のように、レコードの歴史の重さと人間の感性に適した音源だと解ったことです。

そこに行くと、CDはまだ得意な領域を再現しきっていないし、途中からSACDにシフトしたのは、とても残念です。SACDの大半は、特有のリマスタリングの音だと言うことも、光カートリッジを聴いてしまうと解ってしまいました。

そろそろ40年にもなるCDも、音源という意味では貴重な媒体です。その前の膨大なレコードの長い歴史を見ると、有名なレコード除いて、そのほとんどが、CD化されずに、もとのレコードだけがオリジナルだと言うことが解ってきます。私が収集している、70年代の歌謡ショーのほとんどは、CD化はされていません。その貴重なオリジナル盤が蘇っただけでも、今回の光カートリッジは意味があります。
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14. 2021年3月27日 22:14:19 : bzxszX9qUI : SmlwSVF5LncyM3c=[54] 報告
2021年 03月 20日
深夜の調整
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お二人が帰られても、気になるのは、Grand Master時に感じるの音のずれです。お借りしているイコライザーも第一世代の時に開発された初期型で、低音の特性が、第一、第二世代の方式に合わせてあるからかもしれません。Grand Master(GM)の再生時は、40mVから70mVに増強された出力や低域の特性には合わないのかもしれません。GM用のイコライザーは、電源が強化されて低域の伸びやS/N比がよくなっているそうです。

それは、確かにあるでしょう。Hさんのところで聴いたEMMの専用イコライザーは、そのあたりも調整されて、また高域もEMMの爽やかな音になっているそうです。それを認めた上で、今少し、Grand Master(GM)の調整を進めてみたいと思いました。一旦寝て、目の疲れを取り、深夜自然に目を覚ましてから調整を行いました。

まず、気になっていいたのは、アームの高さです。ほとんどあってはいますが、Benz Microとはカートリッジの高さが違い、その追い込みが今ひとつ甘かったかもしれません。微妙な測定が必要で、竹製のスケールを出してきて、レコードとアームの二本線の中央を図ってみます。すると、レコードの反り等を追い込むと、根元と先端では、その線が1本分、1mmほど高くなっていました。その高さを、ネジを微調整して、三回に分けて下げて試聴しながら聴いていきます。

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微妙な作業ですが、0.3ミリほどの高さの差がはっきりと聞こえます。1ミリアームの根元が下がりますと、当然、オーバーハングの長さも変わります。SMEの調整方法だと、左右のアームの輪郭を書いてある線の一方が隠れるほどの差が出ています。実際にオーバーハングを図っていては解らない微妙の差がはっきりと目でみて調整出来るのです。ここがこのアームの使い勝手の良い理由ですね。

高さ、長さを調整して、再度聴いてみます。先ほどより、ピントが合って細かい音や柔らかな音が出るようになりました。ただ、Master1(M1)よりピントの合方が深いので、センターの調整が微妙です。ここに来てGRFの角度調整を合わせないとダメなのではと思いました。アームの調整では、センターの位置は、インサイドフォースキャンセラーでいかようにも動くからです。現在は、2.1gの針圧付加ですが、インサイドフォースキャンセラーは、2gの位置で幾分音が右寄りなのです。

GRFのピント調整は、直角のコーナーに置いてあるキャビネットと後ろの壁の距離が大事です。その後、45度内振りに交差法で置かれている角度を微妙に合わせます。左右のSPが正確に45度内向いたとき、交差するポイントで直交していればそのポイントでの音場は出ます。ただそのセンター位置が部屋全体を聴いたとき部屋とSPの平行が合っていないと、聴視位置では微妙にずれてくるのです。

それを確かめるためには、モノラルのCDを出してきて、SD05のデジタル入力に直接繋ぎ、それがどの位置に来るかを調べなくてはなりません。最近はGRFではレコードしか鳴らしていなかったので、絶対位置の調整は久しぶりです。何時ものリタ・シュトライヒを掛けてみました。

すると思っていたとおり、相対位置は合っているので、交差点近くではほとんど差が無いのですが、後ろのソファーに来ると左右の音の立体的な空間がずれているのが解ります。全体に右に寄っているので、右側のGRFの角度を開き気味にします。加えて、左のSPは内振りに、交差角度90度を保ったまま、部屋とその空間がマッチするように動かしていきます。

ピタリ、真ん中に来ました。すると今まで感じていた観音開きの扉がどこか合わないような違和感がなくなります。早速、森進一のレコードを掛けてみました。合っています。クラシックでは何時ものブラームスのセレナーデ、コントラバス協奏曲を掛けました。

コンセルトヘボウの音は本当に素敵です。広がりがあり、柔らかい音が部屋を満たします。

このイコライザーでは、このあたりまででしょう。Master1(M1)とGrand Master(GM)の聞き比べ見たくなりましたが、GMの方がよりシビアに調整を追いこめると言うことです。一般的には、M1の方が使い勝手が良いのではとも思いました。GMは通常のレコードサウンドから超越していますが、M1の方は、従来の高級カートリッジに範疇に入っていますが、GMは38/2トラの世界ですね。

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15. 2021年3月27日 22:15:28 : bzxszX9qUI : SmlwSVF5LncyM3c=[55] 報告
2021年 03月 21日
SD05とGRF
https://tannoy.exblog.jp/32195943/


SD05とGRFは私のオーディオ人生を変えてくれました。その感動を伝えたくて、また、その経過の様々な実験を記録しておくためにこのブログを2006年に始めました。現在は、German PhysiksのDDDユニットを中高域に、250Hzから下を、前後方向に音を放射するウーファーTW3を足したシンプルな2ウェイのに、最近、50Hz以下の最低域を再生するウーファーとアンビエンス用の40を加えたマルチスピーカーシステムです。現在の音は、自分でも大分満足行けるところまで来ました。CD再生で一番大事な微少な音、特に残響音の再生がようやくできてきたからです。

コンサートホールで、ミューザ川崎が好きなのは、音のダイナミクスが広く、特に消え入るような微少な音の再現が素晴らしいからです。ホールから学ぶのは、音の静かさと、細かな音を伝える音の浸透性です。小さな音にこそ音のディテールが宿ります。自分の家で音楽を再生するときに大事なのは、やはり部屋の静かさです。CDの音の再生が難しいのは、レコードの60dbに比べ、96dbと言われるCDのダイナミクスを活かす部屋の静粛性を確保する事なのです。大きな音を再現するには、部屋の大きさには限界があります。CDの優位性はその微少な音が再現できるからでした。

本ブログを始めたきっかけは、今回と同じSD05でタンノイからCDでの思いもしない音が出始めたからでした。CDの特徴であるピアニシモの再現が出来たからです。しかし、レコード再生の一番の課題はS/N比の向上でした。パチパチノイズばかりではなく、レコード特有のノイズ、ターンテーブルの静粛性、正確で安定したアームの動作、何よりも、イコライザーの難しさが、障害となってきたのです。今回の光カートリッジの出現はその壁を一気に無くしてくれました。私の驚きは、レコード再生時の静粛性と音楽以外何も聞こえてこない、媒体がレコードであることを忘れる音にあります。

SD05とGRF_f0108399_02100020.jpg

私は、音源が同じならば、CDもレコードも同じ音がすると思っています。どちらかの音がうまく再生できないとしたら、それは再生できない方に改善の余地があるからです。出来ない理由を探すのではなく、出来る方法を模索すべきだと思うからです。今回、レコードの積年の問題の針音や材質から解放され、静かさを実現しました。CDでは得られない音源を素晴らしいことで楽しめるのです。今まで発売されてきた膨大なレコードは全てはCD化されていません。有名な盤以外はデジタル化されていないのです。

この音を聞きに何名の方がこの状況の中でも訪れてくれました。二時間以内、マスク着用、会食無しの素っ気ない対応でも、来ていただきその音に驚いてもらいました。

DSカートリッジには驚きました。そして目指す音が50年まえにレコードにすでに入っていたということがわかりこちらにも驚きました。もう、他に何もいらないなあーと思いました。あとは音楽を聴くだけです。

同感ですね!不思議なのは、レコードその物の音は消えてしまい、その前の録音の工程が見えることです。テープはテープの音が見えてきます。旧いレコードの良い点は、そのほとんどがその時点での新譜、オリジナル盤だと言うことです。そのまま、50年間真空パックされて、いま開封したばかりという音が聞こえることです。そのシンプルに作られた録音だからこそ、会場の空気がそのままパックされているのでしょうね。聴かれた何人かの方々が、異口同音でタイムマシーンだと言われました。私もまったく同感です。光カートリッジは、レコードの「どこでもドアー」なのです。

タンノイコーナーGRFの様な、モノラル時代に作られた部屋のコーナーを利用して音を豊かにする45度内向きの交差法のシステムは、前方に立体的な音場を作ります。私が、展開している部屋の中央に無指向性のSPを配置して、後方にアンビエンスSPを置く方法と、結果的には同じ音場を構成します。それが面白いですね。

SD05とGRF_f0108399_14044904.jpg


携帯をここに置いて、レコードを漁っている内に、目的のレコードが見つかりそのまま、扉を閉めてしまいました。しばらくして、携帯がないのに気がつき、家中や探しました。その携帯に電話を掛けると、呼び出し音がどこからか微かに聞こえます。扉を開けたら、携帯がこんなところに置き去りにしてと、怒っていました。老人力には追いつかれてしまっています。


Commented by DG-mania at 2021-03-27 12:44 x
初めてコメントさせていただきます。このブログいつも楽しみ拝見させていただいています。音源はCDが中心の話題が多いですが、私は、クラシック音楽をLPのみで楽しんおります。中でもグラモフォンの音質が好きで、独盤を収集しています。最近アナログの話題が多く、楽しんでいます。このページの写真にグラモフォンのLPがずらりとならんでいる光景があり、我が家のラックとそっくりだな、(家はほとんどすべての棚です)と思いました。最近光カートリッジで再生されているようですが、DGのLPで特に印象に残られた音源はありますか。自分のシステムでも聞いてみたいと思います。よろしくお願いします。まとまらない文章ですみません。


Commented by TANNOY-GRF at 2021-03-27 13:41
DG-maniaさん コメントありがとうございます。はじめてクラシックのレコードを買ったのは、ベーム・ベルリンフィルののモーツァルトの40/41番のグラモフォンのレコードでした。その後も後期の交響曲から魔笛へとつづき、その後カラヤンの全集へと発展して行きました。その意味では、DGGが私のクラシックの原点です。

その後、初期盤を始めてからは、クレンペラー、クリュイタンス、セルと英国コロンビア盤、ハイティンク、デービス、クリップスなどのPHILIPS盤も増えていったのです。

グラモフォンで印象的なのは、セル・フルニエと、カラヤン・ロストロポーヴィチのドヴォルザークのチェロ協奏曲、カラヤンのドンキホーテやシベリウスの4番、フリッチャイのベートーヴェン5番は何時も聴いています。フリッチャイは、カラヤン色に染まる前のベルリンフィルの響きがして良いですね。

後は、フィッシャー ディスカウやハンス・ホッターのシューベルト、エディット・マティスのシューマンのリートが好きです。


Commented by DG-mania at 2021-03-27 21:04 x
コメントありがとうございます。やはり好みは似ているのでしょうか。ほとんどの盤は持っています。(フリッチャイのベートーヴェンの第5番はなかなか入手できませんが…)フリッチャイは、フィガロ、ドン・ジョバンニ、新世界、オペラのバレエ音楽、ディスカウトのアリア集、ハーリ・ヤーノシュなどが印象的です。DGの音をいじっていない自然な音質が好きです。
https://tannoy.exblog.jp/32195943/

16. 中川隆[-6263] koaQ7Jey 2021年3月28日 10:29:57 : hlSP5Dnd0Q : YlNjM1dDbFJjQUU=[20] 報告
フォノイコライザーのお薦め品


私は、プリアンプもパワーアンプも真空管アンプを使用している。
大手メーカー製ではなく、サウンドパーツというガレージメーカーのものだ。

簡単にいえば腕のある職人が一つ一つ手作りしたものである。
トランスも、特注の完全手巻きによるもの。
配線は見事な手配線によるもので、回路も完全オリジナルである。

本当に良いモノは大量生産できないのである。

現在使用している真空管はプリアンプが6本(4本がフォノイコライザー部で、2本がプリ部)、パワーアンプが4本(2本が電圧増幅管、2本が出力管)である。

パワーアンプの真空管の少なさは驚きだろう。これ以上シンプルに出来ない2段構成なのである。
しかも完全プッシュプルで完全バランス回路である。

出力25wのアンプに100wクラスのアモルファス出力トランスを使用した大変贅沢なものである。
しかも、このトランスが完全手巻きによるものだ。
https://omsound.exblog.jp/15803511/


私の使用しているサウンドパーツ製プリアンプ LIVE5 に内蔵されているフォノイコライザーはプリアンプ部と含めて40万円である。

私はFMアコースティックの「FM222MKII」400万円弱のものと比較したが、気配の再現性でこのLIVE5に軍配を上げた。

これは衝撃としか言いようが無い。しかしこれが、会社と屋号の違いである。
http://omsound.exblog.jp/17980826/

詳細は

サウンドパーツ 300B プッシュプル・アンプ
http://www.asyura2.com/18/revival4/msg/114.html

17. 中川隆[-6257] koaQ7Jey 2021年3月28日 18:37:03 : hlSP5Dnd0Q : YlNjM1dDbFJjQUU=[30] 報告
フォノイコライザーのお薦め品


EAR 912 \1,980,000(税別)
https://www.yoshinotrading.jp/ear-yoshino-page/912/


EAR 912 音質評価 2011年 10月 逸品館代表 清原裕介
https://www.ippinkan.com/ear_912.htm

EAR社の創立25周年を記念し、またEARのチューブ・テクノロジーの集大成として作られたプリアンプが912です。最高級プロ仕様のMCヘッドトランス付フォノイコライザーを搭載しLINE入力PHONE入力の双方で、最高の真空管サウンドを実現します。


試聴機が届けられる前と届けられたとき、正直これが「198万円」という印象がぬぐえませんでした。

しかし、その音を聞いた後ではその価格が「高い」とは思えなくなってしまいました。今回のテストではCDプレーヤーとトランジスター・プリメインアンプの間に繋いで音質をチェックした(プリアンプのテストでは、音質がどの程度"失われるか?”を確認するため、必ずこのチェックを行います)のですが、驚いたことにCDプレーヤーの価格が一桁上がった!?のではないかと思えるくらい音が良くなったからです。

単なる音量/音質調整器としてのプリアンプを超えた、「音を良くできる(失われた音を復元できる)」プリアンプ(アナログコンピューター)としての能力を兼ね備えプリアンプがEAR 912です。

これ以上の音はあるかも知れませんが、これ以上の音を望まないという意味ですべての項目を満点の10点としました。

使用機材

912のLINE入力の音質テストは、

CD/SACDプレーヤーに AIRBOW X05 Ultimate
アンプにトランジスター方式の AIRBOW PM11S2 Ultimate

を使い、912を使わずに X05 Ultimate と PM11S2 Ultimate を直結したときの音質と、間に912を入れたときの音質を比較しました。

Phono入力の音質テストは、アナログプレーヤーNottingdam Interspace HD(カートリッジは、Phasetach P-3)を912にダイレクトに接続して行いました。スピーカーは、Vienna Acoustic The Musicを使っています。


音質テスト結果


Hilary Hahn Bach Concertos
Los Angels Chamber Orchestra
Jeffrey Kahana (SACD)
Grammophon

 

912を通すと音が浄化されます。

デジタルとトランジスターの組み合わせでは、避けられない「粉っぽさ」や「とげとげしさ」が完全に消え、高域が透き通ってバイオリンの倍音が美しく伸びてゆきます。響きに潤いが出て、部屋の天井を取り払ったように大きく音が上に広がります。

電気的に感じられた倍音の硬さが取れ、弦楽器の高音がまるで生演奏のようにスムースでスィートになります。

どうすればこんな音が出せるのか?全く理解できませんが、アンプやスピーカーが消えて演奏会場に居合わせているような雰囲気です。

過去に数多くの真空管プリアンプを聴きました。驚くほど音が良い製品も沢山ありましたが、これほど「色づけを感じさせないプリアンプ」は今までに聴いたことがありません。優しく透明で、スムースな音。解像度感も抜群です。

Orange Pekoe
10th Anniversary
BEST ALBUN
SUN&MOON (CD)
BMG JAPAN

濁っていた響きが整理され、各々の楽器の音がクッキリします。ボーカルの定位が改善し、口元が引き締まります。

ボーカルと伴奏の前後関係が改善し、立体感が増しています。

中でもボーカルの明瞭感の改善は驚くほどで、CDをSACDに変えたくらい音が良くなります。最高の電源ケーブルとラインケーブルを奢っても、これほどまで音質が改善するか?俄には信じられないほど、音が良くなりました。

極端な例えではなく、20万円のCDプレーヤーを200万円のCDプレーヤーに変えたくらい、音が良くなります。

シンバルの切れ味や響きのリアルだけではなく、すべての音の実在感とリアルさが大きく向上します。クラスの違うシステムを聴いているようです。プリアンプだけでこれほど音が良くなるのは、驚きを通り越して衝撃ですらあります。


ドヴォルザーク 交響曲9番
新世界より
ノイマン/チェコ・フィル
(CD)
DENON

響きの長さ、演奏会場のサイズがまるで変わります。

楽器の織りなすポリフォニックの構造の精度、大きさ、美しさは912を使う前とまるで別物です。現在使っているCDプレーヤーは58万円のX05/Ultimateですが、このプレーヤーをトップモデルのUX1SE/Limited+Antelope OCXの組み合わせにしても、ここまで音は良くならないかも知れません。

CDで聞き比べましたが、912の音質改善をたとえるなら「CDがSACDになったよう」ではなく、「CDが高音質レコードになったよう」という例えが正しいと思います。すべてにおいて改善が著しいので、どこがどうなどと個別に音を評価できません。

外観は素っ気なく少々安っぽい感じも受けますがその音は素晴らしく、メーカー希望小売価格を遙かに超える価値を感じます。真空管プリアンプでこれほど感動したのは、10年以上前に中古で入荷したAudio Research SP10を聞いて以来かも知れません。

同価格帯あるいは遙かに高額なトランジスター・プリアンプを聴きましたが912と比べれば、私にはそれがただの「音量調節器」としか思えないほど912が素晴らしい音に感じられました。

ムソルグスキー
展覧会の絵
チェリビダッケ
/ミュンヘン・フィル
(Analogue Record)
AUDIOR

かなり高性能なプレーヤーとカートリッジを使ったにも関わらず、解像度はCDの方が少し高く感じられました。

響きの透明感や、ポリフォニックの分離もCDがレコードを上回ったように感じました。何よりも中低音の厚みでレコードはCDを大きく上回ります。30cm口径のウーファーが38-40cmにサイズアップした感じと言えば、それが伝わるでしょうか?レコードらしく低音がすこし緩く響きが残るのですが、そのパワー感、押し出し感からは、超大型パワーアンプを連想させます。その低音がAIRBOW PM11S2/Ultimateから出るのですから驚きです。また、少しの濁りやエッジの丸さは感じられるのですが、CDと比べ有機的に感じる”音の濃さ”は凄まじいものがあります。

しかし、最新デジタル機器の素晴らしい音に慣れた今となってはサーフェイスノイズやスクラッチノイズが音に入り、チャンネルセパレーションが悪く、定位も悪いレコードを聴こうとは思えません。音は素晴らしいですが、デジタルの音もすでにレコードを凌駕するほどに進歩したからです。

特別な日にノスタルジーに耽りながら、お気に入りのレコードに針を落とす楽しみは格別ですが、普段はCDで十分です。音も良いですし、音楽もきちんと伝わり、何よりもレコードを痛めるという心配から解放され、より深く音楽に集中することができるからです。

総合評価

プリアンプはパワーアンプには欠かせない「音量調節器」なので、一般には「音を良くできる」という認識はないと思います。また、CDとパワーアンプの「間に入る」のに「情報量が増える」というのは、理解しにくいことだと思います。しかし、今までの経験から良いプリアンプは確実に音を良くすることがわかっています。

電気的には、プリアンプを使うことで信号のインピーダンスが下がり伝達能力が増すため「伝わりきらなかった細かい信号が消えずに伝わり」情報量が増えると説明されます。実際聞いた感じも説明のイメージに近く、良いプリアンプを使うことで細かい音が出てレンジが広くなります。しかし、 私は、ちょっと違う考え方をしています。それを説明しましょう。

プリアンプではなくケーブルでも音が良くなりますが、プリアンプと同じように電気的に説明すると「ケーブルによって消えていた(損なわれた音)が、良質なケーブルを使うことで伝わるようになる」となります。しかし、それでは「測定器のケーブルを変えると得られるデーターが良くなる(改善する)」という矛盾を抱えることになります。測定器ではケーブルの良否を判断できない、聴感上はあれほど音が変わるケーブルを測定できない。測定器に使われているケーブルは、オーディオ用よりも遙かにお粗末なのに得られるデーターは正しい。この矛盾をどのように解釈すればよいのでしょう。私は電気的な説明と違うことが起きているに違いないと思いました。

聞こえる音が変わるのは、電気的な情報損失ではなく人間側(聴覚)の問題だと考えています。人間の聴覚は類似する音に非常に敏感です。関連がある音の「あるなし」の聞き取りでは、測定器を遙かに超える感度を持っています。しかし、物理的に耳殻の構造を調べても、それほど小さな感度の音を拾えるようには思えません。そこで人間の驚くべき聴覚の秘密は、耳ではなく脳にあると考えました。耳が電気信号に置き換えた「音」が脳の中を広がるとき、信号の強い弱いで伝達速度が変わるはずです。また、類似する信号は重なって強まるはずです。つまり、細胞内を伝わってゆく電気信号の形は、音の大小ではなく「神経刺激の伝達パターン」に大きく左右されると考えられるからです。

ケーブルやプリアンプの中を音楽信号が通過すると、その振動(エネルギー)により、響き(付加振動)が発生します。それによって「特定の音響(神経刺激)パターンが強化される」ということは十分考えられます。つまり電気的な情報の変化よりも、「音響パターンの変化」に注目することで、些細なことで音が大きく変わって聞こえることを説明できると思うのです。

真空管プリアンプ(真空管アンプ)は、真空管という「物理的な響きを伴う増幅素子の存在」によって、物理的に信号に響きを付加します。エコーチャンバーやエフェクターのような働きです。EARはこの「響き」を見事に味方に付けて、失われた音楽信号の「パターン」を復元し、人間がいい音と感じる「パターン」を作り出す(強化する)に違いありません。 そう考えると912の素晴らしい音質を理解できますし、失われた音を復元できる装置(つまり非常に高度なアナログコンピューター)と考えれば、その価格も十分納得できると思うのです。

912は単なるプリアンプではなく、最高の音楽復元装置でした。 以前高価な真空管プリアンプとしてEMT JPA66を聴きましたが、さすがにレコードは超高価な昇圧トランスを搭載するJPA66に敵いませんでしたが、CDの音質に関してEAR 912はJPA66を足下にも寄せ付けないくらい素晴らしい音を出しました。

オーディオ機器を単純な「増幅装置」と考えるのは間違っています。それは失われた「音と音楽」を復元できる非常に高度な装置なのですから。
https://www.ippinkan.com/ear_912.htm


詳細は

EAR の真空管アンプ
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/947.html

18. 中川隆[-6256] koaQ7Jey 2021年3月28日 18:45:09 : hlSP5Dnd0Q : YlNjM1dDbFJjQUU=[31] 報告

フォノイコライザー最高級機


EMT JPA66 Mk3
https://www.electori.co.jp/EMT/jpa66mk2.html


■JPA66 Mk3 : 2021年販売 \5,500,000(税込 \6,050,000)、本製品は少量生産の為、完全予約販売となっております。


1940年以来、EMTはプロフェッショナルユーザーの為、優れたブロードキャスト/レコーディングスタジオ用のオーディオ製品を提供してきました。2006年、EMTは創立66周年を迎え、その記念としてハイエンドオーディオファイルの為のフォノレコード用プリアンプ『JPA66』を発表しましました。2009年、『JPA66』は、3年に渡る開発期間を経てフォノレコード用プリアンプの完成形として発売されました。EMTの経験豊かなアナログエンジニアリング技術の粋を集め、サウンドエンジニア、多くの音楽愛好者、音楽スペシャリストならびに膨大なレコードライブラリー管理グループからのフィードバックを加え、実際の使用状況において、丹念にチューニングが最適化されました。

2017年、『JPA66』は、マイナーチェンジを施され『JPA66 Mk2』として新たな一歩を踏み出します。

新機能
メイン出力(RCA とXLR)の同時使用が可能
ポラリティー(極性)スイッチを追加
RCA 出力のグラウンドスイッチ(Lift or Normal)を追加

特徴

『JPA66 Mk2』は、正確な音楽再生というEMTの伝統を受け継いで、すべてのEMTカートリッジをはじめとして多くのフォノカートリッジにフロントパネル上のファンクションから適合設定でき、最良のサウンドを引き出します。現代までの大きな音楽遺産であるフォノレコードすべて、SPレコードから1960年以前のLPレコードまでの様々なイコライザーカーブを正確にデコードするターンオーバー調整とハイカーブ調整機能はその素晴らしいコントロール結果にプロのサウンドエンジニアはもとより、多くのレコード愛好家は驚くことでしょう。

『JPA66 Mk2』はフォノレコードの制作から再生までを熟知したEMTが取り揃えた極上品質のコンポーネントで組上げられています。細心のエンジニアリング、様々なMCカートリッジに対応した2種類のステップアップトランスを搭載、選別保証された三極真空管ECC803Sで行われる全増幅段、EMT930や927スタジオターンテーブルのような優れた操作性、ユニークな人間工学に基づくデザインにより、貴重なレコードコレクションからアナログならではの美音を浮かび上がらせます。また、フォノレコードだけでなく三極真空管ECC99によるラインアンプはEMTならではの高品質出力トランスを備えCDソースもフォノ同様のグレードで再生、コントロールセンターと呼ぶに相応しいプリアンプとなっています。

『JPA66 Mk2』とRIAAカーブについて

高音域はレベルが低く記録振幅も狭くなり、レコード材質や塵埃の影響によるノイズが大きくなります、また一方低音域はレベルも高く記録振幅も大きくなります。従ってそのままカッテイングすると、一枚に記録される時間が短くなり、楽曲の連続性に支障がでます。そこで高音域を高いレベルで、かつ低音域を低いレベルでカッテイング、再生時に補正して周波数特性を平坦にするイコライジング技術が用いられました。これは当時の普及型ピックアップカートリッジの特性にマッチしてイコライザーなしで使用できる利点もありました。

このイコライジング特性はRIAA(Recording Industry Association of America) が1952年にRIAAカーブとして規格化を提唱するまで、各レコード会社それぞれが「より良い音質のため」また自社のピックアップ販売などの為に別々の設定がなされ、またカッティングシステムのメーカーなどによっても多種多様でした。しかし1952年からのレコードが全てカーブ準拠のステレオ録音になったわけではなく、1950年代後半まではRIAAカーブと様々な従来のカーブのレコードがオーバーラップした時代が続きました。これはRIAAカーブ対応の再生装置の普及と無関係ではありませんでした。またRIAAカーブとしての規格統一化はステレオ録音レコードの登場とほぼ同時期であったため、その後のステレオレコードの多くはRIAA規格に準拠しています。

EMTではSPレコードからステレオレコードまでの様々な100レーベル以上の調整ガイドラインを取扱説明書に記載しています。これにより、『JPA66 Mk2』ではTurnover 500Hz/hf-Curve 75μmの正確なRIAAカーブでの再生はもとより、SPレコードや、Mono LPレコードの各レーベルそれぞれのイコライジング特性に合わせたセッティングが可能になり、本来の再生周波数特性が得られます。SPレコードや、Mono LPレコードを適正なイコライジングで再生しますと、今までRIAAカーブでのみ再生していたサウンドとの違いに驚かれることでしょう。『JPA66 Mk2』では当時の最先端技術であったレコード音楽芸術を忠実にかつ当時の再生技術ではなし得なかった高音質で今それを享受することが可能になりました。


仕様

4 系統フォノ入力
(標準仕様)

Phono1:中〜高インピーダンス / MCカートリッジ用、全てのEMTスタンダードバージョンカートリッジ、その他に適合、入力ロード/レベル微調整可能
(感度/負荷抵抗:1mV, 200Ω –50%/+100% )

Phono2:低インピーダンス/低出力MCカートリッジ用、オルトフォンその他、入力ロード/レベル調整可能(感度/負荷抵抗:0,250mV, 47Ω –50%/+100%)

Phono3:MMカートリッジ用または外部MCステップアップトランス経由用、47kΩマッチング、入力ロード/レベル調整可能(感度/負荷抵抗:5mV,47kΩ –50%/+100%)

Phono4:高出力(MONO)MC、MMカートリッジ用、入力ロード/キャパシタンス調整可能(感度/負荷抵抗/CAP負荷:5mV(fix)/47kΩ –50%/+100%/Normal+100/220/330pF)
ラインレベル入力 2系統 各Balance(XLR) or Unbalance(RCA)

可変イコライザー (1)Turnover調整(200Hz 〜 2kHz) (2)hf-Curve 調整(0μs 〜 75μs/RIAA)
サブソニックフィルタ回路 -20dB/10Hz,-30dB/7Hz,-40dB/5Hz(ヒューマンヒアリングを分析して設定)
スクラッチフィルター (50kHz 〜 3kHz)
ゲイン MM 53dB; MC 73dB, Phono 1-3 adjustable +/- 10dB
周波数特性 10 〜 40,000cps +/- 0.5dB
全高周波歪率 0.05% @ 14 dBu output level
最大出力 +27dBu/17.40V RMS(内部ゲイン切替:LINE レベル 0/-6/-12dB、PreAmp ゲイン+12/+18dB)
電源/消費電力 100VAC, 50/60Hz, selectable –20%/+10%、85W

外形寸法/重量 本体 W482 x H145 (200 foot 使用時) x D400mm、11kg
電源部/PSU 482 x 135 x 235mm、13.4kg

使用真空管 ECC 803S type x 6, ECC 99 type x 2
価格 5,200,000 円(税別)

後継機 JPA66 Mk3 : 2020年末販売予定、本製品は少量生産の為完全予約販売となっております。
https://www.electori.co.jp/EMT/jpa66mk2.html



▲△▽▼


EMT創立66周年記念(Jubilee Series)
Varia Curve Tube Stereo Preamplifier 
【管球式 All Curve Drive ステレオプリアンプ】EMT JPA66
https://www.ippinkan.com/emt_jpa66.htm


1940年以来、EMTはプロフェッショナルユーザーの為、優れたブロードキャスト/レコーディングスタジオ用のオーディオ製品を提供してきました。2006年、EMTは創立66周年を迎えました。その記念として、ハイエンドオーディオファイルの為の新型フォノカートリッジJSD5/JSD6を発表しました。それに続き、トップクォリティーのフォノレコード用プリアンプ機器を発表いたします。

JPA66は、EMTの経験豊かなアナログエンジニアリング技術の粋を集め、サウンドエンジニア、多くの音楽愛好者、音楽スペシャリストならびに膨大なレコードライブラリー管理グループからのフィードバックを加え、実際の使用状況において、丹念にチューニング、最適化されました。JPA66は、革新的な技術と使い易さが一体となった、非常に多機能なレコードコントロールセンターとなります。


イコライザー調整部

フロントパネルのつまみでRIAAカーブを細かく調整可能で、あらゆるレコードにベストのカーブを設定できます。
上段左の写真には、周波数可変のスクラッチノイズフィルターのつまみも写っています。

 

フォノイコライザー回路

昇圧比の異なる2種類の昇圧トランスを搭載した2系統のフォノステージに加え、MM、高出力モノラルカートリッジに対応した合計4系統のフォノ入力を備えています。搭載されるトランスはAIRBOWオリジナルのBV33にそっくりです。


本体リアパネル

4系統のフォノ入力の中で1〜3は、バランス入力にも対応しています。ライン入力はアンバランス2系統のみ、出力は、アンバランス/バランスの各1系統で音量をフロントパネルのボリュームつまみで可変できるので、プリアンプとしてお使い頂けます。

主な特長

JPA66はEMTの目的である最先端のイノベーションを実証、正確な音楽再生という我々の豊かな伝統を受け継いで、すべてのEMTカートリッジをはじめとして多くのフォノカートリッジにフロントパネル上のファンクションから適合設定でき、最良のサウンドを引き出します。

現代までの大きな音楽遺産であるフォノレコードすべて、SPレコードから1960年以前のLPレコードまでの様々なイコライザーカーブを正確にデコードするターンオーバー調整とハイカーブ調整機能はその素晴らしいコントロール結果にプロのサウンドエンジニアはもとより、多くのレコード愛好家は驚くことでしょう。

JPA66はフォノレコードの制作から再生までを熟知したEMTが取り揃えた極上品質のコンポーネントで組上げられています。細心のエンジニアリング、様々なMCカートリッジに対応した2種類のステップアップトランスを搭載、選別保証された三極真空管ECC803Sで行われる全増幅段、EMT930や927スタジオターンテーブルのような優れた操作性、ユニークな人間工学に基づくデザインにより、貴重なレコードコレクションからアナログならではの美音を浮かび上がらせます。また、フォノレコードだけでなく三極真空管ECC99によるラインアンプはEMTならではの高品質出力トランスを備えCDソースもフォノ同様のグレードで再生、コントロールセンターと呼ぶに相応しいプリアンプとなっています。

主な仕様

・4系統フォノ入力(標準仕様)
  Phono1:中〜高インピーダンスMCカートリッジ用、全てのEMTスタンダードバージョンカートリッジ、その他
  入力ロード/レベル微調整14能(感度/負荷抵抗: mv、200Ω-50%/+100%)

  Phono2:低インピーダンス/低出力MCカートリッジ、オルトフォンその他
  入力ロード/レベル調整可能(感度/負荷抵抗: 0,250 mv、 47Ω -50%/+100%)
  Phono3:MM カートリッジ用または外部MCステップアップトランス経由用、47knマッチング
  入力ロード/レベル調整可能(感度/負荷抵抗:5 mv、 47kΩ -50%/+100%)
  Phono4:高出力(MONO)MC、MMカートリッジ用
  入力ロード/キャパシタンス調整可能
  (感度/負荷抵抗/CAP負荷:5mv(fix)/47kn-50%/+100%、Normal+100/220/330 pF)

・2系統ラインレベル入力:500 mv to 5 volts RMS, 20kΩ(3ステップで内部調整可能)

・全てのステレオ、モノラル(78回転SPを含む)レコードの為の可変イコライザー
  (1)Turnover調整(200Hz〜2kHz)
  (2)hf-Curve調整(Oμs〜75μs/RIAA)
・スクラッチフィルター(50kHz〜3kHz)
・初期のアコースティック録音盤のためのEQバイパススイッチ
・高度に最適化されたサブソニックフィルター回路
  -20dB/10Hz,-30dB/7Hz,-40dB/5Hz(ヒューマンヒアリングを分析して設定)
・フォノ入力用のステレオ/モノラル切替、及びミュートスイッチ
・ゲイン:MM 53 dB; MC 73 dB, Phono 1-3 adjustable +/-10 dB
・周波数特性:10〜40,000 cps +/-0.5dB
・全高周波歪率:0.05%@14 dBu output level
■最大出力:+27 dBu/ 17.40V RMS
  (内部ゲイン切替:LINEレベル0/-6/-12dB、PreAmpゲイン+12/+18dB)
・電源/消費電力:100VAC to 230VAC, 50/60Hz,selectable -20%/+10%、85W
・外形寸法/重量:本体482×145(200foot使用時)x400mm、11kg、電源部/PSU 482X135×235 mm、13.4kg
・使用真空管:ECC 803S type x 6, ECC 99 type x 2
・価格:3,800,000円(税別)(本製品は少量生産の為、完全予約販売となっております。)

(説明文、主な仕様はエレクトリホームページより抜粋)

今年の4月に高精度クロックジェネレーターAntelope Audio OCXの力を借りて、愛機AIRBOW UX1SE/LTDから最高のレコードに匹敵するサウンドを引き出すことに成功してからさらに2ヶ月間、OCXの輸入代理店「プロメディア」から追加で届いたAntelope Audioのアトミッククロックジェネレーター[10M]やBrainstorm [DCD-8]、Real Sound Lab Apeq8chバージョン試作機など、進化した最新デジタル機器の想像を絶する音質に文字通り「やられっぱなし」だった。もうレコードは要らない、3号館にあるレコードも邪魔になってきた、そんな思いが脳裏をかすめた時、アナログの頂点を極める最新機器をまだ試聴していなかったことに気がついた。それが、EMT JPA66だ。

JPA66は、EMTの創立66周年を記念して作られた「オール真空管」のステレオプリアンプで、フォノイコライザーは何と4系統も搭載されている。Line入力はアンバランスが僅かに2系統しか装備されないが、その潔さ無骨な外観の恰好よさ、これこそまさに「アナログの頂点」にそそり立つコンポーネントにふさわしい骨太な機器だ。詳しい技術的な説明は、輸入代理店エレクトリのホームページをご覧頂くとして、早速その音質を聞いてみよう。

レコードプレーヤー Nottingham Interspace/HD

カートリッジ Phase Teck P3

AIRBOW'セパレートアンプCU80/Special&MU80/Fine Tune

パワーアンプ  AIRBOW CU80/Special + MU80/Fine Tuned (ボリューム最大で使用)

スピーカー    Zingali1.12

試聴テスト

The L・A・4

PAVANE POUR UNE INFANTE DEFUNTE

 

BUD SHANK

LAURINDO ALMEIDA

RAY BROWN

SHELLY MANNE

The L・A・4 “亡き王女のためのパヴァーヌ”

電源投入直後にレコードを聴いたにもかかわらず、最初からすごい音が出てくる。

ウィンドチャイムの音が素晴らしく美しい。一切の澱みや濁りを感じさせず、レコードを聴いているとは信じがたいほど透明な空間に、しかしレコードでなければ出せない甘美な音色でチャイムの音が空間に溶け込んで行く。そのコントラストの鮮やかさは筆舌に尽くしがたい。

フルートの音には、アナログらしいしっかりした厚みと滑らかさが感じられる。ウッドベースの響きは、これ以上ないと言うほど濃密で木質的。柔らかいフルートの響きと暖かいウッドベースの響きが絡み合い、空間を見事なハーモニーで満たす。

ギターの音は弦の乾いた音とスプルースの美しい響きのバランスが絶妙で、人間が直接弦に触れながら音を出す楽器ならではの「強い説得力(濃密な音色の変化)」が心を鷲づかむ。

アルトサックスもレコードならではの甘く太い音でむせび泣く。

バド・シャンクは再び楽器をサックスからフルートに持ち替え、シェリーマンが奏でる美しく優しいウインドチャイムの音色とレイ・ブラウンの知的で抑えめなウッドベース、ローリンド・アルメイダの甘く美しいギターの響きのそれぞれが見事なハーモニーを奏でながらクライマックスへと曲が上り詰めて行く。

そしてフィニッシュ!すべての響きが無音の空間に吸い込まれて行き、感動の余韻だけが耳に残る。

たった一曲を聴く充実感がこれほど大きいものだとは!L・A・4の演奏がこれほどアーティスティックだったとは!

演奏者に高い緊張感を強いるダイレクトカッティングのレコードでこれほどまでに素晴らしい演奏を残せる名人芸。安易なデジタル編集で簡単にできあがる音楽には、決して求めることのできない「本物の感動」がそこにあった。

ジェシー

 

V:峰純子

P:ハンク・ジョーンズ

B:ジョージ・デュビビエ

D:グラディ・テイト

峰純子 “ジェシー”

このレコードはなぜか好きで、一番良く聞いている一枚に入る。ミュージシャンでは、ピアニストのハンク・ジョーンズだけが日本のJAZZファンになじみ深く、ドラムのグラディ・テイト、ベースのジョージ・デュビビエは、名前がほとんど知られていない。ボーカルの峰純子も、阿川泰子などにくらべてあまり名前の知られたボーカリストではない。でも彼らが集ったこのディスク、特にアルバムタイトルの「ジェシー」を初めて聴いた瞬間からなぜか強く心が引きつけられ、私は一発で峰純子のファンになってしまった。

EMT JPA66で聴く峰純子は、厚みのある暖かい声だ。女性ならではの優しさや包容力、色艶を感じさせる声が大げさではなく生きるエネルギーを与えてくれる。

楽器は、低音の厚みがすごい。

カートリッジにどちらかと言えばやや無機的で日本的な音のするPhase Tech P3を使っているにもかかわらず、まるでEMTのカートリッジを使っているような分厚い濃密な音が出る。しかし、音場に濁りは一切無く、依然として透明感は非常に高い。

厚みがあって、濃密でありながら、透明感も高い音。聴かずとして、そんな音が想像できるだろうか?

