晴耕雨聴 2014年12月09日 アルテックALTEC A4導入記・その1.きっかけ https://91683924.at.webry.info/201412/article_4.html 画像 https://91683924.at.webry.info/upload/detail/013/416/33/N000/000/007/141824947381031737180.jpg.html 写真は先日完成したALTEC A4です。 これから書く内容は全てオーディオです。本当ならHPでも立ち上げて書けばよいのですが、ブログと二本立てはしんどいので・・・ オーディオに興味のない方は読んでも無駄です。興味がある人にも無駄かなwww アナログオーディオがブームのようです。私もLPレコードを楽しんでいますが、正直、今の私のメインソースはSACDとDSD配信の為、メインソースにはなっていません。 ステレオLPはデンオンDN308F(針はDL103R)、モノラルLPはジャイロデックにSME3009SV(針はオルトフォン2M・mono)。フォノイコライザーはマランツPH-1に落ち着いています。 かつてはSPUに凝り、歴代のSPU-Aシリーズ、RF297、RMA309のアーム、オルトフォン、ヨルゲン、パートリッジのトランス類を多数所有していました。 昔使っていたDENON DP100もトーレンスTD520もずいぶん前に整理しましたし、もうSPUに戻ることはないと思い、全てヤフオク代行出品で処分しましたら総額でウン十万円、三桁万円に近い額(購入額より高いくらい!)と結構なお小遣いになりました。 先日のセンタースピーカーの変更計画(TANNOY Monitor Gold2発からクリプッシュ ラ・スカラ国産箱のスタックへ)に伴い、サブスピーカーであるVITAVOX Bitone Majorの高域用にALTEC 804A+511Bを導入したことを書きましたが、ぼんやり聴いていると「やっぱ、ALTECはええなぁ〜」なんて。 うーむ、アナログパーツを売り払ったアブク銭を種銭に、長年心の隅に住んでいたDevaを我が物にとの邪念がムクムクと湧きあがりました。 私とALTECの出会いは37年前。大学1年の春(1977年かな?)、秋葉原の旧ラジオ会館にあったキラムセンに生まれて初めての15インチユニットを買いに行った時にさかのぼります。 当時はユニットも販売していたTANNOYのHPD385AとALTECの604-8Gを聴き比べ、「イイナア、欲しいナア」と思ったのはALTEC。しかし定価がTANNOYの10万円に対し15万円。予算の都合もありTANNOY2本を16万円に負けてもらって買いました。 クラシック一辺倒だった私ですが、大学時代は友人の影響でジャズも聴き始めました。都内のジャズ喫茶にもいくつか通いましたが、今は亡き門前仲町タカノ、McIntosh Mc240(?)でドライブするALTEC 9844は私の聴いたジャズの中でも白眉でした。 大学5年(医学部は6年制)だったでしょうか、後にVITAVOX Bass Binを手に入れるきっかけとなったステレオサウンド54号のザ・ビッグサウンドに紹介された山中敬三氏のBass Bin解説文に、「この超大型システムに匹敵するスピーカーはもうALTECのA4くらい」とありシアタースピーカー最高峰の一方の雄はA4なんだなとの認識はありました。 実はA4に縁が出来そうになったのは今回が初めてではありません。医師になって最初の赴任地である香川県で勤務医をしていた時期に、時々顔を出していた高松のオーディオサミットにA4が入荷、買わないかと持ち掛けられたことがあります。 サミットでは、長くVITAVOX Bass Binの最高域を受け持っていたElectro Voice T350を世話してもらったり、当時自作した211シングルアンプの回路図を引いてもらったりしていました。 多少心は揺れましたが、その頃はSIEMENS Wide Angleを使い始めたばかりで、A4はやり過ぎだと回避しました。 それから長い年月が流れましたが頭の隅にはいつもALTECの音がありました。 数年前同社の604E/Uを、さらに最近804A+511Bを導入、無意識のうちに少しずつ本命に近づいていたのですが・・・ 人生の折り返し地点をとうに過ぎ、そろそろまとめの時期に入るんだなぁと感じる今日この頃、死に際に悔いを残さないよう、種銭のある今、ヤレルことはヤッテしまおうと。 Voice of The Theater・ALTEC A4と私の物語の始まりです。 https://91683924.at.webry.info/201412/article_4.html 晴耕雨聴 2014年12月09日 アルテックALTEC A4導入記・その2.288B+H1505を入手 https://91683924.at.webry.info/201412/article_5.html 最初に我が家にやってきたのはコレです。 画像https://91683924.at.webry.info/upload/detail/013/416/33/N000/000/007/141805222629661100179_1505A.JPG.html ネットサーフィンをしていますと、ヤフオクで288Bに15セルのホーンをつけたペアが目に留まりました。 288Bは日本で人気のあった288-16G(A5の高域用ユニット。故・山中敬三さんが有名にしました)の3代前のモデルで1956年から1963年の間、アルテックの旗艦だった大型ドライバーです。ちょうど私(1958年生まれ)と同世代ですね。 288-16Gよりマグネットは少し小さく、レンジも上の方が伸びていないそうですが、そこは私と同世代、ナカナカ奥ゆかしい音がするとか? ホーンは何でしょう。 ALTECの288シリーズ用ホーンでは日本で一番ポピュラーなのがセクトラルホーンの311-90。これ以外はグッと少なくなりますが、次に名前が挙がるのが10セルマルチセルラの1005B。さらに希少なところで15セルの1505Bでしょう。他に1.4インチスロート用では1003,1503,1803といった03シリーズがありますが、これはシンビオテック振動板エッジの291スコーカー用で288シリーズ用ではないそうです。 ヤフオクの写真を見るとこのホーン、1505Bに似てはいますが、セル同士が胴体部分も隙間なく結合されており、1505Bに塗られているアルテックがアクアプラスと名付けたジョリパットの様なダンプ材がありません。 これは・・・もしかすると・・・1505Bの前身、マボロシの砂入ホーン(セル間に砂を詰めてダンプしている。砂ではなく樹脂だとの説もある)H1505ではないか??? 売りに出している店はいわゆるガラクタ屋さん。古着だのスポーツ用品だの何でも売っていますが、音響機械に関しては素人さんの様です。ヤフオク情報にホーンの名前も書いていないし「音出しをしていないので、鳴るかどうかもわかりません」とサラッと書いてありました。 しかし売る気マンマンのお店らしく、ネットのアチコチにヨタ記事(?)を書き飛ばしています。 「貴重なALTEC288Bがこんなに安く!」 「セレブ御用達で有名、ALTEC288Bがこの値段!」、 「芸能人やスポーツ選手が愛用するALTEC288Bが!」など次々とhit、ヤフオクに誘導するようにリンクが張ってありました。 おそらく定型文に当てはめて流しているだけなのでしょうが、ビル・ゲイツやキムタク、イチローが288Bを使ってるなんて聞いたことないけどなぁ(ハナ肇はALTECのバレンシアを使っていたそうですが)。 さらにこのブツは2週間ほど前にヤフオクで同じ業者の出品で落札されているのですが、出品者都合で落札者を削除し「非常に悪い出品者です」のアラートまで付いています。 よほど見送ろうかと思いましたが、元手はアブク銭、ホーンがH1505なら充分価値はあるし、288Bは壊れていても修理できるかもしれないと清水の舞台から飛び降りるつもりでポチりました。 無事落札、手渡しonlyなので、2014年9月14日、日曜日と敬老の日の連休初日を利用して赤穂からはるばる長野県伊那市の倉庫まで、往復900kmを妻と一緒に受け取りに行きました(私が850km、妻が50km運転)。 お昼頃現地に到着、業者のオジサンは倉庫の横で家族とバーベキューをしていましたが、私たちが行くとバーベキューの手を止めてホーンの車への搬入を手伝ってくれました。 オジサンと一緒に車の後部座席に乗せるとき「これは重い。ドライバーと合わせて一つ40kg以上あるな。ホントに砂入りのH1505かも」と思いましたが、いらぬ事を口走ってオジサンに欲が出て引き取れなくなるとヤバイと思い、挨拶もソコソコに引き上げました。 https://91683924.at.webry.info/201412/article_5.html 晴耕雨聴 2014年12月09日 アルテックALTEC A4導入記・その3.さらに288B+H1505について https://91683924.at.webry.info/201412/article_6.html
自宅に帰って検品しました。このホーンは・・・やはり・・・ゴキュリ・・・伝説の・・・H1505でした !! H1505は生産開始が1941年。真珠湾攻撃で太平洋戦争の火ぶたが切られたその年の製品、ゼロ戦と同時代の機材です。 どんな来歴のブツなんでしょうか。ALTECは1960年代初めに故・山中敬三さんや故・中野英男さん(旧トリオ、現ケンウッド創業者)が個人輸入して評判をとりました。その評判を聞き込み最初にヤマハが、次いで1966年にエレクトリが輸入代理店を始めてから個人用として手に入るようになりました。 従ってドライバーは288-16G、ホーンは311-90、1505Bの時代から。ですからALTEC初期のドライバー、ホーンである288B、H1505となると正式には日本で販売されていません。 可能性としては業務用に限定されます。まず第一に東洋ウェストレックスが日本の映画館に収めていたモノの可能性があります。 ご存知のように、日本は戦前ドイツ・SIEMENSとアメリカ・Western Electricの間で結ばれていた映画館用スピーカーの国際カルテルでW.E.の領域と決められていました。 東映、大映、日活封切り館はW.E./ALTECを使用。東宝封切り館はRCAを使用していたそうです。 そのため戦前から東宝系(と松竹系?)を除く一流館にはW.E.のスピーカーが東洋ウェストレックスからレンタルされていました(これも周知ですがW.E.はスピーカーの販売はせずレンタルのみ)。 大魔神、ガメラ、ガッパはW.E./ALTECで、ゴジラはRCAで吠えてたわけですな(アッ大魔神は無言だった)。松竹はどこの音響機器だったのでしょう。ギララの声は案外国産システムだったのかもしれません。東芝にはバイタフォンという映画用のシステムがあったそうですし、松竹の社名は一番和風ですよね。 さてドイツのテリトリーを除く世界中の映画館で使用されていたALTECですが、映画館の音響設備は1992年、ドルビーデジタルの開発に伴って大きく入れ替わりました。ALTECは1985年にElectro Voice社に買収され、その後業務用ブランドはE.V.に統一されたので、ドルビーデジタルに伴う設備入れ替え時にE.V.やJBLにその地位を奪われてしまいました。 日本でも有楽町の日本劇場や大阪梅田のOS劇場など、一流館で使われていたALTEC A4をはじめとするVOTT(The Voice of the Theater)のスピーカーたちが次々とお暇を出されました。中古業者や好事家に引き取られたものは良かったのですが、産業廃棄物としてクズ鉄、薪になったものも多かったらしいです。A5、A7はかろうじて家に入る大きさなので引き取られたものもあった様ですが、恐竜のように巨大過ぎたA4は、ほぼ絶滅したそうです。 この時、ドライバーとホーンだけ救出され、私の手元に288B、H1505がやってきたのかもしれません。 次の可能性ですが、アメリカの映画館が取り壊しになった時に好事家、もしくは中古業者が手に入れ、その後売り出したものを日本のマニアが買い付け、日本に入ってきた物かもしれません。 これがオーディオの中古業者ではなくガラクタ屋さんに流れていったのは、その方が亡くなったからでしょう。奥様には粗大ゴミにしか見えないでしょうから。 いずれにせよ、元は映画館か劇場にあったモノの筈。日本かな?アメリカかな?それともアジアのどこかの国? この288B+H1505から流れていたのは阪東妻三郎、田中絹代の声だったのか、はたまたジョン・ウェイン、マリリン・モンローの声だったのか。意外に蒋介石の抗日映画だったりして。 ところで日本に1setだけあったVOTT最大のスピーカー、京都会館のA1はどうなったのでしょう。 A1のオリジナルは515ウーファー6発入りのエンクロージャーH610。しかしこれは写真でも見た事がありません。 ALTECの資料集にはないのですが、A3のエンクロージャーH310を二台つなげて515ウーファーを6発としたものは写真で見た事があります。 後年には515ウーファー2発入りの210エンクロージャーを3台つなげて515を6発としていようで、こちらは資料集に記載されています。エンクロージャーの剛性を考えると210エンクロージャー3台の音が一番良かったのでは。 それ以上にH610なんて大きくて重くて搬入が大変すぎるので実装には問題があったと思いますし。 京都会館の物は写真で見る限り210エンクロージャーを4台つなげて515を8発使用しているようです。