http://www.asyura2.com/09/nature4/msg/586.html
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(回答先: “アインシュタインの生涯で最大の不覚“だった「宇宙項」が復活した!?/佐藤勝彦 投稿者 短足鰐 日時 2011 年 2 月 17 日 21:07:31)
まず、最新の宇宙創生譚を把握できている?範囲で整理してみたい。
ビレンケンはトンネル効果で宇宙はプランク時間ぐらいの間にプランクスケール※ぐらいのものが誕生したとする。ホーキングは虚時間をつかって宇宙はやはり同じぐらいのものが誕生したという。
ホーキングの虚時間の実体は分からないと物理学者たちは言う。科学哲学もやる竹内氏は、ホーキングは実証主義者であり、虚時間が「実在」するかどうかついてはどうでもよく興味がないのだとする(虚時間は数式上は空間と同じ役割を果たすと)。ホーキングは事態をうまく説明できる数式があればそれで十分だとするのだと。
竹内氏はまた、トンネル効果は素粒子に適用される量子論からくるので、それを宇宙の誕生そのものに適用するのは違和感があるようだ。
ひるがえって、宇宙は誕生した瞬間に有限の大きさ(素粒子よりはるかに微小)も持つという救いの「仮の仮説」(と見る)が出てきたのにはわけがある。アインシュタインの重力理論(一般相対性理論)を適用して、今の膨張宇宙を遡ると、それは「点」から始まったということになるらしい(特異点定理:ホーキングやペンローズが数学的に証明)。点は無限大の密度をもち、既存の理論を適用することができず困ってしまう。
点(体積ゼロ)に限らず、プランクスケールより小さい領域では時間も空間も定義できないのだと言う(だから量子論も相対論も適用できない)。
思うにプランク常数(h)がじゃまして、プランクスケールより小さい領域では数式の意味がなくなるのではないかと想像される。
さて、本題の<科学思想の二大潮流>についてだが、竹内氏は、「現代物理学の発達とともにモノ(実在論)が消えてコト(実証論)ばかりになってゆく」としている。古典物理学に馴染んできた者にとっては、にわかには方向転換しにくい。
そもそも日本の素粒子論は概ねモノ的(実在論)の立場で発展してきたと思われる。湯川秀樹の中間子の予言は、「中間子というモノ」が発見されて確定した。長岡半太郎の原子模型や坂田昌一の原子模型もモノ的発想であった。最近の小林誠、益川敏英の(それまでは四つあるとされていた)クオークは六つあるとする理論とその存在の実験による検証もモノ的であった。(少なくとも坂田昌一、武谷三男らは自分たちの方法論が実在論であることを明確に表明していた)。
ただ、プランクスケール近い領域では実験によって「モノ」としての実在を確認することは到底不可能なので、数式表現にたよりそれで事をすませざるを得ないということではないのか。地球を一周するサイクロトロンを作ったとしても限界がある(粒子は光速を超えられない)。
このあたりが止揚された21世紀の科学哲学というものが展開されていくのであろうか。
※(プランクの常数(h)、光速(c)、重力常数(G)を掛けたり割ったりすると、距離の次元の数値が出てくる。プランク長:1.6×10(-35)乗・メートル。同様に、プランク時間:1.3×10の(-43)乗・秒)。
「世界が変わる現代物理学」竹内薫/ちくま新書‘04年より抜粋
第2章 SF的世界観への前哨
<現代科学思想の二大潮流>
@ 実在論(リアリズム)
A 実証論(ポジティズム)
・実在論は、「自然の奥深く隠された実在に迫る」という哲学を持っています。
実証論は、「実証できることだけを問題にする」立場なのです。
実証論(ポジティヴ)の「ポジティヴ」は「明白」とか「疑いのない」というようなニュアンスです。これは究極の「経験主義」なのです。科学データのほかには数学と論理しかいらない、という立場なのです。データの「背後」に何らかの実在があるかどうかを問うのは無意味な行為だというのです。
▽モノ的世界観=実在論:プラトン、アインシュタイン、シュレディンガー、ボーム
▽コト的世界観=実証論:ボーア、ハイゼンベルグ、ボルン、ホーキング、ファインマン
<はじめに>
「モノ」と「コト」と「フィクション」について
・本書のキーワードである「モノ」と「コト」の定義を与えておきましょう。
▽モノ 意味のネットワークの一つの「交差点」(=結節点)だけに着目したときに見える世界
▽コト 意味のネットワークの全体的な「つながり」こそが本質であることに気づいたときに見える世界
モノは固定的で狭い思考法であり、コトは流動的で広い思考法なのです。その答えは明らかなのです。私は、本書において、世界の本質がコト的であることを現代物理学からの事例によって示したい。現代物理学の発達とともにモノが消えてコトばかりになってゆく、それとともにわれわれの世界解釈もコト的な色に染まってゆく。
「宇宙には意志がある」桜井邦朋/クレスト社 H7年より
<現代物理学がぶつかった“壁”とは>
・アメリカの超伝導衝突型粒子加速器(SSC)プロジェクトは、あまりにも費用が掛かりすぎるし、かならず成果が上がるわけでもない、ということで建設を途中で打ち切ってしまった。テキサス州の地下に一周87キロメートルものトンネルを掘り、その中で陽子を加速させて衝突させようという装置である。
理論物理学の成果を、実験的に検証できない時代が来た。
・名古屋大学には坂田昌一がいた
http://www.asyura2.com/08/nature3/msg/406.html
・やはり坂田昌一の「心の遺伝子」が益川敏英氏らに引き継がれていた
http://www.asyura2.com/09/nature4/msg/419.html
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