楽器の分離は完全で各々の楽器の音色の違い、演奏者の楽音のデリケートなコントロールが見事に再現される。

音の出方や雰囲気が本当に「生演奏」に近いから、音が細かいとか、分離感がよいとか、そういう「オーディオ的なコメント」を書くことができなくなる。

ボーカルは語りかけ、ベースは弾み、ドラムは時に爆発する。ピアノはボーカルに美しく寄り添って鳴る。30年の時を超えて名演奏が目の前に蘇る。ああ、なんて素晴らしい時間だろう!この時間を買うことができるなら・・・。感動はプライスレス。つまらないコマーシャルの言葉ですら、俄に真実味を帯びてくるほどの素晴らしい音でジェシーが鳴った。

八神純子

 

素顔の私

八神純子 “素顔の私”

日本を代表する女性ボーカリストの彼女は、すでに50才を超えた現在もファンが多い。パッと出で長続きすることのない、今のアイドル系ボーカリストとは比較にならない息の長さが、彼女の「ボーカリスト」としての実力の高さを裏付けるが、このレコードの一曲目を聞けばその理由が分かるはずだ。

八神純子の独特の透明な声は、美しい楽器の音を聞いているように心に響く。言葉にならない、ハミングを聞いているだけでも心地よく楽しくなる。J-POPの歴代の女性ボーカリストで、これほどの素晴らしい声の持ち主はそれほど多くはない。残念ながら、今は歌手としての実力よりも「外観」が遥かに重要視されているから、よほどのことがない限り、こんな本格的な歌手が今後輩出するのは難しいかも知れない。

EMT JPA66で聴く彼女の声は透明なだけでなく、訓練を積んだボーカリストらしい厚みと艶が感じられ、良質な楽器のように心にストレートに突き刺さる。

さらに驚いたのは、このレコードにハーモニーとして収録されている男性ボーカルが完全に分離し、そのボーカルのレベルもとても高く聞こえることだ。伴奏のレベルも高く、ミキシングも素晴らしい。J-POPのレコードで「主役のボーカル以外の音」がこれほどの音質で録音されていたなんて今までちっとも気づかなかった。

八神純子がドレスで正装して最高のステージに立って歌っているような、晴れ晴れとした明るい雰囲気が伝わってくる。しかし、このレコードを録音した現場はスタジオに違いないから、ステージに立って観客を前に歌っているように聞こえるのはすこし違うのかも知れない。だが、例えそれが録音の真実だとしてもスタジオで窮屈に謳っているように聞こえるよりは遥かに良いはずだ。

開放的でエネルギーに満ち溢れた、そういう音でJ-POPが見事に鳴る。伴奏の弦楽器の音は、ホールで聞くように美しい。こんな音なら、いつまで聞いても聞き飽きることはない。そして何度と繰り返し聞くことで感動が深まっても、それが色あせるなんて想像することすらできない。素晴らしい音楽は永遠に素晴らしく、感動は常に新しい。

チェリビダッケ
展覧会の絵

 

HQ-AUD-600

チェリビダッケ “展覧会の絵”

JAZZやPOPの試聴でJPA66がどれほど素晴らしい製品であるか、まざまざと感じ取れた。しかし、誤解を恐れずに言うなら音楽の本道「クラシック」は避けて通れない。クラシックを聞かずして機器の評価を下すことなどできない。

第一にクラシックを鳴らすのは、オーディオで最も難しい。なぜなら、楽器の数が圧倒的に多いからだ。録音されて電気信号に置き換えられる音を一本の線とするなら、10台の楽器は10本の線が混ざった波形になる。交響曲では100台近い楽器と、それらがホールで反射した音がマイクに入るから、その波形の複雑さは想像を絶する。さらに一曲の中にこれほど大きな音と小さい音が混在する音楽も他に類がない。それほど複雑で深い音が「たった一本の波形」に収められそれが見事に再現されるのだから、オーディオ(録音)という技術は驚くべき能力を持っている。私は時々それをとても不思議に思う。理屈としては分かっていても、レコードを目の前にしてこの細い一本の溝の中にあれほど豊富な音楽芸術が収められているとは信じられない。そして、その細い一本の線からこれほど豊富な音が取り出せるなんて!すでにそれは私の理解の範囲を大きく越えて、奇蹟と呼ぶしかない。

チェリビダッケの振るオケは、速度が異常に遅いことがある。その極端にゆっくりした演奏のためか、彼は暗く地味な指揮者だと誤解されがちだ。もちろん、決して明るく快活な演奏とは言えないが、彼の振るピアニッシモの静寂が比類しないように、彼の振る演奏に秘められたエネルギーの大きさも比類がないと私には感じられる。

この細い溝のどこにこれほどのパワーを封じ込められるのか?EMT JPA66からは、聞かなければ絶対に理解できないほどの深く厚く重い音で展覧会の絵の低音部が鳴る。さらに驚くべきなのは、チューバの太く重い音が入っても他の楽器の音がマスキングされず完全に分離して聞こえることだ。レコードなのに低音に大音量が入っても、中高音のデリケートな音が一切揺らがない。このふてぶてしいまでの安定感はなんだ!真空管を素子として使っているにもかかわらず、トランジスターアンプを遥かに超える良質な低音と安定感が実現する。中高域の透明感と濁りのない分離感は、真空管らしい美しさを保ったままに!

楽音の一つ一つ、すべてのハーモニーが明確な説得力と深みを持って押し寄せてくる。完璧なオーケストレーションを目差し、それを成し遂げたチェリビダッケの真骨頂が眼前に見事なまでに再現される。すごいなぁ。

ヨゼフ・シゲティー

 

バッハ

無伴奏バイオリン

ソナタ全集

(2枚組)

ヨゼフ・シゲティー “無伴奏バイオリン・ソナタ全集”

この演奏でシゲティーは、ガルネリデルジェスを愛器とし枯れた音を出していた。しかし、若い頃の演奏はまったく違い、常に煌びやかで美しい音をバイオリンから出していた。著名なバイオリン演奏者のナタン・ミルステインのように美しい音をだ。そんな彼が、なぜこれほどまで虚飾を廃した「枯れた音」でバッハを演奏するようになったのだろう?確かにナタン・ミルステインの奏でるバッハ無伴奏バイオリンソナタは、華麗で美しい。しかし、シゲティーを聞いた後では、なぜか軽く感じられる。晩年のシゲティーが演奏するバッハ、その枯れた音には、彼の演奏家人生に等しい重厚さが感じられる。この演奏は、シゲティーの集大成にふさわしい。

シゲティーが奏でる枯れた音と虚飾を廃した弓使いが、バッハの曲に見事にマッチする。空(虚)を極めることが美に結実する「禅の心」にも似た求道的な演奏だ。美が無に繋がって行くようなカザルスの演奏も好きだが、無が美に繋がって行くようなシゲティー的なバッハの解釈も私は好む。演奏のスタイルはまったく逆だが、彼らに共通して感じるのは、すべてのエゴから解き放たれた無心の境地の美しさと静けさだ。

話は少し戻るが、峰純子のレコードをEMTのXSD-15で初めて聞いたとき明らかにテンポが遅く感じられて、思わずストロボスコープでレコードプレーヤーの回転をチェックした。当然回転数は間違っていなかったが、それでもテンポは明らかにゆっくりに聞こえた。JPA66も同じでレコードプレーヤーの回転数をまったく変えていないのに、明らかに「曲がゆっくりになった」ように感じられる。

その後のAIRBOWでの音作りの経験から、音の立ち上がり部分を僅かに遅くすることでそういう「遅延効果」とEMT製品に共通する独特な「音色のコントラスト感の向上効果」が得られることを知った。しかし、カートリッジのXSD-15といい、CDプレーヤーの986といい、フラッグシップのJPA66といい、その絶妙なさじ加減は私の手の届く範囲にはない。私がまだ上手く踏み込めないでいる領域で彼らは易々と音を作る。そのテクニックには、常に舌を巻かされる。

EMT JPA66で聞くガルネリの音は音の出始めの切り込み部分の角が少し丸く、生音に比べるとアタックが明らかに甘くなる。結果として張り詰めた緊張感が少し殺がれる。それは、EMT独特の厚みやコントラストの強さを得たことによる副作用だが、得られた「良さ」と比べれば、失ったのは取るに足りない微細な部分だ。

このレコードと同じマスターから作られたCDを数え切れないシステムで聞いてきたが、バイオリンのビブラートはJPA66が最も細かい。CDで最小と思われたビブラートの中にさらに小さな音の揺らぎ(すなわち、さらに小さいビブラート)が聞き取れる。余韻部分の響きの良さ、バイオリンのコントロールのデリケートさも筆舌に尽くしがたい。

CDでは聞くことのできない音の深み、演奏の美しさがエッセンスとして加えられる。実際のバイオリンの響きは、もう少し硬質だと思うけれど、僅かに肉が付いたこの美しい響きも決して悪くないし、一般的にはこの音が好まれると思う。

バイオリンのソロ演奏を聴いても感じるのは、EMT JPA66再生音の安定感の高さとバランスの良さ。どんな大きさの音が入っても、どれだけ多くの音が入っても、それによって他の音が揺らぐことがない。大木が大地に深く根を下ろし、幹もまったく揺らぐことなく、葉だけが自由に揺らめいている。例えるなら、そんなイメージかも知れないが、これほど音の芯がまったくぶれない安定感のある音を出すプリアンプを他に知らない。

もちろん安定感だけが高いアンプなら他にもあるが、そういうアンプは概して響きが悪く、音が硬かったり、冷たかったり、平面的であったり、無機的な音の製品がほとんどだ。それに対しAクラスや無帰還の製品に多い有機的な音が出るアンプでは、音の芯が不安定になって音像がぼやけてしまったり、音量や音数によって音色がぶれてしまうことがある。JPA66はそのどちらの長所も兼ね備え、欠点は一切引き継いでいない。これがEMTが目差して来た、そして目差している音なのだろう。矛盾を矛盾と感じさせず、長所だけを両立させうる手腕は、見事という他はない。

ヨゼフ・シゲティー

 

バッハ

無伴奏バイオリン

ソナタ全集

(CD/2枚組)

ヨゼフ・シゲティー “無伴奏バイオリン・ソナタ全集” <CD>

デジタルプレーヤーにAIRBOW UX1SE/LTD、クロックジェネレータにAntelope Audio OCXを使いEMT JPA66のライン入力に接続して音を聞く。

レコードと比べると音数が少なく、バイオリンの質が落ちて聞こえる。決して悪い音ではないが、情報量が減ってしまったことが聞き取れるのであまり面白くない。そこでJPA66を使わずにUX1SE/LTDをCU80/Specialに直接繋いでみた。

高域の立ち上がりが早くなり、バイオリンの音にちょうど良い「硬さ」が出た。音色の濃さや音数の多さではレコードに軍配を上げるが、音の正確さ、特にアタックの再現の正確さではUX1SE/LTDがJPA66を明らかに凌ぐ。正確さを旨とする、デジタルの面目躍如だ。

EMT JPA66でレコードを聞くと、響きが多い通常のコンサートホールの中央付近で演奏を聴いているように感じられた。それをCDに変えると小さなコンサートホールの舞台袖、もしくはスタジオで演奏を聴いているように感じられる。音の正確さや楽音の関係の正確さはUX1SE/LTD、すなわちデジタルがEMT JPA66で聴くアナログレコードを凌いでいる。甘美さではレコード、正確さではCD。音楽性は甲乙付けらない。

どちらも素晴らしい。考えられないくらい贅沢な聞き比べだが、それは決して疲れるものではなく、心がワクワクするものだった。その“ワクワク“は、私の筆の勢いからも察して頂けると思う。頂点に君臨するオーディオは、デジタル、アナログにかかわらず、どちらも素晴らしいものだった。オーディオが未来に向けて進歩を続けていることを確信できた比較試聴だった。

試聴後感想

L・A・4が録音されたのは1977年でレーベルはEast Wind、2枚目に聴いたジェシーは1980年の(株)ロブスター企画による録音だ。このジェシーの録音を行ったロブスター企画には、オーディオマニアが皆知るパイオニアが技術提供を行うなど、アナログの全盛・集大成といえる録音の良いレコードだ。

しかし、その2年後の1982年にはSONYからCDプレーヤー第一号機「CDP-101」が発売される。それから「たった30年」しか過ぎていない。しかし、1980年に隆盛を誇った「高音質レコード・レーベル」は、今や生き残ってはいないし、それに取って代わった「CD(デジタルディスクメディア)」ですら、10年先には存在しないだろうと言われている。この30年は、音楽とオーディオにとって何と遠い30年なのだろう。

30年が遠い昔なのはオーディオや音楽だけではない。私たちの「暮らし」もこの30年で大きく変わっている。それはすべて「デジタル」の発明と進歩によるものだ。特にパソコン(デジタル)とインターネットの発展は、人間の文化を著しい速度で根底から変えている。

最も大きく変わってしまったのは「コスト」の概念。インターネットの情報は莫大で、しかも無料で手に入る。10年前なら「安い買い物」をしようとすれば、交通費と時間をかけて一軒一軒、実際のお店を尋ねなければならなかった。それには莫大なコストがかかるから、少しぐらいの価格差をあまり問題とせず商品は売れた。それが今はどうだろう?私たちは「莫大な無料の情報」を利用して一円でも安いショップを探し、希望価格や希望のサービスが得られなければ買い物をしなくなった。結果として仕入れコストが高い小規模なお店や、情報流通の変化に対応できない企業は、皆潰れるか青息吐息になってしまっている。

こんな馬鹿馬鹿しく安易な「最終競争」を引き起こしたのはすべて制御されない情報流通、すなわちインターネットの責任だ。企業はすべからくコストダウンを求められ、結果としてそれが「先進国の深刻な不景気」を引き起こしている。人件費で太刀打ちできなくなった先進国は、情報戦争を仕掛け「投資」や「金融」の市場に利益を求めている。しかし、それもいつまで続くのかは分からない。リーマンショックやギリシャが引き金となったユーロ不安は、現代社会が抱える矛盾とその限界点を垣間見せただけかも知れない。

インターネットによる「余計な情報」の蔓延により、人々は「見なくても良いもの」を見てしまい、結果として世の中がスムーズに成り立つために必要な「寛容さ」を失いつつある。人々は精神を病み、幸せを探している。音楽業界も例外ではない。音楽がデジタルデーターになり、音質を劣化しないコピーが実現した。さらに悪いことにコピーしたデーターを「勝手に譲渡する」不法行為が蔓延している。数千円するCDをたった10分で完全にコピーでき、さらにファイルになってしまえばそれが僅か数秒でコピーでき、知人にメールでも送れるようになってしまえば「それをするな」と言う方が無理な注文だ。だからといって不法行為を擁護するつもりは一切無いが、音楽業界(特に演奏者)の健全な発展を望むなら、コピーや無断譲渡に対し抜本的な規制を行わなければならないのは、火を見るよりも明らかだ。

レコードプレーヤーの試聴記事でなぜこんな話を持ち出すのか?それは、文化というものは「安定した基盤の上」にしか育たないことに気付いて欲しいからである。例えばその基盤がNHKのような国営事業であったり、日本なら江戸時代のように安定した王政であったり、利益を出し続けることが保証された強い企業であったり、とにかく文化の育成と成熟には「安定した強力なパトロンの存在」が不可欠だ。しかし現代社会にそれほど長期安定したパトロンは存在し得えない。

パトロン不在により音楽文化が荒廃している。その結果、変わってしまった最新ベストセラーCDを教えられた私は愕然とした!何とそれは「アニメソング」だったのだ。しかも、それを購入する人達は「中身(演奏)」ではなく「外観(パッケージの絵)」が目的だという。パッケージメディアの衰退を考えれば理解できることとは言え、インターネットによる文化破壊はここまで進んでしまったのだ。しかもそれを元に戻すことはできない。

だが、覆水盆に返らず。過ぎたこと、変わったことを嘆いていても仕方がない。新しい仕組みの中に「新しい文化」を根付かせなければならない。私を中心とした逸品館のスタッフはそのために最新のデジタル機器やPCオーディオにどこよりも積極的に取り組み、ここ数年で音質改善に非常に大きな成果を上げることができた。そのお披露目を6月12日〜13日に東京恵比寿にあるmarantzショウルームでの試聴会で行ったが、いくつかのデモの最中に会場のお客様から、おもわず「すげぇ!」という言葉が聞けた。私が言うのもおこがましいが、その時の音は私もそして誰もが初めて体験する「すごい!」ものだった。このようにデジタルは確実に進歩した。それもここ数年で驚くべき進歩を遂げている。私は誰よりもそれをよく知っている。

デジタルの進化により私の記憶から薄れかけたレコードの音。3号館には千枚近いレコードを所有しているが、実際に針を落としたことのないディスクも多い。そのレコードすべてをデジタルデーターに変換し、適当なデータストレージに保存すれば、利便性と省スペース性は格段に向上する。レコードよりさらに多い軽く三千枚を超えるCDもそのようにすれば、「保管コスト」も大幅に安くなる。つまりデジタルの進歩を突き詰めれば、オーディオはいわゆる「PCオーディオ」へと変遷する。それは避けらない変化であり進歩であるが、PCオーディオという言葉を聞いた瞬間「自分の中で何かが崩れるような強い焦燥感」を感じたのも事実である。

EMTのフラッグシップJPA66を見て、触れてその音を聴くと崩れて行きそうな「何か」の正体がしっかりとつかめる。それは、単なるノスタルジーではない。芸術に触れるとき、音楽を聴くとき、その前に自分自身の集中を高め、心を一段と高い位置に揚げるために欠かせない「作法」がある。

レコード盤を注意深くジャケットから取り出すこと、レコードの穴の周りに「ヒゲ」を付けないようにレコードをターンテーブルに載せること、静かに針を落とすこと。その一連の流れを面倒と厭わず真摯に突き詰めれば、その動作自体を確固たる「高い文化」や「芸術」にまで昇華させられる。心を込めてレコードと向き合えば、「茶道のお手前」のようにレコードから音を出す動作を「作法」のレベルまで高められるだろう。

お茶を呑むという行為よりもそこに至る過程をより重要視する「茶道」と同じように、オーディオにも「音楽を味わうため準備」が必要ではないだろうか?レコードにはそれがある。針を落とすまでの緊張が心をヒートアップし、音楽を聞くための準備となる。だが、ワンクリックで好きな音楽を取り出せるPCオーディオが、はたしてレコードと同じような芸術の領域に至るのだろうか?戦後間もない時代から、レコードで音楽に触れてきたオールド・オーディオファイルが、PCオーディオを好まないのはそう言う理由からではないのだろうか?

確かにそれは「古い考え」かもしれない。メディアとしてすでに前世紀の遺物となりつつあるレコードを聞くための装置という成り立ち、380万円という高価な価格、そのいずれをとってもEMT JPA66は一般的な装置ではない。しかし、その音は紛れもなく本物だ。EMTが長く培ってきた「音作りの文化」、そのすべてがJPA66に凝縮されている。本当の文化財産というものは時間の経過で劣化することはないし、愛好家はそれを劣化させてはならない。時代を経ても人々に愛され続け、より強く輝けるものこそ本物の「文化財産」であろう。そういう意味においてJPA66は生まれながらに名器だし、その名声は時代を経ても変わることはない。

JPA66は、「ただのオーディオ装置」であるが「ある種の文化財産」にまで仕上がっていると感じてしまう。だからこそJPA66を見て、触れて、音を出した瞬間、私はJPA66が「無意味」に欲しくなった。流行を追うのも悪くないし、それなりの快感はある。でもつまらない家電や車、すぐに陳腐化するデジタルカメラやパソコンなどに大金をつぎ込むくらいなら、私は「無意味」なJPA66を心から欲しいと思う。

生命を維持するためにまったく役に立たない「文化」とは、突き詰めれば無意味なものだ。それは食えないし、腹を満たしてもくれない。しかし、そういう無意味なもの無価値なものに「価値を見いだす余裕」こそ、人間が見失ってはならない「人間らしさ」だ。効率化を極限的に求めた行く先には人間性の欠如が待っていると、うすうす気付いているからこそ我々は時として「高価なオーディオ機器」に強く引かれるのだろう。高級時計や一眼レフ、高級車に引かれるのも同じ理由だろう。日常に味わえる「非日常」、無駄を余裕や贅沢さに感じさせられるテイストを持つ製品こそ、真の高級品と呼べるのだ。

JPA66が奏でる音楽を聴いていると、無意味なもの、邪魔なものを排除しないゆとりと大らかさこそが現代社会に最も必要であり、人間が未来に伝えなければならない「文化」なのだと確信する。

2010年6月 清原 裕介

https://www.ippinkan.com/emt_jpa66.htm

19. 中川隆[-6255] koaQ7Jey 2021年3月28日 18:46:36 : hlSP5Dnd0Q : YlNjM1dDbFJjQUU=[32] 報告
フォノイコライザー 伝説の名器

オールド マランツ
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/635.html

20. 2021年3月30日 13:25:17 : Mk6i2Jm7R2 : cWt3SDk2UmtRZDY=[22] 報告
横浜のMさんと夜香さんが満を持して 1 : GRFのある部屋 2021年 03月 28日
https://tannoy.exblog.jp/32207205/

土曜日の朝、横浜のMさんから突然電話が入り、明日は大嵐になりそうなので、明日に予定している夜香さんとの訪問を今日にならないかと尋ねられました。今日の夕方は、H氏邸への訪問が決まっています。まずは夕方の時間を少し遅くしていただけるか、Hさんにメールを送りました。本来の訪問時間は、夕方の5時半頃だったのですが、おそらく七時頃にはなるとお伝えしたら、それでも、今日の方が良いとのことで、ご承諾をいただきました。同時に待ち合わせをしている大山さんにも、急遽、横浜のMさんと夜香さんが、来られる旨をお伝えしてして、了承をいただきました。

そして、Mさんにご連絡して、午後から夕方の時間を空けましたとお伝えしたのですが、今日は、今週の強行軍の疲れが出てきたのと、明日、お二方が来られるので、直前の調整をじっくり行うつもりでした。H氏邸への行き帰りの時間を考えると、折角のお二方の訪問の時間が制約されますし、何よりも私自身が、車の運転があるのでとっておきのワインを味わえません。残念です。ワイン学校のオーナーが来られるので、失礼の無いように用意していたワインを飲みたかったです〜(笑)。

月曜、火曜の関西への強行出張の影響は、二三日してから表れます。その疲れが、今回は金曜日になって表れました。今週締め切りの仕事もあり、久しぶりに忙しい週でした。お二方の訪問は、光カートリッジ以前に決まっていましたが、先々週のH氏邸での光カートリッジ試聴の訪問時にMさんの車が高速上でパンクして、光カートリッジの音をまだ聞かれていないので、今回は、前半は調整なったトロバドールのシステムと、後半は光カートリッジで聴くGRFという、豪華な組み合わせになったのです。

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昨日、DSオーディオさんから連絡があり、今日の午前中の便で試聴用のemmのイコライザーを送るとの連絡がありました。お借りしているDS-W1のイコライザーとの比較が出来る事になりました。午前中到着と行っても、配達が忙しい週末は、何時到着するか解りません。先日も午前中配達便を待っていたのに来なくて、夜になって不在配達案内が、郵便ポストに入っているに気がつきました。七時を過ぎていたので、結局、翌日の配達しかならなかったので、今日もやきもきしながら到着を待つことに。

配達されたのは、11時過ぎでした。早速、繋いで見ました。やはり、一世代前のDS-W1とemmのイコライザーでは、格段の差がありました。特にグランドマスターに感じていた、解像力不足は一掃され、見通しが格段に良くなっています。最低域のカットのカーブも違い本番が楽しみです。調整のめどが付いたら、もう十二時半を回っていました。

光の準備だけで、事前の調整時間は来てしまいました。トロバドールの方は、結線を換えればいつでも使えるので、横浜のMさん好みにいつでも合わせられる準備は整っています。夜香さんは、光りは何回もお聴きになられているので、主眼はトロバドールの完成度と、その万能性でしょう。こちらは、ご到着してから変更しようと、開き直りました(爆)。

ご到着時間の頃、表に出てお二方をお待ちしました。近所の公園に花見行く人が大勢出ていました。今日は穏やかな日でした、明日本当に嵐になるのか信じられないような穏やかな日です。先に来られた夜香さんとお話ししていたら、そこにMさんもご到着、早速大きな部屋に上がっていただきました。

今日は、前半は進化したトラバドールのシステム。後半は、お二方をお呼びした時には、姿も無かった光カートリッジと半世紀物のGRFの音の競演です。お二方が来られた時点では、GRFに結線がされていました。共通して使っているのは、SD05だけなのですが、お二方の目の前で、GRFへの結線をTW5に換えました。イコライザーからの結線をMolaMolaの戻すと、二週間以前の光りが出現しなかった時の平和な時に、プレイバックです。
https://tannoy.exblog.jp/32207205/


2021年 03月 29日
横浜のMさんと夜香さんが満を持して 2
https://tannoy.exblog.jp/32207934/


お二人が来られる前、emmのイコライザーと光カートリッジでGRFをならしたときに、結線を戻さなかったのは、お二人に結線の簡単な違いを説明するためです。SD05の入力が、光りのイコライザーか、何時ものMolaMolaのCD系かの違いだけだからです。その違いを理解していただくために、お二人の前でつなぎ替えました。そして、ウーファーだけでならしたときの無音状態をご理解いただき、それにトラバドール系をならしている、6336Bアンプのスイッチを入れたのです。

全部の準備が終わって、今一度、最初からハイティンク・コンセルトヘボウの新盤のマーラーの第四番を聴いていただきました。冒頭の鈴の音から、第一ヴァイオリン群の響き、そしてチェロとコントラバスの鳴る位置の違いが聴き所です。前の80/TW3だけで鳴らすよりは、オーケストラの奥行きが立体的に鳴り響きます。すると、神妙に聴かれていた横浜のMさんが、奥行きは凄いのだけど、奥の方で音がねじれているというか、交差している気がするという鋭いご指摘。調整のポイントを少し聴いただけで解るとは、驚きました。

ここは、大山さんと何遍か聞き比べたポイントです。300Hz以上の音域を受け持つトラバドール80と、その下を受け持つTW3は12dbのカーブで繋いでいます。TW3も前後のユニットで、前と後ろの両方に低域を放射していて、回折効果で、ほぼ全方向へ低域を伝えています。12dbでのカットだと、位相は反対になります。その為、TW3の入力で位相を反対に接続しているのです。この違いは明らかで、逆位相の場合は周辺に音場が展開しますが、正位相で繋いだ場合はおとがまとまってしまい広がりません。

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問題は、その後方に置いてある50Hzでやはり12dbで繋いでいるTW5の位相です。こちらは、6336Bとは独立して、SD05で別に駆動されています。そして、TW3の後方に置かれるTW5が正面を向くと、すぐ前にあるTW3のウーファーと反発したり、打ち消したりしてしまいます。そこで、TW5をいろいろと動かし、重なりの一番少ない90度直交する横向きの置き方に落ち着きました。それでも、位相は重要な問題です。TW5は単体では何も聞こえてきません。会場の騒音とか、聴衆の息遣いや会場内の空気の流れ、いわゆる「気配」を再生しているのです。

切り替えスイッチで、TW5の超低域の音は、入れたり切ったり出来ます。単体では、何も聞こえてこない超低音が、音楽と一緒に再生されると有無はどなたにでも解るのです。最低域の伸びや力強さがまったく違うからです。同じように、その部屋のどこに低域用のSPが置いてあるかでも、音場は違って聞こえます。

その違いを、横浜のMさんは、少し聴いただけで「音がねじれている」という感想で看破されました。私も悩んでいた点でした。50Hz以下の超低音の位相は、その上の帯域を司るTW3に対して逆相にするのか、300Hz以上で鳴っているTroubadour80に対して逆相にするかです。微妙だけれど、システム全体から見れば大変大きなポイントですね。置かれている位置でも勿論変わります。Mさんの指摘で、TW5の位相はTW3に対して逆相の理論通りの位相に換えました。

すると、怪訝な顔をされていたMさんの表情が緩みました。この点だけでも、Mさんに来ていただいた甲斐があったという物です。私は、大きなコンサートホールに響いていく大太鼓の音の広がりが好きなので、より低いホールの音の再現性を求めて、80に対して逆相にしていたのですが、聴かれる音楽、求める音の響きの差を、TW5の位相だけで調整出来るのは、応用が広くなったと思います。

それならばと、コンサートホールのアンビエンスを付加する目的の後方においてある40の接続も外してみました。実は少しだけレベルが高く、Mさんの耳には、その響きが過剰に聞こえると思ったからです。オーケストラの演奏には良いのですが、リートやピアノの響きには、ホール音の付加が過剰に聞こえるからです。その上方からの響きが消えると、音が床の方に下がりますが、80の存在感が大きいので、実際には問題は無いようです。

聴き進めていくと、エリー・アメリングの声量ある声とメゾソプラノの周波数が共鳴して、右側の80の音が割れて歪みが出ました。このきつい音も、同じユニットを使っているMさんから指摘を受けていた問題点です。ユニットの近くで聴いてみるとどうやら上下にスタックしてあるDDDユニットの下の方からその響きが聞こえてきます。

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この白黒の写真は夜香さんのライカです。


40も80も、円筒形のキャビネットに接続されていて、不要な低域を吸収するようになっています。その筐体は、ジュラルミンで出来ていて、大変強固な造りです。そのキャビネットに6本のネジで留まっているのですが、冬場の寒いときには、ネジが微妙に緩みます。それを締めすぎない程度に増し締めするのですが、反対に春になると、幾分緩めないと剛性の高いキャビネットに固定されているユニットにストレスがかかります。聴きながら、ネジを微妙に緩めて音の調整を聴きます。右側の当該のユニットを調整したら、歪みは大分少なくなりました。他の部分もやはり再調整を施そうと思いました。

何時ものCDを聴き進めていく内に、プレヴィンとマックレーアの何時ものアルバムを聴いたとき、今少し声の膨らみ、ボディー感が出ると良いのだがと指摘がありました。それは、私がオーケストラの響きを出すために、意識して音を薄味に仕上げているからです。6336Bは一次側のインピーダンスが820KΩしかありませんので、32Ω端子を8Ωとずらしてマッチングさせているので、低いインピーダンス方向には余裕があります。現在は4Ω端子を使っている接続を、8Ω用に換えると全体が幾分濃い味付けになります。そこは想定範囲でした。

隣でお聴きになられている夜香さんの表情がとても良いので、安心しました。私は、これから運転しなければならないので、ご相伴にありつけませんが、今日はお二人に来ていただくにあたり、とっておきのワインを用意してありました。それを開けて、お二人には乾杯していただきました。私は、換気のファンを回して、マスクをしながら、明日なら一緒に味見が出来たのにと、マスクの中でブツブツと言ってました(爆)。

とっておきのワインは、ワインスクールのオーナーでもあるMさんにもとても気に入っていただき、詳しいワインの説明資料を写していたほどです。赤ワインが入って、今までの試聴モードから音楽を楽しむモードに変わりました。そこで、世良譲やジョージ川口、北村英治が伴奏している、八代亜紀のジャズ風の実況録音盤を楽しんでいただきました。端で聞いていてもジョージ川口のバスドラムスの音だどは、実物大で聞いている感じになってきました。

前半のトラバドールによるCD系のシステムはこのあたりで・・・。
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2021年 03月 30日
横浜のMさんと夜香さんが満を持して 3
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前半のトロバドールのシステムが、良い音を出してくれました。私も光カートリッジ事件以前に力を入れて調整していたので、お二人にも評価していただいて嬉しかったです。夜香さんもニコニコして聴いていただきましたから、私も安心しました。さて、今一度、SD05の接続を切り替えて、イコライザー→ SD05 → GRFと言うシンプルな組み合わせになりました。今日は、先ほど届いた試聴用のemmのイコライザーでの演奏になります。DSオーディオ製の旧型のイコライザーDS-W1とは随分と違い低域がすっきりとしています。サブソニックのフィルターは、15Hz以下で二段目が聴く様になっていますが、50Hzからの一段で充分ですね。

さすがにemmです。音の造りが巧みです。38/2トラの音に近く、レコードらしい高域が甘かったDS-W1に比べてすっきりと高域が伸びて聞こえます。DACの音造りにも共通していますが、やはり美音ですね。15Hz以下のサブソニックを入れると全体の音が少し薄くなりました。トラバドールのシステムなら、TW5の音量を少しだけ上げれば良いのですが。

最初は、一番上に出ていた都はるみの二十周年記念盤「帰去来」からです。これはNHKホールでの録音なので、音が広いです。あまりホール感がしないのはNHKホールの特徴です。伴奏の楽団の音が少し薄くなるのです。最初に針を落とす時の音は勿論します。その後の音がほとんど聞こえないのです。そして音が急に現れます。調整卓の向こう側の音が聞こえます。

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しかし、都はるみは歌は勿論、京都弁のMCもうまいですね。デビュー20周年ですから、昭和59年・1984年です。まだ三十代半ばですね。若いはずです。次に聴いた森山良子のセ・フィ二は、ゴードン・ジェンキンスのアレンジでLAで1981年に録音された物です。小柳ルミ子は1979年ですから、都はるみのアルバムが一番若い盤になります。それでも84年ですからもう、37年も前になります。

どの盤もクリーナーで洗ってありますから、針音はまったくしません。一切の雑音が無く、演奏会場にワープするのですからたまりませんね。GRFの音は広帯域ですが、トロバドールから変わったときは、やはり少し昔の音という感じはしますが、レコードがかかると時代もマッチして音の古さなど一切感じなくなります。むしろ、お二人に広帯域だとお褒めいただいたぐらいです。

定番の森進一は、GRFの音が交差するポイントで交代で聴いていただきました。左右のGRFのあいだが全て音で埋まり、立体感を持って聞こえてきます。大きなヘッドフォンで聴いているような音場ですが、耳の中ではなく実際に目の前にステージが並ぶのです。これはオーディオ的な快感でもあり、音楽的にも同じ会場で音楽に、その会場にワープしていくのです。


お二人から、その交差点に椅子を持ってくれば良いと言われました。足の踏み場も無い状態ですから、これ以上物を持ち込みたくないのですが、試しに置いてみると確かに特等席ですね。

今の状態では、とても椅子を持ち込める状態ではないので、実験だけしてかたづけました。このポイントはトラバドールでも、音が出てくるところですね。システムやSPが違っても同じ部屋の中では、聴きところが一緒になるのでしょうね。

オーディオ的な実験では、30年以上新品のまま未開封のレコードを、そのまま光りカートリッジで聴くのと、一旦洗ってから聴く違いをテストしました。Mさんがお好きな郷ひろみのレコードを使っての実験です。

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その結果ですが、音は確かにかわります。新品でもその盤の上には、プレス機の成分が残っているのでしょうか? 洗うと音が柔らかくなりますが、この音源はデジタルだし、この時代のレコードなら、家ではCDの方が良く掛かります。光りはレコード特有の音色がないので、刻まれている音をそのまま出してくるのですね。そして出てくる音がCDと同じ音源なら敢えて、レコードで聴く意味が薄れます。

アナログ音源の昔の録音は今までとはあり得ない音なのですが、CDの時代に入ると、そしてCDが良い音を出せるのなら、敢えてレコードで聴く必要は無いとも言えるのです。これは、カートリッジの問題ではなく、レコードを制作している人の技術的な、また感性的な限界を示しているとも言えましょう。三人で確認した事は、天動説の船が大洋の果てまでたどり着いたら、そこには断崖絶壁があり、大洋の水が盆からこぼれ落ちているようなイメージでしょうか?

私の家には、CD時代以前のレコードが聴ききれないほどありますから、何も問題は無いのですが、メディアの限界まで行くと、究極はハードではなくソフトの問題になるのは仕方ないことなのでしょう。問題は容器の大きさではなく、中には入っている料理の味と見た目です。CDが出現した後、アナログが培ってきたノウハウや品質は、徐々にCDに引き継がれ、CD発売直後に散々けなされた初期盤の音質も、現在ではまったく問題なく掛かるし、また、その頃の時代の音がすると現在では評価されはじめました。私が集めているようにCD発売直後の丁寧に作られたCDの方が、間違ったリマスターをされた再発盤より良い例が沢山あるからです。

音質の違いを確かめる実験が今日の目的ではありません。名歌手達の魂の入った熱唱を40年以上前に遡って、演奏会場にワープして聴いてきました。また、一流の歌手は、自分でMCを行います。その時の地声と、歌を歌っているときの美声のギャップも実況録音盤の楽しみです。

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予定を変えて、急遽今日集まっていただいたレコード演奏会も、前半のトロバドールのマルチシステム、後半の光カートリッジ・GRFのレコード演奏を聴いていただきました。午後二時前からはじめたので、あっというまに三時間がすぎて五時を回りました。今日は二週間ぶりにH氏邸に大山さんも待っています。お二人を高円寺駅まで送り、私はそのまま東北道へと向かいました。土曜の夕方の環七はやはり混んでいます。先週より車の量が多い気もします。

H氏邸には、環七が混んでいた分、いつもより時間がかかりましたが、大山さんを交えて、これからのH氏邸の他の装置の調整を話し合いました。その為に必要な機材を今日運んできたのです。大山さんとは、また新しい実験を始めます。その構想をHさんに説明して、まだまだ終わらない楽しい計画をお話ししました。

今月の初めにHさんによってもたらされたビッグサプライズで、光りに翻弄された大変な一月でしたが、今となっては、Hさんに大感謝ですね。楽しい時間を過ごして家に戻ってきたのは11時を回っていました。高円寺まで戻ってきたときに、もう、ご自宅に戻られた夜香さんから、メールが来ました。

こんばんは。もう帰宅されましたか?今日は大変楽しかったです!ありがとうございました。あれから、高円寺ではずっとオーディオ談義でした(笑)GRFはもちろん素晴らしかったのですが、トロバドールシステムによるデジタル再生に感銘を受けました。手塩にかけ熟成され洗練された無垢ともいえる、そんな響きにあふれる音楽が聴こえてくる。これは使い手自らが追い込んだ成果そのものであり、まさにGRFさんの執念の音と確信しました。次回はトロバドールシステムでグランドマスターによるLP再生を聴かせてください!