厳密にはA1ではなくさらに大規模なシステムです。写真を見るとエンクロージャーとウィングは白く塗装され、210エンクロージャーの前面は白いサランネットで覆われています。 このモンスタースピーカーがステージ上方に2セット懸架されていたようで、センタースピーカーはありません。京都会館は映画館ではなくコンサート会場ですからこの様にしたのでしょう。 同会館は2012年に閉鎖され現在改修中だそうです。2016年にリニューアルオープンだそうですが、A1はもう廃棄されたでしょうね。風呂屋の薪にでもなったのでしょうが、あれだけの米松があれば、お風呂屋さんも半月は困らなかったかな? もう少し早くALTECに取り掛かっていれば、白塗装でサランネットがある世界唯一のVOTTを私が救出できたかもしれません。残念ですね。 以下妄想です。買い取り価格はいくらにしようかな。515(Bと仮定します)が16発で120万円、210エンクロージャーが8台で160万円、ホーン(1505Bと仮定)が2本で30万円、288(16GのW使いと仮定)が4本で30万円、合計340万円。世界最大級のスピーカーの値段と考えれば安いものですね。 自宅での設置は・・・ウィングはあきらめ210エンクロージャーを横倒しにして4台積み重ねますね。すると幅213cm、高さ330cm、奥行き1mの超巨大ウーファーボックスが出来ます。その上に288Bをダブルで使い、Wスロートの1505Bを載せれば高さ390cm位でしょう。 これならなんとかベンプレ亭のオーディオルーム(W6m×D10m×H6m)に入ります。脚立を使って登るイス(テニスの審判や映画監督が座るイス)を買い込み、それに座って聞けばなんとかなりますよ。 まてよ、210エンクロージャーを二台横積みし、1505Bを載せ、その上にさらに210を二台横積みしてバーチカルツイン(バーチカルフォース?)にしたら普通のイスでなんとか聴けますね。この方が良いかな。 システムの名称はA1の上を行くという事で、A0にしたらどうでしょうか。究極のオーディオマニア(マッド?)の出来上がりですね。 さてネットで知ったのですが、1994年封切りのディズニーのアニメ映画「ライオンキング」のレコーディングモニター(プレイバックモニター?)には、なんとA1が使われていたそうです。さすがはアメリカ、さすがはハリウッド。スケールがデカいですね。同時にこのエピソードはVOTTシリーズが現代でも最良の音の一つである事の証拠でしょう。 https://91683924.at.webry.info/201412/article_6.html 晴耕雨聴 2014年12月09日 アルテックALTEC A4導入記・その4.まだまだ288B+H1505について https://91683924.at.webry.info/201412/article_7.html
画像 https://91683924.at.webry.info/upload/detail/013/416/33/N000/000/007/141805251825343853179.jpg.html 288BとH1505のアップ。写真のようにスロートの近く、ホーンの横腹に円形の蓋がしてあります。ココが砂の入れ口です。ホーンを叩いても確かに砂入りらしき音ですね。 ALTEC製品ではありませんが、以前に雑誌で砂入りホーンの記事を見た事があります。使用中の紅毛碧眼のニイチャンが「重くて取り扱いに苦労する」と嬉しそうに愚痴っており、「作るアホウに買うアホウだな」と笑っていましたら、自分がそのアホウになってしまいました。 VITAVOXの大型ホーン、カットオフ220Hzのシリーズ(私がBass Binに使用しているCN129など)もホーンの横腹に小判型の金属板で蓋をされたダンプ材の注入口があります。このシリーズはALTECの05、03マルチセルラホーンシリーズよりさらに巨大なので砂は無理、オガクズが詰めてあるそうです。 VITAVOXはロンドン・ウェストレックスのOEMもしていたため、技術的にはALTECの親戚筋です。ALTECは砂でダンプ、VITAVOXはオガクズでダンプという訳でしょう。 さすがに砂入は重過ぎて商品としてはどうかという事でALTECも1505B以降は砂入はやめ、アクアプラス塗布になったものと思われます。その結果H1505の重量、約30kg(40kgに近いかもしれません。10セルのH1005が約27kgとの記載を見た事があります)に比し1505Bは約10kgと大幅な軽量化に成功しています。 しかし両方の音を聴いている方の情報では1505Bに比べH1505の音は明らかに「静か」で全く音が違うそうです。この方はH1505をより高く評価されていました。 余談ですがアクアプラスの語源は何でしょう。アクアとはアクアラングのアクアでしょうか。そうすると本来は英語ではなくフランス語、イタリア語で水の意味だそうです。私はアクアプラスを塗った311-60も所有していますが、美しいブルーグレーです。このブルーにちなんだ命名かも知れません。なかなかのセンスですね さてドライバーの288Bは鳴らなくてモトモトと思いながら、アキュフェーズのチャンデバDF55で355Hz以下をcut してEL84ppアンプに繋いだところ、二個ともサーッとアンプノイズが聞こえてきました。どうやら古武士は生きていたようです。 その夜はデンオンのチェック用SACDを使い、男性アナウンサーの声、ピンクノイズ、スウィープ信号を流し、異音が無い事、音圧がそろっていることを確認し幸せな気持ちで就寝しました。 https://91683924.at.webry.info/201412/article_7.html 晴耕雨聴 2014年12月09日 アルテックALTEC A4導入記・その5.もう一つ288B+H1505について https://91683924.at.webry.info/201412/article_8.html
画像 https://91683924.at.webry.info/upload/detail/013/416/33/N000/000/007/141805261772550812179.jpg.html 288Bドライバーです。最後尾に巻いてある細いロープは何でしょう?ダンプ効果を狙っているのかなと思っていましたが、後部のカバーと本体の間の気密性を保つためのスペーサーでロウ付けされているそうです。288Cの後期からゴム製のスペーサーに変更されたとか。 性能はゴムに負けるかもしれませんが、耐久性ではロープが上でしょう。見た目もクラシックでカッコイイ。 もっともスペーサー用のゴムくらい1956年になかったはずはありません。何か性能の面で優位があり、ロープが採用されたのでは。組む手間を考えればゴムの方が楽なはずです。288C後期になって簡略化されゴムになったのではないかと勝手な想像をしています。 288は最初のモデル(Aとも称されてます)から288B、C、D、G、H、K、Lとモデルチェンジがされています。K、Lはフェライト、それ以前はアルニコマグネットです。数寄者としてはどの288の音が一番良いか気になるところ。 オーディオ製品の論評は、会社が存続しており現行モデルがある場合は最新の製品が高く評価され、消滅した会社の製品やディスコンになったシリーズなら、古いものほど高く評価される傾向があります。 従ってビンテージ・オーディオの話になると古い物ほど評価が高いのが常ですが、稀に業務用機材は最新のモデルの音が一番良いのだと言う人もいます。メーカーたるもの、この様なプロ用機まで質を落としてコストダウンするとは考え難いとの理屈です。 ALTECが業務用音響機材から撤退したのち、同社の技術者集団がALTECの生産設備を引き継ぎ、ALTECのユニットを再生産しているGreat Plains Audioという会社があります。 同社が生産しているアルニコ・ユニットは515シリーズでは515C、288シリーズでは288-16Hといずれもアルニコの最終モデルとなっています。やはり技術者の目から見ると最後のモデルがベストモデルなのでしょうか。(最後のモデルしか金型が残っていなかっただけかもしれませんが)。 最後は聴いてみなけりゃワカランのですが、素人が伝説のかなたに消えた名機をアレコレ聴けるはずもありません。そうなるとカン(自分の経験から導き出した総合知)に評論家の論評をプラスして判断せざるを得ないわけです。 さてアルテックの資料集としてはステレオサウンド社の2冊の別冊が手元にあります。1983年に出版された「世界のステレオ HIFI COMPONENTS SERIES-4 ALTEC(最近電子書籍で購入)」と2006年に先の別冊を下敷きに出版された「Top-Sounding Vintage Loudspeakers and Amplifiers ALTEC(発売時に紙媒体で購入)」です。 後者のp178〜p189に歴代288シリーズの鳴き比べなる記事があります。最後に新忠篤、篠田寛一、楢大樹、各氏のフェイバリットが書かれています。 新氏は288B、篠田氏は288(A)、楢氏は288Cと意見が別れましたが、重鎮と言える新氏が288Bをベストに推してくれたのは嬉しいですね。記事を一部転記しますと・・・ 新「私は、力があって、しかも滑らかな音を聴かせる515+288Bが良いと思います。ただ、トゥイーターが欲しくなるような気もするんですが。」 司会(杉井真人)「トゥイーターを加えると、独特の味が消えませんか。」 新「消えるかもしれませんね。でもすごく良くなるような気もしますよ。」 資料集を紐解きますと288(A)は周波数特性の記載なし。288Bは500〜12,000Hz、C、Dは500〜16,000Hz、G以降は500〜15,000Hzとなっており、288Bの高域が早めに落ちているのは確かのようです。 私はジャズも聞きますが、主に聴いているのはクラシックです。クラシック、特にオーケストラを十全に再生するためには広い周波数レンジが必要になります。ここは素直にツィーターを加えて実験してみましょう。 https://91683924.at.webry.info/201412/article_8.html 晴耕雨聴 2014年12月09日 アルテックALTEC A4導入記・その6.ツィーターのアタリを付けてみました https://91683924.at.webry.info/201412/article_9.html
画像 https://91683924.at.webry.info/upload/detail/013/416/33/N000/000/007/141805298602136347179_3000H.JPG.html 写真はALTEC3000Hです。 プラスツィーターの実験にあたり、まずALTEC 288B+H1505を測定してみました。ホーンは床にベタ置きの状態にて正確ではありませんが。信号はアキュフェーズDF55なるチャンデバを使って355Hz以下のみ24db/octで切ってあります。 画像 ホーン軸上1mの測定結果は図のようです。嬉しい事に二個のドライバーには音圧差がなく、周波数特性もほぼ揃っているようです。グラフを見ると5KHz以上がダラ下がりになっていて、特性上はやはりツィーターが必要でしょう。 準備したツィーターはALTEC 3000H 、JENSEN RP107、Electro Voice T350(以上1960年代製)、ゴトウユニットSG-17G(1970年台製)、ALTEC MR902-16HF(1980年製)。 他に番外編としてALTEC804A(1963年製)ドライバーを。これは500Hzから使えるユニットですが、ハイが15KHzまで伸びています。ALTEC A5の高域を伸ばすために802系のドライバーをホーンなしで乗せてうまく行った話を読んだことがありましたので実験してみました。 以上、どれも30年〜50年ほど前のブツですが、まあションベン臭い娘っ子はガキにまかして、大人は熟女とシッポリと。 他に手持ちのツィーターにはアイデンAT7000(コイズミ無線のレプリカ)、ESSグレートハイル、DECCAケリー、GOODMANS Trebaxもあるのですが、コイズミ無線は流石にちょっと…他は能率が288Bに合いませんので無理でしょう。 最初はALTECの3000Hを乗せてみました。同じALTECのMR902-16Gは重さが3Kg以上ある大型ツィーターですが、コレは400gもないミニサイズです。まあ能率と耐入力がOKならデカイ音は出せるわけですからツィーターにはサイズは関係ないのでしょう。 W.E.24Aのミニチュアの様なホーンの外観やターミナルの形状から、てっきりW.E.がALTEC社に変わったころ(1937年)のユニットだと思っていましたが、資料によると1967年発売です。しかし3000H、実は1952年発売の同軸型スピーカー、602の高域用ドライバー、3000Aの同等品です。1967年に602が生産完了になったので、作りすぎていた補修用備品を売りに出したのかもしれませんね。 彼女の名誉のために一言付け加えますと、3000Hは一度ディスコンになった後、再生産・再発売されています。やはり人気のあったツィーターなのでしょう。 写真で見ると高級感が無いのですが、実物は案外風格があります。適当に持ち重りがしますし、ホーンもガッチリした亜鉛ダイキャスト。ホーンを覗くと半透明のガスケットの裏にアメ色に輝くダイヤフラムが見えます。ランシングは凹型の振動板が特徴ですが、これはW.E.のような凸型です。なんでもマイクロフォンの振動板をモディファイしたものだそうです。 