苦労した点を解ってくれる、得がたい仲間ですね。
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21. 2021年3月31日 07:53:24 : pnlV5df2uo : RktFZ3ZCUmhKY2c=[15] 報告
2021年 03月 31日
夜香さんのご感想
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土曜は横浜のMさんといっしょにGRF邸にお伺いした。

GRFさんといえば、先日来、光カートリッジに夢中であり、これまでのLP再生とは次元の違うサウンド体験であったとブログで熱く語っている。 ご自分が納得すれば、ハヤテのごとくの実行力を発揮して、すでにご自宅でも光カートリッジの運用を開始された。友人の協力もあり、なんと最高級機のDSグランドマスターも実験中という。

さらに、トロバドールシステムではなく、GRFと光カートリッジを組み合わせ、これまたかつてないほどの音楽的興奮を味わっているという。 それを聴かない選択肢はないだろう。

本当は、オタク訪問は日曜であったのだが、天気予報では午後から嵐のような大雨とも言われており、ちょっと躊躇していた。そんなとき、横浜のMさんから土曜日の朝に「雨が心配だから日曜日はやめて今日はどう?」と打診があった。もともと、GRFさんには土曜日に用事がありダメになったと思っていたのだが、打診した結果、前倒し訪問となった。

雨の気配もなく、良い天気で満開の桜を楽しむこともできたし、今回の判断は大正解であった。唯一、夕方に車で出かけるGRFさんはお酒が飲めずに気の毒ではあったけど。。。

約束の時間にGRF邸に到着。

前回はシアター化した「GRFの部屋」を楽しませてもらったが、今回は本来の「GRFの部屋」、いうなれば「真GRFの部屋」訪問である。

この日はGRFとDSグランド・マスターでアナログディスクを聴きまくる心づもりであった。しかし、光カートリッジと出会うほんの一ヶ月前に、「最新のトロバドールシステムサウンドを聴きに来ないか?」とお誘いいただいており、その実行の日程をもともと模索中であった。それが、光カートリッジの導入で全く違う方向に話が進んでしまい、今日の訪問目的がすっかり変わってしまった。

だから、GRFさんとしては天塩にかけたトロバドールサウンドも聴いてもらいたいという気持ちが潜在的にあったのだろう。「せっかく来てくれたんだから、トロバドールも聴いていってよ」ということになった。もちろん、喜んで聴かせていただくことにした。

それからが大変。装置はすでにGRF用にセッティングされていたわけだから、急な思いつきでトロバドールシステムように接続替えをしなくてはならない。 もちろん、そういう機器の入れ替えは日常茶飯事でこなされているGRFさんだから、問題はないのだけど、セレクターを切り替えればOKなんてことではないわけで、スピーカの結線をかえ、アンプを変え、ソース機器を変え等々、それなりの時間がかかる。

夜香さんのご感想_f0108399_02534496.jpg
写真は夜香さんご自身のLEICAです


ようやく、システムの接続変更が完了し、トロバドールシステムで音を聴かせていただいく。こちらはアナログはなしですべてCDやSACD。

トロバドール80を中心とした2ウェイメインシステムに加え50Hz以下用にサブウーファを組み合わせ、さらにエフェクト用にトロバドール40を組み合わせたマルチアンプシステムとなっている。クロスオーバーは使っていないのでパッシブ型マルチである。

クラシックのオーケストラや歌ものを中心に聴かせていただい。

サブウーファの効果は、やはり非常に大きく、重低音がドスン、バシンと弾ける!なんてことには実はならない。映画コンテンツで鳴らすサブウーファとハイファイオーディオにおけるサブウーファの貢献度は、実は全く違う。サブウーファを加えることで、音色は一層しなやかに柔らかくなり、甘みのある香り高いサウンドになる。我が家でも30Hz以下にヤマハのサブーウーファをくみあわせているが、それと全く同じ成果を感じ取ることができる。

もともと、素晴らしい音であったが、今回はさらに豊かな音情感、それは深みと言っていいと思うが、そういう奥の深い立体感を感じさせるサウンドを得ており、クラシックの生演奏に馴染みのある方なら、驚愕すべきリアルなクラシック演奏を聴かせてくれる。それはオーディオ装置が目の前で単に鳴らしたものではなく、日夜、手を変え品をかけ、あきらめることなく、おごること無く日々サウンドの研鑽に精進してきたGRFさんの執念の音である。

この日のためにと用意してくれた超絶の美味しい赤ワインの力もあり、もっとずっと聴いていたい、魅力あふれる演奏であった。

夜香さんのご感想_f0108399_02532622.jpg


残念ながら、この日は3時間という短い時間したなかったので、後ろ髪惹かれる思いであったが、真打ちとも言えるGRF meets DS Grand masterを聴かせていただく。

ラインアップは常用のプレーヤにセットされたDSグランドマスターを光フォノイコに接続し、それをSD-05のアナログ入力にいれて、そこからGRFに繋ぐ。GRFサウンドの原点ともいうべきシンプルな装置である。

最近、特に相性が良いと言われる名歌手たちのライブ盤を中心に聴かせていただく。

DSグランド・マスターで再生するライブ盤の素晴らしさは、過日、Hさんのオーディオルームで体験していたが、ある意味、本家本元とも言えるGRFのある部屋でGRFが鳴らすサウンドは、これはGRFさんが愛してやまない実力のある名歌手たちの力量を存分に引き出し、素晴らしいライブ体験をさせてくれる。その前に聴いたトロバドールシステムによる、圧倒的なハイファイ調のサウンドとはもちろん違うが、確かに、以前、この部屋で聴かせていただいたGRFサウンドとも一味違うLP再生である。

途中、音軸が直交するまさにその位置でも聴かせてもらったが、これは大きな平面駆動型ヘッドホンの世界に近い、オーディオならではの音響空間を感じさせてくれる、GRFの真骨頂とも言えるサウンドである。途中、横浜のMさんから「定位置のソファの場所ではGRFの真価が聞き取れない。ソファを前にだすべき」と強烈な指摘があったが、私はさらにそれを推し進め、専用のお一人様イージーチェアをベストポジションにおいて楽しんだ方が、もっと幸せなGRFサウンドになるだろうと思った。むしろ、三人がけソファを外に出してしまって、お一人様の椅子を三脚くらいおいたほうがどちらのシステムのベストサウンドにも対応しやすいのでは?などと思うほど、ベストポジションでのGRFサウンドは圧倒的に魅力あふれるものであった。

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ここはGRFさんの実験の場でもあるから、機器類や配線材がところ狭しとひしめいており、仮に一度、それを整理したとしても、すぐに元の木阿弥になるだろうことは容易に予想できるため、「GRFだけがある部屋」にしないと両立は難しいのかもしれない。

途中、郷ひろみの哀愁のカサブランカのマスターサウンドシリーズの新品を袋からだし、そのまま再生した音と、超音波洗浄したあとの音の違いも楽しませてもらった。
経験上、あきらかに洗浄したほうが音を語る性能的な意味でのワードのそれぞれは、改善したと聴き取れる。今回もその結果には違いはなかったが、一層鮮明かつ鮮度感があがることで、録音されたデジタルマスターのサウンドを意識させる結果となり、これをレコードで聴く意味はあるのか?という疑問が残った。Hさんのところでも、デジタルマスターのレコードではそんな感じに聴こえた。DSグランドマスターは、そういう情け容赦ない情報量を引き出してしまうため、すべてのレコードが良い音で聴けるわけではない。

それはGRFさんが私のために用意してくれた明菜のレコードでも顕著だった。ビター&スイートというアルバムに入っているSo longという曲を再生してもらったが、残念ながら音の悪さばかりが耳につく結果となった。電磁式のカートリッジなら、ここまで赤裸々にこのレコードの録音が優れたものではないことをあからさまにはしない。DSグランド・マスターは、稀有な再生能力をもつ高性能トランスデューサーではあるが、その鬼のような正確極まりない再生能力はレコードの良し悪しを○バツ式に選別してしまう。

レコードに録音されている音が、音楽が優れているならば、かつて聴いたことのないようなLPサウンドを聴かせてくれるが、CD時代になって以降のLPだと、「この程度のLPならCDで聴けば?」と言いたげなほど、LPで聴く必然性を否定するような音にもなってしまう。

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ラストはフランク永井の公開録音盤。こういうレコードの再生は見事としかいいようがない。

いろいろなソースを満遍なく楽しんできたGRFさんだからこそ、光カートリッジの稀有な能力とそれを最大限に発揮するソースの相性のようなものにいち早く気づいたのだと思う。

先程も書いたように、このカートリッジだけだと聴く気にならないLPもあったりするから、他のカートリッジも必要なんだけど、でも、同じくらい光カートリッジじゃなければ出ない音もあり、これは私もなんとかせんといかんなあと、あらためて感じた。

今回は時間切れで拝聴できなかったが、次回はトロバドールシステムでDSグランドマスターのサウンドを聴かせてほしいとお願いして、この日はお開きとなった。

GRFさんに高円寺まで車で送っていただき、私と横浜のMさんは高円寺ナイトをスタートさせた(笑)

GRFさん、大変お世話になりました。手塩にかけた装置を、その本人がきちんと鳴らす、やはりこれが王道オーディオだとあらためて思いました。

ありがとうございました!
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22. 中川隆[-6186] koaQ7Jey 2021年3月31日 08:06:33 : pnlV5df2uo : RktFZ3ZCUmhKY2c=[16] 報告
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うわさのオーディオ・サブルーム-ウェブリブログ


鈴木と北川の二人組 その2 2015/08/17


噂によりますと、鈴木は62歳、北川は69歳、この二人がひとつのハンドル名『GRFのある部屋』を共用している、というのです。

それでもって互いが自分の主張を補強している、と。


勿論、鈴木(62歳)は「大学紛争世代」ではない、
「アンチ丸山」レスは北川(69歳)が執筆。

「孔子や孟子、寮歌」の妄想も北川(69歳)の発想。

日頃のおとなしめの投稿は鈴木(62歳)が執筆。編集部もこれを分かってて放置か?

あれだけ丸山さんのワーグナー賛歌を「貴族趣味」とけなしながら、自分は2週間のドイツ音楽旅行、これって矛盾するが、二人いれば、もう一人は矛盾しない。


「『GRFのある部屋』」というのは、二人以外にも複数の関係者全員で堅守する、いわばブランド(Brand)。
http://27415664.at.webry.info/201508/article_7.html


木と北川の二人組 その3 2015/08/20


あの北川、言葉巧みですから・・・。

私も1年前に伺っているのですが、

3階建ての自社ビルの中に2部屋あり、6畳間のユニコーン(CDオンリー)、後ろの部屋は30畳強はある部屋にあのGRFがコーナー(アナログオンリー)にT−4(平行法、CDオンリー)はリスポジソファから先1m強先に置いてあるその他いくつかのその昔のSP連が複数あります。

その30畳強の部屋、Phile-web コミュニティとか伺った時には出ませんが、なんと3千万かけて改造してるとのことです
(これは仲のいい、ジャズ好きの方がこの前教えてくれました)。

たしかに床は頑丈で壁も違う、天井も・・・ 
そういうことを言わないで、いい音でしょうを連発は、それこそ「きもい」です。

いい音どころか居心地は悪いです。北川の性格でしょう、これは。

音は出て「なんぼ」の世界ですが、このユニコーンは解像度が良過ぎて、すべての楽器が鮮明という異次元の音でもあるのです。

あの独特の無指向性のフルレンジのSPからと巧みなバックロード構造からの奏でる音と量感音域は確かにいいのですが問題は駆動する是枝パワーとサウンドパーツ社のプリがあまりにもきれいすぎて「潔癖症」の音質と重箱を突くようでなんでも、聞こえない音まで出てくる始末。

それがいいだなんて、ちょいおかしい。

美しい奏でる音なら許せるのですがきれいではだめなんです。

それとリスポジがキッチン用の椅子であることでやや見下ろす感じです(ユニコーンが低いせいもあり)。

コンサートでいう中二階から観た聴いた感じでしょうか・・・それも有りでいいのですが、問題は音源が上に伸びない、つまり途中で音が沈むという感じです。

奥行きも壁べったりのため(6畳間を横長に)奥行きが寸詰まりです。

そのためガラスのよくある家庭のやや大きい「水槽の中での演奏を」聴いている感じです。

悪く言えば箱庭。

それに輪をかけるのが、どのCDでも同じ音質、これはいただけない、最悪! 

そして、ジャズは掛けてくれない、こちら持参のCD(クラ)も掛けてくれない、
つまり悪いとこは聴かれたくないということであり、これは他の人でもそれは同じことを聞いております。

T4、GRFも有りますが、欠点を観られたくない聴かれたくないという、ほんと演技がうまい雲助ですネ! 

このような音を初めて聞く人は、言葉巧みな戦術に入り込む恐ろしさです。


ユニコーンSPはとてもいいSPなんですが、やはり駆動側の問題が多分にあるのは聴いていても大いに感じます。

それに気が付かない北川は、やはり「お山の大将」が抜けきらないのでしょう。


30畳強のタンノイ部屋、GRFは、一言でいえば、もう古い音源の鳴り方は否めません。

コーナー置きはその昔のヴアイタボックス(クリプッシュホーン)と同じですが、GRFのほうが音の古さ(古典)がありもうお役御免でしょうか。

ソースはアナログオンリーでありカスタムメイドの超高級アンプ(球)でしょうか。

彼の鳴らし方は、奏者の解釈ではなくそれこそ「蜃気楼」そのものです。

いい悪いは別にしてもリスポジからの距離6m強はあるでしょうか、
そこのオケは蜃気楼のように並びますが、ハイライトはそこまでです。

楽器類の音色、艶、音楽の力強さ等は感じ取れません・・・
そうモノクロ。

こみあげてくるオケの音圧に空気感がないので、ただ「蜃気楼」が平然と並んでいる。

やはりホールの雰囲気を取りあえず、といった感じです。


音楽を聴く、これもありですが、どちらかというと雰囲気感と各演奏楽団のくせ(性格といいましょうか)を楽しんでいるようですネ。よく会話に出てきますから・・・オケの当てっこが好きなようです。

LP扱うのもクリーニング液には2万円(5cc)もする液体を針の掃除に毎回使い、針圧も0.1刻みのセッテイングには呆れるばかりです。こういう人もいることは、それも趣味と割り切ればですが、毎回能書きがうるさいのです。つまり自慢なんでしょう。

T4の平行法、これは Phile-webコミュニティ(彼のブログでも)では結構影響受けた人が多いのも事実ですが、次第に「それはないだろう」が分かってきた人も出てきてます。

つまり、リスポジやや先に置くか、壁手前に置くかの選択肢があるのですが、彼はリスポジやや先(1m)で行っているのですが、これが飛んでもない悪であるのです。

ゲストからのCDを掛けさせないこと、彼の選択CDのみ、つまりいいとこCDのソフトしか掛けない。

これには裏があり、つまりT4の後ろは6mあまりの空間があり、ここに音の像(蜃気楼)が浮かび上がるのですが、それはそれでいいのです。

しかし問題は、そのソースはすべて音場性のあるソフトでないと後方に集まらないのです。

これが普通の録音・・・手前SPから出る音源(一部の楽器等)と奥の空間に集まる音源とでは、その距離に「間」(間が抜けた空間)が空いてまとまった音楽が構成されないのです。

例えばジャズで見れば、手前の右SPではベースが鳴り(それもあの小さい口径からですから箱全体ではないのです)、奥ではドラムが鳴るとすると、ベースとドラムの距離(数メートル)が途方もなく間があるというこの違和感が発生するというものです。

このことは北川は絶対に言わないのと、言えば T4=平行法同時売り込みにも影響が出るということが分かっているからです。

また壁にやや近い置き方(平行法)でも、同じような傾向はありますが、これなどは奥行き感が薄れ定位も良くは無いのです。


これはあの鈴木邸がそうです。

リスポジでは定位が定まらなく、音の像も小さく聴けたものではない。

いいとこは奥の隅(L型部屋の構造?)

ここは、一応ホール感(S席でも壁よりの後方)がそれなりに味わえる、という鈴木の求める音であると思います。

しかしT4の口径(14cm?)と箱の限界(奥行き稼いでいますが)があるので、量感音域等の消えるのが早いのもこの影響でしょうか。ソースはCDメインですがやはり、どのソースも同じ音質には参ります。

どちらかというと無色透明ですネー。

「静」だとか「ラダーケーブル」を使い盛んにクリアー感を目指しているようで。
でもそれらに色艶、音源の太さ感が出てくればまだ聴きやすくなるのですが。

本人はあれだけコンサートに通っているのに、再生音は正反対の音質。よくわかりません。

平行法もいいけど、もう少し内ぶりであれば濃厚な音源が出てくると思われるのですが、そこは ホール感=雰囲気 を優先する、兄貴分の北川がそうはさせないのだと思います。

いろいろありますね、この世界は。
http://27415664.at.webry.info/201508/article_15.html


鈴木と北川の二人組 その4 2015/08/22


Phile-webコミュニティでの二人組の「釣果」について、次のような追加情報が入ってきました。


Phile-webコミュニティ
GRFのある部屋 - お気に入りユーザー一覧
http://community.phileweb.com/mypage/f_user/3735/0/


その第1号が「椀方」さん(その前には、ユニコーンのSPのみを納入して既存SPとの複合型を試みるも失敗)。これは「椀方」さんが Phile-web コミュニティ記事にしていました。

Phile-web コミュニティで、私が知っている限り「犠牲」になった人と、危うくセーフの人は数知れずです。

北川は基本的には、犠牲者のお宅に鈴木と伺うというやり方で、決してひとりでは行かないです。必ず鈴木が行った後に二人で行くのが今までのパターン。

犠牲者側が北川を呼ぶにあたってもその前に鈴木が来てますので安心感があるというわけです。主導は北川です。鈴木も共犯です。

少なくとも私が知っているかぎりで表沙汰になった人たちは次の通りです。


犠牲者の中でも本信者になってしまったのは、「椀方」さん。

「横浜の vafan」さんは今は危ういですが現行のSPでどれだけ我慢できるかです。

「にら」さんは資金がないということで、今は静かにしてますが、しばらく様子見でしょうか。

「クー△△△」さんには私が注意喚起したので来なくなったとか。

「akahanamizuki」さんも危うかったけど、彼の読みで距離を取るようになった(裏メールでの平行法の押しつけがしつこいようなことあり)。

「Loge」さん。これが問題です。長野の個人ガレージメーカーで修理等の工房。すでに相互訪問してますね。

「RICHEBOURG」さん。北川は鈴木と押しかけて平行法を押し付け、DACの中古を60万で売りつけ。音がおかしいので聴きに来てと誘いがあり、私が伺って聴いた音は、「なんじゃこの音は」でしたネ。


簡単に言いますと、たしかに平行法。しかしどう見てもぼけた「蜃気楼」というか音像がぼやけてしまっている。ピアノ・コンチェルトのピアノが後方ティンパニーの位置から鳴る、こんなの信じられんです。また、後日、置いて行ったというDACもメーカー名は「知り合い先の」ということで、「RICHEBOURG」も「???」。

そのDACも人工的な音、もしくは半導体の基板の音、現状のラックスCDPのほうが好いのです。後にDACも返却へ、平行法はその日のうちにやや内ぶりに修正、これで音が活きてきたのです。


私の見るところ第一次面接試験で落ちた候補者(というか正確には犠牲者にならずに済んだ人)は、最近では、「genmi」さん、「K&K」さんといったところでしょうか。


ごく最近では「バック△△△」さんに早速手を出しているようで、ご注意、ご注意。
http://27415664.at.webry.info/201508/article_16.html


北川がクセモノである所以は、オフ会(お宅訪問)をしても必ず同行の鈴木に日記を書かせ、本人はその日記にレスを入れ、そこで褒めあげて周りの人達(日記の記事をみている人)を誘い込むというパターンです。

一方、鈴木のオフ会記事での批評はすべて甘くなり、以前と比べて変化が起きているようです。焦りでしょうか。たとえば、直近の二つの例をあげます。これらのお宅の訪問のあと、鈴木は実際には次のような感想を私にもらしているのです。

                  ※   ※


(ひとつは、「genmi」さん。)

石井式をモデルにした6畳の部屋ですが壁が厚く(20p以上?)実質5畳ぐらいです。
天井高が3mあるのが唯一の救いでしょうか?
ここはオーディオ以前の音で音楽表現は無理です。


この人はすべて、某Dショップ/H店長の言いなりのようです(から入り込みは難しいかも)。

高音域にメリハリがあるが、中身は薄い。

一見いいように聞こえますが、高音域はブリキ板というかステンレス板の音で、そこに低音域が乗ってこないので、「きれいそうな音」、わかりやすく言えば無機質の硬い音です。

たとえBGMであってもこんなものは聞けないです。評価など、本当はできないです。
頭が痛くなるキンキン音。ラジカセを大きくしたコンポとでも申しましょうか。

折角行ったので仕方なく、私は1o単位でスピーカー位置を調整して(遊んで)やりました。

この人はそれをみて感心しきりでした。実情を知らない素人はこれで簡単に引っかかります。ちょろいもんです。


                  ※   ※


(もうひとつは、「K&K」さん。)
ここは二度目の訪問でした。

オーディオ部屋の横にグランドピアノ(STEINWAY)が置いてあります。
奥さんがピアノを弾くと言っても単に「ピアノが弾ける」程度でへたくそです。

自分の家でほんもののピアノの音を聴いているのにもかかわらず、ご本人はその音の深さというものがいまだに分かっていないんです。

システムから出てくるピアノの音はおもちゃの音です。
しかも定位が悪いので鍵盤の位置が床上30pのところにあります。

サラウンド再生ですので、後方からも音楽が鳴るのには本当に参ります。
それにセンター・ウーファ(サーロジック製)が左SPの横にあり、低音域が左からのみ出る不自然さ、それもボワーン、ボワーンですよ。

今回は延々と夜6時までつきあわされましたが、最悪でした。
http://27415664.at.webry.info/201509/article_2.html

23. 2021年4月02日 06:20:40 : Ft8UfP6Ll6 : dnpvazRXendDazY=[18] 報告
三月は光カートリッジとGRFに明け暮れました : GRFのある部屋 2021年 04月 02日
https://tannoy.exblog.jp/32211713/

先月、光カートリッジ以外のことを書いたのは、関西往復の日だけでした。毎日、毎日、レコードの話ばかりでした。きっかけは、Hさん邸でのサプライズでしたが、それに油を注いだのは、そのカートリッジを貸してくれた知人のおかげです。彼が何年も前に経験したことを、この1ヶ月間で追体験をしてきたからです。実際は、第一世代の出現から第三世代のGrand Masterまで7年間掛かっているのです。

私が大騒ぎを仕始めたのを、彼が面白がって、最高機のGrand Masterに交換して、第二世代のMaster1が余っているから、使ってみたらと持ってきてくれたのです。専用のイコライザーが必要ですが、それも、旧型モデルの中古品を送ってくれたのです。メーカーが試聴用として新製品を貸し出していますが、新製品は人気で、貸し出しの順番が回ってくるのに時間がかかりますので、イコライザーは最新でなくとも、良いだろうと言うことで送ってくれたのです。

それから1ヶ月間、タイムラプスの早送り動画のように、光カートリッジの世界を全速で追体験してきました。今までのレコードの概念を根本から変えられて、常識がどんどん変わる驚きの連続でした。毎週土曜日には、H氏邸に通い、最高級のGrand Masterを聴かせていただき、その驚きを深めていきました。すると、ますます面白がった知人が、今度は、なんと自分が使っているGrand Masterを持って、聞き比べに来てくれたのです。彼曰く、今までさんざん聴いてきたので、一月ぐらい無くても、死ぬわけではない!それよりも、どのくらい、第二世代と第三世代で進歩したか、A・B比較がしたくて持ってきてくれたのです。これには、丁度同席していた大山さんもびっくりの進展でした。

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家のプレーヤーは、2本のSMEのシリーズVを使っています。イコライザーへ差し替えるだけで、すぐにA・B比較が出来るので、その微妙な差を知りたいと言うことでした。実際に実験すると、その差は予想以上に大きく、彼は納得して意気揚々と帰って行きました。

問題は、残された私たちです(苦笑)。DSのカートリッジはヒエラルキーがはっきりしていて、現在は入門機から最高級機まで4段階ありますが、価格は倍々になっていてどれを選ぶかは、大変な決断になります。勿論、高くて最新の組み合わせが良いに決まっているのですが、世界のハイエンダーだけが、この音を聞けるのでは、面白くありません。欧米のオーディオ専門店の要請で、ハイエンドのイコライザーを発表していますが、同時に、そのイコライザー回路の定数を公表して、世界中のアンプメーカーに、光カートリッジ用のイコライザーカーブを組み込んでほしいとの要望も出しています。それに応えて、EMMやソウル・ノートのプリアンプやイコライザーには、各々の会社の特性を含めた専用機が出ています。

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私が、CD/SACD用に使っているカナダのemm社のマイトナー氏も、光カートリッジの音に惚れ込み、emmブランドのイコライザーを出しています。その試聴機の依頼も行っていましたが、三月末には到着して試聴しています。H氏邸では、Grand Masterにそのemmの組み合わせであの音を出しているのは、よくわかっているのですが、それはそれとして、電源を強化したり、真空管で作ったりして、自分たちでイコライザーの製作や別シャーシーの電源を作って、この音を友人の間にも、普及させたい物だと思っています。

何名かのレコードファンにGRFでの音を聴いていただきましたが、最初の段階で道は二つに分かれるようです。一つは、今まで、何十年も慣れ親しんできた何時ものレコードの音がしないと言うことです。静かすぎるとか、きれいすぎるとも言われます。普段からテープを聴いているディープなマニアには大変好評ですが、レコードコレクターは、まだ懐疑的ですね。その一因としては、やはり今まで何十年も聴いてきたレコードの音と違うと言う違和感があります。

そして、次の分かれ道は光カートリッジの価格があります。昨今は、通常のカートリッジの価格も上昇して、各社のハイエンドは少し前の数十万円規模から百万円を超える時代になってきました。アームの300万円超えすら出ています。私の使っているSMEも現在は100万円を超えています。30年ぐらい前に購入したときは、勿論、その頃としては高かったですが、20万円台だった気がします。やはり、カートリッジに50万円以上払うのはやはり相当な決断が必要なのです。

趣味ですから、その人の価値観を自らに問うわけですが、自らのなかで「リーズナブル」と思える何かがなければなりません。また、システム全体が、その光カートリッジの音を活かせるレベルにないと、宝の持ち腐れになります。現在は、知人のおかげでMaster1とGrand Masterの最高峰の音を聞かせてもらっていますが、GRFのレベルでは、この二つのカートリッジの全容が見えていないのではと思っています。

合わせる装置のレベルによって、スイスの高山鉄道の風景見たく、高度を上げて列車を乗り換える度に、トンネルをくぐり抜ける度に、まったく別次元の風景が出現するのでしょう。いよいよ、GRFではなくメインのトロバドールのシステムでレコードを聴いてみようと思います。今までは、ケーブルが短いという物理的な障害がありました。今回は、充分な長さの初期型のMITケーブルを手に入れました。二つをカートリッジをお返しする前にその高さを実感したいと思います。

さて、その結果は?
https://tannoy.exblog.jp/32211713/

24. 中川隆[-6102] koaQ7Jey 2021年4月02日 11:23:59 : Ft8UfP6Ll6 : dnpvazRXendDazY=[38] 報告
2021年 04月 02日 二つの違い
https://tannoy.exblog.jp/32215119/

今まで、トラバドールのシステムでレコードを聴けなかったのは、配置に原因があります。MolaMolaの通常のイコライザーとプリアンプ機能を使う場合、プリ出力が二系統いります。一つは、メインの80/TW3を鳴らす是枝アンプへの出力と、ウーファーのTW5を鳴らすSD05への出力です。レコードプレーヤーとMolaMolaのプリが置いてある、左側の棚とSPの間に置いてあるパワーアンプとは、距離が3.5メートルぐらい離れています。前方の80/TW3だけを鳴らすには、モノ仕様の6336Bアンプ類をその棚に近づければ良いのですが、SD05へは配線できません。

一番の解決方法は、左の棚から、ソファー前のMolaMolaのプリアンプに配線できれば良いのですが、それには5メートルぐらいの長いケーブルが必要だったのです。同じ音に統一するためには、CD系と同じMITの旧いケーブルに統一したいのですが、長いMITのケーブルはなかなかないのが現状です。そこで、Oさんのお持ちの長いケーブルをお譲りいただいて、ようやくCD系と同じ構成でレコードが鳴るようになりました。

一つ前進するにも、いろいろな障害を越えなければならないのは、世の常です。夜香さんや横浜のMさんが来られたときには、その前日にMITのケーブルが届いていたのですが、時間切れで実験が出来ませんでした。今回は、お借りしているemmから直接メインのMolaMolaに繋いでみました。素の音を確かめるために、後方の40でのアンビエンスを外しています。

二つの違い_f0108399_02212974.jpg

すると、前方の80からは音がしないで、後方のGRFのあたりから音が聞こえてきます。この状況には既視感があります。昔、T4を床置きにしてならしたときの音が後方からしか聞こえない現象です。後ろのTW5の位置あたりまでオーケストラが下がって聞こえます。音量を上げると、前方に定位する楽器類は、前からも聞こえますが、木管楽器や金管楽器群は、やはり後方から響いてくるのです。

この現象は、GrandMasterだけなのかと思い、Master1に切り変えてみました。カートリッジの出力が違うので、プリのボリュームで、少し位置は違いますので、少しだけボリュームを上げて比較しました。すると後方に展開する奥行き方向は同じですが、左右の展開がより広く広がります。Grand Masterの方が中央にまとまっています。これがクロストーク特性の違いですね。

驚いたのは、GRFを鳴らしていたときの二つのカートリッジの差が違って聞こえたのです。GRFでのGrandMasterの音が、Master1からきこえてきます。そして、トロバドールでのGrand Masterは圧倒的で、他との比較を必要としません。これだけが固有の音です。Grand Masterの音の差を再認識しました。Hさんのところで鳴っている音に近似したのです。まったくレコードのノイズが聴こえない広大な空間に音楽だけが浮かび上がるという不思議な現象です。

一方、emmのイコライザーから、メインの80/TW3+TW5を鳴らすMaster1の音は、言い方が難しいのですが、GRFで聴いていた音とはまったく別な帯域の広い音になっていました。従来のBenz Microで聴いていた音とは、正反対の音ですが、これならば充分、既存の優れたカートリッジと対抗できるという安心感が生まれました。当初試聴用にお借りしていた旧型のイコライザーでは、解らなかったMaster1の音が浮かび上がってきたのです。これならば、現在の新しいヴァージョンのイコライザーを聴いたり、電源を別に充実させて、イコライザー回路を構成している抵抗やコンデンサーを、私のCD34改にも使っているビシェイの抵抗などに部分的に変えて、音の質を高めていけば、充分、他の高級カートリッジに対抗できると思いました。

今回とは別に、いま一つ経済的なDS-W2でもその音の傾向を確かめてみたくなりました。この切り替えはお昼休みを使ってやりましたが、夕方を待つ時間が長く感じられました。そして、昨日は10枚以上のオリジナル盤を洗って、片っ端から聞き始めました。主に、70年代の録音のDGG盤と同じく70年代のPHILIPS盤、EMIのASD盤です。レコードの黄金の時代の盤ですね。

結論的に言うと、Grand Masterの音を聴かなければ、Master 1で充分だと思います。これに合う良い音のイコライザーを使えば、ほぼ無敵でしょう。運悪くGrandMasterの音を聴いてしまった人や、お持ちのレコードの価値を最大限に上げたい方は、どうぞ、いくらでも挑戦されてください。

二つの違い_f0108399_02125984.jpg

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誤解をもたれないように慎重に言いますが、光カートリッジで聴くオリジナル盤は、普通のカートリッジで聴くほど、二版以降の盤の音質の差が大きくありません。それはオリジナル盤の特徴が、低域の存在感にあるからです。堂々と悠々として、凜とした品があるオリジナル盤の特徴の多くが、光カートリッジで出現するからです。今晩、MITのケーブルをお譲りいただいたOさんが聴きに来られます。彼の感想は如何でしょうか?
https://tannoy.exblog.jp/32215119/

25. 中川隆[-6042] koaQ7Jey 2021年4月04日 06:34:27 : gDb5AlH4lg : VVV5Zk1LelZYVXc=[1] 報告
晴耕雨聴 2021年04月03日
EMTの新しいカートリッジ、TSD AnniversaryをGET !!
https://91683924.at.webry.info/202104/article_3.html


 (アームに装着してあるのが今回導入したEMTアニバーサリー、手で持っているヤツが従来から使用しているEMT TSD15です)

 先日、EMTのTSD15がニューモデルになりました。
 発売されたモデルは大別して3機種で、楕円針のTSD SFLとマルチラディアス(MR)針のTSD MRB、MR針、サファイアカンチレバー、純銀4NコイルのTSD Anniversaryです。

 その中で一番オリジナルと違う設計のTSDアニバーサーリーを購入しました。コネクターはEMTの十文字型と通常のSME型が選べます。
 ベンプレ亭書斎のEMT927stに使用するので、コネクターは当然十文字仕様です。

 この針は世界限定80個との触れ込みですが、私がGetしたものはケースに57/80と書いてあり、57個目の個体の様です。
 価格は高いのですが、最近は100諭吉を超えるようなカートリッジもありますから、これはお買い得モデルと言えなくも無いのでは?実際、雑誌に出てからすぐ注文したのですが、もう輸入元にもいくつもない様でした。

 スペックは以下です。
スタイラス マルチラジアスダイヤモンド形状・高研磨グレード
接続 EMTトーンアーム用
カンチレバー サファイア
コイル 純銀線
型式 ムービングコイル型 ステレオフォノカートリッジ
垂直トラッキング角度 23°
自重 17.5g
針圧 2.5g
出力電圧 0.21V
コンプライアンス 12µm/mN
再生周波数帯域 20-30,000Hz
推奨負荷インピーダンス 200〜300Ω

 スタイラス、カンチレバー、コイルが旧来のTSD15と異なりますが、自重、針圧、出力電圧、出力インピーダンスは全て同じなので、アームに付け替えるとすぐ使えます。

 外観は旧来品よりスマートになり、シェル背面の金色ラベルがなくなり落ち着いた感じになりました。シェルの材質がプラスチックからマグネシウムになったため、シェルを少し細くして重量を調整したのでしょう。

 かなりスマートになったのでTSD15の初期モデル、針先のルーペが丸型のヤツに似てきましたね。このシェルの格好は凄く良いので、どうせアニバーサリーモデルと行くなら丸型ルーペにしたらもっとカッコいいのになぁと思います。
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 写真はこのブログの2年ほど前の記事から持ってきたヤツです。
 実は丸型ルーペのヤツも昔持っていたのですが、針圧が重いのが気になって聴かなくなったため友人に譲りました。デザインはコッチの方が良かったです。

 アニバーサリーのシェル背面の掘り文字は白になっており、丸型ルーペのステレオ針も白文字でした。このモノラル針(OFD25)は赤文字になっていましたが、コレはもっとレトロな感じがしてシビレちゃいます。
 EMTアニバーサリー、私がデザイン担当なら丸型ルーペにして赤の掘り文字にしちゃうなw

 TSD15と取り替えて試聴です。ギドン・クレメルの弾くイザイのバイオリンソナタ・オイロディスク盤を聴きましたが、従来のTSDより輪郭がよりシャープで鮮明な音ですね。しかし神経質な所はありません。
 キツさが少々残るのはEMTの特徴で美点でもありますからこれで宜しい。

 TSDアニバーサリー、取り替えて良かったです。更にLP再生が楽しくなりました。
 良い買い物をしましたw

https://91683924.at.webry.info/202104/article_3.html

26. 中川隆[-6041] koaQ7Jey 2021年4月04日 06:37:23 : gDb5AlH4lg : VVV5Zk1LelZYVXc=[2] 報告
80周年記念モデル「TSD Anniversary Limited Edition」も
EMT、ヘッドシェル一体型MCカートリッジ「TSD」シリーズ3モデル
2021年03月17日
https://www.phileweb.com/news/audio/202103/16/22341.html


エレクトリが扱うドイツのアナログブランドEMTより、ヘッドシェル一体型のMCカートリッジ3モデルが発売となる。80周年記念モデル「TSD Anniversary Limited Edition」は385,000円(税込)。スタイラスが楕円針の「TSD SFL」は220,000円(税込)、MR(マルチラディアス)の「TSD MRB」は264,000円(税込)となっている。

EMTのTSD15と互換性のあるヘッドシェル一体型モデルが発売となる

新しいTSDシリーズは、定評のある発電機構はそのままに、ボディにはマグネシウムの塊から削り出したモノブロック構造を採用し、剛性と共振特性を向上させている。

80周年記念モデルとなる「TSD Anniversary Limited Edition」は、サファイヤのカンチレバーに、ダイヤモンド多面カット(マルチラディアス)精密研磨スタイラス・チップを組み合わせ、発電コイル素材には4Nの純銀を採用。全世界80個限定となっている。

「TSD Anniversary Limited Edition」

「TSD SFL」は、カンチレバーにアルミニウム、スタイラスはダイヤモンドの楕円針、「TSD MRB」は、カンチレバーにボロン、スタイラスはマルチラディアスとなっている。

EMT「TSD SFL」
EMT「TSD MRB」

また、「TSD SFL」と「TSD MRB」については発電機構のコイルを銅3種類、銀3種類から選択可能になっており、それぞれインピーダンスならびに出力電圧が異なる。標準仕様は従来のTSD15と同様、銅コイルと24Ωの組み合わせとなる。

●コイル素材 Copper 4N
Standard インピーダンス24Ω 出力電圧1.05mV @5cm/s
1/2 インピーダンス12Ω 出力電圧0.5mV @5cm/s
1/4 インピーダンス6Ω 出力電圧0.3mV @5cm/s

●コイル素材 Silver 4N(+60,500円/税込)
AG インピーダンス20Ω 出力電圧1.05mV @5cm/s
1/2AG インピーダンス10Ω 出力電圧0.5mV @5cm/s
1/4AG インピーダンス5Ω 出力電圧0.3mV @5cm/s

どのモデルについても、EMTトーンアームまたは汎用トーンアーム、いずれかとの接続方式を選択することができる。こちらもコイルオプションと同様、注文時に指定が必要となる。
https://www.phileweb.com/news/audio/202103/16/22341.html

27. 中川隆[-6040] koaQ7Jey 2021年4月04日 06:38:55 : gDb5AlH4lg : VVV5Zk1LelZYVXc=[3] 報告
晴耕雨聴 2020年10月31日
マークレビンソンのヘッドアンプ(JC-1AC)は凄く良い !!
https://91683924.at.webry.info/202010/article_11.html


 (ベンプレ亭書斎にやって来たマークレビンソンJC-1ACです。JCですからジョン・カールの設計ですね)

 ベンプレ亭書斎はLP再生にMC型ばかり使用しています。高出力MCのオルトフォンMC30turboとベンツマイクロACE SHはMM用のフォノイコに直接入れていますが、その他の針は昇圧トランスを使っています。

 EMT TSD15用のフォノイコ139st、TMD25用の139stレプリカはフォノイコ内に昇圧トランスが入っていますので外付けのトランスは使用していませんが、デンオンDL103Rはアルテック/ピアレス15095トランスを経て製作者不詳マランツ7cタイプフォノイコに信号を入れています。

 昇圧トランス、実は好きなんです。コロッとしてて可愛いですよね。
 もう自宅に無いものも含め、思い出してみると…
 オルトフォンSTM72Q、アントレET100、ヨルゲン型番忘却、パートリッジTH7834、トライアッドTS-1、ロンドンWE32750、英国製トランス忘却3機種、米国製トランス型番忘却2機種、ピアレス15095、同4722、ハウフェT890、クラシックオーディオ型番忘却…ちょっと数えただけで14機種もありますなw

 MCトランスとして製作された物もあれば、ライントランスやマイクトランスをMC用にガレージ・メーカーが流用したもの、あるいはアマチュアのケーシングらしきもの、トランスだけ買って私がケーシングしたもの、いろいろあります。

 先日ヤフオクを見ていると、ヘッドアンプのマークレビンソンJC-1ACのきれいなヤツがマアマアの値段で出ていました。
 1975年の発売なので、45年も前の製品ですが、動作はしているみたいです。若かりし頃、マークレビンソン製品は価格的に手が届かないものばかりでしたが、流石に45年前のヘッドアンプならベンプレ親父でも買えますな。

 特に使うあてはないのですが、トランスはいろいろ試しましたので、使った事のないヘッドアンプ、一丁やってみるかなと。

 さて、やって来たJC-1AC、どこに使いましょう。考えられるところは二つ、マランツ7cタイプの前に入れるか、今は使用していないマッキンC40のフォノ入力の前に入れるかですね。
 繋ぎ変えが簡単なので、JC-1ACは7cタイプの前に入れ、アルテック/ピアレス15095と比較試聴してみました。針はDL103R、試聴LPは「ゲッツ&ジルベルト」、「ビル・エバンス、ライブ・イン・トーキョー」です。

 するとですね…ちょっと驚いたんですが…JC-1ACの圧勝、完勝、大勝利です !!
 音の鮮明さが際立ち、低域のレンジは広大、スピード感、キレ、味の濃さ、全部JC-1ACが上ですね。

 真空管式のマランツ7cタイプの前段にトランジスタ式ヘッドアンプなんて野暮だと思いましたが、結果は…もうグウの音も出ませんや。

 これならSPUでもイケるかもと、手持ちのSPU Royal Nを繋いでみましたが、バリバリ鳴ります。これなら昔聴いていたSPU-AE+パートリッジTH7834を上回ると思います。

 うーむ、SPUをJC-1ACを経由してマークレビンソンLNP2Lで鳴らしておられる方をネットで拝見し、音は良いとしても場違いっぽいよなーと勝手に思っていましたが、ベンプレ亭書斎ではSPU+JC1-AC+マランツ7cタイプですぞ。
 人に見られたら教養無いなコイツと笑われそうですが、ナニ結果が一番ですし。

 うーむ、ヘッドアンプがトランスより良いのでしょうか?それともマークレビンソンが良いのかな?
 オーディオはやる事が無くなりませんなーw

https://91683924.at.webry.info/202010/article_11.html

28. 2021年4月05日 08:23:43 : yvoVOPRldA : cC9XWU5uS3VveE0=[2] 報告
kanataさんのご感想 前編 : GRFのある部屋 2021年 04月 04日
https://tannoy.exblog.jp/32216280/

GRF邸 感想 2021.3.19

<German Physiks 80/PSD TW3 + TW5 + 40 の4+4システム>

百聞は一聴に如かず。

この音楽を実際に聴かずして想像や伝聞で語ることは到底出来ない。

往年の時代性を感じさせる音では無い、けれど単純な現代ハイエンドの音でも無い。
精緻な音でもあるが分厚く骨太で実在感も兼ね備える。
1950年代から現代までの全ての時代の音源がその音源の本質を変容させずに現代の技術で鳴っている。

これぞ正に「ハイフィディリティ」。

音場の立体感、前後感の出方が根本から違う。
オケ全体が実在感を持って目の前に展開しているとしか感じられない。
音像の実在感、説得力がまるで違う。
歌手はそこに実際に立って歌っているとしか思えない。まさに体全体が見える。
歌手の技巧が良い意味で手に取る様に分かる。
発声の仕方から顔の向き、仕草までも。

音にならない様な情報量が莫大、だからこそ何もかもが分かる、伝わる。
ピアニシモの情報の多さ。そこから分かる部屋の良さ、場の空気感。アンビエント成分も情報量と厚さを兼ね備える。
生コンサートの聞こえ方をベースにした生コンサート以上の芸術。

マクロ的なものとミクロ的なもの、この2つの超超ハイレベルでの両立。
木を見て森を見て枝葉も見て、さらにその森に生きる生き物の気配さえ感じる。
録音に対する忠実性。その真の意味が分かる。
録音がフォーカスしたパートが次々と主役になって入れ替わり立ち代わり全力で演奏する。
聴取者はただ眼前の超音楽に身を委ねるだけ。
そこに何の意志も思考も必要はない。

演奏の熱量をそのまま伝える音の太さ。

音の密度が高い。全ての帯域でシームレスに同じ密度で音楽を表現する。
少しの揺らぎもない。安定そのもの。
密度が詰まって膨らみがないのが稀有な実在感に繋がっている。

このシステムは音源に詰め込まれた音楽の本質を明らかにする。
クレンペラーの音楽の濃密さ、演奏者の気合いの違い。
ヤンソンスのラヴァルス。
空間が捻じ曲がる様な音のうねり、グロテスクでさえある怪演。
トスカニーニの圧倒的な熱量。モノの音場ではない。
巨匠たちの圧倒的な音楽、その濁流に身を任せ
その神髄を体で感じればいい。

オーディオとは、音楽とは、ここまで素晴らしいものだったのか。目を開かれるとはこの事。
自分の認識自体が大きく変わる、そんな体験だった。


<光カートリッジ(グランドマスター)>

今まで聞いたことが無い音楽。

一体なんなのだ、これは?