私が手に入れた3000Hの仕上げはホーンである金属の地肌そのもの、薄いウグイス色(?)で、塗装はされていないようです。他に黒塗装、アルテックグリーン塗装のバージョンがあるようですが、H1505ホーンや210エンクロージャーのブルーグレーに合わせるのには無着色のウグイス色が一番ピッタリ来そうです。 3000Hは評価の別れるユニットです。ALTECのドライバーに合うグレードじゃないと切り捨てる人もいれば、ALTECにはこれしか合わないという人も。ある人は高域が伸び切らないと言いますし、またある人は測定グラフ付で24KHzまで伸びていると主張します(私も測定してみましたが後者が正解。手持ちのホーンツィーターの中では最も高域が伸びています)。 ですから3000Hはいろんな使われ方をしています。ある人はW.E.の555Wの高域に使っていますし、ALTEC 755Eの高域に使う人もいます。 もっともJBLの075も、パラゴンにも使われればLE8Tのプラスツィーターにも使われていますね。引かされた相手により大店の奥様にもなれば長屋の女房にもなる、運命に翻弄される美女が良質なツィーターの宿命なのでしょう。 さて、3000H、能率が288Bよりかなり低い(100db/m・w前後だと思います)ので心配していましたが、やはりネットワークでは無理でした。中域のユニットより3〜5db能率が低い程度ならアッテネーター無しのコンデンサー一個で十分つながるのですが、110dbを超える288Bと繋げるにはマルチアンプにしなければなりません。 私のA4は2Wayマルチアンプとし、ツィーターは高域用アンプからネットワークで信号を貰うつもりなので、この時点で3000Hは候補から外れました。しかしせっかくの実験ですから、3000H本来の音を聴くためにアキュフェーズDF55を使って7KHzでクロスさせ、3wayマルチアンプとして聴いてみました。 少しレベルを抑えめに鳴らしますとナカナカ品の良い音がします。しかし馬力がやや足らない印象ですね。ジャズよりむしろクラシックに合うと思いました。 画像 次はツィーターを1980年にALTECが発売した MR902-16HFに変えてみました。写真は測定中のMR-902。 このツィーターはマンタレーホーンと命名された当時の新技術、定指向性ホーンが特徴です。能率は公称103dbですから、こちらも288Bにネットワークで繋ぐには少し能率が不足かも知れません。 音は巷の噂通り高域のレンジが伸び切らず、ハイがダラ下がり、測定値も同様の結果です。バイオリンを聴いても、もう一つ冴えを感じませんね。 マンタレーホーンは本来アンプで高域補正をして使うのがデフォですので、ホーンを外してドライバーだけの音も聞いてみましたが、やはりハイがダラ下がりです。元々中高域ドライバーの流用の様なツィーターですのでこの程度が限界なのでしょう。 ホーンがない方が少しマシですが、この周波数特性では288B+H1505ホーンだけの時と代わり映えしません。コンデンサーの容量をいくつか変更して試してみましたが、傾向は変わりませんでした。 画像 次は写真上のようにVITAVOX Bass Binにも使用していたE.V. T350を試してみました。 画像 T350を2.2μFのコンデンサーのみ(9KHz、6db/octローカット)で乗せると図のように。アッテネーター無しで上手く繋がりそうですね。15KHz以上の最高域はALTEC 3000Hのように伸びてはいませんが、音の実在感はこちらが上。 ホーンを床にコロガシたまま、最近売れっ子のイザベル・ファウストのバッハ無伴奏パルティータ第2番を鳴らしてみました。288B単独では蓄音機風の胴間声になる時がありますが、それでも上々の音色です。T350を加えると胴間声が無くなり艶やかさが出てきます。 T350は少し音が元気すぎる気もしますが、これはこれで良いと思える説得力のある鳴り方をしてくれます。「かそけき絹擦れ」の音を再生するならALTEC 3000Hが上だと思いますが、高域にもエネルギーが必要ですから。 試しにチャンデバを介さずプリアンプの出力からパワーアンプに直に出力を入れ、288B+T350ユニットをトバさないよう、低域がハイレベルで入っていないソースを選んでフルレンジで鳴らすと、「バイオリンだけを聴くならこれ以上何もいらないな」という素晴らしい音色がします。 数日聴くうちに288Bの振動板もセカンドバージン状態から復活したようで、ますます芳醇かつ妖艶な音色を、そして時に怜悧な音色を奏でます。年増の魅力全開ですね。 この時点でJENSEN RP107、ゴトウユニットSG-17Gは実験を断念。この二機種はエレボイT350よりも能率が低く、マルチアンプにしないと288Bと繋がらないためです。ゴトウSG-17Sは公称110db/w・mですが、私の手持ちのペアは実測値では公称107db(or109db)のT350より低能率です。時代物のため少し減磁しているのかもしれません。 最後にALTEC804Aをホーン無しで繋いでみました。804Aは15KHzまで高域が伸びているのですが、裸で鳴らすと高域の周波数特性が乱れ、残念ながら上手く行きませんでした。 プラスツィーターはT350に決定、アッテネーターは使用せずコンデンサー1個で繋ぐことにしました。 さて昔オーディオマエストロの是枝重治さんに聞いた話でも。1970年の大阪万国博覧会のお祭り広場ではアルテック288に同社のホーンを付けたスピーカーを大量に配置し、ウーファー無しのフルレンジで使ったそうです。音響製品の設備担当は当時東洋ウェストレックスの社員だった伊藤喜多男先生。 コレで再生した鼓笛隊の演奏は凄い音だったとか。是枝さんは実際にコレを現場で聴いて小太鼓のキレッキレの破裂音に腰を抜かしたそうです。 それにしても今回手に入れた288B、チャコールグレー梨地の外観もキレイだし、ホーンを外して中を見てもキレイです。前オーナーの故・亜留手駆男さん(故人にされちゃってます。ごめんなさい)が整備して大事に使っていたのだろうと思います。私も大事に使わなければ。 https://91683924.at.webry.info/201412/article_9.html 晴耕雨聴 2014年12月09日 アルテックALTEC A4導入記・その7.ウーファーの選択 https://91683924.at.webry.info/201412/article_10.html
ドライバーの次はウーファーを何とかしなければいけません。288シリーズに組み合わせるウーファーとしては515シリーズが定番です。時代を追って515(1945〜65)、515B(1966〜78)、515C(1979〜80)、515E(1981〜83)、515G(1984〜)になっている様です。 515Cまでがアルニコ、それ以降はフェライトですので狙い目は515Cまででしょう。先に入手した288Bは1956〜63年のモデルですから時代を合わせるなら515ですが、これを4発そろえるのは至難の業。ネット情報では515で組んだA4を導入した方が居られましたが、515は4発中2発がALTECブランド、残りの2発はIPCブランド(W.E.は独占禁止法に触れ、音響部門はALTECとIPCに分割されました)になっていました。 2014年の今から状態の良い515を4発そろえるのは困難ではないでしょうか。 次にA4システムはなるべくシンプルに行きたい、つまりサブウーファーは避けたいという思いがあります。 私が愛用中のVITAVOX Bass Binシステムは元々2Wayネットワークのスピーカーなのですが、欲を掻き続けて今では5Wayマルチアンプ+ダイナベクター・スーパーステレオの大掛かりなシカケになってしまいました。 同じようなプラントシステムをもう一組というのはアホウが過ぎるのではないかと。こんな大きな箱を部屋に入れて、さらにサブウーファーまで加えるなんて賢そうには見えないなとも。 また一筆書きの良さ、勢いも大事にしたいところです。従ってA4は本来の2Wayにせいぜいプラスツィーターでまとめたいと考えました。そうすると515シリーズ+210の低域を出来るだけ下まで伸ばさなければいけません。 515はフィックスド・エッジですが515B以降はフリーエッジ(といってもウレタン、ゴム等ではなく布エッジにビスコロイド)、ダンパーもベークライトの蝶型ダンパーからコルゲーションダンパーに変更されているので能率はそのままで周波数特性が下に伸びています。f₀は515が35Hz、515Bが25Hzにて低域のレンジは515Bが広いに違いありません。 またしてもネット情報ですが、515を使用したA5を使用している方がおられました。515Bと比較して515はより軽くハイスピードな低音が出ると書かれていましたが・・・実はこの方はサブウーファーを付加して聴いておられました。そういえば、やはり515をH810(825の前身)に入れたA5仕様のスピーカーを使用しているAV評論家の堀切日出晴さんも、515の下にサブウーファーを使用していますね。 825や210の様なフロントショートホーンのエンクロージャーは再生周波数の下限はホーンで決まるので、ウーファーのf₀が低くても意味がないという意見もあります。しかし、いくら210のホーンが大きいと言っても、ホーン長は80cm程度、カットオフは100Hzまででしょう。そこから下の音域は巨大なバスレフ箱が受け持っているはずです。従ってユニットのf₀もやはり関係するのでは。 実は先に書いた「別冊ALTEC」の515+288の鳴き比べ(エンクロージャーは825B、ホーンは329Aを使用)でも515は515Bより高く評価されています。この辺りも気になるところではありましたが、入手容易な事、低域がより下まで伸びている事を理由にウーファーは515を探すことはせず、515Bを選択しました。515Bもそろそろタマが減っては来ましたが、エレクトリによる輸入が始まってからのモデルですから流通している中古品はまだあります。515Cも良いと思いますが、515Bより生産期間が短く、むしろ入手難だと思いますし、性能的にも大差ない様です。 そうなると288Bに少しでも時代が近い515Bが第一選択でしょう。 515Bには前期モデルと後期モデルがあります。フレームが前期モデルは鉄板の打ち抜きでスマート、後期モデルはダイキャストでゴツク、見たらすぐに判別できます。本来ダイキャストがより高級なのですが、見た目は前期のプレス・フレームが格好いいです。 この二つは型番を変えた方がよいくらい内容も違います。前期モデルは後期モデルより能率が高く(前期103db/4フィート、後期98db/4フィート)、ユニットの取り付け方もバッフル後面からがデフォになっているので、210に入れるなら前期モデル一択でしょう。 問題は流通品が減ってきた515B前期モデルが4発同一コンディションで揃うか否か。515Bは元々A5に使われていた物が中古市場に出てきますので、2発は揃っていても4発一度にはそうそう出てこないようです。 しかし運よく515B前期モデル、しかも全てエレクトリ経由の同じようなコンディションのウーファーを6発(2発ずつ3ペア)、同じ出品者がオークションに出品していました。値付けが高めで誰も入札していません。 必要な515Bは4発なのですが、「6発全部落として、特性の揃った4発を使用すればより良いだろう。残った2発も何か使う機会もあるかもしれない」と理屈をつけて3ペア6発、大人買いしてしまいました。 画像 https://91683924.at.webry.info/upload/detail/013/416/33/N000/000/007/141805344889838189179.jpg.html これが入手した6発の515Bです。どれもGood Condition !! エッジのビスコロイドに付着していたゴミをピンセットで取り除いてやった後、スウィープ信号を入れてみましたが音圧、音色全て問題ありませんでした。A4システムにはセンターキャップの色が似通った4発を使う事にしました。 この記事へのコメント mambo 2014年12月28日 23:16 515Bでもベンプレ親爺さんの前期のものでしたら、フィックストエッジ&ベークダンパーの515用のリコーンキットが取り付けることができるかな? と思います。私が持っている515のバスケットにBのコーンでリコーンしたものと同じ状況かと思います。 要は、515無印は接着剤なしで全てボルトで取り付けられていますんで、2080もおんなじ構造で、こんな感じで脱着できます。 お持ちの515B前期ものの外周と、ダンパー横のボルト穴がちゃんとあれば対応できると思います。 http://blog.livedoor.jp/manmaru863/archives/1855402.html#more ベンプレ親父 2014年12月29日 01:09 mambo様 お世話になってる本郷のお店(クラシックオーディオ)ではダンパーは515Bのままで、コーンだけフィックスドエッジに変更する事は可能だそうです。 オリジナルを触るのもナカナカ度胸がなくて・・・ フィックスドエッジはボルト留めが普通なんでしょうね。 バイタボックスのウーハーはフィックスドでやはりボルト留めです。 https://91683924.at.webry.info/201412/article_10.html 晴耕雨聴 2014年12月09日 アルテックALTEC A4導入記・その8.いよいよ210エンクロージャーの登場 !! https://91683924.at.webry.info/201412/article_11.html