レコードでは無いしCDでも無い。
何の余計な力も感じない超自然体。
オーディオではない何か。

ピアニシモの表現がレコードのそれでは無い。
ただただ、自然に音楽がそこに在る。

眼前に広がるのは未踏の水平線。
レコード一枚一枚、その数だけ無限に広がる新世界に漕ぎ出せる幸せ。
これは音楽再生に奉仕して来た主人への神様の粋なプレゼントではないだろうか。


kanataさんのご感想 前編_f0108399_11104846.jpg

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GRFさんこんばんは。メールの送付が遅くなり申し訳ありません。仕事が忙しくなかなか感想を仕上げる事が出来ませんでした。

今回の体験は間違いなく私のオーディオの、そして生コンサートも含めた音楽体験で一番のものでした。あっという間の3時間でしたが、その何倍もの時を過ごした気さえ致します。この体験を、この感動を書き残したい、といつもに増して長文を作成していましたが、ふと自分の書いた文章を読むと、そこからは当日に感じた熱量があまり感じ取れないものになっていました。

説明は尽くされていてもどこか冷静であの引き込まれる様な音楽を表していない。コレではダメだと思いました。そこで、当日感じたものをそのままエッセンスとして書き綴ったものを送らせていただく事にしました。

短く、ポエム的で気恥ずかしい所もありますが、長文よりもこれが私の感じたものにより近いと思います。この度貴重な経験をさせていただき、本当にはありがとうございました。またお時間がございましたら拙宅にもお運びいただければと思います。今後ともよろしくお願い致します。

kanata

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kanataさんのご感想 前編_f0108399_12343396.jpg
前回、kanataさんが来られたときの様子です。大分すっきりしていますね(苦笑)


kanataさんが来られたのは、先月の19日の金曜日の夜でした。昼間、千葉のSさんも、急遽来られてDSのカートリッジを一聴して、驚いて帰られた日の晩でした。お客さんは部屋の中でも、マスクを着用してもらい、部屋の空気も定期的に入れ換えたり、大きな音を出すようなときに、換気扇も回して対処しています。それでも、通常は二時間以内にしていただいています。しかし、二種類以上のシステムを聴いたり、出てくる音楽が素晴らしく、時間内に終わらない場合でも、三時間が限度ですね。早く、ワクチンや治療薬が確保されて、昔のような自由な時間が取れるのを心待ちにしています。

この晩は、少しだけ、DSカートリッジも聴いていただきましたが、その日のメインは、German Physiksのトロバドール80とTW3のメインスピーカーに、アンビエンスを付加する40を加えた従来からのシステムに、昨年の12月からTW5と言う、26センチ二発で50Hzから下を補強する、マルチスピーカーシステムを聴いていただく目的でした。

2月にのびーさんに聴いていただいた時は、音の調整には若干の違和感がありましたが、その後、SPの位置合わせを修正して、二月中は大変いい音がしていて自分でも満足していました。その後、Hさんのサプライズプレゼントで、一気に話題は光カートリッジ一色になりましたが、CD系の再生音は、順調で自分史上最高の音をキープしていました。

そんな折、kanataさんが来られて、その再生音に喜んでいただいたのです。kanataさんと言えば、すごい長さの感想文です。去年は無かったですから、一昨年になりますが、前回のGerman Physiks友の会の時に千文字以上の長文の感想を送っていただきました。彼の訪問を知ったのびーさんからも、今回は千文字ではきかないと言われてました。

3月は期末で、お仕事も忙しく、その長文を期待して楽しみに待っていました。ところが、長文の記事も書かれていたのですが、あの日の感動を叙事的に書くのでは、ご自分の感情は表せないと、書き直して送ってくださいました。

私は、叙事的な説明と叙情的な感動が合わさって、その時の心象が現れるのではと思っていたので、その長文も是非拝見したいと思っていました。その思いが通じたのか、長文ヴァージョンも送っていただきました。ただ、本当に長文なので、まだ、全体の半分ぐらいだと思われます。その後半をまたご依頼して、じっくりと待ちたいと思います。時間が離れて、二回?に分かれますが、ぜひ、後日、両方をご覧になられて、kanataさんの印象の全貌をお読みください。


Commented by パグ太郎 at 2021-04-04 12:27 x
kanataさんが、どう聞かれて、どの様に表現されるのか楽しみにしていました。断章の様な呟きの一つ一つに、そうその通りと思つつ拝読。そして、この色点が集積されて描き出される景色全体をどう語り出すのかと思うところで、産みの苦しみの様なコメントに対面し、いや全く同感と深く頷いてしまいました。この体験の深さというか、音楽の愉悦というか、その心の動きを自分は全く表現できないまま、いい加減な文章で誤魔化してしまって来ています。が、kanataさんは真摯にそこで留めておられるところが流石です。と言いつつ、やはり後編が楽しみですね。

https://tannoy.exblog.jp/32216280/

29. 中川隆[-5991] koaQ7Jey 2021年4月05日 11:55:12 : yvoVOPRldA : cC9XWU5uS3VveE0=[23] 報告
EMT フォノイコライザー139st
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1149.html

EMT フォノイコライザー JPA66
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1150.html

30. 中川隆[-5977] koaQ7Jey 2021年4月05日 12:49:23 : yvoVOPRldA : cC9XWU5uS3VveE0=[40] 報告

EMT927st の世界
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1151.html
31. 中川隆[-5958] koaQ7Jey 2021年4月06日 10:59:00 : l9L9YsfYaI : LmoyTFJGLk5rdUk=[12] 報告
プリアンプ(レコードを聴いていた頃)2010-10-11
https://kawa.weblogs.jp/things/2010/10/%E3%83%97%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%97.html
レコードがステレオの音源に占める割合はとても大きいものでした。オーディオ好きって人に限れば、レコードを聴かない、テープやカセット、FMのみって人にはあまりお目に掛かった事がありません。

レコードで良い音を聴くのには手間が掛かります。気に入ったカートリッジを捜して、信頼出来るトーンアームに付けて・・・・私の好きなMC型カートリッジを使おうと思えば更にカートリッジ用昇圧トランスが必要です。折角のカートリッジもトランスとの相性で台無しになる事も良くある事でした。

日本盤と洋盤とでは音が違う、初期プレスが最高なんて言い出して、とんでもない大枚をはたく人もいました。私は手を出しかねましたが、聴かせてもらうと音が違うのも事実なんです。好きなカートリッジを集めたり、レコードの原盤を捜したり、掛かる手間は楽しくも有り面倒でも有りました。レコードは豊かな世界だったと思います。

テープやFMはそのまま大きくすれば鳴りますが、レコードはそうも行きません。低音の再生には大きなエネルギーが必要です。レコードの狭い溝の中にそれを刻み込むのはかなり難しい事でした。逆にエネルギーの小さな高音は他の音にマスクされて消えがちでした。低音を小さく高音を大きくしてレコードに刻み、再生時には刻まれた低音を大きく高音を小さくして鳴らすことでレコードは進化して来ました。レコードの低音を上げて高音を下げる為のイコライザーは、時代やレコード会社に依って何種類もありました。 LP(ロングプレイ)レコードが普及して、更にステレオが出て来る頃にはRIAA(Recording Industry Association of America)カーブに統一されました。

音量や左右のバランス、音源のセレクター、トーンコントロール、と言った操作調整機能と、微細な信号を増幅することがプリアンプの機能です。もうひとつ、低音を小さく高音を大きく刻まれたレコードの信号を、RIAAカーブに沿って元の音に戻すPHONOイコライザーも昔は必要不可欠な機能でした。

最初にプリアンプの自作に挑戦したのは、安斉勝太郎氏のSRPP二段無帰還CRイコライザーを薦められたからです。当時通っていたブルース喫茶’キングビスケット’の鎌田さんは、私の好きなjump bluesを良くかけてくれました。古いカメラやオーディオ、自動車やバイクにも詳しい趣味人でもありました。LUXのA3500パワーアンプがあればプリアンプの電源を作らなくて済む。安いトランジスタアンプのイコライザーより桁違いに良い音だと言われました。それまでキットしか作った事の無い私は、複雑な工作を少しでも減らしたいと思いました。トーンコントロールやフラットアンプ段は止めてしまいました。結果とすればPHONOイコライザーにセレクターとボリュームを付けただけになりました。出鱈目な配線の所為でハムやマイクロフォニックノイズに悩まされました。取り回しを変えたり、真空管をtelefunkenのSQ管803Sに変える事で何とか使える様になりました。イコライザー自体の善し悪しも問題ですが、フラットアンプやトーンコントロールを飛ばした事が随分音を良くした様に思います。別のイコライザーを自作したりもしましたが、最終的にはカウンターポイントSA-139stと増幅段を持たないチェロのETUDEを使っていました。

つまり、レコードを聴いていた時分にはイコライザーがあれば、増幅段を持ったプリアンプは要らない。セレクターとボリュームさえあれば良い。・・・・プリアンプ不要論に傾いていました。

(その後のカウンターポイントの方が安斉式より音が良かった訳ではありません。雑音ひとつでアンプを開けたり閉めたりする自作より、既製品の方が気が楽に思えたからです。誰か腕の良い人に作ってもらえるなら安斉式にしたいと今でも思っています。

カウンターポイントSA-139stはEMTイコライザーのコピーと言う触れ込みでした。counterpointだのselectedだのと刷り込まれた6DJ8は立派なお値段の割りに大した音はしませんでした。シーメンスのCCaに差し替えて少しマシになりました)

コメント

ひぃ〜
カウンターポイントSA-139stは確かステサンでの企画で長島達夫氏主導で作られたものだと思います。
エリオットは今でも過去製品のアップグレードなど対応していますが、SA-139stはサイトに見当たりませんし。。。
カウンターポイントのフォノはプリ内蔵のものがとてもいいですよ。これを使うと、もうNFB型は使えません。
投稿情報: ひぃ〜 | 2010-10-21 12:12

kawa
ひぃ〜様、コメント有り難うございます。暫くのご無沙汰でしたが、貴ブログいつも楽しみにしております。
当時、一緒にステレオの話が出来る様な友人は、極く少なかったのですが、その内の一人が薄型のPri(counterpointSA3?)を買いました。カートリッジからスピーカーまで何を替えても音は変わります。けれど脇で見ている私が思うに、一番音を良くした買い物はあのPriだった様に感じました。ただ音に色づけが有ってはまる物には良いのですが、音源によっては辛く感じる時もありました。(SA5?は又別かも知れません)AXIOM80やソナスファーベルなどもそうですが、嘘つきでも音楽を楽しく聴かせてくれる機械、私は好きです。
この手の機械の嘘を私は有り難いと考える質ですが、嘘が破綻してしまう事があるのは仕方が無いと思います。

投稿情報: kawa | 2010-10-22 14:14

ひぃ〜
SA1桁のものは工業製品としての練度・安定度が低かったようですね。
自分は最終のSA4桁シリーズを使っています。
いずれにしても発売から20年以上たっているので部品交換は必要なのですが、エリオットは新しい部品をいろいろ試して情報公開/改造受付していますし、こういうサイトもあり、助かります。
http://ariajp.cocolog-nifty.com/

投稿情報: ひぃ〜 | 2010-10-23 09:15

kawa
SA3・・・もう随分古い話でしたね。
そう言えば4桁をじっくりと聴いた事がありません。
教えて頂いたサイトは大変興味深い物でした。羨ましい気がしました。

投稿情報: kawa | 2010-10-25 20:11

https://kawa.weblogs.jp/things/2010/10/%E3%83%97%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%97.html

32. 中川隆[-5943] koaQ7Jey 2021年4月07日 08:01:18 : o2ntGCbK6k : MlcvUlhYVUlPOUU=[27] 報告
EMT927st の世界
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1151.html

レコードプレイヤー EMT 930st
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1155.html

33. 中川隆[-5937] koaQ7Jey 2021年4月07日 08:33:27 : o2ntGCbK6k : MlcvUlhYVUlPOUU=[33] 報告

EMT フォノイコライザー139st
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1149.html

EMT フォノイコライザー155st
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1156.html

EMT フォノイコライザー JPA66
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1150.html

34. 2021年4月09日 19:38:30 : 9AvuzjuYRQ : akZCRTFtRlRqbVk=[1] 報告
ようやく落ち着きました : GRFのある部屋 2021年 04月 09日
https://tannoy.exblog.jp/32224842/

怒濤のような一ヶ月でした。今週は知人に借りていたMaster1とGrand Masterをお返しして、もとのBenz Microを戻し、ようやく、光騒動も落ち着きを取り戻しました。全ては、その知人の親切?からは始まったからです。何も準備していなかったのに、いきなり自分の部屋が大波に襲われたようなモノです。その潮が引いても、以前の風景とは違います。

ようやく落ち着きました_f0108399_02555517.jpg

カナダからemmのイコライザーが到着して、新品のGMと付け替えました。アームの設定も入念にチェックしましたが、個体差は全くなく、そのままの設定で使えました。使い始めの三日間ぐらいは、少し堅い音がしていましたが、徐々にこなれてきたようです。手前のMolaMolaは、以前と同じBenz Micro用です。RIAAの低域のカーブを20dbまで上げられる希有なイコライザーを内蔵しています。LP-Sは後方のアームに付け替えました。

中古のイコライザーは、現在、電源部と内部の部品を改造するために友人のところに行っています。初期型のイコライザーですから、昔の良い時代の設計思想で、ディスクリートで作られているので、いろいろな改造をして楽しむのにはもってこいです。音を聴きながら何回か調整に往復することでしょう。充分すぎるほど低域が充実しているので、emmを参考にして、微調整していくのは楽しみですね。

毎日、レコードを10枚以上洗い片っ端から聴いています。その驚きは続いており、聴くのに忙しくて記事を書く暇がありません。理想的な状態です。レコードクリーナーの超音波とRO水できれいに掃除された盤面は、傷以外はほとんどノイズがしません。その効果はBenz Microの方にも表れます。また、ターンテーブルの静けさ、回転のスムーズさ、ノイズの無さなどターンテーブルの基礎的なところはそのまま洗われますから、左右にバランスを取っている糸ドライブのテンション調整も入念に行っています。

このターンテーブルは、20年以上使っていますが、家に来た日から回しっぱなしです。給油する必要も無く、無音のまま、静かに回り続けています。今回、アームの調整のため何回かターンテーブルを止めましたが、左右水平対向で回している糸ドライブのテンションが均一化するまでは、やはり音に影響が出ます。糸のこすれる音がしなくなるとバランスが取れている証拠です。すると、レコードの低域の表現力が変わります。低域に強い、光カートリッジはその差がはっきりと出ますし、通常の18dbではなく20dbまで上昇させているMolaMolaのイコライザーもその差をはっきりと描き出します。

ようやく落ち着きました_f0108399_02564537.jpg

従来は、CD系の様な、SN比を出すことが出来なかったレコードが、メインのトロバドール80/TW3+TW5でも超低域まで、はっきりと描き出せるとは思っていませんでしたから、大変大きな誤算でした。当初、GRFを使用していたのは、ケーブルの長さが足りなかったこともありますが、SN比が付いてこられるかが心配だったからです。今でも、RCOのSACD盤のような、消え入るような小さな音はレコードには入っていませんが、デジタル変換しない音のしなやかさ、人の耳の特性に近い、レコードの音作りの巧みさが出てきて、60〜80年代のアナログレコード全盛時の音が、楽しめるようになりました。

トロバドールシステムでのBenz Microもレコードクリーニングのおかげか、アームの調整か、見違えるような音になってきました。不思議です。その副次的な効果も大きく、GMの得意な分野とBenzMicroの得意な分野が反対なので、レコード盤の特性に分かれて使い分けが出来るようになりました。

GMは当初は、歌謡曲の実況録音盤の音に驚いていましたが、最近は、70年代後半のアナログ盤最盛期の音に今更のように驚いています。音場の出方、位相の管理の方法がレコード特有の音場になっていますが、それはそれで楽しめますね。また、50年代の初期のオリジナル盤が、如何に音場情報を収録しているか、針を落とした瞬間からその音の差に驚きます。その情報量の差がオリジナル盤の魅力ですね。皆さん驚かれるのがモノラル盤です。オリジナルのモノラル盤が聴けるのも、嬉しい大誤算でした。
https://tannoy.exblog.jp/32224842/

35. 中川隆[-5806] koaQ7Jey 2021年4月12日 09:10:56 : F28bjgJ4Vg : aHFqN2tuN21FdDY=[10] 報告
kanataさんのご感想 長文編 前半 : GRFのある部屋 2021年 04月 10日
https://tannoy.exblog.jp/32225865/


GRF邸訪問 2021.3.19

1. GRF邸訪問記(デジタルシステム編)

1.1 GRF邸再訪 経緯と背景

今回のGRF邸の訪問記に入る前に、前情報として私のGRFさん(およびそのお仲間の方々)との交流の背景を少し書きたいと思います。

GRF邸には2年半前(2018年の秋頃)に1度お伺いする機会をいただきました。その時は和室のユニコーンをメインにお聞かせいただき、洋室も最後に何曲か聞かせていただきました。それまでブログを拝読し、自分にとっては妄想の夢の中の存在であったGRFさんの音。その実際は、想像より遥かにエネルギッシュで熱く骨太な音楽そのものでした。音場の提示の感覚については答え合わせの様なところもあり、それまで自分が進んできた道の確かさを確認させていただく事が出来ました。また、その同年のGerman Physiks 友の会にもお声かけいただき、会の皆様と楽しくも濃密な音楽の時間を過ごさせていただきました。

German Physiks(以下GP) ユニットの複数遣いを聞いた経験で申しますと、昨年(2020年)の11月にパグ太郎さんのお宅に伺った際にHRS + PQSの合計4台遣いが奏でる音楽を拝聴する機会をいただきました。その際はその独特な音場空間の提示の仕方に驚きと感銘、そして正直なところ少なからぬ違和感も同時に覚えました。

GPユニット4本から放出されるかつてない3次元的でリアルな音場展開は、まるで実際のコンサート会場に居るかの様です。しかし、同時に従来のスピーカー2本構成でスピーカーセッティングがピシッと合った時の感覚からすると妙にダブって聞こえる所もありました。

この4本方式への大きな可能性は感じつつもその調整の難しさも同時に感じ、・・・人間業ではこれを合わせきるのは限りなく不可能に近いのではないか?・・・との思いを抱きました。以来、このかつてない難物に思えるGP複数ユニット遣いをご本家であるGRFさんは一体どう鳴らしておられるのだろうと妄想する日々が続きました。

そんな中、コロナ禍の最中にも関わらずありがたくも再度訪問のお声掛けをいただき、ここに来て更なるピークに差し掛かっているように見えるGRF邸に伺う機会を得たのです。

久しぶりにお会いしたGRFさんは以前と変わらぬ自然体で若輩者の私にもざっくばらんに接して下さいました。洋室に向かうまでの間にも、最近のトピックである光カートリッジにまつわる怒涛の展開についてお話をされる姿は(ご自身でもおっしゃっておられましたが 笑)まるで新しいおもちゃを買って貰った少年の様。ますます好奇心と探求心全開でエネルギッシュに突き進まれるその姿を見るとこちらも自然と体が熱くなります。

洋室に通されると、目に入ったのはこのところのブログでおなじみのGPのユニットとTWウーハーがそれぞれ4本連なる光景でした。それと共に話題の光カートリッジのアナログシステムも向かって左手のキャビネット上にセットされており、なんとどちらも今日お聞かせいただけるとのこと!後者はさすがに今回はお預けだろうと予想していただけに、これは我ながら絶妙なタイミングで伺ったものだとしばしシステムを眺めながら自分の幸運を噛みしめました。

従いまして当日お聞かせいただいたシステムは2つ。German Physiks Troubadour + PSDのTWのデジタル系システムと、GRF+光カートリッジのアナログ系システムです。これらのシステムの印象について順に書いていきたいと思います。


kanataさんのご感想 長文編 前半_f0108399_11442000.jpg


1.2 GP+TWのデジタルシステム

最初にお聞かせいただいたデジタルシステムは、EMM LabのトランスポートからMola MolaのDAC内蔵のプリで受け、是枝製真空管パワーアンプで、GPのトロバドール80のユニットを、その下のTW3のウーファーを鳴らして、後方のGRFの上に置かれた、トロバドール40も一緒に鳴らし、今回追加されたTW5のスーパーウーファーをSound DesignのSD05で駆動するというシステムです。

最初は私も持っているCDが良いだろうということでアメリングの歌曲集から再生開始です。

構成の近いパグ太郎邸の音をベースにこのGRF邸の機器構成を加味してあらかじめこんな感じの音かなと想像はしていましたが、まだ耳も慣れていないとっかかりから良い意味でそれを裏切る音が出て思わず唸ってしまいます。

その音を一言で表すと、「まるでアメリングがそこに立っている様」なのです。

あまりに使い古されたこの言葉にこの文を読んでくださっている方々も「またか・・・」と思う事でしょう。しかし「また」ではないのです。ここまでの実在感、実体感は私の経験の中で全く聞いた事が無い類のものです。

その凄みを一番感じさせるのが、歌手の体全体を丸ごと感じ取ることが出来るという点です。大げさではなく、手や足の動きまでも感じ取ることが出来ます。聴取者がここまでの情報を聴感のみで感じることが出来るのは色々な要素が高度に噛み合わさっているからだと感じます。

その高度に噛み合わさっている色々な要素とは何か。ここで一旦流れを切りまして、やや分析的にGRF邸の音を構成する主要な要素の印象を書きたいと思います。

1.3 GP+TWシステムの主な印象

@音像・音場の立体感が異常に高い

まず音像が立体的かつ音場空間の前後方向の奥行きが広大です。この立体感は通常の2chステレオ再生では聞いたことがない類のもので、2本のスピーカーの位相差や音量差による表現ではここまでのものは出せません。かといって5.1ch等のサラウンドともまた違います。その音像と音場の表出の仕方のイメージは実際のコンサート会場のそれに酷似しています。

感覚的に2chステレオ再生の強化版と言ったらよいでしょうか。基本は2chの位相差や音量差による音場表現を踏襲し、それに更なる奥の2本のスピーカーとの位相差や音量差を微妙に足し与えているイメージです。その奥の情報の付加によって立体感と奥行きが2chの枠を飛び越えたものに到達していると感じます。

A音像・音場の実体感・濃厚さが異常に高い

「異常、異常と他の表現はできへんのかい」と言われそうですが、実際どう考えても従来の2chオーディオの枠組みを超越した異常なレベルであるのでこう表現するのが適当だと判断しあえて連発しています(汗)

オーディオでありがちな事ですが、音場表現を重視したシステムでは音像表現はどこかホログラフィックで、実在感に欠ける傾向になることが多いです。(拙宅もどちらかと言えばこの傾向があります)しかし、GRF邸では音像の実体感、音場(空気感)の濃厚さを強烈に併せ持ちます。

その実体感、濃さを出しているのはもちろんご使用のコンポーネント個々の力もありますが、奥の2台のTW5ウーハーです。後述しますが、これらを切るとかなり自分が聞きなれた従来の枠組みの2ch再生の音像の実在感に戻ります。この奥のウーハーの効果は非常に強力で、音楽の説得力がまるで違ってくるのです。

B部屋の構造が強固でSNが高い

前述した要素に加え、構造からこだわり抜いたこの洋室のゆるぎなさ、そしてそこから来る高いSNが音楽を支える盤石の土台として加わっています。当日GRFさんから詳細を教えていただきましたが、この洋室はコンクリートスラブの躯体からはじまり、その上に幾層も素材を変え、厚みを変えて積み上げられた床の他、非常に強固かつ音響的に考えられたものになっています。更に専用室で大きさも20畳以上、高さも1階の高さを削ってまで確保されておりエアボリュームも十分、GRFさんのオーディオと音楽に対する熱い思いが強く色濃く表れたものとなっています。(実際前回の訪問時も今回も何度もオーディオはまず部屋だと語っておられました。)

高い防音を施した部屋にありがちな閉塞感を覚えるほどのSNとは違い、普通に会話している分にはそれほど部屋の凄みを感じません。が、実はこれがまたこの部屋の音響的に素晴らしい理由の一つであると感じます。強い防音を施して音をこの部屋の空間に閉じ込めてしまうのではなく、適度に音が部屋から逃げていく様にあえて気密は抑え目にしている様に思えるのです。

そのため、コンサートに居るかの様な大音量(と言っても爆音ではありませんが)で再生されたとしても部屋はゆるぎなく音楽を邪魔する音を出さず、しかし音が部屋に飽和しているうるささも感じません。それらによって大音量でありながらも細かい音も耳を向ければ聞こえたり、ピアニッシモの微妙な表現、表情の違いが手に取るように聞き取れたり、といったことが可能になっているのです。これも後述しますが、GRF邸の凄みの柱の一つであるマクロおよびマイクロダイナミクスの比類なき水準での両立もこの部屋あればこそと感じます。

今回この素晴らしい洋室で濃密な時を過ごさせていただき、やはり部屋はオーディオのすべての起点であるとまざまざと思い知らされることになりました。

さて、このあたりで話を当日の流れに戻ります。

1.4 スピーカーユニット構成別、比較試聴の感想

私の耳もそれなりにこの環境に慣れてきた3曲目のハイティンクによるマーラー4番をしばらく聞いた頃、GRFさんは大サービスをして下さいました。なんとスピーカーを手前のGP80+TW3の2chのみに切ってから順次入れていき、その構成の違いによる音の違いをお聞かせいただけるとのこと。まさか音楽の館のGRF邸でこんなオーディオチックな実験が為されるとは思いもよりませんでした。驚きつつもまたとない機会、この時ばかりはオーディオ耳を少し大きくして興味津々で聞かせていただきました。

kanataさんのご感想 長文編 前半_f0108399_12343396.jpg
二年前の80/TW3だけのシステムです。部屋がすっきりしていますね(苦笑)


@パターンA:手前のTroubadour80+TW3だけの2ch再生

まずは手前のTroubadour80+TW3のみでの再生からスタートです。この構成は以前の訪問で短時間ではありますが体験させていただいたものとほぼ同じ構成でもあります。

先ほどまで聞いていた4+4の再生とは打って変わって、自分の感覚に馴染みの深い音像と音場の出方になりました。全体の気配が感覚的にスッキリとして音場表現も凛として一本筋が通ったものになります。

この状態であれば、拙宅のシステムの音と全体の気配や傾向はかなりニアリーになります。もちろんレベルは違いますが、私の進んできた道の延長線上にこの音があると感じました。

そしてこの2+2の再生を聞いた瞬間、逆説的に4+2や4+4での再生についても違う側面から認知することが出来ました。4+4での再生は先に述べた様に実在感・立体感ともに通常の枠組みを超えた凄みを感じさせるものになりますが、反面、従来の2chでスピーカーをトントン位置調整していわゆるピントが「合った」状態から比較しますと、ピシっと音像や空間が一つの時間軸に収束し切らず微妙にダブった感覚があった事が分かりました。

このダブった感覚は4+4の世界観にどっぷりと飛び込めば気にならない程度の微妙なものであり、そのあたりを必要以上に気にするのは重箱の隅をつつく様なやや不躾な行為である気がします。ですから、聴取者は「あなたは何を聞いているのですか?そんな微妙な違和感より、文字通り次元の違う音楽的感動を素直に享受してはどうですか?」とシステムに試されているとも言えるのかもしれません。私自身この聴き比べの機会をいただいていなければ、そのまま4+4の世界にどっぷり浸かり切って終わっていたと思います。

そして更にこの時点で、私の中にあるパグ太郎邸での2+2と4+2での再生で感じたことと、今回のGRF邸で感じたことを照らし合わせて、自分の中で掴んだものがあります。(以下パグ太郎邸を比較の遡上に乗せて表現しておりますが、あくまでこのユニットの複数遣いの効果や使い方を探るために出しているという位置づけであり、両邸の音の優劣を比較する意図は全く無いことを注釈として先に記しておきます。)

正直なところ、パグ太郎邸での4+2での再生は2+2と比較してダブった感覚が出るというデメリットがGPユニットを4つにしたことによる立体感や質感の向上というメリットを(私の感覚では)上回ります。しかしGRF邸ではそれが逆転し、メリットがデメリットを上回ります。パグ太郎邸に比べてメリットは増大し、デメリットは減少しているイメージです。

では、その両邸での有効性の違いは何に起因するのか?送り出しもアンプもユニットも違うので色々な要素が絡んでいると思いますが、一番大きな要素は4つのユニットと聴取者との距離および4つのユニットと部屋の壁との距離の違いだと感じ取りました。

パグ太郎邸はリビングオーディオです。十分に広いとはいえ専用室でなく、セッティングにはどうしても制約が生じます。実際距離を測定したわけではなくあくまでリスポジからの視覚的な印象になりますが、リスポジ〜手前のユニットの距離(仮にXとします)とリスポジ〜奥のユニットの距離(こちらはYとします)の比率Y/Xの値がGRF邸と比較して小さい様に感じます。これによって、奥のユニットが手前のユニットの音に付帯音として付加する効果が弱まっていると推測出来ます。つまり、奥のユニットは現在の位置よりももっと奥に離した位置が最適な位置ではないかと推測します。

また、奥のユニットから背面の壁と側面の壁の距離もGRF邸と比較して取れていません。ほぼほぼ壁に寄せていると言って良い位置です。これによって奥のユニットの壁からの反射の影響が大きくなっており、その影響でダブった感覚が大きくなっているのではと推測します。また、このことで位置調整もかなりシビアになっているように思います。

要するに、この4ユニットのセッティングでメリットをより大きく、デメリットをより少なくするためには、かなりの部屋の広さが必要であるのではないかと思うのです。

以上、完全に自分の感覚と机上の話で的外れな気もしますが、あまりに興味深い手法であったのでつい妄想を膨らませてしまいました(汗)

AパターンB:Aに奥のGRFの上にTroubadour40を追加した4+2再生

続いてAの構成に奥のGPユニット2つを追加した4+2の再生です。大きく変わったのは音場の立体感で、4+4に近いものが出てきます。それと共に音像の質感も変化します。音像はやや厚みを増し、トロッとした深みのある質感を湛えます。この時点で2+2からは出てくる音楽の説得力が違ってきます。

更に驚いたのは音がフワーっと上方向に上がっていく様になること。Aではどっしりと腰の据わった下に厚いピラミッド的な表現で私はこの音の出方を好みますし、前回の訪問時にもGRF邸の音にこの傾向を感じて密かに共感を覚えていたのですが、Bになるとその腰の据わった傾向にプラスして上方向にも音が輝く様に上がって行くようになるのです。何か神秘的な、天国的なものさえ感じるこの音に私はしばし幸福感さえ感じてしまいました。誤解の無い様補足しておきますと、決して腰高になったのではありません。どっしりとしたピラミッドバランスは継続して感じさせたうえで、細かい音が上へと浮遊していく、そんな感覚なのです。

ちなみにGRFさんのご説明によると、人間の聴覚は二つの発音体から音が出ている場合でも、音が耳に到達した際の時間差がある時間以内であれば最初の音の付帯音として認知するという性質があり、この性質を利用した理論的にも裏付けのあるセッティングであるとのことです。付帯音と書くとオーディオでは不要な異物の様に感じてしまいますが、GRFさんのこのセッティングの場合は同じユニットで同じ音を出していることになり、そこに異物感はなく、立体感や厚みや音色を加える事ができるという訳です。まさにこの理論通りの音が聞こえるのにはただただ感服するしかありません。

kanataさんのご感想 長文編 前半_f0108399_11104846.jpg


BパターンC:Bに奥のTW5ウーファーを追加した4+4再生

最後にBから奥のTW5を追加した4+4に戻します。

・・・圧巻です。

音像の実在感、実体感がここに至って一気に上がります。音像・音場共に全帯域に渡って厚みと濃さを増します。中でもコントラバスを代表とする低音楽器の太くコシのある表現は4+4あってのものと感じました。

もはやこの音楽を聴いたことによる感動の大きさはオーディオの域を超越していると言っても良いのではないかとさえ感じます。

Bの時点でこれは一旦ユニットを追加したらもう元には戻れないなと感じるほどの大幅な音楽力のアップを感じたのですが、Cはもう世界自体が完全に違います。システムが音楽を聴取者に伝える力、つまり聴取者の感動に繋がる力が格段にアップしています。その音を表現するならば、先に書いた様に、圧倒的な実在感、圧倒的な立体感、微妙な動きさえ感じ取れる豊富な情報量、熱く厚く濃厚な表現力、etc…となりますが、こんな陳腐な語句しか並べ立てることが出来ない自分の表現力の無さに落胆してしまいます。

このウーハーの4本遣いについてもGRFさんは分かりやすい例を挙げて説明して下さいました。ウーハー4つを一つの水面に表れる波紋であるとします。波紋は手前の2つのユニットを基準として、奥の2つのユニットはその手前のユニットと全く同じタイミングで波紋を起こします。すると手前と奥の波紋が重ね合わさって、タイミングは同じままで波の大きさが大きな波紋が出来上がる、こういうイメージでこのシステムを構築されているとのことです。

また、奥のウーハーの担当する周波数帯域は非常に低い所だけとのこと。試しに奥のウーハー以外の全てのユニットのアンプを落としてこのハイティンクのCDを再生すると、奥のウーハーのみだと明確に音が聞こえません。ほぼ耳に明確に聞こえない程度のアンビエント成分のみしか出ていないことが分かります。であるのにその効果は絶大で、実際AからBへの変化より、BからCの変化の方が何倍も音楽表現に効果があると感じます。オーディオとは本当に奥が深い。私はその深淵の一端を覗き込んだ思いがしてゾクッと身震いさえする思いでした。

C3つのユニット構成における比較まとめ

以上の3つのユニット構成で出てくる音楽の違いを聴くと、まるで目に見えぬ指揮者が居て、その力量によってこのシステムの演奏の熱量を変化させている様にさえ感じます。

Aは新米指揮者:システムは指揮者の品定めをしながら澄まし顔で演奏しています。
Bは中堅指揮者:システムはやれやれ本気を出してやるかといった演奏。
Cは大指揮者 :システムは煽られ汗を飛び散らせながら持てる力以上のものを引き出して演奏します。

上手く言語化して表現できない中でもA〜Cの違いをどうにか表現しようとするならば、指揮者に例えることが妥当ではないか、そう思ってこの様な表現をしてみました。指揮者的な音楽を表現する濃度・密度の違い、それにより聴取者にもたらされる感動度の違い、これらの違いこそがこのGRF邸の複数遣いによる恩恵の本質ではないかと思うからです。

そして、そうとしか表現出来ず、通常の訪問記の様に音的な要素を挙げつつ説明する行為が空虚に感じることこそが、このシステムからそれほどオーディオから離れた音楽が出ていることの証左ではないか、そう思うのです。


続きます・・・

Commented by TANNOY-GRF at 2021-04-10 11:13
kanataさんの感想文は長文であるというのは、ご友人のなかでは定評があります。前回の印象編だけではなく、詳細まで描き込まれた長文編と両方見て、当日のkanataさんのご感想が表れてくると思いおねがいいたしました。

私が、常日頃、システムを調整している手法と同じ方法で、一枚一枚音のレイヤーを分析されています。その二次元の試みの集大成が、時間再生芸術である音楽を空間だけの三次元ではなく、活きている音を表現できはじめたのかと思っています。

オーケストラは、ステージ上に横に広がっている距離より、奥行きの方が深い、音の時間差を楽しむ音楽です。オペラ座の舞台の奥行きは、観客席の大きさより大きいのです。

その「時空間」を再現することが、コンサートホール再現の第一歩ですね。

Commented by パグ太郎 at 2021-04-10 11:47 x
GRFさん、kanataさん
kanataさんは流石の凄耳ですね。こういう聴き分けをされるとは脱帽です。拙宅では4本ではなく2本の方に一票頂きましたが、低次元の拙宅の印象がそのままにならずに、今回、真価を体験して頂けて良かったです。オマケに(?)、当方には何が足りないか明確にするコンサルをしていただいた結果にもなり、大いに勉強になりました。お二人に感謝でございます。

Commented by 椀方 at 2021-04-10 13:28 x
kanataさんの訪問記事を拝読すると、音楽に没入するkanataAさんの背後に冷静に分析しているkanataBさんという2人が居るかのようです。

ところで、第二部(光カートリッジ編)はあるのでしょうか?