A4を組もうと思ったから288Bドライバー、H1505ホーンや515Bウーファーを揃え始めたわけで、当然A4用の210エンクロージャーが無ければ話になりません。我が家にやってきたのはドライバーやウーファーより後でしたが、実は手を付けたのはこの箱が最初でした(しばらく中古屋さんの倉庫に置かせてもらっていました)。 この箱は九州・福岡の中古オーディオ屋さんから買いました。このお店の商品は店頭販売だけでなくオークションにも出ています。この210エンクロージャーはかなり前からオークションに時々かけられていたのですが、値段もやや高めで誰も入札しませんでした。以前から「欲しいなあ」と思っていたのですが、何しろ大きいし先立つものも・・・ 今回ウン十万円のアブク銭が入ったので、ついに福岡の中古屋さんがHPに載せているA4をやる事にしました。 何しろ古いものですし、状態が心配なのでエンクロージャーはオークションでの入札はやめ、福岡のお店に連絡し、現物を見た上で買い付けることに。 2014年8月23日土曜日に新幹線で福岡に入り、そこからは社長さん(私よりやや年かさの方でした)に車で1時間ほど南の八女市の倉庫まで案内してもらい、現物を見せてもらいました。エンクロージャーはラップに包まれていてネットの写真以上の情報は得られませんでしたが、道々社長さんのお話を聞いて大丈夫と思いましたので、購入する事にしました。 往復2時間の道のりとお昼ご飯、合計3時間程ご一緒し、面白い話を聞かせてもらいました。社長さん曰く 「オーディオは物量だ」 「オーディオは歪を聴いてるんだ。良い歪が出てるのが良い機械で、歪の無いのが良い機械じゃないよ」 アルテックの使い方も聞きました。私は515や288は小音量ではオーバーダンピングだと思いましたので「シングルアンプが良いのでしょうね」と尋ねましたら、 「いやいやプッシュプルに限る。パラプッシュでもいいよ。シングルじゃ力不足」 私が医師と知ると、「お医者さんはスキな人が多いね」と。ジャズ評論家の寺島靖国氏の造語に「ドクター・ジャズ」というのがありますが、医者はジャズとオーディオに凝るとトコトンまで行く人が多いそうです。社長さんも過去最大のスピーカーを納めたのは鹿児島のお医者さんだったそうで、エンクロージャーの板厚75mm、容積2500L、重量450kgの密閉箱にE.V.の30Wを納めたものだったとか。 https://91683924.at.webry.info/201412/article_11.html 晴耕雨聴 2014年12月09日 アルテックALTEC A4導入記・その9.210エンクロージャーの来歴は? https://91683924.at.webry.info/201412/article_12.html 八女市の倉庫から博多駅への帰り道で社長さんから私が購入した210エンクロージャーの来歴を教えてもらいました。この箱は島根県益田市の映画館にあったA4システムのものだそうで、この映画館が取り壊されるときに地元の好事家がこれを手に入れたとの事でした。 自宅で使っていたそうですが、この方が再婚され、若い奥さんが「私の荷物が入らないワ」というわけで210エンクロージャーを諦め、825エンクロージャーに変更したそうです。 ホーン、ドライバー、ウーファーのユニット類はA4の物を流用、A5システムにダウンサイジングし、箱だけ中古屋さんに出したというのがこのエンクロージャーの歴史です。 中古屋さんに来たときはオリジナルのウィングは付いておらず、代わりに国産のウィングが付いていたそうです。サイズがオリジナルと同じならこのウィングも一緒にもらうつもりでしたが、このウィング、幅がオリジナルの1/2、30cmくらいしかなかったため、こちらは処分してもらいました。 おそらく前オーナーが家庭で使うため、ウィングを小型化したのでは。ということは、幅4m以下の部屋でA4を使っていたのかもしれませんね。新しい奥さんの要求もムベなるかな。もしかすると前の奥さんと別れたのはオーディオで無茶をし過ぎたからかもしれませんね。クワバラクワバラ。 ところでA4のあった島根県益田市の映画館とは何処でしょうか。ネット情報によりますと、益田市は2008年8月末に市内最後の映画館「デジタルシアター益田中央」が閉館しています。ここは1997年に全館リニューアル・設備更新したそうです。A4、もしこの映画館が放出したのだとしたら1997年のリニューアル時が有力では。この映画館は1948年頃から営業していたそうなので1944年開発のA4が入っていても不思議ではありません。 やはりネット情報では1957年には益田市に益田館、石見館、中央劇場、益田東映、益田セントラルの5か所の映画館があったそうです。デジタルシアター益田中央は中央劇場が前身でしょうか、それとも益田セントラル? 益田中央より先に閉館した4映画館はいつの閉館か調べが付きませんでしたが、A4はこちらからの放出品かもしれませんね。 中古ショップの社長さんに聞けば放出元が判るかもしれませんが、これ以上調べてどなたかに御迷惑がかかるといけません。ここから先は謎にしておきましょう。 https://91683924.at.webry.info/201412/article_12.html 晴耕雨聴 2014年12月09日 アルテックALTEC A4導入記・その10.210エンクロージャーの補修 https://91683924.at.webry.info/201412/article_13.html
2014年10月5日、ついに210エンクロージャー2基が我が家のオーディオルームに搬入されました。部屋は中二階なので階段を上げなければなりません。あらかじめ前日に階段の手摺を大工さんに外してもらい、電灯の傘も外して準備。当日は朝からピアノ運送さんが4人がかりで運び込んでくれました。 画像 トラックの荷台から降ろされる2台の210エンクロージャー。 画像 階段を上る210エンクロージャーです。もう2cm幅が広かったら階段を上りませんでした。 画像 補修前の210。実はトールボーイなんですね。 予想より傷は少なく、その日のうちにタッチアップを終了。傷も特に目立つところだけパテ埋めして塗装。アルテックグレーに似た塗料としてスレートグレーの塗料に黒を混ぜたものを作り塗布しました。最近は水性塗料でも十分高品質なので楽ですね。 210エンクロージャーにはウィングを留めるためのボルト穴が6か所(前4、後2)開いているわけですが、それ以外の意味不明の小穴が何か所かありました。 二基の210の同じ所に開いているなら意味のある穴なのでしょうが、左右適当な位置に開いているうえ、穴のサイズもバラバラです。ネットワークを固定したり、スピーカーコードを引き出すために使用していた穴じゃないかと思い、全てパテ埋めしました。 でも全部埋めたらどこからスピーカーコードを出すのでしょう。210エンクロージャーを購入した中古ショップの社長さんに電話してみると、VOTTシリーズはバスレフポートからスピーカーコードを引き出している人が多いそうです。私もそうしましょう。スピーカーターミナルが無ければ接点が一つ減るので、音質にも有利でしょうし。 補修完了しましたがオリジナルの塗装を出来るだけ残して仕上げたかったので、手の込んだことはしていません。キレイになったのかキタナクなったのか判断しにくい補修ですが、自分の手が入るとなんだか愛着が倍増ですね。 ここで一つ秘密をバラしましょう。210エンクロージャー二台のうち1台はオール米松合板。しかしもう一台は低音ホーンの曲線部分とスピーカー取り付けバッフル、低音ホーンの下側のバッフル(バスレフポートの空いている板)、つまりスピーカー前面は米松合板ですが横板、天地板、裏板と細工の無い一枚板の部分はチップボードとなっており、米松合板とチップボードの混成部隊です。 画像 こちらはオール米松合板の210内部。 画像 こちらは米松合板、チップボード混成エンクロージャーの内部。横板の表面を見るとチップボードなのが判ります。 先の「Top-Sounding Vintage Loudspeakers and Amplifiers ALTEC」によると「ALTEC・VOTTのエンクロージャーは裏板、バッフルなど一部に硬質なチップボードを使う事もあった」とありますのでこの類でしょう。 私のオール米松合板でない方の210、チップボードの横板、天地板の木口は積層になっていて、今様のチップボードやMDF材の様な一体成型ではないです。木材の知識は無いのですが、薄いチップボードを積層に貼り合わせた板材があるのかもしれません。 幸いなことに、A4システム完成後2台のスピーカーの聴き比べをしましたが案外音の差は感じませんでした。強いてあげれば米松合板、チップボード混成210の方が、少し低音が豊かに聞こえるかな?逆に言えば少しボンつく? まあ、おおらかな時代のおおらかなスピーカーだという事で、これで良いのでは。 正直に言うと、二台ともオール米松合板の210が欲しかったです。そうは言っても、これも御縁ですからね。 前オーナーの再婚が原因でお暇を出されたエンクロージャーなので、私が可愛がってやらないと。一度手の内に入った210は私と縁があったのです。彼女の余生は私が面倒を見てやります。 なぁに、女も犬もついでにスピーカーも、多少スキがある方が、スソが汚れてるほうが可愛いんだよ。 ところで、この210エンクロージャー、なぜ1台がオール米松合板で、もう一台が米松とチップボードの混成なのでしょうか。この2台のエンクロージャーは益田市の同じ映画館にあったものですが、おそらく映画館に導入された時期が違うために使用板材の異なる二種類の210エンクロージャーとなったのだと思います。 昔の映画はモノラルでしたので、中小規模の映画館ではスクリーンバックには1台のスピーカーしか入っていなかったそうです。小劇場ならALTEC A7一本で済ませたとか。 その後、前方の音響が3チャンネル化し、センタースピーカーの両サイドにスピーカーが設置されるようになったそうです。 ですから、益田市の映画館にはまずオール米松合板のA4が1台入っており、前方が3チャンネル化した時に、もう2台のA4が後から導入されたのではないでしょうか。しかしその時代のA4は既にオール米松ではなかったのでは。 これはVOTTステッカーを見ての想像です。どちらのA4にも、あの有名なVOTTの大きなステッカーが貼ってあるのですが、色のくすみ方が違います。オール米松A4に貼付してあるステッカーの方が明らかに古いのです。 映画館の設備更新時(あるいは閉館・解体時)にA4を引き取りに来たマニア氏は、オーディオ(ステレオ)用ですから2本しか必要ない。 そうなるとオール米松合板のA4をまずチョイスし、残った2本の米松・チップボード混成A4のうち、状態の良いA4を1本持ち帰った。こうして片チャンネルがオール米松、もう片チャンネルが米松・チップボード混成のペアが出来上がったのではないでしょうか。 この推理はまず当たっていると思います。 そうなると、最後に一本残ったA4、混成部隊の210エンクロージャーは処分されてしまったのでしょう。なんだか可哀想ですね。 https://91683924.at.webry.info/201412/article_13.html 晴耕雨聴 2014年12月09日 アルテックALTEC A4導入記・その11.VOTTエンクロージャーの謎 https://91683924.at.webry.info/201412/article_14.html
ALTECがエンクロージャーの材料に主に米松合板を使用したのは安価で入手容易なためだそうで、どうも板材の質にこだわりは無かったようです。さらに言えばALTECがエンクロージャーを重要視していなかったのは、少なくともVOTTのシリーズについてはどうも本当らしいです。そのためか、ALTECエンクロージャーには不思議な伝説・謎があります。 最初の伝説は極端なので私は半信半疑なのですが、「一つの会場でイベントが終わるとPAシステムからユニットだけ外し、エンクロージャーは野焼き。移動先の会場で新しいエンクロージャーに前会場から持ってきたユニットを組み込んでイベント開始、そのイベントが終わると再度同じことを繰り返し次の会場へ」なんていう話があります。 広いアメリカ大陸でのコンサートツァーやサーカス興行なら、もしかすると本当かも知れません。たしかにステージサイドに足場を組んで小山のように積み上げたPAスピーカーを見るに、これを毎回トラックに積み込み全米を移動するのは、大変な労力と経費が掛かりそうですから。 もう一つの謎は更にショック、「日本にはALTECのオリジナルエンクロージャーは正式輸入されていない」という説です。日本にも「オリジナル」と称されるALTECエンクロージャーが多数輸入され販売されましたが、実はそれらは国産だという噂があるのです。それらの箱は米松合板製には違いないのですが、その合板を調べると「Made in USA」の印字が見つかるそうです。 アメリカの米松合板をアメリカで箱に組んだのなら、合板にその印字はされないはず。印字があるのはアメリカ製米松合板を日本に輸入し、国内で箱に組んだ証拠だという訳です。その箱を国内で組んでいたのは某社と某社だという話まであるようです。 そうすると、中古業者さんがアメリカで買い付けてきたもの、好事家が海外オークションで落札した物だけがオリジナルエンクロージャーという訳でしょうか。 もっともヤマハがALTECを輸入していた極初期にはエンクロージャーもアメリカ製だったという異説もあるみたいです。 さらに不思議な話もあります。「ALTEC社のVOTTのエンクロージャーは図面を発表しているだけで、自社製品としては販売していない。従ってオリジナルエンクロージャーはそもそも存在しない」という説です。 たしかにALTEC社にはJBLのハーツフィールド、パラゴンやE.V.のパトリシアンの様な凝ったエンクロージャーは一機種もありませんでした。バスレフダクト一つ取ってもバッフル板に適当な大きさの穴を開けるだけで、ダクトですら無いのですから。 民生用でもせいぜいスピーカー前面の組木格子(Magnificentなど)程度で、木工に凝った事はない会社です(しかも組木格子は日本製との説まであります)。 従って箱がOEMであっても驚かないというか、当然だと思うのですが、それどころかVOTTシリーズの箱は図面だけ発表して勝手に作らせていたというのです。本当でしょうか。エンクロージャーに関するノウハウは少なからぬものがあると思うのですが。 そういえば少し思い当たらぬこともありません。ALTEC社のVOTTの図面には吸音材の入れ方に関する記載がないように思います。そして世に出ているVOTT箱のグラスウールの入れ方、その量はずいぶんバリエーションが多いというか、殆どデタラメなような気がします。つまり誰も管理していない。だからエンクロージャーが自社製 どころか、自社ブランドのOEMですらないという事では。ちょっと信じ難い話ですが。 もうひとつ。ALTEC・VOTTエンクロージャーと言えばスクリーンバックからの反射が少なく、長期に放置しても汚れが目立ちにくいアルテックグレーの塗装と決まっていますが、アメリカでは黒板塗料の様な艶消しの深緑の箱が主流だったという説があります。なるほど旧型のALTECユニット、ホーン、アンプのフロントパネルはアルテックグリーンと呼ばれる深緑が使用されていました。アルテックグリーンの811Bホーンなど、グレーの箱より深緑の箱の方がコーディネイトが取れそうです。 古いエンクロージャーは深緑が似合いそうですね。H110(825の前身)なんか特に似合いそう。H110は白黒写真でしか見た事がないので色が判らないのですが、アルテックグレーの箱より色が濃いように思います。チャコールグレーだと思っていましたが、噂どおりの黒板様暗緑色かも知れません。 以上は全て伝説です。しかし伝説が残るなんて、やはりALTECはホンモノだよなぁ。これらの伝説もALTECのパーツが消耗していくにつれ歴史のかなたに消えていくのでしょうね。 https://91683924.at.webry.info/201412/article_14.html 晴耕雨聴 2014年12月09日 アルテックALTEC A4導入記・その12.A4仮設置 https://91683924.at.webry.info/201412/article_15.html
210はウィングこそありませんが補修も終了、ユニット、ホーンも揃ったとなると音出しが可能です。ウィング完成前に音を出し始めるとウィングを作るのをサボッて製作が伸び伸びになる心配はあるのですが、ひとまず音を出してみることにしました。 補修中の210はピアノ運送さんが運んできたまま、立てた状態でしたが、515Bユニットの取り付けのため横に寝かせることに。超重量級(箱だけで一基130kg位あるらしいです)なので一人では無理、妻と二人で慎重に。 515B取付け用ネジはインチサイズです。米松合板製210エンクロージャーに付いていたのはマイナスネジ、米松・チップボード混成210エンクロージャーに付いていたのはプラスネジ。長さはどちらも1/4インチ径、1.25インチ長と日本では手に入り難そうなネジなので失くさない様に、ネジ山をナメないように慎重に。 裏蓋を閉めるためのネジ(1/4インチ径、2.5インチ長)は付属していなかったので、エンクロージャーの塗装を痛めないように、裏蓋はビニールテープで仮止めしました。 なお、後日裏蓋用のインチネジは東京・虎ノ門の(有)三和鋲螺(インチネジの小売りでは在庫日本一だと思います)でステンレス製を購入、ユニット固定用のインチネジもオリジナルは鉄製だったので、三和鋲螺で購入したステンレス製に取り換えました。ALTECのネジはマイナスネジが由緒正しいのですが、今後の作業性を考え、扱いやすいプラスネジに統一しました。 さてユニットの取り付けは済んだものの、一度横にした210は妻と二人ではもう起こせません。移動も無理。息子が帰宅するのを待って家具スベールを210の下に敷き込み、ひとまず聴ける位置に移動しました。 次は配線。スピーカーコードは手持ちのW.E.10Gを使用。二個の515Bを並列に繋ぐためのコードはベルデンの8707です。コードは予定通りバスレフ孔から引き出しました。 不意にスピーカーコードに足でも引っ掛けて515Bのターミナルに直接力が加わっては困りますし、コードの重さでターミナルが緩むのも心配ですから、後日スピーカーコードは要所を結束バンドで結束し、それを結束バンド固定具で210エンクロージャー内部と外部に数か所固定しました。 515B×2と288B+H1505の帯域はひとまず手持ちのチャンネルデバイダーdbx223XSを使用して分割、クロスオーバーは定番の500Hzに。事前の実験に基づき、ツィーターはE.V. T350を2.2µFのコンデンサー1個で繋ぎました。 画像 写真は横倒しにした210にユニットを装着、H1505ホーンとT350を載せたところ。スピーカーコード結束バンドはまだ付いていません。H1505のスタンドでエンクロージャーに傷がつかないよう、210の上には毛布を敷いています。 セッティングを完了、ざっと周囲を片付けました。もういつでも音が出せるのですが気を落ち着けるために中入りの夕食を。夕食が済めばもう逃げも隠れもできません。日本男児たるもの青い目をしたブロンド・グラマー美女(美熟女?美魔女?)に雄々しく立ち向かい、彼女を良い声で泣かせなければいけません。 ALTEC A4の第一声は何を鳴らしましょう。私はクラシックがメインソースなのですが、ALTECとの初夜にはワグナーもブラームスもチョット違う気がします。音の良さで知る人ぞ知るRCAリビングステレオレーベル、エルビス・プレスリーのSACDから、ここは私の気持ちを込めて“Can’t help falling in love愛さずにはいられない”を。 https://91683924.at.webry.info/201412/article_15.html 晴耕雨聴 2014年12月09日 アルテックALTEC A4導入記・その13.A4の第一声 https://91683924.at.webry.info/201412/article_16.html
彼女の上げる第一声を一人で聴くのはなんだか怖いので(彼女はバツイチor後家さんじゃないか。なにビビッてるんだ!)妻をオーディオ室に呼び、オゴソカに盤に針を下しました、イヤSACDプレーヤーのリモコンplayボタンを押しました。 むむむっ・・・くくくっ・・・音が古い・・・音が割れてる・・・定位が無い・・・ 妻からも「だめやん。もったいない。なんぼ使うたん?無駄遣い。」と容赦ない言葉が。 SACDを数枚取り替え聴いてみましたがやはりダメ。 こりゃ、少々調整してもダメかもわからんなぁ・・・と思い始めましたがここで天啓(?)が。昔読んだ五味康介先生の「西方の音」の一節。氏が生涯愛しぬいたTANNOY Autograph導入の記です。 「1964年7月25日、はるばる海を越えてついにタンノイは私の家に届けられた〜中略〜目の前が真っ暗になった。違うのだ。私の想像していたような音ではない〜中略〜全身から血が引いていくように思った〜中略〜私はあわて者だ、丹念さに欠ける人間だと自分で知っているつもりだから、各パーツの接続には十分注意した。少なくとも自分では、したつもりでいた〜中略〜もう一度接続を調べたら、ピックアップコードを挿し違えているのを発見した。」 そうそう巨匠と同じような事もないでしょうが、念のためにA4の裏に回って結線を調べてみましたら・・・なんと左チャンネルの288Bドライバーを逆相に繋いでいました !! 今度は慎重に配線を繋ぎ治し再度“Can’t help falling in love”を。 「そらからの、ステレオの、さまざまな試聴のたびに私の味わった狂喜はどんなだったか、これはもう察してもらうほかはない。(西方の音より)」 妻の評価も一変、「コッチ(A4)の方が迫力があるわ。これならダースベイダー(VITAVOX Bass Binを妻はこう呼びます)を超えるんじゃないの?」と。 翌朝は7:45から仕事なんですが、結局朝4時までSACDを取っかえひっかえしてしまいました。ビル・エバンスの名盤「ワルツ・フォー・デビー」のバックグラウンドノイズの美しさ、ゲッツ&ジルベルトの「イパネマの娘」のヴォーカルの生々しさ。 ツィーターも途中でALTEC 3000Hに変えたりしながら寝るのが惜しい夜になりました。 今気が付きましたが、五味先生のAutographが五味邸で第一声を上げてから、今年でちょうど50年になるんですね。先生は1980年、58歳で肺がんにて死去されています。 Autographと先生の付き合いは長きに渡ったような印象があるのですが、五味先生は実は16年しかAutographを聴くことが出来なかったんですね。 私はあと何年A4を聴くことができるでしょうか。 https://91683924.at.webry.info/201412/article_16.html 晴耕雨聴 2014年12月09日 アルテックALTEC A4導入記・その14.A4のウィングを作る https://91683924.at.webry.info/201412/article_17.html
さて、ひとまず音の出始めたA4ですが210エンクロージャーは立てて使い、エンクロージャーの左右にはウィングが付くのが本来の姿です。ウィングを付けるとグッと低域が充実するという人もいます。こうなれば毒食わば皿まで、ウィングも用意する事にしました。 ネットから拾った写真、図面によるとウィングのサイズは高さ84インチ×幅24インチ(213cm×61cm)。裏に補強桟を取り付け、補強桟から210本体へ2本の支持棒が伸びる形状です。 形は複雑なものではありませんが、何しろ大きいので製作は大変そうです。ひとまず家具屋さんに図面を持ち込んでみましたが、受けても良いが納期がかなりかかると言われてしまいました。どのみちオリジナルではないのですから、思い切ってウィングは自作する事にしました。 オリジナルのウィングの材質は米松合板19mm(3/4インチ)だと思われます。しかし芯まで米松の合板はネット上にも見当たりませんでした。ラワン合板に米松板目のツキ板を貼った9mm合板ならありましたので、それを張り合わせ18mm合板とすることに。 裏表とも米松板目仕上げにて、見た目は米松合板と変わりません。ラワンは米松より比重が重いので、この方が音は良いかもしれません。 桟はネット上のA4の写真からアタリをつけ105mm×45mmの米松角材を使いました。 米松合板は合板販売店にカットして送ってもらいましたが、角材は自分で切らなければいけません。手ノコではとても無理なので丸ノコ盤を買い込み作業。斜め切りの部材もあり多少手こずりましたがなんとか。板取がヘタなせいもあり、角材は3mのものを16本も使用、木端が大量に出てしまいました。 とにかく物が大きく、しかも同じものを4枚作らねばならないため、木ネジを締めるための下穴あけ一つとっても大変な量でした。ウィング裏の補強桟の切り出し、固定は現物合わせで。息子に手伝わせながらウィング本体の組み立てをようやく完了。 さてウィングが組み上がると、これを210に固定するため、ウィングのフレームにボルト孔を開ける作業です。210側に開いているボルト孔は微妙に位置が違うので、一つずつ現物合わせでウィングの桟に穴を開けねばなりません。 そのためには210を立て位置に起こさなければいけませんが、既にエンクロージャーには515B2発が仕込んでありますので片側150kg以上、私と息子、嫁の3人では作業不可能。私が経営しているスポーツジムのコーチ2名をビール券で釣って来てもらい、私と息子の合計4人で210を起こしました。 起こした210を移動するのに困らない様に、予め210の四隅には家具スベールを工事用両面テープで貼付しておきました。 台車を作ることも考えましたが210を台車に乗せるにはジャッキが要りますし、台に乗せるとスピーカーの背が高くなりすぎて、ただでも高い音像位置がさらに高くなってしまいますから。 さてウィングと210の固定はボルトナットで行う訳ですが、ウィングの重さは一枚40kg、尋常ではないため210の横板に負担がかかりすぎる心配があります。したがってウィングの下面にウィング前面よりやや奥、イスに座った目線から見えない位置に10cm四方、厚さ1cmの板材を二か所貼り、その上に家具スベールを工事用両面テープで貼付、ウィング下面と210の下面をツライチとしました。つまりウィングの重さを210ではなくウィング自身で受けるように工夫してみました。 ウィングは自立しますので固定ボルトにはウィングの重さはかからず、ボルトは210とウィングの間を密着するための用途に限定されました。 ウィングと210の接合は210のホーン開口部のサイドにあるボルト孔3個、バスレフ開口部のサイドにあるボルト孔1個、ウィングから支持棒を伸ばし、210の裏板近くに支持棒を止めるボルト孔2個、合計6個の孔にボルトを貫通し固定する設計です。 しかしバスレフ開口部サイドのボルト孔にはバスレフ開口部から手が届かず、使用することを断念。この孔はパテ埋めしました。