Commented by TANNOY-GRF at 2021-04-10 13:35
パグ太郎さん 

ここまで聴かれているとは、お聞かせする方も相当な覚悟が必要になります。私が断片的にご説明したことが、見事に整理され再構成されています。当方も大変、勉強になりました。パグ太郎さんのお宅では、4本のSPのバランスの整合が進めば、相当進歩すると思います。状況が落ち着いたら、また前に進んでいきましょう。

Commented by TANNOY-GRF at 2021-04-10 13:36
椀方さん これでまだ半分です!第二部も乞うご期待です。

Commented by kanata at 2021-04-11 07:15 x
GRFさん、この度は貴重な機会をいただきありがとうございました。
この日の衝撃と感動、そして受け取ったものが大き過ぎて、自分のためにも文章として残したいと思いつつも、自分の貧相な文章力では何を書いてもうまく表現出来ていないと感じてしまい難航してしまいました(汗)
結局長々と書いたものの、あの音楽を半分も書き留めるには至らずでした。しかし、自分の中に残ったものは確としてありますので、これを大事に持って行きたいと思っています。
文中GRFさんやパグ太郎さんのシステムについてあれこれと好き勝手書き散らかしておりますが、私個人の頭の整理として乏しい理解力の範疇でこういうメカニズムで納めておこうというものです、どうかご容赦ください。
それにしてもオーディオとは素晴らしいものですね!改めてその真髄を体で感じさせていただきました。今後ともよろしくお願いします。

Commented by TANNOY-GRF at 2021-04-11 08:53
kanataさん 

本当に長文のご感想をありがとうございます。しかし、項目ごとにまとめられていて、まるで設計図の階層を追っていくように、立体的に表現されているのには驚かされました。

トロバドールの80の後方に40を置くアイデアを出してくれたのは、横浜のMさんのウィーンのムジークフェラインの天井から降ってくる音という印象からでした。

ご覧の通り、この部屋は強固な床と奥行きの深い天井での吸音、共振点を揃えない壁の構造で出来ています。また、最低音の窮屈さを避けるために、密閉しない空間を目指しました。

そして。コンサートホールの奥行きが深い音をどう再現するか? 音響調整に、人工的な残響付加を加えるデコーダーや、特定の音楽だけしか再現出来なくなるイコライザー類を使わずにどうしたら、音のバランスを整えられるかを試行錯誤してきました。

最終的に、最低域だけを支えるTW5の大きなエネルギーを加えて事で、ハワイのノースショアーに押し寄せる、ビッグウェーブのような大きなうねりを再現できたのではと思っています。

あれから、光カートリッジも、トロバドールのメインシステムで鳴っています。レコードからTW5を揺るがせる音が出てくるのは驚きですし、快感でもあります。また、あのつづきを是非聴きに来てください。
https://tannoy.exblog.jp/32225865/


2021年 04月 11日
kanataさんのご感想 長文編 後半
https://tannoy.exblog.jp/32225995/


2. そして音源に在る音楽そのものへ

ここまでGRF邸の音について長々と表現して来ました。しかし、実はここまで書いてきた内容はGRF邸の神髄を表したものではありません。音楽耳でなくオーディオ耳を強くすればするほど、音楽でなく音を分解・解析すればするほどに、その実像からどんどん離れていく様な感覚がするのです。それがゆえに、この長文を書いている途中で違和感に耐え切れなくなり、一旦書くのをやめたという経緯もあります。(その後GRFさんのお勧めもあり、記録としての意味合いで続きを書いています。)

では、私が感じるGRF邸の神髄とは何なのでしょうか?それは音源に刻まれた音楽の力そのものを規格外のどでかい器で、鮮度高く、熱く、太く、色濃く表出することにあります。つまり、音源に入っている演奏の力そのものがGRF邸の音楽の神髄である、そう私には感じられます。

時代を超えて、場所を超えて、録音会場で演奏しているその場の全体が目の前に在る、タイムマシンの様な再生。それは以前私がR邸のビンテージシステムで感じた事でもあります。しかし同時に、どこかセピア色の儚いホログラフィックな夢の中の様なものでもありました。録音の場が目の前に在っても、その場は録音当時の1950年代・1960年代であるという感覚もまた付き纏います。2020年代の現代に居るのではなく、録音当時にこちら側が部屋ごと自分ごとタイムスリップしているのです。時代性に沿った再生であるからこそ真っ当で素晴らしく、しかしその時代性の枠からは逃げられない。やや不遜な物言いになりますがこういう面もある様に感じます。(とはいえ、そもそもこういう時代性を重視した再生を志向する方々は、時代性にどっぷり浸かってこそ良しであり、その枠から出ようとはしていない、出てはいけないと考えておられる、そう私は認識しています)

しかし、今回のGRF邸は異なります。一番の違いは圧倒的な現実感です。GRF邸はこちら側がタイムスリップするのではなく、向こう側(録音当時の場)が2020年代の現代の目の前に呼び出されるのです。往年の巨匠達がセピア色ではなく、現実の色彩感と実体感を伴って目の前で等身大に演奏をするのです。しかも某社のリマスターSACDの様な無理に現代技術を当てはめたグロテスクなものではありません。時代性を重視した再生の真っ当さと比較しても(私の感覚では)いくばくも遜色の無い時代的な忠実性も兼ね備えています。

そして現代の録音の再生においても往年の録音の再生においても同じ世界観で目の前に録音の場全体が呼び出されるのです。現代の録音が妙にセピア色になったり、往年の録音が妙に浮ついたsomething strangeなものになったりもしません。

なぜこんな魔法の様な再生が可能なのでしょうか?Transportが良い?DACが良い?アンプ?スピーカー?それともケーブル?いやいや、やはり部屋か?確かにこれら全ては構成要素としてこの音楽に寄与しているのでしょう。しかし全く同じものを他の人間に与えてもまずこの音楽は出せないでしょう。

ここに来て私は「オーディオで一番重要なものはシステムを構築する人間の認知能力である」という自分の考えに思い至ります。つまり、GRFさんご本人の音楽とオーディオ、いやそれ以外も含めた人間の器がこの音楽として出ているのだと強く感じるのです。

往年の録音も、現代の録音も、そしてこの日はデジタルシステムでの再生はありませんでしたが、歌謡曲も、ご自身の聴かれる音楽を愛し、それらを分け隔てなく一つのシステムで同じ世界観で再生する。この難題に真っ向から対峙して辿り着いた境地であると感じます。

音源へのリスペクトがあるから、往年の録音を最新機器でただ鳴らしただけの様な妙な音楽にはならない。きちんとその音源の旨味を熟知し、その旨味を変質させずどう自分の再生へ落とし込むのかを考えて調整された音に感じます。そんな音源ファースト、音楽ファーストな姿勢がベースとしてあり、それらからどうすれば最大限に感動を引き出せるのか、そういう観点で組み立てているからこその到達点ではないでしょうか。

このGRF邸の音楽を聴くと、オーディオとは音源と自分との終わりの無いキャッチボールの様にも感じます。音源を大切にしてそれが最大限鳴る様に調整をする、すると音源はそれまでに感じなかった側面を見せて更に感動をもたらしてくれる、その新たな側面をもとに更に調整を重ねる・・・この繰り返しに尽きるのではないでしょうか。

話を戻しましょう。

そんなドでかいGRF邸のシステムとGRFさんご自身の器により生み出される音楽は音としての情報量もそうですが、感情としての情報量が莫大です。常に当たりのコンサート、いやそれ以上の感情的な熱量を聴取者にもたらします。

ですから自然とその感想もオーディオシステムを聞きに行ったそれではなく、コンサートを聴きに行ったそれに収束します。音色が、音触が、低域が、高域が、解像度が、音場が、定位がどうのこうの、弦は、ピアノは、声楽は、女性ボーカルは、ベースは・・・そんなものはもはや全く頭に浮かびません。頭の中は今眼前で演奏されている(としか感じられない)音楽をどう受け止めるのか、ただそれだけになります。

これは逆説的に言えば、恐ろしい事ですが、音色が・・・等というものが頭に浮かんだ時点でそのシステムはその程度であるということでもあります。それほど音の全要素的に瑕疵が無く、かつそれらに注意が全く行かない程に人間の感情に訴えかける莫大な情報量を有していると言えるのです。

では音楽を聴いていて私が感じた事を少し書きましょう。

この日のGRFさんは、私とGRFさんの二人の共通事項でもあるクラシックを中心に選曲されました。録音の時代は1950年代のモノラル録音から、2010年代の録音まで、年代に偏りなくジャンルも器楽・声楽・オケと幅広いものでした。

ここでクラシック演奏についてのざっくりとした個人的な認識になりますが、往年の大指揮者達の録音は熱量が全く別次元です。例えるなら作曲家のスコアという土台の上に屹立した巨大な岩の彫刻のようなもの。指揮者や奏者の繰り出す強烈なエゴ・独自の世界観は(しかるべき再生が為されれば)聞くものの魂を激しく揺さぶります。

一方で近年の指揮者・奏者によるアプローチはどちらかと言うと知で楽しむものが主流です。スコアを綿密に読み解き、その楽曲の源泉により近づこうとする解釈が多く、聴取者はその構成美や新しい発見に知的な喜びを感じます。

両者の楽しみ方は異なりますし、そこに優劣を付けたり、一方にもう一方と同じ味わい方を押し付けたりするべきではありません。(これは現代ハイエンドとビンテージとの話でもしばしば起こる悲しい諍いです)

GRF邸はこの両者の楽しみ方の最大公約数的なものを共通の世界観として音楽を描き出します。旧きも新しきも同様に、知と情の双方において莫大な情報量を聴取者に投げつけるのです。

更にここからは音源別に書いて行きます。

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カンターテ ドミノ

録音の良いオーディオの定番として再生され尽くしたこの盤がまるで違う音源の様に聞こえます。とにかく立体感と実在感が凄まじい。まさに眼前にコーラス隊とソリストが実体として居るかのような感覚。ソリストの移動する様なども体全体の存在感をもって感じ取ることが出来ます。

クレンペラーによるマーラー7番

音楽の濃密さ、演奏者の気合いの違いが一目瞭然です。根性論ではないですが、こんな汗を飛び散らせ、魂を削る様な演奏はなかなか他の指揮者では、他の録音では聞けないもの。なぜこの時代はここまでのエネルギーを引き出すことが出来て、そしてそれを録音に納める事が出来たのか?現在では?クラシック音楽の演奏とは?その録音とは?音楽に大切なものは一体何なのか?この録音を聞いていると様々な思いが駆け巡ります。

トスカニーニによるブラームスの交響曲

何なのでしょう、これは?モノの音場ではありません。この音源ではこのシステムの従来の2chオーディオでの枠組みを超越した立体感、前後感による恩恵が非常に大きいと感じます。そして演奏の圧倒的な熱量!指揮者の力量とはどんなものであるのか、この再生を聞けば誰もが納得することでしょう。

クレーメルとアルゲリッチによるプロコフィエフのソナタ

このコンビの録音といえばベートーヴェンのソナタが印象深いですが、この録音もまたそれに劣らぬ魂のぶつけ合いの様な演奏。これを聞いてしまうと近年のアルゲリッチはもうお友達や取り巻き連中とお茶会を楽しんでいるとしか思えません。勿体ない・・・

八代亜紀のコンサート

歌謡曲でもタイムマシンぶりは全く変わりません。目の前はクラシックコンサート会場から一気に昭和歌謡コンサートへ。会場の空気もどこか穏やかなリラックスムード。このムードさえ伝わることが恐ろしい。八代亜紀、私はGRFさん絡みでしか彼女の歌声を聞きませんが本当にこの人上手いよな〜。歌手の力量が露骨に技術と情念との両方で分かってしまいます。

白井光子によるブラームス歌曲集

素晴らしく上手い!ドイツ語の発音の明瞭さ、そのテクニックの確かさに舌を巻きます。やはりこのシステムは実力面で誤魔化しが効かず、歌手を丸裸にする厳しさがあります。しかし力量のある歌手であればその凄みを十全に伝えてくれる感動の増幅装置にもなるのです。

ギユーによるジョンゲンの協奏的交響曲

パイプオルガンがまさにパイプオルガンとして鳴っています。オーディオ的な嘘っぽさが感じられず、コンサートで聞くそれと酷似しています。この音源では、これだけの巨大なエネルギーを受け止めつつ揺るぎない部屋の凄さが良く分かります。しかも上手く程良く音が部屋の外部に抜けているのでしょう、エネルギーが充満して妙な圧迫感を感じることも全くありません。床が支配的だと思われますが部屋の響きの音質も凛としつつも甘みもあり良質そのもの。やはりGRFさんの音楽はこの部屋あってこそのもの。ご自身が「オーディオの本質は部屋だ」とおっしゃるのが骨身に染みて良く分かります。

ヤンソンスによるラヴェルのラヴァルス

印象派というイメージからは、そしてこの曲のイメージからも想像がつかないグロテスクでさえある怪演。色彩は明ではなく暗基調。空間が捻じ曲がる様な音のうねりに部屋が満たされ、遂には自分が飲み込まれてしまうかの様。この演奏の凄みは普通のシステムでは、普通の部屋では全く表現しきれません。GRF邸の器の大きさをまざまざと見せつける音源。

ベルゴンツィのリサイタル

GRFさんのブログで良く登場するこの音源はもちろん自分も購入済みで度々拙宅でも再生するものです。やはり実在感とエネルギーが違います。体全体の厚みを感じさせるこの日の再生は、本物の歌唱そのものと感じました。

シュライヤーによるシューベルトの冬の旅

恥ずかしながらシュライヤーは初めて聞きました。・・・これは素晴らしい。上手く言葉に表せませんが、心の内側にすっと入って来る様な、こちらの気持ちに寄り添う様な歌声は初めて聞く類のもので、しばし真っ白になって身じろぎも忘れて聞き入っていました。

以上、多分この時点で2時間以上が経過していますが、ここまで濃密な音楽に晒されるとまさに体感時間は一瞬でした。

GRFさんが繰り出す音源には、巨匠たちが、超一流の演奏家たちが創出する圧倒的な音楽が込められていました。聴取者たる私はただその濁流に身を任せ、その神髄を体で感じるだけ。そこにオーディオはなく、ただ音楽と自分だけがある、そんな状態でした。

オーディオの道の最終到達点はやはりこういうものなのか、そしてなんと素晴らしいものなのだろう。言葉ではなく音楽で骨の髄まで教えられ、体にその感覚を叩きこむことが出来ました。

百聞は一聴に如かず

この素晴らしい体験は間違いなく今後の私の歩みの指標になると確信しています。

と、ここで締めるかの様な書き方をしましたが、もう少し続きます(汗)

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3. GRF邸訪問記(光カートリッジgrandmasterによるアナログシステム編)

さて、次は光カートリッジ(Grand Master)によるアナログシステムについて書いていこうと思います。・・・とはいえ、先のGP+TWの4+4再生の熱量がすさまじかったことや、こちらのシステムの聴取時間が限られていたこともあり、光カートリッジについて自分の中でまだ確たるものを掴み切れていないのが正直なところです。このあたり出来ればまたじっくりと光カートリッジを味わう機会を再度いただきたいという助平根性を丸出しにしつつ(爆)、そのおぼろげな印象をそのまま書いていこうかと思います。

結論から申し上げますと、光カートリッジ(GM)によるGRF邸のアナログシステムから出てきた音は「オーディオではない何か」でした。

今までに私が経験してきたオーディオの音とはその根元から違っている気配を感じます。先ほどGP+TWの4+4再生をしてオーディオはなく音楽と自分があると表現しましたが、それでいても後ろを振り返るとオーディオから続いてきた道や轍が見えます。しかし、GMが私に垣間見せた景色はそういう継続性を感じさせず、隔絶された別の次元の何かに思えて仕方がないのです。

この音の出方はレコード的ではないし、CD的でもありません。GRFさんはテープに似ていると評していらっしゃいましたが、残念ながらテープによるまともな再生を聞いたことがない私にはその引き出しはありません。物理的な余分な力がどこにも入っていない独特の軽やかさを音から感じます。自然の音に近いと言えば近いですが、それもまた違う様な感覚です。自然の音よりもさらに軽やかで刺激感がない。

印象的な特徴を述べますと、ピアニシモの表現がレコードのそれではありません。その違いがこれほどまでに音楽の印象を変えてしまうとは・・・


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最後に触りだけお聞かせいただいた一枚(ハイティンクによるブラームスのセレナーデ)がとても印象的でした。再生した瞬間パッと景色が変わります。そこにはどこまでも続いていく様な限りなく広がる空間があり、そこにスッと現れる奏者達。彼らに余分な力は入っていません。悟りを開いた達人の様な自然体。そしてそこから音楽が自然にさりげなく風のようにどこまでも駆け抜けていく。まさにこのジャケットの様な音楽風景は鮮明に、しかし限りなく自然に現れました。

この異世界から突然現れた様な不思議そのものの道具を手にしてGRFさんは今後どういう音楽を構築されていくのでしょうか?この光カートリッジをGP+TWの4+4システムに入れ込んだらどうなってしまうのでしょうか?そしてそこから現れる光カートリッジの本質とはどのようなものなのでしょうか?

まだまだこの物語は始まったばかりです。今後の展開に胸を躍らせながら、この訪問記を締めさせていただこうと思います。

GRFさん、この度は貴重な経験をありがとうございました!

kanata


********************


kanataさん 聞きしに勝る長文のご感想、本当にありがとうございました。いただいて、読み進めても、読んでも、読んでも終わらないほどでした。前回いただいていた長文のご感想は、あれでもまだ半分しかありませんでした!

お聴きいただいたのは三時間弱の時間だけなのに、これだけのことを記憶して、また表現できるkanataさんの熱意にも感嘆しました。あれから、Troubadourのシステムで、光カートリッジが鳴っています。デジタル系のあのシステムが、レコードを完璧に再生しているのです。新しい地平線が見えましたね。何十年も集めてきたレコード達が、お風呂に入る順番を待っています。

また、是非遊びに来てください。また、kanataさんの音も是非お聞かせください。

Commented by パグ太郎 at 2021-04-11 11:22 x
GRFさん、kanataさん

成る程、タイムマシーンで自分が過去の世界に行くのか、過去の世界が現代に甦るのかの違いとは、言い得て妙ですね。だから未体験のものが出現する感覚になるのですね。正しく過去が現代に戻ってくるバック トゥ ザ フューチャーで、ノスタルジーが剥ぎ取られた演奏が見える理由がよく分かりました。そういう意味では、光カートリッジで聴くアナログも、正しくその感覚。映画の下らない例えを続けると、生身のジュラ紀の再現で、化石の陳列ではありませんから、怖さが違います。何がこの感覚を産んでいるのかずっとモヤモヤしていた霧が、kanataさんの後半2部で晴れた思いです。


Commented by TANNOY-GRF at 2021-04-11 11:52
パグ太郎さん kanataさん

本当に言い得て妙ですね!私も感心しました。私の感覚では、どこでもドアで、今の私がこのままで、過去の生の会場に出現すると考えていました。

反対に、過去の演奏が、現代のテクノロジーで、私の部屋に出現する方が表現としては合っていますね。

突如として恐竜の大きな目が部屋の中に現れた感じでしょうか?これは怖いです・・・

パグ太郎さんが言われるとおり、光カートリッジもまさしくそうですね。ノスタルジーを追うのではなくリアリティを追求しているのです。

https://tannoy.exblog.jp/32225995/

36. 中川隆[-5556] koaQ7Jey 2021年4月18日 09:46:48 : cVvh3vnihc : SkQ4eVFEeU43Y0U=[33] 報告
2021年 04月 18日
Oさんのご感想 レコード再生の革命
https://tannoy.exblog.jp/32226804/

光カートリッジとemmの専用イコライザーを導入されたGRF邸にお邪魔し、その本領を聴きに伺いました。先月は旧型の光フォノイコからSD05に直結されたタンノイGRFで聴かせて頂き、その素晴らしさを理解しましたが、今回はemmのフォノイコでメインのトラバドール80のマルチシステムでの試聴です。

Oさんのご感想 レコード再生の革命_f0108399_14272087.jpg

先ず始めにコントラバス協奏曲から始められました。初めて聴く楽曲ですが、深々とした弦の響きが素晴らしい音源です。

Oさんのご感想 レコード再生の革命_f0108399_14291866.jpg

次は聴きなじみのあるハイティンク指揮のブラームスのセレナーデです。コンセルトヘボウの芯がありながら柔らかい音色が良く分かります。しかしこの光カートリッジ&専用フォノイコは素晴らしいです!とにかく解像度が高く、LPの溝にキッチリとはまっている感じで、盤に刻まれている音を見事なまでに表現します。

この音を聴いた後では、今までのカートリッジはレコードの溝からまだ拾い上げてないとさえ思えます。それほど解像度が高く、また会場の空気感、今まで聴いたことの無いアンビエンスを表現します。そして圧倒的な低域の充実度!一瞬にして会場にトランスポートするのです。

もちろんこのトラバドール80&TW3、そして後方のトラバドール40&TW5によるマルチシステムによる広大で緻密な空間描写があってのことですので、簡単にはこの音は再現出来ませんが、それでも入っていない音は出ないわけですから、これだけの装置を十全に鳴らす力量がこの光カートリッジにはあるのですね。そしてレコードにはそれだけの音が刻まれていることが証明されています。

Oさんのご感想 レコード再生の革命_f0108399_14313891.jpg


続いて森進一や都はるみなどの歌謡曲の実況録音盤がターンテーブルに乗り始めました。本物の歌手の皆さんの素晴らしさもさることながら、バックバンドの演奏クオリティの高さにも舌を巻きます。これらのオンステージには行ったことはないものの、あたかもその会場にいるがごとく感じるそのステージのリアルさが堪能出来ます。これはリアルタイムで行かれた方はたまらないでしょう。

Oさんのご感想 レコード再生の革命_f0108399_14282841.jpg


今まで結構な回数GRF邸に訪問させて頂き、様々な音源を、様々な装置で聴かせて貰いました。その中で、レコードでは歌謡曲の実況録音盤が最も多かったと記憶しています。

しかしながら今回の光カートリッジ&専用フォノイコを導入してからは、往年のクラシック名演レコードがかかり始めました。GRFさんが本当に楽しそうにレコード盤の説明される姿を拝見し、その歴史と思いの深さを感じます。そしてそれらはリアルタイムで収集をされ続けた方にのみ許される愉悦ですね。

それらのオリジナル盤は本当に素晴らしい音質で、これらの盤だけが持つ共通した品格が感じられます。GRFさんご自身が、本当に(そしてやっと!!)レコード再生の音質に満足されたのだと実感しました。

次は私も大好きな、セル・ベルリンフィルとフルニエによるドボルザークのチェロ協奏曲です。そしてさすがGRFさん。レコード棚からスルスルと廉価盤、再発盤、オリジナルステレオ盤、オリジナルのモノ盤の4枚を取り出されます(笑)

Oさんのご感想 レコード再生の革命_f0108399_21154827.jpg


なんと贅沢にもこれらの4枚を聴き比べさせて貰いました。既に最初の廉価盤でも素晴らしい音が出ています。しかしだんだんと音楽性というか、名演奏だけが持つ品格が表れます。具体的にはちゃらちゃらとした音が無くなり、音の芯が聴こえてきます。

そして圧巻のオリジナル盤では、全く音の彫り、深さ、そして派手さはなく静けさが感じられます。音色はモノ盤の方が多彩ですね。いずれにせよ今のCDでは聴けない音です(涙)

GRFさんとも話したのですが、デジタル録音のLPはCDで聴けばよいのではないかと。要するに、1980年頃までのアナログで録音された音源、すなわちレコードがオリジナルなわけですから、これらの音源をお持ちの方は本当に嬉しい革命ではないかと思いました。本当にレコードが生き返えった感があります。

この素晴らしいLPの数々を聴かせて頂き、自分がオーディオを始めた「過去の素晴らしい演奏を聴きたい」という原点を再確認させて貰いました。

どうしてもオーディオ趣味が昂じるとハードに依存し始めてしまい、その出音がどうかを追求してしまいがちですが、素晴らしい過去の演奏を肌で感じ、その幸福感に浸るという行為がしたいのだという原点を改めて確認出来ました。

Oさんのご感想 レコード再生の革命_f0108399_23032591.jpg

問題は、これらの素晴らしいレコードの数々を私が持っていないということです(涙)しかしながら、今後の展開としては、ゆっくりと時間は掛かるでしょうけれども、やはりこれらの装置を入手し、原点を改めて味わいたいと思い始めています(笑)

Oさんのご感想 レコード再生の革命_f0108399_23052140.png

それまではGRF邸に足繁く通い、これらのレコードを聴かせて貰いながら、先々の展開を楽しみにしたいと思います。今後とも宜しくお願い致します。

https://tannoy.exblog.jp/32226804/

37. 2021年4月20日 16:09:56 : fzZb06XXLw : bDI2N25GTEVHOFU=[48] 報告
2021年 04月 20日
長岡外盤A級を聴く @ 
https://tannoy.exblog.jp/32236988/

光カートリッジが導入されて、今まではCDのダイナミックレンジやS/N比で、負けていたレコードが盛り返してきました。何回も恐縮ですが、このカートリッジは本当に静かなのです。また、最低域の再現も、今までのレコードからは想像も付かない音が楽々となっています。そこで、久しぶりにレコード棚から出してきたのは、長岡鉄男の外盤A級セレクション盤でした。

私が学生の時、FM東海のオーディオ番組「HiFiクラブ」の会員で、例会では東海大学望星高校のホールで開かれていました。その時、隣に座っていた坊主頭の青年が長岡さんでした。真剣にステージをにらんでいたお顔を覚えています。50年以上前の事です。今考えれば夢のような番組でした。ステレオの黎明期、いよいよオーディオが世に知られてきた頃でした。この番組には本当に感謝ですね。

その長岡さんが選んだA級外盤とは、マイナーレーベルで、シンプルな録音を目指しているレコードを片っ端から聴いて、音の良いレコードを選んでいます。シンプルな録音なので、メジャーレーベルの規格にはまった音ではなく、遙かにフレッシュな演奏と録音が出現して居ます。長岡さんは、音が良ければ、演奏がユニークであればと、分野を問わず聴かれていますが、古典の分野に馴染みがない私には、以前は音だけが良いレコードとしか感じませんでした。ところが、今回は録音会場の主に教会の中にいきなりトランスポートします。そして、レコードとは思えない立体感にあふれる音場が出現しました。

長岡さんだけあって、A級の外盤を選んだ理由もユニークです。この本が出たのはCDが出現してから2年後の1984年です。CDの黎明期で、新盤はCDにシフトしていた頃です。まだCDの音の評価は決まっていませんでしたし、マイナーレーベルからはまだレコードが出ていました。そんな中で、音が本当に良いのは外盤だとにらみ、将来消えて行くであろうレコードの行き先も予見してこの本を書かれたのです。

氏はこの本でも述べられていますが、外盤を選ぶ理由は、@安いから、A音が良いから、B国内盤では絶対入手不可能なめずらしい盤があるから、と書かれています。安く買うコツは、バーゲンで出されているキズ物の処分品も購入していたそうです。キズ物と言ってもほとんど音には出ないか、ジャケットが少し傷ついた程度で、中身の質には関係ないのが、半値以下で買えると喜んでいます。そう、我々の世代のレコードは本当に高かったのです。給料が3万円ぐらいの時にレコードは、給料の1/10の一枚3千円していました。10倍にして今の物価に換算してみると、あの時代、如何にレコードが高価だった解ります。

そして,音が良いレコードとは、音が新鮮である。生々しいこと、生そっくりな音、音像、音場、気配、空気感、スピーカーを無視する三次元的に、宇宙的に広がる音場!これを実現するにはfレンジ、Dレンジだけではなく、電気的な距離、マイクからレコードを作るカッティングまでの物理的、電気的な距離を短くすることだと言われます。同感ですね!その意味でも、規模の小さい会社の方が製造する課程が短く、本質的にいい音がします。

しばらく、触っていなかった長岡A級盤だけをしまっているレコード棚の中を整理して、まずレコード会社別に分類してみました。すると、量の多いのは、フランスのASTREEとフランスHarumonia mundiのレコードでした。それではと、ユニークなレコードを沢山出していて有名なフランスHarumonia mundiのレーベルから順番にレコードを洗浄して聞いてみました。長岡さんはこのフランスのHarumonia Mundiはドイツとはまったく違い、マイナーな曲を暖かく、豊かな音場で再現して、オフマイクでありながら、切れ込み、エネルギー感が凄い超A級の優秀録音盤が目白押しだと推薦しています。

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最初に選んだのは有名なパニアグアの指揮によるギリシャの古典音楽です。長岡さんの紹介で一世を風靡した盤ですね。小編成ですが。教会の中で録られたのでしょう残響がとても豊かです。曲ごとに様々な編成でギリシャ時代の音楽を聴けます。聞いている内に、曲の雰囲気や、残響の使い方から、Toddさんの有名なLa Segundaによる「Sera una Noche」を思い出しました。このアルバムからインスパイアーされたのでしょう。

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続いては、Emer Buckleyのチェンバロです。ドイツ系のシャープな音のするチェンバロではなく、柔らかな響きです。構造は違いますが、低音の柔らかな響きは、ピアノフォルテに随分と近づいています。彼女自身はイギリス人ですが、巴里に移住したそうです。フランスのレコードの音は、堅い音だと言うオメージもありましたが、このレーベルの音は柔らかく暖かいです。

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STABAT MATERとは、the sorrowful mother was standing 悲しみの聖母は立ち尽くしていたという、聖母マリアを歌ったカソリックの聖歌です。モーツァルトやロッシーニに影響を与えた、ジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージの作曲ですね。私のもっとも聞かないジャンルです(苦笑)。これは教会の中と言うよりも、歌手の位置が近いと思いました。

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音は軽快で、教会の中としては明るい音だと思います。これは何も考える必要はなく聞けますね。ではこの様な教会音楽が好きかと言われると、やはりロマン派を中心に聞いている自分にもこれぐらいなら範疇に入っていると思いました。

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ようやくハイドンまで来ました。これは明るく聴いていて楽しい曲です。教会の中に響き音も明るく反射してきます。フランス盤のハイドンという感じですね。ただ、こうして、フランスのHarumonia Mundiの音を続けて聞いていくと柔らかい響きですが、音は奥には引っ込んでいなくて、手前に定位します。時には逆相で音が強調されているのもフランス録音の伝統ですね。

ただ、今回フランス Harumonia Mundi からA級外盤を聞き始めましたが、長い間、何故これらの長岡A級外盤を聴かなかったか解りました。私のレコード選別の基準は音ではなく、やはり曲と演奏にあります。クラシックは、バッハを除き、ハイドン以降になります。モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトからドイツロマン派を通じ、ブラームス、ブルックナー、マーラー、チャイコフスキー、ストラヴィンスキーと続きます。リヒャルト・シュトラウスは、実はそれほど聞きません。オーケストレーションは面白いのですが、曲その物はそれほど迫って来ないからです。4つの最後の歌より、マーラーの泣き子を偲ぶ歌や大地の歌の「告別」の方を聞いています。

その意味で、これら17世紀の音楽を聴いても、それほど感心しないのです。今回、その個人的な趣向を再認識しました。だからといって、一気にシュトックハウゼンに飛んでも、音響的には面白いでしょうが、音楽的にはどうでしょう。個人的には、ドビュッシー、ラベル、サティなどがフランス物で、ロシアではストラヴィンスキー以降では、やはりプロコフィエフ、ショスタコービッチです。東欧ではバルトーク、ルトワフスキーなどでしょうか。残り時間が限られてきた昨今、長岡A級盤は、駆け足の試聴になるような気もします。もっともPHILPSやEMIのメジャーレーベルになれば、私の知っている曲も相当あります。引き続きレコードを洗っていきましょう(笑)。

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38. 中川隆[-5333] koaQ7Jey 2021年4月22日 19:11:49 : 4jZKq1qfzI : aS91Q1hNSlQ3d3M=[33] 報告
2021年 04月 21日
長岡外盤A級を聴く A
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長岡氏曰く、「演奏は抜群、録音も最高。おそらく第二集100枚中のナンバーワン」と言われているレコードを掛けてみました。ニューヨークのエイブリー・フィッシャー・ホールでの録音です。曲は、現代アメリカのジョージ・クラムという作曲家の「幽霊の出る風景」とウィリアム・シューマンという20世紀前半の作曲家の現代音楽の組み合わせです。強烈な打楽器と金管楽器が炸裂するのが特徴のレコードです。打楽器奏者を4人も増やして、45種類もの打楽器が次ぐ次と登場する、長岡氏の大好きなタイプのレコードです。

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ほぼ無音の中から、強烈な打楽器と金管楽器が立ち上がります。その打楽器も今まで聞いたことのないような多種多様な音がします。幽霊の出る風景と言われるぐらいなので、不気味な風景です。裏面のウィリアム・シューマンは、1910年の生まれですから、20世紀の作曲家です。ジュリアード音楽院の校長やリンカーンセンターの館長を歴任。作曲も沢山書いています。この曲はホルン用の協奏曲でしょう。メータの指揮ですから、極めてダイナミックな演奏なのですが、A面のジョージ・クラムのきょくには圧倒されます。

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そのA面は17分しかないので、カッティングが二種類あります。短いので、半分ぐらいしかカッティングされてなく余白が大きい盤と、大振幅で目一杯切られている盤の二種類です。当然、音のダイナミクスは違うのですが、ボリュームを上げると解らなくなります。デジタル・マスターリングの所為なのでしょうか?不思議なレコードです。

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ともあれ、その二種類を聞き比べできるのも、オーディオ的には面白いのですが、こんな幽霊が飛び回るような曲を誰が普通に聴くのでしょうか?この録音は、練習中のテイクと、演奏会が終わった後、レコーディングの為に演奏したテイクが混ざっています。聴衆が入っている方のテイクは、曲が静かなのでざわざわしたノイズが収録されていて、ピアニシモの緊張感が少し欠けます。装置のテスト用には適していますが、この盤をしょっちゅう聞くかと問われれば、困りますね。

長岡A級外盤は購入したときはまとめ買いしていたので、この盤、調べたら4枚もありました。新旧二枚だけあれば充分なので、ご希望の方はお知らせください。10年ぐらい昔は、結構まとめ買いできたのですが、現在は中国のコレクターが爆買いしてから、なかなか良い盤は見つからなくなりました。光カートリッジのテスト用のLPみたいです。

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39. 2021年5月06日 15:19:06 : oXlyLmzQfE : Nzd4UndKeVdKVTY=[19] 報告
2021年 05月 06日
アームの微・微調整
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もう、長い間愛用しているSMEのシリーズ5は、本当に細かいところまで調整が出来るので、大変、気に入っています。今回の光カートリッジも綿密に合わせていったのですが、休みの最終日、気合いを入れてもう一段追い込もうとチャレンジしてみました。プレーヤーは北側の窓に面していて、アトリエとおなじような柔らかな光が入ってきます。今日は少し曇りなので、逆光にもならず細かな調整が出来るのではと期待しました。

ところが、老人力は記憶ばかりではなく、目にも表れて、近場の細かいところがよく見えません。こんな時のために拡大メガネも買ってあったのですが、どこかに紛れて見つかりません。これもよくあることです・・・老眼鏡を持ってきてゆっくりと作業をすることにしました。調整の目的は、現在使っている光カートリッジが、知人から借りていたときと、微妙に音が違うからです。まずまずのところと今一のところが微妙にあるからです。良い点は、定位と奥行き感です。今一のところは、レコードによってシャープすぎる点が見れるところですね。これは背に腹の問題なので、その妥協点を探すのが、微調整の目的です。

体調も大事なので、お客様が来られない元気な状態で調整しようと思っていました。本当に微妙な差だからです。

まず、針圧の確認からです。アームで2.1gに合わし、精密針圧計で確認してみます。1.5gの時は差が出ましたが、2.1gは正確に同じ針圧がでました。その状態で、何時も聞き慣れている森進一の実況録音盤から「一人酒場で」を聴いてみました。奥行き感は申し分ありませんが、使い始めの頃より落ち着いては来ましたが、やはり少しだけ細身の感じがします。

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そこで、アームのたかさを今一度厳密に測り直してみようと思いました。カートリッジの高さがBenz Microと違うので、根元の方にいくと膨らむアームの目の錯覚もあり合わせづらいのです。竹製の物差しを持ってきて、端をレコードに押しつけて、何回か測りました。目盛りは見えにくいので、LEDのスポットライトで、ショーアップします(笑)。結果は、やはり根元の方が少し上がっているようです。それで、アームの高さ調整用のネジを差し込み、一旦底に着くまで回し、そこから、ネジのピッチ分を戻して、底に隙間を作り、その隙間を無くすように、アーム全体を上から押しつけて下げます。ネジのピッチは一周1ミリです。それを少しづつ三回に分けて行いました。根元の太くなっている部分は、レコードの表面まで2ミリぐらいの余裕しかなくなりました。

高さが変わると、オーバーハングも当然変わります。直角三角形の高さが変わるので、ほんの少しだけ動かさなくてはなりません。その微妙な差も、SME独自のアームの形に合わせる調整治具では、輪郭線一本ぐらい違ってきます。本当に微妙な調整です。その段階で音を聴くと相当大人の音になっていました。その段階で、もとのカートリッジに戻してみました。針圧の調整から、高さのチェック、オーバーハングの再点検を含めて、元に戻して聴くと、やはり違っていますね。

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このあたりの説明は我ながら既視感があるなと、チェックしたら、まったく同じ説明を3月20日にしてました。前回では物足らず同じ事を繰り返したのですね。同じ事を繰り返すのは、間違いではありませんが、まったく同じ文章を書いているのは、完全に老人力のおかげですね。こうして老人特有の「頑固」が強固されるのでしょう。自分の中のプロジェクトX物語です(笑)。

しかし、この再度の調整で狙った音が出てきたようです。まだ幾分エージングは足りないようですが、奥行きの出方、音場の出方が私の好みでした。成熟度が上がってくれば、なかなかだと可能性を感じました。将来性に賭けた感じです。しかし、カートリッジの性能を最大に引き出すには極めて微妙な調整も必要なのが、レコード再生の難しさでもあり、面白さでもあるわけです。

大きなスピーカーの位置調整でさえ1ミリの違いがあれほどの大きな差になるわけですから、カートリッジの1ミリは何百倍も違って当たり前ですね。今週末は、もとのBenzMicroのLP-SをMolaMolaのPhono EQに繋ぎ、違いを楽しんでみようと思います。以前比べたときは、静けさと最低域の再現力に差が出ました。しかし、高域の優雅さはなかなかの物です。

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40. 2021年5月19日 05:48:47 : Kpt2nOGYwY : ZmVhb01GanViNnM=[1] 報告
2021年 05月 18日
ムード音楽のレコード
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ステレオ初期に大いに流行ったレコードは音がよく、演奏が上品なムード音楽でした。先日、Hさんが来られたとき、思い出してマントバーニやスタンリー・ブラックのムード音楽のレコードを掛けました。すると、そのレコードに繋がって思い出したのは、60年代色の頃に流行った音の良いムード音楽のレコードです。クラシック音楽のようなコンサートホールで聴くのではなく、最初からステレオ装置(電蓄?)でレコードで聴く様に作られました。

どのオーケストラも個性を持っていて、中でもマントバーニに代表されるカスケードサウンドと呼ばれた演奏方法です。弦楽器が滝を滑り落ちるように、弦楽器全体がエコーになったような演奏を行っています。一つの楽器として旋律を歌っているのではなく、次から次へと♪一つ分だけずれて演奏される、四つ以上のパートを通して聴くと、旋律が聞こえてくる実に巧妙なアレンジで、滝を滑り落ちる水のように気持ちの良さを演出しているのです。

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マントバーニのレコードは沢山出ています。アルバム数は100を越えます。デビューは1954年でした。私は、1960年頃までの初期のアルバムを集めています。後は、ワールドシリーズのベストアルバムですね。クラシックの曲をライトミュージックにしたのが初期のアルバムですが、映画音楽の分野に進出して百枚以上のアルバムを出しています。

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映画音楽と言えば、スタンリー・ブラックのオーケストラの演奏です。マントバーニもブラックも活動は戦前から行っていましたが、戦争中から戦後のダンスミュージックバンドから認められていきました。オーケストラを巧みなアレンジで軽音楽(ライトミュージック)にしています。同じ音楽をどう編曲するかが大事ですね。この分野は全てのレコード会社がこぞってシリーズ化しています。ステレオ普及に重要な役割を果たしたのですね。

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ステレオの普及に伴って、「音の良い」と言う需要も高まってきました。50年代から、いち早くステレオの実験を繰り返し、積極的な展開をしていたRCAは、1959年に珠玉のアルバム「カーネギーホールのハリー・ベラフォンテ」を出します。以前にも何回も述べていますが、このレコードを当時、荻窪駅の前にあったVictorのお店で聴いたのが、全てのはじまりです。

その頃、よく聴いていたのが、このベラフォンテと、スタンリーブラックの映画音楽のアルバムでした。後年、念願のステレオテープでそれらの音を聴いて感動しました。レコードではよく聞こえなかった低域やクロストークの無さがこれらの録音の素晴らしさを伝えてくれたからです。

しかし、今回の光カートリッジは、それらの先入観を一掃してくれました。こういった初期のオーディオ優先のアルバムの音はやはり凄いからです。コンサートホールの再現ではなく、当初からステレオ装置での再現を目指しているからでしょう。これらのいかにもHiFiと言う音を聴くと、高校生時代、阿佐ヶ谷にあったロイヤルオーディオでのゴトーのオール・ホーンや、荻窪駅南口のバス停前にあったステレオ喫茶の豪華な音が思い出します。金色に輝いていたEmpireのプレーヤーの姿がいまでもわすれられません。二軒合った古本屋さんのそばでした。

ステレオ喫茶と言えば、家にステレオがあったため、いわゆる名曲喫茶にはあまり行っていません。あの深刻そうな雰囲気が嫌いだし、自分が聴きたい曲を待つ間、他の人のリクエストを聴かなければならないシステムが自分には向いて無かったからでしょう。高円寺、中野、高田馬場にあったクラシックの名曲喫茶には行ったことはありましたが、聴きたくもない30分以上のLPレコード片面を我慢できなかったからでしょう。

そこへ行くと、数分で曲が終わるこの手の音の良い軽音楽が好まれた理由もわかります。またそれらの場所にあまり行かなかった理由を思い出しました。人の吸っている、いや吸っていないときのたばこの煙が嫌いだったからです。喫茶店と言われたように、たばこと珈琲を飲みながら時間を潰すところだったからです。いわゆる名曲喫茶にもジャズ喫茶にもあまり通わなかったですね。こうしてその頃のことを書いていても、あの重っ苦しい雰囲気が思い出されます。自分の趣向にあった演奏家を神格化して、能書きを言うために蘊蓄を述べるあの輩です。Jazz喫茶はあまり行きませんが、仲間だけで連んで、一般のお客を見下すような店には行きたくありません。

私は、音楽は蘊蓄を話すのではなく、純粋に出てきた美しい音楽の響きを求めているからです。まず、演奏会場の大きさや、その日の響き、ときとして湿度や温度も感じるほどです。そうして、その会場に消えていく時間芸術の響きが再現されてくると、そこには演奏家の個性や解釈、集中度、アンサンブルなどが浮かび上がってきて、その演奏が現れるのです。60年代のカラヤンの演奏などが、納得できるのも、予断を持った観念で音楽を聴くのではなく、そこに自ずから表れる音楽の響きが聞こえてくるからです。

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41. 2021年5月31日 20:11:25 : rm7jvQJ0P2 : bjgwVUxrVURvWi4=[33] 報告
2021年 05月 31日
DSオーディオの新製品003を聴く!
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いよいよ第3世代の光カートリッジの普及版「003」がリリースされました。第2世代のフラッグシップのMaster1とGrand Masterの大きな差に、世代によるメカの違いを感じていました。DSオーディオのカートリッジのヒエラルキーは、同じ世代なら入門機も最高級機のGrandMasterもメカや筐体は全く同じです。違うのはカンチレバーと針のグレードなのです。

第3世代のカートリッジは、左右が独立した光源と受光体で出来ていますので、第2世代までの一つ光源と受光体を使っていた中央部分が重なるタイプだと、クロストークがどうしても発生します。左右を独立したことで、今までは45度の角度で、半分しか使って使っていなかった受光体を全て使えるので、出力も50mvが70mvにあがり、S/N比が一段とよくなりました。

クロストークが良くなると、音がより立体的になります。第3世代のGrand Masterと第2世代のMaster1の一番大きな差はその立体感なのです。奥行き方向の深さが一遍に表れます。第2世代のMaster1は、音質は素晴らしいですが、その立体感の差が決定的です。第3世代のメカを使った「003」がどれだけ「Grand Master」に肉薄しているかが楽しみでした。

先週プレスリリースをして、金曜日に第一回目の発送があったそうです。先月青柳社長が来られたとき、第3世代の新型を近く出されるという話を聞きました。さすがに、ダイアモンドカンチレバーとマイクロリッジの針を一体に成形したGrand Masterは、性能が良くともとても高価で一般的には普及は難しいと思いました。そこで、従来からの「002」な価格帯で、カンチレバーはアルミになっても、それはそれで太い音が出ると期待して、もし出来たならすぐに聴きたいので送ってほしいと頼んでいたのです。

それが、金曜日の発送で土曜の午前中の便で到着すると連絡が入りました。イコライザーは、そのお話を聞いたとき、一番安い入門用のDS-E1を購入して、専門家の友人に、改良をお願いしてありました。具体的には、電源部の改造と、オペアンプのグレードを上げることです。その改良は大変うまくいき、emmと比べても、いい線まで行っていました。準備万端で「003」の到着を待っていたのです。

さて、10時には到着していましたが、午前中は近所のお医者さんの定期検診と前日設置したConfidence3の調整してその変化を聞いていました。中断すると解らなくなるので午前中はそちらに専念しました。午後、遅いお昼を軽く済ましてから、カートリッジの交換を始めました。BenzMicroのLP-Sを慎重に取り外して、まずケースにしまいました。黒檀のケースは、無味乾燥なアルミのDSと比べると高級感があふれて所有感をくすぐられます。

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アームへの取り付けは、これで4回目です。毎回、バランス調整、オーバーハング調整、高さ調整、インサイドフォース調整、等々をこなさなければなりません。間違えは許されないし、気を遣います。特に注意を要するのは、最後のカバーの取り外しです。それらを確認しながら行い、早速音出しです。

まずは、EMMに接続して、どのくらい「Grand Master」と違うのかを検証してみました。これは考えてみると随分とリスキーな行為ですね。違いすぎれば、今回の出費は無駄になるし、友人に譲るとしても、音質が違いすぎるのは少し気が引けるし、逆にそれほど変わらなければ、先月、貯金を取り崩してまで頑張った出費が精神的にも負担になるし・・・つけながら、どちらになってもリスクがあるなぁ〜と思いました。

何時もの越路吹雪で検証しましょう。聞き慣れている方が違いがわかります。

むむむ・・・これは・・・素、素晴らしいですね!