従ってボルト数は一本減り、ウィング1枚を5本のボルトで固定する事になりました。しかし前述のように自作ウィングはオリジナルと異なり自立する設計にしており、ボルトはウィングと210を密着させるためだけに使用しますので問題ないと思います。 なお、ウィングに留めた2本の支持棒と210エンクロージャーの間には防振ゴムを貼り、210に傷がつかない様に工夫しました。 画像 https://91683924.at.webry.info/upload/detail/013/416/33/N000/000/007/141805452912181956179.jpg.html 写真は仮止めされたウィングです。 ボルト孔を開け終わると再度ウィングを取り外し、次は塗装です。塗料は水性塗料のグレーとツヤ消し黒を混ぜ半ツヤに。210とだいたい似たような色なら良しとしました。210に接する面は、長年のうちに塗料同士がくっついて面倒なことになりかねませんので無塗装。床面も無塗装。それ以外の面はウィング裏面を含め、全て塗装しました。 もともと210の塗装はそう丁寧なものではありません。釘穴の中など塗料が入っていないところもあるくらいです。ウィングは一回塗りとし、少々の色ムラは「味」と考え、ザクッとした仕上がりで終わらせました。 以上どの作業もスキルは要らないのですが、とにかく部材が重くてデカいので体力勝負です。VITABOX Bass Binにもウィングは付いているのですが、A4のウィングは重さが2倍はあると思われます。A4もBass Binもフルサイズのシアタースピーカーなのですが、これはアメリカとイギリスのお国柄ですね。 A4開発当時のアメリカは航空母艦の様なバカでかいセダンが、ガソリンをまき散らしながら走っていた時代です。イギリスは私の愛車ディムラーW6の時代(オリジナルのヴァンデン・プラは1953年製)、節度があります。アメリカはあくまでマッチョでないと気が済まない時代でしたから。 それにしてもこのウィング、完成してから再度ネットで画像を見直しましたが、どうも桟が太すぎた嫌いがあります。太さ105mm×45mmの米松角材を貼り回しているのですが、75mm×45mmくらいでも良かったようです。ただしネットや雑誌の写真を見ると、オリジナルのウィングといっても桟の太さはまちまちで、エンクロージャー本体程きっちり管理されていなかったと思われます。 桟の太さは別にしてもこのウィング、設計段階から桟が多すぎというか過剰品質では。210本体にはこれほど大量の補強桟は入っていませんから。 今回はやたらと太い桟を使った事もあり210の重さが130kgに対し、ウィングだけで2枚で80kgにもなってしまいました。資料によると210エンクロージャーの重量は194kgとなっていますので、ウィングの重さは64kgの筈です。自作ウィングは20kg近くオリジナルより重いと思われます。 豪華版のウィングとなりましたが、ウィングの強度と重量が音にはとても重要なんだ、という事にしておきましょう。 画像 写真はウィングの裏側。既に塗装され210エンクロージャーと連結されています。 https://91683924.at.webry.info/201412/article_17.html 晴耕雨聴 2014年12月09日 アルテックALTEC A4導入記・その15.H1505ホーンの設置、ウィング取り付け https://91683924.at.webry.info/201412/article_18.html
H1505ホーンは210エンクロージャーの上に設置されます。H1505だけでも30kg超、288Bを取り付けると40kg超、50kgに近いかもしれません。H1505にはステンレス製のホーン固定用金具(これはオリジナルではないと思われます)が付いていますが、金具底面には仕上げがされていませんのでこのまま210の上に置くと210が傷だらけ、うっかりすると凹みが出来てしまいます。 元々210や825にホーンを設置する場合は平板にホーンを載せ、板ごと前後に移動して位相を合わせるのがオリジナルのやり方ですので、これを踏襲する事にしました。このホーン搭載板にも型番がついており、サイズが決まっているらしいですが、数値が拾えませんでしたのでA4の見取り図から類推してサイズを決定。 ホーン搭載板は合板ではなく松の集成材にしましたが、特に音に配慮したわけではありません。ホームセンターには米松板目を貼った合板が無く、再度ネット注文するのも億劫でしたので。幅は210エンクロージャーの幅のとおり82.5cm、奥行き60cm、厚さ1.8cm、やはりグレーに塗装しました。 この板の上にツィーターT350も置けるように、T350設置用の台を作り、取り外し可能なように工事用の両面テープで貼付しました。 H1505の固定用金具が板に接する位置にはダークグレーのタイルカーペットを、やはり両面テープで貼付しました。 またしてもですが、H1505ホーンを210の上に載せるのは息子と二人では無理。ジムのコーチ二人を呼んで一緒に作業してもらいました。一度載せてしまうとこれを下すのはまた人を呼ばなくてはいけません。数十年間このままになる可能性が高いので、ホーン固定金具の鉄製ボルトやH1505ホーンとスロートの連結部はCRC-5-56で良く磨いておきました。 ホーンの設置は210エンクロージャー周囲に脚立を並べて行いましたのでウィングの取り付けが最後になりました。塗装前に仮止めして具合を見ておきましたので作業はスムーズ。 支持棒を取り付け終わるとウィングは予想以上にリジッドに。オリジナル以上の太さの補強桟、支持棒が効いているようですね。 画像 https://91683924.at.webry.info/upload/detail/013/416/33/N000/000/007/141805477436993331179.jpg.html ウィングを取り付けて全景を眺めてビックリ!写真の様に、ウィングの色、ツヤが210エンクロージャーの色ツヤと全く同一です! 210のペンキに対してウィングは水性塗料ですし、色も適当に塗料を混ぜて作ったものなので(グレーとつや消し黒を6:4位に混合)多少の誤差は仕方がないと思っていたのですが、驚くほどよく似た色、いや全く同じ色にしか見えません。最後にMuseの神様が手助けしてくれたようですね。 塗料の混合は目分量ですので同一色の再現は二度と不可能でしょう。まあ、たまにはラッキーも無いといけませんな。 塗装は一回塗りで簡単に仕上げましたが、これには別な狙いもありました。重ね塗りしない方がウィングの米松板目が浮き出て、カッコイイのではないかと。これも狙い通りになりました。昼間太陽光のあたる部屋で眺めると実に上手い具合に木目が浮き出てきます。夜になると木目は判りにくくなりますが、これもまた奥ゆかしいのでは。こちらも大成功ですね。 2014年11月3日、文化の日のpm10:00に作業完了しました。お正月までに何とかなればいいと思っていましたが、予想より早く作業が終了しました。 8月23日に210エンクロージャーを買い付けに福岡に出向いてから2か月余り、A4導入記もそろそろ終盤戦です。 https://91683924.at.webry.info/201412/article_18.html 晴耕雨聴 2014年12月09日 アルテックALTEC A4導入記・その16.ALTEC 1631Aチャンネルデバイダーを導入 https://91683924.at.webry.info/201412/article_19.html
東京の本郷にアルテック専門店があります。ここは所謂ビンテージショップ、中古屋さんとは少し異なり、旧いアルテックを仕入れてそのまま販売、あるいは修理して販売するのではなく、パーツとして仕入れたアルテックを徹底的にレストアし、最新のスピーカー、アンプとして販売するというコンセプトのお店です。従って普通の中古屋さんより価格はかなり高いのですが、長期使用には安心感がある様に思います。 ビンテージ・オーディオの取り扱いには二つの流派があり、出来るだけオリジナルを残して最小限のレストアで使用するという流派と、現在のパーツを利用しても徹底レストアし、オリジナルの性能を再現するとういう流派です。 後者は腕と経験がないと音が変わってしまったり、壊しているのと変わりない事態を招きかねませんが、上手く行けば前者以上の音が長期に維持できると思います。 本郷のお店は後者を志向しているようです。手に入れた私の288B、自宅で測定すると周波数特性も音圧も2本良くそろっておりそのまま使用できるのですが、ガスケット周りが左右で異なります。なんとなく気持ちが悪いのでこのお店で見てもらい、レストアを受けることになりました。 私がネットワークを使わずチャンデバを使用していることを伝えると、「こんな物がありますよ」と社長さんが店の奥から出してきたのがALTEC 1631Aチャンネルデバイダー。 このモノラル2wayデバイダー、実はE.V.のXEQ-2と同じもの。1631A、XEQ-2はALTEC、E.V.両社の定指向性ホーン、つまり高域補正が必要なスピーカー用に開発されたものです。ALTECではA10の最終型(3154のWウーハー+MR94マンタレーホーン)等で使用されていたそうです。 1980年台、E.V.はCDホーン、ALTECはマンタレーホーン、JBLはバイラジアルホーンと従来のエクスポネンシャルホーンと異なる新しい理論の定指向性ホーンが次々と発表されました(CDホーンとマンタレーホーンは同一技術者の開発と何処かで読んだ覚えが。ドクター・キールじゃなかったかな?)。 1985年、ALTECはE.V.に吸収合併されましたが、このデバイダーは両方のブランドの製品が存在します。どちらがオリジナルなのか調べが付きませんでしたが、私の予想では両者の合併前からE.V.が作っていた製品で、ALTECにOEM供給していたのではないかと。 私がALTEC 1631Aを知らなかった様に、市場に出回っている個体数ではE.V.ブランドが圧倒的に多いですし、定指向性ホーンの開発はE.V.がALTECより先でしたから。 既に定指向性ホーン高域の電気的補正を確立していたE.V.の製品を、ALTECが導入したのではないでしょうか。1631AはALTECがE.V.に吸収合併される直前、おそらく1980~84年辺りに暫く販売されていた機種なのでは。 実は私、E.V. XEQ-2を持っています。というより現在使用中です。かなり以前、AVシステムのセンタースピーカーに国産箱のVITAVOX Bass Binを使用していた事があったのですが、この時に1台だけ使用していました。 その後センタースピーカーはTANNOY Monitor Gold二発に変更したためXEQ-2にはお暇を出していたのですが、最近センタースピーカーを国産箱のクリプッシュLa ScalaにVITAVOXのAK156を入れたものを二台重ね、その上に同社のS5ドライバー+CN481ホーンを載せたものに変更、XEQ-2を再度使用しています。 このチャンデバは入出力ともバランス、アンバランス接続どちらにも対応しますが、回路図を見ますとアンバランス回路です。入力部はバランスもアンバランスも同じ接続になっていて、出力部もバランスはトランス出しになっているだけなので入出力ともアンバランスで接続する事にしました。 1631A入力側は、バランス端子もアンバランス端子も内部で同じ所につながりますからプリアンプから1631Aへのコードは、プリ側がトモカのRCAプラグ、1631A側はノイトリックのバランスプラグに。線材は英Vital、プリ側のシールド線は浮かせました。1631Aからパワーアンプへは1631A側はノイトリックのフォンプラグ、パワーアンプ側はトモカのRCAプラグとし、線材は米ベルデン8212。1631A側のシールド線を浮かせました。 クロスオーバー周波数は外付けのモジュール(抵抗が数本入っています)をコネクターに挿し換えて変更する様になっています。最近のプロ用アナログチャンデバ、dbx223やAshly XR1001はボリュームの様なツマミを回してクロスオーバーを変更しますが、それに比べると高級というか安心感があります。 外付けモジュールはもう一つ、定指向ホーンのための高域補正を行うモジュールを挿すようになっていますが、エクスポネンシャルホーンのH1505は補正なし、FlatのモジュールでOKです。 他に低域のディレイ機能、最低域に電気的に小さなピークを作って低域を伸ばす機能、プロ機には時々あるようですが、パラメトリックイコライザーの様に10KHzを中心にピーク・ディップを作る機能が付いています。 ゲインコントロールは高域のみ。全体の音量を絞ることも、低域を絞ることもできません。そちらはパワーアンプのゲインコントロールを使えという事でしょう。無駄な抵抗や接点が無いので性能的にも良いはずです。 チャンデバの音を論評する程の良い耳は持っていませんが、XEQ-2、少なくとも悪くはありません。パワフルでダイレクトな音だと思います。 画像 写真はMcIntoshのAVプリの上に設置したALTEC1631A二台。 XEQ-2も美しい機材ですが1631Aのデザインもナカナカですね。1Uの薄型ボディに黒のハンマートーン塗装、白の文字。中央付近の赤いパイロットランプがオシャレです。 1631Aは私の所有しているXEQ-2より生産年度の少し古い個体だと思いますが、お店でチェックしたところ健康体だそうです。音の傾向は良く知っているので安心して購入。使用前に数時間電源を入れたままにして電解コンデンサーの容量を安定させてから使用しましたが、ノイズもなくノートラブルです。 購入と言いましたが、正確には物々交換。使用していない2本の515Bウーファーと交換しました。妻に言わせると私の物々交換は「わらしべ長者」ならぬ「わらしべ貧者」らしいですが、妻よ、ビンテージオーディオパーツを死蔵するのは社会悪、使ってもらう事が後生ですからね。 https://91683924.at.webry.info/201412/article_19.html 晴耕雨聴 2014年12月09日 アルテックALTEC A4導入記・その17.288B健康診断&整備中にて https://91683924.at.webry.info/201412/article_20.html
木工作業も終了、設置作業も完了、チャンデバも落ち着いたのでA4は復活したはずですが、288Bがドック入りしているため音が出せません。288Bのご帰還は11月末の予定なので一月近く先です。ウィングの効果も知りたいし、鳴らさないのもつまらないので、ALTEC 804Aドライバー+511Bホーンを仮配線して聴いてみる事にしました。 画像 https://91683924.at.webry.info/upload/detail/013/416/33/N000/000/007/141805554599510581179.jpg.html 210エンクロージャーの上は既にH1505に占拠されているので、写真の様にウィングの前にVITAVOX Bitone Majorの箱を置き、その上に804A、511Bを載せて音出ししました。 804Aは802-8Dよりやや聴感上の能率が低く、210エンクロージャーに仕込んだ515B二発とほぼ同じですので高域のレベルは全開にしてみました(1631Aは低域にはアッテネーターが無く、高域だけを絞ります。全体のレベル調整はパワーアンプのボリュームを使う設計です)。 一月ほど前に横倒しにした210の上にH1505、288Bを載せて聴いた音と比較しますと、やはり中高域の実在感はH1505+288Bには譲ります。しかしウィングの効果でしょう、低域の響きは明らかに向上、伸びやかに、豊潤に鳴るだけでなく再生周波数レンジも下に伸びた印象です。 こんなバカでかいスピーカーなのに、ウィングまで付けなきゃイカンのか?と思っていましたが付けなきゃイカンのですね。 重さと大きさに悪戦苦闘した4枚のウィングですが、音質向上に貢献してくれたようで製作の疲れも吹き飛びました。ウィング完成時、私は55歳と10か月。もう5年A4への取り掛かりが遅ければ、体力的に完成不可能だったかもしれません。最終電車に間に合った気分ですね。 さあ、早く帰ってこないかな、288B。 11月6日、288Bの健康診断をお願いしたお店に寄ってみました。288B、振動板をくぐらせているリード線の交換が必要なようです。また振動板の片方に、おそらくドライバーを当てたらしい小傷があるので、音量を上げた時に異音が出ないか調べる事、振動板を止めるボンドの補修が必要だとか。さらに定番の磁束密度のチェックと再着磁も。しかし大病は患っておらず、作業の目途はもう立ったようなので安心しました。 お店からホテルに向かうタクシーに乗り込むと、カーラジオからバド・パウエルの「クレオパトラの夢」が流れていました。ホテルにチェックインすると515号室。なんだか出来過ぎですね。 https://91683924.at.webry.info/201412/article_20.html 晴耕雨聴 2014年12月09日 アルテックALTEC A4導入記・その18.ALTECのパワーアンプにも手を出しました https://91683924.at.webry.info/201412/article_21.html
ここまでA4のドライブアンプはMcIntosh・Mc275の最初の復刻版(オリジナルは1961年発売。このモデルは根強い人気があり、何度かレプリカが出されていますが、私の所有しているのはオリジナルと同じく電源スイッチの無い最初のレプリカ)2台を使っていました。 このアンプ、2度ばかりパワー管を取り換えましたが、我が家でもう20年以上活躍しています。75w+75wと十分な出力を有し、音質もパワフルで安定感があり、大いに信頼しているアンプです。なにしろMc275は民生用にもかかわらず、LPレコードのカッティングマシン・ドライブアンプにも使われていたアンプですから。 McIntoshのアンプはALTECの相棒として定評のあるアンプでもあります。最初の章で書きましたが、私が聞いた最良のジャズを奏でたジャズ喫茶タカノのALTEC9844はMcIntoshでドライブされていました。 しかし、そうは言ってもA4なら一度はALTECのパワーアンプで鳴らしてみたいのも人情です。 ALTECのアンプなら何が好適でしょうか。まずは一般論から失礼。巷では「アンプとスピーカーの時代を合わせるべきだ」との意見を耳にしますが、私はそうは思いません。是枝アンプのように、現代的な真空管アンプでビンテージスピーカーを上手く鳴らすアンプもあります。しかしアンプとスピーカーには相性があり、特にアンプのダンピングファクターとスピーカーのコンプライアンス、M₀、能率には相性があるとは思います。従って鳴らしたいスピーカーに合わせたアンプ選びは必要ですが、必ずしも同時代の物でなくとも良いと思います。 ただ同時代のアンプのD.F.は同時代のスピーカーのコンプライアンスにマッチするように開発されていますので、現実的には「アンプとスピーカーの時代を合わせる」事は間違いの少ない方法なのでしょう。 A4は1945年に515(A)ウーファー、288(A)ドライバー、H210エンクロージャー、H1505ホーンにて発表されていますのでアンプはA126等の時代ですが、私のA4はもう少し後の時代のユニットですから少し後のアンプが良いかもしれません。 使用するユニット、288Bは1956年〜1963年の製品、515Bは1966年〜1978年の製品、つまり真空管アンプがトランジスタアンプに取って変わられる前夜のスピーカーです。ALTECアンプでは1957年〜70年に販売されていた1568Aと1569A、1958年(私の生年)発表の1570Bが最後の真空管式パワーアンプになりますからこの辺りが候補になります。 この中で1570Bは出力175wと突出してハイパワーなPPアンプ。S/N比に問題がなければパワーはいくらあっても邪魔にはなりませんが、このアンプの出力管は811Aという送信管でややレア、プレート電圧も1000Vをかけるため、長期の使用には不安があるのではないかと考えました。 さ らにA4の能率は高域の288B、H1505が112db/w・m前後、低域の515B×2、210が107db/w・m前後だと思いますので、家庭で聴くには1568Aの40w、1569Aの80wでも既に過剰な出力、1570Bは必要ないと考え、288Bのドライブに1568Aを、515B×2には1569Aを使用する事にしました。 この二種類のアンプは非常にオーソドックスな回路構成のアンプです。どちらも定評あるALTEC回路で使用部品もほぼ同一。1568Aはプッシュプル、1569Aはパラプッシュの違いこそありますが、パワー管はともにEL34です(マランツの#2、#9と同じ関係ですね)。初段管の6CG7、整流管の5U4GBも含め、今でも流通している真空管が使用されていますので、球の補充に関しては安心でしょう。 回路図もシンプルで同時代のマッキントッシュやマランツと比べると部品点数もずいぶん少ないアンプです(チョークコイルくらいあっても・・・)。それどころか一世代前のA126と比べても簡略化、コストダウンされているアンプです。 ピアレスのトランスは音質に定評がありますし、部品の配置や配線の引き回しにはノウハウがあるのでしょうが、回路には有難味はないですね。 しかしこれらのアンプは業務用ですので、構成部品が少ない事は調整箇所や故障の可能性のある部位を最小限にする意図もあるのでしょう。ですから現在もビンテージアンプとして元気に稼働する個体がたくさん残っているのでしょうね(同時にこの設計思想のアンプなら、今後の長期使用にも期待が持てるのではないかと思うのですが)。 正直、ALTECのビンテージアンプとしては他にも面白そうなモノが沢山あるようですが、実際に使用するにはこの辺りが無難ではないでしょうか。私はALTECアンプの使用は初めてですから、あまりトンガッタ物から入るのもなんだかなぁ、という気もしますし。 雑誌「管球王国」によると、1568A、1569A共に映画館、劇場、学校、駅、空港などのPAに多数使用されていたとか。うーん、映画館、劇場は良いとしても公共施設のPAアンプがHI.FI.かといわれると少し疑問もあります。しかし市井の評判では音楽再生用アンプとしても評価されているようなので、これ以上逡巡しても仕方がない。ここはひとつALTECアンプに突撃してみる事にしました。 画像 写真上段が入手したALTEC1568A、下段が1569A裏側の写真です。 https://91683924.at.webry.info/201412/article_21.html 晴耕雨聴 2014年12月09日 アルテックALTEC A4導入記・その19.ALTEC1568A、1569A https://91683924.at.webry.info/201412/article_22.html
アンプ導入後知ったのですが、1568AはALTEC604Cの後期から604E前期の時代に、このデュプレックスのドライブアンプとして各種レコーディングスタジオにも多数採用されており、当時の名録音の多くが1568Aを通してモニターされていた様です。 英デッカ、EMI、蘭フィリップス、米RCAはALTECではなかったでしょうが(デッカはTANNOY、フィリップスはQUAD、EMIとRCAには自社製スピーカーがあります。独グラモフォンは何だろう。TELEFUNKENかな?)、米CBSはALTECがモニタースピーカーだったはず。 古いレーザーディスクに収められたグレン・グールドのイタリアン・コンチェルト録音時のドキュメンタリーには、ウィング付きのALTEC A7から流れるプレイバックに聞き入るグールドが出てきます。ですから私の愛するグールドの一連のバッハ(CBS)は1568Aで音決めされていたのでは。同じくCBSのブルーノ・ワルター/コロンビア交響 楽団の一連の録音時のモニターにも恐らく1568Aが使われていたのでしょう。 マイナーレーベルもALTECが主流だった様で、もちろんルディ・ヴァン・ゲルダー録音のブルーノートもALTECです。604C(1952年〜1958年)の時代ですね。 ですから1568Aは音楽再生用としても十分な実力のあったアンプだとおもいます。ほぼ同一の回路でパワーを倍加した1569Aの音質も、PAのみならず、音楽再生用にも一定の性能を有するアンプだと推測します。 1568A、1569Aアンプの入手は288Bのレストアを行ってくれた本郷のALTEC専門店から。 この4台のモノラルパワーアンプはお店でレストアされていますが、このお店のやり方はフルレストア。CR類、配線材、ソケットに至るまで全て新品に交換、ついでにフロントパネルも再塗装です。オリジナルのままなのはシャシとトランス類だけ。 ただし手に入らなくなったパーツ以外はALTECサービスマニュアル(グリーンブック)に準拠した物を使用しているそうです。例えばカップリングコンデンサーはブラックキャットに変更されていますが、抵抗はオリジナルと同じアーレンブラッドレーです。 整流管、初段管はGE、シルバニア、出力管EL34は高品質で定評のあった日本の松下電器製が使用されており、真空管の吟味も十分されているようです。 これらのアンプは生産されてから50年前後を経ていますので、パーツの交換やハンダのやり直しは必要です。レストアには使えるものは残す流儀と、信頼性に疑問のあるものはすべて取り換える流儀があるようですが、このお店のやり方は後者。長期安定使用にはこちらが良いとの判断でしょう。 大量の補修部品を使用し、小物類の付け直し、配線のやり直しですからコストはかかります。よくある「現状渡し」の1568A、1569Aよりかなり高い値付けになっていますが理由はあるようです。 これらのアンプはお店のオリジナルの木箱に収納されています。箱から出して使ってももちろん問題ないですが、お店の話では箱に入れることで微細なトランスの唸り音を遮断できるという事です。私としては放熱が心配なのですが、扇風機にスライダックを噛ませて低回転・無音で風を送る、いつものやり方で対応してみましょう。 McIntosh社のアンプ取扱説明書には「真空管アンプを長期間使うために一番大事なことは、アンプの放熱に注意することだ」と書いてありましたし。 ビンテージアンプの一番の問題はトランスの断線です。特にOPTが断線した場合はこれにて修理不可能、永眠となります。ただしいつ断線するのかは個体によりますので予測は困難。トランスの抵抗値を計測しても、ダメなものこそ判りますが、計測値が良好なトランスの寿命の予測は難しいそうです。こればかりはビンテージアンプを使用する場合に取らざるを得ないリスクです。 ALTECのトランス類は子会社のピアレス製にて信頼性の高いトランスです。ALTECの前身であるW.E.のアンプ類(トランスはピアレスではありませんが)には、生産から80年以上を経ても現役で稼働しているものが沢山ありますから、考えすぎても仕方がありませんね。 さてALTECの歴史を鑑みるに、故・亜留手駆男氏がどこかのシアターから手に入れた288B+H1505を鳴らしていたアンプ、中古屋さん経由のエレクトリ初期の515Bを歌わせていたアンプ、島根県益田市の映画館で210エンクロージャーを響かせていたアンプの中に1568A、1569Aがあった可能性は少なくないと思います。いや全てのスピーカーが、エンクロージャーが、この二種のアンプで鳴らされていたとしても何の不思議もありませんね。 開発から数十年後に、アメリカ・カリフォルニア州・オレンジ郡・アナハイム市、ALTECの工場から遠く離れた兵庫県赤穂市の個人の小さなオーディオルームで、ALTEC・A4が1568A、1569Aを通して再び咆哮をあげるのかと思うとロマンを感じますね。 画像 写真はALTEC1568A、1569Aのフロントパネル。フロントパネルのデザインは二機種とも同じです。 https://91683924.at.webry.info/201412/article_22.html 晴耕雨聴 2014年12月09日 アルテックALTEC A4導入記・その20.ALTECパワーアンプの音は https://91683924.at.webry.info/201412/article_23.html