Grand Master を100とすれば、90以上は軽く出ています。第3世代の素晴らしいところは、そのままです。Master1をお持ちの方には申し訳ないですが、1/4の価格で凌駕されていますね。ある意味残酷ですが、世代の差はいかんともしがたいです。私自身も、世代交代しなければと汗が出てきました。

よく、陸上競技や水泳競技などで、世界記録を一変に抜かれる瞬間がありますね。一位の選手だけで無く、三位ぐらいまで今までのレコードをまとめて抜かれるような事があります。それと同じようなことでしょうか?

「003」の針はラインコンタクト針ですから繊細な音も出します。カンチレバーは普通のアルミです。しかし、音を聴いてみると、アルミのカンチレバーはある意味、汎用性もあり、使いやすいと思いました。

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越路吹雪も奥行きが出て、森進一も、何時ものシュトライヒャーのコントラバスも、次々と掛けていきます。ブラームスのセレナーデになって、ようやくGrand Masterとの違いが解ってきました。そこで、結線を戻し、GrandMasterを掛けてみました。音場の構造や音の鳴り方はほぼ同じですが、繊細さや緻密さがやはり違うと思いました。逆に安心しました。ほとんど同じだと、100万円の違いが困るからです。でもハイエンドとは、ほんの少しの違いに金の糸目をつけず手に入れることだと。解っているのですが、ここまで下克上な製品は無いかもしれませんね。

さて、そこで、今ひとつの下克上を確かめなければ行けません。もっとも経済的な定価10万円のイコライザーが友人の手でどこまでグレードアップしたかです。音を良くするには、電源のインピーダンスを下げること。配線の太さを変えること。プリント基板の場合は、パターンを裏打ちすること。電源のダイオードの精度を上げること。使っているICチップのグレードを一気に上げること。最後に、使われている抵抗やコンデンサーを音の良い定評と実績のある物に交換することです。それもむやみやたらと交換しても効果は出ません。そして最後に、エージングです。この慣らし運転で音は見違えるほど変わります。

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これらの改良を適材で行い信号を流して部品のエージングをひたすら図ることです。このために逆イコライザーを作って、音楽を流しっぱなしにして頂きました。EMMのイコライザーが来る前に使い始めた中古のDS-W1はもう、レコード2000枚分ぐらい時間を掛けています。そして、改良を施した一番安価なDS-E1でも1000枚分ぐらいエージングしています。改良点はやはり電源とオペアンプの交換です。それだけでガラッと変わりました。この組み合わせならば、25万+15万の40万円ぐらいで、この音が手に入るのです。(40万円をぐらいと言うところに、オーディオマニアの常識が如何に外れていることが解りますね。)でも、Grand MasterとEMMのイコライザーの組み合わせの1/6以下なのです。

フーッ!ため息が出ます。

この第3世代の出現は、カートリッジの常識を決定的に変えるでしょう。60年間もあらゆる形式のカートリッジの変遷を重ねてきた自分のレコードの歴史も、いま変換点にいるのだと実感しました。それは100年以上、内燃機関を使ってきた車が、この10年間で全て電気自動車に変わるのと同じぐらい大きな革命だと思いました。今まで慣れ親しんできたレコードの音では無いかもしれませんが、CDやSACDのS/N比、ハイレゾ、マスターテープと同じ次元にレコードもなったと言えましょう。何よりも空間表現力と低域が違います!

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42. 2021年6月02日 11:29:21 : MIot1CKHXE : WTVZM0FiYVg3bGc=[12] 報告
2021年 06月 02日
DSオーディオの003の音とは
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DSオーディオのカートリッジは、メカ的には世代が同じならほとんど同じです。では、何故あれほどの価格差があるかというと、カンチレバーの材質と組み合わせられるその接合方法に有るのです。カンチレバーだけでも、普通のアルミ、ボロン、そして宝石のサファイア、最後はダイアモンドとグレードが上がっていきます。それに伴って、組み合わされる針も、楕円針、シバタ針、マイクロリッジ針とグレードが上がっていきます。ダイアモンドカンチレバーにダイアモンドのマイクロリッジ針を一体成形している、と言う高度な技術を経て宝石加工専門会社で作られているのです。他社も100万円を超えるカートリッジが出てきていますが、同じ技術で作られているジュエリーですね。女性がダイアモンドに憧れるのと同じかもしれません。(汗)

しかし、光カートリッジの凄さは、その材質の差よりも、やはり磁気回路を使わない構造と、第3世代と言われる左右専用に光源と受光体を持ったメカニズムにあります。それにより大出力とクロストークが格段に良くなったのです。特に、微少信号=微少な針の動きを細かく捉えて、その差をはっきりと音声信号に変えます。磁気回路ではないので、低域を持ち上げる必要が無く、50Hz以下のフィルターと、レコードが沿っているときなどに発生する超低域振動もカットする30Hz以下の二段フィルターで、ターンテーブルのゴロやモーターの振動もカットして、極めて静かな音の環境を作るのです。

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その振動を針から、カンチレバーに伝わり、そのカンチレバーの振動を直接遮蔽板の動きにして、光の受光体でアナログ信号を作成します。極めてシンプルな構造です。DSオーディオの母体会社、デジタルストリーム社は、その光素子の専門会社です。その繋がりに何かの縁を感じますね。そして、会社のある相模原市やお隣の町田市は世界中のカートリッジや針を作っている会社がある極めて恵まれた地域だったのです。

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第2世代までは、四角い遮蔽板を45度にして、隣り合う左右の受光体の境での45度方向の振動を信号に変えていました。振動板は45度方向ばかりでは無く上下にも振動しますから、微細な信号はどうしても左右に同じ信号として捉えられ、その分クロストークが発生していました。第3世代から受光盤と光源を45度方向に傾けて、完全に左右に分けました。それにより、問題だった高域のセパレーションが10db以上向上したそうです。特に最初の第一世代の時に言われた高域のきつさがなくなり、柔らかな響きが見えてきたのです。

世代が同じだと、価格差は、振動系の差になります。カンチレバーの材質と針との組み合わせの違いが、音の差、延いては価格の差になっているのです。アルミとダイアモンドですから、仕方ないかもしれませんね。針でピックアップされた溝に刻まれた振動は、針からカンチレバーを通じて、ベリリウムの遮蔽板へと伝わります。各々のパーツにはみな固有の振動数があり、アルミはアルミの音、サファイアにはサファイアの音が必ずつきまといます。針の形状の差も大きく、ぴったりと溝に入ったときの安定感は音楽再生には大変大事です。

そして、今まで殆どのMC用イコライザーがなしえなかった超低域の音を再現してきます。オルガンやコントラバス、コットラファゴット、大太鼓、ハープなどの低音楽器です。コントラバスがオクターブ下を弾くベートーヴェンやブラームスの交響曲の迫力有る低域には驚かれるでしょう。それは、光カートリッジの特有のRIAAカーブの補正にあります。MC型やMM型の磁気回路を使った発電は針が早く動く高域の方が出力が大きくなります。反対にゆっくり動く低域は発電量が低いのです。その為、RIAAのイコライザーカーブで低域が持ち上がり、同時に余計な雑音も大きくしていました。

光カートリッジは、持ち上げていた低域の信号を反対に下げて、尚且つ、50Hz、30Hzとカットします。それが、ターンテーブルやレコード自体の擦過音等も下げて、バックグラウンドノイズを劇的に静かにします。その効果は大きく、ノイズに埋もれていた最低域の微小信号を浮かび上がらせるのです。未だかつてレコードからこの様な最低域の音を聴いたことはありませんでした。カラヤンが良く言うように、静かなコントラバスの全奏ほど美しい物はありません。ベートーヴェンやシベリウス、ワーグナーを聴くと、驚くと思います。そして、チェロとコントラバスの音が、分かれて立体的に響いてくるのです。

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今までは、それらのピアニシモの再現はCDやSACDの独壇場でした。4トラックテープや2トラックのマスターテープはもちろんその音を再現していているので、これだけ頑張って収集してきたのです。ところが、その低音とSN比を普通のレコードから再現できるとしたら、本当に大きな革命的な出来事なのです。今回、普及帯?の003がリリースされたことで、従来からのオーナーは第3世代の立体音を聞くことになります。皆さんのお宅の装置がどのくらい変わるか楽しみですね。

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43. 2021年6月06日 17:26:31 : 6YjQIgiPxI : OENSc2ovMzRJdlk=[12] 報告
2021年 06月 04日
来週にはロンドンに戻られるのびーさんが
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先週の5月25日にお伺いして、Grand Masterで衝撃を受けましたが、「最新の003とE1(改)イコライザーの音も凄い」と聞き、昨日再びGRF邸に赴きました。 最初にレコード、その後にCD、またレコードと今回はじっくりと聴かせて頂きました。 2本のSME Series Vには、Grand MasterとDS-003がセットされています。Grand Masterはemmに、003は技術者がアップグレードしたE1イコライザーに繋がります。

例の如く「森進一」の歌謡曲から始めます。

Grand Masterの方が繊細で強い音、003の方が柔らかい音がします。その違いはダイアモンド・ツィータとアルミ・ツィータの違いに相似しています。「都はるみ」では003の方が肩の力が適度に抜けてリラックス出来ます。

Grand Masterは細部のレゾリューションに優れる印象ですが、003でも聴こえない訳ではありません。確かに5分の1ほどの価格でこの音は凄いと言わざるを得ません。GRFさんが「Grand Master を100とすれば、90以上は軽く出ています」と書いておられたのはこういうことか...歌謡曲を聴く限りでは、両者の違いはクオリティの差と言うより個性の差と感じます。

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続いて、クラシックに移ります。

シェリング・ハイティンク・コンセルトヘボウによるチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲では何より演奏の良さが光ります。リヒテル・カラヤンのチャイコフスキーのピアノ協奏曲のオリジナル、セカンド・プレスの比較では、オリジナル盤の鮮度は申し分ありませんが、普段聴いているバランスに近いセカンド・プレスの音も非常に好印象です。真剣に比較しなければ003でも十分ではないか、という意を益々強くします。

前回聴かなかったオルガンが入っているCDで、TW5の最低域のCDを聴いて、部屋の外まで楽々と低域が広がるのを確認しました。リストのオルガン曲などを堪能しました。そのあと過去何度か聴かせて頂いたCD初版のクレンペラー・フィルハーモニアのマーラー第四番にあらためて驚いたところで、同じ演奏のオリジナルLPをGrand Masterで聴きました。

これにはぶっ飛びました。

このレベルのオリジナル盤になるとGrand Masterは003を寄せ付けません。時折厳しい音と感じていた部分も全てプラスに働くようです。60年前の録音が昨日のもののようです。これと比較するとファーストプレスのCDの音も一枚ベールを被っていたことが分かります。

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今日は予定がないので、お酒を頂戴しながらイコライザーのグレードアップ法を伺ったり、単体では何も聞こえないTW5のウーファーをロンドンで調整するときのセッティングのコツを再び教わったりと歓談タイムに移りました。そこから、オリジナルレコードを沢山聴かせていただきました。

最後に最近、和室にセッティングされたスクリーンで定番のChris Bottiのボストンコンサートを観ました。この絵も凄かったです。黒の沈み込みと白色系ピークの伸びは間違いなく液晶の直視型よりも上だと思います。有機ELの直視型との比較でも健闘するのではないでしょうか?

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音はアルコールが久しぶりに、結構入ったのと絵に気がとられてあまり覚えていないのですが、対向に置いたConfidence3とそれに近接設置されたPQS-100のセッティングがユニークです。それをオラソニックの小型アンプで駆動するという、手許にある機械を適当に組み合わせたように見える構成です。 ただセンター無しなのにしっかりと画面から音が出ていて、対向法なのに広がりも十二分だったのが不思議です。

水際対策の強化で日本入国が益々難しくなるので、しばらく東京には戻らないことを申し上げたこともあり、先週来たばかりの003とE1改のイコライザーを譲っていただくことになりました。 また、GRFさんには新たなイコライザーを改造して、エージングしていただかなければなりませんが、003の欧州プレミア?となるはずです。

二週に亘り、何枚ものレコードを聴かせて頂き、調整法もしっかりと伺いました。TW5と合わせてじっくりと取り組むつもりです。 GRFさん、ありがとうございました。

のびー

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ご帰国前のお忙しいスケジュールを縫って、また、のびーさんが光カートリッジを聴きに来られました。「003」の最初のロットが家に到着したばかりですが、しばらく日本には来れないし、タイミングが良いので、その現物をロンドンに持ち帰りたいと言うことでした。普及型のイコライザーのDS-E1は小型で、手荷物で持ち帰れるからです。DSさんもこの製品の海外展開はまだしていませんから、ロンドンに初めてのお目見えですね。(笑)

前日にセッティングを追い込んでいたので、今日はぶっつけ本番でした。そのままで思った音が出てましたからこれならば充分でしょう。003とDS-E1改とGrand MasterとEMMと言う、価格差7倍のガチンコ比較ですが、もちろん差はありますが、普通のレコードを聴いている限りは、音は倍の差もありません。ところが、歌謡曲からクラシック、そしてオリジナル盤へと遡るにつれて、その差はどんと大きくなるのです。

前回は、会食無しでしたが、今回は最初に前回用に用意していた日本酒から入り、途中はスコッチのロックを、暗くなってからは、お客さんが来ないので、まったく進まない赤ワインのとって置きを開けました。これは良かったです。ただ、つまみはチーズとかナッツ類のあり合わせでしたので、久しぶりのワインに酔ったかもしれません。

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大きな部屋から移ってきたStewartの110インチのスクリーンは、八畳の日本間にぴったりで、暗くなると部屋の全面がスクリーンになり、以前より近くで見ていることもあり、990Rの映写機でもきれいだし、やはり黒の沈みが良いですね。対向法で置いたConfidence3もPQSも各々の特色を出してくれて良い感じです。部屋の大きさも電源強化の小型アンプもぴったりのサイズですね。

次は、秋か冬の初めになるのかもしれません。しばらくお会いできないのびーさんの後ろ姿を見て、ロンドンでの調整がうまくいくように願ってました。久しぶりのワインに酔っ払ったもしれませんね。


Commented by 夜香 at 2021-06-05 09:32 x
え?もうDS003手放したんですか?まあ、グランドマスターをお持ちですからね。両者は完全にその路線上にあるわけですから、下位機種に未練はないとそういうことと推察いたします。


Commented by TANNOY-GRF at 2021-06-05 09:43
夜香さん そうでは無いのです。音や得意分野が違うので、両方とも愛用します。のびーさんは、来週ロンドンに帰られるので、今から申し込んでいたら間に合わないと言うことで、お譲りしました。私の分は、来週の出荷でまた来ます。イコライザーの改造は、またやり直さなければなりませんが。

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44. 2021年6月11日 14:35:36 : Jwyj3SDWP2 : ZjhpTGpkYlpySTI=[15] 報告
2021年 06月 10日
イコライザーはまだまだですが
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やはり待ちきれなくて、新しく来た003を開封して取り付けました。イコライザーはGrand Masterを外して、EMMに繋ぎました。EMMのエージングもかねて、使わなければと思います。DS-E1の改造より、やはりEMMはEMMの音がします。すこし低音が減るところが、逆に003にあっているようです。特に歌謡曲は、このアルミカンチレバーとの相性が良いですね。

青柳さん情報に寄れば、003のあと、W3もMaster2(仮称)も、皆さんの予想通り第二世代のカートリッジは、これから第三世代に変わって出てくるようです。そうなると、ボロンカンチレバーとシバタ針、または、マイクロリッジ針を積んだ「W3」が一番音質と価格がマッチングしたところかなとも思います。

また、003を愛用されている夜香さん情報に寄れば、光カートリッジは、磁気の影響を受けにくいので、長いアームよりも短いアーム。またはリニアトラッキング方式がより真価を発揮するとのことでした。私自身も、インサイドフォースキャンセラーの効き方が随分と違うし、磁気の反発を受けない部分より針が溝にしっかりとマッチしている様に思います。

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ボロンやサファイアのカンチレバーが普及してくれば、光カートリッジ用にアームメーカーも頑張ってくると思います。現在のようなあまりに高価なアームでは無く、作りがしっかりとした、基本に忠実なアームとの相性も良いでしょうから、何百万では無く何十万クラスのしっかりとしたアームが出てくると良いですね。その意味では、その頃高いと思ったけれどSMEのシリーズ5は、未だベストマッチだと思います。美点は、細かな調整が行える事と、その再現も簡単に数値で追えるからです。何かをしたら、検証で一旦元に戻す、これは一つ一つ階段を上って行くには必要な要素です。

また、今回の二十万円代の003やおそらく40万前後で出てくるW3も、しっかりと作ってあるターンテーブルとアームが一体になったプレーヤーでも、低域のゴロやトレースの確実性が利点となって、レコードプレーヤーセットも出てくるやもしれません。ターンテーブルとシンプルなアーム、そしてイコライザーを内蔵したライン出力で出てくるレコードプレーヤーが出現すれば面白いですね。

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一方、しばらく寝かせてあったThorens TD-124も出してきて回しています。アームボードもロングアーム用は外して、212mm用に穴を開ける算段をしています。SME用のボードはあるのですが、今回は、通常のシェルが使えるアームを装着しようと考えています。

奥を探すと、手品の種はまだまだあるようです。
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2021年 06月 11日
いよいよ世代交代が
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Thorens のターンテーブルを久しぶりに出してきて、Ortfonのアームの設置を図っていますが、今回は今までのAシェルでは無く、一般のカートリッジも使えるGシェルタイプが付くアームにしました。随分前から用意してあったのですが、今まではAシェル用のアームRF-297が付いていました。本来付いていたSMEの3009は、マイクロのターンテーブルと一緒にプー博士のところへ行ったので、212と呼ばれるショートアームをつけるべく準備しています。212型も何種類か有って、今回はAS-212と呼ばれるダイナミック型のアームです。本来は、SPU-GTE用ですが、CG-25などのOrtofon系のカートリッジにマッチします。

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このターンテーブルは、124を手に入れてから、何回か整備に出し、ようやく実用に耐えるS/N比まで来ましたが、Ortofon系のカートリッジを使わなくなったので、久しくお蔵入りしていたものです。従来のMC型のカートリッジは、やはり低域の再生に苦労していました。しっかりとしたダイナミックレンジを取れるイコライザーの入手が困難だったからです。そして、MC型用に不可欠なマッチしたトランスも必要です。

プレーヤーもリジッドにしたり、フローティングを図ったり、いろいろな苦労が必要だったのですが、今回、その難しかった最低域をイコライザーで持ち上げるのでは無く、カット出来る光カートリッジが出現したので、この124が活きるのでは無いかと思い出して、出してきたのです。

「003」や、そのうち出てくるであろうボロンのカンチレバーを使った「W3」などが、シェルの交換だけで掛かるようになれば、イコライザーを切り変えれば、いろいろなカートリッジが使える普通のレコードプレーヤーが必要だと、思い立ったからです。

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Ortofonの様な重量級のカートリッジは、やはりEMT-930や927がないと、本来の性能が出てきません。上のような組み合わせは、格好は良いのですが、音その物は、常用のSMEシリーズ5の精緻さにはかないませんが、最低域のノイズが消えるのなら、魔法のようにこれらのプレーヤーが蘇るのです。

このプレーヤーで巧くなってくれれば、例えば、iさんのお宅にも持って行って、どのように鳴るのか聞くこともできる汎用性が生まれます。シリーズ5は、このところ、何回も取り外したり取り付けたりしていて、その度に気を遣って取り付けているのでは大変だし、Benz Micro LP、LP-S、DS-Master1、DS003二回と五回も取り外しをしていると、これ以上触りたくないのが本音です。規格を統一した同じ会社のカートリッジでも、やはり一個一個微妙に重量は変わるし、厳密な針先の位置は変わります。

このアームは、そのオーバーハングの針先の0.1ミリの位置の違いも、アームの位置を合わせるという巧妙な調整で合わせる違いを聞くと、これらの調整は、あまり動かしたくないのです。そのうちにでるであろう「DS-W3」がでたら、それを聴いてみて、より汎用な方を、通常のシェルにつけて、それを持って、iさんなどのレコード愛好家の家でどのような音で鳴るかという楽しみが復活します。

もっとも、それには今の現状が改善されなければなりませんが。幸いにも友人達は皆65歳以上なので、その効果が出てくれば、今より気軽に行き来が出来るでしょう。当分は、大勢の会合は出来ませんが、お互いが安心できる状況になれば、今よりも改善出来ているでしょう。

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そういう、夢を膨らまして、久しぶりにGシェルのスペアーを探しにオークションをのぞきに行きました。すると、旧型のオルトフォンなどが、沢山出品されています。相場も前よりも随分下がってきました。それらのページを検索していたら、今までの履歴に基づいた貴方にお勧めの商品が勝手に表示されます。すると、タンノイのオートグラフやGRFの表示がずらっと並んでいるのです。不思議に思い、TANNOYの分類を見に行ったら、驚きました。オートグラフだけで10組以上も展示されているからです。それなりの価格が提示されていますから、入札が無い商品も沢山並んでいます。

しばらく見ないうちに、これらのスピーカーを愛用されていた方々が、いなくなり、結果としてこの様に業者の手に渡り、骨董品としての価格がつけられているのでしょう。昔のオリジナルはまだまだ高価なタグがつけられていますが、何百万ものSPが簡単になくなるわけでは無いですから、価格を下げてまた、外国に渡っていくのでしょう。オートグラフだけでも10セット以上出品されているのは、壮観でもありますが、これらのSPを長年愛用してきた人たちの事を考えると悄然となります。でも、この風景は始まったばかりですね。出品より、買い手の方が少なければ、しばらくは買い手市場になるでしょう。

時代は変わりましたが、良い音のする名器は時代を超えて活躍できます。最近、手に入れたConfidence3などがその代表です。とても、25年も経っているとは思えません。活かせる内に使ってあげないと・・・
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45. 中川隆[-5259] koaQ7Jey 2021年6月27日 21:05:06 : 09g8CAKyOE : dExIekMuL1J3cVk=[50] 報告
2021年 06月 27日
光カートリッジとの遭遇 そして新たなページが
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この半年間の大変遷の第二弾は、当然、光カートリッジとの遭遇です。二月の末にHさんの別邸をのびーさんと訪れたのが、運命の扉が開いた瞬間でした。それからの大顛末は、3月のブログを見るとほぼ光カートリッジ一色ですので、どれほどの衝撃かが解ります。三月は借り物のセットで、GRFをならしていました。それで充分な音がしていたのですが、四月に入って、メインのトラバドールシステムでも、ならせるようなMITの長いケーブルをOさんから譲っていただき、ようやくメインシステムで本格的に光の音を鳴らし始めたのです。四月の中旬になり、イコライザーもカートリッジも自分用のモノが到着してようやく、気持ちが沈静化してきました。

四月から五月にかけては、何時も家の音を聴きに来られている方に、感染防止対策を徹底して、来ていただきました。ご近所のOさん、パグ太郎さん、A氏、横浜のMさんと夜香さん、i さんとM.Aさん、kanataさん、DSオーディオの青柳社長、横浜のvafanさん、Harubaruさん、ロンドンから二月のH氏邸の衝撃を体験されて、今一度五月の連休明けに来られたのびーさん、そして、大恩人のHさんです。本来なら、家に来られたことのある全ての人に聴いていただきたいのですが、この状況では、やはり難しく大山さんと残念がっています。

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さて、そのHさんが、家に来られた折、五月の末には今一度、別邸にお伺いして、いろいろと調整をしようと話していましたが、愛車の撮影等いろいろ忙しくなり、六月になりました。六月の中旬、末の26日の都合を聞かれました。いまは往来も控えているので、土曜日なら殆ど空いていると快諾すると、今週になって再度、確認の連絡がありました。この時点で、また、何かやっているな?という予感は働きましたが、サプライズを詮索しても始まらないので、当日を楽しみにしてきました。

今日は何時もの集合時間より一時間遅れの六時です。いろいろと準備があるのだろうと思っていましたが、到着した私の目に飛び込んできたのは、、、


この、驚きの光景でした!

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なんと、前回のEMT-927が入れ替わっており、Reedのリニアトラッキングアーム5Tの二重奏です。手前が専用アーム、奥がユニヴァーサル用で、どちらもレーザーで位置を検索してアームを動かすモータードライブのタイプです。ターンテーブルも同社のリムドライブ式の3Cですね。

驚きは、この専用の台です。フレームに建築用のH鋼を使ったリジッドな構造で、中の二段は、マグネット方式のフローティングです。Reedのターンテーブルと二本アーム用に、オーバル形で作られた専用台です。大山さんから、EMTの台をしっかりしたモノに変えてほしいと相談受けている話は先月聴いていましたが、プレーヤーも変わっているとは思いもしませんでした。

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このReedの3Cターンテーブルは、大変凝った造りでリムドライブが左右で径を違えてあり、共振を防いでいます。ベルトドライブも可能ですが、評判はリムドライブにあるそうです。

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もちろん、続きます・・

今日は何だか疲れちゃって(苦笑)

Commented by リウー at 2021-06-27 17:54 x
 これは、凄い!アームの周辺を見ていると目が痛くなるようです。(笑)
 H鋼とは、ハイテンション鋼でしょうか?40年位前に、自転車のフレームがハイテンからクロモリに変わって行ったことを思い出しました。

Commented by ニッキー at 2021-06-27 21:00 x
GRFさんこんばんは。
音は好みだと思いますが、光カートリッジと従来の電磁カートリッジの両方とも楽しめる環境が好ましいようですね。
今まではMC、MMカートリッジが主でしたが、光カートリッジがより認知されて
EMMやソウルノートなどの色んなメーカーからの光カートリッジ対応フォノイコも出てきて
『スタンダードなカートリッジ』になってくるのでしょうね。

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46. 中川隆[-16152] koaQ7Jey 2021年7月19日 17:04:36 : a9KMys6j82 : RE9WUkNHM2x0dGs=[11] 報告
2021年 07月 18日
この週末は、またまた大変な・・・
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きょうは久しぶりに籠原の夜香さん宅にお伺いしています。

この一年間は、H氏別邸以外には、殆どお邪魔していませんので、何時も訪れていた夜香さんお宅も、前回は去年の1月以来です。

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夜香さんのお宅に行くのは、何時も楽しみです。行く度に機器は充実して、音もどんどん良くなっていくからです。オーディオの歴史に燦然と輝く、名器が最上の状態で使われています。オーディオは新しいからいいわけではありませんし、昔の名器をただ並べても、それでは骨董品屋になります。それらの名器をしっかりとメンテして始めて真価が出てくるのです。夜香さんの様に、技術も歴史も無いと正しく使うのも難しいのです。

今回は、光カートリッジ用に、先頃導入されたリニアトラキングアームのReed5Aを聴きに来ました。加えて、一年半ぶりですから、三日も来ないと変わっている夜香さんの最新の音を聞きに楽しみにやってきました。実は、今日はダブルヘッダーで、大山さんとも待ち合わせて、この後夜香さんを誘って、H氏別邸の同じくReed5Tも聴きに行きます。考えてみれば、自ら危険な入り口に寄せられて来た様なモノです(汗)。

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身近に見れば見るほど美しいアームです。同じReed5といっても、TとAではアームのデザインは、まったく違います。同じ名前が付いているのが不思議なぐらいです。この5Aを見ると、台形のアームベースが、動いてリニアトラッキングとして、アームの長さが変化する様がよくわかります。一見華奢に見えますが、実際触ると各部はしっかりとしてガタはまったくありません。可動部はルビーで支えられているそうです。

音は相変わらず、びっしりと音が充実した夜香さん特有の音です。過不足無くという言葉がありますが、夜香さんの音はその言葉通りの充実した音です。今回のアームの特徴は、光カートリッジの特性もありますが、従来からのレコードの音の概念を変える低音が聞こえます。光カートリッジの音は、従来からのカートリッジの通念を変えるからです。イコライザーカーブが反対だと言うことは、低音域が低くなれば低くなるほど、SNが良くなると言うことです。従来は、低音域は持ち上げなくてはいけないので、ターンテーブルのゴロや、レコードとカートリッジの擦過音などがしないので、溝に刻まれている音楽だけが浮かび上がるのです。これは一度聞いていただかないとあたまでは理解できませんね。

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このアームは、レコード再生時に常にかかる左右のアンバランスを生じるインサイドフォースを発生させません。その為に針先は、常に溝に対して直角に接します。言い換えると左右のバランスが整い、結果、定位が安定します。その定位の安定は、聞き手に安心感を与え、音楽に身を任せられるのです。従来のアームは、アーム自身の剛性を上げて、一種、力技でねじ伏せている感じが見えてくるのです。私も使っているSMEのシリーズVと比べても、アーム特有の音が解ります。困りました・・・

その他の機器も一年半の間に充実しています。以前は、マッキントッシュとアキュフェーズで駆動していたJBL系のSP群は、マークレヴィンソンのアンプ群に変わっています。同じような格好でわかり難いですが、それも20.5になっているではありませんか?人のことは言えませんが、このコロナ禍で、やれるときにやらずにどうするという、スイッチが入ってしまったようです。(爆)

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大量に持ち込んだ、歌謡曲の実況録音盤、その殆どが、光カートリッジ導入後に購入したモノですが、50年前のレコードが殆どです。それらの旧いレコードが洗われ、チリチリが無くなり、針がしっかりと溝に食い込んでいるのが解ります。その音を聞きながら、夜香さんから質問がありました。この光カートリッジは、時として片面を掛けただけで、針先が汚れると、常に清掃していないと音が違うような気がするのですが、お宅でもそうですか?と聞かれたのです。

そうです!家でも、片面掛けるとレコードを洗っていても針先に汚れが付いているのを、ルーペで確認しています。針先が、従来のカートリッジよりしっかりと中まで入って、溝の中の汚れを掃除しているような感じです。一回掛けた後、今一度針先を掃除して掛け直すと、一段としっかりとした音が出てきます。だから家では、片面づつ必ず針先の掃除をしていると言いました。納得していただいたようです。

二時間半、最後は大山さんが持ってきた松田聖子のEPも掛けてみました。光とリニアトラッキングアームで聞く、45回転レコードの迫力に、一同驚きました!でも気がつくとあっという間に四時半です。

加須の別邸に向けて、下道を向かいました。地元の夜香さんに道案内をお願いして、最短の道を来ました。距離自身は40キロもないのですが、下道なのでやはり一時間ぐらい掛かりました。東に向かう道だったので、西日は後ろから差しているので眩しくは無いのですが、強い夏の順光に照らされた北埼玉の道は、真夏のコントラストを見せてくれました。

夏が始まりましたね。


Commented by リウー at 2021-07-18 20:47 x
 お暑うございます。明日は37度らしいです。(げっそり)梅雨明けで空には雲もなく、強烈な日差しです。
 相変わらず?素晴らしい展開で、オーディオの深淵を極めている感じですね。(笑)
 レコードはあまり持って居ないので、安心?してこの展開を見ていられます。羨ましさと安堵感が半々でしょうか(苦笑)


Commented by TANNOY-GRF at 2021-07-18 21:45
リウーさん 熊谷付近ってどうしてこんなに暑いのですか?私は滞在数時間で逃げて帰れますが、お住まいの方は、これからの酷暑をどう過ごされるのでしょう。まだカラッたとした天気なので、今はなんとかなりますが、これから湿気が上がってくると、日本有数のこの地域は、本当に酷暑という意味がわかるところです。

岐阜県の多治見あたりと日本一を争うのですから??
車で通っただけですが、40度を越したのも何度もありますから。


Commented by のびー at 2021-07-19 07:04 x
5Aは良さそうですね。理論を現実の製品に仕上げた技術に感服します。

ベースそのものは普通のサイズのようですから、これならウチのプレーヤーにも付けられそうです。予算的にも随分と優しいですし?? 

5Tのお話をまだ伺っておりませんが比較すると・・・


Commented by 椀方 at 2021-07-19 09:08 x
GRFさんご自身も書かれているように、今の状況はまるで撒かれたコマセに群がり餌の付いてない針に喰いつこうとしている鰹のようです?
くれぐれも釣り針には掛からないように!といっても言うことをいかなかった「泳げ鯛焼きくん」みたいですね!?

しかし、アナログやってなくて良かった!?とつくづく思います。
Commented by TANNOY-GRF at 2021-07-19 09:18
椀方さん 

「しかし、アナログやってなくて良かった!?とつくづく思います。」本当にその通りですね。

一方、数千枚のオリジナルレコードを持っている身には、いままでレコードを取っておいて良かった!ともいえますね(爆)

今まで、レコードからは最低域が入っていない、クロストークもはっきりしないから、三次元の音は出ないと思ってきました。

私の一番の驚きは、第三世代の光カートリッジは、その点を超えたことですね。今回のアーム騒動も、どこまでがアームのおかげなのかを見極めなくては行けないと思い、あえて火中に飛び込みました。さて、その結果は?


Commented by TANNOY-GRF at 2021-07-19 09:21
のびーさん

のびーさん的な美的感覚から言うと、5Aの方がかっこいいし、おすすめします。しかし、あのH氏邸の音を再現しようとすると、AとTの間の違いは、相当大きいのです・・・

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47. 2021年7月20日 09:57:55 : PyEbk2yR7o : cU1ic1FSWXJYZU0=[16] 報告
2021年 07月 20日
ますます大変な真夏の週末・・・
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夜香さんの道案内で、最短距離で深谷から移動できました。途中何本もの国道と交わり、その度に斜め左へと移動を繰り返す道は、結構複雑ですね。眩しいぐらいの西日を背負っての方向だったので、真夏の太陽に輝く景色が美しかったです。最近はあまり出歩かない身には、景色が新鮮でした。

夕方、六時に集合です。同じに出発したのですが、行き慣れている大山さんは一足先に着いていました。そこに、待ち合わせのK.Oさんも到着、仕事を終えられたHさんも予定通りに着きました。さっそく、我々にとっては第二部が始まりました。

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何度見ても、この大山さん特製のラックは素晴らしいです。専用にあつらえられたデザインもそうですが、H鋼による構造で圧倒的な安定感と中段の二段のマグネフロートによる浮遊でハウリングから逃れている機能性も優れています。初めてご覧になる夜香さんやK.Oさんは、大山さんの説明を聞き圧倒されていました。

A5とT5の単なるアームの違いだけでは無く、ターンテーブル3Cとこの専用ラックも違いますので、単純なアームの比較だけには収まりません。加えて、光カートリッジも003とGrand Masterの違いももちろんあります。その違いも加味して、アームの動きの差による音の定位感の比較になりますが、これも、JBLのホーンシステムと、German のDDDユニットによる、三次元再生を目指しているH氏邸の音では、方向性が反対なので、最終的に出てきた総合的な音の違いを比べることになります。

結論は、どちらも手法はまったく違うし、出てきた音場も異なるのですが、私はどちらも大変楽しめました。これだけの違いがあるにもかかわらず、音楽が躍動して、楽しめるのは凄いことだと、Hさんと夜香さんのの情熱が音楽になって表れているのだと、自らの枠を取り払った先には、このような予想も付かない音楽の世界があるのだと感激しました。

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5Aのシンプルな美しさと、5Tの自動化という高度な技術を詰め込んだ機能美はどちらも美しいですね。専用ラックにのった3Cとダブルアームはも美しいと夜香さんもつぶやいておられました。いずれを導入しても専用のアーム台は、特注になります。今日の私の目的であるアーム選びは結論が出たようです。Hさんや夜香さん、そして大山さんのおかげで、また大きな飛躍をしなければならないようです。

DSの光カートリッジは、003とGrand Masterには、大変大きな価格差がありますが、感覚的には倍ぐらいの違いでしょうか。今まででている光カートリッジも順番に第三世代に変わっていくので、W2グレードの、ボロンとマイクロリッジの針を搭載したW3は来年になると思います。夜香さんの003とA5との組み合わせの音を聞くと、このグレードでも他のカートリッジを凌駕しているのが解ります。一番の違いは、圧倒的な低音の音場の広さと深さですね。イコライザーカーブの違いが、これほど、雑音を抑え、超低域の再現を実現しているかは、やはり聞かないと解らないと思いました。レコードは回転しているのですが、アームとカートリッジは微動だもしない動きは見事でした。聞けて良かったです。

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同じ日に、最新式のリニアトラッキングアームを二種類聞けるなどの経験は、他ではあり得ません。車で言えば、同じ名前のモデルで、1500ccと3000ccのモデルを比較するような試みですが、基本的な同じシャーシーで同じ車です。たとえは悪いかもしれませんが、他のモデルとの差では無いのです。二月末の衝撃的な光カートリッジとの出会い、そして、6月末のこのプレーヤーとの遭遇を通じて、この音がレコード再生の基準になっていく自分がいて、本当に困りました・・・

気がつくと、はや八時を回っています。今日はお昼過ぎに家をでて、二時に夜香さん邸、6時からH氏別邸で、アームの比較を行ってきましたが、ここでも、二時間が過ぎました。家に着くのは、10時頃にはなるでしょう。大変充実した日になりました。夜香さん、Hさん、そして一日おつきあいしていただいた大山さん、一時間半も高速を飛ばされてきたK.Oさんに感謝して、ようやく涼しくなってきたH氏邸を後にしました。帰りは順調でしたが、それでも、家に着いたのは10時少し前でした。

いろいろな意味で、充実した一日でした。
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48. 中川隆[-17620] koaQ7Jey 2021年8月01日 04:07:12 : bpJXXhrmJA : UTkxbGw4d0VLOW8=[6] 報告
2021年 07月 31日
二つの部屋
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よく皆さんから聞かれるのは、「GRFのある部屋」と「和室のユニコーン」をどのように使い分けているのか?と言う質問です。テレビ用とスクリーン用のシステムは、それぞれ専用ですからわかりやすいのですが、「和室」も「GRFの部屋」も聞いている音源は同じです。でも、どちらの装置で聞くかは自分の中では、目的が違います。

私の中では、プログラムをきめてコンサートの様にじっくり聴くような場合は大きな部屋で。アルバムを精査する場合や、反対に聞き流すような場合は、和室で聴いています。簡単に言うと、今夜はコンサートだ!と思うようなときは、大きな部屋で、その他は和室で聴いています。お客さんが来たときは、大きな部屋の方をお聞かせするのが殆どですが、自分で聴く時間から言えば、7〜8割は和室のユニコーンがメインですね。

光カートリッジが導入される前は、大きな部屋のシステムの実験中は頻繁に出入りしていますが、完成後は稼働率から考えると、やはり「和室のユニコーン」がメインシステムでした。その意味で、大きな部屋はコストパフォーマンス的には、殆ど採算度外視にしていますね。採算で音楽を聴いているわけではないのですが。

現在は、まだ大きなコンサートもそれほどは開かれていないし、外国からの団体は殆ど来日していません。飛行機の往来ばかりでは無く、観客の入場制限がある内は、興業として採算が合わないからです。そのような演奏会の代わりには、やはり大きな装置で、演奏会場の雰囲気を味わいます。この音が、自分の家で聴けるのは大変幸せです。その意味では、コロナによる自宅待機の期間もオーディオ好きには恵みのような時間でした。装置のグレードアップや、いままで購入してきたCDを聞く時間が出来たからです。

二つの部屋_f0108399_11071757.jpg

加えて、この三月以降の光カートリッジの導入が続きました。MolaMolaのイコライザーを導入した頃を除き、やはりS/N比、針と溝の間の擦過音、レコード本体にも入っている、低域の暗騒音、スクラッチノイズ、インサイドフォースによる音のゆがみ、外周と内周での音質の変化等々が重なり、圧倒的にダイナミックレンジの違うCDやSACDそして、DSDの音源にソースが移行していました。特に最低域の音の伸び、クロストークの無さ、低音の量感で、昔の4トラックテープをDSDに変換して、ハードディスクから呼び出す方法をこの10年間は進めていたのです。

光カートリッジの出現は、そのレコードの劣勢を大逆転してくれました。あれほどのテープ党だったHさんも大変身ですから。おかげで、50年以上集めてきたレコードが蘇りました。ただ、長い間、仕舞ってあったレコードは、聴く前に洗浄をしなければなりません。少しでもゴミが針先と溝の間に入ると、たちまち音質が落ちるからです。この音質の変化を知ると、片面レコードを掛けると、針先の汚れを除去するぐらいです。神経質だと思われるかもしれませんが、実際に針先の汚れを数十倍以上のルーペで見ると、針先に埃や汚れが付くのを確認できます。そして、その違いをダイレクトに反映する、光りカートリッジの高忠実度再生は、今までのアバウトな再生とは一線を画しているのが解るとおもいます。

すると、溝に切られた信号を忠実に再現し始めた光カートリッジは、いままで決して聞こえなかった最低域の音を再現し始めるのです。そして、挑戦してきた三次元の立体サウンドが、立体的に展開して、今まで聴いたことのない世界へのドアを開けてくれたのです。今まで、CDしか聴いていなかった和室の部屋でも、レコードプレーヤーを持ち込んで聴いてみようかと思っているぐらいです。

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49. 2021年8月04日 15:59:38 : K38sCEWWu6 : d3ZiOGE4QkZ4eTY=[29] 報告
2021年 08月 03日
タイムマシーン付きどこでもドア 2
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和室のUnicornも驚愕のリアリティサウンドではありましたが、それでも普通の和室での出来事ですから非現実的な出来事ととらえず、あわよくば、自分のシステムにも何かフィードバック出来ることはないかと考える余地もあるんですが、「GRFのある部屋」のGerman Physiks のTroubadourを使ったシステムでは、そういった余裕は全くなく、採算度外視の音世界を堪能させていただくのみと割り切ってお邪魔させていただきました。

Troubadour+PSDの三次元の音は、今年の2月にも一度お聞かせ頂いているのですが、おさらいということで、後方のTW5、T40の有無の違いを先の和室のUnicornで聴かせていただいたマータのサンサーンスのオルガン、シノーポリのシューベルト、クレンペラーのマーラー、八代亜紀のライブで再度確認させていただきました。その違いについては2月の感想記をご参照いただければと思います。

このように、三次元空間の再生に進化したシステムですが、私自身はこの部屋の音は、デジタルの音源で、主にクラシック音楽のために誂えられたシステムなのではないかと思っていたので、光カートリッジの導入でレコードとこのシステムがどのように融合するのか、興味津々でした。

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待望の光カートリッジによるレコード演奏は、越路吹雪さんの68年のライブから始まりました。歌と演奏の巧みさに思わずため息が出てしまいます。どっしりとした安定感、びしっと決まる音像、そしてなによりものすごい鮮度感、そして三次元に展開する音場、たしかに今までのレコードのなり方とは別物です。いや、レコードとは別物と言いましたが、といってCDとも違いますし、テープとも異なり、レコード固有の音色は健在です。この光カートリッジは「003」というグレードだそうですが、光カートリッジ固有の構造や方式については、トップモデルのグランドマスターと変わりはないそうです。

光カートリッジの固有の構造や方式と、MCやMMとの違いは磁気回路を用いていないので、従来からのRIAAのイコライザーカーブからの脱却して、周波数、ダイナミックレンジの改善、レコード固有の低域のノイズが無く、ここにある「Grand Master」と「003」から始まった第3世代の構造変化によるクロストークの大幅な改善がもたらす、三次元のレコード再生であるということは、一聴して納得できました。

加えて、この光カートリッジは、非常にレコードの溝へのトレース能力が高いのではないのかと思います。いくら構造的な配慮をしてクロストークを改善しても、レコードの溝を確実にトレースできなければ、このような安定感のある音にはならないと思うからです。

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最近の高性能な車のように、シャーシ、足周り、タイヤの性能が良くなっても、やはりドライバーの腕が必要なように、ターンテーブル、アーム、カートリッジそしてそれを調整する技量が試されるカートリッジなのではないかと思いました。
 
そんなことを頭で考えているうちに、越路吹雪さんの日生劇場での79年盤、日劇でのクールファイブ、大阪フェスティバルホールの森進一、NHKホールでの都はるみの実況録音盤と、名演が次から次へと演奏されました。特に印象が残ったのは、森進一さんですね。演奏は後方に広がるステージから流れ、声はステージ中央にしっかりと定位し、観客の拍手やファンの女の子の叫び声はリスニングポイント寄りの手前に展開し、まるで観客席に入ったような見事な三次元再生でした。

このレコードは、今までも何度となく聴かせていただいているのですが、今までも、ものすごく立体的に聴こえていた音が、立体的と言った雰囲気ではなく、「三次元の立体」そのものに変わっています。これが、光カートリッジと三次元に展開したTroubadourのシステムが成し得た、新時代のレコード再生なんですね。過日、GRFさんがこの再生音について熱く話をされていたことになるほど納得した瞬間でした。

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で、ここまで来ると、「Grand Master」と「003」の違いを知りたくなるのが、当然の流れでして、結線を繋ぎ変えていただき「Grand Master」での演奏が始まりました。比較対象として、先の森進一さんをもう一度演奏していただきました。一聴して、違いはすぐにわかりました。003に比し、上質という一言に尽きるのですが、オーディオ的に言えば解像度の向上、高SN、分解能のレベルが全く違います。しかし、恐れずに言えば、この歌謡曲の演奏で言えば、「003」のほうが伝わってくるものが多いというか、熱気を感じると言えばいいのか、相性を考えると「003」に軍配を上げたくなりました。

となると、「Grand Master」の真骨頂は、この種のレコードではなく、別の所にあるのではとなるわけで、次の演奏を待ちました。GRFさんは、レコードを変えるたびに、入念に針の掃除をされていらっしゃるのですが、あれっ、その針を掃除している時の音が「003」と違うのです。うまく言えないのですが、針音が繊細で滑らかに聴こえました。始まった演奏は、カラヤンのBPOのシベリウス第4番でした。

ガーン、瞬時にオーディオ的な思考が吹き飛びました。黄金期のカラヤン/BPOのパワフルだけど、繊細で、神々しい美しい響きはまさにクラシック音楽の最高峰となる交響曲の凄みがひしひしと伝わって来ます。

指揮者とオーケストラが混然一体となり、それを余すことなく録音媒体に収め、30cmの円盤に刻み込むという一連の芸術作品が時空を超えて今、目の前で蘇っているのです。ここまでの音楽レベルを再現するためには、「Grand Master」が必須なのだということがわかる演奏でした。つまり、光カートリッジとTroubadourのシステムと同時に、盤そのものの素性があってこその、この世界なのですね。

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参考にと、この演奏のセカンドプレスも聴かせて頂きましたが、残念なくらいレベルが違いますね。光カートリッジであっても、入っていない情報は拾い上げることは出来ないわけで、高度なシステムであればあるほど、この差は大きいのですね。がっかりしている私に、それではこちらはとGRFさんが取り出したのは、初版のモノラル盤でした。

モノラル盤は、50年代から60年代初期のモノラルからステレオの移行期だけにでていた時代背景から、初版盤しか存在していないので、価格は安いのですが、かなりの貴重品なのだそうです。え、そんなことも知らないのとお叱りを受けそうですが、この盤が録音された年と私が生まれた年は一緒なので、どうかご容赦ください(笑)
 
さて、モノラル盤の演奏が始まった時は、一瞬こじんまりと聴こえて来たのですが、数分経つ頃には全くそのようなことが気にならなくなり、むしろステレオ盤よりよりホールにおける自然な鳴り方に聴こえて来ました。モノラルですが、一切窮屈なことはなく、自然な広がりを持って聴こえて来るのが不思議ですね。
 
途中、GRFさんがMolaMolaのプリアンプの操作をした途端、すっと音が消えましたが、これは片方だけ逆相にした時に起きる現象ということは知ってましたが、これは完璧に左右のSPが同期していることの証なんですが、このモノラル盤の録音が、正相や逆相が入り混じっていないことの証だと思うのですが、これって合ってますか?そうだとしても、これ、ステレオのカートリッジですから、やはりプレーヤーそのものも、ものすごい高度な調整がされていることゆえなんですね?

UnicornもTroubadourのシステムも、自由自在に時空を超えて、好きな時に好きな音楽会場にワープできる素晴らしいシステムになられていました。また、それをお聴かせいただくチャンスを頂きましたこと、改めて御礼申し上げます。でも、きっとここで満足して立ち止まることはないのがGRFさんですから、次もまた沢山驚かせてくださいませ!!!


Commented by TANNOY-GRF at 2021-08-03 11:14
チューバホーンさん 長文のご感想をありがとうございました。私自身の驚きをチューバホーンさんも感じられたのだとご感想から解ります。

今更のように、三次元の音場を追求してきて良かったと思います。順番が反対でしたら、今回のような光カートリッジの驚きは無かったと思います。クロストークが改善され、微小な信号を拾うことが出来、奥行きのある音場が出現した第三世代のカートリッジに初めて出会うという幸運もありました。数年前に前のヴァージョンと出会っていたら、今回のような感動は受けなかったとおもいます。

出会いのタイミングに恵まれました。何よりも、長年のレコードコレクションが生き返ったのが、何よりも嬉しいです。
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50. 2021年9月17日 02:46:10 : 1w8DcDQTH6 : Rlo1aGN4bzFRSHc=[1] 報告
2021年 09月 15日
SMEの純正ケーブルを交換しました
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SMEのシリーズVのアームを使い始めたのは、平成に変わった頃ですから、もう、30年以上経っています。今1本を追加したのは、2009年の秋ですから、こちらももう12年以上経っています。30年前も高価なアームで、購入するのも一大決心が必要ですが、現在では、全てのアームが大変高価になり、アーム1本に軽自動車以上をつぎ込まないと変えなくなりました。高性能のアームだと小型の外車が買えるぐらいの価格帯ですから、またもや、一大決心が必要です。

光カートリッジをつけるとき、カートリッジの光電部品には、5Vの電気を供給しなければなりません。二台目のアームは、なんともないのですが、旧い方のアームは、付属のケーブルの接触が悪くなって、イコライザーアンプを触ると、さわさわというノイズが仕始めました。動かさなければ出ないので、最初は無視していたのですが、GranMaster と 003の聞き比べなどするときに、Grand masterが付いている旧い方のアームはアンプへの接触が悪くてノイズがだんだん気になってきました。

SMEの純正アームのケーブルは、Van de ful製の銀線です。SMEはこのケーブルを使わないと、元の音はしません。MITなどでも作りましたが、切れ味が無くなります。交換用のケーブルは、前から準備していたのですが、アームの下で直角に曲がる構造から、現在のアームベースでは窮屈で、交換をするとなると全部ばらさなくてはならないので、日和っていました。しかし、SMEのアームの限界を知るためにも、Grand Masterをその新しいケーブルでも鳴らさなければと思ってこの夏を終えました。

SMEの純正ケーブルを交換しました_f0108399_03424639.jpg


最近は、家の音を聴きに来られるお客さんも減って、一月に多くても二人ぐらいになりました。それも、密を避けるためにお一人でお願いしています。換気を心がけながら、最大三時間、会食なしでお願いしていますので、昔の様なワインやお酒を飲みながらの楽しい会は開いていません。さびしいですね。そんな折、この週末に久しぶりのお客さまが来られることになりました。最近は、あまり大きな部屋では鳴らして無く、S.Yさんとの調整で和室での実験をしていたので、大きな部屋での音をあまり聴いていませんでした。

二週間ほど前、久しぶりに6336Bを交換しました。一年半ぐらい使っていましたので、すこし、音が甘くなっていたようです。交換後のエージングも落ち着いてきたので、レコードの方も掛けてみましたが、やはり、アースが外れているようなノイズがしています。端子の周りが甘くなっているのでしょう。

そこで、懸案のケーブル交換に踏み切りました。アームを分解するのは、12年振りです。ただ、トーンアーム周りを触ると、また後から再調整が必要で、つい敬遠していました。週末に久しぶりのお客さんが来られるという事を、弾みにして手を染めたのです。分解は、そう難しくはありません。最初にカートリッジにカバーをつけて針先を保護します。あれほど追い込んで調整したのにと、一瞬もったいないなぁという思いもしました。でも、ノイズは消さないといけません。ノイズがでているときは、でているときでは無く、出ていないように鳴っているときも、何らかの変調はあるからです。

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根元の部分を緩めて、ベースを外していきます。ケーブルの付け根が、90度曲がっているので、アームの位置によっては、円筒形のアームベースの中に余裕が無くなり、アームが動かなくなります。それを位置を変えながら調整していくのは、慣れない姿勢もあって、腰回りがいたくなります。

外す方は、上手くいってケーブルを付け替えて、今度は組み立てです。こちらは難しいです。ばらしたときに、部品を外した順番に並べておきました。それを反対に組み立てるのですが、外すのと、つけるのは一緒では無いからです。ネジも簡単にははまりません。またネジが落ちて探すのにまた時間が掛かります。さんざん苦労してアームの高さ調整から始めました。すると、ターンテーブルの上に来るとアームが下に下がらないのです。何度かアームを動かしてみましたが、原因がわかりません。何処かがぶつかっているようです。LEDの明るい懐中電灯を持ってきて、見てみました。アーム自身が黒くて、すこし影に入るとよく見えないからです。

何度か動かしてようやく原因がわかりました。アームの根元を締めて支える部分が上下逆さまに付いていたのです。正規につけると見えなくなる、支える部分の膨らみが、アームと触り下がらなくなっていたのです。

おいおい!と自分にがっかりしたのと同時に見えないのだからどうしようも無いという慰めの気持ちが両方襲ってきました。仕方ありません。今一度、ばらして、上下を直して再組み立てです。またもや、ネジが穴に落ちました。再組み立ての方が、時間がかかったかもしれませんが、やり方は、解っているので、マニュアルを見ながら組み立てを行っているような物です。最初に、部品を並べておいて良かったです。

全部で、二時間半ぐらいかかったでしょう。暗くなる前に終えて良かったです。最近は日が落ちるのが早くなって、五時過ぎには暗くなってくるからです。

高さ調整、オーバーハング調整、アーム重量のゼロバランス調整。針圧付加、インサイドフォースキャンセラー、最後の増し締めを行い、間違いを再度チェックして、イコライザーの電源を入れました。それから、ターンテーブルの糸張り、テンション調整、スピード調整。それらを再度チェックして、ようやくパワーアンプのスイッチを入れました。

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音は変わりました。柔らかく、低音がひたひたと押し寄せてきます。もう一回、針圧の付加を確認して、聞き直しました。良いですね。この大半は、やはりケーブルの違いでしょう。安定して再生されているのも、大きな差を生んでいる理由でしょう。

安心しました。週末までは、チェックする時間は取れないので、結果には大満足です。何度も言いますが、この光カートリッジでのレコードの音を聴いて驚かない人はいないでしょう。

by TANNOY-GRF | 2021-09-15 23:29 | オーディオ雑感 | Comments(2)
Commented by ニッキー at 2021-09-16 21:31 x
GRFさんこんばんは。
バンデンハル欧州のスピーカーケーブルではあまりにも有名ですね。
タンノイやELAC、B&W、ソナスなどのスピーカー内の配線に使ってあります。
私も太さが違うものですが、メインとサブのスピーカーケーブルに使っております。

ウチの方も大分システムが成熟してきております。
そちらの『サブシステムと同等になってからお呼び下さい』
と言われた事を忘れてはいませんので、
いつかはお呼び出来るように精進しております。
Commented by TANNOY-GRF at 2021-09-16 23:47
ニッキーさん コメントありがとう!お宅のシステムも良くなっているのですね。愛情を注いでいる証拠です。これならと思われたらお声を掛けてください。

https://tannoy.exblog.jp/32432438/

51. 2022年1月17日 12:23:15 : JBiG9tGXfk : T1ouUlR0QkJ6Rkk=[1] 報告
Mr.トレイルのオーディオ回り道
アナログプレーヤーのカギは幾つも有る
2022年01月17日
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/7d9a058bb3c286beff40ab0cb51c74ea


アナログ再生のカギは幾つも有る。例えば「カートリッジ」。写真はオルトフォンSPU-GEのカートリッジ。MC型なので昇圧トランスが要る。カートリッジも色々使って見たが、SPU-GEにして「音の線の太さ」がやっと分かった。このカートリッジを使い出してから他のカートリッジには見向きもしなくなった。多分EMTのカートリッジも同じ部類だと思うが、他を探す事を止めた。終着点になるだろうと思っていた。

1990年以降、オルトフォンからSPUの後継機が次々と出て来た。その中の一つSPU-RE(リファレンス)を入手して聴いたら、SPUの基本形は同じでも「音数」がビックリするくらい増えていた。結局SPU-GEは予備機になってしまった。

アナログプレーヤーでは他にも「回転の正確性」や「回転の慣性モーメント」、アーム、テーパーターンテーブルや敷シート等でも相当に音が変化する。触れる処が山ほど有るが、やってもやってもきりがない。何処かで止めないと前に進めなくなってしまう。

アナログプレーヤにも結構な投資をしたが、現在ではCDに取って代られて出番だ少ない。

https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/7d9a058bb3c286beff40ab0cb51c74ea

52. 2022年7月19日 08:49:32 : Ws0p6OrKz2 : QVZyNzFnV0pkaG8=[1] 報告
2022年 07月 18日
光カートリッジの音はなぜ違うか?
https://tannoy.exblog.jp/32737018/

光カートリッジに出会ったのは、去年の三月でした。その驚きは大きく、50年以上関わり合ってきたレコードの再生を根本から見直すことになったのです。私自身は、音の差に驚いても、科学的に(懐疑的に)比較して納得しないと変化はしません。それから、光カートリッジの仕組みから歴史を学び始めました。そこへ知人が、自身はGrand Masterにグレードアップしたので、それまでのフラグシップのMaster1を貸してくれたのです。渡りに船どころか、火に油を注ぐ効果がありました。

それから、光でGRFを鳴らしたり、しばらく聞かなかったレコードを引っ張り出してきたり、雪解けの洪水のようにアナログが流れ込んできたのです。うれしい悲鳴でした。光にした時の驚きは、二つありました。一つは今まで聞いたことのないような音が聞こえてきたことです。レコード自身の雑音が消えて、雑音に埋もれていた色々な音が浮かび上がってきたのには驚きました。理由は、レコードに起因していたレコードとの摩擦音や、ターンテーブルからのゴロや磁気回路特有のハム的な雑音がないのです。理由は磁気回路からくる歪みや、入力トランスのシールド不足によるSNの悪さがないからです。

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光カートリッジの最大の驚きは、その静かさにあると言えましょう。レコードが新品であろうとも、今まではカートリッジは、レコード固有の雑音からは逃れませんでした。CDやSACDに比べて、どうしてもSN比ではレコードは劣っていたのです。ダイナミックレンジが違うからです。レコードのイコライザーは、小さな出力時の信号の状態で40db(100倍)にも及びます。問題はレコードの溝をあまり幅が取れないので、大振幅の低音は、小さくして溝に刻んでいます。

それに加えて、MM型やMC型のように磁力線をコイルが横切って発電する速度比例型のカートリッジでは、磁力線を横切るスピードの速い方が大きな出力を発生して、周波数が低い低音部の出力は小さくなります。それを補うために再生時に20Hzで、基準の500Hzに比べて20db(10倍)も大きくしなければなりません。その時、信号だけではなく雑音も大きくなり、低域の雑音や分解力が劣ります。

光カートリッジは、振幅に比例する形の発電機構なので、低い周波数でも高い周波数でも出力自身の大きさは変わりません。そのため、低域では、イコライザーカーブの下まで再生してしまいますので、 30Hzから下は6db/octで切ってあります。逆にいうと低域を持ち上げなくても楽々と低音が再生されます。この差は大変な違いです。速度比例型のイコライザーカーブで500Hzから2.12KHzまでは、レコードではフラットですが、MM型やMC型のような速度比例型では、その間出力が大きくなります。その分だけ、振幅比例型の光カートリッジのイコライザカーブは500Hzk→2KHzの周波数が4倍になる分、12dbだけ上げてあります。

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言い換えれば、MM・MC型の40dbのイコライザーカーブの代わりに、12dbだけしかないのです。そして30Hzまでフラットに再生するのです。その差は大きいのです。初めてH氏邸で、光カートリッジに出会った時の衝撃は、忘れません。

何だ!これは?と言うのが偽らざる第一声ですね。針がレコードを摩擦して出している音ではありません。ヒスがないテープのような音です。物理的な作用で音が出ているのではなく、reel to reel tapeや、現代のデジタル録音を聞いている感覚です。そして38/2トラ特有の余裕のある低域が聞こえてくるのです。低音の出方がレコードではなくテープの音なのです。レコードからどうしてこの様な音が?と言うのが最初の感覚、そして、沢山のなぜが浮かんできました。Hさん見たくテープファンでないと、この音には行かないかもしれませんが、私も同感でした。

大山さんも加わり、他のレコードを聴きました。事前に聞くレコードを超音波装置でしっかり洗っておくことが大事ですが、スクラッチノイズは音楽とは別の次元で鳴りますから、さほど気になりませんが、きれいに洗ったレコードの驚異的な静けさが一番印象的でした。

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この出会いが全ての始まりでした。

どうして、こんなに静かなのか?
どうして内周に行っても音が変わらないのか?
どうしてレコード特有の擦過音がしないのか?
どうしてこんなに安定してレコードがかかるのか?

これは今も不思議です。磁力で動くMM型やMC型とは根本的に違う原理で、光カートリッジは動いているからですね。イコライザーで低域を持ち上げないからという理由と、レンツの法則で磁力線を横切るコイルで発電する方法は、常に磁力の反発を受けていて、音に影響を及ぼしているからです。レコードの外周では90センチもある線速度が、最内周では40センチ以下に落ちます。その情報量の差に加えて、最内周ではリニアトラッキングアームではない普通のアームでは、左右の音のズレがより大きくなり、右と左では時間軸がずれた音を出していたのです。

このことから、光カートリッジだからこそ、リニアトラッキングアームの必要性が増したわけです。

続きます・・・
https://tannoy.exblog.jp/32737018/

53. 2022年8月03日 05:43:21 : MXYrh1B4cI : eHBEVmxQNzlSanc=[2] 報告
2022年 08月 02日
この暑さの中で考えることではないのですが
https://tannoy.exblog.jp/32724343/

光カートリッジとリニアトラッキングアームによるレコードの音がやはりあまりにもいいので、理由を考えてます。音色ではなく、定位と音場、そして圧倒的なS/Nの良さについてです。レコード聴き始めて60年以上。我々の世代は、レコードの発展とともに育ってきました。特に、モノラルレコードからステレオレコードに変わる時もリアルタイムだったので、掛ける思いは深いのです。

ステレオレコードは、1950年代の後半に出てきて、日本に普及し始めたのは、60年代に入ってからでした。団塊の世代である我々は、1959年の春に小学校を卒業して中学生になりました。小学生時代にラジオを作っていたので、そのラジオを二台使ってNHKの立体音楽堂を聞くのが、日曜日の朝の楽しみでした。確か11時から30分の放送でした。左チャンネルを第一放送、右チャンネルを第二放送に合わせます。すると、普通のラジオで聴くのとは、全くちがう目眩く世界が開けたのです。

動物には耳と目が二個ずつ付いているのには理由があります。それは左右の耳や目に届くほんの少しの差を捕らえて、音源との距離をはかり、身を守る本能なのですね。二つの耳や目が音が聞こえる方向と距離を推察することができるからです。その情報を脳の中で合成して、立体感のある世界を再構築するのです。それが、人間ばかりか動物に本能の道具として備わっているのでしょう。目は、見えているものがなんであるかを記憶にあるデータと比較して判断します。

音はもっと本能的なもので、姿勢や方向の制御の三半規管と相まり自分が周りの中のどの空間にいるのかを常に判断しています。コンサートホールの二秒間前後の残響音が気持ち良く感じるのも、洞穴に守られていた祖先たちの記憶があるからでしょうか?目は左右の目に届くほんの少し画角の差で、耳は左右の耳に届く音の位相差と時間差だけで左右だけではなく、前後も高さも三次元の空間情報を掴むのです。

ステレオの音を最初に聞いたのは、その立体音楽堂でした。ステレオレコードはまだ普及していなく、その頃の主流のクリスタルカートリッジでは、ラジオで聴く立体感はまだ出ていませんでした。その頃の高級オーディオは、クロストークも内周歪みもない、2CHのテープ再生でした。60年代前半のオーディオ雑誌を見ると、高級な商品は、テープレコーダーでした。秋葉原や銀座の輸入レコード店には、レコードより高級なテープ類が飾られていました。

そういうテープの立体感を知っている身にとっては、レコードのカートリッジのいろいろな問題点はよくわかりました。まず、セパレーションが悪かったです。それは右や左に分かれるのではなく、クロストークが悪いということは、左右の音が混ざってしまい、微妙な信号であるコンサートホールの残響感が聞こえてきません。カートリッジのトレーシング性能にも起因しますが、数々の問題がありました。

レコードは、溝を刻むのには、カッティングマシーンで水平に移動して中心に向かって刻まれていきます。しかし、通常のアームは支点が一つで、そこを中心に回転しているので、その動く軌道は円弧を描くことになります。左右の溝に均等で刻んである音のはずの音が左右均等にはトレーシングしなくなります。

そのために影響を少なくすため、カートリッジのヘッドの部分を、Jの字に曲げて、少しでもその影響を少なくしていました。すると、ターンテーブルが回ると、針先は外側前方に引っ張られるので、アーム自身には反対の内向きの力がかかり、針は内側に引っ張られいわゆる、インサイドフォースがかかります。それを打ち消すために、アーム自身を外側に引っ張ると、アームとカートリッジのカンチレバーの根本に力がかかり、針が曲がったりしていました。それを抜本的に解決するには、常に針がセンターに向かって直角を保つリニアトラッキングのアームが必要でした。


https://tannoy.exblog.jp/iv/detail/?s=32724343&i=202207%2F29%2F99%2Ff0108399_23585985.png


加えて、針先の形状からも左右の音の差が生まれています。モノラル用に作られた丸針では最大45度づつ90度位相がずれています。「Grand Master」はカッティング針の形状に一番近いマイクロリッジ針を使用していますし、普及品でもある「003」もラインコンタクト針を使用しています。これらは一般的な楕円針よりも左右の音のズレが少なくなっています。

一般的なトーンアームは、スイングアーム方式と呼ばれ、トーンアームの根本が固定されてそこを中心に回転します。当然、針先は円弧を描き、レコードの中程の一点以外は、右と左では当たるところがずれています。リニア(直線)で移動するカッター針とは左右の音がズレるだけではなく、歪みながらトレーシングするのですから、歪みも多く発生しているのです。

それが一番大きく感じるのが、レコードの最内周です。LPレコードの回転数は、毎分33⅓回転です。外周部は直径30センチ近くありますが、内周部は12センチぐらいの大きさになります。速度差は2.4倍にもなります。外周部では毎秒50センチあるカートリッジの線速度が、最内周では20センチまで減少します。それだけ情報量が少ないので、音質の劣化が起こります。

加えてMC型やMM型の磁力を横切ってコイルが発電する電磁式の速度比例型の発電では、低域の信号は、高域の信号に比べて針先があまり動きませんから、電磁力による発電も小さくなり、加えて磁力の反発を受ける「レンツの法則」により、イコライザーでの補正が大きくなります。その点振幅比例式の発電である光カートリッジの信号は、イコライザーでの調整量は少なく、ターンテーブルやレコード盤との摩擦に起因する最低域の雑音も、低域を持ち上げず、逆にカットする光カートリッジの特徴が活きて、SNが飛躍的に改善されて、レコード固有の雑音が発生しないのです。

初めて光カートリッジの音を聞いた時の最大の驚きは、静かだと言うことでした。

そして、三次元ホログラフィックの音の再現を目指していた私にとっての驚きは、左右の位相が揃って再生されることによる、位相のズレがなく、録音された細かな残響成分などの音場情報がそのまま再現されて、奥行きのある立体音がレコードから出てきたことにあります。

いつもテスト版として使う、森進一の実況録音盤はその辺りの情報が入って会場の拍手や歓声、ステージ状の弦楽器などの配置、歌手の定位、そしてベースの奥行きなどが、4〜5層に奥行き感を持って聴こえるのです。

もちろん、クラシックのオーケストラの奥行き感やリートなども、歌手とピアノの散在感がしっかりと再現されるのです。面白いです。三次元の音が出る装置の完成直後に、光カートリッジにであえた偶然にも感謝しなければなりません。順番が逆なら気づかなかったでしょう。

この暑さの中で考えることではないのですが_f0108399_18181620.jpg

この原稿を書いていたら、昨日からスイスのツェルマットに行っているのびーさんから素晴らしいマッターホルンの写真が送られてきました。ヨーロッパもようやく観光が動き出した様です。我々が行けるのは何時ごろになるのでしょう?ヨーロッパ便は、南回りです。ソウルから北京、中国を横切り、カザフキスタン上空からカスピ海から黒海の南側を横切る、全日空と同じルートです。黒海上空は怖いですね。
https://tannoy.exblog.jp/32724343/

54. 中川隆[-12864] koaQ7Jey 2022年11月18日 06:11:39 : sg8QeKT2us : WS5QRFI0UDM1Tk0=[1] 報告
2022年11月15日火曜日
アナログレコードは音が良いのか(1/3)
https://sandalaudio.blogspot.com/2020/04/1.html

今回はいつものヘッドホンではなく、アナログレコードについての話です。

一過性だと思った世界的なアナログレコードブームがなかなか終わる気配を見せないので、今回はなぜ「レコード盤は音が良い」と言われているのか、レコードコレクターは一体何を求めているのかなどについて、ちょっと考えてみようと思います。


話を三回に分けて、(1)レコード盤自体による理由、(2)レコードプレーヤーによる音の違い、(3)ビンテージ・オリジナル盤がなぜ音が良いと言われるのか、といった感じにまとめてみます。

アナログレコード
今回はレコードの音質についての話をレコードを聴いたことがない初心者向けに書いてみようと思います。よくネットでもこの手の話を目にする事がありますが、どうも「レコードの方が音が良い」という前提ありきでノスタルジーや感情論で熱弁するイメージがあるので、別の視点から考えてみようと思いました。

私自身はヘッドホンやオーディオ機器よりもむしろレコード盤収集がメインの趣味で、オーディオはその音を聴くための道具という考えで、これまで長らく楽しんできました。

最近はサブスクリプションストリーミングの登場で価値観が崩壊していますが、昔であれば、音楽ファンの出費といえば、CDやレコードなどのソフトに8割、プレーヤーやスピーカーなどのハードに2割といった考えが定説だったように思います。手元に1万円あれば、8千円はレコードやCDを買うのに使うという意味です。

もちろん具体的な根拠のある数字ではなく、ようするに色々な音楽を聴かずに機器だけ高額なものを揃えて自己満足に浸るようではダメだという揶揄です。それの真偽はさておき、昔は確かにレコードやCDへの出費が多く、アンプやスピーカーにあれこれ手が回るほどの余裕はありませんでした。今の人はその出費が浮いた分だけ、より高価なオーディオを買い揃えているようです。実際に新譜を聴くよりも高級オーディオケーブルの音を聴き比べる人の方が増えているような気がします。

まず今回の前提として、ここでの「レコード盤」とは一般的にみんなが想像する「12インチ33回転LP(ロングプレイ)ビニール盤」の話に限定します。蓄音機の78回転盤や、ジュークボックスの45回転ドーナツ盤シングルなども良いですが、初心者が最初にそこから手を出すのは極めて稀でしょう。


45回転シングル盤については触れません

蓄音機はよく似ているので混同している人が多いです
とくに戦前から普及していた蓄音機の78回転盤(日本ではSP盤と呼ばれているもの)は外観やサイズがLP盤と似ているので素人には混同されがちですが、回転数のみならず針のサイズも全くの別物で、互換性はありません。私も友人から「実家に古いレコードが沢山あるから、価値を調べてくれないか」と言われて見に行ったら、それらが全部78回転盤で、いまさら「専門外です」とは言えず四苦八苦するなんて事が何度かありました。

また、レコードを使った事がない人が「オシャレなレコードプレーヤー」を想像すると、上の写真にあるような戦前の革張りスーツケースの手巻き蓄音機だったりするので、ファッション家電の安価プレーヤーでそういうデザインを真似ているのを見ると、私みたいなレコードファンとしては混乱します。(例えるなら、未来人が自動車を作ろうとして、馬車のようなデザインにしているみたいな感じです)。

今回はあくまでレコード盤を聴いたことがない初心者向けなので、マニアが読んでも退屈かイライラするだろう事を事前に謝っておきます。

現在のアナログレコードブーム
よくニュースで「2021年はついにアナログレコード盤の売り上げがCDを超えた」なんて話題になりましたが、それはアメリカでの話なので、これを読んでいる日本人にはピンとこないかもしれません。

実際、欧米の家電量販店に行くと、それまでCDが置いてあったコーナーが撤去され、その代わりに懐かしの名盤や新譜のアナログレコードがずらりと陳列されている、日本ではあまり見ない光景があります。


家電店でCDがあったスペースがレコードに

アイロンやシェーバーと同列にレコードプレーヤー
昨今はコロナのせいで統計がめちゃくちゃになってしまったので、それ以前のアメリカの2018年統計を見ると、楽曲市場の91%がストリーミングで、残りの9%をダウンロードと物理メディアで半分づつ分けており、さらにその物理メディアの半分がCD、半分がアナログレコード、という状況でした。つまり業界全体で見れば2%程度の話なのですが、それだけアナログレコードが売れているというのはむしろ驚くべき事です。

さらに、Forbesの記事によると、2017年は中古と新品アナログレコードの売り上げがほぼ均衡しており、市場規模は2018年のデータでもまだ上昇を続けており、衰える気配を見せていません。Nielsenの試算によると、米国での販売枚数は2017年で1430万枚、2018年は1680万枚だそうです。トップはビートルズの32万枚、そしてピンク・フロイド、デビッド・ボウイと続いているので、ここから推測すると、新譜よりも往年の名盤復刻がブームの起爆剤になったようで、年配の方のノスタルジーと若者のヒップスター文化の両方にヒットしている事が想像できます。2022年もコロナで生産や消費が落ち込んでいますが、レコードのブームは続いており売上も好調なようです。

日本でもアイドルグループやアニメなどを通じての音楽ファンが多いので、デザインやコレクター価値で有利なアナログレコードがもっと流行るかと思っているのですが、2022年現在ではまだその気配はありません。

私個人の意見としては、日本と海外では違いがいくつか挙げられます。

まず、日本は1980年代のコンパクトディスク導入後も中古アナログレコードの売買が好調を維持していた、世界で唯一と言ってもいい稀有な国です。日本を訪れる外国人レコードマニアはディスクユニオンなどの膨大な店舗数とレア盤在庫に驚愕して狂喜乱舞しますし、日本のバイヤーが海外に出向いて大量の中古レコードを大人買いしていく(そして日本で高額で売る)というのも有名な話です。

私も以前米国の田舎町の中古レコード店に行ったところ、「おまえは日本人か?」と聞かれ、そうだと答えたら、「こないだ日本人のバイヤーが来て良さげな在庫を全部持っていったから、おまえに売るものが無い」「地元の常連が怒ってる」「日本人ならなんとかしてくれ」と怒られた事がありました。

つまり日本では「マニアのレコード収集」という趣味がデジタルの到来後も途絶えなかったせいで、2000年代になってもアナログレコード店というと若者や初心者が関わりたくない「マニアのオジサンがたむろする居心地が悪いショップ」というイメージが強いです。一見さんお断りで、下手なことを口にしたら常連から冷笑されるような雰囲気は現在でも続いています。


コロナ前の海外の盛況な中古レコードフェア
レコード盤という物自体の捉え方も、日本と欧米では大きく違います。日本は家屋が狭くハイテク化が進んでいるため、未だにリビングにレコードコレクションを陳列しているような家庭は稀です。レコードはあくまでマニアのプライベートな趣味として、切手やトレーディングカードを集めるようなもので、家族の生活の中に居場所はありません。

一方アメリカなどでは「両親のレコードコレクション」という概念がまだ存続している事が多く、若者の音楽趣味においても断絶が無く「親子二世代で同じ音楽を聴く」といったケースや、子供が大人になってからリバイバルで再来するというケースが多いです。

そのおかげで、アナログレコードブームは「成人した子供と、現役を引退した親」という二世代をつなぐライフスタイルとしての市場が活性化しています。親の秘蔵コレクションや、それらが近年放出された中古ジャンク市場という身近で安価なリソースがある上で、さらに新盤の需要が生まれています。私も海外の上司から「娘が誕生日にレコードプレーヤーを欲しがってるんだけど、今はどんなものが売ってるんだ?」と聞かれた事があります。(Rega Planar 1を勧めました)。

さらに日本ではあまり使われない言葉ですが、2010年頃から欧米で「ヒップスター文化」という新たなトレンドが生まれ(日本語だと意識高い系懐古主義といった感じでしょうか、hipsterと画像検索すれば、どんな人達かすぐわかります)、レトロっぽさを手探りで模索する中で、レコードという媒体が見事に当てはまったようです。雑貨セレクトショップやカフェと併合して、ファッショナブルなレコードを片隅で販売するような店が一気に増えました。最近では日本でもオーディオテクニカが似たような人種を引き付けるために「Analog Market」というイベントを開催しており、良い感じになっているようです。