さて肝心の1568A、1569Aの音ですが、お店でチョイ聴きした印象では直截的でクッキリした音のアンプと思われました。高能率なALTECのVOTTシリーズをドライブしていましたが残留ノイズも気になりませんでした。 これらのアンプ群を自宅のA4システムに組み込んでどうだったか。以下マッキントッシュMc275との比較が中心になります。 まず欠点から。このアンプ、寝起きが悪いです。一般にLP片面くらい聴くと調子が出てくるのが普通の真空管アンプですが、1568A、1569AはSACD二枚くらい、つまり2時間程聴いてようやく本調子になります。 スピーカーが暫く使用されていなかったビンテージなので、余計に寝起きが悪いのかもしれませんが、Mc275と比較してもやはり寝起きは悪いと思います。 電源投入直後は低域がブーミーで緩すぎる感じ、全体に情報量も不足しています。2時間ほど聞くと低域の締りも出てきて、情報量も増えてきます。 これらのアンプの使用される映画館や劇場なら、始業時に電源を投入すると夜に閉館するまで電源は入れっぱなしでしょう。駅や空港なら24時間電源を落とすことは無いかもしれません。従ってアンプの「寝起き」は問題にならなかったのでしょう。もっともPAアンプにそこまで神経質にはならないかもしれませんが。 良い点は低域の伸びと音質のダイレクト感。低域の聴感上のレンジはMc275を上回り、締りと緩めの加減も絶妙です。ほどほどに緩い感じがコントラバスやグランカッサのサイズを再現してくれます。中高域はストレートで介在物の無いピュアな力強い音だと思います。微妙なニュアンス、情報量ではMc275に譲る部分もあるようですが、簡潔なアンプらしい別な良さもありますね。 このアンプはアメリカ製ですので電源電圧は117V(115V〜120V)が正式です。購入したお店に聞いてみますと「100Vで使ってよろしい。パワーは5W位ダウンするが、電源に余分なトランスを噛ませると音質に問題がある場合がある」との事でした。加えてその方が真空管の寿命も延びるでしょう。 そうはいってもマニアたるもの一度は実験しなければ。手持ちに100V→117Vステップアップトランスが二つありましたので、容量の大きな方を使用してみました。 やはり117V(テスターで測ると115Vでした)で使用した方が音は良いですね。低域の締りが向上し、音の抜け、情報量、何れも改善します。 緩く扇風機の風を送りながら使用しているのですが、この電源電圧で数時間使用しても初段管、出力管は素手で触れます。整流管も少しの間なら触れられる程度にしか熱を持ちません。これなら真空管、アンプの寿命が激減するとは思いませんので、115Vで使用することにしました。 115V電源で使用、電源投入後2時間以上たった1568A、1569Aは大変良い音です。長く使っていこうと思います。 画像 写真は設置完了したALTECのアンプ群です。 https://91683924.at.webry.info/201412/article_23.html 晴耕雨聴 2014年12月09日 アルテックALTEC A4導入記・その21.最終回、ALTEC A4組み上がりました https://91683924.at.webry.info/201412/article_24.html
画像 https://91683924.at.webry.info/upload/detail/013/416/33/N000/000/007/141805635920320407179.jpg.html 2014年12月3日、288Bドライバーが無事帰還、H1505ホーンに装着し、写真の様に、ついにALTEC A4が組み上がりました。 210エンクロージャーの前に設置していたBitone Majorが片付いたため、部屋がスッキリしましたが、逆にこれだけ大きなグレーの板材がデンと座ると、210にALTECのステッカーでも貼りたくなりますね。 さて音質評価を。低域(515B×2、210)のレンジは音楽再生には十分です。210エンクロージャーと部屋の相性だと思いますが、低域のボンつきはありますね。しかし出ない音を出すのは困難ですが、出る音を抑えるのは何とかなるでしょう。 ボンつく低音は低音楽器の輪郭が不鮮明になるのですが、逆に録音現場のプレゼンスを出すのには聴感上有利な時もあります。オーディオはギミックでもありますから。 ボンつきに対してはバスレフダクトの調節をするのが標準治療ですが、個人的には余り低音を締めると音が痩せるので、多少ファットな音が好きです。しばらく様子を見ようと思います。 発展的な改善方法としては、210の低域を50Hz位でcutし、その下にサブウーファーをつなぐ手もありますね。やることが有るのはオーディオマニアには嬉しい事でもあります。 中域(288B+H1505)は鳴らし始めは情報量が不足しておりギョッとしましたが、数日鳴らすと288Bも調子が出た様で、安心しました。288Bは整備したお店で再着磁の他に、リード線の交換とエッジ固定のボンドの補修を受けているので、この辺りに少々エージングが必要だろうと思います。 音はやはり804A+511Bとは格が違います。よく言えばスケール感たっぷり、悪く言えば映画館の音。A4を使うのですから重箱の隅をつつくような、虫眼鏡で覗くような音を指向してはいませんから、この方向でOKです。 高域(E.V. T350)は私のもう一つのシステム、VITAVOX Bass Binを中心とした5wayシステムのツィーターとして長年使用していたユニットを移植しました(Bass Binシステムの高域は少し前にゴトウユニットSG-17Sに交換)。 このツィーターはもう30年近く使用していますのでエージングは問題なし。高域のレンジは測定上15KHzですが、メリハリの効いた元気な音で288B+H1505に良いアクセントを付けてくれます。 以上A4システムの音は私の好みに合いそうです。今後音質を向上させるためには、何よりも鳴らし込むことだと思います。 515B、288Bは中古上がりのセカンドバージン、特に288Bはエッジの修理も行っていますのでエージングはこれからです。同時に515Bと210の馴染み、288BとH1505の馴染みも必要。更にA4システムと部屋の馴染みも大切です。 さらに同じスピーカーを聴き続けると、人間の耳とスピーカーの馴染みも進み、より細かい音まで味わえる様になると感じます。オカルト的で申し訳ありませんが、オーナーが真摯に向かい合うと、機械たちにも何か良い変化が起こる気がするのですが、如何でしょう。 以上でALTEC A4導入記は終了です。という事は、終了したのは「導入」だけ。これからがホントのオーディオになりますね。 “Wait a minute! Wait a minute! You ain't heard nothin' yet!” 「お楽しみはこれからだ !」 もしここまで長文を読んで下さった方がおられましたら深謝いたします。長のお付き合い有難う御座いました。 参考までに2014年12月現在の私のシステム一覧です。 【System 1. ALTEC A4を中心とした3way】 SACD/CDプレーヤー:Luxman D-08 DSD・DAコンバーター:Korg MR-2000s LPプレーヤー:DENON DN-308F(ステレオLP用) Micell Gyro Dec、SME3009sV カートリッジ:DENON DL103R(ステレオ) Ortofon 2M-Mono(モノラル) フォノイコライザー:Marantz PH-1 FMチューナー:47研究所 4730 Midnight Blue AMチューナー:是枝ラボ プリアンプ:是枝ラボ セレクター:47研究所 4707 Input Chooser チャンネルデバイダー:ALTEC 1631A パワーアンプ:低域 ALTEC1569A 中高域 ALTEC1568A スピーカー:低域 ALTEC 515B×2、ALTEC 210 中域 ALTEC 288B、ALTEC H1505 高域 Electro Voice T350 【System 2. VITAVOX Bass Binを中心とした5way+スーパーステレオ】 ※セレクター-まではSystem 1.に同じ チャンネルデバイダー:Accuphase DF55+是枝ラボ・真空管式 グラフィックイコライザー:Klark Teknik DN360(サブウーファーにのみ使用) スーパーステレオプロセッサー:Dynavector SSP-5 パワーアンプ:最低域 McIntosh Mc2300 低域 是枝ラボ 807p.pp 中域 是枝ラボ 6336p.pp 高域 是枝ラボ 6336pp 最高域 是枝ラボ EL84pp スーパーステレオ・フロント 是枝ラボ 6550pp スーパーステレオ・リア 是枝ラボ 6384pp スピーカー:最低域 BOSE AWCS-1×2 低域 VITAVOX AK156×2、VITAVOX Bass Bin 中域 VITAVOX S2、VITAVOX CN129 高域 VITAVOX S2、VITAVOX 4K 最高域 ゴトウユニット SG-17S スーパーステレオ・フロント ALTEC 604E/U スーパーステレオ・リア TANNOY Monitor Gold+Goodman Trebax 【System 3. Visual再生】 BD/DVDプレーヤー:DENON DVD-3800BD プロジェクター:BARCO SLM-R6 スクリーン:Screen Researchサウンドスクリーン(16:9、184インチ) サラウンドプロセッサー:McIntosh MSD4 ※音響システムのうちL、R、リアはsystem2.を流用にて以下はセンターSP用 チャンネルデバイダー:Electro Voice XEQ-2 ボリュームボックス: パワーアンプ:是枝ラボ 6L6GCp,pp×2 スピーカー:低域 (VITAVOX AK157+Klipsch La Scala)×2 この記事へのコメント mambo 2014年12月23日 01:15 凄い! 暫くおじゃましていなかったら、とんでもない事になっていたんですね。さすがベンプレ親爺さんやる事が素速い! 210でしたら数年前、7本農業倉庫に運び込んだものの、昨年ようやくA4がやっと組めたところです。最終はA2と考えておりましたが未だ未だ515や288Bが揃え切れず悶々としておりますです。トホホ ベンプレ親父 2014年12月24日 20:53 mamboさん、コメント有難う御座います。
私も515が欲しいですが、ナカナカ出物が無いですね。 mamboさんのA4は515ですか?可能なら一度聴かせて下さいませ。 私のメルアドはkojoh@pearl.ocn.ne.jpです。 210、7本あればA2じゃなくて、A1でも組めますね !! mambo 2014年12月26日 01:08 ボンツキ、、、、私の手に入れたA2仕様の210は、上側の空間を板で塞いでありました。確かにバスレフにはやや大きい箱ですものね。ただ、515のフィックストエッジでしたらそれは起こらないかなと思います。515Bの設計目的はより大きな振幅を得るため=ブーミー だったのではないでしょうか? ベンプレ親父 2014年12月27日 00:41 mamboさん、ウチの210は上側の空間とバッフルの間に板状の吸音材が乗せてあります。吸音材はこれだけしか入っていませんでした。 515Bのコーン紙をサードパーティーのフイックスドコーンに代える手が有るみたいですが、どう思われます? 蝶型べークダンパーは状態の良いのが無いように思うのですが。 mambo 2014年12月27日 23:14 そういえば、A1は、3個ユニットキャビネットですから〜〜 210ではなく310? そんな型番あったのかしら? 写真を見る限り3個並び。 でも、、、、、ハンドリングが大変! 私、細腕ですが、210の515は立てたまま、後ろからアプローチして、片手で持ちつつ、ボルト締めしましたよ〜〜。 JBLもAltecも15インチまでなら片手で持って、片手でネジ締め。 GaussやJBLの18インチと、Westrexの2080だけは無理でした! https://91683924.at.webry.info/201412/article_24.html
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