また、年配の音楽ファンも、最近のサブスクリプションストリーミングについていけず暇と金を持て余している時に、「往年の名盤がアナログレコードで復刻!オリジナルジャケット!シリアルナンバー付き限定版BOX!」なんて企画があると、つい手を出してしまいます。レコードプレーヤーなら若かりし頃から使い方を熟知しているため、プレーヤーを再度買い直すモチベーションもあり、当時は買えなかったような高級プレーヤーに手を出します。

そんなレコード人気が一過性のブームで終わらず、過去10年間で着々と広まっているわけですが、その最大の理由は、まず購入したレコードが陳腐化しないこと、そして、その間ずっと少量生産のガレージ産業を維持していたからだと思います。


Music on Vinylレーベルの2021年Record Store Day
レコード盤をプレスできる生産工場は世界に数箇所しかなく、急な増産が難しいため、必然的に単価を高める限定版商法になりがちです。「全世界2000枚限定・シリアルナンバー付き・8000円」として、ネットショップや特定の実店舗に出荷して、国際レコードストアデーなどのタイミングに合わせて一斉に発売するという取り組みです。当日に並んで買わなければ二度と手に入らないかもしれません。(そのへん2020~22年はコロナの影響で大打撃を受けたと思います)。

アーティストのPRやソーシャルメディアとの親和性が高く、ジャケットのビジュアルアート性もあり、美品を収蔵しておきたいというコレクターの心もつかみます。

ようするに昨今の限定スニーカーやロレックス商法と近い部分があります。しかしスニーカーなどの場合は、転売屋の横行と、あまりにも頻繁なリリースによる飽食感、そして杜撰な企画による魅力低下や品質低下により、本来のマニアは興味が薄れてしまい、今では転売屋と富裕層の餌になっています。

スニーカーや腕時計のように身につけて外出するだけで他人に見せびらかして自慢ができるものとは違い、レコードを自宅で一時間かけて聴き通すというプライベートな体験型の消費形態は中国などの新富裕層と親和性が悪い事も、転売屋で市場が荒らされない事に貢献していると思います。そのため大量生産による価格破壊は起きていませんし、需要供給のバランスもとれています。

ただし、有名なカッティングやプレス工場の予約は数ヶ月先まで詰まっている状態が続いていますし、プレス工場が30年ぶりに再開したというニュースもあれば、原盤の原材料を作る工場が火事で消失したというニュースもありました。ブームが冷え込むリスクを考えると、大手といえど投資の拡大には慎重なのでしょう。

生産面においては、Mobile Fidelity、Analogue Productions、Speakers Cornerなど、レコードブームが始まるずっと前から高音質アナログレコード盤を細々と出していた老舗レーベルはむしろブームの煽りを受けており、生産工場が大手レーベル売れ筋の新譜で予約が詰まっていて、マイナーなリリースを出したくてもなかなか出せないという問題も起こっています。

2022年以降は、大手が参入することで増産が容易になって陳腐化するか、もしくは希少性が高まり理不尽な高額ブランド商法に走るか、どちらにせよブームというのは自滅の道を辿る可能性が高いので、過去10年の過渡期がレコードブームの一番面白い時代だったのかもしれません。

中古レコード
活発な新譜・復刻版市場とは対象的に、日本で主流だった中古レコード市場はちょっと面白い状態になっています。

以前は500円の「エサ箱」行きだった、どこでも手に入るようなポップスのアルバムが、カジュアルなコレクターからの需要が増したことで手に入りにくくなっています。

特に60-70年代の洋楽ポップスなどは米国のオリジナル盤よりも東芝やキングレコードなどの日本国内盤の方が音が良くコンディションも良いと評判になったり、日本のシティポップが話題になったりVaporwave音楽に再利用されたりなど、海外のバイヤーが日本のクズ盤を大量に買い取って現地で5,000円くらいで売り捌くという逆転現象が起こっています。私の友人で海外のメタルファンの人からも、日本盤「オビ付き」を手に入れてくれと頼まれて郵送した事がありました。

その一方で、10年前は10万円したようなジャズなどのレア盤は現在3-4万円で買える事が多くなってきました。長年コツコツ収蔵していた爺さんがそろそろ手を引く頃合いになり、(不謹慎ですが)遺品コレクション大量放出が日常茶飯事になっており、新規ファンへの世代交代が定着していないという状態です。

オンライン売買が盛んになり、PopsikeなどのeBay履歴サイトで国際的な市場価格の推移や振れ幅が把握できるようになり、ボッタクリが少なくなったのも大きいです。中古レコードフェアでも、財布を開く前に、まずスマホで市場価格をチェックするというのが定着してきましたし、売る側も無知では済まされず、復刻や再販盤を高価なオリジナル盤と称して騙すような事もできなくなってきました。

ただし、誰でもすぐに値段がわかるということは、格安の掘り出し物を偶然「発掘」できる機会も少なくなってしまいました。ようするに、あまりにも「適正価格」が定着してしまうと、ビンテージ市場特有のギャンブル的な魅力が薄れるという事です。


手つかずの廃品処分店でレア盤を延々と探すのが好きです
また、インターネット以前であれば誰も見たことがないレア盤として店舗で高額で売買されていたものも、近年になって復刻レコードやデジタルリマスター版が出たりして価格が暴落することもあります。以前は一握りのエリートコレクターのみしか聴けなかったアルバムも、現在はYoutubeで誰でもワンクリックで試聴できたりします。

面白いパターンとしては、長年謎に包まれていたレア盤がネットで聴けるようになって、音楽の内容が実は大した事がないと判明して、オリジナルレコードの価値も下がってしまう、といったケースもあります。そもそも本当に良い音楽なら、よっぽどの事情でもないかぎり当時増産していたはずで、レア盤にはならないでしょう。

逆にビートルズやツェッペリンなど有名なレコード盤はさぞかしプレミアム価格がついているだろうと勘違いしているのもよくあるパターンです。当時どれだけ多くの人が買っていたか考えると、レアでもなんでもありません。その中でも最初に3,000枚だけプレスした正真正銘のオリジナル盤とかなら高額で取引されますが、渡来のミリオンセラーで初回生産版を偶然持っているというのは宝くじのように稀です。(なぜオリジナル盤がそこまで値打ちが出るかについては次回書きます)。

もちろん、eBayでも過去10年間で一枚しか出ていない、というような正真正銘のレア盤もまだたくさんありますし、10年前に財布の持ち合わせが無くて見送ったアルバムが、それ以来どれだけ探しても見つからない、なんていうのはコレクターなら誰しも経験したことがあると思いますので、そういった気長な楽しみが中古レコードならではの醍醐味です。

なぜアナログレコードの音は良いのか
前置きが長くなりましたが、肝心の「アナログレコード盤は音が良い」と言われる理由について、いくつか基本的なポイントを紹介します。

正確には、CDやハイレゾダウンロードなどと比べて、レコード特有の音質というのはなぜ生まれるのか、という話です。

音の良さというのは感性の領域なので、レコードの方が音が「良い」「悪い」と断言するのは不可能ですけれど、なぜ広く一般的にそう思われるのかという理由について考えてみたいと思います。

ちなみに今回は新譜か中古盤かは問わず、レコード盤全般の話です。


デジタル録音のレコードも多いです
まず前提としてレコードとCDは「アナログかデジタルか」というのと混同されがちですが、実はそう単純な話でもありません。

よく「CDとともにデジタル録音が生まれて、その時点でレコードが衰退した」と勘違いしている人がいますが、デジタル録音が使われはじめたのはCDの登場よりも10年も前の事で、デジタル録音されたレコードは当時からたくさんありましたし、最近のレコードもほとんどがデジタルデータを元に作られています。それでもやはりレコード特有の音というものが確実に存在します。

ダイナミックレンジ
LPレコードのダイナミックレンジは、新品のレコード盤と最新のプレーヤーを駆使しても、1kHzで60dBもあれば優秀といった程度です。ベアリングの摩擦、モーターの電磁ハムノイズや振動などが主なノイズ源です。

初心者はレコード特有のパチパチ音の方が気になると思いますが、そちらはよっぽど酷くないかぎり慣れてくると脳が勝手に無視するようになってきます。ところが上記のハムやホワイトノイズは無視できずに常に気になってしまうのが不思議なものです。音色の根幹に影響を及ぼすノイズかどうかの違いなのでしょう。


クリーニングしていないと音溝にゴミが溜まります
ちなみに大きなパチパチ音は溝にゴミが付着しているからなのですが、もうちょっと小さく長く続くプツプツ、チリチリ音は溝に溜まっている静電気のせいでもあるので、静電気除去用の特殊なブラシや、液体クリーナーを使う事で改善します。

しかしクリーニングのせいでゴミが溶けて溝の奥深くに固まってしまったら逆効果だったり、水洗いが良いと言われても地域の水道水質で結果が大きく変わったりなど、レコード盤のクリーニングというのは奥が深すぎるため、今回はあえて触れない事にします。


音溝の幅と、ビニール素材の表面粗さ
レコード盤の音溝を見ると、最大振幅が76ミクロンくらいで、ビニール材料の一般的な表面粗さ(約30nmの凹凸)をノイズフロアだと仮定すると、おおまかに70dBくらいが理論上限という計算になります(20log(76000/30) = 68)。もちろん「ビニールよりもツルツルした新素材を使えば・・・」なんて曲解もできますが、それでは一般的に普及しているレコード盤を聴くという意図から逸れてしまうので無意味です。

テストディスクの波形を使った測定で、最新の最高級レコードプレーヤーでも、ハムノイズで-60dB、振動ノイズで-70dB得られれば非常に優秀な部類です。-60dBというのは、最大信号を1Vとするとノイズに埋もれずに検知できる最小信号は0.001Vということです。


デジタルの場合
一方CDは16bit、つまり65,536ステップの階段ですから、その最小1ステップがレコードの表面粗さの限界と同じような概念になるわけで、もし最大信号電圧を1Vとするなら、最小信号は1÷65,536で0.000016Vになります。これがいわゆるCDのダイナミックレンジが96dBだと言われる理由です。(20log(1/0.000016) = 96)。ノイズシェーパーなどオーバーサンプリング技術を使えばもっと追い込めます。

60dBと96dBと言われてもピンと来ないかもしれませんが、最大波形1Vに対して表現できる一番細かい波形が0.001Vと0.000016Vと言われれば、確かに大きな差だと実感できると思います。


ハイレゾのクラシックでこれくらいです
では実際どの程度のダイナミックレンジであれば必要十分なのかという話になるのですが、最近のデジタル楽曲のダイナミックレンジをいくつか確認してみたところ、曲の初めと終わりの無音時を除く実効ダイナミックレンジでは、ハイレゾクラシックで55dB、アナログ録音のハイレゾリマスターで45dBくらいが多いようです。実際これ以上広くしても、曲中の再小音と最大音の音量差がありすぎて聴きづらくなります。CDの96dBはそれらを余すことなく記録する容器として十分なわけですが、アナログレコードの60dBでもそこそこ不満が無いレベルだということがわかります。

つまり、レコード再生に由来するノイズフロアよりも、録音されている最小信号(つまりノイズフロア)の方が大きい場合が多いため、必ずしもレコードはダイナミックレンジで劣るとは言い切れません。

しかし勘が良い人なら気がついたと思いますが、これは理想的なテストディスクを使って、1kHzテスト波形で測った時のスペックであって、大量生産のレコードにおける20Hz〜20kHzの可聴帯域全体での数字ではありません。ここでCDとレコードで大きな差が生まれます。

レコードの周波数依存性
CDとレコードの一番大きな違いは、レコードには周波数依存の特性や問題がたくさんある、という点です。

CDのデジタル再生では、記録できる最高周波数までフラットに再生されることが当然となっていて、安価なCDプレーヤーであっても20Hz〜20kHzまで±0.1dB程度の誤差に収まっています。

一方、レコードの場合は様々な要因で周波数帯ごとの鳴り方が一定ではありません。


針先のみでなくアーム全体が共振します
まず中~低音側の特性は主にレコードプレーヤーの性能に大きく左右されます。特に影響を与えるのがトーンアームの機械的共振です。針が溝の波形を拾うのと同時に、それを支えているアームも僅かに振動してしまうので(釣り竿の先に鉛筆を付けて字を書いているようなものです)、ほとんどの場合400Hz以下くらいからアーム共振が目立ってきて、最新のプレーヤーであっても100Hzくらいでは入力波形に対して-20dB以上の振動が50ms(ミリ秒)以上続く事が多いです。

つまり単純に低音にノイズが乗るとか、イコライザーのように低音の音量が増えるという事ではなく、低音がアームを震わせる事で、必要以上に響きが長引くという現象です。録音されているシンプルな低音波形が共振によって複雑な倍音成分が足されて、本来の音色よりも複雑で厚く豊かに鳴り響き、極端に言えば太鼓の胴体やコンサートホールの音響と似たような効果が発生しています。つまり優れたアームを設計するとなると、振動を最小限に抑えるのはもちろんのこと、さらに、その振動が音楽に良い相乗効果をもたらす事が求められます。

さらにレコードプレーヤー(特にアーム)はスピーカーから流れてくる音波でも共振するので、大音量で聴く場合には設置位置にも気をつけなければいけません。左右スピーカーの間とか、同じキャビネット上にプレーヤーとブックシェルフスピーカーを置いたりすると、とんでもなく共振します。「音楽は体を震わせるくらい大音量じゃないとダメだ」なんていう人は、レコードプレーヤーも同じくらいの音波振動を浴びているわけです。


ディスクの偏芯
100Hz以下の超低音になると、今度はレコード盤そのもの製造誤差による撓みや偏芯によるアームの上下左右の揺らぎが影響してきます。レコード盤の中心の穴がちょっとでもズレていたり、完全に平らでなく反っていたら、一回転ごとに溝が揺れてしまいますので、それが音溝と同じように針を動かし、アンプやスピーカーに低音の揺らぎが発生します。レコードの曲間の無音部分を再生している時にスピーカーを見ると、盤の回転に合わせてウーファーコーンが前後に動いているのが見える事もあります。

多くのフォノアンプでは、ランブルフィルターやサブソニックフィルターといった名前の回路で低音をカットしています。RIAAイコライザー規格も1976年改定で100Hz以下をロールオフするように指示しています(採用しているかどうかはメーカー次第です)。

フィルター定数もおよそ40~60Hzくらいとメーカーごとにバラバラですし、スイッチで任意に切り替えられるものもあります。また、単純にカットするのではなく、DCサーボ回路を使ったり、左右のチャンネルの差分を合成する、いわゆるノイズキャンセリングみたいな原理で低周波の揺らぎを消す設計のフォノアンプもあるので、ほとんどのメーカーが低音の揺らぎを問題視していることがわかります。

良心的なフォノアンプメーカーであれば、どのようなフィルターを使っているのか明記してくれていますが、逆にフィルターを通さない方が「ピュア」だと信じているメーカーもあります。ディスクの反りや偏芯による製造上の揺らぎも含めて「ピュア」と呼べるのかという疑問はありますが、そういうフォノアンプだと、完璧なテストディスクを再生する分には優秀な結果が出せても、実際の中古盤などでは低音が乱れて気持ち悪い音になってしまいがちです。

ようするにレコードの低音はフラットではなく、盤質やプレーヤーの性能やデザインによって鳴り方の豊かさの印象が大きく変わるということです。

高音の特徴
次に高音側を見ると、今度はプレーヤーではなく針(カートリッジ)の特性が大きく影響を与えます。(詳細な理由は次回紹介します)。

よくレコードはCDと違って高音の上限が無いから「ハイレゾ並」に音が良いなんて話を聞きますが、現実はそう甘くありません。

デジタルのような明確に定義された上限はありませんし、実際に波形をオシロスコープで見れば高周波もたくさん出ていますが、それがマスターテープに入っていた原音かというと、ちょっと違います。


ステレオ針はこういう歪み傾向が多いです
最新設計の高級レコード針カートリッジでも、測定スペックを見ると2kHzくらいから歪み率がどんどん上昇していき、10kHz付近では10%以上歪んでいるのが一般的です。これは針が物理的に溝に追従するのが困難になってくることと、溝と針先の接触点に誤差が生じるという二つの物理的な限界によるものです。さらに50kHzでも70kHzでも音は鳴っており、完全に無音になるという事はありませんが、ほとんどが音楽とは無関係のノイズになっています。

しかし、こういったノイズや歪みでも、音楽との相乗効果やステレオ空気感の演出、そしてホワイトノイズや森林のざわめきのように無意識に「心地よい」効果をもたらす事もあり、心理的な効果はあるっぽいのが面白いところです。

RIAAフォノイコライザー
アナログレコード再生においてフォノイコライザーの存在は無視できませんが、そのカーブはRIAA(アメリカレコード協会)によって指定されており、市販されているフォノイコライザーはRIAA規格に対して誤差が1%以下というのが一般的です。(カートリッジとの相性とは別の話です)。

1954年RIAA統一以前のNABやFFRRカーブについては初心者向けではないので今回は無視します。


パッシブなRIAA EQカーブ
単純なパッシブのアナログ回路で作ったRIAAカーブは最大で-20dB・-6dB/octフィルターの組み合わせなので、30度程度の緩やかな位相シフトが発生します。

カッティング時に使ったRIAAイコライザーと全く同じフィルター定数で再生時に逆EQすれば本来の音に復元できるかもしれませんが、同じ機材でも持っていない限りピッタリ同じように補正することは不可能なので、それらの組み合わせの微妙な違いによって周波数や位相に捻じれが生じて、空間の音場展開などのプレゼンテーションが変ってしまうのがレコードの面白いところです。

また、高度なアクティブ回路やデジタル処理などで位相ズレが発生しないイコライザーを導入したとしても、そもそもカッティング時のイコライザーにそれをと同じものを使っていなければ意味がありません。もちろんそういった風変わりなイコライザーを通した音が好きだというのは結構ですが、それをもって原音忠実だと主張するのはおかしいです。

余談になりますが、なぜフォノイコライザーが必要なのかについてちょっと触れておきます。

RIAA規格のフォノイコライザーカーブを見ると、カッティング時には1kHzを起点に低音の振幅を下げて高音を持ち上げており、再生時には逆に低音を上げて高音を下げるという仕組みになっています。


カッティング時に低音の振幅を減らす
カートリッジの出力電圧は振幅ではなく針先が動く速度(上の図では紫の破線の傾斜)に比例するため、高音と低音で同じ音量(つまりフラットな周波数特性)を出すためには、上の図のように、低音の振幅をかなり大きくしなければなりません。

そこでカッティング時に事前にイコライザーで低音の振幅を狭くすることで、針が追従できず溝から飛び出してしまう事を防ぎ、さらに溝間隔も詰めることができるので、一枚に収録できる時間も長くできます。

また、高音はカッティング時のRIAA EQで振幅を大きくしているため、再生時には逆にイコライザーで音量を下げる事になるわけで、盤上の静電気やチリによるパチパチノイズが減るというメリットもありますし(ドルビーNRと似ています)、高周波の再現性が悪いカートリッジでも違和感が少なくなります。

このような様々なメリットのおかげで必須の規格となったRIAAフォノイコライザーですが、ほとんどの場合はフォノアンプに内蔵されている機能の一部になっているため、通常はあまり深く考える必要はありません。

マニアは色々と試行錯誤しますが、結局のところカッティング時にどのようなイコライザーが使われていて、それをどうやって正しく復元するのかという答えは一つではありません。肝心なのは、どれを選んだとしても音が変わる要因になるという事です。

直線速度と高域
レコードとCDの違いは、アナログかデジタルかというだけではなく、レコード盤は外周から、CDは内周から再生が始まり、さらにレコード盤は一定の「回転速度」で回っているのに対して、CDは一定の「直線速度」で回っています。


レコードとCDの違い
CDは一秒間に読み出すデータ列の長さが一定(約1.3m/s)になるように、データを読み出すレートが速すぎればモーターの回転数を落として、遅すぎれば回転数を上げるというサーボ制御が自動的に行われており、常に一秒間に1.3mの長さのデータ列を読んでいます。最初は内周なので回転数が速く(~500rpm)、外周に向かうにつれて回転数が遅くなります(~200rpm)。

一方、LPアナログレコードは33.3rpmの定回転で、直径は最外周が約290mm、最内周が約120mmですので、直線速度としては最初は500mm/sで終盤は200mm/s程度です。

つまり内周に進むほど一回転で針が進む直線距離が短くなるため、高域(細かい波形)の再現性が悪化していきます。デジタルでいうところのサンプルレートが低くなるのと似ています。


無際限に高周波までカッティングできるわけではありません
レコード盤の音溝は熱せられた三角形のナイフのようなカッター針で柔らかいラッカー(アセテート)に刻んでいます。単純に45°の三角形を想定すると(実際はもっと複雑ですが)、カッティングの左右振幅がラッカー盤の進行速度を超えてしまうと、彫ったばかりの溝にカッター針の後方が衝突して歪んでしまいます。(後年は30°のカッター針も使われました)。

一般的な再生針が追従できる38ミクロンの最大振幅まで振れるのは、最外周500mm/sでは2kHz、内周200mm/sでは800Hzくらいが上限のようです。これはレコードの高音上限が2kHzだという意味ではなく、最高音まで最大振幅つまり高いダイナミックレンジを維持するレコードを作るのは難しいという話です。

そもそも、あまりにも高速で振幅させるとカッティングヘッドを動かしているコイルやアンプを焼き切ってしまうため(実際それが故障の大きな要因だったようです)、一般的には左右200mm/sくらいに上限を定めていたようです。

ここで33回転ではなく、半分の16.7回転でカッティングすれば、振幅の周波数も半分で済む(たとえば2kHz波形をカッティングするのに1kHzで済む)ので、ヘッドの故障や高域の歪を回避できます。そうやってマスターテープからカッティングマシンまで全て半分の速度で作業を行うのがハーフスピードマスタリング(カッティング)と言われる手法です。

まだカッティングマシンの性能が低かった頃は多くのレーベルがハーフスピードでカッティングしていましたが、二倍の手間と時間がかかるため、カッティング機器のノウハウと性能が向上するとともに等速で行うようになりました。ところが近年の高音質復刻レーベルではハーフスピードでカッティングしているレーベルが増えてきて、あらためて高級盤の証みたいになっているのが面白いです。


丸い針だと高周波の溝に入り込めません
このように苦労して刻んだ高音の波形は、再生する側でも問題が山積みです。イラストで見るとわかりやすいと思いますが、どれだけ細かい高音波形を刻んだとしても、溝幅にピッタリ収まるような丸針(円錐形)では溝に入り込む事ができません。逆に、あまりにも細い針では溝の底を突いてしまいます。

そのため妥協案として一般的に楕円形の針が使われるようになり、高価な針ほど細い楕円になります。カッティング針のような直線であるのが理想なのかもしれませんが、それでは音溝を摩耗してしまいますし、針自体も欠けやすくなり実用的ではありません。


丸針と高周波
かなり誇張したイラストになりますが、丸針だと溝に入り込めなければ上に押し出されるしかないため、本来は左右の動きしかないはずのモノラル音溝でも針先に上下の動きが発生します。ステレオ溝ならなお複雑です。ステレオ針の場合、そのような針の上下の動きはL-R、つまり逆位相のステレオ効果を生み出します。

ここで肝心なのは、レコードは内側に進むにつれて円周の直線距離が短くなるため、これらの高音の細かい溝の問題は、内径に向かうにつれどんどん悪化するという点です。つまりレコードの最初の曲の方が高音の量や波形が正確だという事になります。対処法としては、できるだけ内径付近まで溝を彫らない事です。

音溝の振幅と間隔
音溝の振幅が大きいほどバックグラウンドノイズに対する音楽信号の大きさ(つまりS/N)が大きくなり、音質が良くなりますが、振幅を小さくして溝間隔を詰めた方が収録時間は長くなります。

たとえばベスト盤などで収録時間を長くしたい場合、溝間隔を詰めるために一律コンプレッサーをかけて大振幅の箇所を圧縮する、全体的に音量を下げる、内径ギリギリまで使う、といった手法が使われるため、同じ曲でもアルバムやシングルと比べるとベスト盤は音が悪い、という事がよくあります。

作品ごとに振幅や溝間隔が異なると音量がバラバラになってしまいますし、振幅が大きすぎると針が追従できずに飛び出してしまうかもしれません。そのため50年代後半には最大振幅は76ミクロン以下に抑えろと標準化されましたが、このへんの判断はレーベル独自のノウハウやカッティングエンジニアの勘と経験に頼って、そこそこの幅があったようです。70年代になるとカッティングがほぼ自動化されるようになり、どのレーベルも同じような感じに落ち着きました。

先程も見たように、内周に向かうにつれ高域特性が悪くなるので、できるだけ振幅を少なくして溝間隔を詰めて外周付近だけを使う方が良いのか、それとも大振幅で溝間隔に余裕を持たせて内周まで目一杯使う方が良いのか、双方に利点があります。


音溝同士はかなり隣接しています
あまり溝間隔を詰めすぎると、カッティングやプレス時に隣接した溝同士が歪んでしまうなどのトラブルも発生します。

手動カッティングマシンなら溝間隔はリアルタイムに調整できるので、腕の良いプロデューサーとエンジニアであれば、シングルヒット狙いの一曲目では振幅と溝間隔に十分な余裕をもたせて迫力のある高音質を目指し、二曲目の静かなバラード曲では溝間隔を詰めて、片面の終わりの方にはアンビエントな捨て曲で埋めて、といった手法を駆使してアルバムを構成していました。

そういった事情も含めて、レコードのA面、B面という、アルバム一枚を通しての曲順やストーリーを組み立ててプロデュースされたレコード盤というのは、ストリーミングなどでシングル曲をプレイリスト化したものとは違い、「フォーマットの制限によって生まれた芸術的価値がある」と考える人も多いです。

レコード製造も後年になると、テープから送られてくる信号をカッティングマシンが先読みして、大音量が来るなら溝間隔を広めて、小音量なら詰める、というようなリアルタイム自動制御が使われるようになりましたが、それでも「どれくらい余裕を持たせるのか」は人間による判断なので、かなり無理矢理詰め込んだような作品も多いです。

また、LPレコード盤と同じ大きさなのに45回転で片面に1〜2曲ほどしか入っていないシングル盤というのもあり、余白が多いためずいぶん無駄だなと思うかもしれませんが、上記の理由から音質最優先を目指すならこれが最適解になるわけで、特にポップスのファンにとっては集めがいのあるアイテムです。ハウスなどクラブ系はそもそも片面一曲のフォーマットが大半で、アルバムという概念は極めて稀です。

ステレオ盤特有の事情
私のようなジャズ・クラシックコレクターでもないかぎり、ほとんどの人はステレオ盤を聴いていると思います。(モノラル盤が重宝される理由については次回書きます)。

レコードのステレオ再生というのは「当時よくこんな凄いアイデアを思いついたな」と関心するくらい画期的な発明です。


ステレオ溝

左は低周波で右は高周波だと、こんな溝になります
モノラルでは左右に振れるだけだった音溝を、左チャンネルと右チャンネルの波形をそれぞれ45度の角度で同じ溝に同時に刻むという仕組みなので、再生時にも、ステレオ針ならステレオで聴けて、モノラル針なら左右が合成された波形としてモノラルで聴けるというアイデアが凄いです。


モノラルの音溝

ステレオの音溝
このアイデアが考案されるまでは、例えば溝の横方向は左で縦方向は右チャンネルにするとか、二つの溝を二つの針で並行して再生するなどの様々なアイデアが提案されましたが、結局現在に至るまで45度V字方式が定着しています。

モノラル時代のカッティングやプレス設備がほぼそのまま転用できて、左右チャンネルのタイミングがピッタリ同期することが保証され、しかもモノラルプレーヤーとの後方互換性があるというのは、今では当然のように思えていても、実際はかなり凄い事です。

ただし、ステレオレコードは完璧ではありません。まずステレオカートリッジの周波数特性は針と溝の物理的な限界で、3kHzくらいから上は溝の上下方向よりも左右方向の感度が高い事が多く、10kHzにもなると上下よりも左右の動きの出力が+3dB以上高くなるのが一般的です。良心的なメーカーならスペックのグラフを記載しているかもしれませんし、各雑誌で最新カートリッジの測定結果を見ると、どれも同じように高音域で上下と左右の出力差と歪みが上昇していくのがわかります。

ステレオレコードで左右の信号が同じであれば(つまりモノラルであれば)針は横方向に動き、左右の音の違い(つまりステレオ効果)は針の上下方向の動きになります。

つまり、高音に向かうにつれて左右信号が強くなるということはセンター音像が強調され、しかも歪み率がどんどん上昇していくため、カートリッジの特性によって高音のステレオイメージや臨場感みたいなものの描き方がだいぶ変わってくる事になります。

この歪みというのも、デジタル的な不快な音割れではなく、針が正確に溝を追従しない、という現象なので、アタックが丸くなるとか、本来存在しない倍音が加わるなどの心地よい歪みである事が多いです。優れたカートリッジはこういった歪み方の心地よさも考慮して設計しています。

例えるなら、自動車を運転する際に、車線の中央をピッタリ維持するのではなく、連続するカーブに合わせて車が中央から若干外れるような感じです。正確なトレースとはいえませんが、その方が自然に感じるかもしれません。

冒頭の話に戻ると、アナログレコードはCDと違って高音の上限が無いから「ハイレゾ並」に音が良い、といった逸話が生まれる理由も、正確ではないものの、そういう風に聴こえるのも理解できるかと思います。


左右の位相が揃っていないと
ステレオレコードでは低音にも特殊な処理が行われます。左右で異なる低音が鳴ると(つまり左右の波形の位相が揃っていないと)、L-R成分で針が激しく上下に動かされるため、ジャンプ台のように針が溝から飛び出したり底を突いてしまいます。それを防ぐために100Hz以下の低音信号はモノラルに変換してからレコードをカッティングするのが一般的になっています。そうすることで、針は左右にのみ動くので上下に弾かれる心配がありません。

一部のマニア向け高音質盤やテストディスクを例外として、ロックバンドのキックドラムやオーケストラのティンパニなど、マスターテープではステレオの左右に振り分けてあった低音でも、レコードでは全部センター寄りの配置にまとめられています。これも「レコードで聴く低音は力強い、フォーカスしている」と感じられる理由の一つです。


超高級カートリッジでも
さらにステレオ盤にはもっと大きな問題があります。一つの溝に左右の波形を彫っているため針の動きに少なからず干渉が起きてしまい、いわゆるステレオセパレーションが悪く、チャンネルクロストークが大量に発生します。

これはカートリッジの性能でほぼ決まるのですが、ほとんどの場合、高域に向かうほどクロストークの量が増えます。たとえばOrtofon MC Annaなど最新の高級針であっても、セパレーションは1kHzで25dB、15kHzで22dBといった感じです。これでも良いほうで、もっと一般的なカートリッジでは15kHzで15dB程度しかない物も多いです。

-20dBは電圧でいうと1Vの波形は反対側のチャンネルに0.1Vくらい混じってしまうという事です。これは無視できる量ではなく、実際に聴こえます。しかも一定量ではなく周波数に依存しますし、カートリッジの設計によっても傾向が変わります。

CDでは左右チャンネルのデータは別々なので、原理的に干渉が起こりません。そこそこ安いCDプレーヤーでもチャンネルセパレーションは-90dBくらい(1Vに対して0.000032V)なので、レコードと違って最低音も最高音も完全に左だけ・右だけの音というのが実現できます。

アナログレコードはクロストークが多いため、よりセンター付近にある音像が太くクッキリと現れ、ステレオ両端にある音はそこまで明確ではなく、ふわっと背景に漂うように聴こえます(左にあるはずの音が、右からも少なからず聴こえるので)。

ではCDのような完全なセパレーションが必要なのかというと、たとえばスピーカーで聴く場合は左右の音が耳に届く前に部屋の中で必然的に交わるので、そこまで大きな問題では無いという考えもあります。しかし優れたスピーカー環境であれば、セパレーションが良いほどアーティストの音像やコンサートホールの音響が正確に浮かび上がる感覚が得られます。演奏者の大きさ、位置、距離といった立体音像はクロストークによる影響が大きいです。特にヘッドホンで聴く場合、エンジニアの腕が悪いとステレオ左右が不自然すぎて違和感がありますが、優れた録音だとものすごい立体音響が体験できます。

レコードのステレオセパレーションが悪い事は当時から周知の事実だったので、レコーディングエンジニアはそれを踏まえて、ミックスの時点で意図的にステレオを極端に左右に振ったりなど、レコードで聴いても効果的にステレオが体感できるように仕上げている事が多いです。

つまり当時のステレオレコードを想定して仕上げられたアルバムのマスターテープをそのままCD化すると、左右の振り分けが極端すぎて耳障りに聴こえてしまいます。腕の良いリマスターエンジニアであれば、CDでも聴きやすいように左右のミックスを再調整してくれています。


レコードでステレオ効果を強調するための追加マイク
録音エンジニアも、ステレオ録音が始まった頃には色々と試行錯誤があったことが伺えます。一例としては、デッカレーベル初期のステレオ録音は、人間の左右の耳で聴こえている感覚に近づけるように、左右マイクを一点に集めて吊るす方式(いわゆるデッカツリー)を使っており、それで録音したものはスタジオのマスターテープで聴くと非常にリアリズムに溢れていて優秀なのに、完成したレコードで聴くとどうしてもステレオ効果が弱く、広がりが無いと指摘されていました。

そのため数年後にはわざと左右両端に距離を離したマイクを追加してステレオ感を強める手法に移行しています。しかし、これらの作品をCDで聴いてみると、初期の録音の方が自然で本物のオーケストラの臨場感に近く、後期の作品はワイドすぎて誇張気味に聴こえてしまうという逆転現象が起こってしまいます。

ジャズでも、ステレオ盤では似たような事が起こります。60年代ブルーノートなどのステレオアルバムは、これまでに何度もCDやハイレゾなどでデジタルリマスターされていますが、そのたびにリマスターを手がけたエンジニアが思い描く理想のステレオミックスの感覚が違うため、モダンなレコーディングと同じような雰囲気に仕上げたり、当時のレコードプレーヤーで鳴らした感覚を忠実に再現したりなど、同じアルバムでも全然違う作品のように聴こえてしまいます。

最近ではマスターテープから一切手を加えないハイレゾリマスターなんていうのもあり、アーカイブ的な用途としてはそれで正しいのですが、音楽鑑賞用として最良というわけではないので、やはり優れたリマスターエンジニアが再調整して仕上げたものの方が好ましいです。

ところで、ここまで挙げてきた数多くの問題は、古い録音に限った話ではなく、現在のアーティストがレコード盤を出す場合も同じ課題がつきまといます。

つまり、CDやストリーミング用に仕上げたデジタルマスターをそのままレコードのカッティングに使ってしまうと、ステレオ感や音像の配分が本来意図したものと違ってしまうため、レコード専門のカッティングエンジニアが再調整する必要があり、そういった理由から、デジタル版とレコード版で音楽の印象がガラッと変わってしまうこともよくあります。

レコード後期の高域再生
アナログレコードの高域特性は1970年代に思いがけない事情から一気に向上することになります。

可聴帯域としては相変わらず「15kHz以上は人間の耳に聴こえないから不要だろう」という解釈が主流だったのですが、2チャンネルステレオを超える新たなフォーマットとして4チャンネルサラウンドというアイデアが生まれたことで事態が急転します。

サラウンドというのは映画館のサウンドトラックやオープンリールテープでまず登場して、それらの技術をどうにか家庭用レコードでも体験できないか、という事で生まれました。


大昔からサラウンドを流行らせようという業界の動きはありました
サラウンドフォーマットの一つでJVCとRCAが立案した「CD-4」という方式を例に挙げると、これは15kHz以下は通常のステレオレコードとして聴けるのですが、人間の耳では聴こえない30kHz付近にFM変調の高周波信号を乗せ、それを使ってサウンドを前後に分ける、という仕組みだったので、30kHzの高周波がしっかりと拾えるカートリッジが必要になりました。

ここで肝心なのは、30kHz付近に記録されていたのは実際の音楽ではなく、15kHz以下にある音楽信号をどう振り分けるかという変調信号で、ダイナミックレンジは数dBあれば十分といった程度です。つまりこの話を元に「レコードは高周波まで音楽が記録できる」というのは間違いです。

結局レコードの末期ということもあり、この4チャンネルサラウンドはあまり流行らなかったのですが、それを実現するために生まれた数々の技術のおかげでレコード盤やカートリッジの性能が飛躍的に向上したことは確かです。


当時の4chサラウンドアンプ
ちなみに4チャンネルサラウンドが流行らなかった理由は、スピーカーやアンプを買い足さなければならないという理由もありますが、それよりも、各社でフォーマットが乱立して、それぞれ異なるデコーダーが必要になり、といったよくあるパターンです。

また、初期のサラウンドレコードは技術がまだ未熟で、前後のセパレーションが6dB程度の「なんとなくサラウンドっぽい」ギミック程度でした。最終的に15dB程度にまで改善していったものの、デビュー当初の悪印象のせいで、もはや手遅れでした。(結局SQ方式などいつくかのアイデアは後年ドルビープロロジックサラウンドとして生まれ変わるのですが)。

カートリッジの性能は飛躍的に向上したものの、肝心のレコード盤のビニール素材が30kHzもの高周波を記録する事を想定しておらず、内径に近づくほど高域特性が悪化するため、サラウンド対応盤は外周付近しか使えず再生時間が短くなってしまうこと、さらに高周波用の細かい溝は静電気が発生しやすいため溝がすぐにゴミで埋まってしまうこと(つまり何度も聴いていると、徐々にサラウンド感が悪くなっていく)、安価なプレーヤーや古典的な丸針で再生すると高周波の溝が削れてしまう事など、レコードのサラウンド化は問題が山積みでした。

結局焼け石に水で、流行ってもいないフォーマットにカッティング・プレス・再生まで全て配慮しないといけないのは無駄だということで、4チャンネルサラウンドはニッチな存在のまま終わりました。しかし、このおかげでアナログレコードの末期には高周波の特性に関してかなりの技術進歩が見られました。

たとえば、カッティング時の柔らかいラッカー盤というのは、熱いナイフでバターを削るような感じなので、細かい高周波の溝は冷える前に変形してしまいますし、それをメッキしてマザー・スタンパーと作っていく工程でも細かい溝は劣化します。そのためラッカーではない別の素材(柔らかい銅板など)に超音波振動を駆使して直接カッティングするという手法が生まれました(ダイレクト・メタル・マスター)。


ダイレクトメタルマスターのカッティングは今見ても凄いです
プレス時にも温かいビニールが冷える時に変形して高周波の溝が潰れてしまうので、硬くて縮小しにくい特殊ビニールや、高圧プレス機、低温でも剥離しやすい薬品など、様々な技術が生み出されています。

ただし、このようにレコード末期の続々登場した新技術が最終的に行き着くところは「原音忠実」つまりマスターテープやCDに近い音を目指しているわけなので、今の時代に「アナログレコードらしい」サウンドを求めている人にとっては余計なお世話になってしまいます。

そのため、現在の再販や新譜レコードでは、むしろ60年代に使われたような昔ながらのラッカーカッティングやプレス機を使ったオーソドックスな製造工程が使われ、いわゆるアナログレコード特有の不具合も味わいの一部とするサウンドに回帰しているというのが現状です。

おわりに
今回はアナログレコードがCDなどデジタル再生と比べてなぜ音が良いと言われているのか、いくつか思い浮かんだポイントを適当に挙げてみました。他にも様々な要因があり、細かい点まで追求すればキリがありません。

懐古主義や感情論も良いですが、やはり一番無難な考え方としては、レコードはクロストークや高調波歪みなど、可聴できるレベルで複雑な音響効果が付加されること、そしてそれらはデジタルなノイズや歪みとは違い、機械的な要因によるものなので、声や楽器などの音波振動との親和性があり、我々人間にとって「良い音・良い響き」として認識されやすい、といった点についてはなんとなく理解してもらえたら幸いです。

また、当時のアルバムはマスターテープではなくアナログレコードでの聴こえ方が最終的な評価基準だったので、それを踏まえた音作りになっており、必ずしもマスターテープの音をそのままデジタル化して聴くのが正解ではないという事、そして、近年のアーティストのデジタル録音であっても、あえてアナログレコードで出すことの面白さがある事には納得してもらえたと思います。

次回はレコードプレーヤーについて簡単に触れてみます。

https://sandalaudio.blogspot.com/2020/04/1.html

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